ドラえもん・のび太のポケモンストーリー@wiki

新カントー物語 その8

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シルフカンパニー 最上階

二人の男が机を向かい合わせている。
ロケット団首領、サカキ。
ロケット団副首領、カイ。
チェスを打ち合う二人。
「お前と打つのも久しぶりだな」
ポーンの駒を持ち、盤に打つサカキ。
「ああ、そうだな」
ナイトを構えて、盤に打つカイ。
二人の男は考慮していた。
シルフを乗っ取り手に入れたマスターボールと金。
もはやここに潜伏している意味などない。
ヒョウとハル、二人の子供たちが残りたがっている事を残しては。
彼等の意思を無視するわけにもいかない。
だが、やはり、戦略的にはもうここにいる意味はない。
両者の考えは決定している。
『撤退』と。
「なあ、カイ」
「何だ、サカキ」
カイが気分悪そうに返事をする。
「ここは撤退するべきじゃないのか? 
もうここに居る意味など「戦略的には撤退だな」
カイがサカキの言葉を遮る。
「だが、あいつ等の意思を考えなければならないのも事実だ。
 戦略だけで決めるか、奴等の意思を取るか、全てはお前の決定次第だ」
サカキが唸る。
「そうだな・・・私が全てを決めるんだな。カイ、お前は私が
どんな策をとっても何もいわないのか?」
サカキが問うとカイは即答した。
「ああ、俺の命が果てるまで俺はお前についていく。お前の決定なら神にも逆らおう。
 お前は・・・俺の主だからな」



二人がチェスを続けていると、一人の団員が入ってきた。
男がサカキの前にひざまずく。
「サカキ様、カイ様。特別幹部殿がグレンシティを出立しました」
前の男の発言を受けてサカキの顔が変わる。
サカキは団員に命令を下した。
「わかった、幹部を全員招集しろ」
「わかりました! では失礼致します」
団員が敬礼をしてドアに向かっていく。
二人はチェス盤に目を戻すとドアの閉まる音が聞こえた。
ドアの奥から速い足音が聞こえる。
「別に急がなくてもいいのにな」
サカキが苦笑する。
「真面目な団員じゃないか。給料を後で上げてやろう」
カイが団員を擁護しながら駒を打つ。
「チェックメイトだ」
カイが笑って告げる。
「何っ・・・!」
サカキが言葉に詰まる。
「話に夢中になりすぎだ。少しは駒の位置を確認したらどうだ?」
カイに言われて盤の上をサカキが見る。
そこにはポーンが只、前進しているだけの子供のような手を指されていた。
言うまでもなく、それはサカキが指していた手だ。
「むう。話に夢中になりすぎたか」
サカキが諦めたように一万円札を取り出す。
差し出されたお札をカイが無造作にポケットに入れる。
「確か負けたほうがチェス盤を片づける筈だったな」
カイが嫌味っぽく笑う。
「わかっている!」
サカキがチェス盤を片づけ始める。
チェス盤を片づける様子をを、カイは笑って見ていた



シルフカンパニー 10階

男が向かった先は幹部、通称『紫の聖女』が居る10階。
まずは近い所から呼び出すのが基本と考えた男。
幹部の居る部屋のドアの前に辿り着く。
男はドアを2回叩いて中からの返事を待つ
返事が返ってくる。
男はドアを開けた。

男の視界に入ったのは少女がモンスターボールを眺めている姿。
男が入ってきたのに気がつくと少女はこちらを向いて話し掛けてきた。
「何の用ですか?」
男がひざまずく。
「ソラ様。サカキ様がお呼びであります。至急最上階にお向かいください」
男が告げる。
「わかりました。貴方は他の幹部にお伝えください。私はすぐに向かいます」
少女が席を立ち、男の位置からは見えなかった紫のドレスが露になる。
「わかりました、では失礼致します」
男がドアを開け、少女を先に通そうとする。
少女がその様子を見ると男に何かを渡す。
どうやら鍵のようだ。
少女が部屋を出るのを確認すると、後ろに続くように男は部屋の外に出る。
男は部屋に誰も居ないことを確認するとドアに鍵をかけた。
目の前に居る少女に鍵を渡すと、男は次の幹部に事を伝えに行くために
急いで駆け出した。



シルフカンパニー 階段

『何の用かしら?』
ソラは階段を一段一段丁寧に上がり考える。
『定期報告ではない。では何か予定外のことなんでしょう』
少女の顔に不安が募る。
『まさか・・・あの人達が?』
頭に浮かぶロケット団の邪魔をしたあの四人。
『では、あの人も・・・』
頭に浮かぶ少年。
『出木杉英才。あの人も来るのかしら?』
あの時あの少年がした質問。
まだそれが心に残る。
『私がロケット団に居る意味・・・』
少女が自分に問う。
『・・・私が居る理由・・・それは私には・・・わからない』
少女は更に考える。
『でも・・・私は・・・カイ様に恩をお返ししなければなりません。
 その為ならば・・・例え、ロケット団が悪だとしても・・・
 私はロケット団に仕えます』
少女の答え。
一人の人間への恩返し。
相手が正義だとしても。
こちらが悪だとしても。
『全てはカイ様の御心のままに』
少女は決意を固める。
あの少年達と闘うこと。
それがあの少年と闘うことになっても。
全ての決着をつける。
ソラが階段を上がりきり、ドアの前に立ちドレスを整える。
そして、ソラは目の前にあるドアを叩いた。



シルフカンパニー 最上階

私がドアを叩くとすぐに返事が返ってきた。
返事に答え、私はドアを開ける。
目の前には二人の男。
全てを捧げる男と私の全てを捧げる男が全てを捧げる男。
私は二人に跪いた。
「お呼びですか・・・?」
「呼んでなければお前はこないだろう、しっかりしろ」
カイ様が私を嗜める。
「申し訳ありません。カイ様」
私が跪いた状態で頭を下げるのを見ると、サカキ様が一つ咳をした。
「ソラ」
サカキ様が私に声をかける。
「何ですか?」
私は命令を待つ。
少し間を取ってサカキ様は仰った。
「撤退準備を整えろ」
サカキ様の命令を聞くと、カイ様が満足そうに頷く。
命令を受けて途惑っているのはむしろ・・・私だった。
『撤退? ここから手を引くということ?』
でもカイ様が満足そうに頷いているのを見ると、この命令は正しいのでしょう。
『私には、関係のないこと・・・』
「命令、承りました」
私は頭を下げドア開けて出て行った。

「これで、いいんだな」
サカキが尋ねる。
「ああ、これでいいのさ」
カイは笑いながら答えた。



シルフカンパニー 7階

男が次に向かった先は幹部、通称『青い恐怖』が居る7階。
上から順に男は階を降りていく。
幹部の居る部屋を見つける。
男はドアを叩く。
中からの返事を男が待つ。
しばらくするとドアが開けられた。
男はドアが開いているのを確認すると部屋に入った。

男の視界に入ったのは書類に目を通す金髪の男の姿。
「何用だ?」
金髪の男は前の男を見る様子もなく、目の前の書類に目を通している。
男が跪く。
「ヒョウ様。サカキ様がお呼びであります。至急最上階にお向かい下さい」
男が告げると金髪の男は一つ溜息をつく。
「わかった。お前はハルに伝えてくれ。俺はすぐに行こう」
金髪の男が書類を纏めて前に置いた。
団服のしわを気にするよう、男が立つ。
「わかりました。では失礼致します」
男がドアを開けて、金髪の男を先に通すように横に構える。
だが、金髪の男は先に出ろといいたげに男を睨んだ。
男は睨みに負けて部屋を後にした。



シルフカンパニー 階段

『何用だ・・・?』
ヒョウは階段を『コツ、コツ』と綺麗な音を鳴らして上がっていく。
『定期報告ではない・・・。先程から上がバタバタしている事が関係あるのか・・・?』
男の顔に表情の変化はない。
『奴等か・・・?』
考えた結果、思いつくのはあの四人組。
『しかしスネオとしずかの報告より少し速い・・・。では違うのか?』
男が更に思考する。
『いや・・・予定が少し早まったという事かもしれないな』
男の考えが纏まり始める。
『可能性は・・・。一つ目、何か予想外の出来事が起きた』
だがそれではまず自分一人を呼び出すはず。
『これは違うか・・・。では二つ目、奴等が早く来た』
可能性としては低くはないがまだ時間はあるはず。
それに、その場合では緊急連絡装置を使うはずだ。
『これも違う・・・となると、戦略の変更だな』
男の考えが纏まる。
『考えられる変更・・・。一つ目、しずかとスネオの爆殺』
だがこれはサカキの人柄を考えると可能性は少ない。
それに状況を見ても、二人にはまだ利用価値がある。
『これは違う・・・。では二つ目、配置転換』
だがこの作戦はしずか、スネオ、私、カイ様、サカキ様で決めたもの。
ハルを呼びにいったということはこの選択肢も除外するべきであろう。
『これもやはり違う・・・上がバタバタしていることを考慮するなら・・・
もしや撤退か?』
男が更に考えを深めようとしていた時、社長室のドアが見える。
『もう着いてしまったか・・・。サカキ様の命令を聞かなければならないな』
男は溜息を一つついて、ドアを叩いた。



シルフカンパニー 最上階

俺がドアを叩くとドアの中から返事が聞こえる。
俺は返事に答えてドアを開ける。
目の前には二人の男。
二人とも俺の上司だ。
俺は建前上、相手の前に跪く。
「何用ですか、サカキ様」
俺の問いにサカキ様があっさり答える。
「シルフから撤退する。ヒョウ、準備を整えてくれ」
この考えに俺は素直に賛同できない。
ハルや俺がスネオとしずかの意見を聞いたのはここで決着をつけるため。
サカキ様もここで全てを終わらせると仰っていた。
自分の意思に反することをあっさり是とは言えない。
『だが表立って反論するわけにもいくまい』
俺は遠まわしな言い方で反論をすることに決めた。
「変更は御座いませんか。サカキ様」
俺が相手に真剣な眼差しをぶつける。
『多分、俺は睨んでいるように見えるんだろうな・・・』
実質サカキ様が俺を睨む所を見ると、俺は睨んでいるのようだ。
「ない。悪いがお前達の意見も聞くことはない」
この言葉で全てが理解できた。
これはサカキ様の苦渋の選択なのだと。
『無視するわけにもいかないな』
自分の気持ちに整理はついた。
ここは素直に引き下がろうじゃないか。
「わかりました。では私はこれで」
「ああ」
私がドアを閉め部屋を出る。
部屋を出る時、サカキ様がすまないと言っているような気がした。



シルフカンパニー 3階

男が最後に向かう先は、通称『赤い恐怖』という異名を持つ幹部がいる、3階。
最後ということもあって男の体力はピークに達していた。
息を荒らしながら男はドアの前に立つ。
男がドアを叩こうとしたとき部屋の中から声が聞こえた。
「何言ってんだよ! ふざけるんじゃないよ!」
幹部の叫びが聞こえる。
男はドアを叩くに叩けなくなってしまった。
折角だから男は会話を盗み聞きすることにした。

「どう言う事なんだい! 撤退なんてさあ、ヒョウ!」
あたしが電話に対して激昂する。
『俺に言われてもな・・・サカキ様の決定だ』
ヒョウの冷静な声があたしの耳に入る。
「でも、ここで全ての決着をつけるって言ってたじゃないか! 
あたし達に嘘をついたのかい!?」
あたしの怒りは収まらない。
『・・・少し落ち着け。ハル、サカキ様が俺たちのことを考えないで作戦をお
決めになると思うか?』
ヒョウの言葉を聞くとあたしは考える・・・でもあたしはすぐに考えるのをやめた。
「じゃあ、これは何だっていうのさ!?」
あたしが叫ぶとヒョウは穏やかな口調で答えてきた。
『俺たちのことを考慮してお決めなさったのさ。だから素直に作戦を受け入れろ』
「でもさあ・・・」
『もうすぐそこに団員がつくはずだ。その時には落ち着いて命令に答えるんだぞ。
では俺は準備に行く』
「・・・わかったよ、ヒョウ。ありがとうね」
あたしはヒョウの返事も聞かないで、受話器を電話に落とした。



シルフカンパニー 階段

『やっぱり、むかつくねえ! どうして撤退なんだい!』
ハルが機嫌悪そうに階段をズカズカ上る。
力余って階段をふみ損ねそうになったりするが、ハルにそんなことは関係なかった。
『乗り気がしないねえ。マスターボールを手に入れるのと
お金が目的で入ったとは行ってもねえ』
ハルは気分悪げに階段を蹴る。
シルフの床は硬いので少し痛そうだ。
だがそんな事は気にする様子を出さずに、上に歩いていく。
『結局・・・あいつ等とはここでお別れだね』
次の予定地が何処になるかはわからない。
しかしあの二人とはシルフで別れる事に幹部達の間で決めていた。
しずかとスネオにこれから逢うとしたら、敵としてだけだ。
「あたしは情が移りやすいみたいだね・・・」
ハルは一人で呟きながら考える。
『あたしは決着をつけたかったんじゃないね・・・。
 あたしはまだ・・・あいつ等と一緒に団を指揮したかったんだろうね』
ハルの願望。
だがそれも、もう終わりを告げてしまう。
『考えてもしょうがないね。とりあえず前向きに』
ハルが思考を転換させる。
『あたしはやかましく、うるさい、戦闘狂のお姉さんを装わなければいけない』
彼女は、自分の中でそう演じる理由を決めていた。
『それは・・・皆に哀しませたくないから。笑わせたいから。あたしの周りだけでも・・・』
ハルの生き様。
それを彼女は改めて確認する。
辿り着いた最上階。
ハルは目の前のドアを見て自分の演じる姿を考え、・・・終える。
『よし、行くよ!』
ハルは意気込んで目の前のドアを叩いた。



シルフカンパニー 最上階

あたしがドアを叩くと、返事が返ってきた。
あたしは冷静を装って返事をする。
部屋に入ると、目の前には気の食わない決定を出した上司が二人。
あたしは跪く必要があるが、そんな事はこの気分でやれない。
適当に聞いてみる事にした。
「サカキ様、もしかして撤退するのかい?」
サカキ様は驚いたような様子でこちらを見て、頷く。
「ああ、そうだが・・・誰かから聞いたのか?」
「いや、上がうるさいし」
あたしはヒョウから聞いたとは言わず、適当に理由をつけた。
この嘘は、あたしの幼稚な復讐だ。
「私からはそれだけだが・・・他に何か用があるのか?」
サカキ様があたしに聞いてくる。
別に取り立てて用などないが、何か聞いてやろう。
あたしはまた、幼稚な復讐をすることにした。
「あいつらはどうするんだい? あたし達にとっては邪魔な奴等だよ?」
この問いに、隣に居たカイ様がサカキ様の代わりに答えた。
「俺たちの邪魔をする奴なら・・・また何処かで出逢う。
その時に決着を着ければいい事だ」と。

感情が高ぶってくる。
そうだ、また何処かで逢う。
その時に・・・全てを終わらせる。
『それでいい。それなら・・・文句はないよ!』
手に力を入れて、拳を握り締める。
「ねえ、サカキ様。次の襲撃地は何処だい?」
あたしは笑いながら尋ねる。
その様子を見ると二人はホッとしているように見えた。



クチバシティ

「じゃあ僕達はタマムシに行くよ」
のび太が僕としずかちゃんに告げる。
「わかったわ、のび太さん」
「二人とも、気をつけてね」
ドラえもんが心配そうに僕達を見つめる。
僕は途端に笑ってみせた。
「大丈夫だって、僕達が負けるわけないよ。ねえ、しずかちゃん?」
「え、ええ、そうね」
突然の問いに動揺しているしずかちゃん。
その様子を見ると、ドラえもんが何か言いたそうにこちらを見る。
『まずいな・・・少し疑われているかも』
ここは相手を早くタマムシに向かわせるべき。
そう考えた僕は相手を急かすことにした。
「ジャイアン達ももう行ったんだし、のび太達も行けよ。ほら」
僕がそう言うとのび太がリザードンを出す。
『全く単純な奴だ』
そう思っているとドラえもんもリザードンに乗り込んだ。
よし、ここで奴等と離れなきゃ色々不味いからな。
二人を見送り、姿が見えなくなるとクロバットを出した。
「しずかちゃん、ヤマブキに行くよ」
しずかちゃんは無言でフリーザーを出す。
「スネオさん。シルフで終わりなのよね?」
「ああ、イベントではね。もうこれで僕たちが悪事を働く事はないよ」
そう告げるとしずかちゃんは少し残念そうに頷く。
『なるほど、ロケット団が好きになってるのはしずかちゃんも同じか・・・』
考えているとシルフカンパニーが見えてくる。
クロバットに下りる指示を出してシルフの前に降り立った。



シルフカンパニー エレベーター

「最上階ね」
そう言うとスネオさんが頷く。
「僕達はサカキ様の警護。皆が幹部にやられたら会う事もないよ」
スネオさんが笑う。
「スネオさん! 私たちはあくまで自分たちの命の保身が目的よ!
 仲間が捕らえられることなんか・・・少なくとも私は望んでいないわ!」
私が言葉を言い終えるとその場は沈黙状態になる。
少し時間がたつと、スネオさんが小さな声で謝った。
「ごめん、しずかちゃん」
「いえ、私も言い過ぎたわ。ごめんなさいスネオさん」
また私達に嫌な空気が流れ始めた。

「しずかちゃん」
この空気の中スネオさんが口火を切る。
「僕達、どっちにしろここで裏切ってることがばれるんだよね?」
「ええ」
スネオさんは不安そうに続ける。
「僕達・・・皆のところに帰れるかなあ?」
その言葉を聞いてスネオさんの本心がわかった。
彼は不安なのだ。
自分の居場所がなくなることが。
彼の思っていることを意識すると私も不安に駆られる。
皆に嫌われることが・・・『怖い』。
ロケット団が潰れる事も・・・『怖い』。
考えているとエレベーターが開いて、ドアが見えた。
『最後の指令。ここでロケット団は・・・』
ドアの前に立ってスネオさんと意思を確認しあい、ドアを叩いた。



シルフカンパニー 最上階

「しずか、スネオ。お前達に言わなければならんことがある」
サカキが入ってくるなり話を始める。
「お前達には悪いが・・・」
「?」「?」
サカキが言い出すのを躊躇う。
二人はこの様子にただ事ではないと感じた。
「ここから撤退する」
サカキが言葉を告げる。
二人は前の男の言っている言葉の意味が理解できなかった。

「何でだよ! 何でここから撤退するんだよ! 理由をいえよ!」
スネオが叫ぶ。
その様子をしずかはただ呆然と見ているしか出来ない。
「私たちはここに居る意味がない。だから消える。それだけの事だ」
サカキの言葉にスネオも口を閉じた。
『予想外』この言葉が二人の頭の中で回る。
二人とも、ここまでイベントが変わるとは思っていなかったのだ。
「二人とも・・・腕時計をつけている腕を出せ」
サカキの隣に居た男、カイが二人に告げる。
二人は何かわからずに腕を上げる。
その様子を見終えると、サカキが懐からスイッチを取り出す。
それを見ると、二人の顔色が一変した。
「まさか!?」「僕たちを爆破する気じゃないだろうな!?」
二人の問いにサカキは何も答えない。
「嘘・・・でしょう・・・?」
二人の様子を見て、カイが笑う。
サカキは無言でスイッチを押した。



「うわああああああ!!!」「きゃああああああ!!!」
シルフカンパニーに二人の悲鳴が響く。

だが爆音は鳴らなかった。
代わりに鳴ったのは、二人の腕から腕時計が落ちる音。
二人はショックのあまり、体から力が抜ける。
そのままその場に座り込んでしまった。
「今までご苦労だったな。スネオ、しずか」
様子を見て、カイが笑い続ける。
「笑いすぎだ、カイ。お前も・・・自分の娘を脱退させるんだろう?」
サカキが問うとカイが首を横に振る。
「違うぞサカキ、俺はクビにするだけだ。あいつはもう・・・使い物にはならん」
「どうかな? 私はお前が実力トップの幹部を、私情以外で外すとは思えないが」
スネオとしずかは話を聞く様子もない。
いや聞けないといった感じだ。
「サカキ、二人にあれを渡せ」
「ああ、そうだったな」
二人の目の前に立つサカキ。
「今まで迷惑をかけた分だ。・・・すまなかったな」
呆然としている二人の前にアイテムを置く。
「じゃあな、二人とも。次に逢うときは敵同士だ」
カイがドアから出て行く。
「さらばだ・・・スネオ、しずか」
サカキはカイの後に続くように出て行った。
シルフカンパニーに取り残されたのは呆然とした二人だけだった。



少し時間がたつと、しずかが立ち上がる。
「スネオさん、どういうことかしら?」
スネオはしずかに続くように立ち上がり髪を掴む。
「わからない・・・イベントが大幅に変わりすぎだ。一体どう言う事なんだろう?」
「私たちがロケット団に入ったせいかしら?」
しずかは手の上でモンスターボールを回す。
二人とも、落ち着いた気配はない。
「全然わからない・・・。もう、ドラえもんや出木杉に相談するしかないよ」
「そうね・・・そうしましょう!」
スネオはポケモン図鑑を取る。
自分達のやってきた事。
全てを伝えるために。

図鑑を通話すると今までのことを話した。
自分達の状況。
裏切っていた事。
ありとあらゆる全てのことを。
伝え終わると全員が最上階に来ることになった。
自分達の処分はそこで決めるらしい。
スネオが図鑑の電源を切る。
「しずかちゃん・・・これで僕たちは完全に裏切ったこともばれたんだ。
 もう、何も言い訳できないよ」
「そうね・・・」
二人に重い空気が流れる。
その時だ、ドアが開かれたのは。



入ってきたのは青い髪のシルフ社員風の男。
二人の前に来るといきなり言葉をかける。
「助けてくださってありがとうございます!」
「僕たちじゃないよ」
「私たちは通りすがりです」
社員は二人の言葉を無視して喋りつづける。
「二人で会社を救った気分はどうですか?
 何故救おうと思ったんですか?
 英雄になりたかったんですか?
 自分の力を誇示したかったんですか?
 誰かに認められたかったんですか?」
しつこい質問攻めに二人が激昂する。
「だから僕たちじゃないって言ってるだろ!」
「貴方・・・耳がないんですか」
二人の言葉に男は呆れたように肩を竦める。
「じゃあ別の質問にしようかな。
 今まで悪の組織に加担してて楽しかったかい?
 源しずかさん、骨川スネオ君?」
男の目つきが変わる。
二人は男の顔を見て怒りが消えていく。
変わりにこみ上げていく、『恐怖』
「お前誰だよ!? 何でそんな事知ってるんだ!?」
スネオはたまらず叫ぶ。
男はその様子を見ながら見下すように言葉を出す。
「鈍いなあ。ちゃんと考えたらわかるんだけどねえ。さあ問題。僕の正体は誰でしょう?」
黙っていたしずかが口を開く。
「まさか・・・貴方、未来犯罪者・・・?」
スネオが驚きながら、前の男を凝視する。
答えを聞くと、男は満足気に答える。
「正解。僕がこの世界の支配者でチャンピオンなのさ。フフフフ、アハハハハ!」



現在の状況
ドラえもん シルフカンパニー ウインディLV62 ギャラドスLV60 メタグロスLV60

          5階       ハピナス LV58

のび太   シルフカンパニー リザードンLV58 ピカチュウLV57 エーフィ LV56

          5階       カビゴン LV56 ラプラス LV50

しずか   シルフカンパニー フシギバナLV56 ニドクインLV54 ペルシアンLV53

         11階      ミロカロスLV55 フリーザーLV59

スネオ   シルフカンパニー クロバットLV57 ニドキングLV55 マルマインLV52

          11階      ガルーラ LV54 ファイヤーLV59

ジャイアン シルフカンパニー カイリキーLV56 ダグトリオLV54 ケッキングLV54

          5階       プテラ  LV54 サンダー LV59

出木杉   シルフカンパニー カメックスLV58 ピジョットLV54 フーディンLV55

          5階       ハッサム LV54 エレキブルLV56



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