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[[前へ>ルビー その4]] ≪のび太サイド≫ ここはヒマワキシティのポケモンセンター。 僕はジャイアンに出会った。 「……というわけで、スネ夫はマグマ団になっちまった」 ジャイアンから話を聞いて、僕はスネ夫がマグマ団になった事を知った。 「そうなんだ……」 なんだか、悲しい。 「僕はね……」 僕はさっきの出来事を話そうとするが、言葉は喉の辺りで止まる。 顔をうつむけるジャイアン。 ただでさえパニックな状態なのに、これ以上不安にさせちゃいけない。 ドラえもんとミュウツーの事は、僕の心の中に留めておこう。 「いや、何でもない。それより、先を急ごうよ」 僕はそう言うと席を立ち、ジャイアンを先導してジムへ向かう。 何か話し掛けようとしたけれど、僕の口が言うことを聞かなかった。 そして、僕達は無言のままジムに着く。 正直、こういう雰囲気は苦手だ。 ---- ≪のび太サイド≫ ジム戦はジャイアンが最初に行き、出てきたのは日が西に傾きかけた頃。 「ジャイアン、どうだった……?」 僕が聞くと、ジャイアンは無言で手のひらに乗っているバッジを見せた。 「じゃあ、いってくるよ」 ――僕がジム戦を終えた時には、日が完全に沈んでいた。 「ごめん、ジャイアン……遅くなっちゃった」 ……殴られるんだろうな、多分。 「今日はもう暗いから、ちょっと進んでどこかで野宿だな」 ……あれ?ジャイアンは、怒っている素振りさえ見せない。 人が変わったみたいだ。 そして、僕達は小さな洞窟を見つけ、入っていった。 「よし、今日はここで野宿しよう……じゃあ、俺はもう寝るぜ」 ジャイアンはそう言って横になり、目を閉じた。 僕も眠ろうとしたが……眠れない。 「はぁ……」 僕はパッチリと目を見開いたまま、洞窟の天井を見ていた。 眠りについたのは、日の出を拝んでからのことだ。 ---- ≪のび太サイド≫ 「さっさと起きろよ、のび太!」 ……ジャイアンの声だ。 「え?今日は学校なかっ……」 そこまで言って、僕はようやく夢から覚めた。 普通に現実の世界で暮らしている夢だ。 「いつまで寝言言ってんだよ馬鹿!さっさと行くぞ」 そして僕達はひたすら歩き、ようやくおくりびやまについた。 雨に打たれたり草に絡まれたりで散々だったけど……。 「よし、行くぞのび太!」 僕は重い足を動かそうとする……だが、動かない。 だんだん周りの景色が歪んできて、頭がクラクラする。 睡眠不足……か? 僕は意識がもうろうとして、そのまま大の字に倒れこんだ。 「おい、いつまで寝てんだよ馬鹿!」 ん……。ジャイアンの大声で僕は目を覚まし、辺りを見回した。 「俺一人でおくりびやまのマグマ団倒してきたんだよ!」 辺りを見ると、大きなデパートや立派なコンテスト会場。 ミナモシティ、か。 「見ての通りだ。俺がここまで運んでやったんだぜ」 「ありがとう、ジャイアン!」 いつの間にかジャイアンは元のジャイアンに戻っていた。 僕はどことなく明るい気分になった。 ---- ≪のび太サイド≫ 「……で、下っ端によるとスネ夫は海底洞窟にいるらしい」 ジャイアンの話に、僕は無言で頷く。 「わかった。とりあえずアジトにいけばいいんだよね」 僕達は照りつける太陽を背に、マグマ団アジトへ向かった。 「ところで、さっきからついてくるこのポケモンは?」 僕が横のポケモンを指さし、ジャイアンに聞いた。 「ああ。なんかさっきからついてきてるんだよな……」 とりあえず、僕はボールを当ててみた。 「ほら、入るかい?」 すると、案の定そのポケモンはすんなりとボールに入った。 「へえ……アブソルっていうんだね」 それから暫く歩き、僕達はマグマ団アジトへ潜入した。 ……だが、ここで苦戦することになるなんてね。 目まぐるしい数のワープパネル。僕達は繋がりを覚えきれない。 僕とジャイアンは、疲れきってその場に寝転んだ。 こんな時、出木杉やしずかちゃんがいたら……。 ---- ≪のび太サイド≫ 暫く沈黙が続き、ジャイアンが切り出した。 「ポケモンに聞いてみないか?」 え?ポケモンって……。 確かに『猫の手も借りたい』けど……。 「いけ、俺のポケモン達!」 「出て来い、僕のポケモン達!」 だが、猫の手は起動しなかった。 ジャイアンのポケモンなんて、目を回して気絶するもんだから……。 「のび太、アブソルは?」 僕はアブソルを出し忘れていた。 「あ、そうだ。いけ、アブソル!」 ……アブソルはボールから出るやいなや、一つのワープパネル目掛けて走っていく。 「わかるの?アブソル」 そして、そのワープパネルの先には……。 そこにいたのはマグマ団幹部としずかちゃん。 幹部が捨て台詞を残して、潜水艇に乗り込んだところだ。 もちろん、僕達はしずかちゃんに今までのことを話した。 「……わかったわ。スネ夫さんのこと、手伝ってあげる」 そして、僕達3人は、明日に備えるために宿で夜を過ごすことにした。 今日は、なんだか眠れそうな気がする。 ---- ≪のび太サイド≫ 翌朝。僕達は朝早く出発して、トクサネシティに着いた。 「さっさとジム戦を終わらせて、早くいきましょう」 まず最初に、しずかちゃんがジム戦をすることになった。 しずかちゃんって……強いのかな? ――それから5分も経ってないだろうか。 「終わったわ。次は武さんね」 ジムのドアが開き、しずかちゃんが出てきた。 「……えっ?」 僕は思わず声を出していた。 しずかちゃんがこんなに早くジムリーダーを倒せるなんて……。 そして、ジャイアンも続いてバッジをゲットした。 「よし、次は僕だね」 僕は意気揚揚とジムへ入っていく。 だが……やっぱり上手くいかない。 「おせぇぞ、のび太!」 「いくらなんでも遅すぎよ、のび太さん」 日はかなり西に傾いていて、夕焼けが見える。 「ごめん、ちょっと苦戦して……」 「でも、今日中には海底洞窟にいかないと。早くしないと手遅れになるわ」 え?今からいくの……? 僕達はトクサネシティを後にし、夕焼けの映える海へと飛び込んだ。 ---- ≪のび太サイド≫ 「ミロカロス、ダイビング!」 僕とジャイアンは、しずかちゃんのミロカロスに乗って海底洞窟まで行った。 ……ゲーム通り、奪われた潜水艦がある。 僕達はひたすら走り、海底洞窟の中を進んだ。 「う、うわっ!」 上からしたたり落ちてくる水滴が、僕に当たる。 なんだか気持ち悪いな。 ――その時。僕達の前に、二人の幹部が立ちはだかった。 「俺はマグマ団幹部のホムラだ!ここから先はとおさねえ!」 「同じく、カガリよ。ちょっと遊んでくれるかしら……」 「ジャイアン、ここは僕達に任せてよ」 僕は一歩踏み出し、言った。 「ええ。スネ夫さんのことだから……武さんが行くべきよ」 しずかちゃんも後に続く。 「のび太、しずかちゃん……」 「さあ、いきなよ!」 僕はジャイアンの背中をそっと押して、手を振る。 「ありがとうな!スネ夫は俺に任せろ!」 「頑張ってね、ジャイアン……お前等の相手は僕達だ!」 ---- ≪のび太サイド≫ 「ダブルバトルか、いいだろう!」 「精々遊び道具にならないようにね……」 ホムラとカガリがボールを投げる。 「いけ、コノハナ!」 「頼んだわよ、ミロカロス!」 ホムラはバクーダ、カガリはアブソルだ。 この勝負、負けるわけにはいかない。 「コノハナ、アブソルにタネマシンガン!」 僕のコノハナのタネマシンガンが、アブソル目掛けて飛んでいく。 「甘いぜ。バクーダ、火炎放射で焼き尽くせ!」 火炎放射がタネマシンガンを襲う。 「あら、甘いのはどっちかしら……ミロカロス、水の波動!」 今度は、水の波動が火炎放射を打ち消した。 そして、タネマシンガンはアブソルに直撃する。 まさに一触即発。激しい技の応酬。 「のび太さん、まずはバクーダを狙うわよ……ミロカロス、バクーダに水の波動!」 「わかった!コノハナ、バクーダにタネマシンガン!」 攻撃はバクーダを完全にとらえた。だが…… 「アブソル、冷凍ビームで水を凍らせなさい……そして、燕返し!」 水の波動は凍って崩れ落ち、タネマシンガンは燕返しによって切り裂かれた。 強い。これが幹部の実力か……。 でも、僕達だって負けられない……スネ夫を取り戻すために。 ---- ≪のび太サイド≫ 「狙いをアブソルに。水の波動!」 しずかちゃんの命令と共に、僕もコノハナに攻撃命令をする。 「コノハナ、タネマシンガン!」 ……だが、相手は一手先を読んでいた。 「バクーダ、岩雪崩でアブソルの周囲を囲め!」 岩が次々をアブソルの周囲に落ち、それは攻撃を無効化する。 僕は舌打ちし、必死に作戦を考える。 考えろ、僕。勝機は必ずあるハズだ。 ……僕のコノハナの技は、タネマシンガン、騙し討ち、自然の力、ソーラービーム。 威力の高いソーラービームを当てることができれば……。 だけど、相手にスキを見せたらやられるのは明白だ。 相手にスキを見せないにはどうすれば……そうだ! 僕は考えた末に、一つの作戦を導き出した。 いわゆる、頭の豆電球が点灯した状態だ。 「しずかちゃん、ミロカロスに竜巻を命令して!」 僕は声を張り上げる。 「どういうこと?……ミロカロス、竜巻!」 しずかちゃんはよくわからないという素振りを見せるが、竜巻を指示した。 これで、準備は整った。 よし……目にもの見せてやる! ---- ≪のび太サイド≫ 竜巻によって辺りの砂が巻き上げられ、トレーナーの視界を奪った。 「うおお、相手が見えない……」 ホムラが声をあげる。 次第に砂が多くなり、砂嵐に似たような状態を作り出す。 これこそが、僕の狙いだ。 今は相手の視界がこっちまで届いてない。ポケモンに命令も出せない。 何故なら、僕達の姿をとらえることが出来ないから……。 暫くして、竜巻が消え、砂嵐もだんだんおさまっていく。 ――その時。眩いばかりの青白い光が、敵のアブソルを襲った。 アブソルは強烈な一撃を食らい、鈍い音を立てて地面に倒れる。 「何っ!どういうこと?」 今の事態が把握できていないカガリを見て、僕は薄ら笑いを浮かべる。 「まだわからない?今のは僕のコノハナのソーラービームさ」 自信満々に言い放つ僕。 「……ということは、あの砂嵐は攻撃を防ぐためと、 ソーラービームを気付かれないようにするため……」 幹部の二人はあっけにとられたようだった。 「ご名答。全ては僕の……作戦通りだ!」 ----
[[前へ>ルビー その4]] ≪のび太サイド≫ ここはヒマワキシティのポケモンセンター。 僕はジャイアンに出会った。 「……というわけで、スネ夫はマグマ団になっちまった」 ジャイアンから話を聞いて、僕はスネ夫がマグマ団になった事を知った。 「そうなんだ……」 なんだか、悲しい。 「僕はね……」 僕はさっきの出来事を話そうとするが、言葉は喉の辺りで止まる。 顔をうつむけるジャイアン。 ただでさえパニックな状態なのに、これ以上不安にさせちゃいけない。 ドラえもんとミュウツーの事は、僕の心の中に留めておこう。 「いや、何でもない。それより、先を急ごうよ」 僕はそう言うと席を立ち、ジャイアンを先導してジムへ向かう。 何か話し掛けようとしたけれど、僕の口が言うことを聞かなかった。 そして、僕達は無言のままジムに着く。 正直、こういう雰囲気は苦手だ。 ---- ≪のび太サイド≫ ジム戦はジャイアンが最初に行き、出てきたのは日が西に傾きかけた頃。 「ジャイアン、どうだった……?」 僕が聞くと、ジャイアンは無言で手のひらに乗っているバッジを見せた。 「じゃあ、いってくるよ」 ――僕がジム戦を終えた時には、日が完全に沈んでいた。 「ごめん、ジャイアン……遅くなっちゃった」 ……殴られるんだろうな、多分。 「今日はもう暗いから、ちょっと進んでどこかで野宿だな」 ……あれ?ジャイアンは、怒っている素振りさえ見せない。 人が変わったみたいだ。 そして、僕達は小さな洞窟を見つけ、入っていった。 「よし、今日はここで野宿しよう……じゃあ、俺はもう寝るぜ」 ジャイアンはそう言って横になり、目を閉じた。 僕も眠ろうとしたが……眠れない。 「はぁ……」 僕はパッチリと目を見開いたまま、洞窟の天井を見ていた。 眠りについたのは、日の出を拝んでからのことだ。 ---- ≪のび太サイド≫ 「さっさと起きろよ、のび太!」 ……ジャイアンの声だ。 「え?今日は学校なかっ……」 そこまで言って、僕はようやく夢から覚めた。 普通に現実の世界で暮らしている夢だ。 「いつまで寝言言ってんだよ馬鹿!さっさと行くぞ」 そして僕達はひたすら歩き、ようやくおくりびやまについた。 雨に打たれたり草に絡まれたりで散々だったけど……。 「よし、行くぞのび太!」 僕は重い足を動かそうとする……だが、動かない。 だんだん周りの景色が歪んできて、頭がクラクラする。 睡眠不足……か? 僕は意識がもうろうとして、そのまま大の字に倒れこんだ。 「おい、いつまで寝てんだよ馬鹿!」 ん……。ジャイアンの大声で僕は目を覚まし、辺りを見回した。 「俺一人でおくりびやまのマグマ団倒してきたんだよ!」 辺りを見ると、大きなデパートや立派なコンテスト会場。 ミナモシティ、か。 「見ての通りだ。俺がここまで運んでやったんだぜ」 「ありがとう、ジャイアン!」 いつの間にかジャイアンは元のジャイアンに戻っていた。 僕はどことなく明るい気分になった。 ---- ≪のび太サイド≫ 「……で、下っ端によるとスネ夫は海底洞窟にいるらしい」 ジャイアンの話に、僕は無言で頷く。 「わかった。とりあえずアジトにいけばいいんだよね」 僕達は照りつける太陽を背に、マグマ団アジトへ向かった。 「ところで、さっきからついてくるこのポケモンは?」 僕が横のポケモンを指さし、ジャイアンに聞いた。 「ああ。なんかさっきからついてきてるんだよな……」 とりあえず、僕はボールを当ててみた。 「ほら、入るかい?」 すると、案の定そのポケモンはすんなりとボールに入った。 「へえ……アブソルっていうんだね」 それから暫く歩き、僕達はマグマ団アジトへ潜入した。 ……だが、ここで苦戦することになるなんてね。 目まぐるしい数のワープパネル。僕達は繋がりを覚えきれない。 僕とジャイアンは、疲れきってその場に寝転んだ。 こんな時、出木杉やしずかちゃんがいたら……。 ---- ≪のび太サイド≫ 暫く沈黙が続き、ジャイアンが切り出した。 「ポケモンに聞いてみないか?」 え?ポケモンって……。 確かに『猫の手も借りたい』けど……。 「いけ、俺のポケモン達!」 「出て来い、僕のポケモン達!」 だが、猫の手は起動しなかった。 ジャイアンのポケモンなんて、目を回して気絶するもんだから……。 「のび太、アブソルは?」 僕はアブソルを出し忘れていた。 「あ、そうだ。いけ、アブソル!」 ……アブソルはボールから出るやいなや、一つのワープパネル目掛けて走っていく。 「わかるの?アブソル」 そして、そのワープパネルの先には……。 そこにいたのはマグマ団幹部としずかちゃん。 幹部が捨て台詞を残して、潜水艇に乗り込んだところだ。 もちろん、僕達はしずかちゃんに今までのことを話した。 「……わかったわ。スネ夫さんのこと、手伝ってあげる」 そして、僕達3人は、明日に備えるために宿で夜を過ごすことにした。 今日は、なんだか眠れそうな気がする。 ---- ≪のび太サイド≫ 翌朝。僕達は朝早く出発して、トクサネシティに着いた。 「さっさとジム戦を終わらせて、早くいきましょう」 まず最初に、しずかちゃんがジム戦をすることになった。 しずかちゃんって……強いのかな? ――それから5分も経ってないだろうか。 「終わったわ。次は武さんね」 ジムのドアが開き、しずかちゃんが出てきた。 「……えっ?」 僕は思わず声を出していた。 しずかちゃんがこんなに早くジムリーダーを倒せるなんて……。 そして、ジャイアンも続いてバッジをゲットした。 「よし、次は僕だね」 僕は意気揚揚とジムへ入っていく。 だが……やっぱり上手くいかない。 「おせぇぞ、のび太!」 「いくらなんでも遅すぎよ、のび太さん」 日はかなり西に傾いていて、夕焼けが見える。 「ごめん、ちょっと苦戦して……」 「でも、今日中には海底洞窟にいかないと。早くしないと手遅れになるわ」 え?今からいくの……? 僕達はトクサネシティを後にし、夕焼けの映える海へと飛び込んだ。 ---- ≪のび太サイド≫ 「ミロカロス、ダイビング!」 僕とジャイアンは、しずかちゃんのミロカロスに乗って海底洞窟まで行った。 ……ゲーム通り、奪われた潜水艦がある。 僕達はひたすら走り、海底洞窟の中を進んだ。 「う、うわっ!」 上からしたたり落ちてくる水滴が、僕に当たる。 なんだか気持ち悪いな。 ――その時。僕達の前に、二人の幹部が立ちはだかった。 「俺はマグマ団幹部のホムラだ!ここから先はとおさねえ!」 「同じく、カガリよ。ちょっと遊んでくれるかしら……」 「ジャイアン、ここは僕達に任せてよ」 僕は一歩踏み出し、言った。 「ええ。スネ夫さんのことだから……武さんが行くべきよ」 しずかちゃんも後に続く。 「のび太、しずかちゃん……」 「さあ、いきなよ!」 僕はジャイアンの背中をそっと押して、手を振る。 「ありがとうな!スネ夫は俺に任せろ!」 「頑張ってね、ジャイアン……お前等の相手は僕達だ!」 ---- ≪のび太サイド≫ 「ダブルバトルか、いいだろう!」 「精々遊び道具にならないようにね……」 ホムラとカガリがボールを投げる。 「いけ、コノハナ!」 「頼んだわよ、ミロカロス!」 ホムラはバクーダ、カガリはアブソルだ。 この勝負、負けるわけにはいかない。 「コノハナ、アブソルにタネマシンガン!」 僕のコノハナのタネマシンガンが、アブソル目掛けて飛んでいく。 「甘いぜ。バクーダ、火炎放射で焼き尽くせ!」 火炎放射がタネマシンガンを襲う。 「あら、甘いのはどっちかしら……ミロカロス、水の波動!」 今度は、水の波動が火炎放射を打ち消した。 そして、タネマシンガンはアブソルに直撃する。 まさに一触即発。激しい技の応酬。 「のび太さん、まずはバクーダを狙うわよ……ミロカロス、バクーダに水の波動!」 「わかった!コノハナ、バクーダにタネマシンガン!」 攻撃はバクーダを完全にとらえた。だが…… 「アブソル、冷凍ビームで水を凍らせなさい……そして、燕返し!」 水の波動は凍って崩れ落ち、タネマシンガンは燕返しによって切り裂かれた。 強い。これが幹部の実力か……。 でも、僕達だって負けられない……スネ夫を取り戻すために。 ---- ≪のび太サイド≫ 「狙いをアブソルに。水の波動!」 しずかちゃんの命令と共に、僕もコノハナに攻撃命令をする。 「コノハナ、タネマシンガン!」 ……だが、相手は一手先を読んでいた。 「バクーダ、岩雪崩でアブソルの周囲を囲め!」 岩が次々をアブソルの周囲に落ち、それは攻撃を無効化する。 僕は舌打ちし、必死に作戦を考える。 考えろ、僕。勝機は必ずあるハズだ。 ……僕のコノハナの技は、タネマシンガン、騙し討ち、自然の力、ソーラービーム。 威力の高いソーラービームを当てることができれば……。 だけど、相手にスキを見せたらやられるのは明白だ。 相手にスキを見せないにはどうすれば……そうだ! 僕は考えた末に、一つの作戦を導き出した。 いわゆる、頭の豆電球が点灯した状態だ。 「しずかちゃん、ミロカロスに竜巻を命令して!」 僕は声を張り上げる。 「どういうこと?……ミロカロス、竜巻!」 しずかちゃんはよくわからないという素振りを見せるが、竜巻を指示した。 これで、準備は整った。 よし……目にもの見せてやる! ---- ≪のび太サイド≫ 竜巻によって辺りの砂が巻き上げられ、トレーナーの視界を奪った。 「うおお、相手が見えない……」 ホムラが声をあげる。 次第に砂が多くなり、砂嵐に似たような状態を作り出す。 これこそが、僕の狙いだ。 今は相手の視界がこっちまで届いてない。ポケモンに命令も出せない。 何故なら、僕達の姿をとらえることが出来ないから……。 暫くして、竜巻が消え、砂嵐もだんだんおさまっていく。 ――その時。眩いばかりの青白い光が、敵のアブソルを襲った。 アブソルは強烈な一撃を食らい、鈍い音を立てて地面に倒れる。 「何っ!どういうこと?」 今の事態が把握できていないカガリを見て、僕は薄ら笑いを浮かべる。 「まだわからない?今のは僕のコノハナのソーラービームさ」 自信満々に言い放つ僕。 「……ということは、あの砂嵐は攻撃を防ぐためと、 ソーラービームを気付かれないようにするため……」 幹部の二人はあっけにとられたようだった。 「ご名答。全ては僕の……作戦通りだ!」 [[次へ>ルビー その6]] ----

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