ドラえもん・のび太のポケモンストーリー@wiki

ダイパ未来編 その2

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ドラえもんはフタバタウン上空にいた。
「みんなマサゴタウンを出たみたいだね」
レーダー地図を覗きながら言った。
発信した電波で地図にマークが現れるという、
ドラえもんのひみつどうぐのひとつ、トレーサーバッジ。
五人のポケッチはこのトレーサーバッジとしての機能も果たしている。
ドラえもんはこれについて、五人には黙っていた。
下手に教えてしまうと、五人のうちのだれかが嫌がって、
ポケッチを捨ててしまうかもしれない。
「黙ってするっていうのは気が引けるけど……万が一、なにか起きたら怖いからね」
ドラえもんは呟くと、どこかへと飛んで行った。

202ばんどうろ

出木杉は研究所を出てすぐ、202ばんどうろへ向かった。
しきりにポケッチを眺めては、その顔に笑みを浮かべる。
201ばんどうろで野生のムックルを捕まえ、マサゴタウンでは素敵な収穫があった。
「さてと、これからどうなるかな……」
出木杉は笑いながら呟き、202ばんどうろを抜けた。
どう見ても危ない人です。ありがとうございました。



マサゴタウンをあとにしたのび太たち。
のび太とビッパは今、一匹のポケモンと対峙していた。
その虫ポケモンはビッパのたいあたりによって体力がかなり減らされており、
まさに虫の息だった。
「えいっ、モンスターボール!」
のび太は先ほどマサゴタウンのフレンドリーショップで購入したボールを、
そのポケモンへ投げつけた。
ボールは二、三度揺れ、動きを止めた。
「やった! コロボーシ、ゲットだぜ!」
のび太はだいぶアニメの影響を受けているようだ。
ぱちぱちと拍手が響く。
「のび太さん、おめでとう」
「ありがとう。でもやっぱり、しずかちゃんのミミロルには敵わないよ」
しずかの手持ちはまだミミロル一匹のみであったが、
そのおかげか、レベルはかなり上がっているようだ。
「わたしはミミロルが可愛いから育てたいだけよ。
 ……のび太さんは違うんでしょう?」
しずかの言葉にのび太は黙り込んだ。
どことなく気まずい空気が流れる。
「……ほら、町が見えて来たわ。行きましょう」
しずかが沈黙を破り、二人はまた歩み出した。



ここは コトブキシティ
ひとがつどう しあわせのまち

「ったく……遅えなあ、スネ夫の野郎……」
ジャイアンが呟いた。
スネ夫は少し用があるから、と言ってどこかへ行ってしまった。
「すぐ終わるから待ってろっつってたくせに……」
実際のところ、十分程度しか経っていないのだが、ジャイアンは短気だ。
しかも、子分であるスネ夫が親分である自分を待たせるなど、
ジャイアンにとっては許せないことである。
すると、
「ジャイアーン!」
スネ夫が帰って来た。
「遅くなってごめん!」
「なにしてたんだ?」
ジャイアンは意外なほど冷静に尋ねた。
「ああ、このポケモンを捕まえてたんだ」
ちらりと見せたボールの中にはスボミー。
「ぼくのポケモンじゃあ、ヒョウタに不利だからね」
スネ夫はジャイアンが大して怒っていないと思っているらしい。
「さあ、クロガネシティに行こうか」
ジャイアンは取りあえずスネ夫を一発殴っておいた。

「広い町だなあ……」
のび太は独り言を呟いた。
三十分くらい自由行動にしましょう、というしずかの提案により、
二人はそれぞれ別行動をしていた。
「道がいっぱいあるけど……どこに行けばいいんだろ」
のび太は特にすることもなく、退屈そうにテレビ局の前を行ったり来たりしている。
「ちょっと早いけどポケモンセンターに戻ろう」
のび太はしずかを待っているあいだ、あやとりでもしようと思いながら、
ポケモンセンターへ向かった。



その頃のしずか。
「一体、どの道を行けばいいの……」
しずかもまた、のび太と同じ疑問を抱えていた。
コトブキシティはいろいろな場所へと繋がっている。
初心者の二人が迷うのも無理はなかった。
すると、
「あれ、しずかちゃんじゃないか」
「あなたは……出木杉さん」
しずかの前に現れたのは出木杉だった。
「フタバタウン以来だね」
「そうね。出木杉さん、どこに行ってたの?」
「まあ、いろいろとね……」
しずかの問いに出木杉はお茶を濁した。
さらに話を変える。
「ところで、困ってるみたいだけどどうしたの?」
「ああ、そうなの。実は……」
しずかは出木杉にこれまでの事情を説明した。
「そうか、なるほど。確かにここには道がたくさんあるからね」
出木杉はしずかの背後を指差して、
「ストーリー通りに進むならこの道だよ。クロガネシティってところに着くから」
「ありがとう、出木杉さん」
道を教えてくれた出木杉に、しずかは感謝の気持ちを述べた。
「気にしないで。じゃあ、ぼくも行くから」
出木杉はしずかに背を向けて歩き出した。
「そうだわ。のび太さんと合流しないと」
しずかは呟き、ポケモンセンターへと向かった。



「――というわけなの」
しずかはあやとりで東京タワーを作っているのび太に、
出木杉に道を教えてもらったことを説明した。
のび太は面白くなさそうに聞いている。
「だから、クロガネシティに行きましょうよ」
しかし、
「……やだ」
「えっ?」
「ぼく、行きたくない」
のび太は突然、我が儘を言い出した。
「なに言ってるのよ。どうしたの?」
「どうもしてないよ。ただ行きたくないだけ」
のび太はぶっきらぼうに答えた。
のび太は機嫌が悪い。原因はたったひとりの少年の存在。
「……そう、分かったわ」
しずかは呆れたように言った。
機嫌の悪さというものは、どうやら伝染するらしい。
ふだんのしずかならのび太を優しく諭すに違いなかったが、
「これからわたしはひとりで行くわ。のび太さんなんか、もう知らないから!」
怒ってひとりでポケモンセンターを出て行ってしまった。
のび太は閉まって行く自動ドアを、ただただ見つめていた。



ここは クロガネシティ
エネルギー みなぎる ばしょ

ジャイアンとスネ夫はクロガネシティジムを出た。
右手にコールバッジを握り締めて。
「……意外だったね」
ジャイアンに殴られたときにスネ夫の頭にできたたんこぶは未だに癒えていない。
スネ夫はたんこぶを擦りながら続ける。
「まあ、殿堂入りしてから三年も経ってるんだから、
 ジムリーダー交代くらい普通なんだろうけど」
「金銀のセキチクシティジムみたいなもんか」
ジャイアンにしては妥当な例えだ。
「そうだね。でもまさか、あの人がなあ……
 おかげですごく苦労しちゃったよ……」
スネ夫は呟いた。
「おい、それはもういいから早くあれたぬけみちに行こうぜ。
 だれかに追い着かれたらどうすんだよ」
このまま独走したいジャイアンはスネ夫を急かす。
「分かったよ。それじゃあさっさと行っちゃおうか」
二人はクロガネシティをあとにした。



出木杉はクロガネシティの北側の207ばんどうろで手持ちのレベルを上げていた。
「ジムリーダーが変わってるとはね……。念には念を入れとかないと」
先にジムの看板を読んでおいたらしい。
「あっ、そうだ」
ふと、出木杉はポケッチに目を落とし、なにやら呟く。
「……まだ、遠いか」
“なにか”の確認を終えた出木杉は再びレベル上げに勤しみ始めた。

しずかはすでにコールバッジを手に入れていた。
しずかはのび太と別れてから、
野生のポケモンをちぎっては投げ、ちぎっては投げ、という行為を繰り返し、
タイプ相性などものともせずにジムリーダーとの戦いに勝利したのだ。
ジムリーダーに次の町への道のりまで教えてもらった。
(せっかく出木杉さんが親切に教えてくれたのに……)
「のび太さんの……ばかばかばかっ!」
しずかはひとり叫んだ。
町の住人たちに変な目で見られたが気にも留めず、クロガネゲートへと向かった。



のび太はまだコトブキシティのポケモンセンターであやとりをしていた。
「もう、止めちゃいたいなあ……」
大好きなしずかは出木杉の話ばかり。
のび太はうんざりしていた。しずかにも、そして自分にも。
「これってリタイヤできないのかなあ……」
のび太は完全にやる気をなくしている。やる気どころか生気すらない。
「あやとりしてたってしょうがないか……」
のび太は面倒臭そうに立ち上がると、ポケモンセンターを出た。
丁度そのとき、しずかがあれたぬけみちへと向かって行ったのだが、
のび太には知るよしもなかった。
気が付くと、またテレビ局の前を彷徨いていた。
「いっそのこと、だれかがチャンピオンになるのをここでずっと待ってようかな……」
完全に駄目人間の思考である。
すると、
「お前たち、なんのつもりだ!」
「ちょっとワレワレに付き合ってもらいます」
争う声が聞こえた。
(なんだろ……)
そっと様子を見に行くと、ひとりの老人と二人の男がいた。
老人は白衣、男たちは変な服を着ている。
「そもそもお前たち、なぜこんなところに……」
「ギンガ団が解散したとでも思ったのか?」
ギンガ団と言えば、ポケモンダイパの悪の組織である。
のび太は混乱する。
(殿堂入りしたってことは、悪人は倒したんだよね……。じゃあ、なんで……)
「細かいことはあちらで教えてあげます。さあ、来るのです」
ひとりの男が老人を無理やり連れて行こうとした。
すると、



「ちょっと待った!」
男たちと老人は一斉に声のした方を向いた。
「なんだかよく分かんないけど、その人を連れて行かせはしないぞ!」
ヤバい雰囲気を感じ取ったのび太が咄嗟に声を上げてしまったのだ。
「なんだ、このお子さまは……。ナナカマド博士、あんたの知り合いか?」
ナナカマドは首を横に振る。
「どのみち、ワレワレに盾突いたのです。おしおきさせてもらいます」
二人の男はケムッソとズバットを繰り出した。
のび太もビッパとコロボーシを繰り出そうとして、
「行け、ムックル!」
別の声に阻まれた。
「野比くん、ぼくも加勢させてもらうよ」
「出木杉……」
今ののび太にとって、ありがたいようなありがたくないような、
そんな人物が来てしまった。
「またお子さまか! ズバット、きゅうけつ!」
ズバットがムックルに噛み付く。
呆気にとられていたのび太は慌ててビッパをボールから出した。
「ビッパ、たいあたり!」
たいあたりをくらったズバットはムックルから離れる。
「ケムッソ、ビッパにどくば……」
「ムックル、つばさでうつ!」
効果抜群な技を受け、ケムッソは倒れる。
「よくもやってくれたな! きゅうけつしろ!」
「今だ、たいあたり!」
ビッパは向かって来たズバットにたいあたりをくらわせ、ズバットは瀕死になった。
「おのれ、またしてもお子さまごときに……」
「待つのです。ここは一旦、引くのです。ボスに報告しなくては……」
そう言うと、二人の男はあっという間に去って行った。



「あいたた……」
「ナナカマド博士、大丈夫ですか?」
出木杉がナナカマドに声をかけた。
「ああ、平気だ。それよりもなぜギンガ団が……」
それを聞きたいのはのび太と出木杉の方だった。
ギンガ団の野望は主人公によって三年前に費えたはずなのだ。
「……大丈夫ですよ。今度会ったら、またぼくが止めますから」
「そうか……。ところでそっちの少年、きみの名は?」
話を振られ、のび太はびくっと体を震わせた。
「ぼ、ぼく? ぼくはのび太です」
「ノビタか……。助かった、ありがとう」
ナナカマドはいつものぶっきらぼうな顔のまま、のび太に告げた。
その言葉は、今ののび太にとってはなによりも嬉しいものだった。
「さてと、わたしはマサゴタウンに戻ろう。デキスギ、ノビタ、気を付けるんだぞ」

「博士もお気を付けて」
ナナカマドは202ばんどうろへと歩いて行った。
「野比くん、きみもクロガネシティに行ってバッジをもらうんだろ?」
「ああ……うん、まあ」
のび太はうっかり肯定してしまった。
「クロガネシティはこの道を行けば着くから。
 それじゃあ、ぼくはそろそろ行くよ。じゃあね、野比くん」
出木杉はあれたぬけみちへと走って行った。
「行っちゃった……」
ギンガ団との戦いでは助けてくれた。次にどこへ行けばいいかも教えてくれた。
(やっぱりしずかちゃんの言う通り、出木杉っていい奴なのかも……)
そう思うと、今度はしずかに対する罪悪感が湧いてきた。
「しずかちゃんに会って、謝らなきゃ……」
のび太は先に進むべく、クロガネシティへと向かった。



「まだコールバッジを持ってないのはのび太くんだけか……」
ドラえもんが溜め息交じりに呟いた。
のび太は先ほど、やっとクロガネシティに到着したのだ。
他の四人はとっくにバッジを手に入れたと言うのに。
「はあ……先行き不安だなあ……」
ドラえもんはタケコプターを頭に付け、またどこかへと飛んで行った。

ソノオタウン
あざやかに はなかおる まち

一番乗りで辿り着いたのはやはりこの二人だった。
「ここにはジムはないよな? だったらさっさと進もうぜ」
「ちょ、ちょっと待ってよ。一旦、休もうよ……」
ジャイアンとスネ夫ではスタミナにかなりの差がある。
もともと運動が得意であるジャイアンならいざ知らず、
筋金入りのお坊ちゃまであるスネ夫にとってはかなり厳しかった。
「ったく、しゃあねえなあ……」
ジャイアンは頭をぼりぼりと掻いた。
「んじゃ、ちょっと休憩にするか。おれも買い物とかしたいし」
ジャイアンの優しさにスネ夫は感動した。
多分、最初にここに来たときより感動していただろう。
「もちろん、買い物はお前のおごりな!」
お前のものはおれのもの。おれのものはおれのもの。
スネ夫は少しでもジャイアンに感謝したことを激しく後悔した。



二人より少し遅れて到着したしずかは、ミミロルと一緒にソノオのはなばたけにいた。
もらったあまいミツを木に塗り、ポケモンが来るのを待っている。
しずかののび太に対する怒りはまだ収まりきっていないようだ。
ミミロルのレベルがさらに上がっていることが、それを物語っている。
「そういえば……あっちにたにまのはつでんしょっていう場所があるのよね。
 行ってみようかしら」
しずかは一旦、ソノオのはなばたけを出て、たにまのはつでんしょへと向かった。

出木杉はばんどうろで手持ちを増やしていた。
「ポニータとブイゼル……。こんなもんでいいかな」
出木杉の手持ちはバランスが取れている。
こちらに来たときから、出木杉の中では最終パーティが決まっているのだ。
「それにしても」
出木杉は呟いた。
ギンガ団の男はボスに報告しなくては、と言っていた。
ギンガ団のボスと言えばもちろんアカギだが、
アカギはあの一件以来、行方不明であるはずだ。
ならばボスとはだれのことだろう。アカギが戻って来たのか、それとも……。
「って、これじゃあ堂々巡りだ」
現在は情報が少な過ぎる。考えていてもしょうがない。
「それじゃあ、念には念をと」
出木杉はなるべくだれにも見つからないように新たな手持ちのレベル上げを始めた。



「たのもう!」
のび太はクロガネシティジムに入った。
(ええと、クロガネシティのジムリーダーはヒョウタだよね……)
のび太の数少ないダイパ知識。アニメのおかげだ。
しかし、
「ようこそ、クロガネシティジムへ」
「えっ……ヒョウタじゃない……」
のび太が戸惑うのも無理はない。
目の前にいる男を、のび太はまったく知らないのだから。
「ええと……だれですか?」
のび太の様子を見て、笑いながら男が答える。
「わたしはクロガネシティジムリーダーのゲンだよ。
ヒョウタくんがここのジムリーダーだったのは去年までの話だね」
ジムリーダーは様々な理由で交代するときもあるのだ。
「少年、看板くらいは読んでおくべきだったかな」
のび太は恥ずかしくなり、顔を赤らめる。
それを見てゲンはまた笑う。
「ごめんごめん。……きみの名前は?」
このゲンの言葉で我に返り、
「の、のび太です」
「ノビタくんか。それじゃあ、準備はいいかい?」
のび太はこくりと頷いた。
「バトル、スタート!」
のび太はコロボーシを、ゲンはイシツブテを繰り出した。
「イシツブテ、ステルスロック!」
先手を打ったのはゲン。
岩がまきびしのようにばらまかれ、コロボーシの行動と交代を不自由にする。
「よし、そのままたいあたり!」
コロボーシは攻撃を避けられなかった。
「コロボーシ、耐えるんだ!」
なんどもたいあたりをくらい、コロボーシはぼろぼろになっていく。
(……? 今の攻撃は避けられたはず……。まるでわざとくらって……!)



そこまで考え、ゲンは気付いた。
「イシツブテ、コロボーシから離れ……」
「遅い! コロボーシ、そろそろ返してやれ!」
コロボーシは最初からずっとがまんをしていたのだ。
コロボーシにダメージを倍返しされ、イシツブテはあっけなく倒れた。
「なかなかやるね……。でもこいつはどうかな?」
ゲンは瀕死になったイシツブテを引っ込め、
「行け、リオル!」
リオルを繰り出した。
(あれは……出木杉と同じポケモンだ)
「戻れ、コロボーシ」
のび太はコロボーシをボールに戻し、ビッパを繰り出した。
「ビッパ、たいあた……」
「リオル、でんこうせっか!」
のび太が指示を出すより早く、リオルはビッパに攻撃した。
(でんこうせっかは先制技か……。なら、ここはあえて)
「ビッパ、まるくなる!」
ビッパは防御力を上げるために体を丸める。
「一度や二度のまるくなるじゃあ、こいつの攻撃は防げないよ。
 リオル、でんこうせっか!」
「もっとまるくなる!」
丸まったビッパにリオルの攻撃が当たったように見えた。
「終わったかな……なに!?」
しかし、ビッパはリオルの攻撃を受け留めていた。
「ビッパ、そのままリオルごところがるんだ!」
ビッパはリオルを押すように転がる。
ほどなくして、ころがるに耐え切れなくなったリオルは倒れた。



「ばかな……あの状態でリオルの攻撃を耐えるなんて……」
ゲンは納得がいかないようだ。
「一体、どうしてだい?」
「簡単ですよ。ぼくのビッパの特性がたんじゅんなんです」
たんじゅんは能力上昇技の効果を普段より高める特性だ。
そのおかげでビッパはリオルの攻撃を耐えることができたのだ。
「なるほど……完全にわたしの負けだよ。
 さあ、このコールバッジを受け取ってくれ」
のび太はコールバッジを手に入れた。
「……ところで、つかぬことをお聞きしますが」
のび太がゲンに尋ねる。
「髪が二つ結びでピンクの服を着た可愛い女の子、知りません?」
しずかのことである。
ゲンはのび太の問いに答える。
「ああ、来たね。なんか怒ってたみたいだけど。すごい気迫だったなあ」
のび太は早く謝らなきゃ、と思った。
「その子ならソノオタウンに行くためにあれたぬけみちに……」
ゲンがそこまで言ったとき、物凄い音がした。
爆音、そしてなにかが崩れる音。
「今の音は……まさか」
ゲンはのび太の腕を引きながらジムを出ると、クロガネゲートへと走る。
「えっ? ど、どうしたんですか?」
のび太が慌てる。
「すまない、時間がないんだ」
ゲンが続ける。
「今の音はあれたぬけみちの方からしたんだよ」
のび太はゲンの言葉の意味をすぐには理解できなかった。



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