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[[前へ>携帯獣 その5]] 『ドラえもんのび太の携帯獣冒険記』 第二章 ♯第九話 「逆襲のオリー」 ドラえもん達が敵と交戦している一方、 のび太とオリーは次々にクラウドの部下達を蹴散らしていた。 二人の周りには、気を失った部下とそのポケモン達が倒れている。 「ほ~、結構強くなったやん、特にその眼鏡」 クラウドは関心したように言う。 部下が散っていくのを見ていたにも関わらず、余裕を保っている。 「今度は気絶だけじゃあ、済まさないわ」 オリーは静かに言う。 オリーは以前のような、狂気に満ちた目をしておらず、 獲物を追い詰めた鷹のような目をしている。 「やってみぃや」 クラウドは完全に戦闘態勢に入った。 「先手必勝や!ドラピオン、どくづき!」 クラウドの指示を受け、ドラピオンはもの凄い勢いで、のび太に突っ込んできた。 「うわあ!」 のび太はシューズを起動し、ドラピオンの攻撃を避けた。 ドラピオンのツメはアスファルトに突き刺さった。 「うはあ~、危なかったあ!」 「ボーっとしない!」 オリーの怒声がのび太の耳に届く、それと同時にオリーのエアームドがのび太を鷲掴みにし、宙を舞った。 「な、何を……うわあ!?」 のび太が驚いた理由、それは、のび太がさっきまで立っていたところに、 ドラピオンの尾が突き刺さっていたからだ。 ---- 「エアームド!エアカッター!」 エアームドはのび太を掴んだまま、翼を振るい、衝撃波を放った。 エアカッターは、ドラピオンの背に直撃した。 「エアームド、のび太君を降ろして、ドリルくちばし!」 エアームドは、のび太を手早く降ろし、くちばしを軸に高速回転し、 ドラピオンに突撃した。 「ドラピオン、つぼをつくや!」 ドラピオンは自分のわき腹の辺りをツメでぐっと押した。 すると、さっきのび太に向かって突っ込んできたときよりも、更に速いスピードで、 エアームドの攻撃を避けた。 「! どういうこと?」 オリーもこのことには驚いている。 クラウドは右手でサングラスをクイっと持ち上げる。 「まあ、この技覚えるやつは少ないからなあ、教えたるわ。 この技は、まあ、人間にもあるけど、ツボを突くことで、肉体を活性化する技なんや。 どや、予想外ってやっちゃろ?」 クラウドは自慢げに語る。 その時のび太はこのことになにも関係無いが、以前、ママがぎっくり腰の治療のため、 針灸に通っていたことを思い出していた。 ---- つぼをつくにより肉体が活性化されたドラピオンは、 先ほどまでとは、雰囲気が違った。 「かかってこいや」 クラウドがオリーを挑発する。 「いいわ、さっさと終わらせる。 エアームド、かげぶんしんからこうそくいどう!」 エアームドは十数匹の自分の分身を作り出し、 分身と共に、一斉にドラピオンにもの凄い速さで突撃した。 「難易度高いなあ、この的当は!ドラピオン、遊んだれや!」 ドラピオンは口を大きく開き、迫ってくるエアームドの分身達を、 ミサイルばりで次々に消していった。 「エアームド、分身を解いて更に加速!」 エアームドの分身が全て消える。 残ったのは、もちろん本体のエアームド一匹。 しかし、エアームドは、今までと比べ物にならないスピードで、 ドラピオンに迫る。 「はがねのつばさ!」 エアームドの翼が銀色に輝く。 「ドラピオン、シザークロス!」 ドラピオンは向かってくるエアームドに上手くタイミングを合わせ、 両腕を振り下ろす。 「とった!」 「まだよ、そのままみきり!」 ドラピオンのシザークロスが当たる直前、エアームドはもの凄いスピードで旋回し、 攻撃を避けた。 「なにっ!」 「いっけええええええええええ!!」 エアームドは一瞬で体制を立て直し、刃のような翼でドラピオンの腹を切り裂いた。 ドラピオンの腹の傷口からは、大量の鮮血が溢れ出す。 ドラピオンは口から血の混じった泡を吹きその場に倒れた。 ---- 『ドラえもんのび太の携帯獣冒険記』 第二章 ♯第十話 「毒雲」 「くぉの……よくもわいのドラピオンを……」 クラウドは息絶えたドラピオンを見つめ、肩を震わせている。 サングラスをかけているので、直にその目は見えないが、 のび太は、怒り狂ったときのオリーと同じ雰囲気を感じた。 「エアームド、いきなさい!」 オリーの命令でエアームドは、羽についた血を振り落とし、 真っ直ぐクラウドに向かって、突撃した。 「ドクロッグ!!」 クラウドは、ドクロッグを繰り出した。 「(あの目……オリーちゃんが狂ったときの、ミミロップとかと、 同じ目だ! あれはヤバイ!!)」 のび太は直感的にそう感じた。 「モウカザル、援護するんだ!」 モウカザルは走り出す。 しかし、エアームドは既にドクロッグと対峙していた。 「つばさでうつ!」 エアームドは翼を振るい、ドクロッグを襲った。 ドクロッグはエアームドの攻撃をもろに受けたが、不敵な笑みを浮かべた。 「(な、何!?)」 オリーは、その笑みに悪寒を感じた。 「かわらわり!!」 ドクロッグは思いっきりエアームドの頭を殴りつけた。 エアームドへのダメージは大きいようで、エアームドはバランスを崩し、倒れてしまった。 「エアームド!」 「終わらんでぇ!! ドクロッグ、仕留めろ!」 オリーが腰から、ボールを取り出すよりも速く、 ドクロッグは拳にある、毒のツメをにゅっと出し、 それを、エアームドの目玉に突き立てた。 ---- エアームドは、目玉を刺された直後に、ボールに回収された。 「エアームド! エアームド!!」 オリーは動かなくなったエアームドに必死に呼びかける、 しかし、エアームドはぴくりともしなかった。 ドクロッグのツメには猛毒がある。 それを、脳に近い、目に突き刺されたのだから、ひとたまりもなかったのだろう。 「いやぁぁぁぁぁぁぁあぁああ!!」 オリーは涙をこぼしながら、その場に膝まづいた。 「オリーちゃん! くそお!モウカザル、かえんぐるまだ」 モウカザルは尻尾の先にある、炎を大きくし、前回転しながら、ドクロッグに突進した。 「避けろ、ドクロッグ」 モウカザルの攻撃はいとも簡単に避けられてしまった。 しかし、ドクロッグの特性はかんそうはだ、直接触れなくても、 高温で、体が乾いてしまうようだ。 その証拠に、右肩が、少しパリパリになっている。 「ドクロッグ、どくづき!」 ドクロッグは、怒りに満ちた瞳で、モウカザルをひと睨みし、 あの猛毒のツメを立てて、飛びかかってきた。 「負けるか!マッハパンチ」 モウカザルは足の力を最大限に発揮し、もの凄い速さで間合いを詰め、 ドクロッグの顔面を殴った。 ドクロッグはカウンターの右ストレートを顔面に受け、ノックダウンした。 ---- 「さあ、次を出せクラウド! やっつけてやる!」 のび太はかなり興奮していた。 オリーのエアームドが殺されたこともあるが、 自分やポケモンの力が確実に以前よりも高まっていることに、 不謹慎ではあるが、喜びを感じていたのだ。 「じゃかましい! 調子こくなよ餓鬼ィ!!」 クラウドはニドキングを繰り出した。 ニドキングは以前と同様に、冷たくて、見下した目をしていた。 「はかいこうせん!!」 ニドキングの口から、衝撃波が放たれる。 「ベーだ!当たるもんか!」 のび太とモウカザルは、はかいこうせんを避けた。 しかし、クラウドは攻撃が外れたにも関わらず、 ニヤニヤと笑っている。 「(何が可笑しい……? まさか!!)」 のび太は慌てて振り返った。 はかいこうせんは、それほどスピードはないが、 オリーの方へ、真っ直ぐ向かっていた。 オリーは泣き崩れていて、そのことに気づいてはいない。 そう、クラウドは最初から、オリーを狙っていたのだ。 「オ、オリーちゃぁぁあん!!」 ----
[[前へ>携帯獣 その5]] 『ドラえもんのび太の携帯獣冒険記』 第二章 ♯第九話 「逆襲のオリー」 ドラえもん達が敵と交戦している一方、 のび太とオリーは次々にクラウドの部下達を蹴散らしていた。 二人の周りには、気を失った部下とそのポケモン達が倒れている。 「ほ~、結構強くなったやん、特にその眼鏡」 クラウドは関心したように言う。 部下が散っていくのを見ていたにも関わらず、余裕を保っている。 「今度は気絶だけじゃあ、済まさないわ」 オリーは静かに言う。 オリーは以前のような、狂気に満ちた目をしておらず、 獲物を追い詰めた鷹のような目をしている。 「やってみぃや」 クラウドは完全に戦闘態勢に入った。 「先手必勝や!ドラピオン、どくづき!」 クラウドの指示を受け、ドラピオンはもの凄い勢いで、のび太に突っ込んできた。 「うわあ!」 のび太はシューズを起動し、ドラピオンの攻撃を避けた。 ドラピオンのツメはアスファルトに突き刺さった。 「うはあ~、危なかったあ!」 「ボーっとしない!」 オリーの怒声がのび太の耳に届く、それと同時にオリーのエアームドがのび太を鷲掴みにし、宙を舞った。 「な、何を……うわあ!?」 のび太が驚いた理由、それは、のび太がさっきまで立っていたところに、 ドラピオンの尾が突き刺さっていたからだ。 ---- 「エアームド!エアカッター!」 エアームドはのび太を掴んだまま、翼を振るい、衝撃波を放った。 エアカッターは、ドラピオンの背に直撃した。 「エアームド、のび太君を降ろして、ドリルくちばし!」 エアームドは、のび太を手早く降ろし、くちばしを軸に高速回転し、 ドラピオンに突撃した。 「ドラピオン、つぼをつくや!」 ドラピオンは自分のわき腹の辺りをツメでぐっと押した。 すると、さっきのび太に向かって突っ込んできたときよりも、更に速いスピードで、 エアームドの攻撃を避けた。 「! どういうこと?」 オリーもこのことには驚いている。 クラウドは右手でサングラスをクイっと持ち上げる。 「まあ、この技覚えるやつは少ないからなあ、教えたるわ。 この技は、まあ、人間にもあるけど、ツボを突くことで、肉体を活性化する技なんや。 どや、予想外ってやっちゃろ?」 クラウドは自慢げに語る。 その時のび太はこのことになにも関係無いが、以前、ママがぎっくり腰の治療のため、 針灸に通っていたことを思い出していた。 ---- つぼをつくにより肉体が活性化されたドラピオンは、 先ほどまでとは、雰囲気が違った。 「かかってこいや」 クラウドがオリーを挑発する。 「いいわ、さっさと終わらせる。 エアームド、かげぶんしんからこうそくいどう!」 エアームドは十数匹の自分の分身を作り出し、 分身と共に、一斉にドラピオンにもの凄い速さで突撃した。 「難易度高いなあ、この的当は!ドラピオン、遊んだれや!」 ドラピオンは口を大きく開き、迫ってくるエアームドの分身達を、 ミサイルばりで次々に消していった。 「エアームド、分身を解いて更に加速!」 エアームドの分身が全て消える。 残ったのは、もちろん本体のエアームド一匹。 しかし、エアームドは、今までと比べ物にならないスピードで、 ドラピオンに迫る。 「はがねのつばさ!」 エアームドの翼が銀色に輝く。 「ドラピオン、シザークロス!」 ドラピオンは向かってくるエアームドに上手くタイミングを合わせ、 両腕を振り下ろす。 「とった!」 「まだよ、そのままみきり!」 ドラピオンのシザークロスが当たる直前、エアームドはもの凄いスピードで旋回し、 攻撃を避けた。 「なにっ!」 「いっけええええええええええ!!」 エアームドは一瞬で体制を立て直し、刃のような翼でドラピオンの腹を切り裂いた。 ドラピオンの腹の傷口からは、大量の鮮血が溢れ出す。 ドラピオンは口から血の混じった泡を吹きその場に倒れた。 ---- 『ドラえもんのび太の携帯獣冒険記』 第二章 ♯第十話 「毒雲」 「くぉの……よくもわいのドラピオンを……」 クラウドは息絶えたドラピオンを見つめ、肩を震わせている。 サングラスをかけているので、直にその目は見えないが、 のび太は、怒り狂ったときのオリーと同じ雰囲気を感じた。 「エアームド、いきなさい!」 オリーの命令でエアームドは、羽についた血を振り落とし、 真っ直ぐクラウドに向かって、突撃した。 「ドクロッグ!!」 クラウドは、ドクロッグを繰り出した。 「(あの目……オリーちゃんが狂ったときの、ミミロップとかと、 同じ目だ! あれはヤバイ!!)」 のび太は直感的にそう感じた。 「モウカザル、援護するんだ!」 モウカザルは走り出す。 しかし、エアームドは既にドクロッグと対峙していた。 「つばさでうつ!」 エアームドは翼を振るい、ドクロッグを襲った。 ドクロッグはエアームドの攻撃をもろに受けたが、不敵な笑みを浮かべた。 「(な、何!?)」 オリーは、その笑みに悪寒を感じた。 「かわらわり!!」 ドクロッグは思いっきりエアームドの頭を殴りつけた。 エアームドへのダメージは大きいようで、エアームドはバランスを崩し、倒れてしまった。 「エアームド!」 「終わらんでぇ!! ドクロッグ、仕留めろ!」 オリーが腰から、ボールを取り出すよりも速く、 ドクロッグは拳にある、毒のツメをにゅっと出し、 それを、エアームドの目玉に突き立てた。 ---- エアームドは、目玉を刺された直後に、ボールに回収された。 「エアームド! エアームド!!」 オリーは動かなくなったエアームドに必死に呼びかける、 しかし、エアームドはぴくりともしなかった。 ドクロッグのツメには猛毒がある。 それを、脳に近い、目に突き刺されたのだから、ひとたまりもなかったのだろう。 「いやぁぁぁぁぁぁぁあぁああ!!」 オリーは涙をこぼしながら、その場に膝まづいた。 「オリーちゃん! くそお!モウカザル、かえんぐるまだ」 モウカザルは尻尾の先にある、炎を大きくし、前回転しながら、ドクロッグに突進した。 「避けろ、ドクロッグ」 モウカザルの攻撃はいとも簡単に避けられてしまった。 しかし、ドクロッグの特性はかんそうはだ、直接触れなくても、 高温で、体が乾いてしまうようだ。 その証拠に、右肩が、少しパリパリになっている。 「ドクロッグ、どくづき!」 ドクロッグは、怒りに満ちた瞳で、モウカザルをひと睨みし、 あの猛毒のツメを立てて、飛びかかってきた。 「負けるか!マッハパンチ」 モウカザルは足の力を最大限に発揮し、もの凄い速さで間合いを詰め、 ドクロッグの顔面を殴った。 ドクロッグはカウンターの右ストレートを顔面に受け、ノックダウンした。 ---- 「さあ、次を出せクラウド! やっつけてやる!」 のび太はかなり興奮していた。 オリーのエアームドが殺されたこともあるが、 自分やポケモンの力が確実に以前よりも高まっていることに、 不謹慎ではあるが、喜びを感じていたのだ。 「じゃかましい! 調子こくなよ餓鬼ィ!!」 クラウドはニドキングを繰り出した。 ニドキングは以前と同様に、冷たくて、見下した目をしていた。 「はかいこうせん!!」 ニドキングの口から、衝撃波が放たれる。 「ベーだ!当たるもんか!」 のび太とモウカザルは、はかいこうせんを避けた。 しかし、クラウドは攻撃が外れたにも関わらず、 ニヤニヤと笑っている。 「(何が可笑しい……? まさか!!)」 のび太は慌てて振り返った。 はかいこうせんは、それほどスピードはないが、 オリーの方へ、真っ直ぐ向かっていた。 オリーは泣き崩れていて、そのことに気づいてはいない。 そう、クラウドは最初から、オリーを狙っていたのだ。 「オ、オリーちゃぁぁあん!!」 ---- 『ドラえもんのび太の携帯獣冒険記』 第二章 ♯第十一話 「血」 瓦礫が散乱し、気を失った人々が倒れているこの場所は、 ジャイアンとユウマが熱戦を繰り広げていた、 捕獲装置の製造現場だ。 ユウマはあれからも、フライゴンが疲れきるまで、 怒りに任せ、はかいこうせんを撃ち続けたのだ。 もちろん、他の団員には当たらないようにだ。 「もう、死体すら残ってはいないだろうな」 ユウマは、フライゴンの背から降り立ち、 クレーターと化した、ジャイアンのいた場所を歩いた。 「しかし、なんだって『エルド』を裏切るようなことをしたんだ……」 ユウマはジャイアンとの短かったが、なんとなく楽しかった時間を思い出していた。 「いや、あの裏切り者のことはもう忘れなくては。 とりあえず、クラウドさんに、現状報告をしなくちゃ」 ユウマは、クレーターから出て、通信機のある場所へ向かった。 「これで、よし。あいつがアンテナを折った所為で、時間かかったよ」 ユウマは回線を回復させ、クラウドと連絡を取ることにした。 ユウマはクラウドの無線のIDを入力した。 本来ならば、ここで画面に「通信中」とでるが、 「エラー」の画面が表示された。 「? まだ駄目か……仕方ない、もう一度」 ユウマは回線を直そうと、振り向いた。 すると、彼の目の前には、砂だらけになったジャイアンが、仁王立ちしていた。 「ひっ!!」 ユウマは思わず、変な声を発してしまった。 ジャイアンは何も言わず、ユウマの顔面を力いっぱい殴った。 ---- ジャイアンに殴られたユウマは、鼻血を噴出し、転倒した。 「ぐうう……何故生きてる?」 ユウマは鼻を抑えながら、ジャイアンに問う。 「てめえの一発目のはかいこうせんのとき、 俺は、ドードリオを出し、あの場所から離脱したんだ。 で、お前がそれに気づかず、撃ちまくっている隙に、 俺はキングラーのあなをほるで、隠れていたわけよ」 「ひ、卑怯な……」 「うっせえ!気づかないやつが悪いのさ!!」 ジャイアンは再び、ユウマの顔面を殴った。 ユウマは、鯨の潮吹きのごとく、鼻血を噴出し、 気絶した。 「……おめえとは、もう少し仲良くなりたかったぜ」 ジャイアンは、どこか寂しげな、表情を浮かべ、 ユウマを見つめていた。 「おっと、そろそろやらねえと」 ジャイアンは、捕獲装置を破壊するため、 工具入れに入っていた。爆弾らしきものをいくつか引っ張り出してきた。 ジャイアンは、それを捕獲装置に縄を使って巻きつけた。 「さて、あとは火だな」 ジャイアンは、バーナーを取り出し、爆弾から長さが80mほどある導火線に 火をつけた。 ---- 導火線についた火は、一気に爆弾をめがけた。 「トンズラするぜ!」 ジャイアンはドードリオを出し、建物から脱出した。 そして、その数秒後。 建物からもの凄い爆音が響いた。 ジャイアンの作戦は、成功したのだ。 「よし、これで地龍は捕まらねえだろ。 次は本部だな。まさに俺ってヒーローだな」 ジャイアンはブツブツ言いながら。 建物を後にしようとした。 すると、彼の肩に、一滴の水が落ちた。 「ん?雨か?」 ジャイアンはふと上を見た。 そこには、一塊の真っ黒な大きな雲が頭上を覆い尽くしていた。 ジャイアンが、驚きのあまり、口をパクパクしていると、 雨が一気に強くなった。 「な、なんだこりゃ?」 「雨、好き?」 ジャイアンの背後から、突然少女の声がした。 ジャイアンは恐ろしくて、振り向けなかった。 「あたしは好きよ、だって、雨って……」 少女が何かポケモンを繰り出した。鳴き声は豪雨のせいで聞こえない。 「返り血をながしてくれるもん」 ジャイアンの顔がさっと青ざめる。 それと同時に、ジャイアンの首筋を何かが掴んだ。 「あたしは『時雨巫女 レイン』。天国へのおみやげにおぼえといて」 ジャイアンの首から鮮血が噴出す。 ---- 『ドラえもんのび太の携帯獣冒険記』 第二章 ♯第十三話 「死?」 「ぐお……」 首から血を吹き出したジャイアンは、ドードリオの背から落ちた。 そんなジャイアンに追い討ちをかけるように、雨は一層激しくなる。 「ま、まだ死ぬわけには……」 ジャイアンはポケットをまさぐり、「ヒトデマン軟膏」を取り出した。 「なにやってんの?」 レインはジャイアンに行動に気づいたようだ。 「無理しちゃ、だぁめ」 ジャイアンを襲ったポケモンが、ジャイアンの手から軟膏を叩き落とす。 ポケモンの正体は、オーダイルだった。 「ぐ、いけドードリオ……」 ジャイアンの必死の命令に応えたドードリオは、オーダイルに突撃した。 「皆、たの……む」 ジャイアンは手持ちを全て繰り出し、必死に抵抗した。 しかし、首から流れる血は収まらず、どんどん流れていく。 「そろそろ、まずいんじゃない?」 ジャイアンの耳には、レインの言葉がほとんど届いていなかった。 豪雨のせいもあるが、彼の意識は消え入る寸前だったのだ。 「ちくしょ…う、俺は…絶対的な……」 ジャイアンはとうとう、その場に倒れてしまった。 ---- 『ドラえもんのび太の携帯獣冒険記』 第二章 ♯第十四話 「葛藤」 ところ変わって、ドラえもん達。 あれからも、女の猛攻は続き、頼みの綱のしずかのガラガラも、 苦手な湿気で、疲弊していた。 『そろそろ、諦める?』 相変わらず、女は霧の向こうから挑発する。 相手をじわじわとなぶり殺す戦法が好きなのだろうか? よっぽどドSであるのか? 「ドラちゃん、次に敵のライボルトがとっしんしてきたら、 私のガラガラが……」 しずかは、ガラガラの頭を優しく撫でる。 ドラえもんは怒っていた。敵に対してだけでは無く、 幼い少年少女を助けることすらできない自分に腹が立っていたのだ。 『そろそろ、終わりにしましょう?だって意外にあなたたち抗わないもん』 女の声が途切れる。その直後、しずかのガラガラが悲鳴を上げ、倒れた。 「ガラガラ!」 しずずかが、ガラガラを回復させようとする。 しかし、無情にも、ガラガラは、頭がかち割られ、死んでいた。 「いやああああああ!」 しずかが絶叫する。その時、彼女の背後に人影が現れた。 ---- 『ドラえもんのび太の携帯獣冒険記』 第二章 ♯第十五話 「覚悟」 「しずかちゃん!後ろだ!」 ドラえもんが叫ぶ。 「えっ?」 しずかは振り向くも、時既に遅く、しずかは、凄まじい蹴りを喰らって、 宙を舞った。そしてそのまま、地面に落ちた。 「これで2匹目ね」 女がゆっくりとドラえもんの方を向く。 女は眼鏡をかけ、水色の長い髪を腰まで伸ばしている。 「初めまして、ドラえもん君。私は『エルド』の幹部の『魔霧乙女 ミスト』よ」 「か、幹部……?クラウドと同じか?」 ミストはククっと小さく笑う。 「まあ、立場上では同じだけど、あいつより私の方が数倍強いわ」 ミストは自信たっぷりに言う。 その間ドラえもんは、こっそりとボールを手にしていた。 「(今、こいつは自分の自慢話に夢中だ!パッチールで混乱させて、一気に叩く!)」 意を決したドラえもんはボールをもっている右手を振り上げる。 しかし、その瞬間。パッチールのボールは真っ二つにされてしまった。 中に入っていたパッチールは、もちろん無残な姿になっている。 「な……」 ドラえもんはミストの方を見る。 ミストは片足をドラえもんの方に向けていた。 彼女の履いている靴から、機械音がしている。 ---- 「ウフフ、びっくりした? 私が、戦闘用の手持ちが少ないのは、私自身が戦えるからよ。 それも、並のポケモンは瞬殺できるわ。 そこのパッチールみたいにね」 ミストはドラえもんのパッチールを指差す。 「そ、その靴は一体?」 「ああ、この靴? いいわ、教えてあげる。 この靴の名は「エアロ・ウォーカー」。 言うなれば、ランニングシューズの改造版かしら。 さっきみたいに、この靴の裏からは、エアスラッシュ並の 空気の刃が飛ばせるの、よッ!!」 ミストは説明していたかと思うと、いきなり片足を振り上げ、 ドラえもんに刃を飛ばした。 ドラえもんはそれを受け、吹き飛んでしまった。 頑丈なドラえもんでも、かなりのダメージを受けた。 「ふ~ん。やっぱそれなりに頑丈なのね」 ドラえもんはふらつきながらも立ち上がる。 「僕は負けない! おまえらみたいな悪党なんかには決し」 ドラえもんは言い終わらないうちに、蹴り飛ばされてしまった。 やはり、ランニングシューズのような、加速能力があるのだ。 「バッカじゃないの!? 勝てないってわかってるじゃないの!」 ミストは更にドラえもんに猛攻を加える。 ---- ドラえもんはあらゆる場所を蹴られ続けた。 彼は、意識がもうろうとしていた。 「さあ、トドメ!!」 ミストは凄まじい蹴りをドラえもんの腹に浴びせる。 「あっ……ガ……」 ドラえもんは腹の方から「カチッ」という音を聞き、倒れた。 ミストは息づかいが荒いまま、ドラえもんの頭を踏みつけた。 まさにSだ。 「さあて、そろそろ壊れてもらおうかしら」 「ま……まだだ!!!」 ドラえもんは力の限りミストを払いのけた。 「僕は皆を守らなきゃいけないんだ!! お前なんかに倒されているヒマはない!!」 ミストの目が冷たくなる。 「なら死ね!」 ミストの放った刃がドラえもんめがけ飛んでくる。 「僕は、負けない!」 ドラえもんが叫ぶ、その瞬間。 ドラえもんのポケットが光り輝いた。 「こ、これは!」 ドラえもんは素早くポケットに手を突っ込み、あるものを取り出した。 次の瞬間。ミストは腹から血を噴出していた。 「え……!?」 ミストはその場にがっくりと膝を落とす。 「私の刃を跳ね返したとでも言うの……? あんたの手持ちにはミラーコートなんて使えるやつ……」 ミストはそこで、倒れた。 ドラえもんの手には、赤いマント―ヒラリマントが握られていた。 ---- 『ドラえもんのび太の携帯獣冒険記』 第二章 ♯第十六話 「復活のドラ」 ドラえもんはヒラリマントを握り締めたまま、 呆然としていた。 「……どうして、ポケットが使えるようになったんだろう?」 ドラえもんはおもむろにポケットに手を突っ込み、 まさぐってみた。 すると、手に懐かしいものが触れた。 「タ、タケコプター!!」 ドラえもんの十八番のタケコプターが久しぶりに顔を出した。 「あ、そうだ! しずかちゃんとスネ夫君を治療しなきゃ」 ドラえもんは一縷の希望にかけ、ポケットを再びまさぐった。 「あ、あった。おいしゃさんカバンだ!」 しずか、スネ夫は早めに治療したかいもあり、すぐに意識を取り戻した。 しかし、霧は晴れる様子はなかった。 「スネ夫君、君はこの霧を発生させているポケモンを見たんだね?」 スネ夫は頷く。 「そうさ、コータスとオニゴーリの二匹で何かしてたよ」 「そのポケモンが原因とみて間違い無さそうだな」 ドラえもんはポケットに手を突っ込み、タケコプターを三つ取り出した。 「ド、ドラちゃん!!どうしたのよこれ?」 しずかは目を丸くして驚いている。 「さっきの戦いでポケットが使えるようになったんだ。 さあ、これで、ケリをつけに行こう!」 三人はタケコプターを頭に着け、大空に飛び立った。 ---- 霧を脱出した三人はすぐに、霧の元である、 コータスとオニゴーリを見つけた。 二匹は双極に位置していて、 コータスは熱気を、オニゴーリは冷気を口から放っていた。 「霧の発生は……あったかくて湿り気のある空気が、 冷たい空気と混ざってできる……。 成る程ね、ミストはそれを戦闘に利用してたのか」 ドラえもんが関心している。 「どーでもいいから、あいつらを倒そう!」 スネ夫がイライラしながら言う。 「わかったよ、じゃあ、僕がコータスをやっつける。 しずかちゃんとスネ夫君は、オニゴーリをお願い」 ドラえもんの指示に二人は頷く。 「さあ、あいつらを倒してのび太君を助けに行こう!」 三人は二手に分かれて、敵に殺到した。 ---- 『ドラえもんのび太の携帯獣冒険記』 第二章 ♯第十七話 「怒りと信念と」 ところ変わって、のび太&オリー組。 クラウドのニドキングが放ったはかいこうせんが、 今まさにオリーに命中しようとしていた。 「オ、オリーちゃああああああああん!!!」 のび太は声を張り上げ、オリーの元に走った。 しかし、シューズの力を持ってしても、 光線は追い抜けなかった。 「逃げてぇええええええ!!」 のび太の必死の声にオリーは、はっと顔を上げた。 しき、無情にも、はかいこうせんは、オリーに直撃し、爆音を上げた。 「そ、そんな……」 のび太は煙が立ち込めるオリーのいた場所を前に、 膝を落とした。 「ハハハハハハハハハハハ!! ざまあないなあ!!」 クラウドが腹を抑えて大笑いをしている。 ニドキングも満足そうな顔をしている。 のび太はその笑い声を聞きながら、唇をかみ締め、涙をこぼしていた。 そして、クラウドを睨みつけ、モウカザルと共に突撃していった。 のび太の目はかつてのオリーと同じく「憎しみ」の一文字で表せた。 ---- 「モウカザル! かえんぐるまだ!」 のび太は喚き散らすように、モウカザルに命令した。 モウカザルは火炎を纏い、ニドキングに激突した。 しかし、ニドキングはケロリとした表情を浮かべ、 モウカザルを払いのけた。 「くそおお! マスキッパ、ヤミカラスも行けえ!」 のび太は二匹を繰り出した。 「マスキッパは、ニドキングを押さえ込め! ヤミカラスはとにかく攻撃だ!」 のび太の命令通り、マスキッパは触手を伸ばし、ニドキングの手足を縛りつけ、 自由を奪った。 「よし、やっちゃえ、ヤミカラス!」 のび太はほとんど勢いに任せ、ヤミカラスに指示した。 それが裏目に出るとは分からずに。 「あほかおのれは!!」 「え」 クラウドが一喝する。 その直後、ニドキングは両手足に巻きついた触手を力いっぱい引きちぎった。 マスキッパの触手のちぎれた部分から、緑色の血が吹き出す。 そして、ニドキングはそのまま、突進してくるヤミカラスをなぎ払った。 ---- 「マスキッパ、ヤミカラス!」 のび太は慌てて、二匹の元に駆け寄った。 マスキッパは大量に出血し、ヤミカラスは翼が片方折られていた。 「ったく……これだから、ガキは……。ようく見てみいや」 クラウドはのび太の後方を指差す。 のび太はさっと振り返った。 「! あああああ!」 のび太の視線の先には、オリーが倒れていたのだった。 「オリーちゃん!」 のび太は、三匹をボールに戻し、クラウドがいるのにも関わらず、 オリーの元に駆け寄った。 「オリーちゃん?」 オリーは気絶しているだけで、呼吸も正常だった。 体は爆煙のススで汚れていたものの、怪我は何一つ無かった。 ただ、オリーの右腕―機械の腕はグシャグシャに壊れていた。 「ど、どーゆーこと?」 「わいも気づかへんかったけど、そいつ、その機械の右腕を盾にしたみたいやな。大したやっちゃ」 クラウドが言う。 「さて、そろそろ頭冷えたか? さっきは、自分のポケモンに酷いことしちゃったなあ」 「うん……僕は馬鹿だ……。ポケモン達にイライラをぶつけた挙句に、怪我をさせちゃった。 でも、僕はふっ切れたよ!」 のび太はまだ、元気のあるモウカザルのボールを握る。 「僕にまた力を貸してよ、モウカザル?」 その言葉に呼応したように、モウカザルは紅く輝きだした。 最終進化の兆しだ! 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