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鋼の雫-Advanced

?.?.??:??分
-???-

薬品の匂いが充満する真っ白い部屋。
陳列された大量の研究機材。

部屋の中央に並べられた、4つの実験台。

-その4つの実験台の上に眠る2つの影。
-男と少女。

そして眠る2つの影を静かに見守る、少女。

「ん……むぅ………」

-男の方が寝返りを打つ……。どうやら蘇生には成功した様だ。
-流石軍が作り出した最新の医療機器…。
-特に、このナノレベルで細胞を修復する治療カプセルの効果には驚かされるばかりだ。

あたしは、寝返りを打った男の方へゆっくり歩きだす。
少女の方は大丈夫だ…キャストだったからすぐに修理は出来た。

問題はこのニューマンだ。
蘇生を一応はしたが、体に後遺症が残ってなければ良いが……。

-あたしは今まで、こんな激情は抱いた事が無い。
-起こされて、誰かを殺して、また眠って……、そんな事が永遠に続くと思っていた。
-今日だってそうだ。

-だけど……、この馬鹿ニュマ男を見た途端…、何故か”生きたい”って思った。
-なんでだろう…解らない…。

-。

「ウァァァァッァァァァァアアアアッ!!!!」

あたしが一人で頭を抱えて悩んでいると、男が不気味な雄たけびを上げて目を覚ました。

-雰囲気ぶち壊しだ…。

A.M.06:25分
-軍研究施設・B3F/メディカルルーム-

白い部屋。消毒液のような、特有な香りを持つ薬品の匂い。
白い-…?と言う事は…此処は…天国か……?

-天国?

「ウァァァァッァァァァァアアアアッ!!!!」

ハァッ-、ハァッ-。
俺は高ぶった呼吸を懸命に沈め、辺りを見渡した。
「俺は-……死んだんじゃ……なかったの…か…?」

腹を刺され、血を吐いて……体が冷たくなっていって…。
あれは……確かに逃れ様の無い……死の感覚………。

腹を、自分の右手で触ってみる。
「-…傷が…無くなっている……?」
-一体…何が…起きたんだ……?


「-いつまで一人でシリアスな展開続けてるのよ、ボケ!」


スコーーーーン!
乾いた音が部屋に響く-。
俺の後頭部が、何か硬い物でぶっ叩かれた。

「痛っ!!!何だ!?何だ!?何が起きた!?」
突然の出来事に俺は取り乱す。

「醜い、黙れ」
「何だ貴様は!?」
-俺の目の前に居た少女…それは…。
-俺達を殺した、GH451だった。

「お、お前ッ!?何で此処に-ッ!?」
「とりあえず落ち着け、馬鹿ニュマ男」
「馬鹿!?貴様!俺を馬鹿と言ったな!?」
「あー、うざったィなぁ。落ち着けって言ってんだろ!?」

スパーン!
再び響きの良い音が俺の頭元で鳴った。
-こ、この野郎…俺の頭をハリセンなんかで叩きやがって…!!
と言うか何処からその巨大なハリセンを取り出した!

殺してや…-!


-間



「……で、どうして敵である俺達をお前が助ける」
落ち着きを取り戻した俺は、椅子に座り451に質問した。
先刻までとは違い、GH451からは冷たい殺気が一切感じられない。
人を舐めるような雰囲気をした笑顔もしていない。

-とても、悲しそうな顔をしている。

「だから、何度も言ってるじゃん。あたしはマッドサイエンティスト達に付き合うのが飽きたの。
だから、此処を出て行きたいの。聞こえなかったの?」

「聞こえた。だが、信用出来ん」
「何でよ!」
「何でよ、だと?数時間前までは俺とお前は敵同士だったんだぞ?
その敵が突然”仲間になってあげる”だと?都合が良いにも程が在る」
「そ、そりゃー…そうだけどさ…」
「第一、ワンオブサウザンドであるお前なら俺達の力を借りずとも、こんな所一人で脱出出来るだろう?」
「…………そうだけどさ」
「俺達を蘇生した理由もわからん。何故、軍を裏切ってまで俺達に味方をした」
「…………だから言ってるじゃん」
プイ、とふてくされそっぽを向くGH451。
「-…まさか本当に、”ここから脱出する為”なのか?」
-しばらくの沈黙。


「………………此処から出たいのは本当」


「”出たいのは”、だと?ならば他に何か目的でもあるのか?」
「…べ、別にあんたには関係ないじゃん」
「関係無いわけ無いだろう。本当にお前が俺達に付いて来るのだとしたら、お前が敵か味方か区別しなければいけない」
「だ・か・ら!あたしはあんた達に敵対する気は一切無いってば!」
「解らんぞ?”俺達の住処を知る為にワザと味方になっているのかもしれない”と取る事も出来るんだからな。
そうすれば手間をかけて俺達を蘇生した事にも説明が付く」
「……あんた、まだあたしに殺された事根に持ってるわけ?」
「当たり前だ」
「……、あれはどうしようもないじゃない。
あの時あたしがあんた達を攻撃してなければ、殺されていたのはあたしかもしれないんだから」
「……、まぁ、そう言う事になるだろうな」
「でもさ!もう過ぎた事なんだし良いじゃない!あんた達は結局、あっちの世界に逝かなくて済んだんだし!」
必死になって弁解する451。心なしか彼女の瞳には涙が滲んでいる気がしなくも無い。
「世の中は足し算や引き算で済む程、簡単な構造では無い-だがまぁ、この建物から出るまでならお前を手伝ってやる」
「……………」
「何故沈黙する」
「-どう言う風の吹き回し?」
「ふん-、一番効率の良い方法を考えた結果そうなっただけだ」
「効率…か、まぁいいや。それでも………。はい」
451は俺に向かって手を差し出してきた。

「何の真似だ、それは」
「なによーぅ。和解のための握手じゃない。見て解らないの?」
「…………ふん…非常に不本意だが致し方が無い」
俺は451の手を握る。-そしてシェイクハンド。

ビーッ!ビーッ!
-突如、メディカルルームのアラームが唸りを上げた。
白一式だったこの部屋がアラームの出現により赤に染め上げられる。

「-ッ!な、何だ!?何が起きた!?」
即座に451に俺は聞き返す。
「……どうやらレーダーが治っちゃったみたいね。見つからない様に細工をして置いたんだけど…。
まぁ、あんた達を治せる時間が稼げただけ良しとしますか…」
「なっ-!?」

451はナノトランザーからミジンミサキを取り出す-。
彼女の目が…変わった。あれは獲物を狙う虎の目だ-。
「ノロノロしてる暇は無いよ-。後数分もすれば此処は警備兵達でごった返す。
流石のあたしも、怪我人2人を抱えて戦うほど馬鹿じゃぁ、ない。-目的地は?」

-クソッ…俺は今、自分の居る場所も理解できていない…。
-今は……この451を信じるしかない…。

「……死神の幽閉されている部屋だ」
「……死神?…死神ハンクの事?」
「………そうだ」
「解った。ドアから出たら一気に行くわよ!-見失わないようにしなさい!」
「む…むぅ、非常に不本意だが仕方ない………」

俺は未だに目を覚まさないステラを背中に背負うと、451の後を追いかけた。


A.M.07:00分
-軍研究施設・B3F/兵器格納庫前-

-全く…生きた心地がしない。メディカルルームから出たら、やはり俺達は大量のキャストに追われた。
しかも俺達が先刻まで相手にしていた警備兵では無く、服装や装備から察するにそれらより一ランクも二ランクも上の
俗に言う”特殊部隊”とやらだろう。警備兵とは動きが違う。

-こんな奴らを仕掛けてくるとは…-どうやら451が裏切ったと言うのも満更、嘘では無い様な気がしてきた。
-451が開いた血路を俺達は走る…。ステラは既に目が覚めては居るものの、彼女に加勢は出来ない。
-どうやら彼女のナノトランサーは先刻の戦闘で破壊されてしまったらしい。

-そんなこんなで数十分、俺達はひたすらハンクの眠る部屋へ向けて走り続けた。

-バタンッ!
「あへ………っ」
兵器格納庫前に付いた途端、俺は急に力を失いその場に倒れた。
「ちょ…ちょっと!馬鹿ニュマ男!何だらしの無い声だしてぶっ倒れてるのよ!?」
「ア、アギトさん……大丈夫ですか……?」

-実を言うと、俺はメディカルルームで目が覚めたときから貧血でぶっ倒れそうだったのだ。
-どうやらこのマヌケ451、俺達の傷は治したものの輸血をしていなかったらしい。
-血が足りていないのに俺は無茶をして走ったから、どうやら限界が来たのだろう。

「…頭がクラクラする……血が足りん……」
「血が足りないってアンタね…!それぐらい根性で何とかしなさいよ!目的地は目の前なのよ!」

-バチーン。
俺の頬を451が叩く。……痛い。……理不尽だ。
「どうした!根性見せなさいよ!」
「ちょ、ちょっと…451さん……」

-バチーン。
往復ビンタ。……痛い。
「これでどうだー!」
「な、なんか嬉しそうですね…451さん」

-見るからに慢心創意・疲労困憊な俺に往復ビンタをかますなんて…顔は天使でも性格は悪魔だな…。

「-ったく……死人に鞭を打つような事をするな……よ」
俺はナノトランサーに手を突っ込み、ウォーターボトルを取り出し、胃に流し込む。
カラカラだった喉を一瞬にして潤してくれた。
「…ふぅ、少しは元気が出たな」
「ちょっと……この馬鹿ニュマ男!何呑気に水なんか飲んでるのよ!」
「五月蝿い間抜け451。俺は脳味噌筋肉のお前と違ってデリケートなんだ」
「の-脳味噌筋肉!?……もう一回殺してやろうかしら………劣等種め…」
ブツブツと何か独り言を呟きながら兵器格納庫のコンパネをいじる451。
「ふん-、続きはここから無事に出られてからだ」
俺は自分の体に鞭を打ち、立ち上がる。

-バシュンッ……目の前の扉が音を立てて開いた。
「中からロックを掛けてしまえばまた少しの間は時間を稼げる!急いで!」
451が叫ぶ。
「応!」
「はいっ!」
すかさず扉の中へ滑り込む-。見るからに重圧な扉は、鈍い音を立てて再び通路を遮断した。


A.M.07:12分
-軍研究施設・B3F/兵器格納庫-

「-これは……凄いな………」
兵器格納庫の中に踏み入れた俺は素直にそう思った。

ずらりと並ぶ兵器の数々。
GRM社の最新兵器が所狭しと並んでいる。
-ファントムにパイソンにヤスミノコフに…。恐ろしい量だなこれは。

「確かに……凄いですねぇ。……とっても美味しそ…」
「喰うなよ」

ステラが目を輝かせながら陳列された兵器を見渡す。
次に彼女が口に出しそうな事は大体予想出来ていたので俺は予め釘を刺しておく。
ションボリする彼女を俺は放置し、451に尋ねる。

「-で、ハンクは何処に?」
「こっち。愚図愚図しないで。一秒でも時間が惜しいんでしょ」
「うむ………」

薄暗い通路を静かに歩く。
不思議な事にこの部屋のアラームが何故か作動していない。故障でもしてるのか?
-そんなに都合が良いわけ無いな。

「-しかし」
歩きながらふと、思いついた事を俺は口にする。
「何?」
「落ち着いて考えればこの状況は結構危険だ。例えて言うなら俺達は袋の鼠、って所だ」
「何で?」
「何でって…お前…、この部屋は見た所…外に通じる出入り口は一箇所しか無いんだが」
「あぁ、そう言う事ね…大丈夫よ」
「大丈夫?随分と余裕だな」
451はニヤリ、と笑うと口を開いた。

「だって、奥の部屋にエレベーターあるもん」

「……は?」
「あんた達、地下に来る時は階段使った?」
「あぁ……。だがB3Fへのボタンは起動しなかった」
「そりゃそうよ。あのエレベーターは一方通行だから」
「……一方通行?」
「そ、上から下に下がる時はB2Fまでしか行けないけど、下から上に行く時には何処の階にでも行けるの」
「面倒なエレベーターだな」
「あたしに言わないで、設計者に言ってよ-。と、着いたよ」
「…ここか」

分厚いハンドルタイプのドア-……。タグには「X-room」と記されていた。
「此処に……ご主人様が……」
ステラが、嬉しいような悲しいような、そんな複雑な感情が混ざったような顔をする。

「…本当に、此処なんだろうな」
俺は再度、451に尋ねる。

「嘘ついたって仕方ないでしょ。いい加減あたしを信じなさいよ」
「…………」
俺は少し考えた末-……。

「だ、そうだ、開けるぞ?ステラ」
「は、はい……」

俺はハンドルに手を掛け、Openと書かれた方向へハンドルを回す-。-キュッ、キュッ、キュッ………ガコンッ…!
重圧な扉が開くと、目の前には2つのコールドカプセルが設置されていた-。
俺達は恐る恐る中へゆっくり移動する-ひんやりとした感覚、壁いっぱいに敷き詰められた用途不明のパイプ…。

フタが閉じているカプセルのタグにはハンクの名が-。
フタガ開いているカプセルのタグには………-GH451のコードネームが示されていた。

-………。

「-どう?あたしが此処から出たいって言ってる理由が少しは理解、できた?」
悲しみを含んだ、451の一言…。顔はいつも通りのあの、人を舐め腐ったような薄ら笑いだが-目が笑っていない。
「451さん………………」
同じPM同士だから意思が疎通したのだろうか-…ステラは451を同情するような瞳で見据えた。

「-……何となくな」
軍は-…死神であるハンク、ワンオブサウザンドであるGH451、この2人を人として見ていない。
2人のコールドカプセルが兵器庫の中の一室ににあるのが何よりの証拠だ。-つまりはそう言う事だろう。

だが…感傷に浸っている暇は無い-今は一刻を争う。心が痛むが-許してくれ。

「すまないが、今は感傷に浸っている場合じゃない。早い所ハンクを助け出して此処から脱出しよう」
「………わかってるわよ」

451が備え付けられたコンソールをいじり始める-…。俺達はすぐにこのカプセルを開く事は出来ない。
ハイバネーション中のハンクを解凍しなければ、カプセルのふたを開けた途端に、ハンクが死んでしまう。
ピッ、ピッ…。幾つかのアラーム音が聞こえると、カプセルはハイバネーションの解凍を始めた。
「解凍に少し時間が掛かるわ…-。んで、ちょっとその間に、あんたに聞きたい事があるんだけど」
451はステラを指差す。
「……私に……ですか?」
「そ」
「な、何でしょう?」
「死神との関係。どんな関係なの?」
「わ、私とご主人様は……唯の主従関係ですが……」
「またまた…。見え透いた嘘ついちゃって…。
唯の主従関係だったら、わざわざこんな苦労をして主人を助けるわけないじゃないの。
本当はもっと大事な理由があるんでしょ?」
「ほ、本当です!私はただご主人様を助けたくて………あ、でも…ご主人様と、Aなら一応……」
「エィ?エィって何よ?」

-ステラ…お前はいつ作られたんだ。今時、キスした事をAと言うPMなんか居ないぞ…。
-プログラムの古さは、ワンオブサウザンド並だな…。
俺は自分のコンパネをいじりながら、心の中で静かにステラに突っ込みを入れた。
運が良い事に俺のナノトランサーは壊れていない。保険を掛けて置くために俺は試行錯誤をしつつコンパネをいじった。

「な、なんでもないです!とにかく、私とご主人様に邪な関係は一切ありませんっ!」
顔を真っ赤にしながら怒鳴るステラ。-ばればれだ。
「あ、そ………」
それを聞いた451は詰まらなそうな顔をして答えた。
ステラは未だに息を荒くしてフーフー唸っている。
まだ解凍は終わらないらしい。

「ねぇ、本当はあの410、死神とコレなんでしょ?」
いつ俺の近くに来たのかは解らないが、451が小指を立てながら俺に囁いた。
「100%中99.9999%それだな」
俺は適当な返事で451の質問に答える。-今は忙しいのだ。
「…可哀相にね」
-何だって?」
「………可哀相?」

「もう!アギトさんも、451さんも、いい加減にしてください、怒りますよ!!!!」

-既に怒っていると思うんだが。
-と言うか既にバレているのに恥ずかしがる必要は無いだろう…常識的に考えて。

「おぉっと、怖い怖い…」
軽くステラの憤慨を受け流すと、451は再びコンパネをいじる作業に戻った。

A.M.07:52分
-軍研究施設・B3F/X-room-

「…………あ」
-あ?あって何だ、あって。

「……何だ、終わったのか?」
俺はコンパネをナノトランサーに仕舞い、451の方へ歩み寄った。
「死神の解凍作業は終わったんだけど……」
「何か問題でも?」
「んー……興奮剤が切れてるみたい」
「………興奮剤?」
「そ。死神の解凍は終わったけど、本人の目はまだ覚めていない-…。
強制的に目を覚ますために本来なら興奮剤を打ち込むんだけど…。あたしので最後だったみたい」
「興奮剤を打たないと何が起こる」
「目を覚まさないだけ-。あ、永遠に起きないんじゃなくて、目を覚ますのに時間が必要になる、って事ね」
「どのぐらいだ」
「んー……、適当に見積もって半日ぐらいかなぁ」
「……そうか。なら、問題ない。…カプセルを開いてくれ」
「はい、はい。っと」

ピッ-。Openのスイッチを開くと-空気が漏れる音がしながらカプセルが開く。そしてその中には-。
死神が瞳を閉じ、静かに眠っていた。

-よう…、2ヵ月振りだな…親友…いや、今となっちゃ悪友か?。
心のなかで俺はハンクに話しかける。

「-!、ご主人様!!!!」
ステラがいの一番に、ハンクの元に駆け寄った。
ロミオとジュリエット、感動の再会だ-。
俺と451はそれを遠くからそれを眺めていた。

「………いい…なぁ…」

451がぼそっ、と呟く。
「ん?何か言ったか?」
俺がそう聞き返すと顔を逸らして「な、何でもないわよ馬鹿ニュマ男!」と言って俺から離れて行ってしまった。
「ステラ-。感動の再開はそれぐらいだ-。そろそろ、行かないと」
「………はいッ!」
ステラの声に、今までとは違った気迫を感じた。
-さて、ここからが峠だな…。

「ふんっ-…!」
俺はそう言うと眠っているハンクを背に抱える-。男を抱える趣味は無いが今はそんな事を言っている場合じゃない。
「うぉっ……!お、重…い!」
外見とは裏腹に-ハンクは非常に重かった。よくよく考えて見れば外見は人間だが中身は機械なんだ…重くて当たり前だ…。
まるで鉛を着けているみたいだ……全く……。
「だ、大丈夫ですか…?アギトさん…?」
「あ、あぁ、なんとかな……」
-嘘。腰が砕けそう。何て事は死んでも口に出せない。
「451は……何処に行った……?」
「あ、あれ…そう言えば…………」
部屋を見回す-。

「こっちだよ、こっち」
背後から声が聞こえた。

「そんな所で何をしている、早く脱出するぞ」
「ばーか。あんた、90kg以上ある死神を背負って逃げるつもり?」
「…………」
-そう言えば…そうだ…。
「逃げたいならどうぞ?さっき言ったエレベーターは扉を出て左折すればすぐよ」
「…遠慮しておく」
「これだからニュマ男は……全く…」
やれやれ、と言った顔をしながら説明を続ける451。

「それ…もしかして、テレポートゲイトですか?」
ポン、と手を叩き後ろからステラが頭に電球を光らせながら答えた。

「そ。ヘリポート直行だけどね」
「えっ…ヘ、ヘリポート?」
「ヘリポートだと?」
「死神はここでメンテナンスが終わると、武器を手にしてヘリで現場に行ってたからねー。こればっかりはしょうがないわよ」
「な、なるほど………」
「ふむ…」

-ヴォンッ。低い稼動音を鳴らしテレポートゲイトが起動する。

「しかし解せないな-」
「?」
ステラと451が同時にこちらを振り向く。
「どう言う事よ?」
「-何故、30分以上も経っているのに警備兵が踏み込んでこない?」

「そう言えばそうね」
「そ、そう言えばそうですね……」

「これは俺の直感なんだが-…屋上には行かない方が良い様な気がする」
「……アギトさん、それはどう言う意味でしょう?」
「……あくまで予想だが、大抵こう言う状況で-」-ドンッ。

-ヴォンッ。
-アギトさんととハンクがテレポートゲイトの中に入ってしまった。
-否、入ったと言うよりは、入れられたと言った方が正しいだろう。

「あ、あの……よんごう…いち…さん?…何してんですか?」
私は、451さんの行動に呆気を取られ目を真ん丸くして、解り切っている事を質問した。
「ったく!あの馬鹿ニュマ男は!一々心配性なのよ!見ててイライラするっ!」
-そう、451さんはアギトさんの行動にブチ切れてアギトさんをテレポートゲイトの中に蹴り飛ばしたのだ。
「ほらっ!あんたも早く入るッ!」
「は、はいっ!」
451さん…目が怖いよ……。
私は451さんの気迫に負け、テレポートゲイトの中に飛び込んだ。





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