「セカンド その2」(2007/05/13 (日) 00:33:43) の最新版変更点
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
[[前へ>セカンド その1]]
「よし、よくやったぞ!ナエトル」
バトルで勝てるのかな、と危惧していたのがウソのように辺りのトレーナーを倒していく僕。
性格が似ているせいか、僕とナエトルのコンビネーションは中々のものだった。
『ここを抜ければコトブキシティか』
タウンマップを見て調べる僕。
何せ、僕はダイヤモンド・パールをプレイした事が無いのだ。
『とりあえず進もう。皆に遅れを取りたくないし』
僕がそう考えていた矢先、建物がずらりと並んでいる町が見えてきた。
コトブキシティだ。
ようやく町に着いた僕は、ひとまずトレーナーズスクールに入ってみた。
『なんだ、こんな事ぐらい全部知ってるさ』
今更習う事じゃないな、と感じた僕は、トレーナーズスクールを後にした。
そして僕が町の中心に来た時だった。
「あれは……スネ夫!」
僕の目に映ったのはスネ夫だ。
「あ、のび太じゃん」
丁度いい所に居合わせてくれた。
コトブキシティからは道が三つに分かれていて、どこへ進めばいいかわからなかったのだ。
ゲームをプレイした経験のあるスネ夫ならきっと知っている……そう踏んでの事だった。
----
それから数分後、僕は東の道を進んでいた。
スネ夫曰く、「東の道に行けばクロガネシティに着く。そこが一番目のジムだ」との事だ。
スネ夫にしては珍しく親切だと思ったけど……。
『今の僕とナエトルなら、ジムリーダーにだって勝てるかも』
僕は急ぎ足でクロガネゲートを抜けていった。
町に着くと、真っ先に耳に入ったのが威勢の良い人の声だった。
炭坑採掘で有名な町と聞く辺り、おそらくその手の仕事の人達の声だろう……。
『なんか、独特な匂いだよな』
僕は心の中でそう呟くと、目的地であるジムへと入っていった。
「ジム戦、お願いします」
僕の目に映ったのは、ジムリーダーのヒョウタ。
「また挑戦者か……いいだろう、受けて立つ」
ジムリーダー認定トレーナーの所を見ると、僕以外の全員の名前があった。
『皆進むの早すぎだろ……常識的に考えて』
僕が心の中で愚痴を吐くと、ヒョウタが1匹目のポケモンを出した。
「いけ、イシツブテ!」
それに合わせて僕もポケモンを繰り出す。
「頼んだぞ、ナエトル!」
初めてのジム戦とあって、僕の胸は今までに無い程高鳴っていた。
----
「ナエトル、はっぱカッター!」
僕の緊張とは裏腹に、ジム戦は終始僕の優勢で進んだ。
岩タイプのポケモンが草タイプのナエトルに勝てるハズも無い。
「負けてしまったか……ほら、これがバッジだ」
ヒョウタはそう言うと、僕にコールバッジを手渡した。
見事に勝利した僕は、ナエトルを回復させるべくポケモンセンターへと歩き出す。
足取りはもちろん、軽やかにだ。
その後ナエトルの回復を済ませた僕は、ふと窓越しに空を見上げた。
空は夕焼けによって赤みがかかっている。
「あれから大分時間が経ったんだな……」
そう考えると、体中に疲れがどっと押し寄せてきた。
「今日はもう寝ようか……」
ひとまず僕はポケモンセンターに泊まる事にした。
ポケモンセンターはトレーナー達の憩いの場でもあり、宿泊する事も可能なのだ。
ベッドの上で「あぁ、疲れた……」と呟くと、僕は深い眠りへ落ちていった。
皆の手持ち
のび太(ナエトルLv15)
----
「ふわぁーあ……」
朝の日差しを直に受け、不本意に目を覚ます僕。
決して清々しい朝ではなかった。
『まだ眠いよ……』
そう思って僕が二度寝しようと思った時、不意にドラえもんの言葉を思い出した。
『確か最初にチャンピオンになった人が勝ち、だったっけ』
確かマサゴタウンへの道中にそんな話をしていた。
「よし、行こう」
僕は自分に言い聞かせるように呟くと、ポケモンセンターを出た。
町の人曰く、「北の道は自転車が無いと行けない」との事なので、僕は元来た道を戻ることにした。
おそらく、コトブキシティから抜ける違う道を行く事になるハズだ。
「あれは……?」
コトブキシティに戻った僕は、町の北側にナナカマド博士の姿を見た。
その隣には助手と思われる女の子、そしてその二人の前には変な格好をしている奴が居る。
『行かなきゃ!』
僕はボールを握り締め、走っていった。
「さっさと研究レポートをよこして下さい。そうしないとその助手を痛い目に合わせますよ」
変な格好をしている奴の一人が言った。
この状況を危険だと察知した僕は、博士の元へと駆け寄った。
「どうしたんですか?博士」
博士は僕を見ると安心したようで、落ち着きを取り戻して言った。
「君は以前の……。コイツ等はギンガ団、ポケモンを使って悪事を働く連中だ」
----
博士の言葉にハッとする僕。
『確かこの前、スネ夫がゲームで「鬱陶しいな、このギンガ団」なんて言ってたような……』
僕が考えていると助手と思われる女の子が言った。
「あなた、トレーナーよね?ダブルバトルでコイツ等をやっつけましょ!」
成る程、ポケモンバトルでやっつけるというワケか。
「わかった!いけ、ナエトル」
女の子の方はピッピを繰り出す。
対して、ギンガ団はケムッソとズバットを繰り出した。
それから程なくして。
「くそ!お前達……覚えてろ!」
「我々の邪魔をすると、痛い目見るぜ!」
ギンガ団の二人は小悪党らしい捨て台詞を吐いて去っていった。
話を聞くと、この女の子の名前はヒカリ。
僕の踏んだ通り、ナナカマド博士の助手を勤めているらしい。
「それじゃあ、僕は行きます」
二人に別れを告げると、僕は北の道を行った所にある洞窟へと走っていった。
『ギンガ団……そんなに気にする事じゃないよな』
そう考えた時、僕は既に洞窟を抜けていた。
そして、心地良い風が僕を包む――だが、それも一瞬だけだ。
直後に、ポツリポツリと雨が降ってきたのである。
「ああ、濡れちゃう……」
僕は降り注ぐ雨から逃げるように走っていった。
----
僕が数分走って着いたのは、至る所に草花が咲いている町――ソノオタウン。
その頃には雨も止み、名残の水滴が花びらから滴り落ちるだけだ。
『どうやら、この町にジムは無いみたいだな』
なら、いつまでもグズグズこの町に留まっている必要も無い。
僕は早くも町を出ることにした。
そして、それは僕が町を出てすぐの事。
「ねーねー、お兄ちゃん」
見ると、小さな女の子が僕の服を掴んでいた。
その子の用件はこうだ。
「私のパパが変な人達に連れ去られて、発電所に閉じ込められてるの。だから……」
つまりは、発電所にいるパパを助け出してくれ、というもの。
『助けたいけど、こんな所で遅れを取ってちゃなぁ……』
僕がそう考えた矢先、女の子は目に涙を溜めていた。
これで僕の選択肢はただ一つ……その子のお父さんを助けることだ。
「よし!お兄ちゃんに任せて!」
僕はそう言うと、勇んで発電所へ向かった。
「あ……!」
発電所の扉の前には、見覚えのある人物が居た。
先程戦ったギンガ団の一味の内の一人だ。
『コイツを倒して中に入るか』
僕は右手でモンスターボールを握り締めた。
----
それから僕はその下っ端を倒し、発電所の中に足を踏み入れた。
見ると、数人の下っ端が僕の周囲を取り囲んでいる。
『や、やばいかも……』
実際、その通りだった。
数人いる下っ端の半分を倒す頃には、ナエトルの体力は限界に達していた。
「トドメだズバット!噛み付く!」
そして、下っ端のズバットがナエトルにトドメを指そうとした時――
「こ、これは!」
目を丸くして驚く僕。
突如ナエトルの体が光り始めたのだ。
「進化……したんだね」
そう、ナエトルはハヤシガメへと進化していた。
体が一回りも二回りも大きくなり、見るからに強そうだ。
「ハヤシガメ、はっぱカッター!」
進化したハヤシガメの力は、なるほど、確かにナエトルのそれとは段違いに強い。
僕は次々を下っ端を倒し、奥へと進んだ。
「あら、下っ端達を倒してきたのね」
奥に居たのは赤い髪をした女の人。
その服装や態度から見るに、ギンガ団の一味である事は間違い無い。
「中々やるようね……私はマーズ。ギンガ団幹部のマーズよ」
そう言うと、マーズはモンスターボールを放った。
----
マーズのボールから出てきたのは、太いネコ。
図鑑によると、ブニャットというらしい。
「ブニャット、だましうち!」
素早い攻撃で僕のハヤシガメを圧倒するブニャット。
やはり、ギンガ団幹部の称号は伊達じゃない。
しかも、僕のハヤシガメはさっきの戦闘で大分消耗している。
最早僕に勝ち目は無かった。
『もう……ダメか』
僕が諦めかけた、正にその時だった。
「おーい、のび太くーん!」
不意に、懐かしい声が耳を通る。
僕は考えるまでもなく察知した。
「ドラえもん!」
そう、傍らのムクバードを従えて立っていたのは……ドラえもんだ。
「ムクバード、翼で打つ!」
ハヤシガメが大分消耗しているとはいえ、実質二対一だ。
いくらギンガ団幹部でも、勝てる確率は限りなく低い。
結果僕達は見事に勝利を納め、マーズは発電所から去っていった。
----
ひとまず僕達はポケモンセンターに戻り、今までの事を話し合った。
「なるほど、ギンガ団がねぇ……」
神妙な顔をして頷くドラえもん。
ドラえもんも僕と同じくこのゲームは未プレイなので、当然ギンガ団の存在は知らない。
「多分、この後も何らかの形で接触する事になるだろうね」
そう言うと、ドラえもんは空を眺めた。
『この後も何らかの形で接触する……』
僕が一人考えに耽っていると、ドラえもんが言った。
「もう暗くなってるし、今日はここで泊まらない?」
僕は迷う事無く賛成した。
今日は色々あって疲れ切っていたからだ。
数時間後、僕達はベッドの上に居た。
「ねぇ、ドラえもん」
「何だい?のび太君」
「いや、何でもない。もう寝よう」
「うん」
僕はドラえもんに何か言おうとしたが、止めた。
『明日に備えて、寝るとするか』
僕は前座がてら欠伸をすると、ゆっくりと目を瞑った。
皆の手持ち
のび太(ハヤシガメLv18)
ドラえもん(ムクバードLv16 他不明)
----
翌日、僕等は朝早くに起床した。
「早く行かないと、ますます遅れるよ?」
と、ドラえもん。
確かに尤もな意見なのだが、どう足掻いてみてもまだ眠い。
僕は半ば睡眠状態のまま、ポケモンセンターを出た。
「眠いよ、ドラえもん……」
「すぐに覚めるって」
「はぁ……」
そんな他愛の無い会話をしている内に、不気味な森が見えてきた。
どうやらハクタイの森と言うらしい。
「は、入るの……?」
「当たり前じゃないか、のび太君」
おそるおそるハクタイの森へと入っていく僕達。
並居るトレーナー達をダブルバトルで倒し、出口に着く頃には僕もドラえもんもフラフラだった。
「ふう……やっと着いたね、ドラえもん」
「そうだね。どうやらこの町にはジムがあるらしいよ」
そのドラえもんの言葉を聞くやいなや、一際目立つ建物へと歩き出す僕。
「のび太君、どこ行くの?」
「ジム戦だよ、ジム戦!」
僕は疲れているにも関わらず、ジムの中へ入っていった。
何故だか知らないけど、勝てる気がしたからだ。
----
それから数分後には、トボトボとジムを出る僕の姿があった。
無論、負けたからだ。
「はぁ……やっぱダメだな」
弱点を突けないハヤシガメは中々決定打が出ず、数で押された末に倒されてしまったのだ。
『新しいポケモンを捕まえるしかない……か』
ひとまず僕は草むらを探索した。
すると……
「あっ!……あれはホーホー?」
いつの間にか辺りは暗くなっていた。
これなら夜行性であるホーホーが居るのも頷ける。
『飛行タイプなら……丁度いいや』
僕はホーホー向かってモンスターボールを投げた。
それから暫くして、僕は再びジムの中へ入っていった。
結果は……快勝。
ドラえもんはと言うと、ムクバードの翼で打つで余裕だったそうだ。
「下のサイクリングロードに行くには自転車が必要らしいね」
メモ帳を見ながら言うドラえもん。
わざわざメモを取る所がドラえもんらしい。
「でも……自転車屋さんの店長はあのビル……ギンガ団のビルで囚われているらしいんだ」
「ギンガ団……だって?」
過剰に反応する僕。
僕達はポケモンを回復させると、ギンガ団の居るビルへと足を進めた。
----
月明かりが町を照らす中、冷たい夜風が容赦無く僕達を吹きつける。
「流石に寒いね、ドラえもん」
「そうだね……早くビルの中に入ろうよ」
このシンオウ地方は北の大地がモチーフとあって、かなり寒い。
僕達は急ぎ足でビルに入ろうとするが……
「木が邪魔で入れないよ、ドラえもん!」
そう、ビルの前には僕達の行く手を阻む木が立っていた。
「どうしよう、ドラえもん……」
「どうにも出来ないよ……」
僕達が半ば諦めかけたその時、黒い服を身に纏った金髪の女の人がやって来た。
その人は名をシロナと言った。
どうやらポケモンの神話について研究しているらしい。
だが、肝心なのはそこからだった。
「まあ、あなた達はポケモン図鑑を持っているのね……」
僕達がポケモン図鑑を持っている事を知ったシロナさんは、ある物を渡してくれた。
「これは秘伝マシンのいあいぎり。ポケモン図鑑を完成させる為の助けになるわ」
とのこと。あっけにとられる僕達を尻目に、シロナさんは去っていった。
「もしや、これで中に入れるんじゃない?」
ドラえもんが秘伝マシンを見ながらボールを取り出す。
「出ろ、コロトック!」
ドラえもんは秘伝マシンをコロトックに使い、僕達は何とかビルに侵入する事が出来た。
----
中の様子は僕が予想していたものと殆ど同じだった。
「ホーホー、つつく!」
「ムクバード、翼で打つ!」
二人がかりでどんどん下っ端を蹴散らしていく僕達。
無論、下っ端如きに負けるハズも無い。
最上階で僕の目に映ったのは、紫色の髪をした女性だった。
『ギンガ団幹部だ!』
僕はすぐさま悟った。
だが、口を開いたのはドラえもんだった。
「お前、ギンガ団幹部だな!」
「あら、良く知ってるわね……そういえば、マーズから連絡が来てたわ」
マーズ……発電所で戦ったギンガ団幹部だ。
「メガネをかけた小僧と青いタヌキに負けちゃった、ってね……行きなさい、スカタンク!」
「僕はタヌキじゃない!猫型ロボットだ!」
「行くよ、ドラえもん!」
僕はホーホーを、ドラえもんはムクバードを繰り出す。
幸い二対一なので、相手が幹部とはいえ有利にバトルを展開出来る。
数分後、見事に幹部を倒した僕達は自転車をゲットしていた。
皆の手持ち
のび太(ハヤシガメLv20、ホーホーLv16)
ドラえもん(ムクバードLv20、コロトックLv15)
----
「う、うわああああああアッー!」
自転車に乗り、サイクリングロードを下る僕とドラえもん。
だが、面倒な事に僕達は二人とも自転車を上手く乗りこなせない。
やっとの事で下り終えた時の疲労は、町内を一周した時のそれを軽く上回っていた。
「タウンマップによると、次の目的地はヨスガシティらしい」
「それってどこ?ドラえもん」
「このテンガン山を抜けたとこ……かな。とりあえず行こう」
暫く歩いていると、やがて薄っすらとテンガン山が見えてきた。
「なるほど……あの山の洞窟を抜けるというわけだね、のび太君」
ドラえもんの先導により、僕達はテンガン山へと入っていった。
「ん?あれは……」
ドラえもんが斜め前方を丸っこい手で指している。
そこには青髪の男が居た。
見ると、こっちへ向かってきている。
「君達は世界の始まりを知っているか?」
何やら難しい事を言う男。
僕は意味がわからなかった。
「昔は争い事など無かった……争っても何の意味も無い。
君達もポケモントレーナーならその事を考えて欲しい」
そう言い残すと、男は首を傾げる僕達を尻目に去っていった。
----
その後僕達はテンガン山を抜け、やっとの事でヨスガシティに着いた。
「はぁ……疲れるよ、ドラえもん」
「そうだね……僕も限界だよ」
僕とドラえもんは既に息が切れている。
やっぱり僕って体力無いんだな……と改めて実感した瞬間だった。
暫くしてここのジムリーダーが居ない事を知らされた僕達は、別行動を取るようになった。
別行動といっても、この町の中での事だ。
「コンテスト会場に行ってみたいんだ」
と、ドラえもん。
僕は特にする事も無いので、町の中を散策する事にした。
「それにしても、この町は民家が多いなぁ……」
僕がそう呟いた時の事だった。
「やあ、野比君」
不意に、僕の後ろから聞き慣れた声がする。
間違い無い……出木杉だ。
「出木杉じゃないか」
そっけない返事をする僕。
僕は元から出木杉の事を良く思っていない。
「この世界に来てから初めて会うね……じゃあ、僕は先を急ぐよ」
特に話すことも無いから、と言いたげに去ろうとする出木杉。
だが、僕はそれを引き止めた。
「待ってよ、出木杉。僕と……勝負だ!」
----
僕に勝負を挑まれ、少し戸惑う出木杉。
『現実の世界では負けちゃうけど……ポケモンでなら勝てるかも知れない』
自分でも幼稚な考えだと思ったが、僕は引かなかった。
前々からこいつだけは気に食わなかった……静香ちゃんとの関係が一番の理由だ。
「いいよ、受けて立とう」
出木杉から返事が来た。
僕と出木杉のバトルが始まる。
「ユンゲラー、サイケ光線!」
「ああ、僕のハヤシガメ……」
勇んで切り出したまでは良かったが、そのバトル内容は酷いものだった。
勝負を挑む時の威勢が嘘のように静まってしまう僕。
自分でも情けなかった。
「それじゃあ、僕は行くから」
ユンゲラーを戻し、何事も無かったかのように去っていく出木杉。
僕はそれを遠い目で見るしか無かった。
『……畜生!畜生!』
宛も無くトボトボと歩いていく僕。
いつの間にか空には夕日が出ていた。
----
それから暫くして、僕はドラえもんに再会した。
「のび太君、何をしてたんだい?」
「いや、何にも……」
無論、真っ赤な嘘だ。
僕はさっき出木杉に負けた……だが、そんな事は口が裂けても言えない。
「ねえ、ドラえもん。今日はここに泊まらないかい?」
僕が提案する。
「えー?もうちょっと進んでからにしない?その方がいいって」
ドラえもんが反論するも、僕はわがままを押し通した。
だが、その理由は疲れたなんて安直なものじゃない。
夜の内にここを抜け出し、一人で旅に出る……それが本当の理由だ。
ドラえもんには悪いけど、何だか一人になりたかったのだ。
そしてこの町に泊まることを決めてから数時間……僕達はポケモンセンターに居た。
「もう寝ようよ、ドラえもん」
本当は寝る気なんて無いのに、わざと眠たそうな顔を作る僕。
だが、僕の心配とは裏腹に、ドラえもんはすぐに眠ってくれた。
夜空では星が幾つか輝いている……いよいよやる時が来た。
「ばいばい、ドラえもん」
僕は小声でそう呟くと、書き置きをドラえもんの枕の傍に置き、忍び足で抜け出した。
「……よし、行くぞ!」
僕は無理に自分を奮い立たせると、夜の草むらに足を踏み入れた。
----
いつに無く早足で進む僕。
この夜でなるべくドラえもんと差をつけたいからだ。
『追いつかれちゃったら面倒だしな……』
そんな事を考えていた矢先、高い塔が僕の目に映った。
一見するとただの不気味な塔だ。
『入ってみようか』
無性に好奇心が沸いてきた僕は、駆け足で塔へと入っていく。
「これは……お墓ばっかりじゃないか」
塔の中は、正に不気味という言葉がそのまま当て嵌まるような光景だった。
その奇怪さに比例して僕の足も震え出す。
『とりあえず一番上の階まで行こう』
震える足を押さえ込み、無理に階段を上っていく僕。
背筋に冷気が走っていくのが自分でもわかる。
そして、最後の段を上り終えた時……
「のび太じゃないか……」
最上階に着いた瞬間目に入ったのは、あのスネ夫だった。
この世界で会うのは二度目になる。
「久しぶりだね、スネ夫」
僕が声をかけると、スネ夫はやけに真剣な表情で僕を見据えた。
----
「なあ、のび太。ギンガ団って知ってるかい?」
突然切り出すスネ夫。
「知ってるよ。旅の途中に戦ったからね」
僕がそう告げた途端、スネ夫は暗い顔になった。
「このタワーを上る途中にスキンヘッドが居ただろ?
そいつのポケモン、ギンガ団に殺されたらしいんだ……」
「えっ……」
僕は驚きを隠せない。
『ギンガ団……そんなに悪い奴等なのか』
「僕は既に知っていたけど、いざこうして聞いてみると悲しいな……」
スネ夫の顔には紛れも無い怒りが表れていた。
「それじゃあ、僕は行くから」
そう言って、立ち去っていくスネ夫。
僕は棒立ちになってそれを見つめていた。
「僕も戻ろうか……」
やがて下の階へと下りていく僕。
だが、その足取りは重かった。
この塔が醸し出している雰囲気もあるが、一番の理由はスネ夫から聞いた話だ。
「あ、町だ……」
ふと窓を覗くと、小さな町――というより、村が目に映った。
幸い眠気が襲ってきた所なので、丁度良い。
僕はそこで一夜を過ごす事にした。
皆の手持ち
のび太(ハヤシガメLv26、ホーホーLv19)
ドラえもん(ムクバードLv25、コロトックLv22)
スネ夫(不明)
[[次へ>セカンド その3]]
----
表示オプション
横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: