※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。


サイユウシティ・ポケモンリーグ。

リーグ受付広場にいた人たちは全員床に倒れている。
どうやらマヒしているようだ。
その中を一人の少年と四人の女性が歩いていく。
「バッジを……持たぬ者が……入ることは許……」
受付のそんな警告も無視して少年達は奥に入っていく。
階段を上がると、そこには奇妙な髪型をした男が立っていた。
「いささか礼を欠いた挑戦者のようだな」
そう、彼がポケモンリーグ四天王のカゲツだ。
少年が一礼をする。
「僕は出木杉といいます」
カゲツはその面子を見て驚愕する。
「君たちは……ジムリーダーの君たちがなぜ!!」
ツツジが言い放つ。
「なぜって……私達はあなた方より強いからここにいるべきだと思いまして」
アスナが一歩踏み出す。
「とりあえずコイツは私の獲物ね」
アスナはそう言いながらバクフーンを繰り出した。
カゲツもグラエナを出して応戦する。
『炎タイプのジムリーダー、しかも手持ちはジムにいた頃と違うようだな』
苦戦は免れないが、四天王として彼らの横暴を許すわけにもいかないのだ。
しかしその思いとは裏腹に、バクフーンの大文字がグラエナの身を焦がしていく。
『フヨウ、プリム、ゲンジ……すまん、俺はダメらしい』



注:鬼畜出木杉

ポケモンリーグ、第3の間。
氷使いのプリムは敵を待ち続けていた。
不法な挑戦者の侵入報告があってから小一時間、まだここには現れない。
「カゲツさんやフヨウさんが頑張っているのかしら」
もしかしたら撃退できたのかもしれない。
リーグ四天王である我々がバッジも集められないトレーナーに負けることは有り得ないはずだ。

「ここですね、3人目がいる場所は」
現れたのは女、しかも見覚えのある顔だ。
「あなたは……カナズミのジムリーダー……」
そう、確かツツジという名だ。
その後からも次々と見覚えのある顔が現れる。
「フエンとヒワマキのジムリーダーまで……」
まるでジムリーダーの反乱のようだ。
そして最後に現れたのは少年と見知らぬ女、そして……
『あれは、まさかっ!』
青装束の女がひきずっているのはフヨウだ。
しかしその体を包んでいた布切れは無く、健康的に焼けた肌は白い汚物で塗れ、なすがままにされてもフヨウの目は虚空を彷徨っている。
「まさか、フヨウさんを!」
プリムも女性だ、フヨウのされた酷い仕打ちは容易に推測できる。
「すいません、バトル自体は5分とかからず終わったんですが」
少年が悪怯れることもなく答える。



注:鬼畜出木杉

プリムは怒りに身を震わせた。
このかわいい顔をした少年がフヨウを一時間近く凌辱し続けたのだ。
「なんと非道な振舞い、私が成敗してくれましょう!」
イズミが笑う。
「出木杉様、なんかオバさんが怒り狂ってるよ」
「えー、オバさんにはあんまり興味ないや。勝手にやってよ」
出木杉はフヨウの股ぐらを弄びながら答える。
それを聞いたツツジがバトルの舞台に上がる。
「出木杉様、こんな年増でも遊び道具にはなりますわよ」
ツツジがバンギラスを繰り出す。
「ジムリーダーとして、いや女として恥を知りなさい!」
プリムはオニゴーリで戦いに挑む。


しかしプリムの奮戦も虚しく、ツツジの前になすすべもなかった。
岩雪崩の流れ岩に当たり、足を挫いたプリムはその場に座り込んでいる。
その目の前を少年と四人の女性が通り過ぎていく。
無残な姿で引きずられていくフヨウを、プリムはただ見過ごすしかなかった。

フヨウが引きずられた跡がカタツムリの通った後のようにぬめっている。
純潔を失った証のような跡を見ながらプリムは泣き崩れる。
「ごめんなさい、ごめんなさい、フヨウさん……」



ミクリは一人、待ち続けていた。

侵入者はおそらくルネで話題になっていたデキスギという男だろう。
マグマ団とアクア団を壊滅させた力量はおそらく四天王、そして自分すら圧倒しているだろう。
「さて、どんな少年なのか……」
その答えはすぐに分かった。
出木杉本人が人を引きつれ、この場に現れたからである。
『ゲンジ殿は敗北したか。付き添いはジムリーダー達、なのか』
彼女等の目に見覚えがある。
ミクリも女性ファンは多いからわかる、あれは憧れの人物に盲信するような目だ。
「ふ、フヨウ君…ひどい……」
引きずられてきたフヨウは散々嬲られた姿を晒している。
『悪のカリスマ、というわけか……』
「こんにちは、僕は出木杉といいます」
「ああ、噂は聞いているよ。君の友達にも会ったさ」
出木杉は「野比君かな、それとも剛田君かな?」と推測している。
「不法な挑戦とはいえ、私はチャンピオンとしてここで挑戦を受けなければならない」
「じゃあさっさと負けて帰ってくださいよ、あなたダイゴさんより弱いんだから」
前チャンピオンと比べられてミクリの心中も穏やかではない。
「そのような口を聞けなくしてやろう!」



「いけ!ホエルオー」
ミクリが繰り出したホエルオー、その威容が出木杉を威圧する。
しかし出木杉は眉一つ動かさない。
「仕方ないな、僕の本気を見せてあげますよ」
ツツジ達四人も本気の出木杉は見たことがない。
全員が見守る中、出木杉がボールを投げた。
現れたのは緑と赤のツートンカラーのポケモン。
「そ、それはポケモン……なのか!」
「デオキシスというんですよ、チャンピオンなのに知らないんですか?」
デオキシスが10万ボルトでホエルオーを一撃のもとに葬る。
「な、ホエルオーがただの一撃……」
「どうしました?次のポケモンを出してくださいよ」
ミクリはドククラゲ、ルンパッパと繰り出すがサイコキネシスの前になすすべがない。
「こいつならどうだ!」
ミクリのナマズンに対して10万ボルトで攻撃するデオキシス。
しかしナマズンには効果がない。
「相性の事すら知らないのか、反撃のじしんだ!」
地震がデオキシスを襲う。
しかし出木杉はニヤニヤと笑っている。
「何がおかしい……な、何いっ!」
デオキシスの受けた傷が治っていく。
『まさか、じこさいせいまで使えるのか……』
出木杉はわざとダメージを受け、これみよがしに自己再生を使ってみせたのだ。
その瞬間、ミクリは自分に勝機がないことを悟った。



ポケモンリーグ殿堂。

出木杉は満足気に自分の名を殿堂入りさせた。
部屋から出ると、四人の女性が膝を落としている。
「さてフラグも立てたことだし、君たちには飛んでもらうよ」
各々にいくつかの道具を渡し、彼女達はその場を去っていった。
入れ違いにマユミがやってくる。
「出木杉様、デオキシスはどうでした?」
「ああ、悪くないよ。僕が育てたあのデオキシスだ」
対ミクリ用に10万ボルトを覚えさせたが、特にその必要もなかったようだ。
「ここにいた人間は全員連れ出しました。ポケモンリーグは私達のものです」
「ああ、これで僕はチャンピオンとしてアイツらを迎えることになる」
それまでは玩具で暇をつぶそう。
玩具とは殿堂に閉じ込めてあるフヨウである。
「そうだ、もう少し玩具を増やそう。ちょっと外出してくるよ」
どこに行くかは分からないが、マユミは楽しそうに部屋を後にする出木杉を見送った。

ポケモンリーグ会場はすべての通信が寸断され、その周りは何匹ものポケモンに守護される「魔の城」と化してしまったことをドラえもん達はまだ知らない……



トクサネシティ。
前日、生死の境をさ迷っていたのび太はなんとか持ちなおした。
ドラえもんは感心する。
「それにしてもポケモン世界の医学はすごい発達してるんだなぁ」
瀕死のポケモンを5秒ほどで完治させる世界である。
病気ではない外傷は比較的簡単に完治してしまう世界なのだ。
「細胞を電子データ化して再構築する、ポケモン転送技術と同じものらしいね」
しずかは分かっていないようだが、とりあえずのび太が無事だということは分かったようだ。
面会が許可され、ドラえもんとしずかは病室に入る。

「やあ、とりあえず助かったよ」
のび太がベッドに腰掛けながら応対する。
「よかった、本当によかった」
ドラえもんは目に涙を浮かべる。
「骨折のほうは今夜の治療で完治するってさ」
ギプスをしている右腕が痛々しい。
「それにしても、誰がのび太さんをこんな目にあわせたの?」
しずかの問いに、のび太はベッドのシーツを握り締める。
「ナギさん……ナギさんにやられたんだ……」
「そんな馬鹿な!」
ドラえもんもしずかも、ナギの人柄はよく分かってるつもりだ。
しかし被害者ののび太が嘘を言うとも思えない。
「どういうことなの?」
「出木杉の奴と関係あるような事を言っていたんだけど」
ドラえもんは考えを巡らせる。
出木杉が関係あるとすれば、おそらくプレーヤーの干渉によってゲーム世界に変化が起き始めているに違いない。



「このままでは大変なことになりそうだ」
深刻なドラえもんの顔にのび太としずかも不安そうだ。
「ボクは今からもしもボックスのリセットをかけてくるよ。こんな危険な世界に皆を置いてはおけない!」
ドラえもんは病室を駆け出していった。

その日の夜。
治療により骨折を完治させたのび太と付き添いのしずかの二人の前にドラえもんが帰ってきた。
しかし、その口から出た事実は二人の想像を遥かに越えていた。

「もしもボックスが……壊されてた……」

「な、なんだってっ!」
ドラえもんが深刻な顔で告げる。
「ボックスが壊れていては元の世界に戻せないんだ」
しずかが心配そうに話に聞き入る。
「それに、もっと重要な問題があるんだ……」
「元に戻せないことより重要なことってなんなのさ!」
のび太の問いにドラえもんが重い口を開く。
「もしもボックスの事を知ってるのはボクらだけだ。ということは……」
「私たちの中に壊した犯人がいるってことなの?」
しずかの問いに頷くドラえもん。
「ボクとしずかちゃんはずっと一緒に旅をしていた。のび太くんも壊すような真似はしないだろう」
のび太がごくりと唾を飲む。
「じゃあジャイアン、スネ夫、出木杉の中の誰かが……」
三人を重い空気が支配する。



120番道路、古代塚。
一人の女がその塚の前に立っていた。
「ここが三匹目の居場所ね……」
古代塚の中央に内部への入り口がある。
それはつい最近崩され、現れたものだ。

中に入った女…ツツジは小部屋の中央に立ち、レアコイルを呼び出した。
このポケモンはツツジのものではないが、この部屋の仕掛けを解除するのに必要なものだ。
「フラッシュ!」
レアコイルが激しく光り輝くと、小部屋の奥の壁がガラガラと音を立てて崩れ落ちる。
レアコイルを従え、ぽっかりと開いた横穴を進んでいくと、大きな部屋に出た。
中央に立たずむ巨大な鋼の塊。
「封印されし伝説のポケモン、レジスチル……」
その塊の真ん中にあるいくつもの点が光り、巨大な体がゆっくりと動きだす。
ツツジは舌を出す。
「あいにく、アンタと戦うつもりはないわ」
懐から出したのはマスターボール。
「アタシの物になりなさい!」
マスターボールが放られ、レジスチルの巨体を吸い込む。
「ふふふ……これで3体の封印ポケモンは私の物……」
懐からマスターボールを取出し、放る。
現れたのはレジアイスとレジロック。
「すごい、すごいわ!」
ツツジはその威容に囲まれて、高らかに笑い続けた。



ルネシティ。
一刻も早く真実を確認しようと、ジャイアンはルネジムに挑戦していた。
出木杉も目的はポケモンリーグ制覇だろう。
サイユウに向かうためには滝登りをフィールドで使えるようにならなくてはいけない。
(この時、出木杉はリラを制覇していたのは内緒だ)

しかしジャイアンの前に立ちはだかったのはジムリーダーではなく、床の氷であった。
すでに7度以上足を踏み外している。
「くそ、ここはスネ夫にやってもらったからな」
ゲームの時は氷の床の仕掛けが分からず、結局スネ夫にやらせていたのだ。
「それにしても、ここは音がよく響くなぁ」
一面が氷で覆われ、空気も冷たいので音がいい感じに響く。
ジャイアンの中の何かがふつふつと沸き上がってきた。

ジムリーダーの間では、アダンが優雅に挑戦者を待ち受けていた。
しかしその静かな時間は突然の破壊音に乱される。

ボエ~~!

「な、なんだこの音は!」
目の前の氷の床が砕け散り、下にいるトレーナー達が右往左往している。
中にはその音に頭をかき乱され、嘔吐している者もいた。
「ジムの仕掛けが持ちません!早くこの音を止めないとっ!」
アダンは仕方なく、その音の発生元の向かうことになった。



ジャイアンのハイパーボイスは止まるところを知らない。
制止を求めるトレーナー達の声もジャイアンの歌?にかき消されて聞こえていないようだ。
あわててやってきたアダンはなんとか止めさせようと説得を開始する。
「☆@◇※《彡∧?♂£℃!!!」
「▲∬√§×♀‰#ゑ$!!!」
アダンの必死の叫びもジャイアンの耳には届かない。
『こうなったら!』
アダンは優雅に身を翻し、ゆっくりと体を沈めていく。
その両手は地を掴み、背は丸くやわらかなラインを描いている。
『あ、アダン様!』
『お美しい、お美しいですぞ!』

アダンはジャイアンに土下座していた。

「歌を止めてほしかったら言ってくれればいいのによう」
ジャイアンはガハハと笑っている。
アダンは服の裾をちぎれんばかりに握り締めていた。
『アダン様が怒っておられる』
『おいたわしや、アダン様』
トレーナー達は口々にそうつぶやいた。
二人は距離をとり、互いに一礼する。
「では始めようか、華麗なるバトルを」
「よし、やってやるぜ!」
アダンはラブカスを繰り出し、ジャイアンはヘラクロスで迎え撃った。
「メガホーンだ!」
ヘラクロスの角がラブカスを一撃で仕留める。



「やはりラブカス程度では歯が立たぬか。しかしいきなり最強技とは美しくないぞ、少年」
アダンが次に繰り出したのはナマズンだ。
「そいつもメガホーンの餌食だぜ!」
ナマズンの懐に飛び込んだヘラクロスが角を振り上げたが、その攻撃は空をきる。
「外れた?」
カウンターで地震攻撃をくらい、傷を負うヘラクロス。
「メガホーンは命中率に難がある。強い技を無闇に使うものではない」
「うるさい、もう一回メガホーンだ!」
ムキになったジャイアンが再びメガホーンを指示するが、またかわされてしまう。
『じしんは効果いまいちとはいえ、こう何度も食らってはまずいぞ』
ここは確実にダメージを与えなければ。
「か、かわらわりだ!」
ヘラクロスの瓦割りがナマズンを捉えた。
「そうか、悪くない選択だ」
アダンはナマズンを眠らせて体力の回復をはかる。
「次の攻撃が耐えられないから回復かよ、意味ないな!」
ヘラクロスが眠っているナマズンに再び瓦割りを仕掛ける。
「いびきだ!」
アダンのナマズンはいびきの音でヘラクロスをひるませた。
『へ、次の一撃で終わりさ』
ヘラクロスが再び瓦割りを命中させる。
しかしナマズンはその攻撃を受けて尚、その体勢を保っていた。
「な、なにっ!」
「目測を見誤ったようだね、いびきだ!」
再びいびきを聞かされ、ヘラクロスがダウンする。



悔しがるジャイアンにアダンが語りかける。
「ポケモンバトルとはポケモンとポケモンの勝負だけではないのだよ」
ジャイアンが繰り出したラグラージがナマズンに突進し、撃破する。
「よし、当たった!」
「技の命中率の大切さがわかったようだね、結構なことだ」
アダンが3体目に出したのはトドグラーだ。
『くそ、ヘラクロスがいてくれたら……』
バクーダの岩雪崩に頼りたいところだが、水タイプでもあるトドグラーに交換の隙を突かれてはひとたまりもない。
「ラグラージ、とっしん!」
突進を受けたトドグラーは眠って体力を回復させる。
「隙あり、とっしん!」
眠り状態のまま突進を食らうトドグラー。
しかしこのポケモンもいびきをかいてラグラージにダメージを与えてきた。
再び突進を命令しようとしたジャイアンは一瞬考えを巡らせる。
『まさかコイツも二回目の攻撃を耐えるんじゃ……』
しかしジャイアンは覚悟を決めて突進を命令した。
その一撃でトドグラーは戦闘不能になる。
「よっしゃ!」
ジャイアンはこのバトルで確実に成長していた。



その後、二人の戦いは一進一退の攻防が続いた。
そしてマタドガスが大爆発でアダンのキングドラと相討ちになり、ついに戦いはジャイアンの勝利で終わったのだ。

「おめでとう、これが最後のバッジだよ」
アダンから渡されたバッジを含めて計8個、これでポケモンリーグに向かうことができる。
「ありがとうな、アダム」
「いや、私はアダンだ……」
アダンのこめかみに青筋が浮かび上がる。
「ああ、そうだっけ。じゃあな、アダンのおっさん!」

ジャイアンの去った後、アダンは凄まじい形相で氷の床を砕いていた。
『アダン様が必死で怒りを沈めているわ』
『いつでも優雅なアダン様でいてくださいませ!』
見守るトレーナーの前で「アッ」という短い声と共にアダンの姿が消える。
『落ちたわ』
『落ちたわね』
『落ちる姿まで美しかったわ』
『どんな姿も決まってますわ』

ルネシティのジムリーダー、アダン。
ダンディな彼の人気は落ちることがないのだ。



キナギシティ。
目を覚ましたスネ夫はポケモンセンターにいた。
「ボクは…………」
記憶を呼び覚ます。
出木杉がジムリーダー達を率いてアクア団とマグマ団を壊滅させた。
そしてツツジに敗れ、そこから意識が途切れている。
「目を、覚ましたようだな」
スネ夫が入り口に目をやると、そこには一人の男が立っていた。
その男は負傷しているらしく、右肩には包帯がまかれている。
「あんたは?」
「命の恩人に対し、あんた呼ばわりはないだろう。まぁ意識がなかったから仕方はないか」
どうやら彼が自分を助けてくれたらしい。
「た、助けてくれてありがとう。ボクはスネ夫」
「私はジンダイだ」
ジンダイ、その名には聞き覚えがある。
バトルフロンティアのピラミッドキングだ。
『そんな人がなぜボクを助けてくれたんだろう』
そんな疑問が頭をよぎると、それを察したジンダイが語り始める。

「新しいポケモンリーグのチャンピオンが生まれた日、トレーナー達の夢の施設であるバトルフロンティアはプレオープンしたんだ」



プレオープンには一部のトップクラスのトレーナーと、その関係者が呼ばれていた。
無論リーグチャンピオンもその例外ではない。
「だが、そのデキスギという新チャンピオンが問題だったんだ」
「出木杉だって!!」
ジンダイの言葉にスネ夫が仰天する。

最初に異変があったのはメイン施設であるバトルタワー。
最上階と連絡が取れなくなるトラブルが発生し、ほとんどの職員がその対応に追われていたのだ。
そして回線が回復したとき、最上階の映像に映し出されたのは……

「いや、ここは子供に聞かせるべき話ではないな」
ジンダイが拳を握り締める。

出木杉を取り押さえるべく、すべてのフロンティアブレーンがバトルタワーに乗り込んだ。
しかし彼の持つポケモンはブレーンであるジンダイも存在程度しか知らない伝説のポケモンばかりだった。
「ミュウツー、ルギア、ホウオウ……あれだけのポケモンを使役するとは」
ジンダイの言葉にスネ夫が首を傾げる。
『そうだ、出木杉の奴はホウエンではゲットできないポケモンを使っている』
やはり何らかの手段で現実世界からポケモンのデータを使えるようになっているとみて間違いない。



ブレーン達は敗北し、ジンダイはフロンティアから逃げるしかなかった。
「デキスギの目的は女だったから私はなんとか逃げ延びたが、アザミやコゴミは捕らえられ、衆人の眼前で……」
そこから先をジンダイは語らなかった。

「そして落ち延びる最中に偶然、重体で波間に浮かんでいた君を拾い上げたというわけだ」
「出木杉のやつがそんな事を……」
おそらく出木杉は現実世界のポケモンデータを自由に出来る。
それはカントーやジョウトのポケモン、そして伝説のポケモンも使うことができるということだ。
「そんな出木杉がチャンピオンということは、ボクらは勝てない……」
スネ夫は悔しそうにそう呟いた。
ジンダイはそんなスネ夫の肩に手を掛ける。
「君がうわごとのように「デキスギ」と言っていたのでもしやと思ったが、やはり知り合いだったようだな」
「ああ、ボクらは同じ日に旅立った仲間なんだ」
ジンダイは棚からスネ夫の服を投げる。
「仲間が道を踏み外したなら、それを正すのもまた仲間というものだ」
「勝てないとわかっていても?」
ジンダイは自分の肩の包帯を外しながら答えた。
「どんな困難にも立ち向かう、それがポケモンマスターというものだ」



センターを出たスネ夫とジンダイは旅支度を整えた。
「これからどうすれば……」
「君の仲間は何人かね?」
スネ夫の頭に浮かんだのはいつものメンバー。
「ボクを入れて5人だよ」
「じゃあまずスネ夫君はルネシティのバッジを入手したまえ」
ジンダイがチルタリスを繰り出し、そして乗り込む。
「私は逃げ延びたフロンティアブレーンと合流し、君と君の仲間ののバックアップを行なう」
「わ、わかった。頑張ってみるよ!」
ジンダイは空高く飛び立ち、スネ夫は決意を新たにする。
「いつもみんなで大冒険を繰り返してるんだ、今回だって大丈夫さ!」
そう、ドラえもん達と一緒ならどんな困難にも立ち向かえる。

そしてスネ夫はルネに向かう前にある場所に立ち寄ることにした。
「出木杉がチャンピオンになり、そしてフロンティアがオープンした。となると……」
そう、さらなる戦力アップができるとしたらあそこしかない。



トクサネシティ。
すでにジム戦を終えているしずかやドラえもんに追い付くため、回復したのび太はトクサネジムに向かった。
二人はその間、戦力アップのための特訓を行なっている。
何匹ものマッスグマを物拾いに走らせながら、野生ポケモンと戦って自らのポケモンを鍛えていく。
ドラえもんの新戦力ホエルコはホエルオーに進化しており、その潮吹きの破壊力は凄まじい。
そしてしずかのロコンも炎の石の力でキュウコンへと進化していた。

その日の夜。
「迷ってジムリーダーまで辿り着けなかった……」
センターではいつもの様ののび太がうなだれていた。

二日目。
しずかは浅瀬の洞穴に、ドラえもんはダイビングで欠片集めをする。
ドラえもんはのび太のヒトデマンを何とかスターミーに進化させるべく、グラエナの泥棒を駆使して戦い続けた。
夕方にトレジャーハンターの小屋で待ち合わせた二人は、互いの成果を確認しあう。
「ほら、こんなにたくさんの欠片を手に入れたよ!」
うれしそうに3色の欠片をトレジャーハンターと交換するドラえもん。
「私もドラちゃんにプレゼントよ」
しずかが差し出したのは一個のモンスターボール。



しずかにマッスグマを返すついでに交換で受け取ったそれは……
「こ、これは……ボクにそっくりだ!」
青と白の丸いポケモンはドラえもんの周りをコロコロと転がっている。
「タマザラシっていうのよ」
「ありがとう、ありがとうしずかちゃん!」
しかしドラえもんは知らない。
進化したタマザラシが凶悪な姿に変貌することを。

その夜。
「ジムリーダー直前でPP尽きた……」
やはりのび太はのび太だ、詰めが甘い。

3日目。
ドラえもんとしずかは少し遠出をすることにした。
ドラえもんはのび太の頼みで流星の滝に向かう。
しずかは「キレイハナ」というポケモンが欲しいと言っていた。
それを入手するには流星の滝のソルロックから入手できる「太陽の石」が必要らしいのだ。
「しずちゃんにプレゼントしたいんだ、頼むよドラえも~ん」
久々に頼み事をされ、ドラえもんはうれしくなって二つ返事で受けてしまった。
つくづく甘い性格である。

しずかはフエンタウンに向かった。
理由は一つ、温泉に入りたかったからだ。



注:鬼畜出木杉

フエンタウン。
しずかはここの温泉に浸かっていた。
一日に何度も入るくらいの風呂好きだ、旅で風呂にすら入れない日が多いのには我慢ならなかった。

「あー、気持ちいい!」
今日に限って利用者が誰もいない。
この温泉は混浴なので少しばかりの抵抗があるのだが、しずかも今はタオルも外して開放的になっている。
「やっぱり広い湯槽って気持ちいいわ……」
ドラちゃんのどこでもドアも修理中みたいだし、のび太の奇襲に警戒する必要もない。
手足を思いっきりのばし、しずかは温泉を満喫していた。

「どう?今日は僕らの貸し切りだよ」

男の声?
しずかはとっさに体を隠し、近くに置いたタオルを探す。
『あれ、確かここにあったはずなのに』

「タオルはここだよ、しずかちゃん」
湯煙の中でタオルが宙に浮いている。
いや、なにかにぶら下がっているのだ。
「あ、あなたは出木杉さん!!」
湯煙の中から現れたのは、膨張した股間にタオルをかけている出木杉だった。
「やあ、しずかちゃん。タオルいるんだろ?」
出木杉が下半身でタオルを差し出す。
タオルの先から不気味な物が見え隠れしている。
「出木杉さんのH!変態!」
「今日は君と事を構えるつもりはないよ」
出木杉はしずかにタオルを投げる。



注:鬼畜出木杉

「ひっ!」
そのタオルは何やらべっとりと付いていて、しずかは思わずそれを投げ捨てる。
「今日は君に宣戦布告をしにきただけなんだ」
出木杉は自らの棒を弄びながら語り続ける。
「ここは所詮ゲームの世界だ。現実に戻ればいつもの生活が待っている」
「ゲームだからといって、のび太さんに怪我させていいはずはないわ!」
しずかが立ち上がるが、出木杉の黒い視線にあわてて湯槽に体を戻す。
「ああ、あれは僕の部下がかってにやったことさ」
出木杉は悪怯れもしない。
「僕の目的はただひとつ、しずかちゃん……君が僕に心底服従することなんだ」
しずかは出木杉の言葉に身を凍らせる。
「ポケモンリーグで待っているよ、あの馬鹿達も連れてきて構わない」
「何をしようっていうの!」
しずかの問いに出木杉が答えた。
「君のナイト達が僕を倒せれば君の勝ち、僕が勝てば……僕はしずかちゃんをレイプして、全てを僕のものにする。それだけさ」
しずかの顔色が蒼白になる。
「待っているのも辛いから、少し前払いだ」
出木杉はそう言うと、全裸のしずかを見ながら「スッポンポンのしずかちゃんの前で…イクッ!」と一声あげると欲望を温泉にぶちまけた。
「じゃあ、ごきげんよう」
変わり果てた出木杉を見て、しずかは恐怖で動くこともできない。
湯に漂う白い何かが、出木杉の混沌とした姿のようだった……



トクサネジム。
3日目にしてようやくジムリーダーの下に辿り着いたのび太。

相手は自分と同じくらいの子供が二人。
『ぷ、これは楽勝だな』
のび太の悪い性格である「弱いものに強い」が沸き上がってくる。
「君たちみたいなのに負ける僕じゃないよ、いけ!」
のび太はドククラゲとトロピウスを繰り出した。
「わぁ、色違いのドククラゲだ!」
バリアーを張るドククラゲに驚く二人。
のび太は有頂天になって語りはじめる。
「僕のドククラゲの特性は「ヘドロえき」」
聞かれてもいないのにのび太は特性を暴露してしまう。
「理由は大体の人が考えてることと思うけど能力を「下げられない」だけのクリアボディよりも「HP吸収で逆にダメージ」を与えられるヘドロえきの方が断然お得だからさ」
のび太の自慢は止まらない。
「そして技は、一,バブルこうせん 二,れいとうビーム 三,バリアー 四,ちょうおんぱ。
まず一のバブルこうせんだが、なみのりの方が威力高いがこれを選ばなかった理由はもちろん……」
のび太はフウとランにズビシと指を突き付ける。
「バブルこうせんのPPの多さが魅力だからさ!」
その瞬間、二人が同時に叫んだ。
「サイコキネシス!」



ネイティオとネンドールのサイコキネシスを受け轟沈するドククラゲ。
フウとランがニヤニヤと笑う。
「まさか「これで死角なし、ある意味最強のポケモン」とか思ってない?」
のび太は図星を刺されて何も返せなかった。
子供でもジムリーダー、のび太ごときが偉そうに語れる相手ではないのだ。

結局ジュペッタのナイトヘッドやケッキングの騙し討ちもあり、のび太はジムリーダーに勝利することはできた。
しかしフウとランはバッジを渡す時にさえクスクスと笑っている。
「はい、これがブフッ!このジムの…バッジ…ブフフッ」
「的外れな理論だけど…笑っちゃ…ダメだって……ンブフゥ!」
二人の子供は顔を歪めながら笑いに耐えている。

ジムを出たのび太はカンカンに怒っていた。
「なんだよ、アイツら僕に負けたくせに笑いやがって!」
しかし確かにバブル光線よりは波乗りがいいよな。
のび太は秘伝マシンを取り出した。

その様子をジムの上から見下ろすフウとラン。
「やっぱり使ったね、秘伝マシン」
「まぁあの人はそんな人だと思ってたよ」
二人は耐えきれずに大爆笑した。



ジム戦を終えたのび太がポケモンセンターに帰ってくると、ドラえもんとしずかが深刻な顔で向き合っていた。
「ジム戦、勝ったよ!」
のび太の報告にも眉一つ動かさずに黙りこくる二人。
「どうしたんだよいったい……」
ドラえもんはのび太を隣に座らせ、口を開いた。
「しずかちゃんが出木杉と会ったんだ」
「な、なんだって!」

ドラえもんとしずかは交互に語る。
出木杉がポケモンリーグのチャンピオンになったこと。
僕達に挑戦を挑んできたこと。
そしてあの出木杉が極悪人になっていたこと。

「僕らと戦うって……普通にポケモンバトルをすればいいじゃないか!」
のび太の主張にドラえもんも頷く。
「そうなんだ、バトルをするだけにしては出木杉君のやる事は手が込みすぎている」
しずかはそれを黙って聞いている。
『私が原因だなんて言えない……』
しかも正確にはしずかの貞操がかかっているのだ。
恥ずかしくてそんなことは言えない。
「私、疲れたから部屋に戻るわ。ごめんなさい、のび太さん」
出木杉との遭遇で疲れたんだと思ったのび太達はしずかを見送り、ふたたび話しはじめた。



二階の部屋に戻ろうとしたしずかは、下腹部の鈍い重さが耐えきれなくなっていた。
ストレスによるものだろうか。
「ううっ……」
うずくまるしずかに気付いたジュンサーが駆け寄る。
「大丈夫?」
「は、はい。部屋で休めば……」
その時、ジュンサーはしずかの足元に落ちた血痕に気付いた。

「原因はともかく、おめでとう」
医務室に連れられたしずかはジュンサーに不調の原因を告げられる。
いくつかの道具を手渡され、しずかは自分の部屋に帰った。

しずかはベッドの中で泣いている。
ジュンサーがいうには「過度のストレスで初潮が早まった」らしい。
ストレスの原因は出木杉。
そしてこの戦いに負ければ……
「私、出木杉さんの子供ができちゃうのかな」
その宣告は小学生のしずかにはあまりにも重いものだった。

次の日、三人はトクサネを出ることになった。
旅立つのび太にダイゴが一匹のポケモンを渡す。
「コイツは必ず君の力になってくれる」
「ありがとうございます、ダイゴさん」
三人はダイゴに手を振りながらポケモンに乗る。
ただ、しずかだけは心から笑うことはできなかった。



注:鬼畜出木杉

トクサネを旅立った三人を出木杉は影から見ていた。
「ふふ、しずかちゃんは肝心の事は言わなかったか」
まぁそれでもいい。
いざというときにこれが発覚すれば、のび太達がどうなるか。
それを見るのも一興だ。
そして何よりの朗報は、しずかが初潮を迎えたことだ。
これで完全勝利の暁にはしずかを孕ませ、現実世界でも二人は結ばれるはずだ。

「しかし」
出木杉はひとつだけ気に食わない事があった。

今日もフウとランは退屈そうに挑戦者を待っている。
昨日の挑戦者は最高におもしろかった。
見当違いの理論を振りかざして、結局それが間違いだと認めてしまったあの少年だ。

「あの、ジムに挑戦しにきたんですが」
ワープゾーンから現れたのは一人の少年。
昨日と同じくらいの年齢だろうか?
「ジムリーダーは私たちよ」
「ダブルバトルで勝負だ!」
二人はネンドールとネイティオを繰り出した。
その少年は頭をかきながらポケモンを出す。
「まったく、この作業は面倒だなぁ」
出てきたのはデオキシスただ1体。
「な、なんなの……」
見たこともないポケモンに激しく動揺する二人。
「あいにく、今日はコイツだけしか持ち合わせがなくてね」
デオキシスのシャドーボールがネンドールを戦闘不能にする。
フウとラン、二人がかりでも勝てる相手ではなかった。



注:鬼畜出木杉

「私たちの負けね。じゃあジムバッジを……」
ランがバッジを渡そうとするが、少年はその場を動かずに黙っている。
「どうしたの?」
フウが心配そうに問い掛けると、少年が口を開いた。
「あなた達、ムカつくんですよ」
「え?」
少年がボールから出したのはベトベトン。
ベトベトンはランに襲い掛かり、溶けてランを押さえ込む。
「な、なにするんだ!」
フウが身構えると、少年はそれを制するように口を開いた。
「へたに動くと姉さんの上のベトベトンが大爆発を起こすぞ」
「た……助けて、フウ!」
少年はベトベトンから顔と腰から下だけを出しているランに近付き、語りかける。
「昨日君たちが馬鹿にした少年のことだけど」
二人はぴんときた。
あのノビタという少年のことだ。
「彼は頭は悪いが、それでも僕、出木杉英才のシナリオの中では姫を守るナイト役なんだ」
「そ、それがどうしたっていうのよ!」
口応えするランに張り手をかます出木杉。
「イタッ…!」
「お前らごときが僕達を馬鹿にするな、ということさ」
こいつは普通じゃない。
フウとランは震えが止まらなかった。



注:鬼畜出木杉

「と、いうことで」
ベトベトンがランを拘束したままフウの前にやってくる。
「弟である君がランを犯せば大爆発はしないよ」
「そ、そんな……」
二人は突然の選択に愕然とする。
「さあ、姉さんの貞操と命。どっちをとるんだい?」
フウは無言でファスナーを下ろす。
ランの命には代えられない、せめてランの顔が見えないことが救いだった。
「姉さん、ごめん」
フウは必死でその準備をしようとする。
しかしこの異常事態と姉に対する背徳感で勃つものも勃たない。
「オカズがなけりゃ勃たないってことも知らないの?のび太君を馬鹿にする資格はないな」
出木杉がランのズボンを一気にずり下ろす。
むき出しにされた姉の下半身を見て、フウのそれも元気に立ち上がる。
「姉さん、本当にごめん」
「あ、い、いやぁ…」
フウは自身をその割れ目に当てがうが、最後の一歩が踏み出せない。
出木杉が囁く。
「顔が見えないんだから、ただの尻便器だと思うんだよ」
『姉さんは便器じゃない!』
一瞬身体を強ばらせたフウの尻を、出木杉は勢いよく蹴り押した。
「えっ……」
「ああああああああぁぁぁぁぁっ!」
ランの絶望の叫びが響いた。