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鋼の雫-07


俺の部屋には動かない人形がある。
俺が好きで買ったわけじゃない。
俺に人形を集める趣味は無い。

-沈黙が俺の部屋に充満する。
-時計の針だけが、チッ、チッ、チッ、と鳴っていた。
-向き合う2人の男。

「正直、お前には失望した」

アギト。俺が唯一、この世で信頼する事の出来る、友。
だが、俺はその唯一信頼する事の出来る友にも裏切られた。

「…………」
「殺す必要性は何処にも無かった筈だ」
「………アギト」
「なんだ」

「……何故、ステラに俺の過去を教えた」

-再び沈黙

「-、彼女には教えておくべきだと判断したからだ」
「………、お前から教えたのか。ステラから聞いてきたのか」
「-、聞いてきたのは彼女からだ」

「…………ククッ」
-、不気味な笑い声。

「………?」
「はは……ははははははははは……ははははは!!」
「おい……ハンク?」

「はははははははは!!!!所詮、ステラも唯のキャストだったってワケか!」

「…どう言う意味だ」

「マーシナリーだろうが何だろうが、所詮キャストはキャストでしかねぇって事さ!
人のメールを勝手に読むだけでは飽き足らず、勝手に人の親友に接触し、更には
主人のプライバシーを平気で侵害する。……コレがどういう意味だか解るか?」

「………」

「どうせ解ってるんだろ?あいつは自分の欲を満たすためなら誰がが傷つこうが
何だろうが、関係無いって事さ!まさにキャストじゃねぇか!ハハハハッハハハッ!」

「てめぇ……」

-俺は我慢できず、ハンクに掴み掛かった。

「あ?何でテメェが切れるんだよアギト?」
「……ってんじゃねぇぞ…てめぇ」
「聞こえねーよ。しっかり喋れボケ」

「腐ってんじゃねぇぞテメェ!!!」

ガスッ-、鈍い音が部屋の中に響くと、ハンクの体が空を舞い、ぶっ飛んだ。
ぶっ飛びぶっ倒れたハンクの上に俺は圧し掛かり、胸倉を掴む。

「何が所詮キャストはキャストだ…!?テメェ、とうとう堕ちる所まで堕ちたか!?
彼女が本気でどれだけお前の事を心配していたのか知ってんのか!?あぁ!?」

「っせぇな-……元はと言えば全部テメェが原因だろうが…軽々しく俺に
触るんじゃ……ネェよ!」

グボッ-、ハンクの左ジャブがアギトの頬にめり込む。
だが、アギトは吹っ飛ばなかった。吹っ飛ぶどころか俺を掴む力が更に強くなる。

「-、そうだ、俺が全て原因だ。お前との約束を破って、ステラちゃんにお前の
過去を教えたからな。-俺はお前に幸せになって欲しかった。心の底から。親友として。
だけど俺じゃお前の力には成れない-だから彼女に、俺の全てを託したんだ」

「くだらねェ。俺を幸せにするどころか、お前が俺を不幸にしてんじゃねぇか。
笑わせるんじゃねぇよボケ」

「-、ボケはテメェだよ…!何故だ!何故、殺した!」

「ダりぃな……何でテメェそんなに必死なんだ?別にお前のマーシナリーじゃねぇだろ?
あれは俺のマーシナリーだ。どんな風に扱おうが俺の勝手じゃねぇか」

「話の路線を変えるじゃねぇ!!!何故殺した!答えろ!」
「へっ!簡単な理由じゃねぇか。ステラが”唯の”キャストに成り下がったからだよ」
「さっきからキャストキャストって……強がってるんじゃねぇぞ!!!」

ゴスッ-、俺は再びハンクの顔を殴る。

「なら何故ワザワザ彼女の亡骸をここまで持ってきた!?テメェが本当に彼女を
嫌ったとしたのなら、こんな所にまで持ってくる必要ねぇ筈だ!」
「ウゼェなぁ……、俺の物なんだから俺がどうしようが俺の勝手だろうが。
-ってーか…いい加減、降りろ」

「-なっ……ッ!?」

ボグゥッ!-俺の放った右アッパーはアギトの顎へ命中する。
流石にこの痛みには耐えられなかったのか、俺を掴んでいた両手の力が抜けた。
俺はすかさずアギトの圧し掛かりから逃げ出す。

「-ったく…ニューマンなんかに俺の事が止められるわけねぇだろ」
体についた埃を俺は手で叩き落とすと、服装を正した。

「-…強がっ…てんじゃ…ねぇ…よ…。ハンク………」
「あ…?強がってるだ?」

アギトの足取りはおぼつかなかった。そりゃそうだ。
俺の利き手のアッパーが奴の顎を直撃したんだ。-普通の人間なら意識を失うはずだ。

「てめぇは…今でも…本当は後悔して…いるんだろ?
…怒りに身を任せて…ステラちゃんを…殺した事を…よ」

「-、何だって?」

「聞こえ…なかったのか…?何べんでも…言ってやるよ……。お前は…心の中では…
本当は後悔…してんだ…よ!……ステラちゃんを…殺した事を…な!」

「黙れ-」

「黙らねぇ…よ…。てめぇが間違いを…認めるまでは…な」

「黙れ…黙れ…黙れ…!」
俺はアギトに掴みかかった。

「黙れ、黙れ、黙れ!俺は後悔なんてしていない!」

「強がってんじゃ…ねーよ…」
「強がってねぇ!俺は後悔なんてしてねぇ!」
アギトを掴む力が強くなる。-このままでは俺はこいつを殺してしまいかねない。
「じゃあ…一つ質問してやろうか…」
「あ!?この期に及んで何を言ってやがる!?トチ狂ったか!?」


「…なんでお前、さっきから泣いているんだよ。涙、ながしてるんだよ…?」


-なんだよ…ウっゼェなぁ…。


「…素直に…なれよ」

-…チッ…付き合ってられねぇぜ。
俺は舌打ちすると、アギトから手を離し部屋を出ようとした。


「おい…待てよ……」
「あ?まだ何か用かよ?」

「……今ならまだ…ステラちゃんを蘇らせる事が出来るかもしれない。
見た所、彼女のメインフレームは壊れてはいない」


「…………」
「いい加減、素直に成れよ…本当はお前も彼女を治したいんだろ?」
「…………必要無い。解ったらとっとと部屋から出て行け。
お前の顔なんて二度と見たくねぇ」

「……てめぇ-どうしてそこまで-」

俺は、アギトの返事も待たず部屋から出て行った。






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