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[[前へ>ジャイアン 第三部]] あの悪夢からすでに一年の歳月が過ぎ、俺の記憶からあの世界のことは消え去ったように思えた。だが、俺は又不思議な力であの世界に舞い戻ってしまった。廃墟と化したあの町に。 タマムシシティ 第一部1 【死んだ町】 「クソッ!なんなんだよ!」 俺は中学生になってすぐに、この世界に移動していた。しかし前回とは状況が違う。俺にはポケモンも武器もない。そしてここは廃墟。以前の面影もない、例の地下のような雰囲気だ。 とりあえず再度自己紹介。俺はジャイアン、現実世界の顔では歌の天才でありガキ大将でもある美男子。だがポケモンの世界ではあのレッドを倒した実力者。 どうやらここはカントー地方のタマムシシティといった所か。だが人の気配はない。こんなときにみんながいれば心強いのだが、あいにくみんな前の冒険で死んでいる。出木杉とスネ夫はわからないが、多分死んでいる。 今わかっているのはここが廃墟と化したタマムシシティだということと、ここでポケモンが出てきたら俺は間違いなく死ぬということだ。 これからどうすればいいのかわからないが、休むためと、いままでのことを整理するために民家に入った。そして民家に武器になるようなものがあるか調べた。 見つかったものは、包丁とダイナマイトだけだった。一見ダイナマイトがあれば最強なように見えるが、どうせあっても怖くて使えないだろうからだめだ。 俺は民家を出た。と、その時!なんかが俺に近づいてきた。あれは……プリンだ!俺は迷わず包丁を投げつける!避けられた!こうなりゃ精神的ダメージを与えるしかない! 俺はかがみこんで紙に字を書いた。「バカ」と書いた紙を無理やりプリンの背中に貼り付ける。相手はプライドを傷つけられショックを受けてる。とどめだ! 「お前の母ちゃんでべそ」 俺がでかい声でこういうと、相手は逃げ出した。さすが俺!かっこいい! これで俺はペンは剣より強いということを知った。だが少し残酷過ぎたかもしれない。まあいいけど。 さっき投げた包丁はどっかいっちゃった。これで武器はダイナマイトだけだ。 ---- またしばらく歩くとこんどはイワークに遭遇した。もうペンも紙もない。唯一の武器ダイナマイトをここで使ってしまうのか考えていたら、イワークに縛られちまった。 体がつぶれそうだが俺は冷静だった。特に理由はないが。 でももう本格的に苦しい。俺は思わず叫んだ。 「誰かーーーーーーー助けてーーーーーーーーーー!!!!!!」 その判断は正解だった。誰かが助けに来てくれた。 「やれやれ、剛田君。君は結局僕に頼らないと生きていけないんだね。いいよ、助けてやるよ」 この声は出木杉だ!出木杉はイワークの体によじ登り、その体に何かを振りかけた。 「これは液体窒素だよ」 イワークは-130度の苦しみの中で、死んだ。 「ありがとう。だがなぜお前が?」 「それは僕も良くわからない。シロガネ山に行ったらいきなりもとの世界に戻ったんだ。でもその世界に君がいなかったからてっきり君は死んだのかと思ったんだけど。君は何らかの方法でこの世界に残っていたのかい?」 「いや、俺はシロガネ山でちゃんとレッドを倒して元の世界に戻ったぞ。 同じく、お前はいなかったがな」 俺がこういった後少しの間出木杉は何かを考え、こういった。 「…となるとお互いパラレルワールドに戻ったわけか。でもなんで?」 出木杉がそういった後、まもなくどこからか声がした。 「その理由は僕が答えてあげるよ」 人がこちらに向かって歩いてくる。 ---- 「誰だ!?」 「僕の名はセワシ。のび太の子孫でありドラえもんの主君さ。 ドラえもんとおじいちゃんは蘇生しておいたよ」 セワシの後ろからのび太とドラえもんが出てきた。 「よお!ジャイアン!例のあれは俺の勘違いだったようだな!  ドラえもんから聞いたぜ!」 「みんな久しぶりだね。しずちゃんは?」 「知らん」 「それで、話を続けるよ。実はジャイアン君の行った世界だけが現実の世界で、ほかの人が行った場所はその人のイメージの中にある世界だったんだ。 本来は誰かがレッドを倒せばみんなもとの世界に帰れるはずだったんだけど、魔王ギガゾンビのせいで世界がゆがめられてしまったんだ。突然この世界に移動したのも奴のせいさ」 ギガゾンビってなんか聞いた事あるなあ。 「で、僕たちは何をすればいいの?」 出木杉の問いに対してセワシが説明しようとするのをのび太がさえぎり、言った。 「出木杉、お前優等生ぶってるけど馬鹿だなあ。それくらい察しろよタコ」 「それは聞き捨てならないな。撤回しろ!」 「まあまあ二人とも落ち着いて。僕たちのするべきことは もちろんギガゾンビを倒し元の世界に戻ることだろう?」 「ギガゾンビを倒したら元の世界に返れるのか?」 「保証はない。だけど、ここでじっとしているよりずっといいんじゃないの?」 もっともだ。 こうして俺たちはこの死んだ町、タマムシシティでともに行動することになった。 モンスターボールもない中で俺たちは生き残れるのか? 二年前のゲームでは敵として戦った俺たちがともに協力することなど可能なのか? ---- 第一部2 【味方のモンスター】 俺は少しずつこの状況を理解した。思ったよりポケモンの出現確率は高い。だが、俺にはひとつだけわからないことがあった。それは、ギガゾンビとぽけもんに何の接点があるのかということだ。 デパートにモンスターボールがあるかと思って探してみても、 すべてなくなっていた。 「ギガゾンビは一体何がしたいんだろう」 ドラえもんが言う。 「そんなことどうでもいいだろ。使えねーマシンだな」 のび太のはなった一言にドラえもんが激怒した。 「んだとこのやろう!」 俺を含め誰も二人の争いを止めない。もううんざりしていたのだ。 「お前のほうが使えねーだろ知的障害者!」 「黙れロボットポンコツ!お前は人に作られた奴隷なんだよ! 奴隷は奴隷らしく人間様の言うことを聞け!」 「あーそうですか。ではその醜い顔も拭いて差し上げましょうか?ご主人様」 「お前なんて消えちまえ!役立たず!」 「役立たずも消えるのもお前のほうだ」 ドラえもんはそういうと四次元ポケットを探って、独裁スイッチのボタンを押した。 「終わりだ」 ---- ……のび太は消えない。逆にドラえもんのほうが消えた。 「何!?」 のび太は敵ではないが、俺は思わずそういってしまった。あまりにも不思議だ。 その後さらに不思議な事が起こった。のび太が消えたのである。 大分混乱してきた。もう気が狂いそうだ。この世界に来て一日目でこんなこと言うのもなんだが、元の世界が恋しくなってきた。 「大丈夫かい?剛田君。顔色が悪いよ」 「大丈夫だ。それより、俺たちだけでポケモン達を倒すのはかなり難しいぞ」 「そんなこと言ったって、味方のモンスターを捕まえようにもモンスターボールがなきゃ…」 「出木杉、何もポケモンじゃなくてもいいだろう?俺はいままで沢山のモンスターと戦ってきたんだぜ。その中に鳥人間って言うのもいるんだぜ」 「ジャイアン君。それを呼び出そうにもドラえもんもいないし、僕は四次元ポケットを持っていないし」 偉そうな事いっときながら重要な所は何も考えていなかったが、ここで引くわけには行かない。 「いや…俺はそいつらを呼び出そうと思ってるわけじゃない。一例としていっただけだ。何勘違いしてんだ。俺は笑ゥせぇるすマンを呼び出そうとしているんだ」 「それモンスターじゃないし、どうやって?」 「でかい声で呼べば来る!」 「じゃあ呼んできてくれよ」 出木杉にそういわれて俺はでかい声で笑ゥせぇるすマンを呼んだ。これで来る確立は0%に等しいが、引くに引けない状態だ。神に祈るしかない! ……こういう時神様は決まって俺の味方をする。 笑ゥせぇるすマンがいつの間にか俺の目の前に来ていた。 「心の隙間お埋めします」 出木杉とセワシが驚いている。 俺たちのモンスター、笑ゥせぇるすマンだ! ---- 第一部3-1 【タマムシシティ@劣等生-1 憎しみから生まれた世界】 二年前、僕は自殺未遂をおこした。 あの時以来、僕に幸せが訪れなかったからだ。 初めてできた友達、野比のび太君。 彼は僕と遊んでくれた。僕をいじめっ子から助けてくれた。 あの時僕は幸せだった! ……でも僕は神様に嫌われているらしい。神様は僕に幸せの味を覚えさせ、そしてすぐに転校という形で僕から幸せを奪った。 そしていつしか僕は幸せというものを求めなくなった。仮に僕に幸せが訪れようと、今の僕には幸せが入る隙間もないだろう。憎しみで埋まった僕の心は、醜くすさむ。 そして僕はあのいじめっ子と神様に復讐するために悪魔に魂を売った。 悪魔は僕にこういった。「お前ののぞみを言え。どんなのぞみでもかなえてやる。払う代償はただひとつ……」 僕の答えは、あのいじめっ子を苦しめる世界を創りたい、その世界の支配者となって神を冒涜してやりたい。というものだった。 悪魔は僕に力をくれた後、 「お前が神を冒涜したら私はお前の時間を貰うという約束だぞ。そんな力を手にした時点で神への冒涜だが、面白そうだ。五日間の猶予をやろう」 といって去っていった。 僕はすぐに世界を創ったさ、その世界のモチーフはポケモンの世界のタマムシシティ。 ただし、タマムシシティの外はなく、その世界にいる人間は、あのいじめっ子と、優等生と、のび太君の子孫。その三人だけで、町にはすべての制御がはずされたポケモンたちがいる。 そして僕がその世界に入った瞬間、タイムリミットが切れたみたいだ。 僕は悪魔に時間をとられているらしい。 悪魔にのっとられても、僕は自我を保つことができている。 僕は、僕。多目太郎だ。 ---- 3-2 【スネ夫、決意の旅立ち】前編 俺たちはタマムシシティで途方に暮れている。 味方は増えたが、ギガゾンビの所にいこうにも、タマムシシティから出れないのだ。 いくら歩いても同じ風景。しかも敵がいつ現れるのかわからないので、心休まる時なんてない。 期待していた笑ゥせぇるすマンもにたにたしてるだけ。 「どうにかしろよ出木杉!」 「うるさいな、これも運命なんだよ。その時がくれば自然とわかるだろ?」 「何でそういいきれる?」 「出来損ないは黙ってみてなよ」 言うなあ、こいつ。俺を馬鹿にした代償は高くつくが、いまここでこいつを殺すのは得策ではないだろう。こいつの頭のよさは評価できる。運動神経もいいから役立たずではないだろう。 だが問題はセワシ。いまいちよくわかんね。影がありそうなやつだ。 そして笑ゥせぇるすマンはどうするべきだろう? しばらく一人で考えたいな。 「おい、みんな。ここでいったん別れないか?」 「なぜだい?」 「直感に決まってんだろ!つー事でバイバイ」 俺はそういって走りさる。目をつむりながら、どこまでも。 ---- 注)スネ夫 ぼくは骨川スネ夫。金持ちだ。 ぼくの最近の歴史を言わせて貰う。 二年前にドラえもんに誘われて、ポケモンの世界に行き、四天王のひとりとなった。それから、ジャイアンに負けて、四天王を脱退。ジャイアンと一緒にシロガネ山に行き、ここ、現実世界にワープする。 いまはもうあれから一年たっているが、ぼく以外のプレイヤーは帰ってこない。きっとぼくが帰ってこれたのはラッキーだったのだろう。 最初のほうは寂しさに枕をぬらしたが、ママに寝相の悪い子供のおねしょと疑われてからは、そういうこともなくなった。 もうぼくも中学生になったが、あれほどいい友達は見つからない。 つまらないいさかいで泣き、ちょっとした事で喧嘩をし、お互いがわかりあったことで笑い、抱き合ったあの日々は、もう二度と訪れる事のない思い出とかしたんだ。 ああ、あのころがぼくの青春だったんだと、どうしてもっと友達を大切にしなかったんだと、しみじみそう思う。 のび太。頭が悪く、運動もできず、おっちょこちょいで駄目な奴だったが、今思うと友達思いでいい奴だったな……。 ドラえもん。うん、タヌキ。 ジャイアン。乱暴ものでいやな奴だったけど、人一倍情が厚くて色々と助けてくれたよな……。 しずちゃん。おしとやかでやさしくて、冴えないのび太をいっつもかばっていたんだよな……。 出木杉。頭が良くて優等生、ぼくはいつもあいつのことを妬んでいたけど、もっと仲良くすればよかったな……。 彼らのことを思って、ぼくは歌うよ。旅立ちの日に。 ----
[[前へ>ジャイアン 第三部]] あの悪夢からすでに一年の歳月が過ぎ、俺の記憶からあの世界のことは消え去ったように思えた。だが、俺は又不思議な力であの世界に舞い戻ってしまった。廃墟と化したあの町に。 タマムシシティ 第一部1 【死んだ町】 「クソッ!なんなんだよ!」 俺は中学生になってすぐに、この世界に移動していた。しかし前回とは状況が違う。俺にはポケモンも武器もない。そしてここは廃墟。以前の面影もない、例の地下のような雰囲気だ。 とりあえず再度自己紹介。俺はジャイアン、現実世界の顔では歌の天才でありガキ大将でもある美男子。だがポケモンの世界ではあのレッドを倒した実力者。 どうやらここはカントー地方のタマムシシティといった所か。だが人の気配はない。こんなときにみんながいれば心強いのだが、あいにくみんな前の冒険で死んでいる。出木杉とスネ夫はわからないが、多分死んでいる。 今わかっているのはここが廃墟と化したタマムシシティだということと、ここでポケモンが出てきたら俺は間違いなく死ぬということだ。 これからどうすればいいのかわからないが、休むためと、いままでのことを整理するために民家に入った。そして民家に武器になるようなものがあるか調べた。 見つかったものは、包丁とダイナマイトだけだった。一見ダイナマイトがあれば最強なように見えるが、どうせあっても怖くて使えないだろうからだめだ。 俺は民家を出た。と、その時!なんかが俺に近づいてきた。あれは……プリンだ!俺は迷わず包丁を投げつける!避けられた!こうなりゃ精神的ダメージを与えるしかない! 俺はかがみこんで紙に字を書いた。「バカ」と書いた紙を無理やりプリンの背中に貼り付ける。相手はプライドを傷つけられショックを受けてる。とどめだ! 「お前の母ちゃんでべそ」 俺がでかい声でこういうと、相手は逃げ出した。さすが俺!かっこいい! これで俺はペンは剣より強いということを知った。だが少し残酷過ぎたかもしれない。まあいいけど。 さっき投げた包丁はどっかいっちゃった。これで武器はダイナマイトだけだ。 ---- またしばらく歩くとこんどはイワークに遭遇した。もうペンも紙もない。唯一の武器ダイナマイトをここで使ってしまうのか考えていたら、イワークに縛られちまった。 体がつぶれそうだが俺は冷静だった。特に理由はないが。 でももう本格的に苦しい。俺は思わず叫んだ。 「誰かーーーーーーー助けてーーーーーーーーーー!!!!!!」 その判断は正解だった。誰かが助けに来てくれた。 「やれやれ、剛田君。君は結局僕に頼らないと生きていけないんだね。いいよ、助けてやるよ」 この声は出木杉だ!出木杉はイワークの体によじ登り、その体に何かを振りかけた。 「これは液体窒素だよ」 イワークは-130度の苦しみの中で、死んだ。 「ありがとう。だがなぜお前が?」 「それは僕も良くわからない。シロガネ山に行ったらいきなりもとの世界に戻ったんだ。でもその世界に君がいなかったからてっきり君は死んだのかと思ったんだけど。君は何らかの方法でこの世界に残っていたのかい?」 「いや、俺はシロガネ山でちゃんとレッドを倒して元の世界に戻ったぞ。 同じく、お前はいなかったがな」 俺がこういった後少しの間出木杉は何かを考え、こういった。 「…となるとお互いパラレルワールドに戻ったわけか。でもなんで?」 出木杉がそういった後、まもなくどこからか声がした。 「その理由は僕が答えてあげるよ」 人がこちらに向かって歩いてくる。 ---- 「誰だ!?」 「僕の名はセワシ。のび太の子孫でありドラえもんの主君さ。 ドラえもんとおじいちゃんは蘇生しておいたよ」 セワシの後ろからのび太とドラえもんが出てきた。 「よお!ジャイアン!例のあれは俺の勘違いだったようだな!  ドラえもんから聞いたぜ!」 「みんな久しぶりだね。しずちゃんは?」 「知らん」 「それで、話を続けるよ。実はジャイアン君の行った世界だけが現実の世界で、ほかの人が行った場所はその人のイメージの中にある世界だったんだ。 本来は誰かがレッドを倒せばみんなもとの世界に帰れるはずだったんだけど、魔王ギガゾンビのせいで世界がゆがめられてしまったんだ。突然この世界に移動したのも奴のせいさ」 ギガゾンビってなんか聞いた事あるなあ。 「で、僕たちは何をすればいいの?」 出木杉の問いに対してセワシが説明しようとするのをのび太がさえぎり、言った。 「出木杉、お前優等生ぶってるけど馬鹿だなあ。それくらい察しろよタコ」 「それは聞き捨てならないな。撤回しろ!」 「まあまあ二人とも落ち着いて。僕たちのするべきことは もちろんギガゾンビを倒し元の世界に戻ることだろう?」 「ギガゾンビを倒したら元の世界に返れるのか?」 「保証はない。だけど、ここでじっとしているよりずっといいんじゃないの?」 もっともだ。 こうして俺たちはこの死んだ町、タマムシシティでともに行動することになった。 モンスターボールもない中で俺たちは生き残れるのか? 二年前のゲームでは敵として戦った俺たちがともに協力することなど可能なのか? ---- 第一部2 【味方のモンスター】 俺は少しずつこの状況を理解した。思ったよりポケモンの出現確率は高い。だが、俺にはひとつだけわからないことがあった。それは、ギガゾンビとぽけもんに何の接点があるのかということだ。 デパートにモンスターボールがあるかと思って探してみても、 すべてなくなっていた。 「ギガゾンビは一体何がしたいんだろう」 ドラえもんが言う。 「そんなことどうでもいいだろ。使えねーマシンだな」 のび太のはなった一言にドラえもんが激怒した。 「んだとこのやろう!」 俺を含め誰も二人の争いを止めない。もううんざりしていたのだ。 「お前のほうが使えねーだろ知的障害者!」 「黙れロボットポンコツ!お前は人に作られた奴隷なんだよ! 奴隷は奴隷らしく人間様の言うことを聞け!」 「あーそうですか。ではその醜い顔も拭いて差し上げましょうか?ご主人様」 「お前なんて消えちまえ!役立たず!」 「役立たずも消えるのもお前のほうだ」 ドラえもんはそういうと四次元ポケットを探って、独裁スイッチのボタンを押した。 「終わりだ」 ---- ……のび太は消えない。逆にドラえもんのほうが消えた。 「何!?」 のび太は敵ではないが、俺は思わずそういってしまった。あまりにも不思議だ。 その後さらに不思議な事が起こった。のび太が消えたのである。 大分混乱してきた。もう気が狂いそうだ。この世界に来て一日目でこんなこと言うのもなんだが、元の世界が恋しくなってきた。 「大丈夫かい?剛田君。顔色が悪いよ」 「大丈夫だ。それより、俺たちだけでポケモン達を倒すのはかなり難しいぞ」 「そんなこと言ったって、味方のモンスターを捕まえようにもモンスターボールがなきゃ…」 「出木杉、何もポケモンじゃなくてもいいだろう?俺はいままで沢山のモンスターと戦ってきたんだぜ。その中に鳥人間って言うのもいるんだぜ」 「ジャイアン君。それを呼び出そうにもドラえもんもいないし、僕は四次元ポケットを持っていないし」 偉そうな事いっときながら重要な所は何も考えていなかったが、ここで引くわけには行かない。 「いや…俺はそいつらを呼び出そうと思ってるわけじゃない。一例としていっただけだ。何勘違いしてんだ。俺は笑ゥせぇるすマンを呼び出そうとしているんだ」 「それモンスターじゃないし、どうやって?」 「でかい声で呼べば来る!」 「じゃあ呼んできてくれよ」 出木杉にそういわれて俺はでかい声で笑ゥせぇるすマンを呼んだ。これで来る確立は0%に等しいが、引くに引けない状態だ。神に祈るしかない! ……こういう時神様は決まって俺の味方をする。 笑ゥせぇるすマンがいつの間にか俺の目の前に来ていた。 「心の隙間お埋めします」 出木杉とセワシが驚いている。 俺たちのモンスター、笑ゥせぇるすマンだ! ---- 第一部3-1 【タマムシシティ@劣等生-1 憎しみから生まれた世界】 二年前、僕は自殺未遂をおこした。 あの時以来、僕に幸せが訪れなかったからだ。 初めてできた友達、野比のび太君。 彼は僕と遊んでくれた。僕をいじめっ子から助けてくれた。 あの時僕は幸せだった! ……でも僕は神様に嫌われているらしい。神様は僕に幸せの味を覚えさせ、そしてすぐに転校という形で僕から幸せを奪った。 そしていつしか僕は幸せというものを求めなくなった。仮に僕に幸せが訪れようと、今の僕には幸せが入る隙間もないだろう。憎しみで埋まった僕の心は、醜くすさむ。 そして僕はあのいじめっ子と神様に復讐するために悪魔に魂を売った。 悪魔は僕にこういった。「お前ののぞみを言え。どんなのぞみでもかなえてやる。払う代償はただひとつ……」 僕の答えは、あのいじめっ子を苦しめる世界を創りたい、その世界の支配者となって神を冒涜してやりたい。というものだった。 悪魔は僕に力をくれた後、 「お前が神を冒涜したら私はお前の時間を貰うという約束だぞ。そんな力を手にした時点で神への冒涜だが、面白そうだ。五日間の猶予をやろう」 といって去っていった。 僕はすぐに世界を創ったさ、その世界のモチーフはポケモンの世界のタマムシシティ。 ただし、タマムシシティの外はなく、その世界にいる人間は、あのいじめっ子と、優等生と、のび太君の子孫。その三人だけで、町にはすべての制御がはずされたポケモンたちがいる。 そして僕がその世界に入った瞬間、タイムリミットが切れたみたいだ。 僕は悪魔に時間をとられているらしい。 悪魔にのっとられても、僕は自我を保つことができている。 僕は、僕。多目太郎だ。 ---- 3-2 【スネ夫、決意の旅立ち】前編 俺たちはタマムシシティで途方に暮れている。 味方は増えたが、ギガゾンビの所にいこうにも、タマムシシティから出れないのだ。 いくら歩いても同じ風景。しかも敵がいつ現れるのかわからないので、心休まる時なんてない。 期待していた笑ゥせぇるすマンもにたにたしてるだけ。 「どうにかしろよ出木杉!」 「うるさいな、これも運命なんだよ。その時がくれば自然とわかるだろ?」 「何でそういいきれる?」 「出来損ないは黙ってみてなよ」 言うなあ、こいつ。俺を馬鹿にした代償は高くつくが、いまここでこいつを殺すのは得策ではないだろう。こいつの頭のよさは評価できる。運動神経もいいから役立たずではないだろう。 だが問題はセワシ。いまいちよくわかんね。影がありそうなやつだ。 そして笑ゥせぇるすマンはどうするべきだろう? しばらく一人で考えたいな。 「おい、みんな。ここでいったん別れないか?」 「なぜだい?」 「直感に決まってんだろ!つー事でバイバイ」 俺はそういって走りさる。目をつむりながら、どこまでも。 ---- 注)スネ夫 ぼくは骨川スネ夫。金持ちだ。 ぼくの最近の歴史を言わせて貰う。 二年前にドラえもんに誘われて、ポケモンの世界に行き、四天王のひとりとなった。それから、ジャイアンに負けて、四天王を脱退。ジャイアンと一緒にシロガネ山に行き、ここ、現実世界にワープする。 いまはもうあれから一年たっているが、ぼく以外のプレイヤーは帰ってこない。きっとぼくが帰ってこれたのはラッキーだったのだろう。 最初のほうは寂しさに枕をぬらしたが、ママに寝相の悪い子供のおねしょと疑われてからは、そういうこともなくなった。 もうぼくも中学生になったが、あれほどいい友達は見つからない。 つまらないいさかいで泣き、ちょっとした事で喧嘩をし、お互いがわかりあったことで笑い、抱き合ったあの日々は、もう二度と訪れる事のない思い出とかしたんだ。 ああ、あのころがぼくの青春だったんだと、どうしてもっと友達を大切にしなかったんだと、しみじみそう思う。 のび太。頭が悪く、運動もできず、おっちょこちょいで駄目な奴だったが、今思うと友達思いでいい奴だったな……。 ドラえもん。うん、タヌキ。 ジャイアン。乱暴ものでいやな奴だったけど、人一倍情が厚くて色々と助けてくれたよな……。 しずちゃん。おしとやかでやさしくて、冴えないのび太をいっつもかばっていたんだよな……。 出木杉。頭が良くて優等生、ぼくはいつもあいつのことを妬んでいたけど、もっと仲良くすればよかったな……。 彼らのことを思って、ぼくは歌うよ。旅立ちの日に。 ---- 後編 注)スネ夫 一通り歌い終わったところで、ぼくの頭の中にある考えが浮かんだ。ものすごく安直な考えかもしれない。 その考えとは、「旅立ちの日に」の題名の通り、この世界から旅立ってみるというものだった。 なぜかはわからないが、ぼくの心がそうしろと叫んでいた。 そもそもどうやって、どこに旅立つのかもわからないが、そんな問題、先生にでも聞けばわかるだろ。 ということでぼくは先生の自宅に訪問した。 ピンポーン インターホンの音がなり、まもなくその向こう側から声がした。 「誰だね?こんな時間に」 先生の眠そうな声がする。無理もない、いまは深夜の二時。ぼくだって家から抜け出すのに苦労したんだ。 「骨川です。どうしても先生に聞きたいことがあってここにきました」 よくよく考えてみると無理してこんな時間に来なくても良かった。 「どうしてもいまじゃなきゃだめなのかね?」 ふん、その程度の質問予想していたさ。出世できない奴らはここで「はい。どうしてもいまじゃなきゃだめなんです」とか言っちゃうだろうけどぼくは違う。 「いえ、別にいまじゃなくてもいいです。迷惑だったんなら帰ります」 こんな真夜中に起こされて迷惑に決まってる。だが先生はここで「迷惑だから帰れ」とは言わないだろう。 いまさら帰られても頼みというのが気になるだろうし、なかなか寝付けないかもしれない。 何より、たたき起こされてそのまま泣き寝入りというのが気に食わないだろう。 「いや、まて、帰るな。せっかく来たんだ、話を聞こう。あがりなさい」 「ではあがらせていただきましょう」 ---- 「ぼくが聞きたいことは一つ。どうやったらいけるんですか?冥界が見える所に」 一瞬の静寂。そして、先生が厳しい顔で口を開く。 「裏山を北に300㎞」 「そっからなら、見えるんだな!」 「危険じゃぞ」 そういった先生の顔には、どこか寂しげなものがあったが、それはまた別の話。 そして翌朝、ぼくは助手席にかみなりさんを乗せて裏山を変なので走っている。 「ぼくは、本当のことが知りたいんだ!」 「「ウオオオ!」」 変なのが宙を舞う。そしてぼくは見た。ポケモンがいっぱいいる場所を。 次の瞬間、ぼくはそのまま気を失った。 ---- 第一部4 【怨む少年】 注)筆者 前々回書いた少年、多目。 今ジャイアン達がいる世界を作り出した人が多目であった事で違和感を覚えた読者は、こう思ったかもしれない、「ギガゾンビのことはどうなったんだ?」と。 また、そのことに関しては色々と物事を強引に解釈する人ならこうも思ったかもしれない、「ひょっとして、ギガゾンビが多目と契約した異魔人だったんじゃね?」と。 まあそこら辺は強引に決め付けてよし、脳内変換してもよし。である。 山の山頂にそびえたつ城、その城こそギガゾンビ城である。 ギガゾンビは例の少年がこの世界を創ってからあの少年の時間を支配し、少年の世界をのっとった。 彼が何を思ってそうしたのかはわからないが、彼は自らの城に入る道をジャイアンらのために擬似タマムシシティの中に作った。 ジャイアンたちがその道を見つけられれば、彼らに勝機はあるが、見つけられなければ、擬似ポケモンの餌食となるしかない。 ---- 「畜生っ!どうやったらギガゾンビに会えるんだ!?」 ところ変わってジャイアンはあれ以来まだ何もつかめていない。 そろそろ出木杉の所に戻るかな、と彼が思い、振り向いたとき、彼は自分の後ろに立っている少年に気づいた。 「だれだお前は?!」 「何イライラしてるんですか?別にそんなにけんか腰でしゃべらなくても……。まあ殺伐としているこの状況で馴れ合うって方がむずかしいのかもしれませんね。名前は伏せておいたほうがいいでしょうかね」 少年は馬鹿にしたような口調で言う。 「けんか売ってんのか?相手になってやる」 「おやおや、本当にけんかするつもりらし……」 会話は途切れた。ジャイアンが少年を殴ったからである。怒ったときの彼のパンチはプロボクサー顔負けの威力だ。 当然少年は吹っ飛ぶ。 「俺に向かって生意気なことするからこうなるんだ」 ジャイアンは今の一撃で少年に勝ったと思っていた。いや、勝っていたはずである。彼が普通の少年だったなら。 「う・ら・み・は・ら・さ・で・お・く・べ・き・か! 怨み念法、半殺し!」 少年の名は魔太郎。不思議な術を使う魔太郎に、ジャイアンは成す術も無くやられていく。 「ぼくはいじめられっこが天職のようですが、あなたはいじめっ子が天職ではないのかもしれませんね」 魔太郎はそう言って、不気味な笑みを漏らし、また、口を開いた。 「ここを去る前に一つだけ教えてあげるよ。ギガゾンビの城のある場所は……」 そこで言葉を切り、大の字に横たわるジャイアンの顔を覗き込み、気絶していることを確認した。 「この世界は面白そうだし、もうちょっとのこるか。ギガゾンビについてはまた会ったときに教えてあげるよ」 ---- 第一部5 【今後出て来ない奴ら】 注)ドラえもん 今の俺には時間の感覚さえ無いが、あれからかなりの時間がたったであろう。 事の経緯を話すと、まあクレイジーな奴と喧嘩になり、俺がそいつを抹殺しようとすると、まあ変なことになったわけだ。 本来ならば独裁スイッチは一定時間の間だけ消える道具のはずなんだが、変な所に飛ばされたっぽい。 で、俺は今ベガスにいるらしいよ。住む場所はトムに何とかしてもらったんだけど、この暮らしの何が辛いかって、バーチャファイターが無いことだよ。暇で暇でしょうがなくってさ。 注)セワシ ジャイアン君が走り去った後、21世紀から呼び出しが合ったんだ。 何でも、伏線用の登場人物を用意したが、ややこしくなったから僕の助けが必要なんだって。 それで今僕は21世紀でバーチャファイターをやっているのさ。 逆に言えば他の奴らはまだ出てくるんだぜ! 第一部―まとめ keyman ジャイアン――なんか知らんけど擬似タマムシシティに来た。        この小説の主人公だが、以前のようにこいつ一人の主観で物語が進むことは無い。        多分これから大活躍。 のび太――――性格が大いに変わった底辺。        前作第一部の真面目な雰囲気を取り戻すのに使うと思う。 スネ夫――――変なのを操縦することのできる金持ち。 魔太郎――――派遣キャラ。色々と大活躍! かみなりさん―第二の主人公といえる存在。 ---- -卒業記念 特別編―1 【もしもあの時――】 もしもあの時ジャイアンがのび太の金varを取り上げなくて、 もしもあの時のび太がドラえもんになき付かなくて、 もしもあの時ドラえもんがあの道具を出さなかったら、 彼らの卒業式はどうなっていただろう? ―卒業式前日― 注)ジャイアン いつの間にかそろそろ小学校最終学年も終わるようだ。 六年間ずっとこの学校にいた俺には、涙をこらえる能力が必要とされている。 長い間相手を泣かすだけで、泣かされることなんて無かった――母ちゃんは例外だが――からなぁ。 でも、よくよく考えてみると、のび太もスネ夫もしずちゃんも受験しないんだし、出木杉だって家が近いからいいや。 さあ、ねよねよ。 注)スネ夫 いよいよ明日で卒業か……。 卒業したらおじさんに模型飛行機を買ってもらう約束をしたんだ。 ああ、楽しみだなぁ……。 注)のび太 いよっしゃあぁぁぁ!! これでやっと学校という名の地獄から解放されるぜ! ……しまった…… ……中学校という新たな地獄があるんだ…… ……しかもあいつらとも一緒…… ……自殺、しようかな…… 注)しずか 明日卒業式。 注)出木杉 明日はいよいよ卒業式か……。 私立の中学に行ったら僕なんかの学力じゃあたぶん劣等生だ……。 ---- ―卒業式当日― 注)ジャイアン なんつーか、早いもんだな。もう卒業すんのかよ。まだまだ小学生としてやりたいことが沢山あるのに……。 昨日は全然余裕って感じだったけど、ちょっと泣きそうになったな。 俺は今式後の校庭にいる。まだみんな帰っていない。 本当に、もうここに来ることは無いのか……。寂しいって言うより、虚しいな。 注)スネ夫 ふう、やっと式が終わったよ。 これでプラモがもらえるな。 小学校なんて終わってもどうって事無いよ。 ……あれ?なんだろう?目から何かが出てくる……? 注)ドラえもん 今日が卒業式だけれど、のび太君は参加しない。昨日、自殺したからだ。 何で彼を止められなかったんだろう? 何で彼にもっと優しくし、彼との思い出を沢山作っておかなかったのだろう? そうすれば彼は式を迎えることができたかもしれないのに。 僕は無力だ。 注)しずか やっと開放された。 注)出木杉 卒業式が終わった。 思い返せば、僕は毎日勉強ばかりで、ろくな思い出を作ってなかった。 人生とは後悔の積み重ねで出来ている。 昨日、告白し損ねた。 [[次へ>ジャイアン  第二部]] ----

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