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[[前へ>金銀物語 その8]]  チャンピオンロードでレベル上げをしていたのびたとドラえもん。 その時、彼らのポケギアが鳴り響いた。この間スネ夫の脱落を伝えられ、 ついさっきジャイアンの脱落をしたばかりなので2人とも過敏に反応した。 のび「し、しずかちゃんまでゲームオーバー・・・」 ドラ「おそらく出来杉だろう。これで今この世界に残っているのは 僕たちと出来杉だけになったね・・・」 のび「くっそー、出来杉の奴!今すぐあいつに挑戦する。 しずかちゃんの敵討ちだ!」 ドラ「落ち着けよのびた君。これは勝負の世界。 別に出来杉が悪いわけじゃないんだよ。」  熱くなるのびたをドラえもんがなだめる。だが、ドラえもんの胸にも 早く出来杉と戦いに行かなければならない、という思いはあった。 ドラ「・・・・・・ねえのびた君。」 のび「え・・・な、何だい?」  いきなり真剣な表情になったドラえもんにのびたは驚きながら返答する。 ドラ「僕たちがこうしている間にも出来杉はどんどん手持ちのレベルを上げている。 だからやはり僕たちは早く彼に挑戦しに行かなければならない。」 のび「それみろ!じゃあ早速行こ ドラ「待って!」  チャンピオンロードを出ようとするのびたをドラえもんが引き止めた。 ドラ「ジャイアンとしずかちゃんを倒した出来杉の実力はかなり高いはず・・・ 今の僕らじゃ多分敵わないよ・・・・・・」 のび「じゃあどうすればいいんだよ!行ったら負ける、 行かずにレベル上げをしていたら向こうもレベルを上げてくる。 これじゃあどうしようもないじゃないか!」 ----  熱くなるのびたをドラえもんがなだめる。 ドラ「落ち着いてよ・・・方法は1つだけあるんだ。 短時間でレベルを上げられたら、少しでも出来杉のレベルに近づけるんだ。 まあ、それでもまだ彼に勝つのは厳しいけど、勝率は確実に上がる・・・・・・」 のび「成程。でも、どうやって短時間でレベルを上げるの? そんなうまい方法あるわけない・・・」  すると、ドラえもんの表情がますます真剣になる。 ドラ「僕たちがバトルすればいいんだよ。 レベルの高いポケモン同士で戦えば、一度にたくさんの経験値が入るから。」 のび「そうか・・・そういえば、負けたほうはどうするの?」  のびたの質問に、ドラえもんはしばらく黙り込んでから暗い表情で答えた。 ドラ「このポケギアにはリセット機能がある。 それを使えば、リタイアすることが出来るんだ・・・だから・・・・・・」  ドラえもんはその先の言葉を言おうとはしなかった。 ----  負けたほうは、リタイアする・・・その宣告を聞いたのびたはすぐに反論した。 のび「そんな!何もリタイアすることは無いんじゃ・・・」 ドラ「・・・いいかいのびた君。たとえば、 僕と君が勝負して僕が勝ったとするだろう。そして、勝った僕が 出来杉に勝負して負けてしまった。リタイアせず残った君は、 僕と戦って更に強くなった出来杉と戦わなければならない。 勝率は、ほぼ0に等しい・・・だから、負けた方は残っていても 意味が無いんだよ・・・・・・」  まだ言いたい事はあったが、ドラえもんが苦しんで出した結論だ。 これ以上彼を苦しませるわけにもいかないのびたは、それ以上の反論はしなかった。 ドラ「で、どうするんだいのびた君。やるかやらないかは君の自由だけど・・・」 のび「やるよ。僕はドラえもんと戦うよ!」  即答だった。あまりにもの速さにドラえもんが驚き、 しばらく呆然としていたほどだ。 ドラ「・・・わかった。じゃあ始めようか。」 のび「ああ。行くよ、ドラえもん!」  出来杉への最後の挑戦者を決める戦いが、今始まった。 ----  ドラえもんはラッタ、のびたはエテボースを繰り出した。 のび「速攻で決めるよ。瓦割りだ!」  エテボースの強烈な一撃が炸裂した。ラッタは動かない・・・ のび「・・・どうやら、やったみたいだな。」  のびたが安堵の溜息を漏らしたその時、突然ラッタが暴れだした。 エテボースはふっ飛ばされてしまった。 のび「まだ動けたなんて・・・しかも、なんて威力なんだ。」 ドラ「教えてあげよう。倒れなかったのは気合の襷を持たせていたから・・・ 攻撃の威力が高いのはさっき使った技、“がむしゃら”の効果によるものさ。 焦ってこんな単純な作戦も読めなかったようだね・・・」  がむしゃらは相手のHPと自分のHPの差だけダメージを与える技。 それをHP残り1のラッタが使えばかなりの威力になる。 のび「成程、そういう訳ね。でも君のラッタはもうHP1だ。瓦割りで仕留めろ!」 ドラ「焦りすぎだよのびた君。ラッタ、電光石火!」  エテボースより速く、ラッタの電光石化が命中した。 エテボースは倒れてしまった。 のび「(ドラえもん、想像していたより遥かに強い! ここはドラえもんの言うとおり、落ち着いて戦わないと負ける・・・) ヨルノズク、出て来い。エアスラッシュだ!」  焦っていたのびたは気を引き締めた。次に出したヨルノズクの一撃で HP1だったラッタは倒れ、残りは共に5対5となった。 ドラ「ヨルノズクか・・・なら弱点をつかさせてもらうよ。行け、ライチュウ。」  ドラえもんは初期からの相棒、ライチュウを繰り出した。 ---- のび「(相性が不利だ。ここはまず相手の行動を封じよう。) ヨルノズク、催眠術だ!」 ドラ「そうはいかないよ。ライチュウ、高速移動でヨルノズクの背後に回りこめ。」  もはやテレポートといえる程の高速移動で、ライチュウは ヨルノズクの背後に回りこんだ。 ドラ「続いてアイアンテールだ。」  強靭な尻尾が鋼のように硬くなり、ヨルノズクを襲う。 攻撃を受けたヨルノズクが飛ばされていく・・・ ドラ「よし、止めの十万ボルトだ!」  ライチュウの頬から強烈な電撃がヨルノズクめがけて放たれた。 効果抜群、ヨルノズクは戦闘不能となった。 のび(あのライチュウにスピードで勝つのは不可能だ・・・ だったら、速さを捨てて力押ししかない!)  のびたが次のポケモンに選んだのはカビゴンだった。 ドラ「ライチュウ、10万ボルトだ。」  攻撃は当たったが、カビゴンはまったくダメージを受けていない。 のび「今度はこっちの番だ!カビゴン、地震だ!」  カビゴンのゆっくりと地を揺らす。ライチュウは一撃で倒された。 ドラ「そんな・・・ウソッキー、次はお前だ。岩雪崩!」  カビゴンは続いて出したウソッキーの攻撃にもビクともしなかった。 のび「このカビゴンは簡単には倒せないよ。地震で反撃だ!」  効果抜群。先程のライチュウと同じく、ウソッキーも一撃でやられてしまった。 先程からドラえもん優制だった空気を、カビゴンがたった2発の力技で 変えてしまった。 ----  ドラえもんが次に出したのはヌオーだった。 ドラ(普通にやってたらあのカビゴンは倒せないな。ここは天気を味方につけるか・・・)  ドラえもんはヌオーに雨乞いを命じる。だが、雨を降らせているヌオーの前に いつの間にかカビゴンが近づいて来ていた。 のび「よし、気合パンチだ!」  ふっ飛ばされたヌオーは気を失い、戦闘不能になった。 カビゴンはヌオーが雨乞いをしている間に気合パンチの力を溜めていたのだった。 のび「どうやら、僕の勝ちは決まったみたいだね。」 ドラ「安心するのはまだ早いよ。僕にはまだエースの2体が残っているのだから・・・ 行け、トゲキッス。」  ドラえもんはのびたから貰った石で進化させたトゲキッスを繰り出した。 勿論のびたは自分の石が使われていた事など知らない。 ドラ「僕の逆襲はここから始まる。トゲキッス、波動弾だ。」  さすがのカビゴンも、強力な格闘技にかなりのダメージをくらったようだ。 のび「(こいつは速く倒さないとやばい!)カビゴン、ギガインパクト!」 ドラ「(ギガインパクトは威力150の大技、くらったらやばい!) トゲキッス、攻撃を受ける前に波動弾で倒せ。」  トゲキッスの波動弾が先に命中した。だが、カビゴンは波動弾を受けながらも トゲキッスに向かっていく・・・そして、遂にギガインパクトが炸裂した。 トゲキッスはやられ、カビゴンも力尽きて戦闘不能だ。 のび「エースの一角も倒れ、3対1だ。ここから覆すのは不可能だよ、 ドラえもん。」 ドラ「それはどうかな、こいつは3体がかりでもやられないよ。 行け、カイリュー!」  ブラックから譲り受けたドラえもんの切り札、カイリューが遂にその姿を現した。 ----  カイリューに対して、のびたはヤドキングを繰り出した。 のび「やっぱり最後はカイリューか。ヤドキングの冷凍ビームで一撃だね。」 ドラ「その前に倒せばいいことだよ。カイリュー、雷だ。」 のび「いや、雷一撃くらいヤドキングの特防なら耐えられる。ここは耐えるんだ。」  雷がヤドキングに直撃する。のびたの予想に反して、 ヤドキングは一撃でやられてしまった。 のび「そんな馬鹿な・・・あ!もしかしてこの雨のせいか! (ドラえもん、あの時にここまで計算していたのか・・・)」  辺りにはヌオーが降らせた雨が降っている。これが雷の威力を増幅させたのだ。 のび「ならこっちもとっておきのポケモンで対抗してやる。エンテイ、頼んだよ!」  のびたはエンテイを繰り出した。 ドラ「カイリュー、破壊光線だ!」  カイリューの強力な一撃が炸裂した。だが、伝説のポケモンは この程度では倒れなかった。 のび「まだまだ、火炎放射だ!」  カイリューが攻撃の反動で動けない間、エンテイはひたすら火炎放射を出したが、 効果いまひとつで思うようにダメージを与えられない。 そして、カイリューが反動から立ち直ってしまった。 ドラ「止めだ、ドラゴンクロー。」  さっきの一撃でかなりのダメージを受けていたエンテイは、 軽い攻撃であっさり倒れてしまった。 遂にのびたの手持ちも後一匹になってしまった。 のび「やばい・・・ソーナンス、頼んだよ。」  のびたの希望はソーナンスに託された。 ---- ドラ「ソーナンスか。カウンター攻撃で一撃やられる可能性もあるな。 なら、カウンターされる前に一撃で倒してしまえばいい!破壊光線だ!」 のび「ソーナンス、ミラーコートだ!」  カイリューの破壊光線を正面から受けたソーナンス。だが彼(♂)は倒れず、 ミラーコートによってその強烈な攻撃を倍返しした。 カイリューは倒れ、戦いはのびたの勝ちとなった。 ドラえもんは呆然と立ち尽くしている・・・ ドラ「・・・なんで、なんであの一撃をくらって立っていられるんだ・・・」  ドラえもんの疑問に、のびたがしてやったりという笑みを浮かべて答える のび「勿論、“気合の襷”だよ。最後の最後で勝ち急いで焦ちゃったね、 ドラえもん。」  その回答を聞いたドラえもんはリセットボタンを押し、 消えいく中でのびたに一言伝えた。 ドラ「この世界に来る前からかなり成長したね、のびた君・・・」  そして、ドラえもんの姿は完全に消えてしまった。 のびたは涙を堪え、出来杉の待つポケモンリーグへと歩いていった。            ドラえもん、ゲームオーバー ----        現在の状況 のびた    ポケモンリーグ  手持ち ヤドキング(50)ヨルノズク(48)エテボース(50)ソーナンス(48)カビゴン(56)エンテイ(52) 出来杉    ポケモンリーグチャンピオン  手持ち メガニウム(53)ピジョット(50)ゲンガー(56)フーディン(57)ブラッキー(52)スイクン(55) スネ夫    ゲームオーバー ジャイアン  ゲームオーバー しずか    ゲームオーバー ドラえもん  ゲームオーバー ----  ポケモンリーグの奥、チャンピオンルーム。ここに今日もまた、1人の挑戦者が現れた。 チャンピオン出来杉と共に旅立った仲間、野比のび太だ。 のび「やあ出来杉、君に挑戦しに来たよ。」  出来杉は少し前、ドラえもんがリタイアしたことをポケギアで知った。 今彼がやることは1つ、自分以外で唯一の残っているのびたを倒すことだ。 出来「待ちくたびれたよ、のびた君。1つ聞きたいんだが、 ドラえもんがリタイアしたというのは本当かい?」 のび「ああ、その通りだよ。他に言う事は無いよ・・・」  バトルの前に、一応確認しておこうと思った出来杉の問いかけに、 のびたはあっさりと答える。その顔にはさっきまでの悲しい表情は無かった。 出来「そうかい。(何故ドラえもんはリタイアしたんだ?まあいい。 倒す手間が省けただけのことだ・・・)じゃあ、この世界にまだ残っているのは 僕と君だけ、ということになるね。」 のび「うん、そうだね。それがどうかした?」 出来「いや、このバトルが終われば優勝者が決まって、この世界とも もうお別れなんだな・・・と思ってね。まあそんなことはいい。 早くバトルを始めよう!このゲームの勝者を決めるバトルをね!」 のび「うん。(ドラえもん、君の分まで僕は頑張るよ!)」  のびたと出来杉・・・天才と落ちこぼれによる優勝者を決める戦いが今始まった! ---- 出来「(まずは様子見だな・・・)行け、ピジョット。」 のび「まかせたよ、ヨルノズク!」  出来杉はピジョット、のびたはヨルノズクを出した。鳥ポケモン同士の戦いだ。 出来「高速移動から翼で打つだ。」  見事なコンボ技が炸裂する。ピジョットの早い動きはとても目では追えないスピードだ。 のび「(あの速さはやっかいだな。動きを止めないと・・・)ヨルノズク、催眠術で眠らせるんだ。」 出来「させないよ。影分身だ。」  ヨルノズクは分身したピジョットの本体を探し出して眠らせることが出来なかった。 のび「くそ・・・そうだ!ヨルノズク、見破るで本体を見極めて催眠術!」  今度は的確に本体を見つけ出し、催眠術で見事に眠らせた。 出来「ちっ、なかなかやるな。」 のび「よし!後はひたすらエアスラッシュだ。」  眠っていて動かないピジョットをヨルノズクのエアスラッシュが何回か襲い、 ピジョットは倒れてしまった。 出来(のびた君なんか相手にならないと思っていたが、思ったよりやるようだな。 これはもしかして剛田君以上かもしれない・・・ とにかくここからは気を引き締めていこう。)  のびたの実力が自分の想像以上だったことに驚く出来杉は、 緩んでいた気を引き締め、バトルに集中しだした。 ----  出来杉が次に出したのは手持ちの中で2番目に強いゲンガーだ。 出来杉はさっそく攻撃してきた。 出来「ゲンガー、10万ボルトだ。」  効果抜群の一撃を受け、ヨルノズクは一発でやられてしまった。 のび「(あのゲンガー、強い!おそらくかなりレベルが高いはず・・・ ここは力勝負はやめておいた方が無難だな。)出て来い、ソーナンス!」  のびたは次にソーナンスを出した。狙いは勿論カウンター攻撃だ。 出来「(ソーナンスか。のびた君があんなポケモンを使いこなせるとは・・・) ミラーコートをくらう前に一撃で倒すぞ、シャドーボールだ。」  ゲンガー渾身の一撃が命中する。だが、のびたはVSドラえもんの時と同じように ソーナンスに“気合の襷”を持たせていた。 出来「何、倒れない!気合の襷か・・・」 のび「油断したね、出来杉。ミラーコートだ!」  シャドーボールの威力を倍返しする。ゲンガーは倒されてしまった。 出来「(くそ、もっと慎重にいくべきだった。まさかゲンガーがこんなに早く やられるなんて・・・)行け、メガニウム。のしかかりだ。」  自分の愚かさを嘆く出来杉は、とりあえず残り体力1のソーナンスを倒しておいた。これで残りは4対4だ。 ----  ソーナンスを倒されたのびたは次にエテボースを出した。 のび「エテボース、ダブルアタックだ。」  のびたが命令すると、エテボースは目にも止まらぬ速さでメガニウムに接近し、 攻撃した。威力自体は大した事なかったが、その速さに出来杉は圧倒される。 出来「(なんて速さだ・・・ここは速めに仕留めとかないと厄介そうだな。) メガニウム、日本晴れだ。」  辺りが激しく太陽に照らされる。これでメガニウムは環境を味方につけた。 のび「うわー、暑いなぁ・・・」 出来「ボーっとしてたらやられちゃうよ。メガニウム、ソーラービーム。」 のび「うわっ!エ、エテボース、影分身だ!」  太陽の力で溜めずにすぐ撃てるソーラービームを、エテボースはギリギリで交わした。 のび「あんなの一発でもくらったらおしまいだよ・・・エテボース、 もっと影分身をして回避率を上げるんだ。」 出来「無駄だよ、守ってばかりじゃいつかは必ずやられる。メガニウム、 ソーラービームを撃ちまくれ!」  強烈なソーラービームが何度も放たれるが、エテボースにはかすりもしない。 のび「いいぞ。続いて高速移動でスピードアップだ。」  今度はさらにスピードを上げ始め、もはやのびたと出来杉の目には瞬間移動に 見えるほどとなった。ソーラービームは全く当たる気配を見せない。 出来「くそ、どうすれば・・・」  珍しく悩む出来杉。その時、彼の頭に1つのアイデアが浮かんだ。 出来「(・・は!そうか。こんな簡単なこと、もっと早く気付いておくべきだった。)メガニウム、甘い香りだ。」  メガニウムの体から甘―い、いい匂いが漂ってくる。その美味しそうな匂いに 思わず気を取られたエテボ-スは、メガニウムの前に本体をさらけ出してしまった。 出来「もらった!ソーラービームだ。」  ソーラービームが命中した。発生した激しい煙と砂埃で前が見えない。 次第に影すら見えなかったエテボースの姿がだんだん見えてくる 出来「よし、やっ・・・そんな!な、何でこのポケモンが?エテボ-スはどこに行ったんだ!」  そこにいたのは、ソーラービームを受けてもたいしてダメージを受けていない 巨体のポケモン、カビゴンだった。 ---- 出来(な、何でカビゴンが?ジョウト地方には生息してないはず・・・ いや!肝心なのはそんなことじゃない。何故エテボースが消え、 代わりにカビゴンが出ていたかだ・・・)  今目の前で起こった出来事を必死に整理する出来杉。そんな彼を見て のびたが自慢気に種明かしをした。 のび「なんでカビゴンが今でているか、教えてあげよう。君のソーラービームが当たる前に、 エテボ-スにバトンタッチを命じたのさ。ソーラービームが当たる時には もうカビゴンに入れ替わっていたよ。」  やられた・・・出来杉はそう感じた。現実であれ程自分に劣っていたのびたに 見事にやられた・・・いや、このバトル自体がのびた優勢に進んでいる事に納得がいかない。 出来「くそ!メガニウム、全力であのデブにソーラービームだ!」  メガニウムが強力な攻撃を放った。が、次の瞬間出来杉は信じられないものを目にした。 ソーラービームがカビゴンをすり抜けていったのだ。 しかも、カビゴンはその後消えてしまった。 出来(何がどうなっているんだ・・・・・・あ!これは、バトンタッチの効果か!)  バトンタッチで交代したポケモンは、前のポケモンの能力変化を引き継ぐ。 つまり、今のはエテボースがしつこく使った影分身の効果なのだ。 よく見ると、周りを何十匹ものカビゴンが囲んでいた。 のび「今度はこっちの番だ。カビゴン、のしかかり!」  次の瞬間、出来杉はまたまた信じられない光景を見せつけられた。 ノロマなカビゴンがかなり速い・・・とまではいかないが普通以上のスピードで迫ってきたのだ。 これも、バトンタッチで引き継いだ高速移動の効果だ。 結局、メガニウムは一撃でやられてしまった。 出来(速くて回避率の高いカビゴン、こんなのに勝てるのか)  やや弱気になってしまった出来杉は次にブラッキーを繰り出し、 毒々による嫌がらせ作戦に出ようとした。だが、その希望はあっさり打ち砕かれてしまった。 のび「残念だったね。カビゴンは特性“免疫”の効果で毒状態にはならないよ。」  結局、ブラッキーも一撃でやられてしまった。出来杉の顔が青ざめていく・・・ 出来(負けるのか?この僕が・・・・・・) ----  出来杉は遂にエース、フーディンを繰り出した。 出来「フーディン、気合球だ。」  当たれば効果抜群だが、もともと気合球は命中率の低い技だ。 影分身を積みまくった今のカビゴンには全く当たらない。 のび「カビゴン、のしかかりだ。」  カビゴンの巨体がどんどん迫ってくる。あんなのに押しつぶされたら フーディンはひとたまりも無い。 出来「まずい!リフレクターだ。」  間一髪!リフレクターでダメージを軽減したフーディンは、ギリギリで生き残った。 出来(危なかった。でももう一発くらえば終わりだ・・・くそ!どうすれば・・・)  勝負を諦めかけた出来杉。そんな彼を見ると、突然フーディンが勝手に技を使い始めた。 出来「何やってるんだフーディン!・・・って何だこの技は?」  フーディンは出来杉が一度も見たことが無い技を使っている。 その技は相手にダメージを与えるわけでもなく、ただ目が妖しく光っているだけである。 出来「あんな技あったっけ・・・」  急いでポケモン図鑑を確認する出来杉。フーディンが今使える技で、 まったく知らない技はただ1つ、レベル22で覚える“ミラクルアイ”だ。 出来杉は必死でミラクルアイの効果を思い出そうとしている。 その様子を見て困惑しているのはのびただ。 のび「(向こうは何をやってるんだ?まあいい、今がチャンスだ!) カビゴン、のしかかりだ!」 出来「え!フ、フーディン気合球!」  フーディンの気合球は、一斉に迫ってくるカビゴンたちの中の本体に見事に命中した。 カビゴンは飛んでいく。 出来(運がよかったのか・・・あ!そうだ、ミラクルアイの効果、思い出した!)  出来杉はその瞬間ミラクルアイという技について思い出した。ミラクルアイは 悪タイプに効果の無い技や回避率の高い相手に攻撃が当たるようになる技だ。 このおかげで気合球は命中したのだ。 出来「よし、もう一度気合球だ。」  今度もしっかりと命中し、カビゴンは倒れた。今まで何事も自分の実力だけで 解決してきた出来杉にとっては、初めて運に助けられる結果となった。 ----  フーディンは次に出てきたエテボースも一撃で倒し、おまけに自己再生で体力を半分ほど回復した。 一気に形成を逆転されたのびたは慌てている。 のび(そんな・・・まさかあのカビゴンがやられるとは、さすが出来杉!って 人を誉めてる場合じゃない!このままじゃ負けちゃうよ。)  今手持ちは2体2の五分五分だが、流れは確実に出来杉のものだった。 この状況を打破したいのびたは、旅立ちからのパートナーであるヤドキングを出した。 のび(お互いエスパータイプだからあまりダメージを与えられない。 押し合いになれば敵のほうが体力が少ないから僕が有利だ!)  だがその希望はあっさり裏切られた。出来杉のフーディンはシャドーボールを覚えて いたのだった。ヤドキングは一発で半分ほどの体力を削られた。 のび「(もう一発くらったらやばい!よし、ここは・・・)ヤドキング、 金縛りだ。」  これでフーディンはしばらくシャドーボールを使えなくなった。 出来「成程、そう来たか。ならフーディン、金縛りが解けるまで自己再生で 体力回復に専念しろ。」  ヤドキングが攻撃しても、フーディンが自己再生で回復する。 それも、ダメージを上回る回復量だ。フーディンは遂に体力満タンになってしまった。 のび「ならあいつを動けなくしてやる、電磁波だ!」  技マシンで覚えさせておいた電磁波がこんなところで役に立った。 フーディンは麻痺して動きが鈍くなった。 のび「よし、今のうちに頭突きだ・・・っておーい!何やってるんだヤドキング!」   ヤドキングはのびたの命令を聞いても動こうとしない。フーディンの特性“シンクロ”で ヤドキングも麻痺していたのだ。 出来「フーディンを麻痺させたのがミスだったね。さあ、金縛りが解けたようだ。気合球を放て!」 ----  再び気合球をくらったヤドキングが吹っ飛ぶ。だが、まだギリギリ体力が残っていた。 のび「えーい!もうどうにでもなれ!ヤドキング、とにかくからげんきで攻撃しろ!」  ヤドキングがフーディンにめちゃくちゃな攻撃をした。だが、その一撃でフーディンは 大ダメージを受け、戦闘不能になった。のびたはキョトンとしている。 出来「・・・そうか!麻痺状態での“からげんき”の威力は2倍、 しかもさっきのは急所に当たったからかなりの威力だ。やるね、のびた君」 のび「???―――ああ、そうだよ、その通りだよ。」  自分が“からげんき”という技を使わせたことすらにも気付いていないのびた。 とにかく、これで出来杉のポケモンは後一匹となった。  出来杉の最後のポケモンは、伝説のポケモンスイクンだった。 焼けた塔でその姿を見たことがあるのびたは、再びその美しい姿を見れたことに感動し、 同時に出来杉がスイクンを捕まえていたことに驚いた。 出来「伝説のポケモンの力を見せてあげよう。スイクン、毒々だ。」  ヤドキングは毒状態になった。伝説のポケモンが毒々を使ってくるとは 思わなかったのびたは驚いている。 出来「あとはひたすら瞑想だ。」  のびたはヤドキングにサイコキネシス等をさせるが、特防が高く、 おまけに能力を上げているスイクンに全くダメージを与えられない。結局ヤドキングはしばらくして倒れてしまった。 ----  のびたの最後のポケモンはエンテイ。こちらも伝説のポケモンだ。 だが、出来杉は伝説のエンテイを見ても、あまり動揺していなかった。 出来「ほう、君も伝説のポケモンを捕まえていたのか。 だが、エンテイとスイクンじゃ核が違うんだよ。」 のび「何だと!エンテイは立派な伝説のポケモンだぞ!」 出来「たしかにエンテイは普通のポケモンとしてはそこそこ強い。 だが、伝説のポケモンとしてはあまりに弱すぎる。 エンテイなんかが伝説のポケモンを名乗っているのはスイクンへの侮辱だね。」 のび「・・・そこまで言うなら見せてやる、エンテイの強さを。 そして、僕がチャンピオンになる!」 出来「正気かい?相性も不利、おまけにスイクンは瞑想で強化までしてるんだよ・・・・・・まあいい、すぐに終わらせてあげるよ。スイクン、雨乞いだ。」  あたりに雨が降り始めた。天候、相性、能力変化の全てでエンテイは不利な状況に立たされた。  この戦いで勝ったほうが、最終的なポケモンリーグチャンピオン・・・ゲームの優勝者だ! ----   現在の状況 のびた    ポケモンリーグ、出来杉と交戦中  手持ち ヤドキング(53)ヨルノズク(50)エテボース(51)ソーナンス(49)カビゴン(58)エンテイ(54) 出来杉    ポケモンリーグチャンピオン、のびたと交戦中  手持ち メガニウム(54)ピジョット(50)ゲンガー(58)フーディン(60)ブラッキー(52)スイクン(56) スネ夫    ゲームオーバー ジャイアン  ゲームオーバー しずか    ゲームオーバー ドラえもん  ゲームオーバー ----
[[前へ>金銀物語 その8]]  チャンピオンロードでレベル上げをしていたのびたとドラえもん。 その時、彼らのポケギアが鳴り響いた。この間スネ夫の脱落を伝えられ、 ついさっきジャイアンの脱落をしたばかりなので2人とも過敏に反応した。 のび「し、しずかちゃんまでゲームオーバー・・・」 ドラ「おそらく出来杉だろう。これで今この世界に残っているのは 僕たちと出来杉だけになったね・・・」 のび「くっそー、出来杉の奴!今すぐあいつに挑戦する。 しずかちゃんの敵討ちだ!」 ドラ「落ち着けよのびた君。これは勝負の世界。 別に出来杉が悪いわけじゃないんだよ。」  熱くなるのびたをドラえもんがなだめる。だが、ドラえもんの胸にも 早く出来杉と戦いに行かなければならない、という思いはあった。 ドラ「・・・・・・ねえのびた君。」 のび「え・・・な、何だい?」  いきなり真剣な表情になったドラえもんにのびたは驚きながら返答する。 ドラ「僕たちがこうしている間にも出来杉はどんどん手持ちのレベルを上げている。 だからやはり僕たちは早く彼に挑戦しに行かなければならない。」 のび「それみろ!じゃあ早速行こ ドラ「待って!」  チャンピオンロードを出ようとするのびたをドラえもんが引き止めた。 ドラ「ジャイアンとしずかちゃんを倒した出来杉の実力はかなり高いはず・・・ 今の僕らじゃ多分敵わないよ・・・・・・」 のび「じゃあどうすればいいんだよ!行ったら負ける、 行かずにレベル上げをしていたら向こうもレベルを上げてくる。 これじゃあどうしようもないじゃないか!」 ----  熱くなるのびたをドラえもんがなだめる。 ドラ「落ち着いてよ・・・方法は1つだけあるんだ。 短時間でレベルを上げられたら、少しでも出来杉のレベルに近づけるんだ。 まあ、それでもまだ彼に勝つのは厳しいけど、勝率は確実に上がる・・・・・・」 のび「成程。でも、どうやって短時間でレベルを上げるの? そんなうまい方法あるわけない・・・」  すると、ドラえもんの表情がますます真剣になる。 ドラ「僕たちがバトルすればいいんだよ。 レベルの高いポケモン同士で戦えば、一度にたくさんの経験値が入るから。」 のび「そうか・・・そういえば、負けたほうはどうするの?」  のびたの質問に、ドラえもんはしばらく黙り込んでから暗い表情で答えた。 ドラ「このポケギアにはリセット機能がある。 それを使えば、リタイアすることが出来るんだ・・・だから・・・・・・」  ドラえもんはその先の言葉を言おうとはしなかった。 ----  負けたほうは、リタイアする・・・その宣告を聞いたのびたはすぐに反論した。 のび「そんな!何もリタイアすることは無いんじゃ・・・」 ドラ「・・・いいかいのびた君。たとえば、 僕と君が勝負して僕が勝ったとするだろう。そして、勝った僕が 出来杉に勝負して負けてしまった。リタイアせず残った君は、 僕と戦って更に強くなった出来杉と戦わなければならない。 勝率は、ほぼ0に等しい・・・だから、負けた方は残っていても 意味が無いんだよ・・・・・・」  まだ言いたい事はあったが、ドラえもんが苦しんで出した結論だ。 これ以上彼を苦しませるわけにもいかないのびたは、それ以上の反論はしなかった。 ドラ「で、どうするんだいのびた君。やるかやらないかは君の自由だけど・・・」 のび「やるよ。僕はドラえもんと戦うよ!」  即答だった。あまりにもの速さにドラえもんが驚き、 しばらく呆然としていたほどだ。 ドラ「・・・わかった。じゃあ始めようか。」 のび「ああ。行くよ、ドラえもん!」  出来杉への最後の挑戦者を決める戦いが、今始まった。 ----  ドラえもんはラッタ、のびたはエテボースを繰り出した。 のび「速攻で決めるよ。瓦割りだ!」  エテボースの強烈な一撃が炸裂した。ラッタは動かない・・・ のび「・・・どうやら、やったみたいだな。」  のびたが安堵の溜息を漏らしたその時、突然ラッタが暴れだした。 エテボースはふっ飛ばされてしまった。 のび「まだ動けたなんて・・・しかも、なんて威力なんだ。」 ドラ「教えてあげよう。倒れなかったのは気合の襷を持たせていたから・・・ 攻撃の威力が高いのはさっき使った技、“がむしゃら”の効果によるものさ。 焦ってこんな単純な作戦も読めなかったようだね・・・」  がむしゃらは相手のHPと自分のHPの差だけダメージを与える技。 それをHP残り1のラッタが使えばかなりの威力になる。 のび「成程、そういう訳ね。でも君のラッタはもうHP1だ。瓦割りで仕留めろ!」 ドラ「焦りすぎだよのびた君。ラッタ、電光石火!」  エテボースより速く、ラッタの電光石化が命中した。 エテボースは倒れてしまった。 のび「(ドラえもん、想像していたより遥かに強い! ここはドラえもんの言うとおり、落ち着いて戦わないと負ける・・・) ヨルノズク、出て来い。エアスラッシュだ!」  焦っていたのびたは気を引き締めた。次に出したヨルノズクの一撃で HP1だったラッタは倒れ、残りは共に5対5となった。 ドラ「ヨルノズクか・・・なら弱点をつかさせてもらうよ。行け、ライチュウ。」  ドラえもんは初期からの相棒、ライチュウを繰り出した。 ---- のび「(相性が不利だ。ここはまず相手の行動を封じよう。) ヨルノズク、催眠術だ!」 ドラ「そうはいかないよ。ライチュウ、高速移動でヨルノズクの背後に回りこめ。」  もはやテレポートといえる程の高速移動で、ライチュウは ヨルノズクの背後に回りこんだ。 ドラ「続いてアイアンテールだ。」  強靭な尻尾が鋼のように硬くなり、ヨルノズクを襲う。 攻撃を受けたヨルノズクが飛ばされていく・・・ ドラ「よし、止めの十万ボルトだ!」  ライチュウの頬から強烈な電撃がヨルノズクめがけて放たれた。 効果抜群、ヨルノズクは戦闘不能となった。 のび(あのライチュウにスピードで勝つのは不可能だ・・・ だったら、速さを捨てて力押ししかない!)  のびたが次のポケモンに選んだのはカビゴンだった。 ドラ「ライチュウ、10万ボルトだ。」  攻撃は当たったが、カビゴンはまったくダメージを受けていない。 のび「今度はこっちの番だ!カビゴン、地震だ!」  カビゴンのゆっくりと地を揺らす。ライチュウは一撃で倒された。 ドラ「そんな・・・ウソッキー、次はお前だ。岩雪崩!」  カビゴンは続いて出したウソッキーの攻撃にもビクともしなかった。 のび「このカビゴンは簡単には倒せないよ。地震で反撃だ!」  効果抜群。先程のライチュウと同じく、ウソッキーも一撃でやられてしまった。 先程からドラえもん優制だった空気を、カビゴンがたった2発の力技で 変えてしまった。 ----  ドラえもんが次に出したのはヌオーだった。 ドラ(普通にやってたらあのカビゴンは倒せないな。ここは天気を味方につけるか・・・)  ドラえもんはヌオーに雨乞いを命じる。だが、雨を降らせているヌオーの前に いつの間にかカビゴンが近づいて来ていた。 のび「よし、気合パンチだ!」  ふっ飛ばされたヌオーは気を失い、戦闘不能になった。 カビゴンはヌオーが雨乞いをしている間に気合パンチの力を溜めていたのだった。 のび「どうやら、僕の勝ちは決まったみたいだね。」 ドラ「安心するのはまだ早いよ。僕にはまだエースの2体が残っているのだから・・・ 行け、トゲキッス。」  ドラえもんはのびたから貰った石で進化させたトゲキッスを繰り出した。 勿論のびたは自分の石が使われていた事など知らない。 ドラ「僕の逆襲はここから始まる。トゲキッス、波動弾だ。」  さすがのカビゴンも、強力な格闘技にかなりのダメージをくらったようだ。 のび「(こいつは速く倒さないとやばい!)カビゴン、ギガインパクト!」 ドラ「(ギガインパクトは威力150の大技、くらったらやばい!) トゲキッス、攻撃を受ける前に波動弾で倒せ。」  トゲキッスの波動弾が先に命中した。だが、カビゴンは波動弾を受けながらも トゲキッスに向かっていく・・・そして、遂にギガインパクトが炸裂した。 トゲキッスはやられ、カビゴンも力尽きて戦闘不能だ。 のび「エースの一角も倒れ、3対1だ。ここから覆すのは不可能だよ、 ドラえもん。」 ドラ「それはどうかな、こいつは3体がかりでもやられないよ。 行け、カイリュー!」  ブラックから譲り受けたドラえもんの切り札、カイリューが遂にその姿を現した。 ----  カイリューに対して、のびたはヤドキングを繰り出した。 のび「やっぱり最後はカイリューか。ヤドキングの冷凍ビームで一撃だね。」 ドラ「その前に倒せばいいことだよ。カイリュー、雷だ。」 のび「いや、雷一撃くらいヤドキングの特防なら耐えられる。ここは耐えるんだ。」  雷がヤドキングに直撃する。のびたの予想に反して、 ヤドキングは一撃でやられてしまった。 のび「そんな馬鹿な・・・あ!もしかしてこの雨のせいか! (ドラえもん、あの時にここまで計算していたのか・・・)」  辺りにはヌオーが降らせた雨が降っている。これが雷の威力を増幅させたのだ。 のび「ならこっちもとっておきのポケモンで対抗してやる。エンテイ、頼んだよ!」  のびたはエンテイを繰り出した。 ドラ「カイリュー、破壊光線だ!」  カイリューの強力な一撃が炸裂した。だが、伝説のポケモンは この程度では倒れなかった。 のび「まだまだ、火炎放射だ!」  カイリューが攻撃の反動で動けない間、エンテイはひたすら火炎放射を出したが、 効果いまひとつで思うようにダメージを与えられない。 そして、カイリューが反動から立ち直ってしまった。 ドラ「止めだ、ドラゴンクロー。」  さっきの一撃でかなりのダメージを受けていたエンテイは、 軽い攻撃であっさり倒れてしまった。 遂にのびたの手持ちも後一匹になってしまった。 のび「やばい・・・ソーナンス、頼んだよ。」  のびたの希望はソーナンスに託された。 ---- ドラ「ソーナンスか。カウンター攻撃で一撃やられる可能性もあるな。 なら、カウンターされる前に一撃で倒してしまえばいい!破壊光線だ!」 のび「ソーナンス、ミラーコートだ!」  カイリューの破壊光線を正面から受けたソーナンス。だが彼(♂)は倒れず、 ミラーコートによってその強烈な攻撃を倍返しした。 カイリューは倒れ、戦いはのびたの勝ちとなった。 ドラえもんは呆然と立ち尽くしている・・・ ドラ「・・・なんで、なんであの一撃をくらって立っていられるんだ・・・」  ドラえもんの疑問に、のびたがしてやったりという笑みを浮かべて答える のび「勿論、“気合の襷”だよ。最後の最後で勝ち急いで焦ちゃったね、 ドラえもん。」  その回答を聞いたドラえもんはリセットボタンを押し、 消えいく中でのびたに一言伝えた。 ドラ「この世界に来る前からかなり成長したね、のびた君・・・」  そして、ドラえもんの姿は完全に消えてしまった。 のびたは涙を堪え、出来杉の待つポケモンリーグへと歩いていった。            ドラえもん、ゲームオーバー ----        現在の状況 のびた    ポケモンリーグ  手持ち ヤドキング(50)ヨルノズク(48)エテボース(50)ソーナンス(48)カビゴン(56)エンテイ(52) 出来杉    ポケモンリーグチャンピオン  手持ち メガニウム(53)ピジョット(50)ゲンガー(56)フーディン(57)ブラッキー(52)スイクン(55) スネ夫    ゲームオーバー ジャイアン  ゲームオーバー しずか    ゲームオーバー ドラえもん  ゲームオーバー ----  ポケモンリーグの奥、チャンピオンルーム。ここに今日もまた、1人の挑戦者が現れた。 チャンピオン出来杉と共に旅立った仲間、野比のび太だ。 のび「やあ出来杉、君に挑戦しに来たよ。」  出来杉は少し前、ドラえもんがリタイアしたことをポケギアで知った。 今彼がやることは1つ、自分以外で唯一の残っているのびたを倒すことだ。 出来「待ちくたびれたよ、のびた君。1つ聞きたいんだが、 ドラえもんがリタイアしたというのは本当かい?」 のび「ああ、その通りだよ。他に言う事は無いよ・・・」  バトルの前に、一応確認しておこうと思った出来杉の問いかけに、 のびたはあっさりと答える。その顔にはさっきまでの悲しい表情は無かった。 出来「そうかい。(何故ドラえもんはリタイアしたんだ?まあいい。 倒す手間が省けただけのことだ・・・)じゃあ、この世界にまだ残っているのは 僕と君だけ、ということになるね。」 のび「うん、そうだね。それがどうかした?」 出来「いや、このバトルが終われば優勝者が決まって、この世界とも もうお別れなんだな・・・と思ってね。まあそんなことはいい。 早くバトルを始めよう!このゲームの勝者を決めるバトルをね!」 のび「うん。(ドラえもん、君の分まで僕は頑張るよ!)」  のびたと出来杉・・・天才と落ちこぼれによる優勝者を決める戦いが今始まった! ---- 出来「(まずは様子見だな・・・)行け、ピジョット。」 のび「まかせたよ、ヨルノズク!」  出来杉はピジョット、のびたはヨルノズクを出した。鳥ポケモン同士の戦いだ。 出来「高速移動から翼で打つだ。」  見事なコンボ技が炸裂する。ピジョットの早い動きはとても目では追えないスピードだ。 のび「(あの速さはやっかいだな。動きを止めないと・・・)ヨルノズク、催眠術で眠らせるんだ。」 出来「させないよ。影分身だ。」  ヨルノズクは分身したピジョットの本体を探し出して眠らせることが出来なかった。 のび「くそ・・・そうだ!ヨルノズク、見破るで本体を見極めて催眠術!」  今度は的確に本体を見つけ出し、催眠術で見事に眠らせた。 出来「ちっ、なかなかやるな。」 のび「よし!後はひたすらエアスラッシュだ。」  眠っていて動かないピジョットをヨルノズクのエアスラッシュが何回か襲い、 ピジョットは倒れてしまった。 出来(のびた君なんか相手にならないと思っていたが、思ったよりやるようだな。 これはもしかして剛田君以上かもしれない・・・ とにかくここからは気を引き締めていこう。)  のびたの実力が自分の想像以上だったことに驚く出来杉は、 緩んでいた気を引き締め、バトルに集中しだした。 ----  出来杉が次に出したのは手持ちの中で2番目に強いゲンガーだ。 出来杉はさっそく攻撃してきた。 出来「ゲンガー、10万ボルトだ。」  効果抜群の一撃を受け、ヨルノズクは一発でやられてしまった。 のび「(あのゲンガー、強い!おそらくかなりレベルが高いはず・・・ ここは力勝負はやめておいた方が無難だな。)出て来い、ソーナンス!」  のびたは次にソーナンスを出した。狙いは勿論カウンター攻撃だ。 出来「(ソーナンスか。のびた君があんなポケモンを使いこなせるとは・・・) ミラーコートをくらう前に一撃で倒すぞ、シャドーボールだ。」  ゲンガー渾身の一撃が命中する。だが、のびたはVSドラえもんの時と同じように ソーナンスに“気合の襷”を持たせていた。 出来「何、倒れない!気合の襷か・・・」 のび「油断したね、出来杉。ミラーコートだ!」  シャドーボールの威力を倍返しする。ゲンガーは倒されてしまった。 出来「(くそ、もっと慎重にいくべきだった。まさかゲンガーがこんなに早く やられるなんて・・・)行け、メガニウム。のしかかりだ。」  自分の愚かさを嘆く出来杉は、とりあえず残り体力1のソーナンスを倒しておいた。これで残りは4対4だ。 ----  ソーナンスを倒されたのびたは次にエテボースを出した。 のび「エテボース、ダブルアタックだ。」  のびたが命令すると、エテボースは目にも止まらぬ速さでメガニウムに接近し、 攻撃した。威力自体は大した事なかったが、その速さに出来杉は圧倒される。 出来「(なんて速さだ・・・ここは速めに仕留めとかないと厄介そうだな。) メガニウム、日本晴れだ。」  辺りが激しく太陽に照らされる。これでメガニウムは環境を味方につけた。 のび「うわー、暑いなぁ・・・」 出来「ボーっとしてたらやられちゃうよ。メガニウム、ソーラービーム。」 のび「うわっ!エ、エテボース、影分身だ!」  太陽の力で溜めずにすぐ撃てるソーラービームを、エテボースはギリギリで交わした。 のび「あんなの一発でもくらったらおしまいだよ・・・エテボース、 もっと影分身をして回避率を上げるんだ。」 出来「無駄だよ、守ってばかりじゃいつかは必ずやられる。メガニウム、 ソーラービームを撃ちまくれ!」  強烈なソーラービームが何度も放たれるが、エテボースにはかすりもしない。 のび「いいぞ。続いて高速移動でスピードアップだ。」  今度はさらにスピードを上げ始め、もはやのびたと出来杉の目には瞬間移動に 見えるほどとなった。ソーラービームは全く当たる気配を見せない。 出来「くそ、どうすれば・・・」  珍しく悩む出来杉。その時、彼の頭に1つのアイデアが浮かんだ。 出来「(・・は!そうか。こんな簡単なこと、もっと早く気付いておくべきだった。)メガニウム、甘い香りだ。」  メガニウムの体から甘―い、いい匂いが漂ってくる。その美味しそうな匂いに 思わず気を取られたエテボ-スは、メガニウムの前に本体をさらけ出してしまった。 出来「もらった!ソーラービームだ。」  ソーラービームが命中した。発生した激しい煙と砂埃で前が見えない。 次第に影すら見えなかったエテボースの姿がだんだん見えてくる 出来「よし、やっ・・・そんな!な、何でこのポケモンが?エテボ-スはどこに行ったんだ!」  そこにいたのは、ソーラービームを受けてもたいしてダメージを受けていない 巨体のポケモン、カビゴンだった。 ---- 出来(な、何でカビゴンが?ジョウト地方には生息してないはず・・・ いや!肝心なのはそんなことじゃない。何故エテボースが消え、 代わりにカビゴンが出ていたかだ・・・)  今目の前で起こった出来事を必死に整理する出来杉。そんな彼を見て のびたが自慢気に種明かしをした。 のび「なんでカビゴンが今でているか、教えてあげよう。君のソーラービームが当たる前に、 エテボ-スにバトンタッチを命じたのさ。ソーラービームが当たる時には もうカビゴンに入れ替わっていたよ。」  やられた・・・出来杉はそう感じた。現実であれ程自分に劣っていたのびたに 見事にやられた・・・いや、このバトル自体がのびた優勢に進んでいる事に納得がいかない。 出来「くそ!メガニウム、全力であのデブにソーラービームだ!」  メガニウムが強力な攻撃を放った。が、次の瞬間出来杉は信じられないものを目にした。 ソーラービームがカビゴンをすり抜けていったのだ。 しかも、カビゴンはその後消えてしまった。 出来(何がどうなっているんだ・・・・・・あ!これは、バトンタッチの効果か!)  バトンタッチで交代したポケモンは、前のポケモンの能力変化を引き継ぐ。 つまり、今のはエテボースがしつこく使った影分身の効果なのだ。 よく見ると、周りを何十匹ものカビゴンが囲んでいた。 のび「今度はこっちの番だ。カビゴン、のしかかり!」  次の瞬間、出来杉はまたまた信じられない光景を見せつけられた。 ノロマなカビゴンがかなり速い・・・とまではいかないが普通以上のスピードで迫ってきたのだ。 これも、バトンタッチで引き継いだ高速移動の効果だ。 結局、メガニウムは一撃でやられてしまった。 出来(速くて回避率の高いカビゴン、こんなのに勝てるのか)  やや弱気になってしまった出来杉は次にブラッキーを繰り出し、 毒々による嫌がらせ作戦に出ようとした。だが、その希望はあっさり打ち砕かれてしまった。 のび「残念だったね。カビゴンは特性“免疫”の効果で毒状態にはならないよ。」  結局、ブラッキーも一撃でやられてしまった。出来杉の顔が青ざめていく・・・ 出来(負けるのか?この僕が・・・・・・) ----  出来杉は遂にエース、フーディンを繰り出した。 出来「フーディン、気合球だ。」  当たれば効果抜群だが、もともと気合球は命中率の低い技だ。 影分身を積みまくった今のカビゴンには全く当たらない。 のび「カビゴン、のしかかりだ。」  カビゴンの巨体がどんどん迫ってくる。あんなのに押しつぶされたら フーディンはひとたまりも無い。 出来「まずい!リフレクターだ。」  間一髪!リフレクターでダメージを軽減したフーディンは、ギリギリで生き残った。 出来(危なかった。でももう一発くらえば終わりだ・・・くそ!どうすれば・・・)  勝負を諦めかけた出来杉。そんな彼を見ると、突然フーディンが勝手に技を使い始めた。 出来「何やってるんだフーディン!・・・って何だこの技は?」  フーディンは出来杉が一度も見たことが無い技を使っている。 その技は相手にダメージを与えるわけでもなく、ただ目が妖しく光っているだけである。 出来「あんな技あったっけ・・・」  急いでポケモン図鑑を確認する出来杉。フーディンが今使える技で、 まったく知らない技はただ1つ、レベル22で覚える“ミラクルアイ”だ。 出来杉は必死でミラクルアイの効果を思い出そうとしている。 その様子を見て困惑しているのはのびただ。 のび「(向こうは何をやってるんだ?まあいい、今がチャンスだ!) カビゴン、のしかかりだ!」 出来「え!フ、フーディン気合球!」  フーディンの気合球は、一斉に迫ってくるカビゴンたちの中の本体に見事に命中した。 カビゴンは飛んでいく。 出来(運がよかったのか・・・あ!そうだ、ミラクルアイの効果、思い出した!)  出来杉はその瞬間ミラクルアイという技について思い出した。ミラクルアイは 悪タイプに効果の無い技や回避率の高い相手に攻撃が当たるようになる技だ。 このおかげで気合球は命中したのだ。 出来「よし、もう一度気合球だ。」  今度もしっかりと命中し、カビゴンは倒れた。今まで何事も自分の実力だけで 解決してきた出来杉にとっては、初めて運に助けられる結果となった。 ----  フーディンは次に出てきたエテボースも一撃で倒し、おまけに自己再生で体力を半分ほど回復した。 一気に形成を逆転されたのびたは慌てている。 のび(そんな・・・まさかあのカビゴンがやられるとは、さすが出来杉!って 人を誉めてる場合じゃない!このままじゃ負けちゃうよ。)  今手持ちは2体2の五分五分だが、流れは確実に出来杉のものだった。 この状況を打破したいのびたは、旅立ちからのパートナーであるヤドキングを出した。 のび(お互いエスパータイプだからあまりダメージを与えられない。 押し合いになれば敵のほうが体力が少ないから僕が有利だ!)  だがその希望はあっさり裏切られた。出来杉のフーディンはシャドーボールを覚えて いたのだった。ヤドキングは一発で半分ほどの体力を削られた。 のび「(もう一発くらったらやばい!よし、ここは・・・)ヤドキング、 金縛りだ。」  これでフーディンはしばらくシャドーボールを使えなくなった。 出来「成程、そう来たか。ならフーディン、金縛りが解けるまで自己再生で 体力回復に専念しろ。」  ヤドキングが攻撃しても、フーディンが自己再生で回復する。 それも、ダメージを上回る回復量だ。フーディンは遂に体力満タンになってしまった。 のび「ならあいつを動けなくしてやる、電磁波だ!」  技マシンで覚えさせておいた電磁波がこんなところで役に立った。 フーディンは麻痺して動きが鈍くなった。 のび「よし、今のうちに頭突きだ・・・っておーい!何やってるんだヤドキング!」   ヤドキングはのびたの命令を聞いても動こうとしない。フーディンの特性“シンクロ”で ヤドキングも麻痺していたのだ。 出来「フーディンを麻痺させたのがミスだったね。さあ、金縛りが解けたようだ。気合球を放て!」 ----  再び気合球をくらったヤドキングが吹っ飛ぶ。だが、まだギリギリ体力が残っていた。 のび「えーい!もうどうにでもなれ!ヤドキング、とにかくからげんきで攻撃しろ!」  ヤドキングがフーディンにめちゃくちゃな攻撃をした。だが、その一撃でフーディンは 大ダメージを受け、戦闘不能になった。のびたはキョトンとしている。 出来「・・・そうか!麻痺状態での“からげんき”の威力は2倍、 しかもさっきのは急所に当たったからかなりの威力だ。やるね、のびた君」 のび「???―――ああ、そうだよ、その通りだよ。」  自分が“からげんき”という技を使わせたことすらにも気付いていないのびた。 とにかく、これで出来杉のポケモンは後一匹となった。  出来杉の最後のポケモンは、伝説のポケモンスイクンだった。 焼けた塔でその姿を見たことがあるのびたは、再びその美しい姿を見れたことに感動し、 同時に出来杉がスイクンを捕まえていたことに驚いた。 出来「伝説のポケモンの力を見せてあげよう。スイクン、毒々だ。」  ヤドキングは毒状態になった。伝説のポケモンが毒々を使ってくるとは 思わなかったのびたは驚いている。 出来「あとはひたすら瞑想だ。」  のびたはヤドキングにサイコキネシス等をさせるが、特防が高く、 おまけに能力を上げているスイクンに全くダメージを与えられない。結局ヤドキングはしばらくして倒れてしまった。 ----  のびたの最後のポケモンはエンテイ。こちらも伝説のポケモンだ。 だが、出来杉は伝説のエンテイを見ても、あまり動揺していなかった。 出来「ほう、君も伝説のポケモンを捕まえていたのか。 だが、エンテイとスイクンじゃ核が違うんだよ。」 のび「何だと!エンテイは立派な伝説のポケモンだぞ!」 出来「たしかにエンテイは普通のポケモンとしてはそこそこ強い。 だが、伝説のポケモンとしてはあまりに弱すぎる。 エンテイなんかが伝説のポケモンを名乗っているのはスイクンへの侮辱だね。」 のび「・・・そこまで言うなら見せてやる、エンテイの強さを。 そして、僕がチャンピオンになる!」 出来「正気かい?相性も不利、おまけにスイクンは瞑想で強化までしてるんだよ・・・・・・まあいい、すぐに終わらせてあげるよ。スイクン、雨乞いだ。」  あたりに雨が降り始めた。天候、相性、能力変化の全てでエンテイは不利な状況に立たされた。  この戦いで勝ったほうが、最終的なポケモンリーグチャンピオン・・・ゲームの優勝者だ! ----   現在の状況 のびた    ポケモンリーグ、出来杉と交戦中  手持ち ヤドキング(53)ヨルノズク(50)エテボース(51)ソーナンス(49)カビゴン(58)エンテイ(54) 出来杉    ポケモンリーグチャンピオン、のびたと交戦中  手持ち メガニウム(54)ピジョット(50)ゲンガー(58)フーディン(60)ブラッキー(52)スイクン(56) スネ夫    ゲームオーバー ジャイアン  ゲームオーバー しずか    ゲームオーバー ドラえもん  ゲームオーバー [[次へ>金銀物語 その10]] ----

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