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ルビー その6」(2007/02/19 (月) 20:23:12) の最新版変更点

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[[前へ>ルビー その5]] ≪スネ夫サイド≫ ここは海底洞窟の最深部。 つまり、伝説のポケモン・グラードンのいる所だ。 もちろん、マツブサも僕の隣にいる。 「これが……グラードンか……」 マツブサの表情が、その雄大さを物語っている。 そして、マツブサは懐からあいいろのたまを取り出した。 「蘇れ。グラードンよ……」 マツブサがあいいろのたまをかざそうとした――その時。 「ジュカイン、泥棒だ!」 僕はボールからジュカインを出し、あいいろのたまを奪わせる。 「貴様……何のつもりだ!」 「見ての通りさ。僕は裏切った。グラードンを復活させるわけにはいかないからね」 僕は悟っていた。 あのジャイアンとのバトル。 僕は間違っていたんだ……。 「この私にたてつくというのか……いいだろう、この場で貴様を倒してやる!」 フン、僕もそのつもりさ。 もう迷いなんてどこにもない。苦しむこともない。 今、この場でケリをつけてやる! 伝説のポケモンを間に挟み、僕とマツブサが対峙した。 ---- ≪スネ夫サイド≫ 「頼んだよ、マルノーム!」 僕はジュカインをボールに戻し、マルノームを出す。 「いけ、グラエナ!裏切り者を倒せ!」 ムラムラとした空気の中、ついにバトルが始まった。 「マルノーム、ヘドロ爆弾!」 「よけて噛み砕け!」 グラエナはヘドロ爆弾を軽々かわし、勢いよくマルノームに噛み付く。 「そのまま……破壊光線!」 マルノームから口を離したグラエナ。 そして、口に光の粒子を集め出した。 「よ、よけろ!マルノーム!」 僕が叫んだときには、もう遅かった。 至近距離から放たれた破壊光線は、マルノームの体力を根こそぎ奪い取った。 「くそ……いけ、クロバット!」 僕はクロバットを出した。 力で押し負けるなら、変化技を使えるコイツが一番だ。 ……だが、僕の考えは通用しなかった。 「貴様の考えは読めている……グラエナ、挑発!」 「し、しまった!」 挑発。攻撃技を強制する技だ。 「決めろ!アイアンテールから破壊光線!」 グラエナは鉄の尻尾で一撃を与え、そこから破壊光線を繰り出した。 クロバットは、羽ばたいていた翼を休め、ゆっくり地に落ちる―― 強い……。だけど、負けられない。ここで、今までの僕の過ちにケリをつける! ---- ≪スネ夫サイド≫ 強い。連続攻撃を繰り出しても、グラエナは疲れている様子を見せない。 これがレベルの差ってやつか……。 「いけ、ユレイドル!」 僕が次に選んだのはユレイドルだ。 コイツの耐久力なら、そうやすやすと倒れはしない。 「ユレイドル、ギガドレインだ!」 ――それから僕はひたすら粘り、ついにグラエナを倒した。 ド忘れと根を張るも使ったから、守りは万全だ。 つまり、ユレイドルは不落の城と化したんだ……この勝負、もらった! 「中々やるようだな……いけ、バクーダ!」 「無駄だよ。もう、僕のユレイドルに攻撃は通じない」 僕は余裕をかまし、言い放つ。 だが、マツブサは不適な笑みを浮かべている。 「甘すぎるぞ……バクーダ、地割れ!」 辺りの地面にヒビが入り、それはユレイドルを襲った。 「そんな……一撃必殺技を持っていたなんて……」 僕の読みが甘かった。 不落の城――崩れない砦――それはいとも無残に崩壊したのだ。 僕の自信は、一瞬にして不安へと姿を変えていった。 ---- ≪スネ夫サイド≫ 正直、かなり危険な状態だ。 ライボルトの電気技はバクーダには通じない。 かと言って、ジュカインを出すと炎技でやられる。 ……残りの一匹は、まだ温存しておかないと。 僕の読み通り、マツブサが更なる切り札を用意しているとしたら…… 今、ここで出すのは危険だ。 ……だとすると、コイツでいくしかない。 「いけ、ジュカイン!」 攻撃が通じないライボルトよりは、ジュカインの方が使えるはずだ。 「ジュカイン、リーフブレード!」 「火炎放射だ!」 切り掛かるジュカインを迎え撃つ形で、バクーダが火炎放射を放つ。 だけど、この展開は読んでいたよ。 「高速移動でかわせ!そしてそのまま攻撃だ!」 ジュカインは圧倒的なスピードで火炎放射を避け、そのままバクーダを切りつけた。 だけど、致命傷は与えられていない。 こうなったら、あの手でいくか。 「中々やるな……。バクーダ、火炎放射!」 「受け止めろ、ジュカイン!」 ジュカインは受け止める体制に入るが、やはり受け切れない。 これにより、ジュカインの体力はかなり減った。 「バカか?受け切れるはずがなかろう……火炎放射!」 「見切りだ!」 バクーダの火炎放射は不思議な力に阻まれ、消える。 「もう一度!」 「こっちも、もう一度見切りだ!」 また、さっきと同じ光景が繰り返される。 「フン、ならばこうするまでだ!バクーダ、気合溜め!」 ……僕の読み通り、相手は補助技を使った。 よし、このままいけば……勝てる! ---- ≪スネ夫サイド≫ 待っていたんだ、この瞬間を。 バクーダが攻撃の手を休める時……それはバクーダが倒れるときだ! 「ジュカイン、気合パンチ!」 「何!気合パンチだと?」 気合パンチは、相手から攻撃を受けると起動しない。 だから、補助技を誘発させる為に見切りを使ったんだ。 「だが……それだけではバクーダに致命傷は与えれないハズだ!」 焦りながらも勝ち誇って言うマツブサに、僕は軽く言い放つ。 「狙いはバクーダなんかじゃないよ……」 ジュカインは目の前の地面向かって、拳を叩きつける。 「これは……水か!だとすれば……バクーダ!」 「これが僕の狙いさ。バクーダは極端に水を苦手とするからね」 「さあ、トドメを刺そう。ジュカイン、力を溜めろ!」 僕の指示と共に、ジュカインは光の粒子を溜め込む。 「バクーダ、避けろ!」 だが、マツブサの叫びもむなしく、既にバクーダの周りには水が迫っていた。 もちろん、水が苦手なバクーダは身動き一つできない。 「今だ……ソーラービーム!」 放たれたソーラービームはバクーダに直撃し、そのまま戦闘不能にさせた。 「何故……たかが1回のソーラービームで私のバクーダが倒れるはずがない!」 必死に怒鳴るマツブサに、僕は言った。 「考えが甘いよ……ジュカインは特性のしんりょくでパワーが上がっていたんだ」 「だとすると……火炎放射を受けたのは体力を減らすためか!」 マツブサはあっけにとられた表情をしていた。 これで、戦いの流れは完全に僕に向いた。 このままいけば、押し切れる!……だけど、何かおかしい。 マツブサの表情は一変し、その顔からは圧倒的な自信が垣間見えた。 ---- ≪スネ夫サイド≫ ニヤニヤと笑うマツブサを見て、僕の背筋に冷たいものが走る。 「何がおかしい……」 不安そうな僕を嘲り笑うかのように、マツブサは自らの手をかざした。 その手にあるものは、紛れも無くあいいろのたま。 「貴様が戦闘に夢中になっている時に、コイツに奪わせたのさ。ハハハ!」 マツブサの後ろから一匹のポチエナが顔を見せる。 「ジュカイン、たまを奪い取れ!」 「させるか!ズバット、黒い霧だ」 辺りを黒い霧が覆う。 これじゃあ、何もできない……。 「ハハハ!これが……グラードン!」 霧の中からマツブサの叫びが聞こえてくる。 ……そして、ついに霧が晴れた。 そこにいたのは、巨大な姿をあらわにした伝説のポケモン・グラードン。 それを従えるマツブサの姿。 「フフ……ハッハッハ!ついに、ついに我が野望を実現させたのだ!」 歓喜の叫びをあげるマツブサ。 「グラードンが復活したからにはお前の勝ちはない!さあ、命乞いをして諦めるか?」 確かに、今の手持ちでは勝てる確立は限りなく低い。 でも、僕はまだ諦めない。 ポケモン達だって、僕についてきてくれるんだ。 「勝つのは僕だ!いくぞ、ジュカイン!」 ---- ≪のび太サイド≫ 相手はバクーダ一匹。こっちにはコノハナとミロカロス。 このままいけば、押し切れる。 「下がってろ、カガリ。ここからは俺がやらせてもらうぜ」 ホムラはそう言うと、カガリに合図をした。 「バクーダ、地震!」 辺りの地面が激しく揺れだし、僕達のポケモンを襲う。 「ミロカロス、水の波動!」 「コノハナ、タネマシンガン!」 僕達も負けじと応戦し、戦いは力勝負になる。 「もう一回水の……きゃあっ!」 声をあげたのはしずかちゃん。 そして、その後ろにはカガリがいた。 「ちょっとでも動いたらこの子、死ぬわよ?」 カガリの右手にはナイフが握られている。 「そんな!卑怯だぞ!」 僕は声を張り上げるが、幹部の二人はニヤニヤと笑ったままだ。 「これも作戦の一つよ、坊や」 どうすればいい……。 攻撃すればしずかちゃんがやられる。 かといって、攻撃の手を休めると僕のポケモンがやられる。 僕は……どうすればいいんだ……。 ---- ≪スネ夫サイド≫ ついにその姿を現した伝説のポケモン・グラードン。 灼熱の大地を連想させるかのような真紅のボディに、全てを切り裂く巨大な両腕。 伝説のポケモンと呼ばれるだけあって、さすがに強そうだ。 どうやって倒せばいい……。どうやって……。 「焼き払え、グラードン!大文字だ!」 「かわせ、ジュカイン!」 グラードンの口から大量の炎が放出され、ジュカインの居た辺りを焼き払う。 驚くべきは、その攻撃範囲の広さ。ジュカインのスピードをもってしても、少し掠る。 「ジュカイン!」 荒い息をつき、今にも倒れそうなジュカイン。 さっきの戦いの蓄積ダメージがあるとはいえ、掠っただけでこれほどの威力とは……。 「負けるなジュカイン!ソーラービーム!」 ジュカインは光の粒子を溜め込み、それを一瞬で発射する。 そして、それはグラードンに直撃する。 「なるほど、日照りの特性を利用したわけか……」 「地面タイプにソーラービームは効果抜群。余裕をかましてる場合じゃないよ」 僕は勝ち誇ったように言い放つが、マツブサは全く動じない。 「フン、そういうなら見てみろ」 よく見ると、ダメージは与えたが致命傷には至っていない。 これが伝説のポケモンのポテンシャルなのか? ……だけど、そんなことを考えている場合じゃなさそうだ。 「グラードン、大文字!」 グラードンから二発目が放射され、それはジュカインを完全にとらえた。 ジュカインはさっきまでのダメージがあり、避けれる様子じゃない。 「よけろ、ジュカイン!」 叫んでみるも、僕は避けきれないことをわかっていた。 傷ついたジュカインは炎の洗礼を受け、その場に倒れた。 ---- ≪スネ夫サイド≫ 強烈な一撃を受け、ボロ雑巾のように倒れるジュカイン。 「ジュカイン!ジュカイン!」 さっきまでの蓄積ダメージ、そしてあの強力な大文字……。 さすがに、もう立てるわけがない。 僕はジュカインをボールに戻し、次のポケモンを繰り出す。 「よくやったよ、ジュカイン……次は君だ!ライボルト!」 僕が次に選んだのは、相性が悪いハズのライボルト。 だけど、僕は何の策もなしにライボルトを出したりはしない。 「相性の悪い電気タイプでくるとはな……グラードン、地震!」 「させない、守るだ!」 辺りを激しい揺れが襲うが、ライボルトには当たらない。 僕はニヤリと笑い、口を開く。 「ねえ、いいことを教えてあげるよ」 僕はわざと勝ち誇ったような態度を取り、相手を困惑させる。 「……何だ」 「僕の最後の一匹は炎タイプ。今、地震のPPを消費するのはかなり痛いと思うんだけど」 これが僕の策だ。心理戦に持ち込み、落とし入れる。 「フン……私にはそんな小ざかしい手は通じん」 マツブサは至って冷静に見えるが、心の中では動揺しているハズだ。 「もし、僕の言う通りだったら?」 僕は更に追い討ちをかける。 ……さあ、どうくる? 「ええい、どっちにしろ貴様のポケモンは倒せる!大文字だ!」 ---- ≪スネ夫サイド≫ 大文字はライボルトに直撃するが、効果抜群ではないので致命傷には至らない。 「忌々しい奴だ……もう一度、大文字!」 「させないよ、守るだ!」 僕は二発目を無効化し、戦況を見極める。 ……見たところ、ライボルトは後一発耐えられる。 要するに、後二回大文字を使わせれるということ。 よし、十分だ。 「何度でも放ってやる。大文字!」 「耐えるんだ!ライボルト!」 ライボルトは何とか耐え、次の攻撃に備える。 「まだまだ!大文字!」 ……これで、大文字のPPは尽きた。 「ごめん、ライボルト……」 大文字を受け、倒れるライボルト。 後、グラードンが使える技は地震と切り裂くとビルドアップのみ。 「フフ、見事にハマってくれちゃったね」 僕は薄ら笑いを浮かべ、言い放つ。 「……小ざかしい作戦は終わったようだな」 「ああ、終わった。そして、お前の負けだ……。いけ、エアームド!」 僕の最後のポケモンはエアームド。 地震は効かないし、切り裂くだって微々たるダメージ。 大文字のPPを消費させたのはこの為だ。 ……だが、マツブサは下を向いて笑っている。 まるで、僕の作戦ミスだと言わんばかりに。 ---- ≪のび太サイド≫ 今現在の状況。 相手はバクーダ一匹。こっちはコノハナとミロカロス。 だけど、しずかちゃんはカガリに人質にされている。 人質がいる限り、僕は自由に動けない。 どうすればいいかわからない。 そして、ついにホムラが攻撃命令をする。 万事休す。僕はもうダメだ……。 「バクーダ、火炎放……」 だが、ホムラの声はかき消される。 辺りを揺らす大きな地震のためだ。 揺れによってしずかちゃんは開放され、上手い具合に僕のほうへ飛んでくる。 「きゃあっ!のび太さん!」 そして、またまた上手い具合にしずかちゃんが僕に抱きつく形になる。 「え、ちょ……」 僕はそのままの体勢を望んでいたが、しずかちゃんはそれを拒む。 すぐに僕から離れ、ミロカロスのそばにつく。 ……はぁ……。 「のび太さん!今のうちに一斉攻撃を!ミロカロス、ハイドロポンプ!」 「わ、わかった!コノハナ、自然の力!」 同時に放たれた強力な攻撃。 幹部の二人はそのまま吹き飛ばされ、海の中へと消えていった。 ---- ≪スネ夫サイド≫ 下を向いて笑ったままのマツブサ。 ……気に食わない。 「何を笑っているんだ?何がおかしい!」 僕が声を張り上げると、マツブサはようやく顔をあげた。 「貴様の作戦というのはこの程度か……ハハハ!」 「何だ……何が言いたいんだ!」 マツブサは僕を無視して話を続ける。 「大文字のPPをゼロにしてエアームドを出す。実に素晴らしい作戦だ。  だが……貴様はグラードンだけが私の戦力と思っているのか?」 マツブサの発言に思い当たる所も無く、僕は黙って話を聞く。 「私のポケモンはグラエナ、バクーダ、ポチエナ、ズバット、グラードン。  この戦いで使ったポケモンだ。……ここまでいえばわかるか?」 「五匹……ということは、六匹目がいるのか!」 完全に僕の作戦ミスだ。 作戦を考えるのに夢中になりすぎて、敵の戦力を考えていなかった。 僕はグラードンの事しか考えていなかったんだ。 言い方を変えれば、グラードンの強大な力を利用した目くらまし。 結局、僕の力が及ばなかったってことか……。 「さあ、終わりだ。出て来い、もう一匹のバクーダ!そして大文字!」 僕のエアームドは成す術もなく倒れ、次は僕が標的になる。 「そして、裏切った罰だ。バクーダ、大文字!」 ---- ≪スネ夫サイド≫ 迫り来る灼熱の業火。 僕は……僕はここまでなのか? 今までの思い出が、走馬灯のように蘇ってくる。 結局、僕はマツブサを倒すことができなかった。 自らの過ちにケリをつけれなかったんだ。 さて、もう考えるのはやめにしよう。 炎はすぐそこまできていた。 僕は目を閉じ、次の瞬間を待った。 ――ここは天国か?それとも地獄か? どちらにしても、終わった。終わったんだ。 ……あれ?僕は死んだハズなのに、終わったハズなのに、まだ体が暖かい。 というより、周りの空気が暖かい。 そして、僕はどことなく懐かしい声を聞いた。 「スネ夫!大丈夫か!目を開けろ!」 ……ジャイアン? 僕はゆっくり目を開け、目の前の光景を目の当たりにした。 バクーダの炎を受けているボーマンダ。 僕のそばに駆け寄ってくるジャイアン。 そうか、ジャイアンが僕を助けたのか……。 「気付いたか、スネ夫!ここからは俺がやるから、お前は休んでろ!」 僕は何か言おうとしたが、体が言うことを聞かない。 そして、意識がもうろうとしたまま、僕はゆっくり目を閉じた。 ---- ≪スネ夫サイド≫ 目を開けると、どこか見覚えのある綺麗な天井。 ここはポケモンセンター……か。 「お、やっと気が着いたか、スネ夫!」 ジャイアンが僕に気付き、次第にのび太としずかちゃんもこっちへ来る。 そして、僕はみんなから一通りの話を聞いた。 のび太としずかちゃんは幹部を倒し、ジャイアンはあの後マツブサを倒したそうだ。 「……僕は、結局何も出来なかったのか……」 頭で考えただけなのに、不意に口に出てしまった。 だが、僕が恥じる暇もなくジャイアンは言った。 「そんなことねえよ、スネ夫!お前がマツブサのポケモンを倒してなきゃ、俺は絶対勝てなかったぜ!」 のび太としずかちゃんもそれに賛同する。 「で、でも……」 僕は何かを反論しようとするが、言葉は途中で止まる。 「俺の言うことが間違ってるのか?あ?スネ夫!」 ジャイアンが今にも殴りかかってきそうな姿勢で言う。 「い、いや……そういうわけじゃないよ」 僕はちょっと安心した。懐かしい光景だ。 そして、話が少し途切れた時。 「みんな、ゴメン。僕がマグマ団なんかに……」 僕が話そうとするが、またもやそれは途中で止まる。 みんなが手のひらを僕に向けて、ストップの意を示していたからだ。 「ありがとう、みんな……」 窓に映る僕の顔。それは、ちょっとだけ輝いて見えた。 ----
[[前へ>ルビー その5]] ≪スネ夫サイド≫ ここは海底洞窟の最深部。 つまり、伝説のポケモン・グラードンのいる所だ。 もちろん、マツブサも僕の隣にいる。 「これが……グラードンか……」 マツブサの表情が、その雄大さを物語っている。 そして、マツブサは懐からあいいろのたまを取り出した。 「蘇れ。グラードンよ……」 マツブサがあいいろのたまをかざそうとした――その時。 「ジュカイン、泥棒だ!」 僕はボールからジュカインを出し、あいいろのたまを奪わせる。 「貴様……何のつもりだ!」 「見ての通りさ。僕は裏切った。グラードンを復活させるわけにはいかないからね」 僕は悟っていた。 あのジャイアンとのバトル。 僕は間違っていたんだ……。 「この私にたてつくというのか……いいだろう、この場で貴様を倒してやる!」 フン、僕もそのつもりさ。 もう迷いなんてどこにもない。苦しむこともない。 今、この場でケリをつけてやる! 伝説のポケモンを間に挟み、僕とマツブサが対峙した。 ---- ≪スネ夫サイド≫ 「頼んだよ、マルノーム!」 僕はジュカインをボールに戻し、マルノームを出す。 「いけ、グラエナ!裏切り者を倒せ!」 ムラムラとした空気の中、ついにバトルが始まった。 「マルノーム、ヘドロ爆弾!」 「よけて噛み砕け!」 グラエナはヘドロ爆弾を軽々かわし、勢いよくマルノームに噛み付く。 「そのまま……破壊光線!」 マルノームから口を離したグラエナ。 そして、口に光の粒子を集め出した。 「よ、よけろ!マルノーム!」 僕が叫んだときには、もう遅かった。 至近距離から放たれた破壊光線は、マルノームの体力を根こそぎ奪い取った。 「くそ……いけ、クロバット!」 僕はクロバットを出した。 力で押し負けるなら、変化技を使えるコイツが一番だ。 ……だが、僕の考えは通用しなかった。 「貴様の考えは読めている……グラエナ、挑発!」 「し、しまった!」 挑発。攻撃技を強制する技だ。 「決めろ!アイアンテールから破壊光線!」 グラエナは鉄の尻尾で一撃を与え、そこから破壊光線を繰り出した。 クロバットは、羽ばたいていた翼を休め、ゆっくり地に落ちる―― 強い……。だけど、負けられない。ここで、今までの僕の過ちにケリをつける! ---- ≪スネ夫サイド≫ 強い。連続攻撃を繰り出しても、グラエナは疲れている様子を見せない。 これがレベルの差ってやつか……。 「いけ、ユレイドル!」 僕が次に選んだのはユレイドルだ。 コイツの耐久力なら、そうやすやすと倒れはしない。 「ユレイドル、ギガドレインだ!」 ――それから僕はひたすら粘り、ついにグラエナを倒した。 ド忘れと根を張るも使ったから、守りは万全だ。 つまり、ユレイドルは不落の城と化したんだ……この勝負、もらった! 「中々やるようだな……いけ、バクーダ!」 「無駄だよ。もう、僕のユレイドルに攻撃は通じない」 僕は余裕をかまし、言い放つ。 だが、マツブサは不適な笑みを浮かべている。 「甘すぎるぞ……バクーダ、地割れ!」 辺りの地面にヒビが入り、それはユレイドルを襲った。 「そんな……一撃必殺技を持っていたなんて……」 僕の読みが甘かった。 不落の城――崩れない砦――それはいとも無残に崩壊したのだ。 僕の自信は、一瞬にして不安へと姿を変えていった。 ---- ≪スネ夫サイド≫ 正直、かなり危険な状態だ。 ライボルトの電気技はバクーダには通じない。 かと言って、ジュカインを出すと炎技でやられる。 ……残りの一匹は、まだ温存しておかないと。 僕の読み通り、マツブサが更なる切り札を用意しているとしたら…… 今、ここで出すのは危険だ。 ……だとすると、コイツでいくしかない。 「いけ、ジュカイン!」 攻撃が通じないライボルトよりは、ジュカインの方が使えるはずだ。 「ジュカイン、リーフブレード!」 「火炎放射だ!」 切り掛かるジュカインを迎え撃つ形で、バクーダが火炎放射を放つ。 だけど、この展開は読んでいたよ。 「高速移動でかわせ!そしてそのまま攻撃だ!」 ジュカインは圧倒的なスピードで火炎放射を避け、そのままバクーダを切りつけた。 だけど、致命傷は与えられていない。 こうなったら、あの手でいくか。 「中々やるな……。バクーダ、火炎放射!」 「受け止めろ、ジュカイン!」 ジュカインは受け止める体制に入るが、やはり受け切れない。 これにより、ジュカインの体力はかなり減った。 「バカか?受け切れるはずがなかろう……火炎放射!」 「見切りだ!」 バクーダの火炎放射は不思議な力に阻まれ、消える。 「もう一度!」 「こっちも、もう一度見切りだ!」 また、さっきと同じ光景が繰り返される。 「フン、ならばこうするまでだ!バクーダ、気合溜め!」 ……僕の読み通り、相手は補助技を使った。 よし、このままいけば……勝てる! ---- ≪スネ夫サイド≫ 待っていたんだ、この瞬間を。 バクーダが攻撃の手を休める時……それはバクーダが倒れるときだ! 「ジュカイン、気合パンチ!」 「何!気合パンチだと?」 気合パンチは、相手から攻撃を受けると起動しない。 だから、補助技を誘発させる為に見切りを使ったんだ。 「だが……それだけではバクーダに致命傷は与えれないハズだ!」 焦りながらも勝ち誇って言うマツブサに、僕は軽く言い放つ。 「狙いはバクーダなんかじゃないよ……」 ジュカインは目の前の地面向かって、拳を叩きつける。 「これは……水か!だとすれば……バクーダ!」 「これが僕の狙いさ。バクーダは極端に水を苦手とするからね」 「さあ、トドメを刺そう。ジュカイン、力を溜めろ!」 僕の指示と共に、ジュカインは光の粒子を溜め込む。 「バクーダ、避けろ!」 だが、マツブサの叫びもむなしく、既にバクーダの周りには水が迫っていた。 もちろん、水が苦手なバクーダは身動き一つできない。 「今だ……ソーラービーム!」 放たれたソーラービームはバクーダに直撃し、そのまま戦闘不能にさせた。 「何故……たかが1回のソーラービームで私のバクーダが倒れるはずがない!」 必死に怒鳴るマツブサに、僕は言った。 「考えが甘いよ……ジュカインは特性のしんりょくでパワーが上がっていたんだ」 「だとすると……火炎放射を受けたのは体力を減らすためか!」 マツブサはあっけにとられた表情をしていた。 これで、戦いの流れは完全に僕に向いた。 このままいけば、押し切れる!……だけど、何かおかしい。 マツブサの表情は一変し、その顔からは圧倒的な自信が垣間見えた。 ---- ≪スネ夫サイド≫ ニヤニヤと笑うマツブサを見て、僕の背筋に冷たいものが走る。 「何がおかしい……」 不安そうな僕を嘲り笑うかのように、マツブサは自らの手をかざした。 その手にあるものは、紛れも無くあいいろのたま。 「貴様が戦闘に夢中になっている時に、コイツに奪わせたのさ。ハハハ!」 マツブサの後ろから一匹のポチエナが顔を見せる。 「ジュカイン、たまを奪い取れ!」 「させるか!ズバット、黒い霧だ」 辺りを黒い霧が覆う。 これじゃあ、何もできない……。 「ハハハ!これが……グラードン!」 霧の中からマツブサの叫びが聞こえてくる。 ……そして、ついに霧が晴れた。 そこにいたのは、巨大な姿をあらわにした伝説のポケモン・グラードン。 それを従えるマツブサの姿。 「フフ……ハッハッハ!ついに、ついに我が野望を実現させたのだ!」 歓喜の叫びをあげるマツブサ。 「グラードンが復活したからにはお前の勝ちはない!さあ、命乞いをして諦めるか?」 確かに、今の手持ちでは勝てる確立は限りなく低い。 でも、僕はまだ諦めない。 ポケモン達だって、僕についてきてくれるんだ。 「勝つのは僕だ!いくぞ、ジュカイン!」 ---- ≪のび太サイド≫ 相手はバクーダ一匹。こっちにはコノハナとミロカロス。 このままいけば、押し切れる。 「下がってろ、カガリ。ここからは俺がやらせてもらうぜ」 ホムラはそう言うと、カガリに合図をした。 「バクーダ、地震!」 辺りの地面が激しく揺れだし、僕達のポケモンを襲う。 「ミロカロス、水の波動!」 「コノハナ、タネマシンガン!」 僕達も負けじと応戦し、戦いは力勝負になる。 「もう一回水の……きゃあっ!」 声をあげたのはしずかちゃん。 そして、その後ろにはカガリがいた。 「ちょっとでも動いたらこの子、死ぬわよ?」 カガリの右手にはナイフが握られている。 「そんな!卑怯だぞ!」 僕は声を張り上げるが、幹部の二人はニヤニヤと笑ったままだ。 「これも作戦の一つよ、坊や」 どうすればいい……。 攻撃すればしずかちゃんがやられる。 かといって、攻撃の手を休めると僕のポケモンがやられる。 僕は……どうすればいいんだ……。 ---- ≪スネ夫サイド≫ ついにその姿を現した伝説のポケモン・グラードン。 灼熱の大地を連想させるかのような真紅のボディに、全てを切り裂く巨大な両腕。 伝説のポケモンと呼ばれるだけあって、さすがに強そうだ。 どうやって倒せばいい……。どうやって……。 「焼き払え、グラードン!大文字だ!」 「かわせ、ジュカイン!」 グラードンの口から大量の炎が放出され、ジュカインの居た辺りを焼き払う。 驚くべきは、その攻撃範囲の広さ。ジュカインのスピードをもってしても、少し掠る。 「ジュカイン!」 荒い息をつき、今にも倒れそうなジュカイン。 さっきの戦いの蓄積ダメージがあるとはいえ、掠っただけでこれほどの威力とは……。 「負けるなジュカイン!ソーラービーム!」 ジュカインは光の粒子を溜め込み、それを一瞬で発射する。 そして、それはグラードンに直撃する。 「なるほど、日照りの特性を利用したわけか……」 「地面タイプにソーラービームは効果抜群。余裕をかましてる場合じゃないよ」 僕は勝ち誇ったように言い放つが、マツブサは全く動じない。 「フン、そういうなら見てみろ」 よく見ると、ダメージは与えたが致命傷には至っていない。 これが伝説のポケモンのポテンシャルなのか? ……だけど、そんなことを考えている場合じゃなさそうだ。 「グラードン、大文字!」 グラードンから二発目が放射され、それはジュカインを完全にとらえた。 ジュカインはさっきまでのダメージがあり、避けれる様子じゃない。 「よけろ、ジュカイン!」 叫んでみるも、僕は避けきれないことをわかっていた。 傷ついたジュカインは炎の洗礼を受け、その場に倒れた。 ---- ≪スネ夫サイド≫ 強烈な一撃を受け、ボロ雑巾のように倒れるジュカイン。 「ジュカイン!ジュカイン!」 さっきまでの蓄積ダメージ、そしてあの強力な大文字……。 さすがに、もう立てるわけがない。 僕はジュカインをボールに戻し、次のポケモンを繰り出す。 「よくやったよ、ジュカイン……次は君だ!ライボルト!」 僕が次に選んだのは、相性が悪いハズのライボルト。 だけど、僕は何の策もなしにライボルトを出したりはしない。 「相性の悪い電気タイプでくるとはな……グラードン、地震!」 「させない、守るだ!」 辺りを激しい揺れが襲うが、ライボルトには当たらない。 僕はニヤリと笑い、口を開く。 「ねえ、いいことを教えてあげるよ」 僕はわざと勝ち誇ったような態度を取り、相手を困惑させる。 「……何だ」 「僕の最後の一匹は炎タイプ。今、地震のPPを消費するのはかなり痛いと思うんだけど」 これが僕の策だ。心理戦に持ち込み、落とし入れる。 「フン……私にはそんな小ざかしい手は通じん」 マツブサは至って冷静に見えるが、心の中では動揺しているハズだ。 「もし、僕の言う通りだったら?」 僕は更に追い討ちをかける。 ……さあ、どうくる? 「ええい、どっちにしろ貴様のポケモンは倒せる!大文字だ!」 ---- ≪スネ夫サイド≫ 大文字はライボルトに直撃するが、効果抜群ではないので致命傷には至らない。 「忌々しい奴だ……もう一度、大文字!」 「させないよ、守るだ!」 僕は二発目を無効化し、戦況を見極める。 ……見たところ、ライボルトは後一発耐えられる。 要するに、後二回大文字を使わせれるということ。 よし、十分だ。 「何度でも放ってやる。大文字!」 「耐えるんだ!ライボルト!」 ライボルトは何とか耐え、次の攻撃に備える。 「まだまだ!大文字!」 ……これで、大文字のPPは尽きた。 「ごめん、ライボルト……」 大文字を受け、倒れるライボルト。 後、グラードンが使える技は地震と切り裂くとビルドアップのみ。 「フフ、見事にハマってくれちゃったね」 僕は薄ら笑いを浮かべ、言い放つ。 「……小ざかしい作戦は終わったようだな」 「ああ、終わった。そして、お前の負けだ……。いけ、エアームド!」 僕の最後のポケモンはエアームド。 地震は効かないし、切り裂くだって微々たるダメージ。 大文字のPPを消費させたのはこの為だ。 ……だが、マツブサは下を向いて笑っている。 まるで、僕の作戦ミスだと言わんばかりに。 ---- ≪のび太サイド≫ 今現在の状況。 相手はバクーダ一匹。こっちはコノハナとミロカロス。 だけど、しずかちゃんはカガリに人質にされている。 人質がいる限り、僕は自由に動けない。 どうすればいいかわからない。 そして、ついにホムラが攻撃命令をする。 万事休す。僕はもうダメだ……。 「バクーダ、火炎放……」 だが、ホムラの声はかき消される。 辺りを揺らす大きな地震のためだ。 揺れによってしずかちゃんは開放され、上手い具合に僕のほうへ飛んでくる。 「きゃあっ!のび太さん!」 そして、またまた上手い具合にしずかちゃんが僕に抱きつく形になる。 「え、ちょ……」 僕はそのままの体勢を望んでいたが、しずかちゃんはそれを拒む。 すぐに僕から離れ、ミロカロスのそばにつく。 ……はぁ……。 「のび太さん!今のうちに一斉攻撃を!ミロカロス、ハイドロポンプ!」 「わ、わかった!コノハナ、自然の力!」 同時に放たれた強力な攻撃。 幹部の二人はそのまま吹き飛ばされ、海の中へと消えていった。 ---- ≪スネ夫サイド≫ 下を向いて笑ったままのマツブサ。 ……気に食わない。 「何を笑っているんだ?何がおかしい!」 僕が声を張り上げると、マツブサはようやく顔をあげた。 「貴様の作戦というのはこの程度か……ハハハ!」 「何だ……何が言いたいんだ!」 マツブサは僕を無視して話を続ける。 「大文字のPPをゼロにしてエアームドを出す。実に素晴らしい作戦だ。  だが……貴様はグラードンだけが私の戦力と思っているのか?」 マツブサの発言に思い当たる所も無く、僕は黙って話を聞く。 「私のポケモンはグラエナ、バクーダ、ポチエナ、ズバット、グラードン。  この戦いで使ったポケモンだ。……ここまでいえばわかるか?」 「五匹……ということは、六匹目がいるのか!」 完全に僕の作戦ミスだ。 作戦を考えるのに夢中になりすぎて、敵の戦力を考えていなかった。 僕はグラードンの事しか考えていなかったんだ。 言い方を変えれば、グラードンの強大な力を利用した目くらまし。 結局、僕の力が及ばなかったってことか……。 「さあ、終わりだ。出て来い、もう一匹のバクーダ!そして大文字!」 僕のエアームドは成す術もなく倒れ、次は僕が標的になる。 「そして、裏切った罰だ。バクーダ、大文字!」 ---- ≪スネ夫サイド≫ 迫り来る灼熱の業火。 僕は……僕はここまでなのか? 今までの思い出が、走馬灯のように蘇ってくる。 結局、僕はマツブサを倒すことができなかった。 自らの過ちにケリをつけれなかったんだ。 さて、もう考えるのはやめにしよう。 炎はすぐそこまできていた。 僕は目を閉じ、次の瞬間を待った。 ――ここは天国か?それとも地獄か? どちらにしても、終わった。終わったんだ。 ……あれ?僕は死んだハズなのに、終わったハズなのに、まだ体が暖かい。 というより、周りの空気が暖かい。 そして、僕はどことなく懐かしい声を聞いた。 「スネ夫!大丈夫か!目を開けろ!」 ……ジャイアン? 僕はゆっくり目を開け、目の前の光景を目の当たりにした。 バクーダの炎を受けているボーマンダ。 僕のそばに駆け寄ってくるジャイアン。 そうか、ジャイアンが僕を助けたのか……。 「気付いたか、スネ夫!ここからは俺がやるから、お前は休んでろ!」 僕は何か言おうとしたが、体が言うことを聞かない。 そして、意識がもうろうとしたまま、僕はゆっくり目を閉じた。 ---- ≪スネ夫サイド≫ 目を開けると、どこか見覚えのある綺麗な天井。 ここはポケモンセンター……か。 「お、やっと気が着いたか、スネ夫!」 ジャイアンが僕に気付き、次第にのび太としずかちゃんもこっちへ来る。 そして、僕はみんなから一通りの話を聞いた。 のび太としずかちゃんは幹部を倒し、ジャイアンはあの後マツブサを倒したそうだ。 「……僕は、結局何も出来なかったのか……」 頭で考えただけなのに、不意に口に出てしまった。 だが、僕が恥じる暇もなくジャイアンは言った。 「そんなことねえよ、スネ夫!お前がマツブサのポケモンを倒してなきゃ、俺は絶対勝てなかったぜ!」 のび太としずかちゃんもそれに賛同する。 「で、でも……」 僕は何かを反論しようとするが、言葉は途中で止まる。 「俺の言うことが間違ってるのか?あ?スネ夫!」 ジャイアンが今にも殴りかかってきそうな姿勢で言う。 「い、いや……そういうわけじゃないよ」 僕はちょっと安心した。懐かしい光景だ。 そして、話が少し途切れた時。 「みんな、ゴメン。僕がマグマ団なんかに……」 僕が話そうとするが、またもやそれは途中で止まる。 みんなが手のひらを僕に向けて、ストップの意を示していたからだ。 「ありがとう、みんな……」 窓に映る僕の顔。それは、ちょっとだけ輝いて見えた。 [[次へ>ルビー その7]] ----

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