同等性検定・優越性検定・非劣性検定 の前に・・・
・有意性検定は、母平均μと基準値μ0との差δが0かどうかを検定。
・統計的仮説検定では、事前の探索試験などから母平均μを推定し、μ-μ0=δ*と設定し、
検出力を決めて必要例数を計算可能。その場合はδ*が実質科学的に意味のある値になるとは限らず、
対立仮説が意味のある仮説になる保証は ない。
→ δ*が実質科学的に意味のある値でない限り、βエラーが実質科学的な意味を持つとは限らない。
同等性検定(統計学的検定)
・αエラー、βエラー、検出差δ*を事前に決定し、試験の必要例数を確保した上で検定。
H0:μ=μ0
H1:μ=μ0-δ* or μ=μ0+δ*
有意確率p≦αの時
有意水準αで有意 → H0を棄却し、μ≠μ0(非同値)を採用…間違える確率=α
有意確率p>αの時
有意水準αで有意ではない → H1を棄却し、|μ-μ0|<δ*(実質的同等)を採用…間違える確率=β
・反対に有意にならなかった時は、βがα/2(片側検定の場合はα)と同じ値ならば、実質科学的に同等。
・ βの値がα/2より大きい場合は、信頼区間がδ*よりも大きくなり、結果が有意の時と同じ程度の信頼性で、
実質科学的に同等と断言することはできない。
・結論の信頼性を一定以上の水準にするためには、βとα/2(片側検定の場合はα)を同じ値にするのが理想。
・対立仮説H1を帰無仮説H0の否定形にして、実質的な対立仮説を省略し、
帰無仮説の検証部分だけにした検定方式が有意性検定。
・有意検定は母平均と基準値が数学的に同値かどうかを検定→「非同値検定」。
・非同値検定はδ*を設定しない→ αエラーは決められがβエラーは決められず、必要例数の計算ができない。
・結果が有意になった時しか仮説を検証することができず、有意にならない時は結論を保留し、再試験。
優越性検定または非優越性検定
H0:μ=μ0+δ* (δ*≠0)
有意確率 p≦α の時
有意水準αで有意 →H0を棄却し、μ<μ0+δ*(実質的非優越) または μ0+δ*<μ(実質的優越)を採用
有意確率 p>α の時
有意水準αで有意ではない →H0を保留…結論保留、再試験必要
・この検定方式は、同等性検定の対立仮説H1を帰無仮説H0にし、βエラーをαエラーにした有意性検定に相当。
・両側検定では、μ>μ0+δ*で実質科学的に優れているor μ<μ0+δ*では実質科学的に非優越を検定。
・優越性または非優越性だけを検証する片側検定を行うことも可能。
:両側検定との整合性を保つために有意水準はα/2 →実質科学的な優越性・非優越性を検証可能。
劣性検定または非劣性検定
有意確率p≦αの時
有意水準αで有意 → H0を棄却し、μ<μ0-δ*(実質的劣性) または μ0-δ*<μ(実質的非劣性)を採用
有意確率p>αの時
有意水準αで有意ではない →H0を保留…結論保留、再試験必要
・この検定方式は、優越性検定または非優越性検定の反対。
・同等性検定のもうひとつの対立仮説H1を帰無仮説H0にした有意性検定
・両側検定では、μ<μ0-δ*で実質科学的に劣性or μ>μ0-δ*で実質科学的に非劣性を検定。
・劣性または非劣性だけを検証する片側検定を行うことも可能で、
:両側検定との整合性を保つために有意水準をα/2 → 実質科学的な劣性・非劣性を検証可能。
(参考)
「臨床試験における対照群の選択とそれに関連する諸問題」について(ICH E10)
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