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「ドラーモン作大長編 その2」(2007/06/03 (日) 16:34:22) の最新版変更点
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ジャイアンとスネ夫はハギ老人の小屋に向かっている。
途中サン・トウカで木の実を貰っていこうとしたが、なぜか閉店していて店にも入れなかった。
トウカの森でジャイアンはナマケロをゲットし、ようやく二匹目の仲間を得た。
「ぷっ、こいつのび太みたいだぜ!」
「そうだねジャイアン、じゃあ「のびた」って名付けようよ」
話を合わせながらスネ夫は自分のポケモンを確認した。
ジュプトルにキャモメ、そしてツチニン。
『ツチニンさえ進化すれば……』
力押しのジャイアンは技の相性を覚えきっていない。
ヌケニン一匹で完封できるだろう。
『今に見ていろ、馬鹿ゴリラ!』
のび太は今まで走り込んだ成果を確認するために育て屋にいた。
「メノクラゲは12、ゴクリンは13レベル上がってるね」
「やった!すごいや!」
その時ののび太は重大な事に気付いていなかった。
トボトボと育て屋を後にするのび太。
「引き取り料、二匹で2700円だって……」
当然のび太にそんな持ち合わせもなく、引き取りできないまま店を出てきたのだ。
「ん?これからもボクが歩く毎に引き取り料が増えていくってこと?そりゃないよ~」
この歳で借金苦に襲われるとは、つくづく運のない男である。
----
キンセツシティでのび太がただ空を見上げていた。
「これからどうしよう……」
ふとキンセツジムを見ると、入り口に一人の少年が立っている。
えらく身なりがいいところを見ると、スネ夫みたいな金持ちの坊っちゃんなんだろう。
『今のボクとは雲泥の差だな』
そう思いながら見ているとその少年と目が合う。
「こんにちは」
「こ、こんにちは…」
その少年はミツルと名乗った。
「何かお困りのようですが、どうしたんですか?」
「それがね…」
のび太はミツルに今までの経緯を話しだした。
「つまり、川で溺れて毒ガスで気絶して、挙げ句の果てに金欠で自分のポケモンを引き取れないって事ですか。んぶ、ぶふふ…」
ミツルの口は閉じているが、口の端から息がピューピューと漏れている。
笑いを誤魔化すのに必死なのだろう。
「ぷぷぷ、の、のび太くん…だっけ。育て屋の代金、立て替えてあげるよ…ぶははは!」
ついに声を上げて笑いだすミツルにのび太はすがりつく。
「助けてくれるの!ありがとう、本当にありがとう!」
涙と鼻水混じりののび太の顔を見て、ミツルは笑いが止まらなかった。
育て屋から出て、何度も何度も礼を言いながら去っていくのび太を見て、ミツルはつぶやいた。
「ポケモントレーナーにもこんな底辺があるのか。ああはならないように僕も頑張らないと……」
結果的にキンセツジム挑戦を断念したミツルだった。
----
ムロタウン。
ジャイアンとスネ夫は石の洞窟でフラッシュの秘伝マシンをもらうと、その場でポケモンの育成をしていた。
ムロジムのトウキが持つマクノシタはレベル19。
最低でもそれは超えておこうという計画である。
まだフラッシュは使えないが、暗闇の中でもハシゴの近くでウロウロしていればとりあえず野生ポケモンとの遭遇は可能だ。
「おーいスネ夫、ココドラをゲットしたぜ!」
「ジャイアン、ボクもズバットを手に入れたよ!」
暗い洞窟内、二人は互いの成果を声で確認していた。
「ココドラはボスゴドラに進化するんだよな、ボスって響きが俺様らしくていいぜ!」
「そうだねジャイアン!」
そう声をかけたスネ夫、しかし頭の中はまったく別のことを考えていた。
『ジャイアンのすぐ後ろではボクのツチニンが潜んでいる。これでダブルバトル扱いになってツチニンも成長するよ』
馬鹿なジャイアンは本来の半分の経験値で満足しているに違いない。
『今のうちにボクはズバットを育成させてもらうよ。ボスゴドラなんか怪しい光で簡単に無力化できるさ』
スネ夫の下剋上計画も順調に進んでいた。
----
一通り鍛練を終えたジャイアンとスネ夫はムロジムに戻ってきた。
「まずはジャイアンの番だよ」
「スーネー夫ー」
「な、なんだいジャイアン?」
ジャイアンがこういう声色になるとき、次にくる言葉は大体決まっている。
「スネ夫、お前のキャモメ寄越せよ」
「えええええええ!」
「なんだよ、俺のいうことが聞けないってのか!」
こうなってしまってはもうどうにもならない。
スネ夫は諦めてジャイアンのナマケロ(のびた)とキャモメを交換した。
『肉ダルマめ、この恨み晴らさでおくべきか…』
ジムリーダーのトウキとの戦いはジャイアンの快勝だった。
キャモメの翼で打つ攻撃は次々とクリーンヒットし、相手の攻撃は猫だまし程度しか当たらなかった。
スネ夫は決め手にかけた手持ちポケモンだったが、ジャイアンのジム戦でこっそり出しておいたズバットが超音波で捨て身の活躍。
おかげでジュプトルVSマクノシタのタイマンに持ち込み、何とか勝利したのだった。
「はははっ、だらしねーなスネ夫!」
「そ、そうだね…ははは…」
ジャイアンの笑いを背に受けながら必死で唇を噛むスネ夫だった。
----
カナズミシティ
「なんだろう?」
「あっちのほうが騒がしいわね」
ドラえもんとしずかが野次馬を掻き分けていった先には、小さなトンネルがあった。
どうやらトンネル内で立てこもり事件が発生しているらしい。
「ドラちゃん、助けてあげましょうよ」
優しいしずかの願いを断ることもできず、ドラえもんはカナシダトンネルの中に入った。
「このポケモンがどうなってもいいってのか!」
なにやら人相の悪い男が奥で騒いでいる。
手前にいる男は被害者のようだ。
しずかと被害者が目をひきつけている間に、ドラえもんは石ころぼうしをかぶってこっそり近づく。
『いまだ!』
手元から人質、もといポケ質を奪回するとしずかが反応してキルリアを繰り出した。
「ねんりき!」
悪人の体が浮かび上がり、そのまま地面に叩きつけられた。
「痛っ!……畜生、アクア団に逆らったこといつか後悔させてやる!」
悪党は捨て台詞を吐くとすごすごと退散する。
「アクア団?ネーミングセンス悪いなぁ」
ドラえもんは石ころぼうしを脱ぐと、捕まっていたキャモメを保護した。
「いやぁ、ありがとうございます。おかげで荷物も無事でした」
被害者の男はドラえもんとしずかに礼をしたいと言いだした。
「けどのび太くんを探さなきゃ……」
「人探しですか、じゃあいいものを差し上げますよ。ささっ、早く早く」
----
男は二人をカナズミの大きなビルに連れてきた。
「社長がお待ちです、行きましょう」
一時間後。
デボンのビルから出てきた二人。
「なんだかんだで頼まれものをされちゃったね」
「ポケナビ貰ったし、仕方ないわよ」
ポケナビはこの地方のマップを搭載しており、トレーナー同士の通話も可能らしいのでのび太の情報を入手できるかもしれない。
「次はこのキャモメを持ち主に帰してあげましょう」
「トウカの森の手前の小屋のおじいさんのポケモンらしいよ」
キャモメの足には迷子札がついており、そこから住所が判明したのだ。
その小屋に向かうため、しずかとドラえもんはカナズミシティを後にした。
117番道路。
のび太は圧倒的な戦力で付近のトレーナーを撃破していた。
手持ちのポケモンはメノクラゲLV26、ゴクリンLV24。
道行くトレーナーはのび太と視線を合わせないように歩いている。
「ついに、ついにボクの時代が来たんだ!」
二匹の進化も間近、のび太はすっかり浮かれていた。
----
注:鬼畜出木杉
「こんにちは、ジム戦をしたいんですけど」
カナズミジムにひとりの少年がやってきた。
「ようこそカナズミジムへ。」
ツツジは挑戦者を出迎えた。
理知的な感じの整った顔立ちをした少年だ。
『美少年、ですね』
ツツジは素直にその容姿を誉め讃えた。
少年が集中してバトルを行ないたいというので、審判も締め出したセルフジャッジ制でのバトルとなった。
「よろしくお願いしますね」
ツツジの礼儀正しい挨拶を聞いて、少年はピクリと体を震わせた。
『緊張しているのかしら、うふふ』
ツツジは初々しいトレーナーを見て思わず微笑む。
「イシツブテで行きますわ!」
ツツジのモンスターボールから現われたイシツブテを見て、少年の様子が変わった。
「イシツブテ、イシツブテですか…くくくっ」
少年がモンスターボールを投げる。
そこから現われたものは……
「バ、バシャーモ!」
ツツジは驚愕した。
新人の登龍門であるカナズミジムの挑戦者が使うようなレベルのポケモンではない。
「バシャーモ、にどげりだ!」
バシャーモのキックを受けたイシツブテは一撃で瀕死になってしまう。
----
注:鬼畜出木杉
「こんな、こんな戦いって……」
ツツジのポケモンの攻撃はほとんど通じない。
イシツブテやノズパズなど二度蹴りだけで倒せるはずなのにわざわざつつく攻撃でいたぶっている。
そして体力をギリギリまで削った上で二度蹴りで止めを刺しているのだ。
「もう、もうやめて!」
ツツジの叫びも虚しく、ノズパズも二度蹴りを受け吹き飛ばされた。
「ノズパズ…いやぁぁぁっ!」
瀕死のポケモンに駆け寄ろうとするツツジをバシャーモが小脇に抱える。
「な、何を!離してっ!」
いつの間にかそばにやってきた少年が口を開く。
「お前のその振る舞い……あの女を思い出すんだよ」
小脇に抱えられて動けないツツジのスカートを捲り上げ、ピンクの可愛らしいショーツがあらわにされる。
少年はその尻に思いっきり平手を叩きつけた。
「お仕置きだ、お仕置きだ、お仕置きだっ!」
「痛いッ、痛いいっ!」
破裂音とツツジの悲鳴が交互にこだまする。
すっかり赤くなった尻を見て、少年がツツジに声をかける。
「ふふ…僕の精通がまだ来てなくてよかったな。何をされても妊娠はしないぞ…」
「や、やめてーーーーっ!」
少年…出木杉はゆっくりとツツジのショーツをずり下ろした。
その日からツツジの姿を見たものはいない。
----
110番道路。
のび太は今日も近場のトレーナーを倒して金を稼いでいた。
今日3人目のバトルに勝利し勝利報酬を受け取るのび太。
「あー、ジャイアンの気持ちが分かるような気がするよ」
「ほー、俺の気持ちが分かるってのか」
「そうそう、分かる分かる……ん?」
後ろを見ると、今話題にしたばかりの忌々しい少年が子分を連れて立っていた。
しかしのび太にとってはやっと出会えた知り合いだ。
思わず涙が込み上げてくる。
「ジャイアーン、逢いたかったよぉ~~」
しかしそんなのび太を待っていたのは手荒い返礼だった。
「気持ち悪いな、コイツっ!」
ジャイアンに胸ぐらを捕まれるのび太。
「な、なにするんだよ!」
「のび太、さっきのポケモンバトルで使ってたゴクリンをスネ夫に譲ってやってくれよ……」
この世界でもコレか。
この暴力男はどこでもこんな横柄な態度なのか。
しかし、今ののび太には力がある。ポケモンという力が……
「そんなに欲しいならポケモンバトルだ!」
数分後。
「じゃあな、のび太」
その場に残されたのはボロ雑巾となったのび太とナマケロのボール。
ポケモンに力はあってものび太自身は無力、結局力ずくで奪われてしまったのだ。
----
ドラえもんとしずかはハギ老人の船でムロタウンへ向かっていた。
心地よい潮風に揺られて気持ちがいい。
「しずかちゃん、届けものが終わったらカナズミに帰ろう」
ドラえもんの意見にしずかも同意する。
のび太がこっちに来ていないことは確実だからだ。
リリリリリリ…
「あら、エントリーコールね」
しずかのポケナビから声が聞こえる。
『さっきはありがとう、マキです』
カナズミの前にいたミニスカートのマキだ。
『キンセツシティでまたジョギングマンが出たんだって。眼鏡をかけた頼りない少年らしいよ』
ドラえもんとしずかは顔を見合わせる。
「まさか、のび太くん?」
「けど…キンセツシティってとても遠いわよ。人違いじゃないかしら」
しかしドラえもんには直感で分かっていた。
自分達には思いもつかないトラブルで彼はそこにいるのだと。
「とにかく、ムロタウンに着いたら連絡を取ってみよう」
117番道路。
のび太は再びジョギングを始めていた。
現状、メノクラゲだけではどうにもならない。
「だからナマケロも育てるんだ……ボクの足で!」
----
「くらえ、マッドショット」
ヌマクローが泥を吐き出し、ラクライに直撃する。
「むう、強いのう……」
相手の老人・テッセンは感心するようにうなずいた。
ジャイアンはキンセツシティでジム戦をしている。
ジャイアンのヌマクローは水タイプだけでなく地面タイプも所持している。
事前にマヒなおしも買っておいたので、ヌマクロー一体でも十分勝てる試合だろう。
「いやぁ、参った参った。完敗じゃ」
ジャイアンがジム戦を終え、テッセンからバッジをもらっている時にスネ夫が現われた。
「ジャイアン、岩砕きの秘伝マシン貰ってきたよ!」
「おう、お使いご苦労!」
ジャイアンはスネ夫をパシリに使ったつもりだろうが、スネ夫がそれだけの為に動いたはずはない。
ジャイアンがジム戦に没頭している間に、近場でゲットしたタネボーを育て屋に預けた。
そして金持ちであることをいいことにカジノでコインを大量買いし、影分身・冷凍ビーム・火炎放射の技マシンを入手したのだ。
影分身はすでにザバットに使用している。
『ノータリンめ、お山の大将を気取ってるんだなww』
----
ひたすら走り続けているのび太。
キンセツジムの前を通ると、ちょうどジム戦を終えたジャイアンやスネ夫と鉢合わせする。
「よーうのび太、何必死な顔して走ってるんだよ」
「そうそう、のび太らしくないぞ」
ジャイアンとスネ夫が冷やかす。
「う、うるさい!走ってちゃいけないのかよ!」
のび太も言い返すが、ジャイアンとスネ夫はニヤニヤと笑ったままだ。
「何がおかしいんだ!」
「だって、なぁ」
「そうだよね」
要領を得ないジャイアン達の反応に憮然としたのび太はプイとそっぽを向いて117番道路に行ってしまった。
「あははははは!」
「アイツ馬鹿だ!」
ジャイアン達は自転車に乗りながら笑っていた。
そう、のび太は自転車が貰えることを知らない。
馬鹿笑いしながら自転車を漕ぐジャイアンを尻目に、スネ夫は考えをめぐらせる。
『のび太のやつ、あれは育て屋に何か預けてるな。気を付けないと……』
のび太がナマケロに秘められた真の力…ケッキングまで進化させたらかなりの強敵になる。
スネ夫はジャイアンの命令でポケモンを交換したことを軽く後悔した。
『まったく、いらないことばかりしやがって。死ね!死ね!』
----
一日中走り続け、へとへとになったのび太はキンセツシティのポケモンセンターに辿り着く。
ここ数日世話になりっぱなしだったが、今日はいつもと少し違っていた。
「トレーナーのノビタさんですね。ユニオンルームでお友達がお待ちですよ」
「ユニオンルーム?」
よく分からないが、係員に言われるままに二階に案内される。
部屋のなかに通されると、そこにはなんとドラえもんとしずかがいた。
「のび太くん!」
「のび太さん!」
「あ、ああ、あ……」
のび太の目から涙があふれる。
「しずちゃん、ドラえもん!」
思わず飛び付いたが、ドラえもんの体をつかめずに手がすり抜ける。
「あ、あれ?」
「ここはユニオンルームといって、遠くの人とお話したりする部屋なんだ」
ドラえもんがのび太にも分かるように説明する。
「私たちは今ムロタウンにいるの。そっちに着くにはもう少しかかるから待っててね、のび太さん」
「わ、わかったよしずちゃん!早く来てね!」
ユニオンルームの接続が切られ、部屋にはのび太だけになった。
「とりあえず助かった……」
ドラえもんたちが助けにきてくれる!
今日は久々によく眠れそうだ。
----
カナシダトンネルで怪力の技マシンを回収したジャイアン達は煙突山経由でフエンタウンに向かう途中だった。
「よし、次はフエンタウンだな!」
「ジャイアンの力なら簡単にバッジ貰えるよ。」
ジャイアンに話を合わせていたスネ夫だったが、内心はかなり焦っていた。
フエンタウンのジムリーダー・アスナは炎ポケモンの使い手、スネ夫の主力であるジュプトルでは分が悪い。
『キャモメはあの馬鹿に取られちゃったし、ゴクリンじゃ力不足。ツチニンはジャイアンに見せるわけにはいかない……』
スネ夫の計画はジャイアンの傲慢なやり方のせいで微妙に狂いが生じていた。
煙突山山頂。
「なな、なんだこいつら!」
山頂には怪しげな赤服の一団が陣取っていた。
「ジャイアン、こいつらマグマ団だよ!」
その時、スネ夫の脳裏にある考えが閃いた。
「ジャイアン、こいつらやっつけて経験稼ぎしようよ!」
スネ夫の提案にジャイアンも同意する。
「よし、二人であいつらやっつけてやろうぜ!」
ジャイアンとスネ夫はこちらを威嚇しているマグマ団に向けモンスターボールを放った。
----
「このガキ、我々マグマ団に逆らおうというのか!」
マグマ団員達はポチエナとズバットを出して構える。
ジャイアンのボールからはヌマクローが現れ、スネ夫はズバットを繰り出した。
「よしヌマクロー、水鉄砲だ!」
「戻れ、ズバット!」
スネ夫はいきなりズバットを戻してしまう。
ジャイアンの怒声が響く。
「なにやってんだスネ夫!」
「ご、ごめんジャイアン!出ろ、ゴクリン!」
スネ夫は変わりにゴクリンを出した。
『こうやってポケモンを入れ替えれば両方育成できる。バカゴリラには1/3しか経験値が入らないぞ』
スネ夫は全対戦で何かと言い訳を付けつつポケモンを入れ替え、ついにズバットとゴクリンを進化させるまでに育成してしまった。
さすがのジャイアンも実質2対1の戦闘を強いられ、ヌマクローもキャモメも消耗しきっている。
「はぁはぁ、こいつら手強いぜ…」
「ジャイアン、後はボクに任せて。敵のリーダーはボク一人で戦うよ!」
「すまねぇスネ夫、恩に着るぜ」
ジャイアンは馬鹿正直に感謝の言葉を述べている。
『くくく、今までご苦労さん。マツブサの進化ポケは経験値たくさん持ってるからボクがいただくよ』
スネ夫はジャイアンに背を向けほくそ笑んだ。
----
スネ夫とマツブサの戦いはスネ夫が終始優勢だった。
攻撃力に欠けるスネ夫のパーティーだったが、ズバットをLV26まで上げてから進化させていたのが功を奏した。
「ゴルバット、あやしいひかりだ!」
怪しい光、そしてカジノで入手した影分身のおかげでターン数はかかったが勝利することができた。
「マグマ団のやつら、ジャイアンに恐れをなして逃げ帰ったよ」
スネ夫がジャイアンのもとに向かうと、ジャイアンは何か言いたそうな顔をしてこちらを睨んでいる。
『やばい、調子に乗りすぎたか!』
経験値のことはジャイアンは気付いてないだろう。
しかし目の前でスネ夫のポケモンが2体も進化したのだ。
それを黙って見ているジャイアンではないだろう。
「じ、ジャイアン!敵の親玉がこんなの持ってたよ!」
スネ夫はポケットから技マシンを取り出した。
「活躍したのはジャイアンだからジャイアンにあげるよ!」
「お、おう。当然だ!俺の活躍だからな!」
ジャイアンは笑いながらスネ夫から技マシンを奪い取る。
『ぷぷぷ、それはカイナで入手していたいちゃもんと秘密の力。どうせ使わないもんね』
得意げに技マシンを見ているジャイアンを心で嘲り笑うスネ夫だった。
----
ムロジム。
ドラえもんとしずかは一刻も早くのび太に会いに行きたかったが、デボンの社長からの頼まれ事を先に済ませることにした。
まずはフラッシュの技マシンを使えるようにするためにジムバッジを手に入れなければならない。
しずかのジム戦は楽勝であった。
キルリアの念力はトウキのワンリキー、アサナン、マクノシタさえも一撃で戦闘不能にする。
「さすがにキルリア相手では勝てないな。さあ、バッジは君のものだ!」
「ありがとうございます!」
しずかがバッジを受け取り、次はドラえもんの番だ。
「よーし、がんばるぞ!」
戦いは一方的だった。
格闘のエキスパートであるトウキのポケモン相手にドラえもんは蹴られ、殴られ、そして敗北した。
その日の夜。
「ご、ごめん、しずかちゃん……」
「よく頑張ったわ、ドラちゃん。今日はゆっくり寝ててね」
ポケモンセンターで治療を受けるドラえもんを残し、しずかは一人石の洞窟に向かう。
その手にはドラえもんのモンスターボールが握られていた。
「もうドラちゃんのあんな姿見てられない。私がドラちゃんのポケモンを鍛えるわ!」
[[前へ>ドラーモン作大長編 その1]]
ジャイアンとスネ夫はハギ老人の小屋に向かっている。
途中サン・トウカで木の実を貰っていこうとしたが、なぜか閉店していて店にも入れなかった。
トウカの森でジャイアンはナマケロをゲットし、ようやく二匹目の仲間を得た。
「ぷっ、こいつのび太みたいだぜ!」
「そうだねジャイアン、じゃあ「のびた」って名付けようよ」
話を合わせながらスネ夫は自分のポケモンを確認した。
ジュプトルにキャモメ、そしてツチニン。
『ツチニンさえ進化すれば……』
力押しのジャイアンは技の相性を覚えきっていない。
ヌケニン一匹で完封できるだろう。
『今に見ていろ、馬鹿ゴリラ!』
のび太は今まで走り込んだ成果を確認するために育て屋にいた。
「メノクラゲは12、ゴクリンは13レベル上がってるね」
「やった!すごいや!」
その時ののび太は重大な事に気付いていなかった。
トボトボと育て屋を後にするのび太。
「引き取り料、二匹で2700円だって……」
当然のび太にそんな持ち合わせもなく、引き取りできないまま店を出てきたのだ。
「ん?これからもボクが歩く毎に引き取り料が増えていくってこと?そりゃないよ~」
この歳で借金苦に襲われるとは、つくづく運のない男である。
----
キンセツシティでのび太がただ空を見上げていた。
「これからどうしよう……」
ふとキンセツジムを見ると、入り口に一人の少年が立っている。
えらく身なりがいいところを見ると、スネ夫みたいな金持ちの坊っちゃんなんだろう。
『今のボクとは雲泥の差だな』
そう思いながら見ているとその少年と目が合う。
「こんにちは」
「こ、こんにちは…」
その少年はミツルと名乗った。
「何かお困りのようですが、どうしたんですか?」
「それがね…」
のび太はミツルに今までの経緯を話しだした。
「つまり、川で溺れて毒ガスで気絶して、挙げ句の果てに金欠で自分のポケモンを引き取れないって事ですか。んぶ、ぶふふ…」
ミツルの口は閉じているが、口の端から息がピューピューと漏れている。
笑いを誤魔化すのに必死なのだろう。
「ぷぷぷ、の、のび太くん…だっけ。育て屋の代金、立て替えてあげるよ…ぶははは!」
ついに声を上げて笑いだすミツルにのび太はすがりつく。
「助けてくれるの!ありがとう、本当にありがとう!」
涙と鼻水混じりののび太の顔を見て、ミツルは笑いが止まらなかった。
育て屋から出て、何度も何度も礼を言いながら去っていくのび太を見て、ミツルはつぶやいた。
「ポケモントレーナーにもこんな底辺があるのか。ああはならないように僕も頑張らないと……」
結果的にキンセツジム挑戦を断念したミツルだった。
----
ムロタウン。
ジャイアンとスネ夫は石の洞窟でフラッシュの秘伝マシンをもらうと、その場でポケモンの育成をしていた。
ムロジムのトウキが持つマクノシタはレベル19。
最低でもそれは超えておこうという計画である。
まだフラッシュは使えないが、暗闇の中でもハシゴの近くでウロウロしていればとりあえず野生ポケモンとの遭遇は可能だ。
「おーいスネ夫、ココドラをゲットしたぜ!」
「ジャイアン、ボクもズバットを手に入れたよ!」
暗い洞窟内、二人は互いの成果を声で確認していた。
「ココドラはボスゴドラに進化するんだよな、ボスって響きが俺様らしくていいぜ!」
「そうだねジャイアン!」
そう声をかけたスネ夫、しかし頭の中はまったく別のことを考えていた。
『ジャイアンのすぐ後ろではボクのツチニンが潜んでいる。これでダブルバトル扱いになってツチニンも成長するよ』
馬鹿なジャイアンは本来の半分の経験値で満足しているに違いない。
『今のうちにボクはズバットを育成させてもらうよ。ボスゴドラなんか怪しい光で簡単に無力化できるさ』
スネ夫の下剋上計画も順調に進んでいた。
----
一通り鍛練を終えたジャイアンとスネ夫はムロジムに戻ってきた。
「まずはジャイアンの番だよ」
「スーネー夫ー」
「な、なんだいジャイアン?」
ジャイアンがこういう声色になるとき、次にくる言葉は大体決まっている。
「スネ夫、お前のキャモメ寄越せよ」
「えええええええ!」
「なんだよ、俺のいうことが聞けないってのか!」
こうなってしまってはもうどうにもならない。
スネ夫は諦めてジャイアンのナマケロ(のびた)とキャモメを交換した。
『肉ダルマめ、この恨み晴らさでおくべきか…』
ジムリーダーのトウキとの戦いはジャイアンの快勝だった。
キャモメの翼で打つ攻撃は次々とクリーンヒットし、相手の攻撃は猫だまし程度しか当たらなかった。
スネ夫は決め手にかけた手持ちポケモンだったが、ジャイアンのジム戦でこっそり出しておいたズバットが超音波で捨て身の活躍。
おかげでジュプトルVSマクノシタのタイマンに持ち込み、何とか勝利したのだった。
「はははっ、だらしねーなスネ夫!」
「そ、そうだね…ははは…」
ジャイアンの笑いを背に受けながら必死で唇を噛むスネ夫だった。
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カナズミシティ
「なんだろう?」
「あっちのほうが騒がしいわね」
ドラえもんとしずかが野次馬を掻き分けていった先には、小さなトンネルがあった。
どうやらトンネル内で立てこもり事件が発生しているらしい。
「ドラちゃん、助けてあげましょうよ」
優しいしずかの願いを断ることもできず、ドラえもんはカナシダトンネルの中に入った。
「このポケモンがどうなってもいいってのか!」
なにやら人相の悪い男が奥で騒いでいる。
手前にいる男は被害者のようだ。
しずかと被害者が目をひきつけている間に、ドラえもんは石ころぼうしをかぶってこっそり近づく。
『いまだ!』
手元から人質、もといポケ質を奪回するとしずかが反応してキルリアを繰り出した。
「ねんりき!」
悪人の体が浮かび上がり、そのまま地面に叩きつけられた。
「痛っ!……畜生、アクア団に逆らったこといつか後悔させてやる!」
悪党は捨て台詞を吐くとすごすごと退散する。
「アクア団?ネーミングセンス悪いなぁ」
ドラえもんは石ころぼうしを脱ぐと、捕まっていたキャモメを保護した。
「いやぁ、ありがとうございます。おかげで荷物も無事でした」
被害者の男はドラえもんとしずかに礼をしたいと言いだした。
「けどのび太くんを探さなきゃ……」
「人探しですか、じゃあいいものを差し上げますよ。ささっ、早く早く」
----
男は二人をカナズミの大きなビルに連れてきた。
「社長がお待ちです、行きましょう」
一時間後。
デボンのビルから出てきた二人。
「なんだかんだで頼まれものをされちゃったね」
「ポケナビ貰ったし、仕方ないわよ」
ポケナビはこの地方のマップを搭載しており、トレーナー同士の通話も可能らしいのでのび太の情報を入手できるかもしれない。
「次はこのキャモメを持ち主に帰してあげましょう」
「トウカの森の手前の小屋のおじいさんのポケモンらしいよ」
キャモメの足には迷子札がついており、そこから住所が判明したのだ。
その小屋に向かうため、しずかとドラえもんはカナズミシティを後にした。
117番道路。
のび太は圧倒的な戦力で付近のトレーナーを撃破していた。
手持ちのポケモンはメノクラゲLV26、ゴクリンLV24。
道行くトレーナーはのび太と視線を合わせないように歩いている。
「ついに、ついにボクの時代が来たんだ!」
二匹の進化も間近、のび太はすっかり浮かれていた。
----
注:鬼畜出木杉
「こんにちは、ジム戦をしたいんですけど」
カナズミジムにひとりの少年がやってきた。
「ようこそカナズミジムへ。」
ツツジは挑戦者を出迎えた。
理知的な感じの整った顔立ちをした少年だ。
『美少年、ですね』
ツツジは素直にその容姿を誉め讃えた。
少年が集中してバトルを行ないたいというので、審判も締め出したセルフジャッジ制でのバトルとなった。
「よろしくお願いしますね」
ツツジの礼儀正しい挨拶を聞いて、少年はピクリと体を震わせた。
『緊張しているのかしら、うふふ』
ツツジは初々しいトレーナーを見て思わず微笑む。
「イシツブテで行きますわ!」
ツツジのモンスターボールから現われたイシツブテを見て、少年の様子が変わった。
「イシツブテ、イシツブテですか…くくくっ」
少年がモンスターボールを投げる。
そこから現われたものは……
「バ、バシャーモ!」
ツツジは驚愕した。
新人の登龍門であるカナズミジムの挑戦者が使うようなレベルのポケモンではない。
「バシャーモ、にどげりだ!」
バシャーモのキックを受けたイシツブテは一撃で瀕死になってしまう。
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注:鬼畜出木杉
「こんな、こんな戦いって……」
ツツジのポケモンの攻撃はほとんど通じない。
イシツブテやノズパズなど二度蹴りだけで倒せるはずなのにわざわざつつく攻撃でいたぶっている。
そして体力をギリギリまで削った上で二度蹴りで止めを刺しているのだ。
「もう、もうやめて!」
ツツジの叫びも虚しく、ノズパズも二度蹴りを受け吹き飛ばされた。
「ノズパズ…いやぁぁぁっ!」
瀕死のポケモンに駆け寄ろうとするツツジをバシャーモが小脇に抱える。
「な、何を!離してっ!」
いつの間にかそばにやってきた少年が口を開く。
「お前のその振る舞い……あの女を思い出すんだよ」
小脇に抱えられて動けないツツジのスカートを捲り上げ、ピンクの可愛らしいショーツがあらわにされる。
少年はその尻に思いっきり平手を叩きつけた。
「お仕置きだ、お仕置きだ、お仕置きだっ!」
「痛いッ、痛いいっ!」
破裂音とツツジの悲鳴が交互にこだまする。
すっかり赤くなった尻を見て、少年がツツジに声をかける。
「ふふ…僕の精通がまだ来てなくてよかったな。何をされても妊娠はしないぞ…」
「や、やめてーーーーっ!」
少年…出木杉はゆっくりとツツジのショーツをずり下ろした。
その日からツツジの姿を見たものはいない。
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110番道路。
のび太は今日も近場のトレーナーを倒して金を稼いでいた。
今日3人目のバトルに勝利し勝利報酬を受け取るのび太。
「あー、ジャイアンの気持ちが分かるような気がするよ」
「ほー、俺の気持ちが分かるってのか」
「そうそう、分かる分かる……ん?」
後ろを見ると、今話題にしたばかりの忌々しい少年が子分を連れて立っていた。
しかしのび太にとってはやっと出会えた知り合いだ。
思わず涙が込み上げてくる。
「ジャイアーン、逢いたかったよぉ~~」
しかしそんなのび太を待っていたのは手荒い返礼だった。
「気持ち悪いな、コイツっ!」
ジャイアンに胸ぐらを捕まれるのび太。
「な、なにするんだよ!」
「のび太、さっきのポケモンバトルで使ってたゴクリンをスネ夫に譲ってやってくれよ……」
この世界でもコレか。
この暴力男はどこでもこんな横柄な態度なのか。
しかし、今ののび太には力がある。ポケモンという力が……
「そんなに欲しいならポケモンバトルだ!」
数分後。
「じゃあな、のび太」
その場に残されたのはボロ雑巾となったのび太とナマケロのボール。
ポケモンに力はあってものび太自身は無力、結局力ずくで奪われてしまったのだ。
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ドラえもんとしずかはハギ老人の船でムロタウンへ向かっていた。
心地よい潮風に揺られて気持ちがいい。
「しずかちゃん、届けものが終わったらカナズミに帰ろう」
ドラえもんの意見にしずかも同意する。
のび太がこっちに来ていないことは確実だからだ。
リリリリリリ…
「あら、エントリーコールね」
しずかのポケナビから声が聞こえる。
『さっきはありがとう、マキです』
カナズミの前にいたミニスカートのマキだ。
『キンセツシティでまたジョギングマンが出たんだって。眼鏡をかけた頼りない少年らしいよ』
ドラえもんとしずかは顔を見合わせる。
「まさか、のび太くん?」
「けど…キンセツシティってとても遠いわよ。人違いじゃないかしら」
しかしドラえもんには直感で分かっていた。
自分達には思いもつかないトラブルで彼はそこにいるのだと。
「とにかく、ムロタウンに着いたら連絡を取ってみよう」
117番道路。
のび太は再びジョギングを始めていた。
現状、メノクラゲだけではどうにもならない。
「だからナマケロも育てるんだ……ボクの足で!」
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「くらえ、マッドショット」
ヌマクローが泥を吐き出し、ラクライに直撃する。
「むう、強いのう……」
相手の老人・テッセンは感心するようにうなずいた。
ジャイアンはキンセツシティでジム戦をしている。
ジャイアンのヌマクローは水タイプだけでなく地面タイプも所持している。
事前にマヒなおしも買っておいたので、ヌマクロー一体でも十分勝てる試合だろう。
「いやぁ、参った参った。完敗じゃ」
ジャイアンがジム戦を終え、テッセンからバッジをもらっている時にスネ夫が現われた。
「ジャイアン、岩砕きの秘伝マシン貰ってきたよ!」
「おう、お使いご苦労!」
ジャイアンはスネ夫をパシリに使ったつもりだろうが、スネ夫がそれだけの為に動いたはずはない。
ジャイアンがジム戦に没頭している間に、近場でゲットしたタネボーを育て屋に預けた。
そして金持ちであることをいいことにカジノでコインを大量買いし、影分身・冷凍ビーム・火炎放射の技マシンを入手したのだ。
影分身はすでにザバットに使用している。
『ノータリンめ、お山の大将を気取ってるんだなww』
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ひたすら走り続けているのび太。
キンセツジムの前を通ると、ちょうどジム戦を終えたジャイアンやスネ夫と鉢合わせする。
「よーうのび太、何必死な顔して走ってるんだよ」
「そうそう、のび太らしくないぞ」
ジャイアンとスネ夫が冷やかす。
「う、うるさい!走ってちゃいけないのかよ!」
のび太も言い返すが、ジャイアンとスネ夫はニヤニヤと笑ったままだ。
「何がおかしいんだ!」
「だって、なぁ」
「そうだよね」
要領を得ないジャイアン達の反応に憮然としたのび太はプイとそっぽを向いて117番道路に行ってしまった。
「あははははは!」
「アイツ馬鹿だ!」
ジャイアン達は自転車に乗りながら笑っていた。
そう、のび太は自転車が貰えることを知らない。
馬鹿笑いしながら自転車を漕ぐジャイアンを尻目に、スネ夫は考えをめぐらせる。
『のび太のやつ、あれは育て屋に何か預けてるな。気を付けないと……』
のび太がナマケロに秘められた真の力…ケッキングまで進化させたらかなりの強敵になる。
スネ夫はジャイアンの命令でポケモンを交換したことを軽く後悔した。
『まったく、いらないことばかりしやがって。死ね!死ね!』
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一日中走り続け、へとへとになったのび太はキンセツシティのポケモンセンターに辿り着く。
ここ数日世話になりっぱなしだったが、今日はいつもと少し違っていた。
「トレーナーのノビタさんですね。ユニオンルームでお友達がお待ちですよ」
「ユニオンルーム?」
よく分からないが、係員に言われるままに二階に案内される。
部屋のなかに通されると、そこにはなんとドラえもんとしずかがいた。
「のび太くん!」
「のび太さん!」
「あ、ああ、あ……」
のび太の目から涙があふれる。
「しずちゃん、ドラえもん!」
思わず飛び付いたが、ドラえもんの体をつかめずに手がすり抜ける。
「あ、あれ?」
「ここはユニオンルームといって、遠くの人とお話したりする部屋なんだ」
ドラえもんがのび太にも分かるように説明する。
「私たちは今ムロタウンにいるの。そっちに着くにはもう少しかかるから待っててね、のび太さん」
「わ、わかったよしずちゃん!早く来てね!」
ユニオンルームの接続が切られ、部屋にはのび太だけになった。
「とりあえず助かった……」
ドラえもんたちが助けにきてくれる!
今日は久々によく眠れそうだ。
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カナシダトンネルで怪力の技マシンを回収したジャイアン達は煙突山経由でフエンタウンに向かう途中だった。
「よし、次はフエンタウンだな!」
「ジャイアンの力なら簡単にバッジ貰えるよ。」
ジャイアンに話を合わせていたスネ夫だったが、内心はかなり焦っていた。
フエンタウンのジムリーダー・アスナは炎ポケモンの使い手、スネ夫の主力であるジュプトルでは分が悪い。
『キャモメはあの馬鹿に取られちゃったし、ゴクリンじゃ力不足。ツチニンはジャイアンに見せるわけにはいかない……』
スネ夫の計画はジャイアンの傲慢なやり方のせいで微妙に狂いが生じていた。
煙突山山頂。
「なな、なんだこいつら!」
山頂には怪しげな赤服の一団が陣取っていた。
「ジャイアン、こいつらマグマ団だよ!」
その時、スネ夫の脳裏にある考えが閃いた。
「ジャイアン、こいつらやっつけて経験稼ぎしようよ!」
スネ夫の提案にジャイアンも同意する。
「よし、二人であいつらやっつけてやろうぜ!」
ジャイアンとスネ夫はこちらを威嚇しているマグマ団に向けモンスターボールを放った。
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「このガキ、我々マグマ団に逆らおうというのか!」
マグマ団員達はポチエナとズバットを出して構える。
ジャイアンのボールからはヌマクローが現れ、スネ夫はズバットを繰り出した。
「よしヌマクロー、水鉄砲だ!」
「戻れ、ズバット!」
スネ夫はいきなりズバットを戻してしまう。
ジャイアンの怒声が響く。
「なにやってんだスネ夫!」
「ご、ごめんジャイアン!出ろ、ゴクリン!」
スネ夫は変わりにゴクリンを出した。
『こうやってポケモンを入れ替えれば両方育成できる。バカゴリラには1/3しか経験値が入らないぞ』
スネ夫は全対戦で何かと言い訳を付けつつポケモンを入れ替え、ついにズバットとゴクリンを進化させるまでに育成してしまった。
さすがのジャイアンも実質2対1の戦闘を強いられ、ヌマクローもキャモメも消耗しきっている。
「はぁはぁ、こいつら手強いぜ…」
「ジャイアン、後はボクに任せて。敵のリーダーはボク一人で戦うよ!」
「すまねぇスネ夫、恩に着るぜ」
ジャイアンは馬鹿正直に感謝の言葉を述べている。
『くくく、今までご苦労さん。マツブサの進化ポケは経験値たくさん持ってるからボクがいただくよ』
スネ夫はジャイアンに背を向けほくそ笑んだ。
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スネ夫とマツブサの戦いはスネ夫が終始優勢だった。
攻撃力に欠けるスネ夫のパーティーだったが、ズバットをLV26まで上げてから進化させていたのが功を奏した。
「ゴルバット、あやしいひかりだ!」
怪しい光、そしてカジノで入手した影分身のおかげでターン数はかかったが勝利することができた。
「マグマ団のやつら、ジャイアンに恐れをなして逃げ帰ったよ」
スネ夫がジャイアンのもとに向かうと、ジャイアンは何か言いたそうな顔をしてこちらを睨んでいる。
『やばい、調子に乗りすぎたか!』
経験値のことはジャイアンは気付いてないだろう。
しかし目の前でスネ夫のポケモンが2体も進化したのだ。
それを黙って見ているジャイアンではないだろう。
「じ、ジャイアン!敵の親玉がこんなの持ってたよ!」
スネ夫はポケットから技マシンを取り出した。
「活躍したのはジャイアンだからジャイアンにあげるよ!」
「お、おう。当然だ!俺の活躍だからな!」
ジャイアンは笑いながらスネ夫から技マシンを奪い取る。
『ぷぷぷ、それはカイナで入手していたいちゃもんと秘密の力。どうせ使わないもんね』
得意げに技マシンを見ているジャイアンを心で嘲り笑うスネ夫だった。
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ムロジム。
ドラえもんとしずかは一刻も早くのび太に会いに行きたかったが、デボンの社長からの頼まれ事を先に済ませることにした。
まずはフラッシュの技マシンを使えるようにするためにジムバッジを手に入れなければならない。
しずかのジム戦は楽勝であった。
キルリアの念力はトウキのワンリキー、アサナン、マクノシタさえも一撃で戦闘不能にする。
「さすがにキルリア相手では勝てないな。さあ、バッジは君のものだ!」
「ありがとうございます!」
しずかがバッジを受け取り、次はドラえもんの番だ。
「よーし、がんばるぞ!」
戦いは一方的だった。
格闘のエキスパートであるトウキのポケモン相手にドラえもんは蹴られ、殴られ、そして敗北した。
その日の夜。
「ご、ごめん、しずかちゃん……」
「よく頑張ったわ、ドラちゃん。今日はゆっくり寝ててね」
ポケモンセンターで治療を受けるドラえもんを残し、しずかは一人石の洞窟に向かう。
その手にはドラえもんのモンスターボールが握られていた。
「もうドラちゃんのあんな姿見てられない。私がドラちゃんのポケモンを鍛えるわ!」
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