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[[前へ>ルビー その2]] キンセツシティ。 「おせーぞドラえもん!」 落ちつかない様子で怒鳴っているのはジャイアン。 お馴染みのメンバーもいる。出木杉を除いて・・・だが。 「ごめんごめん、今からポケナビのメンテナンスをするよ。あ、出木杉君はこれないらしい」 「――よし、これで終わりと」 ドラえもんはポケナビを全員に返す。 「今回追加されたのは誰かがチャンピオンになったら知らされる機能だよ。便利だろ?」 だが、その声はポケナビが鳴る音によってかき消される。 ポケナビの画面にはこう記述されていた。 リーグチャンピオン ―― 出木杉英才 全員の顔は驚き一色に染まった。 「ポケモンリーグにいけば、わかることだよ。悩んでても仕方ないじゃない」 ドラえもんが仕切る。次第に皆の表情も戻っていく。 「そういえば、ドラえもんから潮の香りしない?」 のび太が鼻を大きくして匂う。 「さっき獲れたての魚食べたからかな?・・・じゃあ、そろそろ解散しようか」 全員が頷く。 「それじゃ、また!」 のび太達は次々とキンセツシティを後にする。 だが、その中で一人だけ――キンセツシティに残っている者がいた。 不敵な笑みを浮かべ、狂喜の叫びが響き渡る。 ---- ≪のび太サイド≫ 僕はキンセツシティを後にして、砂漠の近くまできた。 ジムバッジもとったし、次はハジツゲタウンかな。 ――そんな事を考えている時、誰かが僕の肩をポンと叩いた。 「誰・・・?」 僕が振り向くと、そこにいたのはジャイアンだった。 まさか、またポケモンよこせなんて言わないだろうな・・・? 僕がそんな被害妄想をしている時、ジャイアンから思いがけない言葉が飛んできた。 「この間は悪かった。このキャモメ、返すよ」 え?僕は突然の出来事に驚きを隠せない。 「あ、ありがとう」 感謝する必要はないけど、ジャイアンの罰の悪そうな顔を見て照れくさくなったんだ。 「ほらよ」 ジャイアンは懐からボールを取りだし、僕に手渡す。 「会いたかったよ、キャモメ!」 僕はすぐにキャモメを出し、そのまま抱きつく。 …あったかいなぁ。 「それじゃ、またな!」 「うん、ばいばいジャイアン!」 雲一つない空と共に、僕は走り出した。 ---- ≪スネ夫サイド≫ ここはハジツゲタウンのポケモンセンター。 今、流星の滝のイベントを終わらせてきた所さ。 「よし、そろそろえんとつ山に向かおう」 僕はポケモンセンターを出て、来た道を走る。ひたすら走る。 何故こんなに急いでいるのか、理由はただ一つ。 リーグチャンピオン ―― 出木杉英才 これを見る度に、僕はむしゃくしゃする。 なんで出木杉なんだ?なんで僕じゃないんだ? そんな言葉が脳内で何度も再生され、それは僕の脳を侵食しているかのようだ。 「今に見てろ、出木杉!」 「はぁ・・・はぁ・・・」 どれぐらい走ったろう?僕はえんとつ山についた。 ――だが、僕がそこで見たのは僕の想像とシナリオを完全に覆す光景だった。 地にはいつくばっているマグマ団の下っ端。 そしてマグマ団リーダー・マツブサと対峙しているのは・・・ 「しずかちゃん、何でここに?」 ---- ≪スネ夫サイド≫ 僕が見たのは紛れも無くしずかちゃん。 なんで僕より早くここに?流星の滝イベントは僕がやったのに。 ――いや、それは後回しだ。 今、しずかちゃんとマツブサは戦っている。 僕はゆっくり見物させてもらうさ。 「――私の勝ちね」 …強い。マツブサのポケモンを一撃で倒してしまうその力。 どうやら、敵は出木杉だけじゃないってことだね。 「で、何?スネ夫さん」 しずかちゃんがこっちを振り向く。その目には暖かみがない。 「なんでここにいるの?流星の滝のイベントをやったのは僕だぞ!」 「あら、気付かないの?面倒なことはあなたに任せて、先に進んだまでだけど」 何だと?僕がイベントを終えたのを見て、ここに向かったわけか。 ――気にいらない。 気にいらないな。 僕は目の前の敵を睨みつけ、言い放った。 「気にいらないな。僕を利用したこと、後悔させてやるよ!」 ---- ≪スネ夫サイド≫ 「あら、ポケモン勝負?ならあなたに勝ち目はないわ」 ムカつくんだよ。その僕を見下すような態度。 今に後悔させてやる! 「うるさい!いけジュプトル」 絶対に、絶対に勝ってやる。後悔させてやる。 ――だが、僕は圧倒的な強さを前に歯が立たなかった。 「あら、もう終わり?暇潰しにもならなかったわ」 そう言うとしずかちゃん・・・いや、しずかは立ち去った。 その後姿さえも、僕を嘲っているように見える。 僕はその後、ただただ立ち尽くしていた。 脳が動けと命令しても、体がいう事を聞かない。 「なんでだよ、なんでだよ・・・」 厳しい現実を目の当たりにして、冷静に物事を考えることができなかった。 まさか、僕は自分の力を過信しすぎていたのか?そうなのか? わからない。全然、わからない。 だけど、一つだけわかることがある。 僕はもっと強くならなくちゃいけない。もっと。もっと。 ---- ≪ジャイアンサイド≫ 俺はジャイアン。ガキ大将。 今、俺はフエアンタウンのあったかい風呂に浸かってる。 うーん、気持ちいいぜ。 ただ、混浴なのに若い姉ちゃんがいないってのが・・・。 ――ドガーン! なんだ?大きな爆発音が俺の気分をぶち壊す。 だが、そんな悠長な事をいえる状況じゃないみたいだな。 外を見ると大量のマグマ団。 そして、俺は着替えを済ませ外へ出る。 「コータス、オーバーヒート!」 外でマグマ団と戦っているのは可愛い姉ちゃん・・・じゃなくてアスナだっけ。 だけど、マグマ団に押されているみたいだな。 ――よし、俺が加勢して姉ちゃんを助けてやる! 「おいお前ら!一人に大勢でかかるとは卑怯じゃねえか!俺様が相手だ!」 俺ってもしかして、カッコいい? 「ぁ?誰だテメェ!」 「俺はジャイアン。ガキ大将だ!」 ---- ≪ジャイアンサイド≫ 「いけ、ワカシャモ!あいつらを蹴散らせ!」 俺はワカシャモを出し、攻撃の命令をする。 「加勢してくれるの?私はアスナ。一緒に戦おう!」 ――やべえな。完全に押されてるぜ。 俺と姉ちゃんは背中を合わせ、その周りにはマグマ団がいる。 そして、マグマ団達が一斉に攻撃の命令をする。 俺は負けを悟った。 「ライボルト、スパーク!」 どこからともなく聞こえてくる声と共に、救世主が現れた。 俺はその声の主を確かめる。 「お前は・・・スネ夫!」 「随分と不甲斐ない姿だね、ジャイアン」 スネ夫のおかげで、俺達は見事にマグマ団を追い返した。 「ありがとう、二人とも!・・・で、目的はジム戦なのよね?」 姉ちゃんが俺達のバッジを見ながら言う。 「ついてきなさい。炎使いの実力、見せてあげるわ!」 ---- ≪ジャイアンサイド≫ 俺はジム戦を終えたスネ夫を別れ、ジムに入る。 「さっきの事は礼を言うけど、勝負は別だよ!」 「ああ、わかってるぜ!勝負だ」 ――このコータス、強いな。 ワンリキーとタツベイが一気にやられちまうとはな・・・。 「ワカシャモ!二度蹴りだ」 「火炎放射だ!」 ワカシャモはコータスに近づく事すら出来ず、ダメージを受ける。 近づく事ができないなら・・・アレでいくか。 「ワカシャモ、岩石封じ!」 ワカシャモとコータスの間に、岩が横に置かれていく。 「なるほど、それで攻撃を防ごうってわけか・・・体当たりで岩を壊しなさい!」 コータスは岩に向かって体当たりをする。 岩が壊れるのも時間の問題、か・・・。 だが、今、コータスの注意は岩だけに向かれている。 これこそが俺の狙いだ。 「今だワカシャモ、穴から出ろ!」 ---- ≪ジャイアンサイド≫ 穴から出たワカシャモは、コータスを上に突き飛ばす。 そう、これこそが俺の狙い。 岩石封じはワカシャモを視界にいれない為。 そして、俺はそのスキに穴を掘るで攻撃する。 俺の・・・勝ちだ! 「負けるなコータス!フルパワーでオーバーヒート!」 何?まだあんな力が残されていたのか。 「避けろワカシャモ!」 だが、俺は避けきれないことをわかっていた。 辺りを灰色の煙が包み込む・・・。 「コータス!」 「ワカシャモ!」 オーバーヒートを食らって倒れたワカシャモ。 穴を掘るを受け、フルパワーで攻撃して力尽きたコータス。 「引き分け、ね」 肩を落として言う姉ちゃんに、俺はボールをつきつける。 「コータスが岩を壊している間に、元気の欠片でタツベイを復活させてもらったぜ」 俺の言葉に、姉ちゃんはハッと我に返るような素振りをする。 「そんな・・・あの岩は、自分自身の行動を悟られない為でもあったのね」 ん?あ、ああ。実際には違うけど、建前上そう言っとくか。 「そうさ。全ては俺の計算通りだぜ」 「見事だよ。このバッジを」 ≪スネ夫サイド≫ 心地良い、懐かしい香りの風。綺麗な民家。 やっと着いたよ。トウカシティ。 僕がここに来た理由はただ一つ。五つ目のバッジだ。 そして、吹き付ける風を感じながら、僕はジムに入る。 「ジム戦をしにきました」 「挑戦者か・・・ならば早速始めよう」 ここのジムリーダーはセンリ。ゲームでも梃子摺ったんだよね・・・。 「いけ、マルノーム!」 「ケッキング!」 ケッキング。ありあまるパワーと高い防御能力を持つポケモン。 コイツにはいつも苦戦を強いられたけど、今回はそうはいかない。 「マルノーム、毒ガスだ!」 まず相手を毒状態にし、ジワジワ体力を奪っていく僕の作戦。 何故ならば、ケッキングは2ターンに1回しか動けないから。 悪いけど、倒れてもらうよ! 「――完敗だ。バランスバッジ、受け取ってくれ」 ---- ≪スネ夫サイド≫ ・・・よし、回復が済んだか。 ジム戦後、ポケモンの回復を済ませた僕は、先へ進むべくトウカシティを出た。 そして、トウカの森に入ろうとした、まさにその時。 「よう、スネ夫」 僕はジャイアンに会った。にしても、何の用だ? 「スネ夫、ポケモンバトルだ!」 よくわからないが、僕は受けてたつことにした。 ――だが、ジャイアンの強さは僕の想像を超えていた。 「へへ、いいウォーミングアップになったぜ」 そう言うと、ジャイアンが意気揚揚とトウカシティへ向かっていく。 ――しずかといい、ジャイアンといい、何で僕が負けるんだ? ポケモンも育てたし、戦略も悪くない。寧ろ他の奴より勝っているはずだ。 僕は留まることのない気持ちを抑え、その場に寝転んだ。 「ん、あれ・・・」 空が暗くなっている。大分寝ちゃったか? 「気がついたか」 僕の背後から声がした。 「だ・・・だ、誰だ!」 「はじめまして、かな・・・私の名はマツブサ。マグマ団を指揮する者だ」 ---- ≪スネ夫サイド≫ 「マツブサ・・・だって?」 赤く染まった髪。どこかしら風格のある姿。 マツブサである事には違いない。 ――でも、なんでここに? 「スネ夫君、といったかな。君に私達の組織に入ってほしい」 どういうことだ? 突然の出来事で何がなんなのか把握しきれてないけど、一つ言えることがある。 「僕はマグマ団なんかには入らないよ」 僕がそう言い放つと、マツブサは少し顔を歪ませる。 「マグマ団を知っているのか。何故入らないのだ?」 僕は心の中で言葉を整理し、冷静に答える。 「入ったとして僕には利益がないからだよ」 「利益ならある。私はさっきの君の戦いを見ていた。強くなりたいんだろう?」 まるで、僕の心を見透かすかのような言葉。 「君は弱い。だが・・・私達の組織に入れば確実に強くなれる」 弱い。その言葉が僕の心に突き刺さる。それはまるで、言葉のナイフ。 更に、ジャイアンに負けたという現実が重なってくる。 確実に強くなれる・・・強くなれる・・・。 「うわあああああああ!」 得体の知れない苦しみが僕を襲い、それは僕の意思を明確にする。 そして、マツブサが僕に手を伸ばす。 「さあ、私についてくるんだ」 夜。辺りを覆う黒い闇。僕の姿は闇に紛れ、消えていった。 [[次へ>ルビー その4]] ----
[[前へ>ルビー その2]] キンセツシティ。 「おせーぞドラえもん!」 落ちつかない様子で怒鳴っているのはジャイアン。 お馴染みのメンバーもいる。出木杉を除いて・・・だが。 「ごめんごめん、今からポケナビのメンテナンスをするよ。あ、出木杉君はこれないらしい」 「――よし、これで終わりと」 ドラえもんはポケナビを全員に返す。 「今回追加されたのは誰かがチャンピオンになったら知らされる機能だよ。便利だろ?」 だが、その声はポケナビが鳴る音によってかき消される。 ポケナビの画面にはこう記述されていた。 リーグチャンピオン ―― 出木杉英才 全員の顔は驚き一色に染まった。 「ポケモンリーグにいけば、わかることだよ。悩んでても仕方ないじゃない」 ドラえもんが仕切る。次第に皆の表情も戻っていく。 「そういえば、ドラえもんから潮の香りしない?」 のび太が鼻を大きくして匂う。 「さっき獲れたての魚食べたからかな?・・・じゃあ、そろそろ解散しようか」 全員が頷く。 「それじゃ、また!」 //のび太達は次々とキンセツシティを後にする。 //だが、その中で一人だけ――キンセツシティに残っている者がいた。 //不敵な笑みを浮かべ、狂喜の叫びが響き渡る。 ---- ≪のび太サイド≫ 僕はキンセツシティを後にして、砂漠の近くまできた。 ジムバッジもとったし、次はハジツゲタウンかな。 ――そんな事を考えている時、誰かが僕の肩をポンと叩いた。 「誰・・・?」 僕が振り向くと、そこにいたのはジャイアンだった。 まさか、またポケモンよこせなんて言わないだろうな・・・? 僕がそんな被害妄想をしている時、ジャイアンから思いがけない言葉が飛んできた。 「この間は悪かった。このキャモメ、返すよ」 え?僕は突然の出来事に驚きを隠せない。 「あ、ありがとう」 感謝する必要はないけど、ジャイアンの罰の悪そうな顔を見て照れくさくなったんだ。 「ほらよ」 ジャイアンは懐からボールを取りだし、僕に手渡す。 「会いたかったよ、キャモメ!」 僕はすぐにキャモメを出し、そのまま抱きつく。 …あったかいなぁ。 「それじゃ、またな!」 「うん、ばいばいジャイアン!」 雲一つない空と共に、僕は走り出した。 ---- ≪スネ夫サイド≫ ここはハジツゲタウンのポケモンセンター。 今、流星の滝のイベントを終わらせてきた所さ。 「よし、そろそろえんとつ山に向かおう」 僕はポケモンセンターを出て、来た道を走る。ひたすら走る。 何故こんなに急いでいるのか、理由はただ一つ。 リーグチャンピオン ―― 出木杉英才 これを見る度に、僕はむしゃくしゃする。 なんで出木杉なんだ?なんで僕じゃないんだ? そんな言葉が脳内で何度も再生され、それは僕の脳を侵食しているかのようだ。 「今に見てろ、出木杉!」 「はぁ・・・はぁ・・・」 どれぐらい走ったろう?僕はえんとつ山についた。 ――だが、僕がそこで見たのは僕の想像とシナリオを完全に覆す光景だった。 地にはいつくばっているマグマ団の下っ端。 そしてマグマ団リーダー・マツブサと対峙しているのは・・・ 「しずかちゃん、何でここに?」 ---- ≪スネ夫サイド≫ 僕が見たのは紛れも無くしずかちゃん。 なんで僕より早くここに?流星の滝イベントは僕がやったのに。 ――いや、それは後回しだ。 今、しずかちゃんとマツブサは戦っている。 僕はゆっくり見物させてもらうさ。 「――私の勝ちね」 …強い。マツブサのポケモンを一撃で倒してしまうその力。 どうやら、敵は出木杉だけじゃないってことだね。 「で、何?スネ夫さん」 しずかちゃんがこっちを振り向く。その目には暖かみがない。 「なんでここにいるの?流星の滝のイベントをやったのは僕だぞ!」 「あら、気付かないの?面倒なことはあなたに任せて、先に進んだまでだけど」 何だと?僕がイベントを終えたのを見て、ここに向かったわけか。 ――気にいらない。 気にいらないな。 僕は目の前の敵を睨みつけ、言い放った。 「気にいらないな。僕を利用したこと、後悔させてやるよ!」 ---- ≪スネ夫サイド≫ 「あら、ポケモン勝負?ならあなたに勝ち目はないわ」 ムカつくんだよ。その僕を見下すような態度。 今に後悔させてやる! 「うるさい!いけジュプトル」 絶対に、絶対に勝ってやる。後悔させてやる。 ――だが、僕は圧倒的な強さを前に歯が立たなかった。 「あら、もう終わり?暇潰しにもならなかったわ」 そう言うとしずかちゃん・・・いや、しずかは立ち去った。 その後姿さえも、僕を嘲っているように見える。 僕はその後、ただただ立ち尽くしていた。 脳が動けと命令しても、体がいう事を聞かない。 「なんでだよ、なんでだよ・・・」 厳しい現実を目の当たりにして、冷静に物事を考えることができなかった。 まさか、僕は自分の力を過信しすぎていたのか?そうなのか? わからない。全然、わからない。 だけど、一つだけわかることがある。 僕はもっと強くならなくちゃいけない。もっと。もっと。 ---- ≪ジャイアンサイド≫ 俺はジャイアン。ガキ大将。 今、俺はフエアンタウンのあったかい風呂に浸かってる。 うーん、気持ちいいぜ。 ただ、混浴なのに若い姉ちゃんがいないってのが・・・。 ――ドガーン! なんだ?大きな爆発音が俺の気分をぶち壊す。 だが、そんな悠長な事をいえる状況じゃないみたいだな。 外を見ると大量のマグマ団。 そして、俺は着替えを済ませ外へ出る。 「コータス、オーバーヒート!」 外でマグマ団と戦っているのは可愛い姉ちゃん・・・じゃなくてアスナだっけ。 だけど、マグマ団に押されているみたいだな。 ――よし、俺が加勢して姉ちゃんを助けてやる! 「おいお前ら!一人に大勢でかかるとは卑怯じゃねえか!俺様が相手だ!」 俺ってもしかして、カッコいい? 「ぁ?誰だテメェ!」 「俺はジャイアン。ガキ大将だ!」 ---- ≪ジャイアンサイド≫ 「いけ、ワカシャモ!あいつらを蹴散らせ!」 俺はワカシャモを出し、攻撃の命令をする。 「加勢してくれるの?私はアスナ。一緒に戦おう!」 ――やべえな。完全に押されてるぜ。 俺と姉ちゃんは背中を合わせ、その周りにはマグマ団がいる。 そして、マグマ団達が一斉に攻撃の命令をする。 俺は負けを悟った。 「ライボルト、スパーク!」 どこからともなく聞こえてくる声と共に、救世主が現れた。 俺はその声の主を確かめる。 「お前は・・・スネ夫!」 「随分と不甲斐ない姿だね、ジャイアン」 スネ夫のおかげで、俺達は見事にマグマ団を追い返した。 「ありがとう、二人とも!・・・で、目的はジム戦なのよね?」 姉ちゃんが俺達のバッジを見ながら言う。 「ついてきなさい。炎使いの実力、見せてあげるわ!」 ---- ≪ジャイアンサイド≫ 俺はジム戦を終えたスネ夫を別れ、ジムに入る。 「さっきの事は礼を言うけど、勝負は別だよ!」 「ああ、わかってるぜ!勝負だ」 ――このコータス、強いな。 ワンリキーとタツベイが一気にやられちまうとはな・・・。 「ワカシャモ!二度蹴りだ」 「火炎放射だ!」 ワカシャモはコータスに近づく事すら出来ず、ダメージを受ける。 近づく事ができないなら・・・アレでいくか。 「ワカシャモ、岩石封じ!」 ワカシャモとコータスの間に、岩が横に置かれていく。 「なるほど、それで攻撃を防ごうってわけか・・・体当たりで岩を壊しなさい!」 コータスは岩に向かって体当たりをする。 岩が壊れるのも時間の問題、か・・・。 だが、今、コータスの注意は岩だけに向かれている。 これこそが俺の狙いだ。 「今だワカシャモ、穴から出ろ!」 ---- ≪ジャイアンサイド≫ 穴から出たワカシャモは、コータスを上に突き飛ばす。 そう、これこそが俺の狙い。 岩石封じはワカシャモを視界にいれない為。 そして、俺はそのスキに穴を掘るで攻撃する。 俺の・・・勝ちだ! 「負けるなコータス!フルパワーでオーバーヒート!」 何?まだあんな力が残されていたのか。 「避けろワカシャモ!」 だが、俺は避けきれないことをわかっていた。 辺りを灰色の煙が包み込む・・・。 「コータス!」 「ワカシャモ!」 オーバーヒートを食らって倒れたワカシャモ。 穴を掘るを受け、フルパワーで攻撃して力尽きたコータス。 「引き分け、ね」 肩を落として言う姉ちゃんに、俺はボールをつきつける。 「コータスが岩を壊している間に、元気の欠片でタツベイを復活させてもらったぜ」 俺の言葉に、姉ちゃんはハッと我に返るような素振りをする。 「そんな・・・あの岩は、自分自身の行動を悟られない為でもあったのね」 ん?あ、ああ。実際には違うけど、建前上そう言っとくか。 「そうさ。全ては俺の計算通りだぜ」 「見事だよ。このバッジを」 ≪スネ夫サイド≫ 心地良い、懐かしい香りの風。綺麗な民家。 やっと着いたよ。トウカシティ。 僕がここに来た理由はただ一つ。五つ目のバッジだ。 そして、吹き付ける風を感じながら、僕はジムに入る。 「ジム戦をしにきました」 「挑戦者か・・・ならば早速始めよう」 ここのジムリーダーはセンリ。ゲームでも梃子摺ったんだよね・・・。 「いけ、マルノーム!」 「ケッキング!」 ケッキング。ありあまるパワーと高い防御能力を持つポケモン。 コイツにはいつも苦戦を強いられたけど、今回はそうはいかない。 「マルノーム、毒ガスだ!」 まず相手を毒状態にし、ジワジワ体力を奪っていく僕の作戦。 何故ならば、ケッキングは2ターンに1回しか動けないから。 悪いけど、倒れてもらうよ! 「――完敗だ。バランスバッジ、受け取ってくれ」 ---- ≪スネ夫サイド≫ ・・・よし、回復が済んだか。 ジム戦後、ポケモンの回復を済ませた僕は、先へ進むべくトウカシティを出た。 そして、トウカの森に入ろうとした、まさにその時。 「よう、スネ夫」 僕はジャイアンに会った。にしても、何の用だ? 「スネ夫、ポケモンバトルだ!」 よくわからないが、僕は受けてたつことにした。 ――だが、ジャイアンの強さは僕の想像を超えていた。 「へへ、いいウォーミングアップになったぜ」 そう言うと、ジャイアンが意気揚揚とトウカシティへ向かっていく。 ――しずかといい、ジャイアンといい、何で僕が負けるんだ? ポケモンも育てたし、戦略も悪くない。寧ろ他の奴より勝っているはずだ。 僕は留まることのない気持ちを抑え、その場に寝転んだ。 「ん、あれ・・・」 空が暗くなっている。大分寝ちゃったか? 「気がついたか」 僕の背後から声がした。 「だ・・・だ、誰だ!」 「はじめまして、かな・・・私の名はマツブサ。マグマ団を指揮する者だ」 ---- ≪スネ夫サイド≫ 「マツブサ・・・だって?」 赤く染まった髪。どこかしら風格のある姿。 マツブサである事には違いない。 ――でも、なんでここに? 「スネ夫君、といったかな。君に私達の組織に入ってほしい」 どういうことだ? 突然の出来事で何がなんなのか把握しきれてないけど、一つ言えることがある。 「僕はマグマ団なんかには入らないよ」 僕がそう言い放つと、マツブサは少し顔を歪ませる。 「マグマ団を知っているのか。何故入らないのだ?」 僕は心の中で言葉を整理し、冷静に答える。 「入ったとして僕には利益がないからだよ」 「利益ならある。私はさっきの君の戦いを見ていた。強くなりたいんだろう?」 まるで、僕の心を見透かすかのような言葉。 「君は弱い。だが・・・私達の組織に入れば確実に強くなれる」 弱い。その言葉が僕の心に突き刺さる。それはまるで、言葉のナイフ。 更に、ジャイアンに負けたという現実が重なってくる。 確実に強くなれる・・・強くなれる・・・。 「うわあああああああ!」 得体の知れない苦しみが僕を襲い、それは僕の意思を明確にする。 そして、マツブサが僕に手を伸ばす。 「さあ、私についてくるんだ」 夜。辺りを覆う黒い闇。僕の姿は闇に紛れ、消えていった。 [[次へ>ルビー その4]] ----

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