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「ドラーモン作大長編 その14」(2007/01/20 (土) 17:34:48) の最新版変更点
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再びルネシティ。
宙を舞うレックウザは気紛れに建物を撃ち抜き続けている。
圧倒的な戦闘力に快感が止まらないナギ。
「これが、これが力なのね……」
地上にいる人間達はなすすべなく逃げ回っているだけだ。
力に酔いしれるナギは次の建物に破壊光線をくらわせる指示を出す。
レックウザの口内が怪しく輝き、その力を集中する。
「撃ちなさい!」
ナギの合図と共に吐き出される破壊光線。
それは一直線に建物を撃ち抜き、破壊したかに見えた。
「……!」
建物の前には破壊光線をその身に受けた紅白の美しいポケモン。
「ラティアス、無理させてごめんよ……じこさいせいだ!」
下から聞こえた声に応じたかのようにラティアスは自らの傷を癒していく。
追撃をしたくてもレックウザは硬直してて動けない。
ナギは下を見下ろした。
そこには以前ナギ自ら瀕死にまで追いこんだ少年が立っていた。
「ノビタ……くん。生きていたのね」
心の奥底でわずかな安堵感が起こったが、
眼前の状況を見てそれはすぐ消えてしまった。
のび太が精一杯の声で叫んだ。
「ナギさん、あなたはもう元には戻らないんですか!」
「違うわノビタくん、これが本当の私なのよ」
ナギはのび太に言い返す。
その目には殺気がこもっており、鈍感なのび太にも
彼女の敵意はありありと感じられた。
「なら、僕とラティアスがあなたを止めてみせる!」
のび太も覚悟を決めた。
----
ラティアスのサイコキネシスがレックウザに放たれる。
凄まじい衝撃波がレックウザの体力を削っていく。
「こ、このポケモン……強いッ!」
一撃で半分以上の体力を奪われたレックウザ。
『このサイコキネシス、ありえない威力だわ!』
あのポケモンの力なのか、それとも何らかの道具の力なのか、
どちらにしろかなりこちらが不利だ。
「あの姿……やはりドラゴンタイプかしら」
相手がドラゴンタイプなら逆鱗が効果抜群だが、
逆鱗で倒せなかった場合はこちらの負けだ。
その時、ナギの目にあるものが飛び込んできた。
「そうね、ふふふ……レックウザ、しんそく!」
凄まじい速さで飛んできたレックウザがラティアスに体当たりする。
たまらずに吹き飛ばされたラティアスが守っていた建物にぶつかり、
そのビルが砕け散る。
「ラティアス、サイコキネシスでトドメだ!」
のび太の命令。
しかし、次の瞬間にラティアスが起こした行動はサイコキネシスではなかった。
のび太目がけ降下してくるラティアス。
「ラティアス、レックウザにサイコキネシスを撃つんだ!」
のび太の命令を無視して頭上で止まったラティアスに、建物のガレキが降り注ぐ。
「うわあああーーっ!」
のび太に直撃するはずだったガレキをその身に受けるラティアス。
「あ、ああ……」
神速のダメージを自己再生で回復するが、その背中に岩石が浴びせられる。
「今回のレックウザは完全な戦闘仕様、いわなだれを覚えさせているのよ」
----
絶え間なく降り注ぐ岩雪崩。
それをかわすことなく受け続け、自己再生を繰り返すラティアス。
「ラティアス!どうして反撃しないんだ!」
のび太の疑問にナギが答える。
「あらあら、状況を理解できないご主人様をかばって……健気なポケモンねえ」
建物の下にいたのび太を瓦礫から庇ったラティアスは、
ナギのレックウザに真上を取られてしまった。
そして岩雪崩。
うかつに体を動かせばのび太にも岩が当たってしまう。
「ら、ラティアス、お前……」
のび太はラティアスの苦しそうな顔を見てポロポロと涙をこぼす。
「もういい、僕の事は構わず敵を倒すんだ!命令だぞ!」
しかしラティアスはその命令を無視してのび太を庇い続けた。
ナギのレックウザは下の状況もお構いなしに岩を落とし続けている。
「いわなだれのPPは強化してあるわ、じこさいせいが切れるまで付き合ってあげる……」
ナギはこれを狙って神速を仕掛けた。
非道な戦術を躊躇なく行なえるくらいにナギの心は闇に染まっている。
「いくら強力なポケモンとて、この状況では手も足も出まい……」
----
ルネシティ入口。
そこにはカイオーガに乗ったイズミと、水面に漂うドラえもん。
気絶しているのか、ドラえもんは俯せで浮いたまま全く動かない。
「以外と手こずったわね……まさかトレーナー自身が戦うなんて」
ポケモンを全て失った後、ドラえもんはその身一つでイズミに立ち向かったのだ。
空気砲を乱射し、ひらりマントで攻撃を受け流す。
ひらりマントの弱点が複数方向からの同時攻撃だと分かるまでに
イズミもキングドラを失っていた。
「忌々しい青ダヌキめ……けど、あの道具には少し興味があるわね」
その腕に付けられた武器と攻撃をかわすマント。
あれがあれば今後の戦いも楽になるに違いない。
「その道具、いただくわ……」
イズミがドラえもんに注意を向けたその刹那、凄まじい雷鳴が轟いた。
「あなた程度がひみつ道具を扱えるなどとは考えないことよ」
「誰だっ!」
声のする方向を見上げると、そこには黄金色に輝く巨大な鳥ポケモンが
悠々とはばたいていた。
「さ、サンダー……」
カントー地方に生息する伝説の鳥ポケモンだ。
こんなところに偶然飛んでくるものではない。
----
『まさか、ジンダイのやつが隠し持っていたの?』
ジンダイはこちら側に付いて、スパイとしてフロンティアブレーン達の下に潜入させている。
彼が仲間になった時、その伝説の3鳥は盗難にあっていたのだ。
「しかし、盗んだポケモンをあのように扱えるはずはないわ……
やはりジンダイの仕業ね!!」
イズミがカイオーガをサンダーの方に向ける。
相性は不利だが、こちらにはかなりの回復アイテムのストックがある。
そう簡単には負けはしないはずだ。
「ジンダイ、女みたいな声色をしても正体はわかってるわよ、
出木杉様を裏切った報いを受けるといいわっ!!」
しかし、サンダーの背中から聞こえた声は予想の者とは全然違っていた。
「ジンダイ……知らないわね。かみなり!」
『お、女……声色を変えた男の声じゃない。確かに女の声……』
イズミがその事実に驚愕した瞬間、カイオーガに轟雷が落とされる。
「きゃあああっ!」
イズミの悲鳴が響く。
雷の威力はかなりのものだ。
この威力ではカイオーガといえど3発受けたらおしまいだ。
「つ、強い……だが!」
イズミはもう一匹のポケモンを繰り出した。
それはランターン、対電気ポケモン用に育成していたものだ。
『こいつには吹雪を覚えさせている。サンダーには効果抜群のはず』
----
「厄介なポケモンを出してきたわね。仕方ないわ……戻りなさい、サンダー」
サンダーの姿が掻き消え、そのトレーナーの姿が明らかになる。
その姿は色こそ違えど、その体形は先程倒した不思議な青タヌキとそっくりだ。
「まさか、さっきのやつと同じ……」
「同じじゃないわよ、私はドラミ。もっと優秀なネコ型ロボットよ」
ドラミは自慢げに語る。
イズミはカイオーガとランターンをドラミに向け、戦闘態勢に入る。
「じゃあその優秀なロボット様の実力、見せてもらおうじゃないか」
その挑発にドラミは顔色一つ変えずに胸のポケットをごそごそ捜し回している。
「あら、サンダーではかなわないと知ったんで今更慌ててるの?お笑いね」
「このポケモンを使っちゃうと本当に世界が大変なことになるから……」
ドラミが取り出したのはモンスターボール。
しかしそのボールからは不気味な電光が放たれている。
「まだこの世界に拒否反応があるみたいね。まぁ出しちゃえば上書きされるわ」
「な、なんなの……」
異常な事態だと感覚で察したイズミだったが、そんな彼女を無視するかのように
ドラミはポケモンを繰り出した。
----
数分後。
その場に立っているのはドラミひとりだった。
イズミを抱えているのは黄と黒のツートンカラーの不気味なヒト型ポケモン。
「まぁ、こんなものね」
「このポケモンはいったい……何者なんだ、お前は……」
そう言うイズミの前に奇妙な草花が掲げられた。
「あっ」という声を上げたイズミは惚けたように明後日の方向を見続けている。
「わすれろ草、あなたにはここで見たものを忘れてもらうわ」
ドラミはドラえもんのもとに向かう。
今だにドラえもんは波間を漂っている。
ドラミは土座衛門状態のドラえもんをひっくり返すと、
その腹から四次元ポケットを引き剥がした。
「お兄ちゃんには手出ししてほしくないの。ごめんね」
ドラミはイズミを抱えていたポケモンを戻し、サンダーを出すとその背に飛び移る。
流されているイズミとドラえもんを尻目に、ドラミは空高く飛び去っていく。
「さて、この変化に気付くのはおそらく出木杉さんかスネ夫さん辺りね。
しばらく様子を見ましょう」
ルネを巡る攻防はもう少しで終息するはずだ。
ここからはドラミ自身もどうなるかは分からない……
----
ルネシティ。
ナギのレックウザによるラティアスへの岩雪崩攻撃は続けられている。
もう何度目になるだろうか、ナギが再度岩雪崩を命令し、
レックウザがそれを実行した。
「!!……そろそろ終わりのようね」
ラティアスが自己再生をしなくなった。
のび太が急いで傷薬を使っているようだが、それも数度で種切れだろう。
「頭の悪いトレーナーに飼われたことを後悔するのね!」
「のび太が頭が悪いのは納得だが、あいつはいいやつだぜ。ずつきっ!」
レックウザに突撃する大きな飛行ポケモン。
その頭突きをくらってバランスを崩し、怯んで岩雪崩を出せなくなったレックウザ。
「だ、誰ッ!」
ナギがレックウザにしがみつきながら叫ぶ。
その視線の先には一人の大柄な少年が立っていた。
「俺はジャイアン、ガキ大将。心の友のピンチに見参っ!」
「じ、ジャイアン!」
ラティアスの下に隠れるのび太もその姿を確認する。
ジャイアンはニヤリと笑うと、親指を突きだした。
「天気研究所の時の借りを返しにきたぜ、のび太!」
「感動の対面の最中で悪いけど、これでノビタ君はリタイアよ」
ナギがそう口を挟むと、レックウザが口を開く。
「レックウザ、はかいこうせんッ!」
レックウザから巨大な光の束が吐き出された。
----
その光線の前に思わず逃げ出してしまうラティアス。
「ポケモンにも見捨てらたの?惨めね、ノビタ君っ!」
しかし次の瞬間、ナギの目に飛び込んだのは恐怖に怯えるのび太ではなく、
二匹のトドゼルガだった。
「トドゼルガ、まもる!」
二人の少女の声とともに二匹のトドゼルガが破壊光線を受けとめ、相殺する。
砂煙のなか、トドゼルガ達に守られたのび太の左右には二人の少女が立っていた。
「タッケシー、やったよぅ!」
「いえーいっ!」
二人の少女がジャイアンにピースしている。
「ご苦労さんだったな、マホ、ナホ!あとは俺に任せなっ!」
ジャイアンがボーマンダに命令し、ドラゴンクローがレックウザに直撃する。
「もういっちょー!」
破壊光線の硬直の隙を突いて再びドラゴンクローが命中する。
さすがのレックウザもダメージが蓄積している。
「ナギ、お前の相手は俺様だっ!」
ジャイアンはそう言い捨てるとその場から走っていく。
ナギが見回すと、いつのまにかのび太達の姿も消えている。
「まぁいいわ、ターゲットは活きのいいほうにしましょう」
ナギはレックウザに回復の薬を使うと、ジャイアンの向かった先に
レックウザを移動させる。
----
ドラえもんに後を任せたしずかは再びルネの町に辿り着いていた。
その目の前ではアダンのシザリガーがユレイドルのソーラービームに焼かれている。
「くっ、これで私のポケモンは……」
「全然たいしたことなかったわね」
アスナは退屈そうにアダンを見下している。
「これがジムリーダーの限界。それを超えるには私みたいにさらに一歩踏み出さないとね」
そう言い捨てると、アスナはグラードンに地震攻撃を命令する。
「いかんっ、今地震を使われたらセンターが完全に倒壊してしまう!」
センター内には負傷者の治療のために今も人が残っているのだ。
アスナはにやりと笑いながら、グラードンに合図を送ろうとする。
しかしその合図はグラードンを襲う光線に阻害されてしまった。
「は、はかいこうせんね……」
破壊光線を発射した主は天空を舞うフライゴン。
『フライゴン……使い手はどこに?』
フライゴンのトレーナーを探すアスナに背後から声がかかる。
「ジムリーダーがこのような非道に手を染めるとは……元チャンピオンとして悲しいな」
アスナが振り向くと、そこにはホウエンでは知らぬ者のいない人物が立っていた。
「だ、ダイゴ……」
----
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再びルネシティ。
宙を舞うレックウザは気紛れに建物を撃ち抜き続けている。
圧倒的な戦闘力に快感が止まらないナギ。
「これが、これが力なのね……」
地上にいる人間達はなすすべなく逃げ回っているだけだ。
力に酔いしれるナギは次の建物に破壊光線をくらわせる指示を出す。
レックウザの口内が怪しく輝き、その力を集中する。
「撃ちなさい!」
ナギの合図と共に吐き出される破壊光線。
それは一直線に建物を撃ち抜き、破壊したかに見えた。
「……!」
建物の前には破壊光線をその身に受けた紅白の美しいポケモン。
「ラティアス、無理させてごめんよ……じこさいせいだ!」
下から聞こえた声に応じたかのようにラティアスは自らの傷を癒していく。
追撃をしたくてもレックウザは硬直してて動けない。
ナギは下を見下ろした。
そこには以前ナギ自ら瀕死にまで追いこんだ少年が立っていた。
「ノビタ……くん。生きていたのね」
心の奥底でわずかな安堵感が起こったが、
眼前の状況を見てそれはすぐ消えてしまった。
のび太が精一杯の声で叫んだ。
「ナギさん、あなたはもう元には戻らないんですか!」
「違うわノビタくん、これが本当の私なのよ」
ナギはのび太に言い返す。
その目には殺気がこもっており、鈍感なのび太にも
彼女の敵意はありありと感じられた。
「なら、僕とラティアスがあなたを止めてみせる!」
のび太も覚悟を決めた。
----
ラティアスのサイコキネシスがレックウザに放たれる。
凄まじい衝撃波がレックウザの体力を削っていく。
「こ、このポケモン……強いッ!」
一撃で半分以上の体力を奪われたレックウザ。
『このサイコキネシス、ありえない威力だわ!』
あのポケモンの力なのか、それとも何らかの道具の力なのか、
どちらにしろかなりこちらが不利だ。
「あの姿……やはりドラゴンタイプかしら」
相手がドラゴンタイプなら逆鱗が効果抜群だが、
逆鱗で倒せなかった場合はこちらの負けだ。
その時、ナギの目にあるものが飛び込んできた。
「そうね、ふふふ……レックウザ、しんそく!」
凄まじい速さで飛んできたレックウザがラティアスに体当たりする。
たまらずに吹き飛ばされたラティアスが守っていた建物にぶつかり、
そのビルが砕け散る。
「ラティアス、サイコキネシスでトドメだ!」
のび太の命令。
しかし、次の瞬間にラティアスが起こした行動はサイコキネシスではなかった。
のび太目がけ降下してくるラティアス。
「ラティアス、レックウザにサイコキネシスを撃つんだ!」
のび太の命令を無視して頭上で止まったラティアスに、建物のガレキが降り注ぐ。
「うわあああーーっ!」
のび太に直撃するはずだったガレキをその身に受けるラティアス。
「あ、ああ……」
神速のダメージを自己再生で回復するが、その背中に岩石が浴びせられる。
「今回のレックウザは完全な戦闘仕様、いわなだれを覚えさせているのよ」
----
絶え間なく降り注ぐ岩雪崩。
それをかわすことなく受け続け、自己再生を繰り返すラティアス。
「ラティアス!どうして反撃しないんだ!」
のび太の疑問にナギが答える。
「あらあら、状況を理解できないご主人様をかばって……健気なポケモンねえ」
建物の下にいたのび太を瓦礫から庇ったラティアスは、
ナギのレックウザに真上を取られてしまった。
そして岩雪崩。
うかつに体を動かせばのび太にも岩が当たってしまう。
「ら、ラティアス、お前……」
のび太はラティアスの苦しそうな顔を見てポロポロと涙をこぼす。
「もういい、僕の事は構わず敵を倒すんだ!命令だぞ!」
しかしラティアスはその命令を無視してのび太を庇い続けた。
ナギのレックウザは下の状況もお構いなしに岩を落とし続けている。
「いわなだれのPPは強化してあるわ、じこさいせいが切れるまで付き合ってあげる……」
ナギはこれを狙って神速を仕掛けた。
非道な戦術を躊躇なく行なえるくらいにナギの心は闇に染まっている。
「いくら強力なポケモンとて、この状況では手も足も出まい……」
----
ルネシティ入口。
そこにはカイオーガに乗ったイズミと、水面に漂うドラえもん。
気絶しているのか、ドラえもんは俯せで浮いたまま全く動かない。
「以外と手こずったわね……まさかトレーナー自身が戦うなんて」
ポケモンを全て失った後、ドラえもんはその身一つでイズミに立ち向かったのだ。
空気砲を乱射し、ひらりマントで攻撃を受け流す。
ひらりマントの弱点が複数方向からの同時攻撃だと分かるまでに
イズミもキングドラを失っていた。
「忌々しい青ダヌキめ……けど、あの道具には少し興味があるわね」
その腕に付けられた武器と攻撃をかわすマント。
あれがあれば今後の戦いも楽になるに違いない。
「その道具、いただくわ……」
イズミがドラえもんに注意を向けたその刹那、凄まじい雷鳴が轟いた。
「あなた程度がひみつ道具を扱えるなどとは考えないことよ」
「誰だっ!」
声のする方向を見上げると、そこには黄金色に輝く巨大な鳥ポケモンが
悠々とはばたいていた。
「さ、サンダー……」
カントー地方に生息する伝説の鳥ポケモンだ。
こんなところに偶然飛んでくるものではない。
----
『まさか、ジンダイのやつが隠し持っていたの?』
ジンダイはこちら側に付いて、スパイとしてフロンティアブレーン達の下に潜入させている。
彼が仲間になった時、その伝説の3鳥は盗難にあっていたのだ。
「しかし、盗んだポケモンをあのように扱えるはずはないわ……
やはりジンダイの仕業ね!!」
イズミがカイオーガをサンダーの方に向ける。
相性は不利だが、こちらにはかなりの回復アイテムのストックがある。
そう簡単には負けはしないはずだ。
「ジンダイ、女みたいな声色をしても正体はわかってるわよ、
出木杉様を裏切った報いを受けるといいわっ!!」
しかし、サンダーの背中から聞こえた声は予想の者とは全然違っていた。
「ジンダイ……知らないわね。かみなり!」
『お、女……声色を変えた男の声じゃない。確かに女の声……』
イズミがその事実に驚愕した瞬間、カイオーガに轟雷が落とされる。
「きゃあああっ!」
イズミの悲鳴が響く。
雷の威力はかなりのものだ。
この威力ではカイオーガといえど3発受けたらおしまいだ。
「つ、強い……だが!」
イズミはもう一匹のポケモンを繰り出した。
それはランターン、対電気ポケモン用に育成していたものだ。
『こいつには吹雪を覚えさせている。サンダーには効果抜群のはず』
----
「厄介なポケモンを出してきたわね。仕方ないわ……戻りなさい、サンダー」
サンダーの姿が掻き消え、そのトレーナーの姿が明らかになる。
その姿は色こそ違えど、その体形は先程倒した不思議な青タヌキとそっくりだ。
「まさか、さっきのやつと同じ……」
「同じじゃないわよ、私はドラミ。もっと優秀なネコ型ロボットよ」
ドラミは自慢げに語る。
イズミはカイオーガとランターンをドラミに向け、戦闘態勢に入る。
「じゃあその優秀なロボット様の実力、見せてもらおうじゃないか」
その挑発にドラミは顔色一つ変えずに胸のポケットをごそごそ捜し回している。
「あら、サンダーではかなわないと知ったんで今更慌ててるの?お笑いね」
「このポケモンを使っちゃうと本当に世界が大変なことになるから……」
ドラミが取り出したのはモンスターボール。
しかしそのボールからは不気味な電光が放たれている。
「まだこの世界に拒否反応があるみたいね。まぁ出しちゃえば上書きされるわ」
「な、なんなの……」
異常な事態だと感覚で察したイズミだったが、そんな彼女を無視するかのように
ドラミはポケモンを繰り出した。
----
数分後。
その場に立っているのはドラミひとりだった。
イズミを抱えているのは黄と黒のツートンカラーの不気味なヒト型ポケモン。
「まぁ、こんなものね」
「このポケモンはいったい……何者なんだ、お前は……」
そう言うイズミの前に奇妙な草花が掲げられた。
「あっ」という声を上げたイズミは惚けたように明後日の方向を見続けている。
「わすれろ草、あなたにはここで見たものを忘れてもらうわ」
ドラミはドラえもんのもとに向かう。
今だにドラえもんは波間を漂っている。
ドラミは土座衛門状態のドラえもんをひっくり返すと、
その腹から四次元ポケットを引き剥がした。
「お兄ちゃんには手出ししてほしくないの。ごめんね」
ドラミはイズミを抱えていたポケモンを戻し、サンダーを出すとその背に飛び移る。
流されているイズミとドラえもんを尻目に、ドラミは空高く飛び去っていく。
「さて、この変化に気付くのはおそらく出木杉さんかスネ夫さん辺りね。
しばらく様子を見ましょう」
ルネを巡る攻防はもう少しで終息するはずだ。
ここからはドラミ自身もどうなるかは分からない……
----
ルネシティ。
ナギのレックウザによるラティアスへの岩雪崩攻撃は続けられている。
もう何度目になるだろうか、ナギが再度岩雪崩を命令し、
レックウザがそれを実行した。
「!!……そろそろ終わりのようね」
ラティアスが自己再生をしなくなった。
のび太が急いで傷薬を使っているようだが、それも数度で種切れだろう。
「頭の悪いトレーナーに飼われたことを後悔するのね!」
「のび太が頭が悪いのは納得だが、あいつはいいやつだぜ。ずつきっ!」
レックウザに突撃する大きな飛行ポケモン。
その頭突きをくらってバランスを崩し、怯んで岩雪崩を出せなくなったレックウザ。
「だ、誰ッ!」
ナギがレックウザにしがみつきながら叫ぶ。
その視線の先には一人の大柄な少年が立っていた。
「俺はジャイアン、ガキ大将。心の友のピンチに見参っ!」
「じ、ジャイアン!」
ラティアスの下に隠れるのび太もその姿を確認する。
ジャイアンはニヤリと笑うと、親指を突きだした。
「天気研究所の時の借りを返しにきたぜ、のび太!」
「感動の対面の最中で悪いけど、これでノビタ君はリタイアよ」
ナギがそう口を挟むと、レックウザが口を開く。
「レックウザ、はかいこうせんッ!」
レックウザから巨大な光の束が吐き出された。
----
その光線の前に思わず逃げ出してしまうラティアス。
「ポケモンにも見捨てらたの?惨めね、ノビタ君っ!」
しかし次の瞬間、ナギの目に飛び込んだのは恐怖に怯えるのび太ではなく、
二匹のトドゼルガだった。
「トドゼルガ、まもる!」
二人の少女の声とともに二匹のトドゼルガが破壊光線を受けとめ、相殺する。
砂煙のなか、トドゼルガ達に守られたのび太の左右には二人の少女が立っていた。
「タッケシー、やったよぅ!」
「いえーいっ!」
二人の少女がジャイアンにピースしている。
「ご苦労さんだったな、マホ、ナホ!あとは俺に任せなっ!」
ジャイアンがボーマンダに命令し、ドラゴンクローがレックウザに直撃する。
「もういっちょー!」
破壊光線の硬直の隙を突いて再びドラゴンクローが命中する。
さすがのレックウザもダメージが蓄積している。
「ナギ、お前の相手は俺様だっ!」
ジャイアンはそう言い捨てるとその場から走っていく。
ナギが見回すと、いつのまにかのび太達の姿も消えている。
「まぁいいわ、ターゲットは活きのいいほうにしましょう」
ナギはレックウザに回復の薬を使うと、ジャイアンの向かった先に
レックウザを移動させる。
----
ドラえもんに後を任せたしずかは再びルネの町に辿り着いていた。
その目の前ではアダンのシザリガーがユレイドルのソーラービームに焼かれている。
「くっ、これで私のポケモンは……」
「全然たいしたことなかったわね」
アスナは退屈そうにアダンを見下している。
「これがジムリーダーの限界。それを超えるには私みたいにさらに一歩踏み出さないとね」
そう言い捨てると、アスナはグラードンに地震攻撃を命令する。
「いかんっ、今地震を使われたらセンターが完全に倒壊してしまう!」
センター内には負傷者の治療のために今も人が残っているのだ。
アスナはにやりと笑いながら、グラードンに合図を送ろうとする。
しかしその合図はグラードンを襲う光線に阻害されてしまった。
「は、はかいこうせんね……」
破壊光線を発射した主は天空を舞うフライゴン。
『フライゴン……使い手はどこに?』
フライゴンのトレーナーを探すアスナに背後から声がかかる。
「ジムリーダーがこのような非道に手を染めるとは……元チャンピオンとして悲しいな」
アスナが振り向くと、そこにはホウエンでは知らぬ者のいない人物が立っていた。
「だ、ダイゴ……」
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