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22番道路。
スネ夫がそこに着いたとき、草むらには瀕死状態の野生のポケモンたちが山積みになっていた。
「なんだこれ……」
さすがにスネ夫も驚きを隠せなかった。
さらに草むらと瀕死体を掻き分けて奥へと進む。
すると、そこにはスネ夫にとってここにいるはずのない人物――ジャイアンがいた。
(なななんでジャイアンがここここここに!?)
パニックに陥るスネ夫。やはりスネ夫にとってジャイアンは畏怖の対象らしい。
しかし、どうやらジャイアンはまだスネ夫に気が付いていないようだ。
(良かった、早く逃げよう……いや、待てよ。アイツは水ポケモン、
僕は草ポケモン。
 相性じゃ僕のほうが有利じゃないか!)
スネ夫は落ち着きを取り戻し、さらに余計なことも思い出し、
いつものスネ夫に戻った。
「おい、ジャイアン!」
調子に乗ったスネ夫はジャイアンに話しかけた。
「!……なんだ、スネ夫か。ちょっとびっくりしたじゃねえか。なんの用だ?」
「僕と勝負だ!」
すこし考えてジャイアンが答える。
「……ああ、構わねえぜ」
スネ夫VSジャイアンのポケモンバトルの火蓋が切って落とされた。

トキワシティ。
のび太たちはポケモンセンターで休んでいた。
出木杉のヒトカゲとポッポ、しずかのイーブイのLVは上がっている。
あのあと、しずかも実際にバトルをし、すこしずつ慣れて来た。
ちなみに我らがのび太はと言うと、ピカチュウがのび太の言うことを
まったく聞いてくれず、いまだにLV5のままである。
(こんなんじゃチャンピオンどころかジムリーダーにだって勝てないよう……)
現状に凹むのび太だった。
今夜はポケモンセンターで過ごすことに決めたのび太たち三人。
「まだ夜までは時間があるから自由行動にしようか」
出木杉の提案にのび太としずかは賛成し、出木杉はポケモンのLV上げを、
しずかはフレンドリーショップで買い物を、のび太はそこら辺を散歩することにした。



「トキワシティ…緑がいっぱいで綺麗だなあ」
感動しているのび太の前に22番道路から帰って来たジャイアンが現れた。
「よう、のび太。元気か?」
「ジャイアン!」
友達との再会に喜ぶのび太。
こちらに来たときは元気がなかったジャイアンだが、今は上機嫌だ。
「なにかいいことでもあったの?」
のび太が尋ねる。
「やっぱ分かるか?さっき初ポケモンバトルで勝ったんだ」
「ふうん、だれとやったの?」
「スネ夫だよ。アイツから吹っかけてきてな」
「え!スネ夫に勝ったの!?」
のび太が本当に驚く。
現実の世界ではジャイアンがスネ夫に勝ったことは、
スネ夫がわざと負けたとき以外なかったのだ。
「俺をだれだと思ってる、ガキ大将ジャイアンさまだぞ?……
おっと、もうこんな時間か。
 じゃあな、のび太!俺はトキワの森に行くからよ!」
走り去って行くジャイアンを見送り終え、のび太が呟いた。
「ジャイアンがスネ夫に勝つなんて……僕もがんばらなきゃ!」
もとの世界に帰るためにも、親友を助けるためにも。
のび太もピカチュウのLVを上げるべく、1番道路へ戻るのだった。



「やっぱりLV上げならあそこかな」
22番道路へ向かう出木杉。
(……野比くんは考えててもしょうがないって言ってたけど)
やはり、ゲームマスターについて考えてしまうのだ。
(一体あの子はなにがしたいんだ?分からない……)
再び一人で考え込む。
出木杉はもともと頭のいい少年だ。
疑問に思ったことをうやむやには出来ない質なのかもしれない。
「それに…あれは一体どういう……ん?」
ふとなにか聞こえたらしく、出木杉は耳を澄ます。
よく聞くと、それは人の泣き声とポケモンの鳴き声。
どうやらだれかがポケモンに襲われているらしい。
「助けないと!行こう、みんな!」
ヒトカゲとポッポをボールから出し、出木杉は声のするほうへと走って行った。

「傷薬と毒消し、下さい」
しずかはフレンドリーショップで回復アイテムを購入していた。
次に向かうトキワの森には傷薬と毒消しを持って行ったほうがいいと、
出木杉にアドバイスされたのだ。
しかし、
「買い過ぎちゃったかしら……」
買えるだけの傷薬と毒消しを買ってしまったしずか。
ぶっちゃけ、必要以上に買い過ぎてしまっている。
「出木杉さんもなるべくたくさんあったほうがいいって言ってたし……。
 きっと大丈夫よね、イーブイ?」
『そこで私に振りますか』
傍らのイーブイはそう思いながらしずかを見たが、しずかは気付かない。
「そうよね、大丈夫よね!」
それどころか勘違いをするしずか。
(他にすることもないし、二人が戻って来るのをポケモンセンターで待ちましょう)
しずかはポケモンセンターへ帰ることにした。
帰る途中、この大量のアイテムが必要なかったらのび太に買わせようという、
しずかには似つかわしくない黒い考えが一瞬、頭に浮かんだのは内緒だ。



1番道路。
愛しのしずかにそんなことを思われたとは露も知らないのび太。
「頼むからさ、言うことを聞いてくれよピカチュウ……」
先ほども述べたように、ピカチュウはのび太の言うことをまったく聞かない。
最初に出会ったとき、昼寝の最中だったピカチュウ。
そこをのび太に邪魔されてしまい、未だにそれを根に持っているらしい。
食べ物の恨みも恐ろしいが、昼寝の恨みも恐ろしい。
「あっ!だめだ、ピカチュウ!そっちに行くな!」
のび太の命令を無視し、大きな木を登って行くピカチュウ。
木のてっぺんからのび太を馬鹿にしてやろうと思ったのだ。
ところが、ピカチュウがてっぺんに辿り着くというそのとき、
「ピカチュウ、避けろ!」
のび太が叫んだが遅かった。
ピカチュウは風おこしをまともに食らい、木から落とされてしまった。
「ピカチュウ!」
のび太が落ちて来たピカチュウをキャッチした。
「だから言っただろ!」
風おこしの犯人は野生のピジョン。
ピカチュウに巣の中のタマゴを狙われたと勘違いしたのだ。
ピジョンは完全に怒っている。
(あの木にピジョンの巣があるって出木杉に教えてもらってたのに……。
 くそ、どうする僕、どーすんの!?)
あっちは健康、こっちは風おこしのダメージを受けている。
その上、LV差もかなりあるようだ。
のび太がこの世界に来てから、二度目のピンチだった。




現在の状況

のび太 1番道路
ピカチュウ♂ LV5

ジャイアン トキワの森
ゼニガメ♂ LV9
マンキー♂ LV8

スネ夫 22番道路
フシギダネ♂ LV6

出木杉 22番道路
ヒトカゲ♂ LV7
ポッポ♂ LV5

しずか トキワシティ
イーブイ♀ LV6



1番道路。
のび太はピカチュウを抱えながら、ピジョンから逃げ回っていた。
(あのピジョンと僕のピカチュウじゃLV差がありすぎる…取りあえず逃げなきゃ……)
ところが、ご存じの通りのび太は鈍足である。
ピジョンは電光石火でのび太の前に回り込み、体当たりをした。
「うわあっ!」
のび太は吹っ飛び、その衝撃でピカチュウと離れてしまう。
「しまった!」
ピジョンがピカチュウに近付いて行く。
ピカチュウは動かない。
のび太は立ち上がる。
ピジョンがピカチュウに目の前まで近付く……。
コツン。
「ピカチュウに手出しはさせないぞ!」
のび太はいしをなげた!
とは言え、まったく当たらないので気にも留めていなかったピジョンだったが、
のび太は石を投げるのを止めない。
コツン。コツン。コツン。コツン。ゴツン。
のび太がしつこく投げる石がたまたま頭にヒットしたとき、
ピジョンの我慢は限界に達した。
(これでピジョンの標的は僕になる……)
のび太に襲いかかろうとピカチュウに背を向けたピジョン。
(ごめんね、ピカチュウ。こんな駄目なトレーナーで……)



すると、突然ピジョンの体勢が崩れ、そのまま地面に倒れた。
「……あれ?」
よく見ると麻痺している。
「まさか……」
のび太がそう思ったとき、ピジョンの後方からピカチュウが走って来た。
「ピカチュウ!君がやったのか?」
ピカチュウは頷いた。
ピカチュウが気絶したと思い込んだピジョンは、
効果抜群な電気ショックを無防備な背後から食らってしまったのだ。
「よかったあ。僕、どうしようかと……あ」
一旦、言葉を切って続ける。
「……まさか、動かなかったのは演技だったの?」
ピカチュウが申し訳なさそうに頷く。
「なんだよ!もう、心配させないでよ!」
のび太は怒ったが、その顔は次第に笑みに変わっていった。
「……ピカチュウ、僕たち勝ったんだよ」
ピカチュウも嬉しそうに笑っている。
のび太とピカチュウの間には、ピジョンと戦う前までには
無かった何かが芽生えていた。
「これからもよろしく、ピカチュウ」
のび太はピカチュウを撫でながら言った。
「……じゃあ、そろそろトキワシティに戻ろっか」
一人と一匹は1番道路をあとにした。



22番道路。
スネ夫は走っていた。
「うわああぁぁぁ!ママああぁぁ!」
スネ夫が走っている理由はただ一つ、オニスズメの大群に襲われているからである。
反撃しようにも、手持ちのフシギダネはボロボロでとても戦える状態ではない。
(くそっ、なんで僕がこんな目に……。全部全部、ジャイアンのせいだ!)
すると、
「ポッポ、砂かけ!」
聞き覚えのある声がして、オニスズメたちに大量の砂がかかり、大群が崩れた。
当然、下にいたスネ夫にも砂がかかってしまったのだが。
「よし、次はヒトカゲ、火の粉だ!」
いくつもの火の粉が命中し、オニスズメたちは散り散りになりながら逃げて行った。
「大丈夫ですか!?」
スネ夫を助けたのは端正な顔立ちの少年。
「出木杉……」
スネ夫は少年の名前を呼ぶ。
「君は骨川くんじゃないか!なにがあったんだい!?」
(砂塗れなのはお前のせいだぞ)
スネ夫は心の中で呟いた。
「大丈夫かい?」
出木杉が心配そうに尋ねる。
「ああ、大丈夫だよ。ありがとう。実は……」
事情を説明しようとして、
(そうだ、コイツを利用すれば……)
スネ夫は思い付いた。ジャイアンへの復讐の方法を。



トキワの森。
ガキ大将ジャイアンは虫捕り少年たちをポケモンバトルで倒しながら進んでいた。
もちろん、賞金もしっかりもらって…いや、奪っている。
結局、ジャイアンはジャイアンだった。
「おう、もう出口か。意外と早かったな」
そんなこんなでジャイアンは一番乗りでトキワの森を抜け、
ニビシティに辿り着いたのだった。

そして、
「僕の今月のお小遣いが……」
「僕の帰りの電車賃が……」
「僕の給料三ヶ月分が……」
ジャイアンが通ったあとには、ただただ泣き崩れる虫捕り少年たちがいた。

トキワシティ。
しずかがポケモンセンターで待っていると、1番道路からはのび太がピカチュウと一緒に、
22番道路からは出木杉がスネ夫を連れて帰って来た。
「スネ夫!一体どうしたの?」
全身ボロボロな上に砂塗れのスネ夫を見て、のび太が尋ねる。
「骨川くんはオニスズメの大群に襲われてたんだ。……剛田くんのせいでね」
出木杉の言葉にのび太としずかは驚きを隠せない。
「ジャイアンに無理やりポケモンバトルを挑まれてボロボロにされたんだ」
スネ夫が悔しそうに言う。
「このままだと、ジャイアンは大変なことをしでかすかもしれない……。
 頼むよ、見つけたら止めてやってくれ!」
「ああ、もちろんだよ、骨川くん」
出木杉が答えた。
出木杉もしずかもスネ夫を完全に信じてしまったようだ。
それが嘘とも知らずに。
(しめしめ、思ったより簡単に騙されてくれたよ)
スネ夫は心の中でほくそ笑む。
(これで出木杉たちはジャイアンの邪魔をするはずだ……)
自分の手は汚さないつもりらしいスネ夫。まったく汚い男である。
しかし、この嘘がとある事件の引き金になってしまうということをスネ夫はまだ知らない。




現在の状態

のび太 トキワシティ
ピカチュウ♂ LV7

ジャイアン ニビシティ
ゼニガメ♂ LV12
マンキー♂ LV11 

スネ夫 トキワシティ
フシギダネ♂ LV6

出木杉 トキワシティ
ヒトカゲ♂ LV8
ポッポ♂ LV6

しずか トキワシティ
イーブイ♀ LV6



トキワシティ。
「うう、もう朝か……」
のび太は目を覚ました。
「……ええと、確かあのあと、ポケモンセンターに泊まったんだよね……」
この世界のポケモンセンターは一階のポケモン回復センター、
二階の通信コーナーのみならず、三階に旅人の無料宿泊施設がある。
のび太たちはそこに泊まったのだ。
「それにしても昨日は疲れたなあ……あ!」
のび太に大声を上げさせたのは備え付けの時計。
「もう十時だ!急がないと!」
支度を終えたのび太が一階に行くと、すでに出木杉としずかとスネ夫がていた。
「のび太、遅いぞ!」
「ごめん、スネ夫。出木杉もしずかちゃんもごめんね」
「いいよ、昨日はいろいろあったしね……」
出木杉の言葉でのび太はドラえもんのことを思い出した。
(ドラえもん…僕が絶対に助けるから!)
「それで骨川くんはどうするんだい?僕たちはトキワの森に行くけど…一緒に来る?」
出木杉が尋ねた。
「いや、僕はいいよ……。今もしジャイアンに会いにでもしたらって思うとね……」
スネ夫は元気がなさそうに答えた。もちろん演技だが。
「そう…じゃあここでお別れなのね」
しずかが残念そうに言う。
「ああ、またどこかで会えるといいね」
「さようなら、骨川くん。元気でね」
出木杉が言って、三人はポケモンセンターを出た。
しばらくしてスネ夫が呟いた。
「まったく…上手く行き過ぎてて怖いくらいだよ。
 ……さてと、それじゃ僕もポケモンのLV上げをしに行きますか」
スネ夫は22番道路へ向かった。



ニビシティ。
ジャイアンはジムの前で立っていた。
その手にニビジムのバッジを持って。
「よっしゃ、一番乗りでニビジムのバッジゲットだ!」
昨夜はニビシティのポケモンセンターで十分に休んだジャイアンは、
ジムリーダーのタケシに挑み、勝利を収めたのだった。
ゼニガメとマンキー、どちらも岩ポケモン使いであるタケシとは相性がよかったため、
特に苦労することなくジャイアンはタケシを倒すことが出来た。
「それじゃ次は…3番道路に行ってお月見山を抜けてハナダシティだな。よし、行くぞ!」
ジャイアンはタウンマップで次の目的地を確認すると、3番道路へと走って行った。

トキワの森。
「うへえ、まだ昼なのに薄暗いなあ……」
のび太が声を漏らす。
トキワの森は木々が鬱蒼と茂っており、日が当たりにくいのだ。
「そうね。それにしても……」
しずかがきょろきょろと周りを見渡しながら言った。
「この森、トレーナーがいないのかしら?」
森には人っ子一人見当たらない。
「確かに不自然だね……」
出木杉も呟く。
なぜだれもいないのかと言えば、この森にいた虫捕り少年たちは一文無しになってしまい、
森で虫を捕っている場合ではなくなったからであるが、
もちろん、のび太たちにはそれを知る由もない。
野生のポケモンを倒しながら、三人は進んでいく。
「ねえ、出木杉」
「なんだい、野比くん」
「あのポケモン、全然動かないけど…死んでるの?」
のび太が指差す先には野生のトランセルがいた。
「ああ、あれはトランセルだよ。ああいうポケモンなんだ。でも……」
出木杉の言葉が終わる前に、のび太はボールを構え、トランセルに近づいて行った。
「……捕まえないほうがいいと思うよ」



(そうっと…そうっと……)
のび太はこっそりとトランセルに近付く。
そして、
「えいっ!」
のび太はモンスターボールをなげた!
しかしトランセルにはあたらなかった!
(えええぇぇ)
これには見ていた二人もびっくりだった。
ピジョンに石を投げたときもそうだったが、のび太にはコントロールもないのである。
「えい、えい、えいっ!」
のび太はそのあともチャレンジしたが、すべてのボールが
明後日の方向へ飛んで行ってしまった。
「どうしよう…ボールがあと一つになっちゃった……」
のび太が困っていると、肩に乗っていたピカチュウが突然、
のび太の手からボールを奪った。
「ちょっと、ピカチュウ!悪戯は止めて、ボール返してよ!」
のび太が怒ると、ピカチュウはボールを投げた。
まったく動かないトランセル目がけて。
「え……?」
ボールはトランセルに当たり、すこしの間暴れて、動かなくなった。
やったー!トランセルをつかまえたぞ!
(ええええぇぇぇ)
三人、特にのび太はあっけに取られた。
ポケモンがポケモンを捕まえるなど、前代未聞である。
(僕って一体……)
本格的に凹むのび太の肩で、ピカチュウは誇らしそうにしていた。




現在の状態

のび太 トキワの森
ピカチュウ♂ LV9
トランセル♀ LV6

ジャイアン 3番道路
ゼニガメ♂ LV13
マンキー♂ LV12

スネ夫 22番道路
フシギダネ♂ LV8

出木杉 トキワの森
ヒトカゲ♂ LV10
ポッポ♂ LV8

しずか トキワの森
イーブイ LV8