インフルエンザワクチンの有効性の国際的な評価基準

インフルエンザワクチンの有効性の国際的な評価基準-EMEA 評価基準(HI 抗体価)

18-60 歳 以下の3 つのうち少なくとも一つを満たすこと
1) 抗体陽転率 「HI 抗体価が接種前に<10 倍かつ接種後40 倍以上」または「HI 抗体価
の変化率が4 倍以上」の割合 >40%
2) 抗体変化率 幾何平均抗体価(GMT)の接種前後の増加倍率 >2.5 倍 、
3)抗体保有率 HI 抗体価40 倍以上の割合 >70%

60 歳以上 以下の3 つのうち少なくとも一つを満たすこと
1) 抗体陽転率 「HI 抗体価が接種前に<10 倍かつ接種後40 倍以上」または「HI 抗体価の
変化率が4 倍以上」の割合 >30%
2) 抗体変化率 幾何平均抗体価(GMT)の接種前後の増加倍率 >2 倍
3) 抗体保有率 HI 抗体価40 倍以上の割合 >60%


※ 血清 HI 抗体 値 と感染(発症)防御の関係をどのように評価するのが 適当か。
・従来、 血清HI抗体価 64 倍(40 倍)以上が感染(発症)防御レベルと 考えられてきたが、
  ワクチン接種後 64 倍(40 倍)の抗体価が得られた場合でもインフルエンザに罹患する症例が
  認められることから、感染(発症)防御レベルとして 128 倍を提唱する意見などがある。

・インフルエンザウイルス 感染の指標あるいはワクチン接種後の 免疫獲得の指標として、
  血清 HI 抗体価 4 倍以上という数値がしぼしぼ用いられるが、これについても批判的な意見がある 
  (岡嶋 透ら;日本医事新報4035号,41-47.2001、堺 春美 ら;臨床とウイルス32巻,2 56-272.2004)

※ 抗体検査法(HI法とCF法)
一般にその年のインフルエンザワクチンに使用される最近の流行株を抗原に用いるHI試験がよく検査されるが、抗原として用いた株からかなり変異したウイルスや全く別の型や亜型に属するウイルスに感染した場合はHI法では抗体価の上昇を検出できない場合があるため、CF法を併用する。
一方、ワクチン接種ではCF 抗体の上昇はみられないのが普通である。
いずれもペア検体で4倍以上の抗体価の上昇があった場合に感染があったと判断する。

※ 赤血球凝集抑制試験(HI試験法:Hemagglutination Inhibition Test)とは
ウイルスは動物の赤血球を凝集する性質を持っている。
血液中に抗体が存在していると、ウイルス抗原が抗体と結合して抗原抗体反応が起こり、
赤血球凝集能が抑制される。
赤血球凝集抑制試験(HI法)は麻疹、風疹、fluなどの抗体価測定に使用。

赤血球凝集抑制試験方法
検体:患者血清(血球吸収処理等の前処理を行う)
前処理済みの検体を希釈し、一定の抗原量のウイルスを加えて反応させ、そこへ赤血球浮遊液を加え、どの希釈倍数まで凝集が抑制されているかを観察。
この時、赤血球凝集が完全に抑制された最終希釈倍数をHI抗体価。
例)×10、×20、×40希釈検体は凝集抑制、×80希釈検体は赤血球凝集→ HI抗体価40倍

HI抗体価が大きい→検体に含まれていた抗体の数が多い
(たくさん薄めても赤血球凝集を抑制できるほどの抗体があるという事)

季節性fluの重症化予防の目安はHI 抗体価が40倍以上。
新型fluのワクチンの効果についても、ワクチン接種後にHI抗体価が40倍以上なっていれば効果ありかも(季節性fluと同じ考え方なら)。

赤血球凝集性質の無いウイルス(単純ヘルペスウイルスや水痘・帯状ヘルペスウイルス、サイトメガロウイルスなどヘルペスウイルス群に属するウイルス)はHI法により抗体価を測定出来ない。

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最終更新:2010年03月15日 13:31