光接触皮膚炎について

光接触皮膚炎の定義
・ 接触皮膚炎は、ある物質に接触し、それによって生じる皮膚炎(かぶれ)。
・ 光接触皮膚炎はし、皮膚炎が惹起されるのに光を必要とするタイプのかぶれを。
・ この“光かぶれ”では、ある物質が接触した皮膚に太陽などの光が照射され、皮膚炎が生じる。

・ 光接触皮膚炎にも2つのタイプ: 光毒性接触皮膚炎、光アレルギー性接触皮膚炎。
・ 光毒性とは物質に紫外線があたることによって活性酸素が発生し、組織や細胞に障害をもたらすもの。
   したがって特異的免疫反応が起こったわけではなく、感作も必要としない。
・ 一方、光アレルギー性接触皮膚炎は光抗原特異的な免疫反応機序によって起こったものであり、感作を必要とし、
   薬剤量も照射量もごく微量で強度の症状を呈する。
・ 薬剤による光接触皮膚炎は、化学的因子(薬剤)と物理的因子(光線)の共同作用によって生じ、両者の組み合わせによって
   多彩な  皮膚症状を呈する。

発症機序
● 光接触皮膚炎の原因物質
光接触皮膚炎のほとんどは光アレルギー性機序で発症する。光アレルギー性物質がアレルゲ
ン、すなわち抗原性を発揮するためには、紫外線照射による構造の変化とタンパク質との結合が
必要であり、この変化に伴い多かれ少なかれ光毒性反応が起こる。したがって、一般に光アレル
ギー性物質は光毒性も有している。しかし逆に、光毒性物質は光アレルギーを惹起するとは限ら
ない。
● 原因物質の光化学的性質
本症の作用波長は紫外線、それも長波長紫外線(UVA)が主である。すなわち光感作物質にU
VAが照射されると、その化学構造に何らかの変化が起こり、そして個体が感作、または炎症が惹
起されることになる。
● 免疫学的機序
光アレルギー性接触皮膚炎は、免疫学的機序の根幹部分において普通の接触皮膚炎と同じ
であり、T細胞が媒介する過敏症である。
症状
光毒性反応は感作期間を必要としないため、薬剤内服後、初回日光曝露でも皮疹が生じ、サ
ンバーン様紅斑が一般的である。
一方、光アレルギー性反応では感作期間を必要とし、紅斑のみならず発疹・発赤、腫脹、強い
そう痒感、水疱等、種々の皮膚形態をとるが、通常の薬疹とは異なり光にあたらなければ皮膚病
変は起こらない。さらに、症状がはなはだしい場合は自家感作性皮膚炎に移行することがある。
確定診断
光パッチテスト
背部被覆部に被験物質を24~48 時間貼付後、貼付部の判定を行う。判定後、光照射を行うが、
被験物質を2 箇所ずつ貼付した場合にはその一方にのみ照射するか、あるいは被験物質を1 箇
所ずつ貼付した場合にはその半側にのみ光を照射する。照射部陽性でかつ非照射部陰性の場
合に光パッチテスト陽性と判定される。なお、光パッチテストの実施は皮膚科専門医のもとで行う
ことが望ましい。
治療
発疹・発赤、腫脹、そう痒感等の異常が現れたら、まず第一に使用をやめさせること。
薬物療法としては、ステロイド外用薬が基本である。症状に応じて抗ヒスタミン薬、抗アレルギ
ー薬の内服を併用する。水疱形成が顕著であったり、また散布疹がみられ自家感作性皮膚炎に
移行した場合は、ステロイドの内服を行う。
紫外線にあてると症状の増悪や再燃を繰り返すことがあるので、患部を直射日光等にさらさな
いよう注意が必要である。なお、治癒後でも強い光にあたると再燃することがあるため、同様に注
意が必要である。
ケトプロフェン外用剤による光接触皮膚炎の予防のために
ケトプロフェンによる光接触皮膚炎は、光アレルギー反応によるものと考えられる。
① ケトプロフェン外用剤はもとよりフェノフィブラート、チアプロフェン酸内服剤、スプロフェン外用剤
あるいはオキシベンゾン含有の化粧品・日焼け止めクリーム・医薬部外品による過敏症の既往
がある患者には使用しないこと。
② 使用中、使用後は、直射日光などの強い光を避ける等の注意が必要である。
1) 戸外へ出るときは天候にかかわらず、濃い色の長袖やスラックス、サポーター等を着用し患
部を紫外線にあてないこと。なお、白い生地や薄手の服では紫外線が透過するおそれがあ
る。
2) 海水浴や炎天下の作業、ゴルフ、テニスなど屋外スポーツをしないこと。
3) 使用後、少なくとも4 週間(塗布剤の場合は2 週間)は衣服、サポーター等により紫外線に
あてないこと。
③ 発疹や湿疹、皮膚変色などの異常を認めたら、すぐに使用をやめて来院するか皮膚科を受診す
るよう留意させること。

最終更新:2010年10月21日 15:41