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爽やかに吹き抜ける風。生い茂る木々の匂い。少し遠くを流れる川の水音。
現実世界でいう『バイ』といったところだろうか。
森の開けた場所に、のび太とコナンは立っていた。
「すげぇな…」コナンが言った。「ゲームの中とは思えねぇくらいリアルだ…」
「そうだね…」のび太は同意して頷く。
踏み締める土の感触。空から照らす太陽の眩しさ。
その余りのリアルさに、2人は一瞬これがゲームだという事を忘れていた。
そして、これが『プログラム』の最中だということも。

襲撃。
それは、余りにも突然だった。
何かが風を切って進むような、ヒュンという風切り音と共に、
2人の足下に無数の針が突き刺さった。

「…っ!しまった、誰かの攻撃だ!」コナンが叫んだ。
「えぇぇ!一体なんで!」慌てふためくのび太。
コナンはその手を掴み、森の方へ向かって一目散に駆け出した。
「バーロー!これは生き残りがかかってるゲームだって忘れんな!」
少し滑る地面に注意しながら、森の中に入った。
2人は、バイとは違い暗いジメジメとした森を駆け抜ける。
時折後ろから聞こえる、何かが木に刺さる音が、追跡者がいる事を物語る。



逃げ切れるのか?コナンの中に募る、不安と焦り。
それでも2人は、走り続けるしかない。
突然、視界が光で眩む。2人はいつしか森を抜け開けた場所に出た。
目の前には勢いよく流れる大きな川。川幅も広く、泳いで渡る事も出来そうにない。
そして、その先には大きな音を響かせる滝があった。
いつしか攻撃の手が止まっている。それに気付いたコナンが、
リュックをゴソゴソと漁り始めた。
「一体どうするつもりなの?」のび太が息を切らせながら尋ねる。
「相手がポケモン使ってくるなら、こっちもポケモン出して対抗するしかねぇだろ!」コナンが声を荒げる。
なるほど、とのび太は感心しリュックからボールを出した。
「ポニータ!」「ガーディ!」
こっちには遠距離攻撃は無いのだ、闇雲に手を出すわけにはいかない。
コナンはナビフォンを握り締め、茂みの奥に目を凝らした。
不意に、後方の少し離れた空が眩い緑色の光を発した。
「なんだ?あの光は!」
その声は、茂みの中から聞こえた。それをコナンは聞き逃さなかった。
「そこか!ポニータ、でんこうせっか!」



ポニータの攻撃は、正に電光石火。目にも止まらぬ速さで、
木陰に隠れていた少年とスピアーに体当たりした。
「攻撃の正体はコイツのどくばりか…」
コナンは冷静に今の状況を確認した。敵は1人、ポケモンはスピアー。

そこで、ある事に気付いた。
「進化ポケモンは配られない筈だ。なんで君はスピアーを持ってる?」
茂みから出てきた少年に尋ねるコナン。
「ふん!ゲームが始まって朝からずっとレベル上げしてたんだい!」
少年の言葉に、コナンは疑問に思った。
朝から?今は始まったばっかりで、ナビフォンの時計は午後2時を指している。
「ボーっとするな!スピアー、どくばりだ!」
スピアーの攻撃は、コナンではなくのび太に向かって放たれた。
「危ない!」コナンが叫ぶ。
「うわぁぁぁ!もうだめだぁ!死ぬぅぅぅ!」のび太は泣きながら目を瞑った。
次の瞬間、のび太の体は宙を舞っていた。
別にのび太が飛んだ訳ではない。
ガーディが身を呈して主人であるのび太に体当たりし、攻撃を回避させたのだ。
しかし、スピアーの攻撃はそのままガーディに当たってしまった。
「ガーディ!」着地したのび太がガーディに駆け寄る。
かなりのダメージと毒を受けたガーディは、ひどく弱っている。



「スピアー!みだれづき!」少年が続けて命令する。
「させるなポニータ!でんこうせっか!」
コナンの命令でポニータが走りだそうとするが、
それは突然現れたバリアーによって妨害されてしまった。
「ナイスだ、カヤ!」そう言って少年が振り向いた先には、
木の陰に隠れていたカヤと呼ばれた少女が、バリヤードと共に立っていた。
しまった!敵は1人じゃないんだ!
コナンが理解したと同時に、スピアーの攻撃がガーディにクリーンヒットした。
ガーディが、スピアーの攻撃の作用でのび太に激突する。
「うわぁっ!」水音と共に、のび太とガーディが川に落ちる。
「のび太!」コナンは叫び、咄嗟に助けようとするも
それはバリヤードのバリアーによって阻まれる。
「くそっ!マズい…」
2対1。レベルの差もある。コナンの置かれた状況は絶望的だった。

そして水中。
のび太は、ガーディの体をしっかりと抱き抱えている。
「ガーディ、今度は僕が君を守るよ…」力強くガーディを抱き締める。
滝は、もう目前に迫っていた…

プログラム1日目
[残り200名・100ペア]



絶対絶命。
後方を流れる川、大きな岩を背に、前方には2人の敵。
「ちっ…」舌打ちするコナン。
─早い、早すぎる。プログラム開始初日でゲームオーバーだなんて…
そんな思いのコナンを余所に、少年はスピアーに命令を続けた。
「スピアー、いとをはく!」
スピアーの攻撃で、コナンは岩と糸に四肢の動きを封じられる。
その時、コナンはある事に気がついた。
─あの少年…目が黒すぎる?いや…もうそんな事は関係ないか…
コナンは、目を閉じる。
─策は無し、身動き不可能、レベルの差。勝てる見込みが…
コナンが諦めかけた、その時の事だった。
コナンの頭上から声が聞こえてくる。
「─げんしのちから!」
そして、辺りに響く凄まじい轟音。
「!?」突然の事態に戸惑うコナン。
その時、目を開けようとしたコナンの前に人の気配がした。
「目を開けないで、そのまま。もう、大丈夫だ。」
謎の人物の声。それに続いてさっきの少年の声がした。
「お前らは…何もノ…ウゥ…ウガァァァ!!」突如叫ぶ少年。
辺りの空気が変わったのが、目を閉じていたコナンにも感じられた。



「やっぱり…ヤツの影響が出てたのか。」謎の人物が呟く。
─ヤツ?一体なんの事だ?
心の中で疑問に思うコナン。すると、それに答えるように謎の人物が言った。
「いずれ…わかる時がくるよ。」
「!?あんたは一体…」
何者なんだ?コナンがそう尋ねようとした時、また上から声がする。
「終わったよ…」
違う人物の声。
この場で一体何が起きているのか。それを理解しているのは、
2人の謎の人物だけだった。

いつの間にか、辺りは静けさを取り戻している。
謎の人物が何かを呟き、何かが弾けるような音がした。
「目を、開けていいよ。」
謎の人物に促され、目を開けるコナン。
「なっ!?一体…これは…」そして、だんだんとコナンの意識は遠のいていった…

岩にもたれかかるように眠るコナンの隣りに、気を失っているのび太が寝かされた。
その場で唯一意識を持っていたのは、のび太のガーディ。
そのガーディに、謎の人物の1人が近寄る。
「これを持って。君の主人に渡すんだ…」
そう言って謎の人物はガーディに『なにか』を咥えさせる。
「よし…行こう!」
2人の謎の人物はそれぞれポケモンを繰り出し、どこかへ走りさって行った。



─ん…なんか…くすぐったい…
何かが顔を舐める感触に、顔を歪める。
「う…んん…はっ!こっ、ここは…?」
のび太が目を開けバッと起き上がる。
目の前には嬉しそうに尻尾を振るガーディ、隣りには気を失っているコナン。
のび太は、ガーディが顔を舐めた事で目を覚ましたのだった。
「僕たち…助かった…の?」
のび太がそう言ってガーディを見ると、ガーディがのび太に飛び付いた。
─あの時、一体何があったんだろう?
目前にまで滝が迫っていた。その事は覚えているが、どうやって助かったのか、
のび太にはまるで記憶が無かった。
考えてもしょうがない事だと、のび太は開き直る。
─死ななかった。それだけでいいじゃないか。
そんな事を考えていると、隣りのコナンが目を覚ました。

結局2人とも、あの危機的状況からどうやって助かったのか、全く思い出せなかった。
そんな中、2人のナビフォンから軽快な電子音が鳴り響く。
のび太がナビフォンを手に取り、慣れない手付きでメールを開く。
その内容に、のび太とコナンは息を呑んだ。
─脱落者、NO.48ジュン・NO.148カヤ─

プログラム1日目
[残り198名・99ペア]



最初の脱落者。
2人のナビフォンに入ったその事を知らせるメールは全員に発信され、
その情報は大部分の参加者に少なからず衝撃を与えていた。
示された『現状』。
しかし反面、その脱落者の『不可解な点』に疑問を持つ人物も何人か居た。
その真相は、後に明らかになる。

コナンとのび太が川の流れる場所で気がついてしばらく。
2人の手の中には、それぞれ自分の物ではない四次元リュックがある。
先のジュンとカヤの物だ。
「これは…どうしたらいいんだろうね?」のび太が言う。
このリュックは、ジュンとカヤが居たであろう場所に落ちていたところを拾った。
「とりあえず中を見て、使えそうな物はもらおう。
物はあるにこした事はない」とコナン。
それもそうだとのび太も同意し、2人はリュックの中身を出した。
いくつかは使用されたであろう回復アイテム、
ほとんど手を付けられていない携帯食料。モンスターボール。
「とりあえず中身は全部使えそうだな。」そう言ってコナンが
回復アイテムに手をつけた瞬間。
ポン、と音がして、手をつけたアイテムが一枚のカードになった。



「なんだ?なんかの機能か?」コナンは冷静にカードを見た。
『いいきずぐすり』と書かれたカードに、
傷薬のグラフィックと効果が表示されている。
「ポケモンのカードゲームみたいだね。」それをみたのび太が言う。
その時、またナビフォンから電子音がした。
さっきのメロディとは違う、短い音だった。

[カード化についての説明。]
◎この説明は『カード化したアイテム』を手に入れた参加者に自動配信されます。
▼〈カード化〉について。
このプログラム内で手に入れたアイテムに関しては、
手に入れた時点でカード化されます。
通常アイテムに限らず、リタイアした参加者のアイテム、
川辺で手に入れた水などをカード化し、リュックに入っている
『カードケース』に保存出来ます。
カード化されケースに入ったたアイテムは、ケースから取り出し『使用(ユーズ)』と
唱える事でカード化を解除出来ます。
進化アイテム等の場合
(例)ピカチュウに対してカード化された『かみなりのいし』を『ユーズ』した場合。
その時点でアイテムの効果発動。となります。
尚、カード化されたアイテムもポケモンに持たせる事が可能です。



─続き─
▼ポケモンについて
◎リタイアした参加者のポケモンに関しての説明です。
プログラム中で自分の他の参加者がリタイアした場合、
残されたポケモンもカード化されます。
この〈ポケモンカード〉もカードケースに収納が可能です。
カード化されたポケモンを使用したい場合、『解放(リリース)』と
唱える事で使用出来ます。
カード化されたポケモンが使用出来る技は、カードに表示された技のみです。
ポケモンのカードには〈使用限度数〉があります。
(例)ピジョン◎使用限度数1・使用技『ふきとばし』の場合。
野生で現れたラッタに対して『ピジョン(ふきとばし)』をリリース。
その時点で効果発動。ピジョンの使用限度数は1なので、カードの効力は消えます。
同じポケモンカードでも技によって使用限度数が変化します。
限度数が複数のポケモンは、技を使用するとカードに戻ります。
効力の消えた(使用限度数を越えた)カードは消滅します。
▼追記。
◎このプログラムでは、〈カード化〉されたアイテムやポケモンを使用して
クリアする場所が多数あります。
◎"カードケース"はリュックにある冊子です。
[説明終わり。]



その説明を一通り読み終えた2人は、リュックの中身を一通り回収し立ち上がった。
「つまり、…ほどに有利で…戦略が…か…」ブツブツと呟きながら、
脳内でいろいろ考えるコナン。

あれから1時間程歩き続け、2人はまた森の中の開けた場所に出た。
少しばかり久しぶりに感じる太陽の光に照らされるそこには、
10メートルほどの間隔を空けて、2つの祠が並ぶ。
「2つの祠か…とりあえず調べてみようぜ。」そう言いながら祠に近寄っていくコナン。
─だんだん主導権握られてるなぁ…。
のび太はやっと気付いてきたが、あえて口に出すことはしなかった。
2人は始めに、右にある祠を調べ始めた。
石灯籠のような形をした祠。その祠には、沢山のヒビが入っている。
そして、その祠の中心部には1枚のカードが置かれていた。
───
キーアイテム
『扉の鍵〈O〉・使用限度数(2)』
効果◎島をわたる事が出来る扉の鍵。“ユーズ”で使用出来る。
───
どうやら、この鍵を使用すると何かが起きるらしい。
「ユーズ。」コナンはためらう事なく唱えた。
「いきなり使っちゃうの!?」のび太が言い終えるより早く、
2人の前に重厚な扉が現れた。
そして、カードを持っていたコナンの手には金色の鍵が握られている。
カードのグラフィックと同じ物だ。



「この鍵穴にこれを…」鍵穴に金色の鍵を差し込もうとするコナンの手を、
のび太が止めた。
「すぐ…行っちゃうの?」あからさまに不安そうな顔ののび太。
「この…扉の向こうに何があるのかわかんないんだよ?不安じゃないの?」
「不安だよ。」のび太の問いに、コナンは間髪入れずに答える。
コナンは少し息を吐き、続けた。
「不安だけど、進むしかないじゃない。僕達は、この『プログラム』を
クリアしなきゃいけないんだからさ。」
コナンの真剣な目にのび太は押し黙ってしまう。
「それに…これが例の『扉』かもしれないでしょ?」そんな甘い事はないだろうけど、
と後に呟くコナンの手は、すでに扉に鍵を差し込んでいた。
ギィィ─と軋むような音と共に扉が自動的に開いた。
扉の向こうには、始めにも体験した白い光が光っている。
「行くよ、いい?」コナンが促すようにのび太を見ると、のび太もコクリと頷いた。
また、2人は光の中へ飛び込む。

まるで2人が飛び込んだのを確認したように、扉が閉まる。
そして、扉はその存在を隠すようにその場から消えて無くなった。

プログラム1日目
[残り198名・99ペア]