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ギンガ その3 - (2007/04/29 (日) 23:32:50) のソース

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息を切らせながら、コンテスト会場に入っていく。 
実況の甲高い声と、観客の叫び声が、会場内に響き渡っていた。 
今は演技審査4体のポケモンが、それぞれとくいな技を披露している……あれは? 

『ガーディ、火炎車でこれを取りに行きなさい!』 
ガーディのトレーナーがボールを遠くへ投げ、ガーディが火炎車でボールを取りに走る。 
上空に投げられたボールをガーディは急上昇して、口に銜え、そのまま着地した。 
火炎車をしていたのにも関わらず、ボールは焦げていない。 

『『『キャ―――――』』』 

鼓膜を突き破るかのような叫び声が、俺の耳を貫く。 
そして結果が出る……ガーディは一位であった。 
優勝したトレーナーの顔が、大画面のモニターに映し出される。 
……あれは……確か、静香…… 
マサゴタウンで俺達と一緒に旅立った一人であった。 
表彰台に上がり、観客に手を振っている。 

『『『ワ――――――』』』 

先ほどよりもさらに大きな叫び声が、耳を貫く。 
その時、突然会場の選手入場用の扉が開いた。 

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開かれた扉からは、何人もの人間が押しかけてきた。 
会場が一気に静まり返る、先ほどの叫び声が嘘のようである。 
「素晴らしい演技だったよ、私の名前はサターン……ギンガ団の幹部だ 
 単刀直入に言う、そのポケモン達を我々ギンガ団に譲ってもらいたいのだが」 
「そんな簡単に大事なポケモンを、渡せるはずが無いじゃない!」 
「なら力づくで奪わせてもらう、行けユンゲラー、ドクロッグ!」 

幹部のポケモンの出陣と同時に、下っ端もポケモンを繰り出した。 
その場にいたトレーナーも、ポケモンを出して応戦する。 
静香もガーディと、新たに出したポッタイシで迎え撃った。 
「ポッタイシはバブル光線、ガーディは火炎車!」 
手際よく攻撃するものの、幹部の方が一歩上の戦いをしている。 
やがてドクロッグの一撃で、ポッタイシは戦闘不能となってしまった。 

「この程度の実力じゃコンテストにも勝ち上がることはできない、ユンゲラー念力だ」 
『ロトム!電撃波だ』 
ユンゲラーのスプーンに電撃が命中し、念力は失敗する。 
『………』「あ、あなたは……」 
「人の旅の娯楽の時間を邪魔しないでもらいたいな……」 
「……まさかお前がここに居るとは、探す手間が省けた……ドクロッグ、瓦割りだ」 
ドクロッグが俺目掛けて突撃してくる、それをガーディが防いだ。 
「あなたがあたしの邪魔をするならば、あたしはあなたを攻撃する。」 
「ほぉ…いい度胸だな、ギンガ団の幹部に立ち向かうとは…お前らは手出しするなよ……」 
コンテスト会場で、俺&しずかVSサターンのバトルが始まった。 

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「ドクロッグに火炎車」「ユンゲラーに電撃波だ」 
それぞれが別々に攻撃をする。 
「金縛りをガーディにドクロッグは瓦割りだ。」 
ガーディは金縛りで火炎車を封じられ、一瞬動きが止まった。 
その隙を狙い、ドクロッグが手刀をガーディに命中させる。 
電撃波はユンゲラーに命中したものの、ダメージは少ないようだ。 

「あなたはサポートに回って!あなたのロトムは電撃波以外攻撃技が無いじゃない」 
「技だけが問題じゃない、お前のガーディはダメージが大きい、そっちがサポートに回れ」 
「パートナーとのコンビネーションが取れぬようでは、敗北は決定したようなものだ 
 ドクロッグはガーディに泥かけ、ユンゲラーはサイケ光線だ」 

ドクロッグが泥をガーディにかける、目が見えない中でユンゲラーがサイケ光線を命中させた。 
「俺を無視してていいのか?影分身だロトム」 
ロトムは分身し、ドクロッグとユンゲラーを囲んだ。 
「これなら本体を見破ることはできないだろう……」 
「フン、それはどうかな?」 
「どういう意味……!?」 
突然ロトムの分身が、次々と消滅していった。 

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「な、なにをした!?」 
「ユンゲラーのミラクルアイだ、それを使って分身を探り出した」 
……影分身の対策技を持っているとは厄介だ。 
「だが、もう一度影分身を使えばいい、ロトム、影分身だ!」 
ロトムは俺の指示に対し、困惑の表情を見せる。 
「無駄だ、金縛りで影分身を封じておいた」 
用意周到な奴だ、金縛りを使用しておくとは…… 
「チッ……」「私が攻撃するわ!ガーディ、火炎車よ!」 
ロトムに金縛りの効果が移行したことによって、ガーディの金縛りの効果は解けたようだ。 

「無駄なことを……ユンゲラーは念力、ドクロッグは泥かけだ」 
念力で動きを止められ、泥をかけられた。 
「あなたはサポートに周って、ガーディのほうが相手にダメージを与えられるんだから」 
「そっちばかりが集中攻撃される中、アタッカーにするのは不利だ!」 
「それをあなたがサポートしてくれればいいの!!」 
ガーディばかり狙われている状態なのに、なぜガーディをアタッカーにせねばならないのだ…… 
……なぜガーディばかりが狙われるんだ?……そうか! 

「……分かった、今から俺がサポートに周る、だからお前はドクロッグを狙ってくれ」 
「……何か作戦があるみたいね、ガーディ!ドクロッグに火炎車。」 
これから俺達の逆転劇が始まる。 

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「策があるようだが私のポケモンのコンビネーションは、そう簡単に敗れたりはしない、ユンg」 
『ロトム怪しい光をユンゲラーに使え!!』 
ロトムから発せられる怪しい光で、ユンゲラーは混乱した。 
「ドクロッグ、泥かけだ!」「電撃波で弾けロトム!」 
泥を電撃波で弾いた、直接的なダメージは無くとも軌道変更くらいならできる。 
ガーディの火炎車はドクロッグに命中し、ごっそりと相手の体力を奪っていった。 

『ドクロッグの特性は"乾燥肌"……これの効果は分かるよな?』 
乾燥肌とは水タイプに強くなり、炎タイプに弱くなる特性…… 
「クッ……なぜそれに気づいた!?」 
「ガーディを集中攻撃したからさ、さらにお前はさっき念力で動きを封じられたガーディに 
 瓦割りでは無く、泥かけを使ったからだ、炎を纏っている状態で触れることはできないからな」 

「……そんなことでここまで見抜かれるとは、さすがだな」 
『バトル中にお喋りしてる暇なんか無いわよ、ガーディ火炎車よ!』 
再びドクロッグに火炎車が命中し、ドクロッグは倒れた。 
「確かにお喋りが長すぎたようだ……ユンゲラー、サイケ光線」 
ユンゲラーの混乱状態は既に解けていたようだ、俺の喋っている時間が長すぎたようだな。 
『電撃波で止めだ!』 
『ガーディ!手助けよ』 
ガーディの手助けによって電撃波の威力は上昇しサイケ光線を打ち破った。 
そのままユンゲラーに命中し戦闘不能となった。 

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「私の負けだな……お前らのコンビネーションが、私を打ち破ったということか」 
サターンは涼しい顔をしながら部下を連れて去っていった。 

『『『すごいぞー、かっこいいぞー』』』 

観客の大歓声が三度、俺の耳を貫く。 
しかしそれは不思議と喧しいと感じなかった。 

コンテスト会場を出て、俺達はポケモンセンターに来た。 

「あの時、サポートに周ってくれてありがとう、 
 私はバトルとかになるとちょっと熱が入っちゃって……ごめんなさい」 
「ああ……俺も変な意地を張っていたがガーディのほうが攻撃技が多いからな。」 

その後、静香としばらく雑談をしていた。 
「そういえば、あのサターンって人あなたのことを狙っていたみたいだけど……」 
『それは今、答えたくない、そろそろ時間だし俺も退散するよ』 
「ちょ、ちょっと!?」 
俺はピシャリと会話を止め、その場から立ち去った。 

このままジムに行こうと思ったが、聞いた話ではここのジムリーダーは今出かけているらしい 
つまり、今はジムへの挑戦ができない……最近のジムリーダーは皆こうなのか? 
ジムリーダーに挑戦できない以上、この町に用はないと思ったが既に夜だ 
今日はポケモンセンターでゆっくりするか…… 
そう思い、俺はポケモンセンターに駆けて行った。 


ナナシ 
リオルLv26ゴルバットLv25ロトムLv23 
しずか 
ポッタイシLv26ガーディLv25 残りの手持ち不明 

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予定より早く、ズイタウンに入ることができた。 
のどかな町で空には、ムックルやポッポが飛び交っている。 
途中大きな塔があり、上ってみようかと思ったが時間も無いのでやめた。 
ズイタウンは寒い、シンオウ地方の中では暖かい土地だった。 
のどかなズイの町を歩いていると、突然大柄な男が俺の前に立ちふさがった。 

『お前がギンガ団だな……ぶっ殺してやる!!』 

突然俺に殴りかかってきた、不意打ちだったため、腹に突きが命中し地面に体を打ち付けられた。 
「な、なんだお前は!?」 
「……そうか…俺みたいな奴のことは記憶にすらねぇのか 
 ヒロトだ……お前らギンガ団にポケモン殺されたんだよ!ケンタロスあいつを殺してやれぇ!」 
ケンタロスが突進してくる、リオルを出し、それに対抗した。 
「そいつがお前のポケモンか……俺のピィと同じ目にあわせてやる!」 

バトルは俺の圧勝だった。 
ノーマルタイプと悪ライプの技しかないケンタロスは、格闘タイプのリオルにとって敵では無かった。 
『くそぉぉぉぉぉぉぉぉお……なぜだ!なぜ勝てないんだぁ!?』 
「お前のケンタロスがせめてLv29まで育ってたら勝てたかもな……」 
ケンタロスはLv29になると、思念の頭突きを覚える。 
「くそ…ギンガ団のくせに……ギンガ団のくせに……」 
「そもそも俺はギンガ団では無い、なんなんだお前は?」 
俺の方をジロジロと見てきた、すると突然立ち上がった。 
「……どうやら俺はとんでも無い勘違いをしていたようだな 
 俺がおごるからカフェやまごやにでも着いて来てくれ」 
なにやら急にこの男……ヒロトはおとなしくなった、しかし先ほどのピィの話は気になる。 
俺はヒロトと一緒に、カフェやまごやに行った。 

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「勝負のあとはおいしいモーモーミルクごっくんしてください」 
俺とヒロトは、カフェやまごやに来ている 
「突然すまないな……じゃあ早速だが俺の話を聞いてくれないか?」 
ヒロトの話は昔……といっても数ヶ月前だが、ギンガ団に突然喧嘩を売られ、戦ったが敗北 
そして手持ちのピィを奪われたが、弱いと言われ目の前で殺されたという話だった…… 
その話を聞き、目が熱くなってくる。 
「俺もなるべく忘れようとはしてるんだがな、毎日墓参りに行っちまうんだよ……」 

「俺から一つ質問がある、なぜ俺をギンガ団だと言ったんだ 
 今日俺達は初めて会った、それに俺はどこからどう見てもギンガ団員には見えない」 
「ああ、それがな……今日も墓参りに行ったんだがその時に 
 "青い髪で青いリュック"を持った奴が、今日ここに来るそいつはギンガ団だと言われたんだ」 
誰だそいつは?俺は人に恨み言を買った覚えは無いぞ……どんな奴だ? 
「それがな……よく覚えていないんだ、それを聞いた瞬間怒りで何も分からなくなっちまった」 
「分かった……俺もそろそろトバリシティに行きたいんだ、もういいか?」 
「ああ……話を聞いてくれてありがとうな、 
 俺がこんなんじゃいつまでもあいつは成仏できなぇなぁ……」 

カフェやまごやを出て、ロストタワーに行きピィのお墓参りをした。 
そして俺は再び歩き出す、トバリシティを目指して…… 

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―――――某所某時刻 
高層ビルの最上階のデスクには、一人の男が座っている。 
そしてその前には三人の人間がいた。 
左からギンガ団の幹部……マーズ、ジュピター、サターンである。 
「そろそろ教えていただけませんか?なぜあの少年を倒せば………の………になれるかを」」 
マーズがデスクに座っている男に尋ねる。 
「………もうあいつがここの町に来るころか、そろそろ話しておくべきか」 
幹部三人の間に緊張が走る 

「そ、そうだったのですか!?」 
「すまなかったな今まで隠していて、あいつは数年前に――」 
幹部達はデスクに座っている男の話を、身動き一つとらず聞いていた 
「ここに来たときは手厚く迎えてやれ……」 
「「「……分かりました…アカギさま……」」」 
三人の幹部は去っていった。 

ナナシ 
リオルLv27ゴルバットLv25ロトムLv24 

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雨に降られ、土砂崩れに巻き込まれたりもしながら、俺はトバリシティについた。 
しかし既に空は、紺色になっていた…疲れた。 
暗くならないうちにジムに行くか…… 
俺は重い足を動かしながら、ジムに向かった 

―――トバリジム 

いかにも格闘道場という雰囲気で、ポケモンだけでは無く、人間まで修行をしていた。 
「挑戦者ですね?少々お待ちください。ポケモンを回復させて来ますから」 
……ポケモンを回復させたということは、ついさっきまで誰かと戦っていたということか…? 
「やぁ、久しぶりだね。」 
こいつは……出木杉…… 
俺達と一緒に、マサゴタウンを旅立った一人だ。 
「お前か?このジムでさっきまで戦っていた奴は?」 
「そうだよ、もうバッジは3つもゲットしたよ。」 
コール、フォレスト、そしてコボルバッジ…… 
「それじゃあ、僕はもう帰らせてもらうよ。」 
出木杉は清々しい顔をしながら、去っていった。俺も早く追いつかなければ…… 

「お待たせしてしまってすいません、準備が出来ました 3vs3でいいですね?」 
「問題無い、ちょうどこちらの手持ちも3匹だ!」 
『では勝負です!』 

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「分かりました、ゴーリキー行ってください!」「ゴルバット行けっ!」 
相手の先鋒はゴーリキー……単純な相性ではこちらが有利だ。 
「翼で打つだ!」「岩石封じです」 
やはりその技を覚えていたか……ゴルバットの周囲に岩が落下してくる。 
「怯むな!岩を回避してそのまま翼で打つを打ち込んでやれ!」 
落下してくる岩を回避しながら、ゴーリキーに接近していった。 
『受け止めなさい、ゴーリキー!』 
翼を掴まれてしまった……どうやら相手はゴルバットが怯んでいる隙に、気合溜めをしていたようだ。 
「そのまま地球投げ!!」 
ゴルバットは、床に叩きつけられてしまった。 
「地球投げなら、相性関係無くダメージを与えられます。」 
「だがタイプ相性に頼った方がダメージは大きい!」 

ゴルバットはゴーリキーから離れた、これで次の一手は食らわないだろう。 
「ゴーリキー!また岩石封じです」 
「二回目の攻撃は簡単に通らない……怪しい光だ。」 
ゴルバットは怪しい光でゴーリキーを混乱させた、岩石封じは失敗し自分に攻撃してしまう。 
「そのまま翼で打つだ!」 
混乱していて判断能力の鈍っている、ゴーリキーは翼で打つを回避することはできなかった。 
『反撃です、しっぺ返し!』 
ゴーリキーは危ない足取りで、ゴルバットに接近してくる……かかった! 
『エアカッターだ!』 
空気の鎌がゴーリキーを切裂く、そしてそのままゴーリキーは戦闘不能になった。 

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「これで一体戦闘不能だな……次のポケモンはなんだ?」 
「そう焦っても勝機は舞い込んで来ませんよ、行ってくださいスリーパー!」 
二体目はスリーパー……格闘タイプじゃ無い、最近のジムリーダーは皆こうなのか? 
「チッ……エアカッター。」 
ゴルバットがエアカッターを繰り出したが、サイコカッターがエアカッターを切裂き 
さらにそのサイコカッターが、ゴルバットに命中し、戦闘不能となった。 

「……次はこいつだ、ロトム!」 
フィールドにロトムが飛び出した。 
「珍しいポケモンですね、サイコカッターです」 
サイコカッターがロトムに向かって放たれる、空気を切る音が鳴り響いている。 
『影分身から怪しい光!』 
ロトムの体が分裂し、それら全てが発光した。 
「これ以上、変化技を使われるのは厄介です、挑発しなさい。」 
酔っ払いの罵声のような声を発する……ロトムの体が怒りで紅潮し始めた。 
「これで攻撃技以外使えなくなったか……ならそのまま攻撃、電撃波!」 
フラフラとしているスリーパーの足元に、電撃波がヒットし転倒した。 
「連続で攻撃だ、電撃波。」 
倒れているスリーパーに再び電撃波が命中する、しかしこれでの混乱は解けてしまった 
「今頃混乱が解けても遅い、止めの電撃波だ!」 
電撃波が、スリーパーに向かって撃たれる 
そしてスリーパーは、戦闘不能となった。 

「なかなかやりますね……行きなさいルカリオ!」 
俺の持つリオルの進化系…ルカリオがフィールドに現れた。 

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「ロトムはゴーストタイプ……格闘タイプには有利だ、電撃波だ」 
『シャドークロー!』 
黒い爪がロトムを切裂いた、そのままロトムは宙から落ちた。 

「ば、馬鹿な!?たった一撃でロトムがやられるなんて……」 
ルカリオの一撃で、ロトムは簡単に瀕死となってしまった。 
「早く次のポケモンを出してください。それとも棄権しますか?」 
「誰が棄権などするか、行けリオル!」 
ルカリオより、一回りほど小さいリオルが出てくる。 

「ルカリオの進化前ですか……面白いですね…はっけい!」 
「こっちもはっけいだ!」 
お互い同じ技でぶつかり合ったが、レベル差や能力差のあるリオルは撃ち負けてしまう。 
「同じことをやったら当然こちらが勝ちますよ、ドレインパンチ」 
右手に橙色の気を纏い、リオルに攻撃を仕掛けて来る 
「電光石火で回避しろ!」「無駄です!」 
電光石火のために加速をしだした瞬間を狙い、ルカリオはリオルに拳を入れた。 
ドレインパンチは相手の体力を吸収する技、厄介な技だ…… 
「負けるなリオル!電光石火からはっけいを命中させろ!」 
指示通りリオルは加速し、ルカリオに向かって突進する。 
「はっけいです」「遅い!」 
リオルはルカリオにはっけいを命中させる、しかしルカリオのはっけいもリオルに命中してしまった。 
「もうあなたのリオルは限界です!戦い続けても勝ち目はもうありません。」 
「リオルにはHPの残りが少なければ少ないほど威力の上がる技がある……」 
「……起死回生!?」 
『そう!だから今までわざとダメージを受けていたんだ 
リオルの進化系の使用者としての判断を誤ったな、起死回生だ!』 
リオルは加速し、ルカリオへと突撃した。 

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砂埃がフィールドを覆っている…… 
「リオルがルカリオに進化すると鋼タイプが追加される、進化したから強いというわけでも無い。」 
「確かにその通りですね……しかしフィールドをよく見てください。」 
「………な……」 
砂埃が引くと立っていたのはルカリオだった……リオルは倒れている。 
『リオル立て、立つんだ!なにやってるんだ!?』 
『もうあなたのリオルは瀕死です、もう戦うことはできません!!』 

―――無言でリオルをモンスターボールに戻す。 

「ルカリオの技ははっけい、ドレインパンチ、シャドークロー……そして見切り。 
 最後の最後に判断を誤ったのはそっちのようですね……私もルカリオ使いです 
 あなたの起死回生での逆転も読めてましたよ……」 

あのときの起死回生で驚いていたのも演技か……俺の完敗…… 
俺は走ってジムを出て行った。ポケモントレーナーとなり初めての敗北だった。 

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ポケモンセンターに戻り、倒されたポケモン三体を回復させた。 
傷心の状態で、この施設の入り口に突っ立っていた。 
すると後方から、俺に話しかける者が居た。 

「私はあの方の命令であなたを連れて行かなければならない、一緒に来てもらえるかな?」 
「お、お前は!?」 
「大衆の目の前で正体を明かされると私は困るのでね、話なら後で願おうか」 
「……そうだな……俺も長話は好きじゃないからな」 
「じゃあ行こうか…顔は隠した方がいいな、誰かに見られると困るだろ?」 
黒く大きなマントを渡される、それを羽織った。 
そしてポケモンセンターを出た。 

ナナシ 
リオルLv31 ゴルバットLv28 ロトムLv26 

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「久しぶりだな……このビルに入ったのも」 
「思い出に浸っている場合じゃ無い、早くアカギ様のところへ行ってもらえないだろうか?」 
「ああ…悪かった、しかし本当になつかしいなここ……」 
俺はギンガトバリビル内を、ギンガ団幹部であるサターンと一緒に行動している。 
エレベーターで最上階まで行き、大きな扉の前に出た。 
サターンは俺を案内すると去っていった、俺はポケッチを扉の傍の機械に当てる。 
すると"カチャ"という音とともに鍵が開いた。 
そして俺はその大きな扉を開けた。 

そこには薄い青色の髪をした男がデスクに座っていた。 

『久しぶりだな……ナナシ…』 

『こちらこそ久しぶりだよ…"父さん"……』 

この人こそが俺の父親、ギンガ団のボス"アカギ"…… 
俺のリオルやポケッチ、ポケモン図鑑などは全て父さんから貰ったものだ。 
「私がプレゼントしたポケモンはどうだね?なかなか手に入らない珍しいポケモンなのだが」 
「強いポケモンだよ……俺にもだいぶなついてくれたよ」 
「リオルはトレーナーを、自分の主人として完全に認めると進化するのだがな……」 
「つまり俺もまだまだということか……」 
「……今日はもう暗い、昔お前が使っていた部屋があるからそこで休むといい、これがカードキーだ」 
銀色のカードを渡される、これがあればギンガ団のアジトのキーは全て解除できる。 
「ありがとう……じゃあ失礼させてもらうよ……」 
大きな扉を開け部屋を出た。 

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白い壁に木で出来た床、そしてその隅に置いてあるベッド…… 
ここは昔、俺が使っていた部屋だ。 
まだギンガ団が、どのような組織か分からない頃から使っている部屋…… 
数年前からほとんど訪れていなかったが、部屋は意外と綺麗であった。 
誰かがずっと清掃してくれていたのだろう。 

――俺はギンガ団の次期総裁になることになっている。 

ただしそれには条件があった、シンオウのポケモンリーグを制覇すること 
いくら現在のボスの息子でも無能な人間をボスにするわけにはいかないのだろう…… 
ギンガ団幹部が、今まで俺を狙ってきたのは、 
俺を倒すことによって、次期総裁になる権利を得ることが出来るから 
ボスが幹部より実力が下であっては、話にならないからな。 

結果、幹部全員を倒せたのだが、別の人間に負けてしまった。 
しかもその原因は俺のミス…… 
リオルを無駄に傷つけ、そして放った一撃は見切られて終わった。 
完全に俺が相手のペーズに呑まれ、起こしたミス…… 
いくらポケモンが優秀でも、トレーナーが無能では力を発揮できない。 
俺はこのまま、ギンガ団次期総裁になってもいいのだろうか…… 

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ギンガ団の次期総裁になるのは昔からの夢だった……この部屋を使う前から 
そしてこの組織がどんな組織か知った後も。 
ただし俺は、ポケモンを道具だとは思っていない 
ちゃんとした生き物でもあり、パートナーでもある 
だがそれはギンガ団の考えと、正反対のものだ。 
そんな者が、ボスになってしまっていいのだろう? 

そう思ったときに、ベッドに置いてあったボールの一つが振動し、中からリオルが出てきた。 
「リオル……俺はこのまま俺のトレーナーで居ていいのか……?」 
リオルは俺の目を数秒見詰めた後に、首を大きく縦に振った 
"私は最後までお前に付いていく" 
そう聞こえたような気がした……すると突然リオルの体が輝きだした 
―――リオルはルカリオに進化した 
俺の頭の中に響いた声は、リオル……ルカリオの声か? 
……それはおそらく答えは出ないだろう。 
しかし俺がギンガ団の次期総裁になってもいいのか? 
それはこれから続ける旅で答えを出す、絶対に…… 
ルカリオをボールの中に戻し、目を閉じた。 

ナナシ 
ルカリオLv31 ゴルバットLv28 ロトムLv27 

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夜が明け、俺は目覚めた。 
ここでは布団などは直す必要など無いのだが、旅をしてきた癖で布団を畳んでしまった。 
悪いことでは無いから、別にいいのだがな…… 
そして立ち上がり食堂へと向かう、昔は毎日ここで食事をしたものだ。 

食堂へ向かうと、結構な数の下っ端が食事を摂っていた。 
ギンガ団は朝は皆一緒に食べるのだ、俺も食事を取りに行く。 
お盆の上に乗っていたのは、白米、味噌汁、焼き魚、そして牛乳瓶……和食だ。 
お盆を持ちながら、テーブルに座る。 
下っ端は下っ端同士で、幹部は幹部同士で、食事を摂ることになっていた。 
座る位置までもが、指定されている。 
ついでに俺は、幹部が座るテーブルに座った。 

既にサターン椅子に、座り待機していた。 
俺は無言で椅子に座る、7時になるまでは食べてはいけないんだよな…… 
10分経ち、ほとんどのメンバーが揃った。 
そして幹部の机の前にボス……父さんが来た 

『しっかり食事は摂っておけ、一日の始まりは朝食からだ!!』 

『いただきますっ!!』 

下っ端全員が、丁寧に手を合わせ"いただきます"の挨拶をした。 

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俺含め、幹部達は黙々と食事を摂っている。 
最初のいただきますの声は大きかったものの、その後は静かだった……幹部たちだけはな。 
下っ端の方々は、雑談に力が入っていて、盛り上がっている。 
人数の差か?こちらとは別世界だぞ? 
痛っ……喉に魚の骨が刺さった、ご飯を飲み込まなきゃな…… 
お椀に箸を突っ込み、白米を飲み込んだ。 

「急いで食べると喉に詰まるぞ」 
サターンが俺に流し目で忠告する、それを無視し二口目を口に入れる。 
……白米だけを食べ続けても少し味が薄いな、味噌汁を飲むか。 
湯気の立っている、味噌汁を飲んだ。 
『熱っ!!』 
舌が火傷するかと思った、そういえばここの味噌汁は凄い熱かったっけな…… 
「フハハ、急いで食べるからそうなるのだ、落ち着きが足りない」 
うるさいな、中年のおばさんかお前は? 
焼き魚に再び手をつける……また喉に骨が刺さった。 

その後数回このループを繰り返し、食事を終えた。 
すると新たにワゴンが食堂に入ってきた。 

『食後にはデザートだ、糖分を取ると一日が快適に過ごせるぞ!!』 
……あれは、タマムシヨウカン!? 
もりのヨウカンとライバル関係にあるほど、有名なヨウカンである。 
それが各自に配布される、甘党の俺にとっては物凄いサービスである。 
……あれ?俺にだけ配られないぞ、なんで? 
まさか、俺は今日突然ここに来たから、俺の分までは用意できなかったのか!? 
………仕方が無い、誰かのを奪い取るか。 

----

「待て、同じ地位を持つ幹部だというのに、俺にだけ羊羹が無いのは不公平では無いか?」 
俺がそう言い放つ、すると俺を哀れむような目でジュピターはこう言った 
「突然来た人間に、デザートがあるわけないじゃない」 
な、なんだと!?俺は一応ボスの息子なんだぞ、この意見を主張しようと思った。 
しかし光の速さで俺の頭の中を思考が駆け巡る、そしてある一つの結論が出た。 

「そんなの関係ないわ、団員食事は皆公平なの」 

こう言われそうだな、ここはあの手で…… 

「俺にだけ羊羹が無いのはやはり不公平だ、ここは古代から伝わる正統な方法で……」 
『待て』 
サターンが俺の言葉を止める。 

「じゃんけんなどという運頼みの方法などよりも、もっと画期的な方法がある。」 
その方法とは?言って見ろ。 
「ギンガ団幹部ともなれば、戦闘の実力に加え知識も重要となる…… 
 ポケモンに関する問題の出し合いで、勝者三人が羊羹を食べれる……どうだ?」 
面白い。俺はトレーナーズスクールの卒業生だ、知識なら自信がある。 
「面白そうじゃない、私は乗ったわ……マーズも当然乗るわよね?」 
サターン、ジュピター……そして俺がマーズの顔を見る。 
「わ、分かったわよ!どうせ断らせてくれないんでしょ?あたしも乗った」 
こうしてタマムシヨウカン争奪戦は始まった。 

----

ポケモンに関するクイズを出し、早押しで答えられた人から先に羊羹を貰っていくとのことだ。 
単純な早押しクイズである……しかし早くも問題は生まれた。 
誰が問題を出すのか?である。 
数秒話し合った結果、じゃんけんで一人抜けれる人間を選ぶことになった。 
その人間には無条件で羊羹が手に入るというのだ。 
俺は羊羹さえ手に入れば、後はどうだっていい、いざ勝負!! 

………一瞬にして、決着はついた。 
マーズ以外の全ての人間はパー、そしてマーズはチョキ。 
早くも可能性が一つ減ってしまった。 

「じゃあ問題出すわよ、えぇ~と、この中でカイリューが覚えない技はどれ? 
 1逆鱗 2龍の舞 3冷凍パンチ 4バリアー」 
フッ……こんなの簡単だ、答えは4のバリアーだ。 
『4番のバリアー!!』「はずれ。」 
な、なんだってー、バ、バリアーは覚えないぞ。 
「簡単よ、冷凍パンチ。」「ジュピター、正解」 
ちょw待てwwカイリューはバリアーを覚えないぞ、どういうことだ!? 
「ジョウト地方のチャンピオン、ワタルのカイリューはバリアーを覚えてるわよ」 
ちょwwwそれは改造だろwwww 
「とにかく正解は正解、この羊羹は返してもらうわよ」 
ジュピターは、テーブルの中心に置かれている羊羹を取った 
残りの羊羹は一つ、早くもピンチだぜ。 

----

「早くも最後の問題ね、えぇ~と、この中でボーマンダが覚えない技は? 
 1龍の舞 2鉄壁 3逆鱗 4流星群」 
今度はもう騙されないぞ、おそらく3を選べば某編集者のネタを出される。 
他の技で覚えれなさそうなのは、2番の鉄壁。 
『2番の鉄壁!!』「はずれ。」 
な、なんだってー、ま、まさかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ 
「こんなのも分からないのか、3番の逆鱗だ!」「サターン、正解。」 
ちょwww逆鱗は某編集者のボーマンダが使ってくるだろうがwwww 
「何を言っているのだ?ボーマンダは逆鱗を覚えないし、一部のボーマンダは鉄壁は使えるぞ。」 
ほ、ほんとうだ、くそっ、俺の……俺の羊羹が…… 

俺の決死の挑戦は無謀にも、失敗として終わってしまった。 

しかし、そこに救いの手が差し伸べられた。 

「まだ余りの羊羹が一つあるよ」 
ワゴンを運んできてくれたおばさん、そしてその手にはタマムシヨウカン…… 
さ、最初からくれれば良かったじゃないか、なんでだ? 

「いつもおばちゃんが二つ食べてたんだけど、今日はあんたが居たからねぇ 
 ちょっと残念だけどあんたにあげるよ」 
羊羹を俺の手に持たせ去っていった。そういえば焼き魚もちゃんと人数分あったなぁ…… 

こうして、この大変くだらない戦いは終わった。 


ナナシ  
頭が堅すぎます、もう少し柔らかい頭を持ちましょう。 

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