ドラえもん・のび太のポケモンストーリー@wiki

ポケモンとのび太とノートと その4

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akakami

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ジャイアン「ここがチョウジか………」
ジャイアンが感慨深げに言う。
服はボロボロ、全身いたる所が出血している。
エンジュ~チョウジ間は、そこまで遠くはなかったのだが、そこまでに要した行程が問題だった。
一体彼に、何が起こったのか?

そのことについて、少し時間を巻き戻して説明しようと思う。

ジャイアンはエンジュで全員と別れた後、あるポケモンを捕獲する計画を練っていた。
ジャイアン「確か前に空き地で、スネ夫がここにヤツが出るって言ってたな………」
そのヤツは、スリバチ山の木に生息しているらしい。
ジャイアン「よ~し、出てこいよ……ヘラクロス……絶対捕まえてやる!!!」
そう、パワーで押す戦略を中心とするジャイアンは更なるパワーを手にするため、ヘラクロスの捕獲を目指していたのだ。
そういう意味では彼はドラえもんの言葉を素直に聞いた好例とも言える。

しかし彼は、ある、致命的な事を忘れていた。
ジャイアン「お前ら皆ずつき覚えてねえのかよ…………
どうすんだ………」
ジャイアンは途方に暮れた。



ジャイアン「どうしよう………?」
考えに考え、ジャイアンは頭を使った。
頭を使ったと言っても、頭の中の脳細胞を使ったという意味ではない。
ジャイアン「ふんっ!!!!」
「バキッ」ドサドサドサ
ジャイアン「いってえ!!!」
彼は自らの頭を木に打ち付け木を揺らすという、ジャイアンだからこそ出来る荒業、つまりジャイアン自らが直々に、木にずつきをかますという方法を選択したのだ。
それから彼は木にずつきをかましまくった。ヘラクロスの出現を願って。
しかし落ちてくるのは、オニスズメばかり。
ジャイアンは二つの意味で頭にきていた。
そして、次もしあの鳥が落ちてくるようなら、もう、自分を押さえられないと思った。
68匹目のオニスズメを虐殺した後、流石のジャイアンも体力の限界を感じ、ずつきを中断した。
ジャイアン「し……死ぬ……」
ジャイアンはその場にヘタリ込む。
しかし、彼は気付いて居なかった。
大きな厄災が周りに潜んでいることに。



「ドカーン!!!」
大きな爆発音にジャイアンははね起きた。
ジャイアン「な………なんだ!?」
ジャイアンは辺りを見回す。
すると、そこに長年探し求めたヘラクロスが居た。
しかし、ジャイアンは歓びの声を上げなかった。

その数が問題だったからである。
ジャイアン「な……なんだ……?」
そこには、ジャイアンのずつきに怒りを感じた木に住むポケモン達が居た。
大方、先程の爆発はクヌギダマのものであろう。
種族は違えど、同様であったのは、ジャイアンを見る目である。
その目は睡眠不足、怒りで赤くなっていた。
夜間の安眠をコイツによって妨げられたのだ。
それらは睡眠妨害の恨みを晴らすべく波の如く押し寄せてきた。



ジャイアン「くそっ!
どうすればいい!?」
ジャイアンは考えた。
如何にして、この危機的状況を脱するかではない。
この状況で如何にして、ヘラクロスを捕獲する事だった。
ジャイアンは血の足りない脳で考えた。
ジャイアン「よしっ!行けっ、
カイリキー、オーダイル!!!」
良い考えが浮かんだらしく、とりあえずポケモンを繰り出す。
その瞬間、
「ドカーン!!!」
クヌギダマ数十匹分の自爆を受けて、オーダイルとカイリキーが一発で沈む。
絶対絶命の状況に立たされた訳だが、ジャイアンの顔は緩んでいた。
ジャイアン「へへん♪。
望み通りだいばくはつをしてくれたな。
こっちは少数、向こうは大多数ならこんな戦法を使ってくると思ったぜ」
そう言いボールを投げた。
ジャイアンは敵に敢えてだいばくはつを使わせ、その余波で倒れているヘラクロスを捕まえるという作戦を採ったのだ。
揺れるボールを見ながらジャイアンは言う。
ジャイアン「普通に捕獲にあたれば、じわじわと弱らせる事が必要がある。
しかし、こんなあぶねえ状況でそんな悠長な事が出来る筈がねえ。
だからこそ、だいばくはつを使わせ、大量のポケモンを弱らせ、丁度いい体力の奴を捕まえるって訳さ。」
ジャイアンの言葉が終わらぬ内に、ボールの揺れが止まった。
ジャイアン「よっしゃあああ!!
ヘラクロスゲットォォ!!」
ジャイアンは歓喜した。
しかし、まだジャイアンは知らない。この後無数のポケモン達に袋叩きにされることを。



ジャイアンがチョウジにやって来た丁度その頃、スネ夫はアルフの遺跡に来ていた。
目的は、あるポケモンを捕獲する事である。

ドラえもんと別れてから、スネ夫は考えた。
確かに、レベルを上げるのは大切だが、奴らとの戦闘は通常のバトルとは違って、ポケモンの強弱のみが全てを決める訳ではない。
周りの地形、天候、その他諸々が戦闘に関係する。
そしてそれを全て制するには、色々な状況に対応出来る力が必要だ。
ここ、アルフの遺跡には、どんな技でも身につけれるアイツが居る。
スネ夫の目的の一つはそいつを捕まえて、自分好みの技を片っ端から身に付けさせることだった。
もう一つはまた、おいおいと説明しよう。
その後、スネ夫は難無くアイツを捕え、先程孵化させた、トゲピーを繰り出した。

スネ夫「トゲピー、ゆびをふるだ!」
スネ夫『わざわざ、この為に孵化させたんだ。
今日中にあの技が出てくるといいな。』
ドーブルにはあの技が出るまでスケッチは使うなと言ってある。
ゆびをふるのPP切れ対策の為にありったけのPP回復アイテムを置いておいた。
あとは、運の問題だ。
スネ夫「技の習得はこいつらに任せて…………」
スネ夫は軽く立ち上がった。
スネ夫「僕は面倒な作業にかかるか。」
そう言い、スネ夫はとりあえず、遺跡発掘員に軽く会釈すると、石板の部屋へ入っていった。



数分後、スネ夫は石板のパズルを難無くクリアし、遺跡内へ入った。
スネ夫「ふん、この程度の謎が長い間謎のままという設定じゃ、所詮はゲームだな。」
スネ夫は皮肉を言い、遺跡内へ入った。。
さっきまで何もなかった遺跡内は何か、文字のようなポケモンで一杯になっている。
スネ夫「これから面倒だな………」
スネ夫は頭を掻いた。
スネ夫のもう一つの目的は、このアンノーンと呼ばれるポケモンにあった。
アンノーンと言えば、めざめるパワーしか使えない、戦闘には不向きのポケモンである。
しかし、スネ夫が目をつけたのは、技や能力でもなく、その体自体である。
スネ夫「アンノーンを大量に捕えれば、ある程度の意思疎通も可能になる。
あのうすっぺらい体は監視等にも最適だからね。」
スネ夫はそう言い、目の前を無数に飛んでいるアンノーンにモンスターボールを大量に投げつけ、大量に捕獲する。
しかし、捕まえたボールは一つを除いて、何処かに消えてしまった。



スネ夫「やはり、六匹以上はゲームのシステム上持ち歩く事が出来ないようだな。」
スネ夫が呟く。
スネ夫「作戦失敗か……?」
スネ夫がそう思った時、スネ夫の尻がチクッとした痛みを感じた。
スネ夫「んぎゃあ!!!」
スネ夫が驚く。
しかし、驚く事はそれだけではなかった。
無数のアンノーン達は一斉にこちらを見ている。
スネ夫「なっ、何するんだ!!!」
スネ夫が言う。
すると、アンノーン達は一列に並び、何か文字列の様な物を作り出した。
スネ夫はアンノーン文字を読むことが出来るので、とりあえず、それを読んだ。
スネ夫「ええと、なになに………?「ドウダ、ワレワレノ、メザパハ?
イリョクナナジュウノコオリダゾ
AHAHAHAHA」?

じゃあさっきのは、お前らが………
おい!誰に向かってめざパ氷なんかしてると思ってんだ!!
お前らを目覚めさせたのは僕だぞ!!!」
スネ夫は文句を言う。
すると、また、アンノーン達は文字列を作り出した。
アンノーン「タシカニソレニツイテハ、カンシャシテル。
シカシ、オマエハ、ワレワレノ、ドウホウヲ、タイリョウニホカクシテイッタ。
ナカマヲタスケルタメダ。
ワレワレノメザパノ、オソロシサヲミセテヤル」



スネ夫はそれを読んだとき、恐怖で体が硬直した。

ヤバいな、このままじゃ、袋叩きにされてしまう。
かといって、あれだけの数は全て倒し切れそうもないし、捕獲なんぞ絶対に無理そうだ。
スネ夫はとりあえず、良い考えが浮かぶまで、時間稼ぎでもしようとした。
スネ夫「おっ、穏やかじゃないな……
こっ、ここは話し合いでかっ、解決しようじゃないか。」
緊張の為かどもる。
するとアンノーンはまた、文字列を作り出した。
アンノーン「ハナシアイ?
オモシロイ、イッテミロ。」
スネ夫「ええと、それは、あの………」
スネ夫はここであることを思い付いた。
スネ夫『人質だ……
こいつらの目的は仲間の奪還。
これを使えばいい。』
スネ夫は口を開こうとした
しかし、アンノーンがそれよりも早く文字列を作る。
アンノーン「イッテオクガナ、ヒトジチナドアサマシイコトヲシタラ、ソノシュンカンブチコロスカラナ」

セーフ。ヤバかった。あと少しで、全てが無になるところだった。あぶねえ。
しかし、このアンノーンの先制のおかげで、スネ夫の、取引のカードが失われた。
終わった………
スネ夫はそう思った。しかし、ここで奇跡が起こった。

遺跡発掘員「お~い、少年、長い間戻らないが、何かあったのか?」



アンノーン「ナ、ナンダ?
イマノコエハ、ヨクキコエナカッタガ。」
スネ夫『さっきの遺跡発掘員か…………
……………そうだ。コイツを利用しない手はない。』
窮地に立たされたスネ夫はまるで、スーパーコンピューターの如く、脳が機能し、生涯最高傑作とも言える悪知恵を編み出した。

アンノーン「ナ、ナンダ?
サッキノコエハ?」
アンノーン共が問いつめる。
スネ夫「…………
奴は、ここの遺跡を荒らしに来た、遺跡荒らしだ………」
スネ夫が根も葉も無いことを言う。
しかし、本当の事を知らないアンノーン共は覚悟を決める。
アンノーン「ナンダト!
クソ、ココハ、イチゾクノホコリヲカケテタタカウ。
ミンナイクゾ」

それは困る。これでは、自分の計画が台無しになってしまう。
ここから、スネ夫は必死に自分の話術を披露することになる。
スネ夫「行っちゃ駄目だ!
奴はかなりの強さを持っている。
君達は全滅させられないまでも、まともに戦えばかなりの数が減らされる………」
嘘である。どこが嘘かというと、全て根も葉も無い嘘である。
スネ夫は続けた。
スネ夫「僕はこの遺跡を調査、及び、保護しに来たんだ。
荒らしはどうしても止めさせなければならない。」



アンノーン「マ、マサカ、オマエ………」
スネ夫「僕が戦うよ。
君達は、奥に潜んで隠れておいてくれ。」
アンノーン「シカシ……」
スネ夫「分かってくれ。
これが、僕なりのケジメだ。
じゃあね。」
勇敢に立ち向かう戦士、いや、嘘に塗りかためられた狐野郎をアンノーン達は、ただただ見送る事しかできなかった。

スネ夫「さてと、作戦第一段階はひとまず成功と………
次は………」
そう呟いていると、出口が見えてきた。
そこで遺跡発掘員と鉢合わせになる。
遺跡発掘員「おお、良かった。
無事だったんだね。
長い間出てこなかったから心配したよ。」
遺跡発掘員は安堵の表情を浮かべた。

本当なら、ここで発掘員と逃げることも可能だが、スネ夫は転んだら、ただで起きるような性格はしていない。
そう、作戦が失敗しそうな今、コイツを利用しない手はない。

スネ夫「………行け、マグマラシ。」
スネ夫はマグマラシを繰り出した。
遺跡発掘員「な、なんだ!?」
スネ夫「遺跡の壁に、かえんぐるまだ。」



マグマラシはスネ夫の言うとおり、かえんぐるまで、壁を破壊する。
遺跡発掘員も驚かずにはいられない。
遺跡発掘員「な、何だね!?君は?
気でも触れたのか!?」
燃え盛る遺跡の壁を見ながら、遺跡発掘員が言う。すると、
スネ夫「すみませんね。
少し眠ってて貰うよ。」
スネ夫は、そう言うとスリーパーを繰り出し、発掘員にさいみんじゅつをかけさせた。
遺跡発掘員「な、何を………」
遺跡発掘員の意識はだんだん遠くなり、やがて、完全に途絶えてしまった。
スネ夫は眠りこけた、それを見下ろし、
スネ夫「焼け死んじゃったら、気の毒だな。
オオタチ、運びだしといて。」と、言った。
スネ夫にも、良心は有るようだ。
スネ夫「さて、炎に巻き込まれては元も子も無いから、急ごうかな。」
スネ夫はそう言うと、また、走り出した。



アンノーン達は、遺跡の奥深くで不安と戦いながら、隠れてスネ夫の帰りを待っていた。
遺跡の外が騒がしいのは、きっとあの少年が戦っているからであろう。
そこへ、
スネ夫「大変だ!
奴が、遺跡に火を放った!!!
皆逃げろ!」
スネ夫が叫んだ。
アンノーン「ナニッ、ソレハマコトカ!?」
アンノーン達は驚く。
そして、またスネ夫は言った。
スネ夫「もう、ここは駄目だ!
早く逃げよう!」
アンノーン「シカシ………
ワレワレハ、コノイセキノソトデ、イキルスベヲシラナイ………」
チッ、こいつらめんどくせえ。

スネ夫はアンノーン達を外に出すために頭を絞った。
こんな緊急事態だ。少しくらい取り乱すのが普通だろう。
スネ夫「早く逃げろって言うのが聞こえないの!?
ここで遺跡どころか、君達まで失ったら、僕は今までなんの為に遺跡を守ってきたんだ!!
外での生活が不安なら僕がなんとかしてやる!
さあ、こっちだ!」
我ながら完璧な演技。
アンノーン達は少し躊躇した後、そのままスネ夫について行き、全員は遺跡を脱出した。
スネ夫は念のために、助けた遺跡発掘員の記憶も一応、消しておいた。



スネ夫「ふぅ、危なかったね。」
遺跡から逃げ出した、一行は36番道路に居た。
安堵するスネ夫とは、対照的に、アンノーン達は不安だった。
統率感がなく、混沌と飛び回っている。
無理もない。
数えられぬ程長く過ごした故郷が、消え去ってしまったのだ。
すると、もう我慢出来なくなったのか、アンノーン達はまた、文字列を作りだした。
アンノーン「ナア、ワレワレハコレカラドウスレバヨイ?」
アンノーンが聞いてきた。

しめしめ、計算通り。
遺跡から引きずり出せば、こうくることは読めていた。
スネ夫は少し黙って(演技)言った。
スネ夫「今度こそ、本当の取引きをしないか?」
アンノーン達が訊く。
アンノーン「トリヒキダト?」
スネ夫「ああ、君達が住むところを確保するかわりに、君達の力を貸して欲しい。」
スネ夫は言う。
アンノーン達はそれに驚いた。
アンノーン「ワレワレガ、スメルトコロガアルノカ!?」
スネ夫は頷く。
それを見て踊り狂うアンノーン。
まあ、このことは、ドラえもんに任せればなんとかなるだろう。
とりあえず、四次元ポケットの中にでも住ませておけばいい。

アンノーン「ワカッタ。
デハ、ワレワレハナニヲスレバヨイ?」
スネ夫「いずれ説明するさ。」
スネ夫が答える。
全てはスネ夫の計算通り進み、スネ夫はまた次の目的地へ向かった。



視点はまた、変わり、チョウジのジャイアンの方へ移る。
ジャイアンは、ポケモンセンターで休息をとった後、チョウジジムへ向かった。
本来なら、やってきた直後はジムは開いてない筈なのだが、出木杉達が、怒りの湖のイベントをクリアしたためだろう。
既に、ジムは開いていた。
ジャイアン「時間がねえ俺にとっては運が良かったぜ」
ジャイアンはそう言い、ジムの扉に手をかけた。

しかし、ここで、チョウジのバッジは既に出木杉達が入手しているのに、またバッジを入手するのに、何の意味があるのだろうと、考えた方が居るかもしれない。
確かに経験値は稼げるが、それなら、周辺のトレーナーを倒した方が早い。

だが、ジャイアンは学力は低いかもしれないが、この、時間が無いときにわざわざ無駄な事をする程馬鹿ではない。
確かに、経験値稼ぎということもあるが、ジャイアンには確固たる目的が他にあった。

ジャイアン「たのもー」
ジャイアンは扉を開いた。
冷たい風が吹き込んできて、皮膚を刺激する。
ジムの奥では杖を持った老人がたたずんでいる。
ヤナギ「ほっほっほ。
ジム戦かの?」
ヤナギは言った。
ジャイアンは頷く。
ヤナギ「ならば、話は要らん。
3対3で勝負じゃ!!!」



30分後。

ヤナギ「ほっほっほ。
まさか、カイリキー一体に3タテされるとは、ワシも落ちたの。」
ヤナギは笑った。
ジャイアンのカイリキーの攻撃は強力で、ヤナギのポケモン達はタイプの差もあり、手も足も出なかった。
ヤナギ「これは、バッジじゃ。
おめでとう。」
ヤナギはジャイアンに歩み寄り、バッジを渡そうとした。
しかし、ジャイアンの手は、それを受け取ろうとはせず、驚くべき事をした。
ジャイアン「ヤナギ………、いや、ヤナギさん!!!
俺を弟子にしてください!!!
お願いします!!!」
あの、町内を我もの顔でのし歩くガキ大将が、ドラえもんの道具、ジャイ子以外の事で初めて土下座をした。
挑戦者の突然の行動に、驚くヤナギをよそに、ジャイアンは続けた。
ジャイアン「俺、ポケモンセンターで聞いたんです。
ヤナギさん、ジョウトのジムリーダーの中でも屈指の強さだって。
だから………」
ジャイアンが続けるのを、ヤナギが遮った。
ヤナギ「しかし、お前さんはワシに勝ったじゃないか。
自分より弱いものに教わっても意味は無いんじゃないかの?」
ヤナギは意地の悪い事を言った。
すぐさま、ジャイアンが叫ぶ
ジャイアン「違う!!!!
あれはアンタの実力じゃない!!
だって………」
ジャイアンはこれまでの事を話した。
アカネとの戦いのこと、ラジオ塔がのっとられたこと、全てを洗いざらい話した。



ジャイアンの話を聞いた後、ヤナギは言った。
ヤナギ「わかった。
確かに、君の動機は純粋な物じゃ。」
ジャイアン「じゃあ!?」
ジャイアンの目が光った。
しかし、
ヤナギ「まて、まて。
誰もまだ、だからといって、弟子にしてやるとは言っとらんぞ。」
ヤナギが即座に否定する。
ヤナギは続けた。
ヤナギ「考えてみたら、ワシはお前さんを弟子にしてやった所で何の得もしておらん。
ここは、公平に交換条件でどうじゃ?」
ジャイアン「交換条件?」
ジャイアンが訊く。
ヤナギ「そうじゃ。
ここの町の東に氷の抜け道という所がある。」
ヤナギは東を指さした。
ヤナギ「そこには、何千年という歳月がかかって出来る、「とけないこおり」と言うものが有るんじゃ。
今回はそれをお前さんにとってきてもらいたい。」



ヤナギの言葉にジャイアンが言う。
ジャイアン「なんだ。
ただのおつかいじゃねえか。
楽勝だぜ。」
そう言い、ジャイアンが笑う。
しかし、その笑いもヤナギの言葉に消されるのであった。
ヤナギ「話は最後まで聞かんか。
実は、そのとけないこおりを専門として狙う輩がおっての。
通称ブリザードというんじゃが。
これが、手練のトレーナーでの。
嫌ならいいんじゃぞ。」
ヤナギの言葉にジャイアンは少し黙った。
そして一言。
ジャイアン「行かねえと、弟子入りは無理なんだろ。」
ヤナギはニヤニヤしながら頷く。
ジャイアン「じゃあ、やるに決まってんじゃねえか!!!
とけないこおりだな。
任せれやがれ!!」
ジャイアンが言った。
ヤナギ「ほっほっほ。
それでこそ若い者じゃ。」
ヤナギは笑った。



ジャイアンは、その後チョウジを後にし、氷の抜け道の奥深くに居た。
ジャイアン「ウ~ッ、寒っ!!
やっぱり、安受け合いはするもんじゃねえぜ。」
ジャイアンはもこもこの、防寒具に身を包み、手の硬度計で氷の硬度を計っている。
とけないこおりと普通の氷は、玄人でも素では見分けがつきにくく、見分けるときは、硬度計を使う。
ヤナギに言わせれば、いわばそれは、氷のダイヤモンド。
普通の氷より1000倍硬いらしい。
やはりそれは氷の抜け道の永久凍土の賜か。
だが、氷のダイヤモンドと言われるだけあり、希少価値は高い。
硬さが異常なので、削り取ることが困難で、持って帰るには、それ相応の大きさの物を探さなければならないからだ。

流石のジャイアンも、持って帰れそうな大きさの氷にイチイチ硬度計を当てるという作業に飽きてきた。
ジャイアン「ああ!!
もうめんどくせえ!!!」
終にジャイアンはキレだし、硬度計を投げ出した。
すると、
「ピー、ピー、ピー」
硬度計から音がする。
まさかと思いジャイアンが硬度計を見ると、数字はそこにある氷に異常な数値を出している。



ジャイアン「やっと見つけたぜ………」
ジャイアンはそれを拾い、もと来た道を帰ろうとした。
すると、
「ゴツン」
ジャイアンは何かにぶつかった。
ジャイアン「いてえな。
何だこれは。」
帰り道の通路を何か透明な壁が塞いでいる。
改めて触ってみると、異様に冷たい。
ジャイアン「これは氷………?」
ジャイアンは言った。
すると、
?「ご名答。」
何処からともなく声がした。
ジャイアン「誰だ!?」
ジャイアンが叫ぶ。
すると、また声が聞こえてきた。
?「お前に語る義理はない……
ただ、とけないこおりを置いていけ。
とだけ言っておく。
断れば殺す。」
その声にジャイアンがいきりたつ。
ジャイアン「テメエがブリザードか……?」
返答はない。
またジャイアンが叫んだ。
ジャイアン「へん!!
なんちゃらかんちゃら夏のハエ!!!
いい機会だ!
俺様がテメエをギッタギタにしてやる!!!」

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