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[[前へ>DPでも書こうか その6]] 【のび太サイド】 「誰も居ないのかな……」 僕は人気の無い廊下を歩いていた。 コツコツと自分の足音だけが廊下に響く。 後で聞いた話だがこの時ギンガ団の戦闘員は全員1階に居たらしい。 つまり出来杉の作戦勝ちということになる。 5分ほども歩くと前に黄色い扉が見えてくる。 (多分あそこに何かあるんだろうな……) 僕は急ぎ足でそのドアへと向かった。 バンと勢い良くドアを開ける僕。 部屋には青髪の男が一人立っていた。 「あれ?アカギさん?」 「子供と聞いたが……まさか君達だったとはね」 アカギはそう呟くとテーブルの3つのモンスターボールを手に取った。 (え、え、えー?) ――多分この状況から言うと アカギさんはギンガ団の重要人物(信じたくないが) そして今僕にバトルを仕掛けようとしている。 僕はそれだけ頭の中で整理するとベルトに手を伸ばした。 「ちょっと待った!」 既に開かれているドアからまた一人、この部屋に来た。 出来杉だ。 「流石出来杉、仕事が早いなぁ」 「今はそんな場合じゃないだろ、コイツはギンガ団のボスだぞ」 出来杉が僕の肩に手を乗せた後、ベルトのボールに手を伸ばした。 (……何なんだよこの超展開は) 僕は覚悟を決め、右手にボールを握り締めた。 しかし出来杉がまた一つ僕に耳打ちした。 「此処は僕にやらせてくれ、君は一足先に地下に行くんだ」 出来杉が右手で僕を一歩後ろに下がらせる。 そして右の赤いドアを指差す。 きっとそこが地下……多分ポケモンが捕らわれている場所だ。 「あーもー任せたよ!」 僕は投げやりに言葉を出し赤いドアへの右のボタンを押し、 地下への階段を下りて行った。 ---- 【ドラえもんサイド】 ※時間のズレがあるのでその辺注意 僕は廃墟と化したギンガ団のアジトを見つめていた。 突入から1時間程で壊滅。 大きな組織とは思えないほどあっけない最期だった。 (出来杉君にのび太君、そして静香ちゃん、スネオ……そしてギンガ団の残党が  今テンガン山に向かっているのか……) 僕は視線を右側の大きな山に向ける。 前にのび太君を引きずって歩いた時抜けた山だ。 「それにしても……やっぱりこのゲームは終わらせた方が良いのかな……  あのジャイアンもギンガ団側についてしまったし……どうするべきか」 僕は夕日を見つめぽつりと吐いた。 そして脳裏にあることを思い出した。 ハクタイの森でのことだ。 「そういえばこの世界には夜が無いね」 「まぁ時間が進まないように設定いといたから、気にすんなよ」 ---- 一件何の変哲も無いこの会話。 僕はやっとこの世界がおかしいことに気づいたのである。 (そう言えば最初から変だった  昼夜があるし……微妙にポケモンのタイプ相性も違う  更には覚えている技までもが違ってくる  そして皆の性格が大分変わっている  それに……やっぱりジャイアンがギンガ団側についたのは……) 僕はそそくさとボールからムクホークを出す。 「そうなると大変だ!すぐにゲームを止めにしなきゃ…!」 ヒュンと夕暮れの空に舞い上がる。 僕は一刻も早く皆を連れ戻すためにテンガン山山頂を目指した。 ほぼ同時刻、テンガン山周辺は異常現象に見舞われていた。 伝説のポケモンの目覚めだ―― みんなのてもち のび太    ゴルダックLv43 ラムパルドLv41 エテボースLv42 ギャロップLv41 マスキッパLv42  ジャイアン 不明 スネオ   不明 しずか   不明 出来杉   不明 ドラえもん アグノムLv50 後は不明 ---- 【のび太サイド】 「……何だ此処は……」 僕は扉を開け、螺旋階段を全力で下りて行った。 扉を開けた瞬間何か緑色の液体がつまった機械がたくさん並べられているのが見えたからだ。 カンカンカンと音を立てながらぐるぐると回る。 15回程回ればもう地上だった。 シーンとした通路には無造作に機械が並べられている。 多くは緑色の液体の中に隕石のようなものが浮き沈みしているものだ。 見ているだけで気持ちが悪い。 僕は先へと急いだ。 「……ジャイアン?」 暗い通路の中、確かに見えたのはオレンジのセーター。 こんな服を着ているのはジャイアンくらいだ。 ジャイアンはくるっと180度回転し、僕の方を睨みつけた。 「 や ら な い か 」 (え?) ジャイアンは急に意味不明な言葉を発した。 (多分何かおかしくなっているんだろう  でもどういう反応をしたら……) 僕は咄嗟に頭に浮かんだ言葉を投げつける。 「 だ が 断 る 」 ---- 両者の間にピリピリとした空気が流れる。 暗闇に慣れてくると周りが見えてきた。 ジャイアンの後ろに伝説のポケモンらしきものが2体、機械に押さえられている。 「で、お前はコイツらを取り返しに来たのか」 ジャイアンはおもむろに沈黙を破る。 「あぁ、そのポケモンを返してもらおう」 「……ボスを倒してきたのか?」 ジャイアンは辺りを歩きながら僕に話し掛ける。 僕はゆっくりと右手をベルトに向かわせた。 「アカギさんのことか?  それなら今出木杉が戦ってるさ」 「?……ボスも変わったお方だ……」 ジャイアンは首を下げた。 (今だ!) 「行け、エテボース!」 「おいおい、不意打ちかよ  お前もズル賢くなったな……行け!チャーレム!」 ---- 先制を取ったエテボースが僕の命令通りに一つの機械を壊した。 小さな爆発音が鳴る。 僕はそれに合わせてボールをジャイアンの後ろ側に転がした。 中から出てきたピンク色のポケモンは僕の姿を見ると消えてしまった。 僕が助けってやったのに、薄情な奴だ。 「ほう、先にポケモンを逃がすつもりか  甘いなぁ、冷凍パンチだ」 チャーレムは強力な冷気を拳の込める。 「エテボース!もう一個を壊せ!」 エテボースの攻撃は間一髪で外れてしまった。 その隙にチャーレムの冷凍パンチがヒットする。 短い悲鳴と共に倒れるエテボース。 「な、一撃で!?」 「急所だよ、急所」 何時に無く微笑むジャイアン。 僕は段々怒りを感じ始めていた。 「糞、次はゴルダックだ!」 今度もボールを装置の近くに投げ捨てる。 「自殺行為だな、チャーレム、ボールに攻撃だ」 チャーレムは僕の投げたボール目掛けてジャンプする。 「しまった!」 バコンと鈍い音が響いた。 ボールが粉々に砕け散ったのだ。 「な~んてね、それは空のボールだよ」 僕は右手でもう一つの装置を指差す。 その後ろにはギャロップが立っている。 「な、なんだってー!?」 ジャイアンが咄嗟に後ろを向く。 「壊せっ!!」 ギャロップは大きく振りかぶり、そして踏みつけた。 ---- またも小さな爆発の音が聞こえる。 そして黄色いポケモンが機械から飛び出した。 さっきと同じ様に瞬時にワープする。 「これで形勢逆転だね、ジャイアン  もう用は無いさ」 僕は短くそう言うとあらかじめポケットに入れておいた穴抜けの紐を掴んだ。 「覚えてろよぉおおおおおぉぉおおおお!!!!!」 微かにジャイアンの叫び声が聞こえた。 僕はフッと後ろを振り向く。 ビルのあちこちがボロボロだった。 窓ガラスが割れ、火災が起きているところまである。 周りに皆は居ない。 僕はポケモンセンターへと急いだ。 (ジャイアン……変わっちまったなぁ  どうすればいいのやら……) 僕は壊れかけたビルを横目で見ながら走り始めた。 みんなのてもち のび太   ゴルダックLv43 ラムパルドLv41 エテボースLv42 ギャロップLv42 マスキッパLv42  ジャイアン チャーレムLv42 後は不明 スネオ   不明 しずか   不明 出来杉   不明 ドラえもん アグノムLv50 後は不明 ---- 【スネオサイド】 大きな爆発音が耳元を通り抜ける。 「何やってんだドラえもん!」 「ご、ごめん!つい慌てて……」 そんなことは言ってられない。 こっちから出向いたんだから戦わなければならない。 もう外はぞろぞろと下っ端が集まり始めていた。 (くっそー!ドラえもんの野郎、ボクらの計画がめちゃくちゃじゃないか!) 心の中で舌打ちをし、ベルトに手を伸ばした。 「行け!ゴウカザル!」 甲高い声と共にボールから飛び出したのは相棒の猿、ゴウカザルだ。 白く美しい毛並みにその凛々しい顔、そしてこの強さ 全てを持ってこの優雅なボクに相応しい。 「火炎放射で相手を寄せ付けるな!」 ゴウカザルが口から火炎を吐く。 この間与えてやった技マシンだ。 (これで右半分の下っ端はゴウカザルに任せて……ボクはやりたいことがある  さっさと済まさなければ) 「ムウマージ!ドラえもんに加勢しろ!」 今度は紫色のポケモン、ムウマージを繰り出す。 ---- 「おい、ドラえもん!君の力はそんなもんだったっけ!?」 ドラえもんを背に叫ぶ。 目の前は火の海だ。顔から汗が噴出している。 その代わり下っ端達はこちら側に来ることができない。 今はドラえもんの居る左側だけに専念できる。 「言ってくれるなぁ……レントラー!スパークでズバットを蹴散らせ!」 キャーキャーと騒いでいたコウモリ集団が一撃で地に沈む。 「どうだい?」 (効果抜群なんだから当然だろ……単純な奴だ) ちょうどその時、ゴウカザルの体力も限界を迎えようとしていた。 「よし、良くやったゴウカザル、最後に火炎車だ!」 ゴウカザルは頷くと、自らを炎で包み込む。 そしてそのまま回転し、下っ端のドーミラーらに体当たりをかます。 「流石ボクのポケモンだ!こんなに美しくて強いポケモンは他にいない!」 ボクが叫ぶと同時にドラえもんの方でも何か変化が現れる。 「サイコキネシスで止めだ!」 どうやら幹部と戦っていたようだ。 髪が何というか……凄い形の。 「ドグロック!くそ、また負けか……」 「これが伝説のポケモンの力だ、これに懲りたらもうギンガ団なんて辞めることだね」 ドラえもんがアグノムを傍らに呼びながら言う。 (ふ~ん……コイツらのこと心配してるのか?) ふと疑問が過ぎる。 (でも伝説のポケモンか……  強くて美しくて――僕にピッタリだ  ……でも簡単には……!) ここまで考えて頭の上にピカーン!と豆電球が浮かぶ。 ---- (この後テンガン山で何かしらイベントがあるはずだ!  いくらゲームの進行が変わっているとは言え赤い鎖は完成しているんだ  絶対にゲット出切る!) ボクは一人ガッツポーズを出す。 「何やってるんだい、スネオ君ギンガ団はまだ居るよ、ガッツポーズは早い」 「ん、あ、あぁ」 (ったく、何だいこのポンコツ狸だが) 心の中で悪態をつく。 「マスターボールがあればゲット出来るはずだな……」 ギンガ団との戦闘は上の空。 ムウマージに適当に任している。 ボクは今だに伝説のポケモンのことを考えていた。 (フフ……あんなに大きくて強そうで美しいポケモン  ボクが使うところを見たら皆何て言うだろうな) (以下スネオの頭の中) ジャイアン「おう!スネオ、見直したぜ!今度からはお前の部下になってやる!」 (あ、そういやジャイアンは居ないんだっけ) のび太「流石スネオじゃん!伝説のポケモンをゲットするなんて!」 しずか「スネオさん、男らしくて凄いわ」 出来杉「いやぁ、見直したよスネオ君」 ドラえもん「何でこんな危険なことをしたんだ!       一歩間違えれば死んでたかもしれないんだぞ!」 ---- (やっぱり狸は嫌だな) ボクは色々と想像を広げながら荒れ果てたアジトを見ていた。 「出来杉さんはもうテンガン山に向かったらしいわ  あたし達も早く行った方が……」 ボク、しずかちゃん、ドラえもんのメンバーはアジトの前で話し合っている。 のび太はまだ帰ってこない。 まさかジャイアンを連れてくる、なんてことは無いだろうな…… 「ドラちゃんはどうするの?」 「僕はこのアジトの後始末をしておくよ  まだ下っ端も大勢のびてるしね」 「そう……スネオさんは来るわよね?」 「いや、……あ、あぁ、行く、行くよ、行くってば!」 しずかちゃんの目があまりにも怖くなったので急に焦るボク。 伝説のポケモンを従えようとする男がなんとも情けない。 正直テンガン山に行く理由は無い。 目当てのマスターボールも手に入らなかったわけだし。 ボクは半強制的にテンガン山へ向かった。 みんなのてもち のび太   不明 ジャイアン 不明 スネオ   ゴウカザルLv40 ムウマージLv40 他大量のポケモンを所持 しずか   不明 出来杉   不明 ドラえもん アグノムLv50 後は不明 ----
[[前へ>DPでも書こうか その6]] 【のび太サイド】 「誰も居ないのかな……」 僕は人気の無い廊下を歩いていた。 コツコツと自分の足音だけが廊下に響く。 後で聞いた話だがこの時ギンガ団の戦闘員は全員1階に居たらしい。 つまり出来杉の作戦勝ちということになる。 5分ほども歩くと前に黄色い扉が見えてくる。 (多分あそこに何かあるんだろうな……) 僕は急ぎ足でそのドアへと向かった。 バンと勢い良くドアを開ける僕。 部屋には青髪の男が一人立っていた。 「あれ?アカギさん?」 「子供と聞いたが……まさか君達だったとはね」 アカギはそう呟くとテーブルの3つのモンスターボールを手に取った。 (え、え、えー?) ――多分この状況から言うと アカギさんはギンガ団の重要人物(信じたくないが) そして今僕にバトルを仕掛けようとしている。 僕はそれだけ頭の中で整理するとベルトに手を伸ばした。 「ちょっと待った!」 既に開かれているドアからまた一人、この部屋に来た。 出来杉だ。 「流石出来杉、仕事が早いなぁ」 「今はそんな場合じゃないだろ、コイツはギンガ団のボスだぞ」 出来杉が僕の肩に手を乗せた後、ベルトのボールに手を伸ばした。 (……何なんだよこの超展開は) 僕は覚悟を決め、右手にボールを握り締めた。 しかし出来杉がまた一つ僕に耳打ちした。 「此処は僕にやらせてくれ、君は一足先に地下に行くんだ」 出来杉が右手で僕を一歩後ろに下がらせる。 そして右の赤いドアを指差す。 きっとそこが地下……多分ポケモンが捕らわれている場所だ。 「あーもー任せたよ!」 僕は投げやりに言葉を出し赤いドアへの右のボタンを押し、 地下への階段を下りて行った。 ---- 【ドラえもんサイド】 ※時間のズレがあるのでその辺注意 僕は廃墟と化したギンガ団のアジトを見つめていた。 突入から1時間程で壊滅。 大きな組織とは思えないほどあっけない最期だった。 (出来杉君にのび太君、そして静香ちゃん、スネオ……そしてギンガ団の残党が  今テンガン山に向かっているのか……) 僕は視線を右側の大きな山に向ける。 前にのび太君を引きずって歩いた時抜けた山だ。 「それにしても……やっぱりこのゲームは終わらせた方が良いのかな……  あのジャイアンもギンガ団側についてしまったし……どうするべきか」 僕は夕日を見つめぽつりと吐いた。 そして脳裏にあることを思い出した。 ハクタイの森でのことだ。 「そういえばこの世界には夜が無いね」 「まぁ時間が進まないように設定いといたから、気にすんなよ」 ---- 一件何の変哲も無いこの会話。 僕はやっとこの世界がおかしいことに気づいたのである。 (そう言えば最初から変だった  昼夜があるし……微妙にポケモンのタイプ相性も違う  更には覚えている技までもが違ってくる  そして皆の性格が大分変わっている  それに……やっぱりジャイアンがギンガ団側についたのは……) 僕はそそくさとボールからムクホークを出す。 「そうなると大変だ!すぐにゲームを止めにしなきゃ…!」 ヒュンと夕暮れの空に舞い上がる。 僕は一刻も早く皆を連れ戻すためにテンガン山山頂を目指した。 ほぼ同時刻、テンガン山周辺は異常現象に見舞われていた。 伝説のポケモンの目覚めだ―― みんなのてもち のび太    ゴルダックLv43 ラムパルドLv41 エテボースLv42 ギャロップLv41 マスキッパLv42  ジャイアン 不明 スネオ   不明 しずか   不明 出来杉   不明 ドラえもん アグノムLv50 後は不明 ---- 【のび太サイド】 「……何だ此処は……」 僕は扉を開け、螺旋階段を全力で下りて行った。 扉を開けた瞬間何か緑色の液体がつまった機械がたくさん並べられているのが見えたからだ。 カンカンカンと音を立てながらぐるぐると回る。 15回程回ればもう地上だった。 シーンとした通路には無造作に機械が並べられている。 多くは緑色の液体の中に隕石のようなものが浮き沈みしているものだ。 見ているだけで気持ちが悪い。 僕は先へと急いだ。 「……ジャイアン?」 暗い通路の中、確かに見えたのはオレンジのセーター。 こんな服を着ているのはジャイアンくらいだ。 ジャイアンはくるっと180度回転し、僕の方を睨みつけた。 「 や ら な い か 」 (え?) ジャイアンは急に意味不明な言葉を発した。 (多分何かおかしくなっているんだろう  でもどういう反応をしたら……) 僕は咄嗟に頭に浮かんだ言葉を投げつける。 「 だ が 断 る 」 ---- 両者の間にピリピリとした空気が流れる。 暗闇に慣れてくると周りが見えてきた。 ジャイアンの後ろに伝説のポケモンらしきものが2体、機械に押さえられている。 「で、お前はコイツらを取り返しに来たのか」 ジャイアンはおもむろに沈黙を破る。 「あぁ、そのポケモンを返してもらおう」 「……ボスを倒してきたのか?」 ジャイアンは辺りを歩きながら僕に話し掛ける。 僕はゆっくりと右手をベルトに向かわせた。 「アカギさんのことか?  それなら今出木杉が戦ってるさ」 「?……ボスも変わったお方だ……」 ジャイアンは首を下げた。 (今だ!) 「行け、エテボース!」 「おいおい、不意打ちかよ  お前もズル賢くなったな……行け!チャーレム!」 ---- 先制を取ったエテボースが僕の命令通りに一つの機械を壊した。 小さな爆発音が鳴る。 僕はそれに合わせてボールをジャイアンの後ろ側に転がした。 中から出てきたピンク色のポケモンは僕の姿を見ると消えてしまった。 僕が助けってやったのに、薄情な奴だ。 「ほう、先にポケモンを逃がすつもりか  甘いなぁ、冷凍パンチだ」 チャーレムは強力な冷気を拳の込める。 「エテボース!もう一個を壊せ!」 エテボースの攻撃は間一髪で外れてしまった。 その隙にチャーレムの冷凍パンチがヒットする。 短い悲鳴と共に倒れるエテボース。 「な、一撃で!?」 「急所だよ、急所」 何時に無く微笑むジャイアン。 僕は段々怒りを感じ始めていた。 「糞、次はゴルダックだ!」 今度もボールを装置の近くに投げ捨てる。 「自殺行為だな、チャーレム、ボールに攻撃だ」 チャーレムは僕の投げたボール目掛けてジャンプする。 「しまった!」 バコンと鈍い音が響いた。 ボールが粉々に砕け散ったのだ。 「な~んてね、それは空のボールだよ」 僕は右手でもう一つの装置を指差す。 その後ろにはギャロップが立っている。 「な、なんだってー!?」 ジャイアンが咄嗟に後ろを向く。 「壊せっ!!」 ギャロップは大きく振りかぶり、そして踏みつけた。 ---- またも小さな爆発の音が聞こえる。 そして黄色いポケモンが機械から飛び出した。 さっきと同じ様に瞬時にワープする。 「これで形勢逆転だね、ジャイアン  もう用は無いさ」 僕は短くそう言うとあらかじめポケットに入れておいた穴抜けの紐を掴んだ。 「覚えてろよぉおおおおおぉぉおおおお!!!!!」 微かにジャイアンの叫び声が聞こえた。 僕はフッと後ろを振り向く。 ビルのあちこちがボロボロだった。 窓ガラスが割れ、火災が起きているところまである。 周りに皆は居ない。 僕はポケモンセンターへと急いだ。 (ジャイアン……変わっちまったなぁ  どうすればいいのやら……) 僕は壊れかけたビルを横目で見ながら走り始めた。 みんなのてもち のび太   ゴルダックLv43 ラムパルドLv41 エテボースLv42 ギャロップLv42 マスキッパLv42  ジャイアン チャーレムLv42 後は不明 スネオ   不明 しずか   不明 出来杉   不明 ドラえもん アグノムLv50 後は不明 ---- 【スネオサイド】 大きな爆発音が耳元を通り抜ける。 「何やってんだドラえもん!」 「ご、ごめん!つい慌てて……」 そんなことは言ってられない。 こっちから出向いたんだから戦わなければならない。 もう外はぞろぞろと下っ端が集まり始めていた。 (くっそー!ドラえもんの野郎、ボクらの計画がめちゃくちゃじゃないか!) 心の中で舌打ちをし、ベルトに手を伸ばした。 「行け!ゴウカザル!」 甲高い声と共にボールから飛び出したのは相棒の猿、ゴウカザルだ。 白く美しい毛並みにその凛々しい顔、そしてこの強さ 全てを持ってこの優雅なボクに相応しい。 「火炎放射で相手を寄せ付けるな!」 ゴウカザルが口から火炎を吐く。 この間与えてやった技マシンだ。 (これで右半分の下っ端はゴウカザルに任せて……ボクはやりたいことがある  さっさと済まさなければ) 「ムウマージ!ドラえもんに加勢しろ!」 今度は紫色のポケモン、ムウマージを繰り出す。 ---- 「おい、ドラえもん!君の力はそんなもんだったっけ!?」 ドラえもんを背に叫ぶ。 目の前は火の海だ。顔から汗が噴出している。 その代わり下っ端達はこちら側に来ることができない。 今はドラえもんの居る左側だけに専念できる。 「言ってくれるなぁ……レントラー!スパークでズバットを蹴散らせ!」 キャーキャーと騒いでいたコウモリ集団が一撃で地に沈む。 「どうだい?」 (効果抜群なんだから当然だろ……単純な奴だ) ちょうどその時、ゴウカザルの体力も限界を迎えようとしていた。 「よし、良くやったゴウカザル、最後に火炎車だ!」 ゴウカザルは頷くと、自らを炎で包み込む。 そしてそのまま回転し、下っ端のドーミラーらに体当たりをかます。 「流石ボクのポケモンだ!こんなに美しくて強いポケモンは他にいない!」 ボクが叫ぶと同時にドラえもんの方でも何か変化が現れる。 「サイコキネシスで止めだ!」 どうやら幹部と戦っていたようだ。 髪が何というか……凄い形の。 「ドグロック!くそ、また負けか……」 「これが伝説のポケモンの力だ、これに懲りたらもうギンガ団なんて辞めることだね」 ドラえもんがアグノムを傍らに呼びながら言う。 (ふ~ん……コイツらのこと心配してるのか?) ふと疑問が過ぎる。 (でも伝説のポケモンか……  強くて美しくて――僕にピッタリだ  ……でも簡単には……!) ここまで考えて頭の上にピカーン!と豆電球が浮かぶ。 ---- (この後テンガン山で何かしらイベントがあるはずだ!  いくらゲームの進行が変わっているとは言え赤い鎖は完成しているんだ  絶対にゲット出切る!) ボクは一人ガッツポーズを出す。 「何やってるんだい、スネオ君ギンガ団はまだ居るよ、ガッツポーズは早い」 「ん、あ、あぁ」 (ったく、何だいこのポンコツ狸だが) 心の中で悪態をつく。 「マスターボールがあればゲット出来るはずだな……」 ギンガ団との戦闘は上の空。 ムウマージに適当に任している。 ボクは今だに伝説のポケモンのことを考えていた。 (フフ……あんなに大きくて強そうで美しいポケモン  ボクが使うところを見たら皆何て言うだろうな) (以下スネオの頭の中) ジャイアン「おう!スネオ、見直したぜ!今度からはお前の部下になってやる!」 (あ、そういやジャイアンは居ないんだっけ) のび太「流石スネオじゃん!伝説のポケモンをゲットするなんて!」 しずか「スネオさん、男らしくて凄いわ」 出来杉「いやぁ、見直したよスネオ君」 ドラえもん「何でこんな危険なことをしたんだ!       一歩間違えれば死んでたかもしれないんだぞ!」 ---- (やっぱり狸は嫌だな) ボクは色々と想像を広げながら荒れ果てたアジトを見ていた。 「出来杉さんはもうテンガン山に向かったらしいわ  あたし達も早く行った方が……」 ボク、しずかちゃん、ドラえもんのメンバーはアジトの前で話し合っている。 のび太はまだ帰ってこない。 まさかジャイアンを連れてくる、なんてことは無いだろうな…… 「ドラちゃんはどうするの?」 「僕はこのアジトの後始末をしておくよ  まだ下っ端も大勢のびてるしね」 「そう……スネオさんは来るわよね?」 「いや、……あ、あぁ、行く、行くよ、行くってば!」 しずかちゃんの目があまりにも怖くなったので急に焦るボク。 伝説のポケモンを従えようとする男がなんとも情けない。 正直テンガン山に行く理由は無い。 目当てのマスターボールも手に入らなかったわけだし。 ボクは半強制的にテンガン山へ向かった。 みんなのてもち のび太   不明 ジャイアン 不明 スネオ   ゴウカザルLv40 ムウマージLv40 他大量のポケモンを所持 しずか   不明 出来杉   不明 ドラえもん アグノムLv50 後は不明 ---- 【しずかサイド】 「……来てるわね」 テンガン山への道中、橋に差し掛かったところでしずかは呟いた。 「え?何が?」 スネオは何が何だか分からないようだ。 「追っ手よ」 私は投げ捨てるように言うと、もと来た道を引き返し始めた。 スネオが慌てて声をかける。 「ど、何所に行くんだよ!?」 「……アンタは先に行ってて  追っ手は私が始末する」 スネオの顔に戸惑いの表情がでる。 まぁいくら強いからと言って女の子を一人にするわけにはいかない。 「いいから行って!」 しずかが叫ぶとスネオは逃げるようにテンガン山へ走っていった。 ---- 歩いて10分くらい経った所か。 しずかの周りには虫の息の下っ端が転がっていた。 一人の下っ端に足をつけ、(その時「ぐえっ」って言った) 橋の向こう側にいる人物を見つめる。 「あの爆発でよく生きてたわね、ブタゴリラさん」 あくまで可愛らしく微笑むしずか。 しかしその表情には残虐なものしか浮かんでいない。 「俺はボスに与えられた使命を尽くす  つまりお前達邪魔者を消す」 ゆらゆらと近づいてくるジャイアン。 (馬鹿ね  アンタはもうとっくに捨てられたというのに……) 橋の半分まで進んだところでジャイアンが止まった。 「いいわ、苦しみの無い様に消してあげるわ」 「うぐぅ……」 ボロボロになったジャイアンの前にしずかが立つ。 その傍らには無傷のエンペルトが立っていた。 「じゃ、サヨナラ」 そう一言呟き、思い切り巨体を蹴る。 ジャイアンは力なく川へと落下していった。 「……あの体じゃあもう泳げなさそうね、それにこの高さだし……  それにしても余計な時間を使ったわ  急がないと……」 夕暮れを背にしずかは歩き始めた。 ---- みんなのてもち のび太   不明 ジャイアン 不明 スネオ   不明 しずか   エンペルトLv55 チリーンLv50 ハピナスLv50 出来杉   不明 ドラえもん アグノムLv50 後は不明 ---- 【のび太サイド】 「ハァ、ハァ、ハァ……クッ……ハァ」 口から荒々しく呼吸を繰り返す。 右手はわき腹を押さえ、左手でモンスターボールを握っている。 「皆歩くの早すぎだよぉ!」 まだ10分も走っていないのだが、のび太は思わず根をあげる。 正直もう肺が爆発しそうで内臓的なものが口から飛び出してきそうだ。 僕が苦しくて目を瞑った時に、何かに躓いてしまった。 「うあっ!」 バタンと顔から倒れる僕。 すぐに自分を転ばせた犯人を確認すべく、後ろを振り向く。 (し、下っ端だ……) 足に引っ掛かったのはボロボロのギンガ団戦闘員だ。 辺りを見回すと数十人にも及ぶ下っ端が地に倒れていた。 (こんなに倒せるのはしずかちゃん辺りかな  ……あーもー、皆歩くの早すぎなんだよ!) 先ほど口に出した言葉を、今度は心の中で呟くのび太だった。 ---- 「ウガブァ…ンバァ、……グハァ」 声にもならない程の息を漏らし、洞窟内の壁に手をつく僕。 既に体力は限界を迎えようとしていた。 と言うかもう迎えてる。 (早く、追いついて加勢しないと……) 頂上の方では先に行った出来杉、スネオ、しずか達が戦っているはずだ。 3分ほど俯いたまま休んだ後、立ち上がろうとしたところで顔面に衝撃が走った。 「あべし!」 分けのわからない叫び声を上げながら横に吹っ飛ぶ僕。 壁にぶつかってようやく勢いが死んだ。 「さっきの借り、返してやったぜ?」 ふらふらする意識の中、目に映ったのはジャイアンだった。 「ポケモンバトルといこうか、のび太君」 ジャイアンがニヤリと笑う。 手には二つのモンスターボール。 どうやらダブルバトルのようだ。 ガンガンする頭から無理矢理体に指令を出し、何とか立ち上がる。 「ドダイドス、ドンカラス、蹴散らせ!」 ドンカラスが翼を広げ、僕に突進してくる。 辛うじて横に飛び込み、その攻撃をかわしながらも2体のポケモンを繰り出す。 「出番だ!マスキッパ!エテボース!」 ---- 「ハァン、そんな体で俺様に勝てると思ってるのか?」 「あぁ、勝ってやるさ」 まだ痛みが残る全身に気合を入れながら、作戦を考える。 「粋がってられるのも今のうちだ貧弱メガネが!」 ジャイアンの頭に血が上り、真っ赤な顔をして怒声を飛ばす。 「地震だ!」 ジャイアンの命令と共にドダイドスが前足を大きく上げる。 ドンカラスはその間に宙に浮かんで行く。 「マスキッパは剣の舞!  エテボースは……」 僕の命令が言い終わる前にドダイドスの前足が振り下ろされた。 同時に洞窟内を物凄い揺れが襲う。 ふらふらした体で立っていられるはずも無く、またも顔面から転んでしまう。 このままじゃポケモンが確認できない、そう思った僕は片足の膝をつき、 何とか洞窟内が確認できた。 その時、何か音が耳を通り過ぎる。 ハッとして上を見上げると、地震により崩れた岩が一直線に僕に向かってきていた。 グシャ、という嫌な音が最後に聞こえる。 岩の下からは赤い液体が流れ出ていた。 ジャイアンはその光景に満足げな顔をすると、ポケモンをボールに戻し、 頂上へと向かって行った。 ---- みんなのてもち のび太   ゴルダックLv45 ラムパルドLv43 エテボースLv44 ギャロップLv42 マスキッパLv44  ジャイアン ドダイドスLv46 ドンカラスLv45 チャーレムLv44 ハガネールLv42 スネオ   不明 しずか   不明 出来杉   不明 ドラえもん アグノムLv50 後は不明 [[次へ>DPでも書こうか その8]] ----

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