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出木杉の未来大冒険 その2 - (2007/02/08 (木) 21:41:44) のソース

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 僕はここ、3番道路でトレーナーと闘ってレベル上げをしようと目論んでいた。
だが、その狙いは見事に外れてしまった。トレーナーが全然いないのだ。 

「おかしいな、昔はいっぱいトレーナーがいたはずなのに・・・ん、
あそこに人がいる。」 
 僕はその辺を歩いていた男に、何故こんなにトレーナーが少ないのか尋ねてみた。
彼から返ってきた答えは不思議なものだった。 
「そんなの決まってるじゃないか、ここは最近奴らがよく出てるんだぜ。
呑気にポケモンバトルなんかしてたら襲われるかもしれないだろ。」 
「奴ら、がいるんですか?」 
「ああそうだ。だからお前もこんなとこさっさと抜けたほうがいいぜ。じゃあな!」 
 男は早足で去っていった。僕はしばらくボーッとしていたが、
大事なことを聞き忘れていたことに気付き、叫んだ。 
「あのー!奴らってだれですかー!」 
 だが、すでに男の姿は無かった。結局奴らの正体は分からずじまいだ。 

 その後もトレーナーを見かけることは無く、野生のポケモンとすこし戦っただけで、あっさりお月見山前のポケモンセンターに辿り着いた。中には明らかに
周りから浮いているいつも目にするツンツンヘアーの少年がいた。 
「やあスネ夫君!」 
「よう出木杉!お前もここまで来たのかぁ。」 
 僕が声をかけると、ツンツンヘアーの少年、スネ夫も返答してきた。
僕が何か言う前に、早速彼が話を持ちかけてきた。 
「なあ出木杉。せっかく会ったんだからやることは1つ、バトルだ!」 
「いいよ、僕のポケモン達の力、見せてあげるよ!」 
 これはいいレベル上げの機会が来た・・・と思った。早速ポケモンセンターから
出て、モンスターボールを取り出す。バトル開始だ! 

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 僕はまずラルトスを繰り出した。対するスネ夫はというと、 
「さっきお月見山で新しく捕まえた仲間を見せてあげよう。行け、ズバット!」 
 セコイ性格の彼がいかにも好みそうなポケモン、ズバットが姿を現した。
おそらくこの先、洞窟で嫌というほど何度も目にすることになるのだろう・・・ 
「すぐに倒してあげるよ。ラルトス、念力だ。」 
 ラルトスの念力が命中すると、ズバットはあっさり倒れてしまった。
効果抜群とはいえ、あまりに手ごたえがなさすぎる。まあ今捕まえたばかりらしいから
仕方ないか。 

「なかなかやるじゃないか。次はお前だ、イーブイ。」 
 スネ夫の最初のパートナー、イーブイがボールから出てきた。その愛くるしい瞳に
一瞬油断しそうになったが、今は敵だということを忘れてはいない。
僕はラルトスを一度戻し、代わりにヒトカゲを繰り出した。 
「今度はこっちから行くぞ。イーブイ、砂かけだ。」 
 ヒトカゲの目に砂が入り、命中率が下がる。 
「そのぐらい気にするな。ヒトカゲ、火の粉だ。」 
 攻撃は的確にイーブイを捉え、そこそこのダメージを与えた。 
「イーブイ、もう一度砂かけだ。」 
「ヒトカゲ、こっちももう一度火の粉だ。」 
 また命中率を下げられたが、火の粉は見事に命中した、しかも急所にだ。
イーブイは倒れ、スネ夫が下を向く。 
「さあ、早く次のポケモンを出しなよ。」 
 僕がそう言うと、スネ夫が突然キレだした。 
「こ、これで最後だよ!悪いか!つ、次は覚えてろよー!」 
 スネ夫はそう言うと、泣きながらお月見山の方へ走っていった。僕の勝ちのようだ。しかも、一度もダメージに完封勝ちだ。 
「やったな、ヒトカゲ!」 
 僕が隣にいるヒトカゲの方を向いて言った。すると、ヒトカゲの体が光っていることに気付いた。間違いない、進化だ! 
 しばらくして、僕もお月見山へと入っていった。
進化した仲間、リザードと共に・・・ 

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 お月見山の中は薄暗く、周りの静けさがその不気味さを
一段と強烈なものにしていた。 
「・・・にしても、本当に誰もいないなあ・・・」 
 先程の3番道路と同じく、ここもまったく人の姿が見当たらなかった。
おそらく、“奴”が原因だろう。しかし、この不気味な空間に自分1人というのは
本当に心細いものである。 
「スネ夫君を引き止めて一緒に行動すればよかったなあ・・・」 
などと僕が呟いたその時だった!奥の方から物凄い音が聞こえてきた。
その直後に辺りが激しく揺れ始め、立っていることすらままならない状況となった。 

 しばらくして揺れが収まり、なんとか歩けるほどに回復した。
とりあえず、さっきの揺れの原因を探るため奥へと進んだ。
進みながら僕は先程の事について考えていた。 
 『おそらく、先程の揺れは直前の音から察するに爆発によるものだ。爆発が
自然に起こるわけが無い、爆薬か、ポケモンの技のどちらか。いずれにしても、
必ず人の手が加わるはず・・・ということは、この先に誰かいる!』 

 僕の推理通り、奥の方で物音がしていた。おそらく、先程の爆発を起こした
張本人だろう。気付かれないようにゆっくり近づく。
やがて、その場にしゃがみこんでいる彼のすぐ後ろまで距離を詰めていた。
僕は勇気を出し、その人物に声をかけてみた。 
「あのう、ちょっと聞きたいことがあるんですが・・・」 
僕が声をかけると、その人物は振りかえって言った。 
「なんだぁ?ガキがこんなとこうろついてんじゃねえよ!」 
 相手がいきなりキレたのでビックリした。外見から察すると、
30歳後半くらいの中年の男のようだ。僕は男の剣幕に怯えながらも質問した。 
「さっきの爆発について聞きたいんですが・・・」 
すると、僕の質問を聞いた男が突然自分の罪を自白した。 
「あー、あの爆発ね。たしかにあれは俺がやったよ。だからどうした、
サカキ様の指令にケチつけるつもりか?もしそうなら、俺が貴様をぶっ殺す!」 
 サカキ?指令?何を言ってるんだか・・・そう思っていた僕は、
立ち上がった男を見て驚いた。彼が着ているのは、13年前にボスを失って解散し、
10年前にラジオ塔を乗っ取ったあの悪の結社、ロケット団の制服だ! 

----

 ロケット団はとっくに解散したはず、でもこの男は胸元にRのマークがはいった
あの黒い制服を・・・いや、今はそんな事を考えている場合じゃない。
この男、確実に僕に敵意をむき出しにしている。 
「さあ、サカキ様に逆らう物には死を!死をおおおおおお!」 
 この男、完全に狂っている。分かることは1つ、このままでは、僕は殺される!
僕は慌ててモンスターボールを取り出した。 
「頼む、リザード!僕を守ってくれ。」 
 僕がリザードを繰り出すと、敵もモンスターボールを出してきた。どうやら相手も
ポケモントレーナーのようだ。だが敵が出してきたのは所詮コラッタ。
新技、龍の怒り一発であっけなく沈んだ。 
「いいぞ、リザード。ん、またコラッタか。もう一度龍の怒りだ!」 
 このコラッタも、次に出してきたコラッタも一発で倒した。
なんだ、弱いじゃないか・・・そう思ったのが甘かった。
敵が次に出したポケモンを見て、その油断は一瞬で恐怖に変わった。 

「あれは、ビリリダマ・・・はっ、まさか!」 
 気付いたときにはすでにビリリダマは自爆していた。激しい爆風、そして振動が
伝わって揺れる大地・・・間違いない。先程の揺れの原因はこれだ。 
「リ、リザード!しっかりしろ!」 
 リザードはまだなんとか戦える状態だった。僕がそれを見て安堵していると、
すぐに敵は2匹目のビリリダマを繰り出していた。それに気付いたときにはもう、
再び激しい爆発音が鳴り響いていた。 
「くそ!リザード・・・ラルトス、頼んだよ!」 
 僕は傷ついたリザードを戻し、代わりにラルトスを出した。その瞬間、
敵は3匹目のビリリダマを出していた。 
『ラルトスではあの自爆に耐えられない。終わった・・・』 
 僕が死を覚悟し俯いたその時、どこからか一匹のポケモンがやって来て、
ビリリダマを倒した。僕は顔を上げると、目の前にいる人物を見て驚いた。 
「き、君は!」 
「やあ出木杉、助けに来たよ!」 
 そこにいたのは、のび太君とそのパートナーであるナマケロだった。 

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 僕がのび太君に声をかけようとしたその時、洞窟内にたくさんの警官が
押し寄せてきて、ロケット団の制服を来た男を確保した。
僕とのび太君は警官にハナダシティまで連れて行かれた。 
ハナダシティに着いてすぐ、僕たちは警察署へ連れて行かれた。どうやら事情聴取の
ようだ。警官の話によると、爆発音を聞いた人間の連絡を受け、“奴ら”の仕業と
確信して乗り込んだそうだ。 
 僕は自分がお月見山に入ってすぐあの爆発に巻き込まれ、進んでみると男がいて
戦闘になった・・・という一通りの事情を話しておいた。 

「成程、じゃあもう帰っていいよ。ご協力ありがとう・・・」 
「待ってください!」 
 話を聞き終え、帰ろうとする警官を僕は慌てて引き止めた。
聞きたいことがあったからだ。 
「あの、さっきの男は何者なんですか!奴らって言ってましたけど・・・
なんであいつは、解散したはずのロケット団の制服を着てたんですか?
教えてください!!」 
 僕が物凄い大声で言ったので、警官の男は一瞬驚いたが、
あの男について話を聞かせてくれた。 
「・・・ロケット団は13年前に、ボス、サカキの失踪によって解散した。」 
 これは初代赤緑版の話である。 
「その3年後に幹部等の中心人物であった男を中心に再び活動を始め、
ラジオ塔を乗っ取ったが、1人のトレーナーに敗れ完全に壊滅した。」 
 これは今からちょうど10年前、金銀版の話である。
ここまでは僕も知っていることだ。 
「ロケット団は完全に無くなった・・・だが失踪したボス、サカキの影響力は
とても強く、彼を信仰する当時の団員の一部がいまだに彼の帰還を信じて
各地で悪行を行い、暴れ回っているのだ。我々は彼らのことを“ロケット団信者”と
呼んでいる。先ほどの男がいい例だ。というかこんなことトレーナーなら
このぐらい常識として知っておけよ。」 
「わかりました。わざわざ時間をとらせてしまってすいませんでした。」 
 僕は警官に礼を言い、結局一言も喋れなかったのび太君と共に警察署を出た。 

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 ハナダシティのポケモンセンターについてすぐ、僕は先程言いそびれた
のび太君への感謝の言葉を告げた。 
「ありがとうのび太君。君が来なければいったいどうなっていた事か・・・」 
「いいんだよ、気にするなって。ハハハハハ!」 
僕から感謝されてのび太君は満足そうだ。僕は彼に気になったことを1つ、
聞いてみた。 
「そういえば、2ターンに1回しか行動できないナマケロでよくタケシに勝てたね。
どんな手を使ったんだい?」 
「いやあ、さすがにナマケロじゃイシツブテにも勝てないよ。
トキワの森で捕まえたこいつのおかげさ!」 
 そう言いながらのび太がボールから出したのは、あの時迷って結局ゲットしなかった
キノココだった。こいつ、のび太君が捕まえたのか。
“いいトレーナーに出会ってくれよ”という僕の願いどおり、
いいトレーナーに捕まえられたキノココは幸せだろう。 
 その後お互いのこれからについて話をすると、僕は北の24・25番道路へ、
のび太君は町で買い物、とそれぞれ目的が違うようなのでここで別れることになった。
僕は彼にもう一度礼を言い、北の24番道路へと向かった。 
 再び1人になって頭によぎるのは信者のことばかりであった。
あのお月見山であった男の狂った声が忘れられない・・・ 

―――この時僕にはいやな予感がしていた。思えばあの時、
信者に出会ってからだった。僕たちの不幸が始まったのは・・・・・・ 

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     現在の状況 
       ハナダシティ 
    手持ち リザードLV17、ラルトスLV14 
    所持金 5000円 
    バッジ 1個 

     出木杉メモ 
  名前     手持ち 
  のび太    ナマケロ、キノココ(ハナダシティ時) 
  ドラえもん  フシギダネ(マサラタウン時) 
  静香     ゼニガメ(マサラタウン時) 
  ジャイアン  バルキー(マサラタウン時) 
  スネ夫    イーブイ、ズバット(3番道路時) 

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 24・25番道路はお月見山周辺とは違い、たくさんのトレーナーで溢れかえっていた。 
 次のジムリーダーはゲームで21レベルのポケモンを所持していた。おそらく、
いまのままでは勝てないだろう。僕はここにいるトレーナーと対戦を重ね、
順調にポケモンのレベルを上げていった。 
「ふー、こんなところでいいかな・・・」 
 もう近くに戦えるトレーナーは殆どいなくなっていた。僕は24・25番道路を抜け、
奥にあるマサキの家へと向かうことにした。 
今行っても船のチケットが貰える訳ではないのだが、とりあえず行く価値はあるだろう。
それに、10年後のマサキの顔を見てみたいというのもある。 

 マサキの家の前には青い狸のような生物がいた。間違いなく、ドラえもんだ。
僕はとりあえず声をかけてみた。 
「やあドラえもん。何をしてるんだい?」 
 僕の声を聞いたドラえもんは、笑顔で振り向いて返答した。 
「ん、出木杉君かぁ。ちょっとマサキの家に行ってみようと思ってね。
ここにいるってことは、君もだよね?出木杉君。」 
「うん、その通りだよ。じゃあ早速行こうよ。」 
「それがさあ、ドアが閉まってるんだよ。中には誰もいないみたいだし・・・」 
 僕とドラえもんがマサキの家の前で話し合っていると、一人の男が声をかけてきた。 
「お?あんたたち、マサキに用があるのかい?」 
僕はいきなり声をかけられて少し戸惑った。 
「え、ええそうですけど・・・」 
「やっぱりそうか!残念ながらマサキは2年くらい前からコガネの実家に
帰っちまったんだ。ここはずっと誰もいないから帰りなよ。」 
 マサキがいないならここにいる意味は無い。僕たちは彼と会うことを諦めることにした。
その後、あえなくて残念だったね、などと会話をしながらハナダシティまで
一緒に戻っていった。その時だった、のび太からの連絡が入ったのは・・・ 

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 のび太からの連絡に最初に気付いたのは僕だった。 
「ドラえもん、ポケッチの呼び出しコールが鳴ってるよ。」 
「あ、ほんとだ。のび太君から見たいだな。もしもーし!」 
 ドラえもんが通話のボタンを押したその時、 
『助けて、ドラえもーん!』 
 ポケッチからのび太の声が物凄い大きさで流れてくる。
僕もドラえもんも思わず耳をふさいでしまった。
のび太はしばらく泣き叫んでいたが、泣き止むと衝撃的なことを言った。 
『今なんか怖―い人たちに閉じ込められてるんだ・・・助けてよー、ドラえもん!』 
 のび太が監禁されている。あまりにも意外な急展開だが、驚く暇もない。
僕はとりあえずのび太の居場所を聞くことにした。 
「ねえのび太君。君は今、どこにいるんだい?」 
 僕の声を聞いたのび太は驚きながら答えた。 
『出木杉!君も一緒だったのか。ここは、どうやら民家みたいだよ。
ほら、ゲームで泥棒に入られた家!あそこは今誰も住んでいないみたいで・・・』 
 僕が何か声をかけようとしたその時!ポケッチの向こうからのび太ではない声が
聞こえてきた。 
『おい餓鬼!何コソコソとしてるんだ!』 
『見ろよ、このポケッチで会話してるみたいだぜ!ふざけやがって!』 
 次の瞬間、通信は途絶えてしまった。僕の心臓の鼓動が早まっていく。 

「早く助けに行かなきゃ。ドラえもん、行くよ!」 
だが、走り出そうとした僕をドラえもんは制した。 
「待って!今からいっても間に合わない。その民家なら一度行ったことがあるから
これを使おう!」 
 ドラえもんは謎のポケットから、ピンク色のドアを出してきた。
この道具は一度見たことがある。行きたいところに自由に瞬間移動できる、
どこでもドアというアイテムだ。 
「じゃあ1・2の3で行くよ、出木杉!」 
 僕とドラえもんがタイミングをあわせてドアの中に突入すると、
そこには暴行を加えられ、縄で壁に縛り付けられているのび太と、
彼に暴行を加えている2人の黒服の男がいた。あの黒い服・・・間違いない、信者だ! 

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 いきなり現れた僕たちに信者2人は驚いていた。だが落ち着きをとりもどすと、
2人の内の金髪の男の方が怒鳴り始めた。 
「なんだてめえらは!どうやってここに来た!」 
 ドラえもんが彼らに負けじと怒鳴り返す。 
「そんなことはどうでもいい。のび太君を返せ!」 
「のび太ぁ?ああこの眼鏡の餓鬼ことか。ってことはお前たちはこいつの仲間だな。
ハハ、仲間を救いに来たってことか。返して欲しかったら実力で奪い返してみよ!」 
金髪の男はモンスターボールを取り出してきた。続いて、となりにいた大柄の男も
ボールを構えた。 
「望むところだ。なあ、出木杉。」 
「ああ、行くよドラえもん!」 
 僕たちもモンスターボールを取り出し敵に抵抗する。ここに来て初めての
タッグバトルだ。金髪の男はドガース、大柄の男はベトベター、
ドラえもんはピジョン、僕はラルトスだ。 

 最初に仕掛けたのはドラえもんだった。目にも止まらぬスピードでベトベター目掛けて
ぶつかっていった。よろめくベトベター、今がチャンスだ! 
「ラルトス、ベトベターに念力だ。」 
効果は抜群だ。ベトベターは倒れ、大柄の男は次にワンリキーを出して来た。 
「1体に集中攻撃とは味な真似を・・・ドガース、煙幕だ。」 
金髪の男の命令に応じて、ドガースが煙幕を噴出する。視界が塞がり、
敵の姿が見づらくなる。 
「ピジョン、ドガースに風起こしだ。」 
煙幕の中でもピジョンの攻撃は的確にドガースを捉えた。 
「馬鹿な、この煙幕の中でここまで正確に攻撃が出来るなんて。」 
「ピジョンは特性“鋭い目”のおかげで命中率が下がらないんだよ。
しかもそれだけじゃあない。周りを見てみなよ。」 
 ドラえもんに言われて周囲を見回すと、いつのまにか煙幕が消えていた。
先程の風起こしは攻撃をするだけでなく、煙幕を消す働きもしていたのだ。
なかなか見事だ、ドラえもん・・・侮れない。 

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 ドラえもんが鼻を高くしているその時、突然大柄の男が叫んだ。 
「ワンリキー、空手チョップだ!」 
すると、ワンリキーがピジョンの真下から攻撃を急所に当て、ピジョンは倒れた。
どうやらさっきの隙にピジョンの下へ潜り込んでいたようだ。 
「まだ僕の攻撃が残っているよ。ラルトス、ドガースに念力だ。」 
 これまた急所に当たったようだ。ドガースは倒れ、金髪の男はタマタマを繰り出した。
対するドラえもんはフシギソウだ。 

「フシギソウ、タマタマに宿木の種だ。」 
「こっちも種を植え付けてやれ!」 
フシギソウとタマタマがお互いに宿り木の種を植え付けあう。効果は相殺となって
まったく意味を持たない。僕がその光景をボーッと見ていると、
大柄の男のワンリキーが隙を着いてラルトスに攻撃してきた。
だが、これは僕の仕掛けた罠だ。 
「何、ラルトスが消えただと!攻撃は確かに当たったのに・・・」 
 大柄の男が攻撃したのは僕が密かに作っていた影分身だ。そして本物のラルトスは今、
ワンリキーの背後にいる! 
「今だラルトス、ワンリキーに念力!」 
 不意を付かれたワンリキーは一撃で倒れてしまった。3体ものポケモンを倒した
ラルトスは上機嫌だ。とその時、突然ラルトスの体が光り始めた。
これで見るのは2度目になる、進化だ!ラルトスは少女のような姿をした
キルリアへと姿を変えた。 
「やった!よくやったぞ、キルリア。」 

 その光景を見ていた信者たちは、このまま戦っても負けると悟ったのか、
タマタマを戻し逃げるように去っていった。 
「ああ、待て!」 
 慌てて追いかけるドラえもん、それに続く僕。だが、大人の足には勝てない。
彼らはあっという間に見えなくなってしまった。とりあえず僕たちはのび太の元に戻り、
彼を解放した。泣きながらドラえもんに抱きつくのび太を無視し、
僕はドラえもんに話を持ちかけた。 
「ねえ、ドラえもん。話したいことがある、ちょっとポケモンセンターまで
付いてきてくれないか?」 

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僕はドラえもんに信者のことを包み隠さず話した。ロケット団との関係、
お月見山であった信者の事(のび太は自分が僕を救ったことを誇らしげに語って来た)、
そして先程の2人もその信者だったことを話した。ドラえもんは深く考え込んでいた。その間に、 
「でも、何で僕が誘拐されたんだろう?」 
というのび太の疑問に対して、僕が 
「僕を助けて仲間を刑務所送りにしたから信者たちに恨まれたんじゃないか。」 
と答えると、 
「そんなー!じゃあ出木杉なんか助けるべきじゃなかったな・・・」 
と言っていたのはさすがに冗談だろう・・・そう信じたい。 

 しばらくしてドラえもんが口を開き、全員をこのポケモンセンターに集めると
言い出した。信者のことを伝えるだけでなく、他に連絡したいこともあるそうだ。 
 30分程待つと全員が集まった。皆ハナダシティ内にいたようで、
すぐに揃うことが出来た。 
「おいドラえもん、大した用事じゃなかったらぶん殴るぞ!」 
というジャイアンを制し、ドラえもんは信者のことについて話し始めた。
凶悪な犯罪者のことを知った彼らは少し怯えている。
もっとも、ジャイアンは違うようだが。 

「へへ、信者だろうが何だろうが俺様の敵じゃないぜ!じゃあ俺はもう行くぜ!」 
 長い話に飽きたジャイアンが出発しようとしたのをドラえもんが再び引き止めた。 
「待って、もう1つ重要な話があるんだ。」 
 ここからまた、ドラえもんの長話が始まった・・・ 

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 ドラえもんの2つ目の話は、ヤマブキの東西南北にある4つのゲートを
使わないで欲しい、という話だった。あのゲートを通ると今からタマムシやシオン、
さらにはセキチキのほうにまで行くことができるため、
ゲームバランスが崩壊してしまうそうだ。 
「でも、あのゲートが通れないと不便にならない?」 
 静香がすかさずドラえもんに質問する。この問いには僕も同感だった。
序盤はいいとして、中盤に入ってからあのゲートを利用できなければ移動が面倒だ。
だが、ドラえもんはちゃんと答えを用意してあった。 
「その通りだよ。第一あのゲートを使えないとヤマブキシティに入れないしね。だから、イワヤマトンネルを通過して一度シオンまで来てからはあのゲートを使ってよい事とするよ。じゃあ、僕の話はこれで終わりだ。」 

「よーし、じゃあ早速行くか!」 
と行ってセンターを出ようとするジャイアンを今度は僕が引き止めた。
怒り出すジャイアンをなだめる様な口調で僕は行った。 
「ねえ、折角集まったんだからみんなのポケモンを見せ合わない?」 
 僕がこんな話を持ちかけたのは他のプレイヤーの手持ち状況を知りたかったからだ。
情報は少しでも多い方がいい。だが、スネ夫はともかくジャイアンやのび太までもが
この話に乗ってこなかった。 
「そういうのは秘密の方がおもしれえだろ!」    
とのことだ。結局、手持ちのポケモンを見ることが出来たのは
静香とドラえもんだけだった。 

 そしてその後、僕はハナダジムを訪れていた。今の戦力ならきっと勝てるはず・・・
と自分に言い聞かせながらジムの門をくぐった・・・・・・ 

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     現在の状況 
       ハナダジムへ挑戦 
    手持ち リザードLV20、キルリアLV20 
    所持金 9500円 
    バッジ 1個 

     出木杉メモ 
  名前     手持ち 
  のび太    ナマケロ、キノココ(ハナダシティ[お月見山後]時) 
  ドラえもん  フシギソウ、ピジョン(ハナダシティ[全員召集]時) 
  静香     カメール、ピカチュウ(ハナダシティ[全員召集]時) 
  ジャイアン  バルキー(マサラタウン時) 
  スネ夫    イーブイ、ズバット(3番道路時) 

-補足 この世界ではどこでもドアの効果は一度行った場所ならどこでも行ける、
というものになっています。 

[[次へ>出木杉の未来大冒険 その3]]

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