言葉のダシのとりかた

文章を書く機会が増え、言葉の持つ意味をニュアンスで使わない努力をするようになりました。
ちょうどそんな Tanto の心に染み入る詩。


言葉のダシのとりかた   by 長田 弘


かつおぶしじゃない。
まず言葉をえらぶ。
太くてよく乾いた言葉をえらぶ。 
はじめに言葉の表面の
カビをたわしでさっぱりと落とす。
血合いの黒い部分から、
言葉を正しく削ってゆく。
言葉が透きとおってくるまで削る。
つぎに意味をえらぶ。
厚みのある意味をえらぶ。
鍋に水を入れて強火にかけて、
意味をゆっくりと沈める。
意味を浮きあがらせないようにして
沸騰寸前サッと掬いとる。
それから削った言葉を入れる。
言葉が鍋のなかで踊りだし、 
言葉のアクがぶくぶく浮いてきたら
掬ってすくって捨てる。
鍋が言葉もろともワッと沸きあがってきたら
火を止めて、あとは
黙って言葉を漉しとるのだ。
言葉の澄んだ奥行きだけがのこるだろう。
それが言葉の一番ダシだ。
言葉の本当の味だ。
だが、まちがえてはいけない。
他人の言葉はダシにはつかえない。
いつでも自分の言葉をつかわねばならない。

感動 ~♡

ヾ(*'-'*)

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最終更新:2009年10月31日 00:41