「一応金銀 その3」(2007/01/16 (火) 21:38:57) の最新版変更点
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かたやしずかと出木杉。
メガニウムとブラッキーが対峙し、一触即発の状態だ。
「ブラッキー、騙し討ち」
「メガニウム、ブラッキーが来た所でギガドレインよ」
だが、ブラッキーの背後からの攻撃にメガニウムは反応出来ない。
先ほどのスターミー戦のダメージもあり、メガニウムは後一撃でやられる所だ。
「終わりだ、ブラッキーとどめの騙し討ち!」
・・・しかし出木杉の命令に反してブラッキーは動かなかった。
「何故だ?騙し討ちだブラッキー!」
だがブラッキーは動かない。見るとブラッキーの体は震えていた。
「まさかお前!僕の命令を聞かないのか!」
出木杉は遂に怒り狂った。
「・・・出木杉さん。今のあなたに何でブラッキーが命令を聞かないか、わかる?」
しずかの目から涙が零れ落ちた。
「ブラッキーはね、きっといつものあなたじゃないってわかってるのよ」
「うああああああ!うあああああああああッ!」
しずかは涙を拭きとって言った。
「だから・・・だから、あなたの目を覚ましてあげる!メガニウム、
ソーラービーム!」
メガニウムの体に光が集まり、それはブラッキーに直撃した。
そして、その衝撃波で出木杉も倒れた。
「出木杉さん・・・!」
しずかは出木杉のほうへ駆け寄った。
「あれ・・・?僕は・・・?確かロケット団になって・・・」
「いいの。終わったの。・・・グス。ほら、私はここにいる。
それよりもブラッキーの手当てをしなくっちゃ、ね?」
「どうやら僕は、このバッジに操られていたようだ・・・」
出木杉は服から取れたロケット団のバッジを指さし、そう言った。
----
「何?出木杉が元に戻っただと?・・・チッ!使えないやつめ」
フスイは焦りながらもマタドガスを出した。
「マタドガス、煙幕!そしてクロバット、俺をセキエイ高原につれていけ!」
「ま、待ってくれ!ヤミカラス、俺をのせるんだ!」
フスイともう一人の幹部はセキエイ高原に向かって飛んでいった。
「・・・待て!貴様生かしてはおかない!」
シルバーが大声をあげるも、既に二人は見えなくなっていた。
「おい、今の聞いたかよ」
「セキエイ高原・・・そこにいけばドラえもんに会える!」
のび太は嬉しそうに空を見上げていた・・・。
そして、ラジオ塔の一件が全て治まった。
「それじゃあ、俺は行く。お前達には世話になった」
シルバーとユイナはリザードンに乗った。
「何処に?」
のび太が聞く。
「俺は必ずロケット団を潰す・・・だが、今回の戦いで実力不足が身にしみた」
「修行するの?」
のび太の問いかけに対し、シルバーは少し厳しい表情で答えた。
「ああ・・・もう誰にも負けないようにな。じゃあ、さらばだ」
「さようなら、のび太さん」
こうしてシルバーとユイナは飛び立って行った。
「ばいばい!またどこかで会おうね!」
----
のび太がシルバーと別れた頃。
「本当に良かったわ。出木杉さん・・・」
「やっぱり君は、望んでロケット団に入ったわけじゃないんだね」
「おお、心の友よ!」
しずかとスネオ、ジャイアンは出木杉の復帰を喜ぶ。
「本当にごめん。僕のせいで迷惑かけちゃったね・・・」
出木杉がすまなさそうに顔をうつむける。
――その時。
「おーい!」
のび太がこっちに走ってきた。
(・・・!何で出木杉としずかちゃんがイチャイチャしてるんだ・・・くそっ!)
のび太はしずかと出木杉を見て嫌な気分になった。
「ああ、のび太か。・・・よし、みんな集まったな」
スネオが何かを決心したような顔で言った。
「みんなに言ったように、ロケット団はセキエイ高原にいった。」
「君の言いたい事はわかってる。僕達でロケット団を倒し、
ドラえもんを連れ戻す。そういうことだろ?」
どうやら出木杉はわかっているらしい。
「ここからは、みんなまたバラバラになろう」
スネオが言った。
「よし、じゃあみんな、別れて出発しよう!」
「オー!」
----
みんなが別れてから5日はたっただろうか。
のび太は新たな仲間を連れてフスベジムに挑戦していた。
「とどめだイノムー!吹雪!」
「ああっ、私のキングドラが・・・」
ロケット団との戦いでかなり成長したらしい。見事イブキを倒した。
「おーい!ジム戦、勝ったよー」
のび太の向かう先にはおなじみの4人がいた。
「遅いぞ、のび太!」
「もう私特訓しすぎちゃったわ・・・」
ジャイアンとしずかが言う。
「よし、じゃあセキエイ高原にいこうか・・・」
出木杉が言うと、皆は空を飛ぶでワカバタウンへ向かった。
「ここが、僕等の旅の始まりだったんだよね」
懐かしそうに言うのび太。
「じゃあ、まずはチャンピオンロードに向かおうか・・・」
それから30分後。
「ここが、チャンピオンロードね・・・」
そこにあるのはただの洞窟。だが異様な雰囲気を醸し出している。
みんながそれぞれの思いを馳せている中、出木杉がいった。
「さて、いよいよ最終決戦だ、僕たちの戦力を確認しよう。
みんな新しいポケモンを捕まえてるようだしね。」
のび太 ピカチュウ45 ヨルノズク42 ゴルダック42 イノムー40 ポニータ39
しずか メガニウム57 オオタチ49 サニーゴ49 ドードリオ47
スネオ バクフーン45 クロバット44 ストライク44 ドククラゲ42 グライガー40
ジャイアン オーダイル48 ゴローニャ42 ケンタロス40 ドンファン40
出木杉 ブラッキー46 デンリュウ45 フーディン42 スターミー41 エアームド40
5人はチャンピオンロードに入っていった。
----
「なんか、薄暗いわね・・・」
しずかが少し出木杉の方に近づく。
(なんで出木杉なんだ!くそっ!くそっ!)
だが、今はこんな事を言っている場合じゃない。それはのび太も承知している。
「あ、あれは・・・!」
大分出口に近づいた時、ジャイアンが人の大群を指さす。
「ロケット団だ!」
50人・・・いや、100人以上のロケット団がそこにいた。
「ここから先は通さないぜ」
ロケット団の大群がこちらへ向かってくる。
―その時。
「ここは私にまかせて!」
しずかが言った。
「こんな100人もの相手、しずかちゃん一人じゃ無理だよ!」
のび太がいう。それに皆も同意する。
「この中で一番レベルが高いのは私よ。私一人で何とかやるから、
のび太さん達は先に行って!」
そう言っている間にもロケット団は迫ってくる。
「メガニウム、ソーラービーム!」
メガニウムのソーラービームは大群の中央を突き抜け、出口への道を切り開いた。
「今よ、早く!」
しずかの迫力に押されたのか、4人は出口に向かって走り出した。
「ま、待て!」
「メガニウム、葉っぱカッター!」
葉っぱカッターがロケット団を怯ませ、のび太達4人は
チャンピオンロードを抜けたのであった。
----
セキエイ高原ポケモンリーグ。
「遂に、遂に・・・ここまできたんだよね」
のび太は決意を固めた顔をしていた。
そして、4人は中に入っていった・・・。
大きいモニター。そのモニターにうつっている男がいた。
そう。その男は紛れもなく・・・
「お前は!ドラえもんを連れ去った・・・!」
忘れるはずもないあの事件。のび太は憎憎しげに男の顔を見る。
「ようこそ。ポケモンリーグ・・・いや、ロケット団の牙城へ。」
男がワインを飲みながら話す。
「うおー!てめードラえもんを返せっ!」
顔を真っ赤にして怒鳴るジャイアン。
「まぁ、そう慌てないで下さいよ。青狸さんを助けたくば、
私を倒すしかないですよ?」
男がワインを飲み終わった。
「聞きたいことがある!なんでドラえもんを連れ去ったんだ!」
スネオが言う。恐らく皆同じ疑問を抱いているだろう。
「フフ・・・それは私に直接会ってから、ですよ・・・。
会えるかどうかは別ですけど」
男がそう言い放つと、モニターから男の姿が消えた。
後に残っているのはピー、ピーという雑音だけだ。
「・・・よし、行こう!」
4人は声を合わせて言った。
そして、中へ進んで行く・・・。
その後姿からは強い決意を感じられた。
----
四天王一人目の部屋。
本来ならそこに居るのはイツキ・・・だがもちろん今回は違う。
「お、お前は・・・!」
そこに立っていたのはラジオ塔で見た幹部だ。
「ケケ・・・やっぱ来たか」
男は既にボールを手に取っている。
「コイツは、俺がやるぜ」
皆が怖気づいている中、一歩踏み出したのはジャイアンだった。
「ケケッ!おもしれぇ・・・じゃあ他の連中は先に進みな。
一対一の勝負だ・・・ケケ」
のび太達3人は、次の部屋へ向かった。
「ジャイアン(剛田君)、ここは任せたよ!」
・・・そして3人がついたのは小さな部屋。
戻ることは出来ない。そして先に進む扉も閉ざされている。
「・・・恐らく、剛田君が勝たないとこの扉は開かないんだ」
出木杉が言う。
3人は一言も話さず、神妙な顔をして立っていた。
そして一人目の部屋。
「ケケ!ラジオ塔では世話になったぜ・・・いけ、ヤミカラス!」
「いけ!ドンファン!」
遂に、戦いの火蓋が切って落とされた。
----
「先手必勝!地震だドンファン!」
辺りを激しい揺れが襲う。
「ケケ!バカか・・・飛行タイプに地面技はきかねぇよ・・・ヒャハハ!」
ジャイアンは緊張か怒りか、タイプ相性を忘れてしまっていたのである・・・。
「くそ、ミスった!ころがれドンファン!」
「ヤミカラス、黒い霧でドンファンの行く手を眩ませろ!」
ドンファンは霧でヤミカラスが見えない。攻撃は不発に終わってしまった。
そして、霧がなくなっていく・・・。
「・・・ドンファン!」
そこにいたのは傷ついたドンファンだ。
「ケケ、霧が出てる間に攻撃させてもらったぜ・・・ヒャハハ」
「くそっ!もう一度ころがれ!」
ドンファンが激しく回転し、ヤミカラスの方へ突っ込んでいく。
「バカめ!黒い霧だ!そして騙し討ち」
ドンファンはまたダメージを食らってしまい、倒れそうになっている。
・・・その時、風で霧が少し晴れた。
ヤミカラスの翼だ。恐らく羽ばたいている風圧だろう。
「そうだ、霧は・・・消せる!」
ジャイアンの顔はさっきまでと一変、希望に満ちた表情になった。
----
「ドンファン、砂嵐!」
辺りを砂嵐が吹き荒れる。
「ケケケ・・・そんな技を使ったところで意味はない!黒い霧だ!」
今度は砂嵐が見えなくなり、辺りを黒が染めた。
「同じ手は2度・・・いや、3度も通じないぜ!高速スピンだドンファン!」
ドンファンは高速スピンで霧を消した。
「ちっ・・・ならばナイトヘッ・・・何!」
ドンファンは消えていた。
(なるほど、穴を掘るか・・・ケケ)
「へへ、やっぱりな・・・今だドンファン、突進!」
いきなりドンファンが出てきて、ヤミカラスをふっ飛ばした。
「何!どういうことだ・・・」
驚く幹部に対し、得意気な表情を浮かべるジャイアン。
「バカなお前に説明してやるぜ!まず、あの高速スピンは霧を消すためだけじゃない!
砂嵐をお前の近くにいかせるためだ!それによってお前の視界が狭くなったんだ・・・
そして、俺はドンファンをお前の視界に入らない所にいかせたんだ!」
タネを明かされた幹部はあっけにとられた表情をしていた。
(・・・まさか、コイツにこんな作戦があったとはな・・・ケケ)
「ヒャハハッ!・・・おもしれぇ・・・」
砂嵐がおさまっていき、幹部はボールを放った。
----
「出ろ、キングラー!」
幹部の放ったボールから出てきたのはキングラーだ。
「一撃で決めろドンファン!地震だ!」
ジャイアンはドンファンの体力が残り少ないことを認識していた。
「ケケッ・・・キングラー、クラブハンマー!」
ドンファンの地震がヒットするよりもキングラーの攻撃のほうがはやい。
「ドンファン!」
ドンファンは鈍い音を立てて倒れた。
「くそ!いけゴローニャ!」
ジャイアンが次に出したのはゴローニャ。相性では断然不利だ。
「ヒャハハァッ!バカめ!クラブハンマーだ」
弱点による4倍ダメージでゴローニャはかなりのダメージを負った。
(このままじゃ、負ける・・・)
ジャイアンは遂に賭けに出た。
「ゴローニャ、自爆だ!」
辺りを爆音と爆風が支配する・・・。
そして瀕死になったゴローニャ。キングラーは・・・
「何!」
「ヒャアハハ!コイツの装甲のおかげでなんとか助かったぜ」
起死回生を賭けた秘策も失敗に終わるのだった・・・。
----
「くそっ!くそっ!いけケンタロス!」
幹部のキングラーの体力は残り僅か。ジャイアンはとどめをさそうとした。
「決めろケンタロス、突進!」
「こうなりゃ賭けだ・・・ハサミギロチン!」
二つの強大な力がぶつかり合い、爆発が起きた。
「ケンタロス!」
「キングラー!」
ハサミギロチンがヒットするも、ケンタロスの突進でキングラーは倒れていた。
「チィ・・・これで最後のポケモンだ、ニドキング!」
出てきたのはニドキング。その風格にジャイアンは少したじろいだ。
「俺もこれで最後だ!いけ、オーダイル!」
二つの巨体が向かい合って立っている。
先に動いたのは・・・オーダイルだ!
「オーダイル、ハイドロポンプ!」
オーダイルの口から凄い勢いで水が飛び出す。
「ケケ・・・ニドキング、雷パンチ!」
雷パンチはハイドロポンプを消し去り、ニドキングはオーダイルの方へ走って行く。
「避けろオーダイル、切り裂くだ!」
「爆裂パンチ!」
攻撃は相殺し、勝負は振り出しに戻った。
「オーダイル、爆裂パ・・・」
「遅い、雷だっ!ヒャハハ!」
ニドキングの雷を食らい、オーダイルは倒れた・・・。
----
「オーダイル!オーダイル!」
ジャイアンは必死にオーダイルに呼びかける。
「もう無理だぜ・・・お前の負けだっ!ヒャハハアアアア」
だが、オーダイルは立ち上がった。
「へへ、堪えるで何とか耐え切れたか・・・」
「何!堪えるだと?」
オーダイルはすぐにニドキング向かって走り出す。
「この一撃に全てを賭けろ!爆裂パンチ!」
「ニドキング、こっちもだ!ロケット団真の復活の為に!」
両者の拳と拳がぶつかり合い、その回りでは空気の渦がバチバチを音を立てている。
「オーダイル!お前の根性を見せろぉっ!ロケット団なんかぶっ潰せ!」
「負けるなニドキング!お前の力、全てを注ぎこめぇえええっ!」
・・・ドガーン!
立っていたのはニドキング。そして倒れこむオーダイル。
「ヒャハハァッ!危ない所だったぜ・・・ケケ」
「・・・そ、そんな・・・」
ジャイアンは涙を流し立ち尽くしていた。
―――その時だ。
ニドキングも地面に倒れこみ、オーダイルは・・・
「オ、オーダイル!」
オーダイルは全身傷だらけの体を動かし、立ち上がった。
「やった!やった!やった!やったぜ、オーダイル!」
歓喜の叫びをあげるジャイアン。そして倒れこむ幹部。
「お、おい。どうした?」
「ケケ・・・楽しかったぜ・・・」
幹部は静かに目を閉じた。そして、ジャイアンもその場に倒れこんだ。
「ああ、俺も楽しかったぜ・・・俺もそろそろ限・・・界・・・だ」
バタッ。
----
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かたやしずかと出木杉。
メガニウムとブラッキーが対峙し、一触即発の状態だ。
「ブラッキー、騙し討ち」
「メガニウム、ブラッキーが来た所でギガドレインよ」
だが、ブラッキーの背後からの攻撃にメガニウムは反応出来ない。
先ほどのスターミー戦のダメージもあり、メガニウムは後一撃でやられる所だ。
「終わりだ、ブラッキーとどめの騙し討ち!」
…しかし出木杉の命令に反してブラッキーは動かなかった。
「何故だ?騙し討ちだブラッキー!」
だがブラッキーは動かない。見るとブラッキーの体は震えていた。
「まさかお前!僕の命令を聞かないのか!」
出木杉は遂に怒り狂った。
「・・・出木杉さん。今のあなたに何でブラッキーが命令を聞かないか、わかる?」
しずかの目から涙が零れ落ちた。
「ブラッキーはね、きっといつものあなたじゃないってわかってるのよ」
「うああああああ!うあああああああああッ!」
しずかは涙を拭きとって言った。
「だから・・・だから、あなたの目を覚ましてあげる!メガニウム、
ソーラービーム!」
メガニウムの体に光が集まり、それはブラッキーに直撃した。
そして、その衝撃波で出木杉も倒れた。
「出木杉さん・・・!」
しずかは出木杉のほうへ駆け寄った。
「あれ・・・?僕は・・・?確かロケット団になって・・・」
「いいの。終わったの。・・・グス。ほら、私はここにいる。
それよりもブラッキーの手当てをしなくっちゃ、ね?」
「どうやら僕は、このバッジに操られていたようだ・・・」
出木杉は服から取れたロケット団のバッジを指さし、そう言った。
----
「何?出木杉が元に戻っただと?・・・チッ!使えないやつめ」
フスイは焦りながらもマタドガスを出した。
「マタドガス、煙幕!そしてクロバット、俺をセキエイ高原につれていけ!」
「ま、待ってくれ!ヤミカラス、俺をのせるんだ!」
フスイともう一人の幹部はセキエイ高原に向かって飛んでいった。
「・・・待て!貴様生かしてはおかない!」
シルバーが大声をあげるも、既に二人は見えなくなっていた。
「おい、今の聞いたかよ」
「セキエイ高原・・・そこにいけばドラえもんに会える!」
のび太は嬉しそうに空を見上げていた・・・。
そして、ラジオ塔の一件が全て治まった。
「それじゃあ、俺は行く。お前達には世話になった」
シルバーとユイナはリザードンに乗った。
「何処に?」
のび太が聞く。
「俺は必ずロケット団を潰す・・・だが、今回の戦いで実力不足が身にしみた」
「修行するの?」
のび太の問いかけに対し、シルバーは少し厳しい表情で答えた。
「ああ・・・もう誰にも負けないようにな。じゃあ、さらばだ」
「さようなら、のび太さん」
こうしてシルバーとユイナは飛び立って行った。
「ばいばい!またどこかで会おうね!」
----
のび太がシルバーと別れた頃。
「本当に良かったわ。出木杉さん・・・」
「やっぱり君は、望んでロケット団に入ったわけじゃないんだね」
「おお、心の友よ!」
しずかとスネオ、ジャイアンは出木杉の復帰を喜ぶ。
「本当にごめん。僕のせいで迷惑かけちゃったね・・・」
出木杉がすまなさそうに顔をうつむける。
――その時。
「おーい!」
のび太がこっちに走ってきた。
(・・・!何で出木杉としずかちゃんがイチャイチャしてるんだ・・・くそっ!)
のび太はしずかと出木杉を見て嫌な気分になった。
「ああ、のび太か。・・・よし、みんな集まったな」
スネオが何かを決心したような顔で言った。
「みんなに言ったように、ロケット団はセキエイ高原にいった。」
「君の言いたい事はわかってる。僕達でロケット団を倒し、
ドラえもんを連れ戻す。そういうことだろ?」
どうやら出木杉はわかっているらしい。
「ここからは、みんなまたバラバラになろう」
スネオが言った。
「よし、じゃあみんな、別れて出発しよう!」
「オー!」
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みんなが別れてから5日はたっただろうか。
のび太は新たな仲間を連れてフスベジムに挑戦していた。
「とどめだイノムー!吹雪!」
「ああっ、私のキングドラが・・・」
ロケット団との戦いでかなり成長したらしい。見事イブキを倒した。
「おーい!ジム戦、勝ったよー」
のび太の向かう先にはおなじみの4人がいた。
「遅いぞ、のび太!」
「もう私特訓しすぎちゃったわ・・・」
ジャイアンとしずかが言う。
「よし、じゃあセキエイ高原にいこうか・・・」
出木杉が言うと、皆は空を飛ぶでワカバタウンへ向かった。
「ここが、僕等の旅の始まりだったんだよね」
懐かしそうに言うのび太。
「じゃあ、まずはチャンピオンロードに向かおうか・・・」
それから30分後。
「ここが、チャンピオンロードね・・・」
そこにあるのはただの洞窟。だが異様な雰囲気を醸し出している。
みんながそれぞれの思いを馳せている中、出木杉がいった。
「さて、いよいよ最終決戦だ、僕たちの戦力を確認しよう。
みんな新しいポケモンを捕まえてるようだしね。」
のび太 ピカチュウ45 ヨルノズク42 ゴルダック42 イノムー40 ポニータ39
しずか メガニウム57 オオタチ49 サニーゴ49 ドードリオ47
スネオ バクフーン45 クロバット44 ストライク44 ドククラゲ42 グライガー40
ジャイアン オーダイル48 ゴローニャ42 ケンタロス40 ドンファン40
出木杉 ブラッキー46 デンリュウ45 フーディン42 スターミー41 エアームド40
5人はチャンピオンロードに入っていった。
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「なんか、薄暗いわね・・・」
しずかが少し出木杉の方に近づく。
(なんで出木杉なんだ!くそっ!くそっ!)
だが、今はこんな事を言っている場合じゃない。それはのび太も承知している。
「あ、あれは・・・!」
大分出口に近づいた時、ジャイアンが人の大群を指さす。
「ロケット団だ!」
50人・・・いや、100人以上のロケット団がそこにいた。
「ここから先は通さないぜ」
ロケット団の大群がこちらへ向かってくる。
―その時。
「ここは私にまかせて!」
しずかが言った。
「こんな100人もの相手、しずかちゃん一人じゃ無理だよ!」
のび太がいう。それに皆も同意する。
「この中で一番レベルが高いのは私よ。私一人で何とかやるから、
のび太さん達は先に行って!」
そう言っている間にもロケット団は迫ってくる。
「メガニウム、ソーラービーム!」
メガニウムのソーラービームは大群の中央を突き抜け、出口への道を切り開いた。
「今よ、早く!」
しずかの迫力に押されたのか、4人は出口に向かって走り出した。
「ま、待て!」
「メガニウム、葉っぱカッター!」
葉っぱカッターがロケット団を怯ませ、のび太達4人は
チャンピオンロードを抜けたのであった。
----
セキエイ高原ポケモンリーグ。
「遂に、遂に・・・ここまできたんだよね」
のび太は決意を固めた顔をしていた。
そして、4人は中に入っていった・・・。
大きいモニター。そのモニターにうつっている男がいた。
そう。その男は紛れもなく・・・
「お前は!ドラえもんを連れ去った・・・!」
忘れるはずもないあの事件。のび太は憎憎しげに男の顔を見る。
「ようこそ。ポケモンリーグ・・・いや、ロケット団の牙城へ。」
男がワインを飲みながら話す。
「うおー!てめードラえもんを返せっ!」
顔を真っ赤にして怒鳴るジャイアン。
「まぁ、そう慌てないで下さいよ。青狸さんを助けたくば、
私を倒すしかないですよ?」
男がワインを飲み終わった。
「聞きたいことがある!なんでドラえもんを連れ去ったんだ!」
スネオが言う。恐らく皆同じ疑問を抱いているだろう。
「フフ・・・それは私に直接会ってから、ですよ・・・。
会えるかどうかは別ですけど」
男がそう言い放つと、モニターから男の姿が消えた。
後に残っているのはピー、ピーという雑音だけだ。
「・・・よし、行こう!」
4人は声を合わせて言った。
そして、中へ進んで行く・・・。
その後姿からは強い決意を感じられた。
----
四天王一人目の部屋。
本来ならそこに居るのはイツキ・・・だがもちろん今回は違う。
「お、お前は・・・!」
そこに立っていたのはラジオ塔で見た幹部だ。
「ケケ・・・やっぱ来たか」
男は既にボールを手に取っている。
「コイツは、俺がやるぜ」
皆が怖気づいている中、一歩踏み出したのはジャイアンだった。
「ケケッ!おもしれぇ・・・じゃあ他の連中は先に進みな。
一対一の勝負だ・・・ケケ」
のび太達3人は、次の部屋へ向かった。
「ジャイアン(剛田君)、ここは任せたよ!」
・・・そして3人がついたのは小さな部屋。
戻ることは出来ない。そして先に進む扉も閉ざされている。
「・・・恐らく、剛田君が勝たないとこの扉は開かないんだ」
出木杉が言う。
3人は一言も話さず、神妙な顔をして立っていた。
そして一人目の部屋。
「ケケ!ラジオ塔では世話になったぜ・・・いけ、ヤミカラス!」
「いけ!ドンファン!」
遂に、戦いの火蓋が切って落とされた。
----
「先手必勝!地震だドンファン!」
辺りを激しい揺れが襲う。
「ケケ!バカか・・・飛行タイプに地面技はきかねぇよ・・・ヒャハハ!」
ジャイアンは緊張か怒りか、タイプ相性を忘れてしまっていたのである・・・。
「くそ、ミスった!ころがれドンファン!」
「ヤミカラス、黒い霧でドンファンの行く手を眩ませろ!」
ドンファンは霧でヤミカラスが見えない。攻撃は不発に終わってしまった。
そして、霧がなくなっていく・・・。
「・・・ドンファン!」
そこにいたのは傷ついたドンファンだ。
「ケケ、霧が出てる間に攻撃させてもらったぜ・・・ヒャハハ」
「くそっ!もう一度ころがれ!」
ドンファンが激しく回転し、ヤミカラスの方へ突っ込んでいく。
「バカめ!黒い霧だ!そして騙し討ち」
ドンファンはまたダメージを食らってしまい、倒れそうになっている。
・・・その時、風で霧が少し晴れた。
ヤミカラスの翼だ。恐らく羽ばたいている風圧だろう。
「そうだ、霧は・・・消せる!」
ジャイアンの顔はさっきまでと一変、希望に満ちた表情になった。
----
「ドンファン、砂嵐!」
辺りを砂嵐が吹き荒れる。
「ケケケ・・・そんな技を使ったところで意味はない!黒い霧だ!」
今度は砂嵐が見えなくなり、辺りを黒が染めた。
「同じ手は2度・・・いや、3度も通じないぜ!高速スピンだドンファン!」
ドンファンは高速スピンで霧を消した。
「ちっ・・・ならばナイトヘッ・・・何!」
ドンファンは消えていた。
(なるほど、穴を掘るか・・・ケケ)
「へへ、やっぱりな・・・今だドンファン、突進!」
いきなりドンファンが出てきて、ヤミカラスをふっ飛ばした。
「何!どういうことだ・・・」
驚く幹部に対し、得意気な表情を浮かべるジャイアン。
「バカなお前に説明してやるぜ!まず、あの高速スピンは霧を消すためだけじゃない!
砂嵐をお前の近くにいかせるためだ!それによってお前の視界が狭くなったんだ・・・
そして、俺はドンファンをお前の視界に入らない所にいかせたんだ!」
タネを明かされた幹部はあっけにとられた表情をしていた。
(・・・まさか、コイツにこんな作戦があったとはな・・・ケケ)
「ヒャハハッ!・・・おもしれぇ・・・」
砂嵐がおさまっていき、幹部はボールを放った。
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「出ろ、キングラー!」
幹部の放ったボールから出てきたのはキングラーだ。
「一撃で決めろドンファン!地震だ!」
ジャイアンはドンファンの体力が残り少ないことを認識していた。
「ケケッ・・・キングラー、クラブハンマー!」
ドンファンの地震がヒットするよりもキングラーの攻撃のほうがはやい。
「ドンファン!」
ドンファンは鈍い音を立てて倒れた。
「くそ!いけゴローニャ!」
ジャイアンが次に出したのはゴローニャ。相性では断然不利だ。
「ヒャハハァッ!バカめ!クラブハンマーだ」
弱点による4倍ダメージでゴローニャはかなりのダメージを負った。
(このままじゃ、負ける・・・)
ジャイアンは遂に賭けに出た。
「ゴローニャ、自爆だ!」
辺りを爆音と爆風が支配する・・・。
そして瀕死になったゴローニャ。キングラーは・・・
「何!」
「ヒャアハハ!コイツの装甲のおかげでなんとか助かったぜ」
起死回生を賭けた秘策も失敗に終わるのだった・・・。
----
「くそっ!くそっ!いけケンタロス!」
幹部のキングラーの体力は残り僅か。ジャイアンはとどめをさそうとした。
「決めろケンタロス、突進!」
「こうなりゃ賭けだ・・・ハサミギロチン!」
二つの強大な力がぶつかり合い、爆発が起きた。
「ケンタロス!」
「キングラー!」
ハサミギロチンがヒットするも、ケンタロスの突進でキングラーは倒れていた。
「チィ・・・これで最後のポケモンだ、ニドキング!」
出てきたのはニドキング。その風格にジャイアンは少したじろいだ。
「俺もこれで最後だ!いけ、オーダイル!」
二つの巨体が向かい合って立っている。
先に動いたのは・・・オーダイルだ!
「オーダイル、ハイドロポンプ!」
オーダイルの口から凄い勢いで水が飛び出す。
「ケケ・・・ニドキング、雷パンチ!」
雷パンチはハイドロポンプを消し去り、ニドキングはオーダイルの方へ走って行く。
「避けろオーダイル、切り裂くだ!」
「爆裂パンチ!」
攻撃は相殺し、勝負は振り出しに戻った。
「オーダイル、爆裂パ・・・」
「遅い、雷だっ!ヒャハハ!」
ニドキングの雷を食らい、オーダイルは倒れた・・・。
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「オーダイル!オーダイル!」
ジャイアンは必死にオーダイルに呼びかける。
「もう無理だぜ・・・お前の負けだっ!ヒャハハアアアア」
だが、オーダイルは立ち上がった。
「へへ、堪えるで何とか耐え切れたか・・・」
「何!堪えるだと?」
オーダイルはすぐにニドキング向かって走り出す。
「この一撃に全てを賭けろ!爆裂パンチ!」
「ニドキング、こっちもだ!ロケット団真の復活の為に!」
両者の拳と拳がぶつかり合い、その回りでは空気の渦がバチバチを音を立てている。
「オーダイル!お前の根性を見せろぉっ!ロケット団なんかぶっ潰せ!」
「負けるなニドキング!お前の力、全てを注ぎこめぇえええっ!」
・・・ドガーン!
立っていたのはニドキング。そして倒れこむオーダイル。
「ヒャハハァッ!危ない所だったぜ・・・ケケ」
「・・・そ、そんな・・・」
ジャイアンは涙を流し立ち尽くしていた。
―――その時だ。
ニドキングも地面に倒れこみ、オーダイルは・・・
「オ、オーダイル!」
オーダイルは全身傷だらけの体を動かし、立ち上がった。
「やった!やった!やった!やったぜ、オーダイル!」
歓喜の叫びをあげるジャイアン。そして倒れこむ幹部。
「お、おい。どうした?」
「ケケ・・・楽しかったぜ・・・」
幹部は静かに目を閉じた。そして、ジャイアンもその場に倒れこんだ。
「ああ、俺も楽しかったぜ・・・俺もそろそろ限・・・界・・・だ」
バタッ。
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