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ルビー その5 - (2007/02/19 (月) 20:17:15) のソース

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≪のび太サイド≫ 

ここはヒマワキシティのポケモンセンター。 
僕はジャイアンに出会った。 
「……というわけで、スネ夫はマグマ団になっちまった」 
ジャイアンから話を聞いて、僕はスネ夫がマグマ団になった事を知った。 
「そうなんだ……」 
なんだか、悲しい。 

「僕はね……」 
僕はさっきの出来事を話そうとするが、言葉は喉の辺りで止まる。 
顔をうつむけるジャイアン。 
ただでさえパニックな状態なのに、これ以上不安にさせちゃいけない。 
ドラえもんとミュウツーの事は、僕の心の中に留めておこう。 

「いや、何でもない。それより、先を急ごうよ」 
僕はそう言うと席を立ち、ジャイアンを先導してジムへ向かう。 
何か話し掛けようとしたけれど、僕の口が言うことを聞かなかった。 
そして、僕達は無言のままジムに着く。 

正直、こういう雰囲気は苦手だ。 

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≪のび太サイド≫ 

ジム戦はジャイアンが最初に行き、出てきたのは日が西に傾きかけた頃。 
「ジャイアン、どうだった……?」 
僕が聞くと、ジャイアンは無言で手のひらに乗っているバッジを見せた。 
「じゃあ、いってくるよ」 

――僕がジム戦を終えた時には、日が完全に沈んでいた。 
「ごめん、ジャイアン……遅くなっちゃった」 
……殴られるんだろうな、多分。 
「今日はもう暗いから、ちょっと進んでどこかで野宿だな」 
……あれ?ジャイアンは、怒っている素振りさえ見せない。 
人が変わったみたいだ。 

そして、僕達は小さな洞窟を見つけ、入っていった。 
「よし、今日はここで野宿しよう……じゃあ、俺はもう寝るぜ」 
ジャイアンはそう言って横になり、目を閉じた。 
僕も眠ろうとしたが……眠れない。 
「はぁ……」 
僕はパッチリと目を見開いたまま、洞窟の天井を見ていた。 

眠りについたのは、日の出を拝んでからのことだ。 

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≪のび太サイド≫ 

「さっさと起きろよ、のび太!」 
……ジャイアンの声だ。 
「え?今日は学校なかっ……」 
そこまで言って、僕はようやく夢から覚めた。 
普通に現実の世界で暮らしている夢だ。 
「いつまで寝言言ってんだよ馬鹿!さっさと行くぞ」 

そして僕達はひたすら歩き、ようやくおくりびやまについた。 
雨に打たれたり草に絡まれたりで散々だったけど……。 
「よし、行くぞのび太!」 
僕は重い足を動かそうとする……だが、動かない。 
だんだん周りの景色が歪んできて、頭がクラクラする。 
睡眠不足……か? 
僕は意識がもうろうとして、そのまま大の字に倒れこんだ。 

「おい、いつまで寝てんだよ馬鹿!」 
ん……。ジャイアンの大声で僕は目を覚まし、辺りを見回した。 
「俺一人でおくりびやまのマグマ団倒してきたんだよ!」 
辺りを見ると、大きなデパートや立派なコンテスト会場。 
ミナモシティ、か。 
「見ての通りだ。俺がここまで運んでやったんだぜ」 
「ありがとう、ジャイアン!」 
いつの間にかジャイアンは元のジャイアンに戻っていた。 

僕はどことなく明るい気分になった。 

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≪のび太サイド≫ 

「……で、下っ端によるとスネ夫は海底洞窟にいるらしい」 
ジャイアンの話に、僕は無言で頷く。 
「わかった。とりあえずアジトにいけばいいんだよね」 
僕達は照りつける太陽を背に、マグマ団アジトへ向かった。 

「ところで、さっきからついてくるこのポケモンは?」 
僕が横のポケモンを指さし、ジャイアンに聞いた。 
「ああ。なんかさっきからついてきてるんだよな……」 
とりあえず、僕はボールを当ててみた。 
「ほら、入るかい?」 
すると、案の定そのポケモンはすんなりとボールに入った。 
「へえ……アブソルっていうんだね」 

それから暫く歩き、僕達はマグマ団アジトへ潜入した。 
……だが、ここで苦戦することになるなんてね。 
目まぐるしい数のワープパネル。僕達は繋がりを覚えきれない。 
僕とジャイアンは、疲れきってその場に寝転んだ。 

こんな時、出木杉やしずかちゃんがいたら……。 

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≪のび太サイド≫ 

暫く沈黙が続き、ジャイアンが切り出した。 
「ポケモンに聞いてみないか?」 
え?ポケモンって……。 
確かに『猫の手も借りたい』けど……。 
「いけ、俺のポケモン達!」 
「出て来い、僕のポケモン達!」 
だが、猫の手は起動しなかった。 
ジャイアンのポケモンなんて、目を回して気絶するもんだから……。 

「のび太、アブソルは?」 
僕はアブソルを出し忘れていた。 
「あ、そうだ。いけ、アブソル!」 
……アブソルはボールから出るやいなや、一つのワープパネル目掛けて走っていく。 
「わかるの?アブソル」 
そして、そのワープパネルの先には……。 

そこにいたのはマグマ団幹部としずかちゃん。 
幹部が捨て台詞を残して、潜水艇に乗り込んだところだ。 
もちろん、僕達はしずかちゃんに今までのことを話した。 
「……わかったわ。スネ夫さんのこと、手伝ってあげる」 
そして、僕達3人は、明日に備えるために宿で夜を過ごすことにした。 

今日は、なんだか眠れそうな気がする。 

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≪のび太サイド≫ 

翌朝。僕達は朝早く出発して、トクサネシティに着いた。 
「さっさとジム戦を終わらせて、早くいきましょう」 
まず最初に、しずかちゃんがジム戦をすることになった。 
しずかちゃんって……強いのかな? 

――それから5分も経ってないだろうか。 
「終わったわ。次は武さんね」 
ジムのドアが開き、しずかちゃんが出てきた。 
「……えっ?」 
僕は思わず声を出していた。 
しずかちゃんがこんなに早くジムリーダーを倒せるなんて……。 

そして、ジャイアンも続いてバッジをゲットした。 
「よし、次は僕だね」 
僕は意気揚揚とジムへ入っていく。 
だが……やっぱり上手くいかない。 

「おせぇぞ、のび太!」 
「いくらなんでも遅すぎよ、のび太さん」 
日はかなり西に傾いていて、夕焼けが見える。 
「ごめん、ちょっと苦戦して……」 
「でも、今日中には海底洞窟にいかないと。早くしないと手遅れになるわ」 
え?今からいくの……? 

僕達はトクサネシティを後にし、夕焼けの映える海へと飛び込んだ。 

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≪のび太サイド≫ 

「ミロカロス、ダイビング!」 
僕とジャイアンは、しずかちゃんのミロカロスに乗って海底洞窟まで行った。 
……ゲーム通り、奪われた潜水艦がある。 
僕達はひたすら走り、海底洞窟の中を進んだ。 

「う、うわっ!」 
上からしたたり落ちてくる水滴が、僕に当たる。 
なんだか気持ち悪いな。 
――その時。僕達の前に、二人の幹部が立ちはだかった。 
「俺はマグマ団幹部のホムラだ!ここから先はとおさねえ!」 
「同じく、カガリよ。ちょっと遊んでくれるかしら……」 

「ジャイアン、ここは僕達に任せてよ」 
僕は一歩踏み出し、言った。 
「ええ。スネ夫さんのことだから……武さんが行くべきよ」 
しずかちゃんも後に続く。 
「のび太、しずかちゃん……」 
「さあ、いきなよ!」 
僕はジャイアンの背中をそっと押して、手を振る。 
「ありがとうな!スネ夫は俺に任せろ!」 

「頑張ってね、ジャイアン……お前等の相手は僕達だ!」 

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≪のび太サイド≫ 

「ダブルバトルか、いいだろう!」 
「精々遊び道具にならないようにね……」 
ホムラとカガリがボールを投げる。 
「いけ、コノハナ!」 
「頼んだわよ、ミロカロス!」 

ホムラはバクーダ、カガリはアブソルだ。 
この勝負、負けるわけにはいかない。 
「コノハナ、アブソルにタネマシンガン!」 
僕のコノハナのタネマシンガンが、アブソル目掛けて飛んでいく。 
「甘いぜ。バクーダ、火炎放射で焼き尽くせ!」 
火炎放射がタネマシンガンを襲う。 
「あら、甘いのはどっちかしら……ミロカロス、水の波動!」 
今度は、水の波動が火炎放射を打ち消した。 
そして、タネマシンガンはアブソルに直撃する。 

まさに一触即発。激しい技の応酬。 
「のび太さん、まずはバクーダを狙うわよ……ミロカロス、バクーダに水の波動!」 
「わかった!コノハナ、バクーダにタネマシンガン!」 
攻撃はバクーダを完全にとらえた。だが…… 
「アブソル、冷凍ビームで水を凍らせなさい……そして、燕返し!」 
水の波動は凍って崩れ落ち、タネマシンガンは燕返しによって切り裂かれた。 
強い。これが幹部の実力か……。 

でも、僕達だって負けられない……スネ夫を取り戻すために。 

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≪のび太サイド≫ 

「狙いをアブソルに。水の波動!」 
しずかちゃんの命令と共に、僕もコノハナに攻撃命令をする。 
「コノハナ、タネマシンガン!」 
……だが、相手は一手先を読んでいた。 
「バクーダ、岩雪崩でアブソルの周囲を囲め!」 
岩が次々をアブソルの周囲に落ち、それは攻撃を無効化する。 
僕は舌打ちし、必死に作戦を考える。 

考えろ、僕。勝機は必ずあるハズだ。 
……僕のコノハナの技は、タネマシンガン、騙し討ち、自然の力、ソーラービーム。 
威力の高いソーラービームを当てることができれば……。 
だけど、相手にスキを見せたらやられるのは明白だ。 
相手にスキを見せないにはどうすれば……そうだ! 
僕は考えた末に、一つの作戦を導き出した。 
いわゆる、頭の豆電球が点灯した状態だ。 

「しずかちゃん、ミロカロスに竜巻を命令して!」 
僕は声を張り上げる。 
「どういうこと?……ミロカロス、竜巻!」 
しずかちゃんはよくわからないという素振りを見せるが、竜巻を指示した。 
これで、準備は整った。 

よし……目にもの見せてやる! 

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≪のび太サイド≫ 

竜巻によって辺りの砂が巻き上げられ、トレーナーの視界を奪った。 
「うおお、相手が見えない……」 
ホムラが声をあげる。 
次第に砂が多くなり、砂嵐に似たような状態を作り出す。 
これこそが、僕の狙いだ。 
今は相手の視界がこっちまで届いてない。ポケモンに命令も出せない。 
何故なら、僕達の姿をとらえることが出来ないから……。 

暫くして、竜巻が消え、砂嵐もだんだんおさまっていく。 
――その時。眩いばかりの青白い光が、敵のアブソルを襲った。 
アブソルは強烈な一撃を食らい、鈍い音を立てて地面に倒れる。 
「何っ!どういうこと?」 
今の事態が把握できていないカガリを見て、僕は薄ら笑いを浮かべる。 
「まだわからない?今のは僕のコノハナのソーラービームさ」 
自信満々に言い放つ僕。 
「……ということは、あの砂嵐は攻撃を防ぐためと、
ソーラービームを気付かれないようにするため……」 
幹部の二人はあっけにとられたようだった。 

「ご名答。全ては僕の……作戦通りだ!」 

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