ドラえもん・のび太のポケモンストーリー@wiki

ドラーモン作大長編 その15

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デボン・コーポレーションの御曹司で元ポケモンリーグチャンピオン。
ダイゴの静かな中に見え隠れする威圧感に、さすがのアスナも動揺を隠せない。
「厄介な奴が現れたわね。しかしこのグラードンに勝てるかしら?」
ダイゴはフライゴンを自らの傍に呼び戻す。
「さて少しだけ頑張ってもらうよ、フライゴン」
「2対1でいいのかしら、後で負けた言い訳にされちゃたまらないんだけど」
アスナはユレイドルとグラードンで牽制する。
しかしダイゴは顔色一つ変える事無くその言葉を受け流している。
その態度に気分を害したアスナは無言で2体のポケモンを促す。
それに呼応してユレイドルのソーラービームとグラードンの大文字が発射された。
光と炎が混ざり合い、我先にとフライゴンに炸裂する。
「ふん、他愛もない」
そう言うアスナの余裕の笑みも、その直後に砂煙から見える光景にかき消される。
「アスナ君、力押しの戦い方でチャンピオンを倒せると思っているのか?」
フライゴンが展開した防御フィールドが全ての攻撃を弾いている。
「ちっ……まもって攻撃を防いだのね。しかしこちらの攻撃は途絶えることはないわよ」
守るは連続で出すとその成功率は落ちてしまう技だ。
次の攻撃は防げない。



二回目の大文字とソーラービームがチャージされ、即座に発射される。
しかしダイゴは全く動じない。
「単調な攻撃だ……甘いな」
フライゴンはその身を地中に沈め、攻撃を回避した。
「次はあなをほるで逃げたっての……チャンピオンの戦い方ってのは
その場しのぎの逃げの一手なのかしら?」
アスナが笑う。
そう、このターンの攻撃を回避したとて、
次に地中から現れれば無防備な姿を晒すことになる。
その時点でアスナの勝利だ。
2体のポケモンはその瞬間を逃すまいと攻撃態勢で構えている。

地中がわずかに盛り上がった。
『来る!』
アスナがそう思った瞬間、フライゴンが地中から飛び出し、グラードンに突撃する。
ダメージを受けたグラードンは思わず怯んで攻撃をやめてしまう。
「グラードン、何をしてるの!」
「王者の印の効果があったようだね。まぁグラードンの攻撃は受けるつもりだったが」
しかしユレイドルのソーラービームの照準はフライゴンを完全に捉えていた。
「けどソーラービームは直撃ね、吹き飛べっ!」
しかしアスナのその歓声を無視するかのように
ユレイドルはソーラービームのチャージを続けている。



「そんな馬鹿な……チャージが終わっていないなんて!」
アスナの疑問にダイゴが答える。
「私が何の策もなく時間を稼いでいたと思っているのかい?」
ダイゴの背後で爆発が起こる。
その爆風の中から現れたのはなんとレックウザとボーマンダ。
「ナギのレックウザ……まさか!」
そう、レックウザの特性はエアロック。
全ての天候による効果をリセットしてしまうのだ。
ナギも目の前の状況を見て苦い顔をする。
「ここは…アスナのところまで誘導されたというの」
伝説のポケモンは互いがその特性を侵し合う存在、
だからナギ達もわざわざ離れて戦っていたのだ。
ジャイアンがダイゴの元に駆け寄る。
「ダイゴさん、作戦大成功だぜ!」
「ご苦労さん、タケシ」

ナギとアスナは合流し、二人の前には3体のポケモン。
対するジャイアンとダイゴはボーマンダとフライゴン。
「3対2、天候をリセットしてもそちらの不利は変わらないようね」
アスナの言葉にニヤリとするジャイアンとダイゴ。
「3対2?違うぜ、こっちも3人だ!」
ジャイアンの声と共に空から現れたのは流線型の美しいフォルムの赤白のポケモン。
ダイゴ達の背後から現れたのは……

「3人目は僕だっ!」

「の、ノビタ!!」



対峙する6体のポケモン。
まず先に動いたのはダイゴのフライゴンだ。
「グラードンにすなをかけろ!」
フライゴンが砂を巻き上げ、グラードンの目をつぶす。
「まもる、あなをほる、すなかけ……完全にサポートに特化してるわね」
アスナは憎々しげに睨みつける。
グラードンの大文字は命中率に若干の不安があるのだ。
そして地震は彼らのポケモンに通用しない。
残る技は眠ると噴火しかないのだ。
続いてジャイアンのボーマンダが行動した。
「レックウザにドラゴンクロー!」
ボーマンダのドラゴンクローがナギのレックウザに命中する。
攻撃を受け、激しくのたうちまわるレックウザ。
「ど、どういうこと?」
ナギが焦るのも無理はない。
なぜかそのダメージ量が最初の遭遇時に食らった一撃よりかなり大きいのである。

『何かがおかしい』

アスナもレックウザの苦しみ様を見て何かがおかしいことに気がついたようだ。
しかしそれを考える間もなく、のび太のラティアスが波状攻撃をかけてくる。
「よし、トドメのりゅうのいぶきだ!」
ナギのレックウザが身構える。
いくら効果抜群とはいえ、竜の息吹のダメージなら
なんとか耐えることができるはずだ。
これを耐えれば、後はこちらの圧倒的な攻撃力で
敵の主力であるラティアスを撃破してしまえばいい。



しかしナギの計算は脆くも崩れさった。
ラティアスから放たれた衝撃波は
その一撃でレックウザの体力を全て奪ってしまったのだ。
「きゃああああああっ!」
乗っていたナギごとその巨体が落下していく。
瀕死になったレックウザはマスターボールに格納され、
体を横たえるナギだけが取り残された。
「ううっ……竜の息吹があんなに攻撃力があるはずないわ……」
伝説のポケモンの1体であるレックウザがわずか1ターンで撃破されてしまった。
「対策さえしていれば例え伝説のポケモンというど、どうということはない」
ダイゴは諭すように言い放った。
レックウザが撃破されたことで再び日照りがその場を支配する。
しかし、たとえソーラービームが連射できたとしても
この不利な状況と不可解な謎は変わらない。
『ここはツツジに任せて、一旦退却すべきね』
アスナはナギに目配せすると、グラードンに地震を命令する。
「うわぁっ!」
ポケモン達は浮遊しているので影響はないが、
のび太達はその揺れの凄まじさに一瞬注意を逸らしてしまう。
その隙にアスナとナギはいずことなく姿を消してしまった……



目覚めのほこら。
最深部にいるのはヒースとの戦いを回避したツツジ。
目の前には人ひとりが通れるほどの穴があいている。
「静かになったわね……どうやら他の女達は全員失敗した、ということかしら」
しかし賢明な出木杉はさらにもうひとつ手を打っていた。
ツツジのポケモンでルネの地盤を破壊するという最後の作戦だ。
その為にレジスチルとレジアイスはすでに街の東西の地下に潜らせてある。
「さて、景気よく吹き飛ばしてフィナーレとしましょうかしら」
しかし、2体のレジ系ポケモンが掘った穴から二つの光が現れ、
ツツジのボールに収められてしまう。
「レジアイスとレジスチルが瀕死になっている……」
さっきのは2体のポケモンが倒され、戻ってきた光。

「ふふふ、ボクはルネジムでの不自然な撤退からずっと君をマークしてたのさ……」

「……誰かしら?」
穴から現れたのは特徴的な髪型をした一人の少年だ。
「あんたは……たしか前に半殺しにした……」
そう、スネオという少年。
元・出木杉様の仲間だったグループの一員だ。
「出木杉も頭はいいんだけど、作戦にズルさがないよね」
スネ夫がいやらしい笑みを浮かべる。
そう、今回の戦いはダイゴとスネ夫の共同立案だったのだ。



「出木杉様と頭脳で張り合おうとは無謀もいいところね」
「そのご自慢の出木杉様の作戦はことごとく失敗してるじゃないか」
口の減らないスネ夫の態度に怒りを顕にするツツジ。
「出木杉様の作戦が失敗したのはあの女たちが腑甲斐なかったからよ……
でも私は違うわ」
「違う?」
スネ夫の疑問にツツジは無言で親指で合図する。
スネ夫がその指の示す先を目で追うと、そこにはぽっかりと穴が空いていたのだ。
「……まさかっ!」
「そう、そのまさかよ」
スネ夫はツツジのしたことを瞬時に理解した。
「倒されたレジロックを復活させていたのか……」
「ご明答」
しかもレジロックが掘った先はルネジムの真下だ。
あの位置で大爆発されれば避難所であるジムは湖に沈んでしまう。
「レジロックが瀕死だと思い込んでいた考えの浅さが敗因ね、ふふふ」
勝ち誇るツツジとガタガタと震えるスネ夫。
しかし、スネ夫の動きは突然止まった。
「『敗因ね、ふふふ』だって。ぶはははは!」
「な、何がおかしいの!」
そういうツツジの背後の穴から突然レジロックが弾き飛ばされてくる。
「な、なにッ!」

「フロンティアブレーンが全員上にいると思い込んでいた考えの浅さが
敗因じゃの、ふぉふぉふぉ」
そこにいたのはケッキング、そしてパレスガーディアン・ウコンだった。



「う、裏切り者のウコン…まさかこんな隠し玉がいたとはね」
倒されたレジロックを回収するツツジ。
スパイだったウコンを戦いに出すとは想定外だった。
『こいつらの人の良さには反吐が出るわ』
しかし今回は結果的にそのウコンが作戦を妨害した。
「今回は引き下がるしかないようね……まぁ、ここにウコンがいるなら
上はその分手薄ということ……」
ツツジは穴抜けの紐を使うとその場から姿を消した。

「上が手薄……まだ何かあるっていうのか?」
スネ夫はツツジの最後の言葉がひっかかっていた。
おそらく地上の戦いはこちらの勝利で終わっているだろう。
ルネシティの壊滅という出木杉の目的は阻止できたはずだ。
考えが煮詰まり、スネ夫は頭をかきむしる。
「大丈夫かの?」
心配するウコンを見て、スネ夫はある考えが浮かび上がる。
「そ、そうか…まずいぞ!」
スネ夫は急いで穴抜けの紐を使う。
スネ夫は出木杉の真の目的に気が付いたのだ。
そう、ルネシティの破壊などついでの事、陽動だったのだ。
「出木杉の真の目的はウコンさんの失敗の穴埋め、そう…しずかちゃんの誘拐だ!」



ルネシティ。
再会したジャイアンとのび太はがっしりと握手をかわしていた。
「ジャイアン、助かったよ」
「おう、心の友のピンチには必ず駆け付けるぜ!」
そんな二人の肩をダイゴが叩く。
「よくやったな、二人とも」
二人がダイゴの顔を見上げた瞬間、事件は起こった。

「きゃああああああーーーっ!」

悲鳴の上がったほうを向くと、フロンティアブレーン・ジンダイと、
その肩に担ぎあげられたしずかが目に入った。
「すまんな、彼女はいただいていく」
「しずちゃんっ!」
ジンダイはチルタリスを出すと、その背に乗って空に飛び上がっていく。
「のび太さん、のび太さんっ!」
「しずちゃん!」
次の瞬間、凄まじい速度でチルタリスは空の彼方に消えていった……

すぐに後を追おうとしたのび太はダイゴに止められた。
のび太の最大の主力であるラティアスもかなりのダメージを負っている。
今追い掛けて出木杉にでも遭遇すれば、まず勝てないだろう。
出木杉に勝てる唯一の希望であるラティアスを持つのび太を、
失うわけにはいかないのだ。

焼け落ちた建物から黒煙が上がっている。
多大な犠牲を払いつつ、そしてしずかをさらわれたが、
のび太達はルネを守り切ったのだ。



その夜。
海上で発見されたドラえもんはポケモンセンターで治療を受けているが、
まだ回復の見込みはない。
そしてのび太、ジャイアン、スネ夫の三人は再会の喜びもなく、
しずかを誘拐された傷を隠しながら三人でドラえもんの様子を見ていた。

ヒースとウコンは街の復興作業に手を貸している。
彼らのリーダー的存在だったジンダイの裏切りはショックだろうが、
彼らはそれを顔に出さずに廃材の撤去作業を行なっていた。

そしてダイゴは目覚めのほこらの最深部にいた。
しばらく待っていると、何もない空間から突然扉が現れる。
「きたか」
「遅くなってごめんなさい」
現れたのはドラミだ。
「全ては君のシナリオ通りになっているようだね」
ダイゴはそう言いながらも警戒を緩めようとはしない。
それはドラミの奇妙な力と、この世界の法則を変えた恐怖からだ。
「ドラミ、私は君が恐ろしい……タケシのボーマンダの攻撃を見て確信したよ」
「恐ろしい…確かにそうかもしれないわね」
そう、ダイゴは自らの知る世界の法則が変わっていたのをこの目で見たのだ。



あの時のボーマンダのドラゴンクロー。
特殊攻撃であるはずのドラゴンクローは物理属性に変化していた。
だから、本来攻撃の能力の高いボーマンダのドラゴンクローは
ダメージ量がアップしたのだ。

そしてラティアスが放った竜の息吹。
あれはダイゴが前もってのび太救出に向かうマホとナホに預けた技マシンを、
のび太がラティアスに使用したものだ。

しかしあれは竜の息吹ではない。
「竜の波動」……ダイゴも知らない未知の技だったのである。

「世界の法則が変わり、しかも未知の技まで……これも全部君がやったというのか」
ドラミは申し訳なさそうにダイゴに頭を下げる。
「あの出木杉さんに勝つには、出木杉さんも把握できない状況にするしかないの」
そしてこの混乱に乗じて出木杉達を打倒する。
それがこの世界を救う方法だと、ドラミは静かに語った。
「でもなぜだ、なぜノビタやタケシ達がやらなければならないんだ。
私たちで出木杉を倒せば……」
「それはダメ。出木杉さんを倒すのは彼らでなければならないの」
そう、それこそがドラミの目的なのだ。

ダイゴとドラミはいくつかの打ち合せを済ませると、ダイゴは地上に帰っていった。



ドラミはひとり残される。

「これでポケモンのデータはダイヤモンド&パールに上書きされた…」
のび太達が暮らす本来の世界ではまだ発売も去れていないDS版ポケットモンスター。
タイプで物理と特殊が分かれるのではなく、技ごとに属性が設定されている世界。
そして新たなる技を会得していくポケモン達。

ドラミが本来存在しないはずのエレキブルを出したとき、
この世界のポケモンのバトルデータはダイヤ&パールが基準となったのだ。
この混沌化した状況なら、のび太達にも勝利の道が見えてくるはずだ。
「私もフィナーレに向けて準備をしなければ……」
ドラミは再びどこでもドアの向こうに消えていった。



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