241 名前:440と変な美ス男の事件簿2[sage] 投稿日:2011/08/06(土) 03:11:49.47 ID:RqXShGm7
所は変わって変な美男の部屋。
ヴィジホン>イヤアアアァッ! タスケテ、ゴシュジンサマ、ゴシュジンサマ、ゴシュジンサマァァァァッ!
真剣な表情でヴィジホンのリモコン片手に、ヴィジホンの画面を
凝視する美ス男。 その光景を見て納得のいかない表情のGH440。
確かにご主人様も男性ですから、こういった物に興味がある事自体は
おかしくはないですが、この内容はご主人様の趣向からして、どう考えても
極めてらしくない選択です。 どちらにしろ、後で処分しますけどね。
ヴィジホン>イクラヨンデモ、コネェンダヨ! ナンセ、イマゴロ…
「マスター。お茶、置いておきますね」
「ありがとう、嬉しいわん♪」
画面を凝視してヴィジホンのリモコンを右手に持ったまま、左手でカップを
口元に運び、一口飲んでカップソーサーの上に戻す。
内容に興味の無いGH440が洗濯でもしようと、立ち上がりかけた時に
一旦画面が室内を見回すようになった瞬間だった。
242 名前:440と変な美ス男の事件簿3[sage] 投稿日:2011/08/06(土) 03:14:32.38 ID:RqXShGm7
「ここよぉっ!」 カチッ!
突然の気合の入ったご主人様の声で、両手を椅子にかけて立ち上がろうと
していたGH440が止まる。 見てみると画像の静止しているヴィジホンと
リモコンを突きつけるように手を伸ばしているご主人様。
リモコンを操作して映像を巻き戻し、コマ送りのスロー再生で再度確認して
静止、ヴィジホンの画面をSSに撮る。
「マスター、先程からの一連の行動の理由を説明して下さい。 それこそ
一言で済むようなありがちな答えでしたら不要ですが」
「この前連続PM暴行事件があったわよねぇ? 一時期収まってたけどぉ、
また起き出したのよぉ・・・」
ご主人様がリモコンをテーブルの上に置いて左手でカップソーサーを
持ち上げ、右手でカップを口元に運んでお茶を飲む。 溜息一つ。
カップとカップソーサーをテーブルに戻してテーブルの上に手を組んで
俯いて目を伏せる。 こんなご主人様の様子は初めてです。
「また起き出して、襲われたPM達の中にアタシのお友達のPMも
いたのよん・・・。 どうもPMデバイスEROか、それに類する物を
使われたみたいで途中の記憶は無かったんだけどぉ、自分の有様見れば
一目瞭然よねぇ。
その子はAIPTD(人工知性心的外傷症候群)で今、GRM社で
治療中なのよぉ・・・」
「という事は、先程から見ていたそのDVDがその時に撮られた物だと?」
243 名前:440と変な美ス男の事件簿4[sage] 投稿日:2011/08/06(土) 03:16:17.33 ID:RqXShGm7
[16/26]
美ス男がテーブルの上に置かれた「寝取られシリーズ俺色に染めた!」の
パッテージボックスを掴んで持ち上げてGH440に見せる。
「妙にリアルな出来って噂のシリーズの中にお友達のPMと同じ型番のが
あったから目を通してみたのよん。 そうしたら、ビンゴだったのよぉ」
「認識コードの見えるキャストならともかく、どうやってPMの特定を
したのですか?」
「この画像よぉ。 ほら、ここにラッピーヌイミが4個映ってるじゃなあい?
これ、お友達の部屋がこうなのよん」
ヴィジホンの画像を見てみるとベッド脇から窓の下、ヴイジホンの所までと
繋がっている棚の上に時計回りに1回転するように各々向きの違う4個の
ラッピーヌイミが置いてありました。
「お友達のPMがラッピー好きだったのよぉ・・・」
画像を停止させてヴィジホンを切り、DVDディスクを取り出してから
パッケージボックスに仕舞う。
「でも、よくこのDVDが犯行時に撮られた物と判断出来ましたね?」
「それはぁ、最初に貴方方とかぁ、貴方達ってPMが言ってるのよぉ。
撮影ならシュチエーションを考えれば複数形で呼ばないわぁ。
襲った男の他に何人かしら撮影者がいたとしてもぉ、撮影なら違和感
起きるから取り直すわぁ」
美ス男がDVDパッケージボックスをナノトランサーに入れてパートナー
カードを確認して何通かメールを送る。
244 名前:440と変な美ス男の事件簿5[sage] 投稿日:2011/08/06(土) 03:20:59.82 ID:RqXShGm7
「犯人が解ればこっちから仕掛けられるわぁ」
「待ち伏せですか? でもどうやって襲われるPMを特定するのですか?」
「お友達に聞いたんだけどぉ、襲われた時に指名でミッションが入ったって
言ってたのよぉ。
指名でのミッションが入った際に依頼者がこのDVDの男なら、指名した
ガーディアンズが次に狙われるって事よぉ」
ピロン♪ メールの着信音が鳴り、内容を確認するご主人様。
「じゃ、ちょっと出かけてくるわぁ。 お友達の所にガーディアンズ本部。
んー。 そうねぇ、念の為に保険かけておいた方がいいわねぇ」
245 名前:440と変な美ス男の事件簿6[sage] 投稿日:2011/08/06(土) 03:24:00.43 ID:RqXShGm7
数日後とあるガーディアンズのマイルームにて
プシュッ 玄関のドアが開いた。
「おかえりなさいませー、ごしゅじんさまー」
店番をしていたGH410が声をかけるが、入ってきたのは見た事の無い
非ュマ男とカメラを持った危ャス男。
「ご主人様じゃなくて、悪かったなぁ? 安心しな、ご主人様の事なんか、
忘れさせてやるぜぇ? 俺様のクラッド・キャノンでなぁ!」
「きゃー。 ごしゅじんさま、たすけてー」
GH410が店のカウンターの裏に逃げ込み、周り込もうとする非ュマ男と
カメラを持った危ャス男。
「そんなんで済むと思うかぁ! 子猫ちゃん!」
「ごしゅじんさま、ごしゅじんさま、ごしゅじんさまぁー」
奥の自室の方へと逃げ込むGH410の後を追い駆ける非ュマ男とカメラを
持った危ャス男。
「何処まで逃げるんだぁ、GH-4-1-0ぅ?」
「いやー。 こないでー」
ドレッシングルームに逃げ込むGH410。 ドレッシングルームの扉が
閉まり切る前に足を突っ込んで扉が閉まるのを止めるとそのままこじ開けて
中に入っていく非ュマ男。 何故か入れ替えにドレッシングルームから出て
カメラを持った危ャス男に向かうGH410の手に両剣が握られていた。
「てんちゅー」
「シノワッ!?」
ボコられまくって、取敢えず息だけはあるが麻痺って床に転がっている
危ャス男。
246 名前:440と変な美ス男の事件簿7[sage] 投稿日:2011/08/06(土) 03:25:40.24 ID:RqXShGm7
「ははーい!」
「アタックッ」
「クデトウブゥゥッ!?」
ドレッシングールの中で待ち伏せていたGH414とルウにフルボッコに
されて息も絶え絶えでスピー、スピーと寝ている非ュマ男。
「おつかれさまー」
「おつかれさまー」
「お疲れ様でした。 ご協力感謝します」
ドレッシングルームから出てきたGH414とルウと3人で挨拶を交わす
GH410。 今迄は比較対象が無かった為に気が付かなかったのだが、
GH414と並んだGH410が一回り大きい?
暫くしてから、念の為にバスルームで浴槽の中に隠れていたGH410が
ドレッシングルームから出てきた。
「今回はありがとうございました。 もし私一人だったら・・・」
自分の両肩を抱きしめて、自分が襲われていた時の事を想像して震える
GH410。 ルウが本部とこの部屋のご主人様に連絡する。
指名でのミッションには行かずに、念の為に犯人達と顔を合わせない様にと
2階のショッピングモールで待っていたこの部屋のご主人様が戻って来た。
「大丈夫だったか? GH410?」
「はい、ご主人様。 皆さんのお陰で無事です。」
丁度犯人を護送する為に要請したガーディアンズ隊員達も到着する。
努めて感情を押し殺そうとする表情がまざまざと見受けられる。
互いに無言で一礼して部屋の中に入って犯人達を拘束していく。
口を開くと押し止めている感情が溢れ出そうになるのを避ける為に。
「では、私はこれで失礼します」
後から来た二人のガーディアンズ隊員が非ュマ男と危ャス男を連行して
ルウと共に皆に一礼してガーディアンズ本部に戻る。
247 名前:440と変な美ス男の事件簿8[sage] 投稿日:2011/08/06(土) 03:26:55.58 ID:RqXShGm7
[20/26]
「おつかれさまでしたー。 またねー」
「おつかれさまでしたー。 またねー」
GH410とGH414もこの部屋の本来のご主人様とGH410に
挨拶をして部屋を後にする。
「えすてー。 もとにもどすー」
GH410とGH414がエステルームに向かう。
GH410が頭部をロボ顔の瞳の無い青い目とヘッドドレス状のセンサー
パーツのヘッドパーツに換装して、ボディカラーを黒にする。
「きがえるー」
キャスト用パーツショップでアモーレル・アーム、アモーレル・トルソ、
ディジエル・レッグCVに換装する。
GH410の正体はパーツを換装したキャスっ子だった。 今回は現場に
ルウがいたので報告書や記録ログの提出も必要ない。
248 名前:440と変な美ス男の事件簿9[sage] 投稿日:2011/08/06(土) 03:29:37.38 ID:RqXShGm7
[21/26]
時間を遡ってみると
「犯人が解ったわよぉ。 ほら、ここを見てみてねぇ」
PMが襲われた友達の部屋で先程のDVD映像の部屋の一部が映った時の
SSを見せる美ス男。 友達の心情を察してDVD自体は再生しない。
「確かにこのラッピーヌイミの並び方は俺の部屋だ・・・」
「後はこの犯人が偽の指名でのミッション依頼をしてきたら、指名された
ガーディアンズの部屋で網を張るわぁ。
念の為に狙われるPMも別人と摩り替ってもらうから安心よぉ。
うってつけの心当たりがあるからぁ」
「済まん・・・」
「いいのよぉ。 出来る事をしないなんて、そんな美しくない事はしないわぁ。
それにぃ、あんなに優しい子をあんな目に遭わせた犯人がのさばってるとか
星霊様は許しちゃってるけどぉ、アタシは許せないわぁ」
♪来客を告げるチャイムが鳴った。 友達がモニターで来訪者を確認してから
ドアのロックを外す。 来訪者はルウだった。
「連続PM暴行事件の件で来ました。 美ス男さんはこちらにいますか?」
「はぁい、こっちよぉ。 まずはこの部屋のルームグッズの配置を見てねぇ。
それからぁ、このSSよぉ」
「このSSはヴィジホンの画面を写した物ですね。 写っているルームグッズや
壁紙等の状態からしてSSの部屋とこの部屋が同一の可能性は98%です」
「じゃ、後の詳しい話はミーティングルームでしましょうねぇ」
249 名前:440と変な美ス男の事件簿10[sage] 投稿日:2011/08/06(土) 03:31:46.67 ID:RqXShGm7
ルウと共にガーディアンズ本部のミーテイングルームに行き、先程のDVDを
再生する。
「これで犯人は特定出来たわよねぇ。 後は犯人が偽の指名でのミッションを
依頼してきたらぁ、指名されたガーディアンズの部屋で待ち伏せをすれば
捕まえられると思うわぁ。
後、念の為にその部屋のPMも囮と入れ替わってもらうわぁ。
心当たりがいるのよぉ。 ほら、この子よぉ」
ナノトランサーから携帯端末を取り出し、パートナーカードのファイルを
呼び出して表示。 画面をルウに見せる。
「確認しました。では、偽の依頼が来たら指名されたガーディアンズと囮の方には
私の方から連絡します」
「じゃあ、この子にはアタシから話しておくわぁ。 犯人捕まったらアタシにも
連絡ちょうだいねぇ」
「解りました。 ご協力感謝します」
250 名前:440と変な美ス男の事件簿11[sage] 投稿日:2011/08/06(土) 03:36:12.77 ID:RqXShGm7
ミーティングルームを後にしてキャスっ子の部屋に向かう美ス男。 途中の
ショッピングモールでふと目に入った物を確認する為にそちらに向かう。
目に留まったのは本屋の新刊発売の広告。 本屋に入って広告の絵本を買い、
ラッピングしてもらってナノトランサーに入れる。
「あはは。 おねがいごとって、なにー?」
「その前にはい、これ。 新刊出てたのよぉ」
「わーい。 ありがとー。 後で414といっしょによむー」
「お願い事っていうのはぁ、アタシのお友達のPMを虐めた人を捕まえるのを
手伝って欲しいのよん。 危なくない様に狙われたお部屋のPMと入れ替わって
虐めに来た所を捕まえるのよぉ」
「わかったー」
細かい部分の打ち合わせをする美ス男とキャスっ子。 念の為にお互いに内容を
確認し合う。
「じゃあ、連絡来たらお願いねぇ。 またねぇ」
「はーい。 またねー」
準備が終わったので、パートナーカードで予め所在を確認してから友達の部屋に
向かう。
「段取り済んだわよぉ。 後は待つだけねぇ」
「何から何までやらせて済まない。 今更だが、囮役も危険なんじゃないか?」
「それなら心配無用よぉ。 囮役頼んだ相手ってキャスっ子だしぃ」
「ああ、よく見かけるあの子か・・・。 それなら大丈夫そうだな」
「そういう事よん。 あの子戻ってくるまで、まだかかりそうなのかしらん?」
「ああ。 経過は順調らしいが、もう少しかかるらしい」
「お見舞いに行けないのが辛いわぁ・・・」
「そう言ってもらえるだけで十分だよ。 今回の事もあるし」
「そろそろ夕飯の支度の時間になるからお暇するわぁ。 またねぇ」
「ああ、またな。」
251 名前:440と変な美ス男の事件簿12[sage] 投稿日:2011/08/06(土) 04:08:22.77 ID:RqXShGm7
遡った日から数日後
ピロン♪
「あら。 メールねぇ、内容は何かしらん?」
ヴィジホンを立ち上げてメールを読む美ス男。 キッチンに向かい、冷蔵庫の
中身を確認する。
「440ちゃん、一緒にお買い物に行くわよぉ。 今晩は何が食べたいかしらん?」
「何か良い事でもありましたか、マスター? それでしたら以前に聞いたショコラの
フルコースで。 これはデザートですからそうですね、たまにはS武器と防具を」
「んー。 S武器と防具はいいとしてぇ、ショコラのフルコースは道具とかの準備が
あるから明日にしてねぇ」
メールの内容は連続PM暴行事件の犯人が捕まったという辺りが最も可能性が
高そうですね。 しかし、言ってみるものです。 全てすんなり通るとは。
そこまで嬉しい内容だったのでしょう。 しまった。 どうせお買い物に行くなら
料理の材料よりも帽子か服の方向に話題を変えるべきでした。
あのDVDに関しては、私が処分する前に証拠品として渡したそうです。
DVDを処分しようとした理由? 映っていたPMが私と同じGH440だっただけで。
こんなに可愛いGH440が傍にいるのに、他のGH440を選ぶなんて認めませんよ?
252 名前:440と変な美ス男の事件簿[sage] 投稿日:2011/08/06(土) 04:14:43.58 ID:RqXShGm7
[25/26]
新参者で御座います。
催促などとは思っていませんので、気にせずに。
リア充爆発しろ2に触発されまして。 キャラ、お借りしました。
折角支援して頂いたのに2作共さる、引っかかりました・・・
連投&お目汚し&駄文投下失礼しました。
253 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/08/06(土) 11:18:36.92 ID:xagfyjXd
>>252
投下乙。
〇分の内の投稿数〇/〇に引っかかってるんじゃないかと?
支援の数が増るか投下ペースを1レス/5分くらいでゆっくりにすれば行けるかも?
それでも不確定なのが歯痒いですが。
さて、話しのネタが思いつかないので、ネタを探しつつ?パネルオープンに向けて
S3でハムってます。
450「きゅう・・・(×_×)」
ラピ「ハッ―――セイヤッ―――ってラズリィまた転がってる!?」
450「ぅぅ・・・」
ラピ「とりあえずこの部屋は片付いたわね・・・ラズリィ、大丈夫?」
450「もぅ!負けないんだからぁ!・・・ってもう敵は居ないですねorz」
ラピ「何度も言ってるけどS3だと敵の攻撃力も高いから、もう少し距離取らないとまた
巻き込まれてまた転がるわよ?」
450「はぅ・・・すみません、ご主人様orz」
ラピ「もう、そんなに落ち込まないのよ。ギュッ(落ち込んでるラズリィかわいい!)」
450「はわゎ・・・ご主人様、ミッション中ですよっ!」
ラピ「ギュー(ヨシヨシ)」
450「プシュー・・・ボフッ!」
ラピ「ニヤリ。」
450「ウィーィィィ(冷却中)」
ラピ「ほら、早く行くわよ!」
450「ご主人様、置いていかないでぇー!」
ネタ&オチ無しすまん。反省はしていない。
254 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/08/06(土) 13:15:25.83 ID:wm1a5Ywe
>>252
投下乙
自分のたった2回ばかし出ただけのキャラがまさか使われているとは^p^
まぁ他人に書かれていてもやっぱり変態のままだったか…w
255 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/08/06(土) 13:48:55.35 ID:rchionJJ
>>252
大量投下乙
珍しく重複部分あったあたりやっぱり急かしたみたいでごめん
しかしリア充爆発しろってイカしたタイトルだよな
256 名前: 忍法帖【Lv=40,xxxPT】 [sage] 投稿日:2011/08/06(土) 20:18:41.69
ID:RqXShGm7
>>253
何か段々とご主人様が確信犯というか、黒化してるような・・・。
>>254
暴行犯人が消毒された後で再度事件が起こっているという状況を表すのに
適切と思ってお借りしたので、ああなった訳でして・・・。
何でしたら、名誉挽回にちゃんとした扱いでのはな・・・?
「その前にやる事があると思いますが? 作者?」
解ってますから。 440さん、散弾銃は出さなくていいですから・・・。
「その必要はありません。 何でしたらあの方々達全員を説得出来るなら
問題ありませんから」
「「ジー」」(順番待ちしているスキヤキ参加予定メンバーの方々一同)
>>254
重複に関しては寧ろ、自分の落ち度ですので・・・。
リア充爆発は色々な意味でインパクトありますねぇ。 触発されてこの様な
物を書いた訳でして。
257 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/08/07(日) 03:33:39.99 ID:7i5NyBip
>>254
君はグラールにおける逸材の変態率を考えたことがあるかね?
その割合は実に(回線が切断されました。タイトル画面に戻ります)
258 名前: 忍法帖【Lv=40,xxxPT】 [sage] 投稿日:2011/08/07(日) 03:43:23.93
ID:bxvBHQup
ぐ・・・。 安価ミスってました・・・。
2個目の>>254は> >>255の間違いでした・・・
259 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/08/08(月) 10:04:57.69 ID:q4MgjZHI
例の夏祭り会場でこっそり狂犬430を配信してると思います
ここの誰か引っ掛かったりしないかなあ
260 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/08/08(月) 10:05:47.78 ID:ZSFKwl0h
投下がちょっと落ち着いているみたいなので箸休め的に投下
本命の投下があるまでの暇つぶしにでもしてくれw
あとインフィニティ基準なので解らない人スマン
~~~~~~~~~~~~
~~~~~~~~~~~~
それは、祭囃子も引きつつあり、静けさを取り戻した暑い夏のある日のことだった。
「・・・それにしてもぬしら、もう少々うまく立ち回れぬものかのう・・・」
その背に塔を背負った巨大な白狐~ヤオロズ様が、頬杖をつきながら呆れたように言う。
「はぁ・・・すみません・・・」
その前に正座した箱が申し訳無さそうに答える。
恐縮し、こころなしか図体が小さくみえないことはないが気のせいだろう。
「まぁ・・・ 妾に安定して勝てるようになったのは認めるが・・・」
と、どこからともなく巻物をだし、するすると広げるヤオロズ。
「お札狙撃の試練は成功率十割。さすがはれんじゃあと言っておこう」
「いやあ、それほどでも」
そう答える箱をじろりと睨むヤオロズが続ける。
「防御の試練の成功率零割 十連攻撃の試練の成功率も零割
この極端な得手不得手はいささか呆れるぞ。 のう?」
ちょっと伸ばした爪でつんつんと箱の頭をつつくヤオロズ。
「あう あう す、すんませんです・・・はい・・・」
そのままつんつんとつつくのを止めずに視線を移して続ける。
「だいたいのう・・・ おぬしはちゃんと伴侶の教育をしとるのか」
261 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/08/08(月) 10:06:41.91 ID:ZSFKwl0h
「はひ?」
隣で正座をしつつため息をついていた450が突然言葉を振られ
およそ彼女らしくない表情を浮かべる。
「だからの、夫の教育をしとるのかと」
「おおおおおおおおおおおおおっと!?」
ロッドの先まで赤くそまらんがばかりに真っ赤になる450。
「なんじゃ、おぬしら夫婦ではないのかえ?」
つんつんとまだ箱をつつくヤオロズ。
「ふふふふふふふーふ!?!?」
ヤオロズの更なる攻撃?にあわあわとしどろもどろになる450。
「あー、ちがいますよー」
・・・が、毎度のごとく暢気に答える箱。
「ち、ちが・・・っ・・・ ま、まあそうですけどっ!」
そして毎度のごとく怒っていいのか悲しんでいいのかわからない450。
「まぁ、それならそれで仕方あるまいて。・・・うん、よし、ではちょいとこやつを借りるぞえ はむ」
そう言ってヤオロズははむっと箱の首根っこを口でつまみあげて持ち上げる
「お、おおーう?」
「ご、ご主人様っ!?」
「というわけで暫く借りておくでなーーー」
「か、かえしてくださーーーーい!!」
「ぼーくーのー意ー思ーはー?」
ぶわっと巻き起こる一陣の風。
それが収まった後には、ぽかーんと取り残された450が一人取り残されていたのであった・・・
~~~~~~~~~~~~
~~~~~~~~~~~~
続きは未完成なのでまたそのうちw
262 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/08/08(月) 10:07:37.69 ID:ZSFKwl0h
>>256
例の夏祭り会場?
何かイベント配信でもあったのかな
263 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/08/08(月) 10:17:19.48 ID:q4MgjZHI
>>260
ヤオロズは私もトラウマいっぱいあるなぁ…w
いつもながら箱可愛いよ箱
あ、夏祭りは、いわゆるコミケです、失礼。
264 名前: 忍法帖【Lv=39,xxxPT】 [sage] 投稿日:2011/08/08(月) 12:32:55.43
ID:KnZaFEoK
>>262
PSPの機能のすれちがい通信を利用した助っ人キャラ配布機能
265 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/08/08(月) 13:01:41.75 ID:YwZpgnOn [1/4]
>>260
ヤオロズすら落とす箱かわいいよ箱
>>263
祭り無理w
オンラインでも配布してくれ!
266 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/08/08(月) 13:48:24.95 ID:ZSFKwl0h [4/4]
>>263>>264
ああー、そっちかw
最近配信されたミッションが「祭」とあるのでオンで何かしているのかと思ったw
267 名前: 忍法帖【Lv=40,xxxPT】 [sage] 投稿日:2011/08/08(月) 20:52:16.24 ID:EQ1rKaK6
[1/23]
新参者で御座います。
スキヤキに必要な最後のピースが揃い、PSUの方で一寸ヒャッホーイな
出来事があり、エネルギー充填で一気に書いてました。
気が付くと30k超えてるっぽいので支援して頂けると助かります。
尚、一度重複して投下したので56番からのスタートとなります。
では、投下
268 名前:440と変な美ス男56[sage] 投稿日:2011/08/08(月) 20:57:22.91 ID:EQ1rKaK6 [2/23]
ミッション?編の続きスタートです
素材の一品目の肉をゲットした翌朝。 ご主人様は朝食後にタイプセレクトカウンターで
ライセンスをAFに変更して、武器を借りてくると言って外出中。
出かける前に何箇所か借りに行くので少し時間がかかると言っていたので、その間に家事を
済ませておきますか。
「じゃぁ、まずはシイタケから採りに行くわよぉ」
「マスター、これはどう見てもシイタケを採りに行くというよりはミッションかと?」
何故なら、ここはハビラオ禁止区:村跡。 確かにこの辺り一帯には様々な種類のキノコが
自生しているのだが、現在いるこの周辺に関しては巨大ラッピーの目撃例が頻繁にあり、現状は
ミッション指定地域となっている。
「そうねぇ。 この先に入るのにぃ、ミッション受諾しないといけないのよねぇ」
「むしろ、この様な場所に態々シイタケを採りに足を運ぶのはマスター位かと。
ガーディアンズでもない限り、不可能じゃないですか? 一般人などは安全上の理由で
進入禁止になりますし」
実際にはこの辺りは特殊なキノコの高密度フォトンによる影響や、様々な毒性のあるキノコ等の
せいで住んでいた村人達ですら他の地に移住しており、まず好き好んで来る事などないのだが。
269 名前:440と変な美ス男57[sage] 投稿日:2011/08/08(月) 21:00:05.29 ID:EQ1rKaK6
「あはは。 こういう時はガーディアンズで良かったと思うわぁ」
「それではまるでガーディアンズの価値は、キノコ程度と聞こえますが?」
「あら。 そんな事ないわよぉ? ガーディアンズだったから440ちゃんとも会えたんだしぃ。
440ちゃんの価値はキノコ並みな訳ないじゃなぁい? それにぃ、440ちゃんの事を
価値とか尺度付けて計る気無いわよぉ? そんな事は美しくないわぁ」
ご主人様はそう言っていますが、PMの所有権譲渡費用はそのPMの価値ともとれるんですけどね。
ですが私をそれらの物差しに当て嵌めないと言うなら、その費用は権利を移す際の登記代とでも考える事に
しましょうか。 タダ程高い物は無いという事で。
「本当はあんまりこの場所は来たくないのよねぇ・・・」
「フォトン中毒の影響とかですか?」
「ここ、カクワネ出るのよねぇ・・・」
そういえば、ご主人様は以前から美しくないという理由でカクワネが嫌いでしたね。 まるで食べ物の
好き嫌いのある子供みたいですが。 そのせいでご主人様は今回はずっと投刃剣を使っている訳でして。
「とりあえず、この辺りのエネミーはいなくなったわねぇ。 じゃ440ちゃん、こういう丸い葉の木の
根元とかに生えてるキノコを探すのよぉ」
「はい」
辺り一帯のエネミーを倒してからご主人様が携帯端末を取り出して、広葉樹の木とシイタケの画像を
呼び出して見せてくれました。 2人で手分けして目当ての木を探し、根元に注意します。
今回探した辺りはキノコの数と種類はあるものの、目当てのシイタケは見つからず、私が見つけたと
思った物はご主人様曰く、ツキヨタケという毒キノコでした・・・。
270 名前:440と変な美ス男58[sage] 投稿日:2011/08/08(月) 21:02:08.14 ID:EQ1rKaK6
「んー。 この辺りには無いみたいねぇ。 もう少し奥の方にいってみようかしらん」
「良く似た毒キノコもあるのですね、これは注意しないと。 念の為に画像記録しておきますか」
「ツキヨタケは暗い所だと光るからぁ、区別するのに光を遮ってみるといいわよぉ。 古くなると
光らなくなるけどぉ」
更に先に進んで周囲のエネミーを倒しては周辺を探索、見付からなければ先に進むという事を
何度も繰り返していると、とうとうこの先が最後の場所と言いたげな転送装置の前まで来ました。
ここまでで見付かったシイタケの量は2人合わせてようやくクーラーボックス1個分という量
ですか。
「この先が最後みたいねぇ。 次でも見付からなかったら、栽培物探さないといけないわぁ」
「それなら最初から栽培している場所に買いに行った方が早かったのでは? 手に入る確率は
その方が高いと思いますし」
「やっぱり天然物の方が味も香りもいいのよねぇ。 見てくれは天然物の方が悪いのもあるけどぉ」
設置されていたフォトンチャージャーと回復装置でコンディションを整え、転送装置に入る。
その先にはラッピー・ボレック達に囲まれた、巨大なラッピー・グッグが一羽佇んでいた。
271 名前:440と変な美ス男59[sage] 投稿日:2011/08/08(月) 21:07:19.91 ID:EQ1rKaK6
「先ずはボレックからよぉ。 グッグだけになれば近接でいけるわぁ」
「はい。 マスター、深追いはしないで下さいね?」
互いにラッピー・グッグからは距離を取りながら美ス男が飛んでいるラッピー・ボレッグを
投刃剣で落としてGH440が散弾銃で追い討ちをかける。
最後のラッピー・ボレックを倒して美ス男が鋼拳に持ち替えようとした時にラッピー・グッグが
羽を左右に振りながら走って突っ込んできた。 咄嗟に左右に分かれて避けるとラッピー・グッグは
ゆっくりと羽ばたきながら上昇を開始。
かなりの時間をかけてゆっくりと上昇した後に、2人目掛けて座り込む様な格好で落下したのを
前に走って避ける美ス男とGH440。
「440ちゃん、時計回りよぉ」
「はい。 マスター、挟撃ですね」
ラッピーグッグが立ち上がって埃を払うような仕草をしている間に、美ス男が双短銃に持ち替えて
GH440に見せた後に指示を送る。 GH440も散弾銃から双短銃に持ち替える。
挟み撃ちになるように回り込んでから互いに位置を修正してお互いから射線をずらす。
お互いに時計回りにステップ移動しながら双短銃でラッピー・グッグを撃ち続けると遂には
飛んで逃げていった。 その様を見続けてながら思案中の美ス男。
「440ちゃん、グッグの巣を探すわよぉ」
「今回はシイタケ探しでは? 有り得ないとは思いますが、卵に変更ですか?」
「飛んでた高さからして巣は然程高い場所じゃないと思うわぁ。 それであの大きさだと巣の
材料に木とか使ってると思うのよねぇ」
「巣に木材を使っていると仮定して、その木材にシイタケが生えていると?」
「周りの木からしてそんな気がするのよねぇ。 もしくはその周りの木とかぁ」
272 名前:440と変な美ス男60[sage] 投稿日:2011/08/08(月) 21:09:32.42 ID:EQ1rKaK6
ラッピー・グッグの飛び去った方向に歩いていくと、ご主人様の言った通りに然程高くない位置に
巨大な巣がありました。 周りには巣に使った木材の余りと材料にする為にラッピー・グッグの
嘴の高さの辺りから上が折られて枯れた木が何本も生えています。
そして、枯れた木や巣の周りの余った木材にシイタケが生えていました。 早速ナノトランサーから
クーラーボックスを取り出します。
「んー。 ある程度残しておくとしてぇ、10個ずつ、20個分位かしらぁ?」
「今回も毒キノコが生えているとも限りませんので、マスターのみで採る事を提案します」
「そうねぇ。 さっきのと違う種類の毒キノコとかだとぉ、危険よねぇ」
提案の結果ご主人様がシイタケを採ってクーラーボックスに入れ、満タンになったら私が受け取とって
入れ替えに空のクーラーボックスをご主人様に渡してご主人様が次のクーラーボックスにシイタケを
入れている間に満タンになったクーラーボックスを私がナノトランサーに収納するという事になりました。
「この位かしらん。 後は残しておいた方がよさそうねぇ」
「次回来る事になった場合、その時に生えていないという可能性を考慮すれば今の内に採って
おくべきでは?」
「それも一理あるんだけどぉ、こういった自然の物は一度に全部採らないで残しておくもの
なのよん。 今後も採る為にはぁ」
ご主人様が採るのを止めた時点で埋まったクーラーボックの数は全部で14個でした。
一旦オウトク・シティに返って昼食を済ませ、食休みの間に次の行き先の確認なのですが・・・。
273 名前:440と変な美ス男61[sage] 投稿日:2011/08/08(月) 21:13:35.34 ID:EQ1rKaK6
[7/23]
「そりゃあ、ああいった商売してるからぁ、取引とかあるかもしれないけどぉ、アタシ達が
行った所で売ってくれる訳ないわよねぇ・・・」
女帝さんから教えて貰ったエノキダケを扱っている店というより職業はマフィアです。
非合法の中毒性や依存性の高い植物などを頻繁に扱っているとか。
そのマフィアが何故エノキダケ?と思うでしょうが、理由は高価になる事と、自生する事も
あるそうですが、この種も非常に似通った毒キノコが存在するので素人が採るのは危険と。
「良くて門前払い。 悪くて口を滑らせようものなら、監禁か口封じですか」
買い付けに行っても私達がガーディアンズの時点で例え女帝からの紹介状があったとしても
難しいでしょう。 偽って行って途中でガーディアンズという事が判明しようものなら、一体
どうなる事やら。 私が一緒の時点で十中八、九そう思われる事確定です。
流石に今回はご主人様もかなり悩んでいる様子。 普段思案中だと右手を顎に当てているの
ですが、今回は左手も右手の肘に当てています。 どうやら、これがご主人様の癖ですか。
「シイタケのように探して採りに行く事は出来ないのでしょうか?」
「生える時期が違うのとぉ、スキヤキで使う物は天然物と違って特殊な栽培物なのよぉ。
最も栽培してるから一年中手に入るんだけどぉ」
ご主人様が携帯端末を取り出して画像を見せながら説明をしてくれました。 なるほど、
暗い場所で栽培して細長くするのですか。 瓶詰めで栽培しているのは扱い易いですが、其の分
そのままクーラーボックスに入れると収納効率が下がりますし、エノキダケのみにするのにも
手間がかかりそうです。 まったく、とことん厄介な。
274 名前:440と変な美ス男62[sage] 投稿日:2011/08/08(月) 21:16:25.02 ID:EQ1rKaK6
「この栽培瓶の画像だって、取引のある同業の間柄って故にだしぃ。 殿様商売ねぇ」
「栽培方法を他に漏らさなければ市場は独占出来ますからね。 実にマフィアらしいですが」
スキヤキなのど特別な料理にしか使われず、なおかつ栽培方法も特殊では、栽培方法を
秘匿してしまえば出荷量を調整して価格も思いのまま。
なるほど。 さては女帝は買い付けの時に買う量が多い事にでもかこつけて、思いっきり
高い値段にでもされたんでしょうね。 買い付けに行った方、ご愁傷様。
「440ちゃん、一旦戻るわよぉ。 戻ったらお使いお願いねぇ。 其の間にアタシは準備するわぁ
こういうやり方は美しくないからやりたくはないんだけどぉ、一度引き受けた事を投げ出す方が
美しくないわぁ・・・」
「・・・マスターがそういう言い方をするという事は正攻法ではないと? 犯罪を見過ごす訳には
いきませんが?」
「440ちゃんのその姿勢は美しいんだけどぉ、今回は相手も犯罪者だしぃ、目には目って事で
見逃してねぇ・・・」
「今回は相手が相手という事で情状酌量して、素材集めが全て済んだ後でお買い物に付き合って
もらいます。
内容はその時に決めますので、宜しく。 尚質問は認めますが、反論は認めませんので、
そのつもりで」
GH440を説得?して一旦Gコロニーに戻り、GH440にお使いの内容を話して美ス男も
準備に向かう。 美ス男はタイプセレクトカウンターに、GH440は女帝の所に。
275 名前:かつて『GH450の人』と名乗っていました 忍法帖【Lv=6,xxxP】 [sage] 投稿日:2011/08/08(月)
21:19:31.70 ID:o33buUFK
>>267
さる回避&投稿乙!
といいたいんたが、俺と同じ間違いをしてるぜ!
コルトバは甲殻類だ(上海蟹のような味わいらしい)
エンターブレイン発行のPSU&PSOBB設定イラスト大全集より
GH450 『見た目が豚っぽいから、つい間違えちゃいますよね。』
主 「思い込みは危険ということさ。」
>>259
今までコミケ限定の委託無しとかで涙してきたが、
今回ほど行けなくて悔しいと思ったことがあったか!いや、無い(血涙
276 名前:440と変な美ス男63[sage] 投稿日:2011/08/08(月) 21:27:33.77 ID:EQ1rKaK6
「何だい、嬢ちゃん。 今日は一人ってェ、珍しいねェ? ってェ事はご主人様の方も忙しいって
事かい?」
「はい、マスターも今ご自身の準備を行っています。 今回はマスターからの頼み事を伝えに
来ました」
美ス男の依頼は3点。
1、念の為に真っ先に疑いのかかりそうな女帝及び女帝の配下の者に今夜のアリバイを作らせる事
2、解る範囲でエノキダケを栽培しているマフィアのアジトの見取り図&構成員を教えてもらう事
3、今後このような場合の時の連絡方法の確立(主に通信手段)
「ちょいと嬢ちゃん、随分と吝かじゃない内容だねェ。 一体、アンタのご主人様何やらかす気だい?
頼み事の内容聞く限りじゃぁピンと来るのは、まるで出入りか物取りじゃないか。
アンタのご主人様は何時から転職する気になったんさね?」
半ばからかうような女帝の口調に対して、普段と変わらない笑みを顔に浮かべたままのGH440の
気配がゆっくりと変わっていく。 音の無い水の流れの様に、静かに深く。
ガーディアンズを続けて自分と一緒に居た方がいいと言ってくれたご主人様がガーディアンズを辞める
訳がないのですから。 それに誰の為にこのような事をする羽目に?
その為にとばっちりが行かないように、とご主人様は考慮して私にお使いを頼んだというのに、この
元凶はそういう事を私のご主人様に向けて言うのですね?
「マスターは現状でガーディアンズを辞める意思はありません。 私がいますので。
それと、貴方の依頼の為にマスターは今回のこの件で自らの信条を曲げてまでこのような苦渋の
選択をして手段を講じた事をお忘れなく」
277 名前:440と変な美ス男64[sage] 投稿日:2011/08/08(月) 21:31:09.66 ID:EQ1rKaK6
こいつぁ、何か地雷踏んじまったようだねェ・・・。 この嬢ちゃん本気だ。
この室内じゃ取っ組み合いになりゃあ、馬鹿力の嬢ちゃんの方が有利かねェ。
アタシだってこんな室内でテク放つ程馬鹿じゃない。 何よりも折角集めたアタシの道楽がお釈迦に
なるのは勘弁しとくれ。
「嬢ちゃん、ちょいと口が過ぎたようだよ。 勘弁しとくれ。 依頼の件は何とかするから許しておくれな」
「はい。それでしたら、今回は」
先ずは構成員全員に今夜のアリバイ確保を伝達。 次に以前に目的のアジトに使いに行った事のある構成員
に解る範囲で見取り図と先方の構成員を思い出させて書かせる。
連絡方法に関してはダイレクトメールに装って送信、こちらから送る場合は通信販売の申し込みに装うと
いう事でご主人サンお手製の特別製の変換機を貰った。 申し込み先のIDやアドレスは念の為に変換機に
記録されていて、変換機自体は外付けの記憶媒体に偽装してある。
「ありがとうございました。 では、私はこれにて失礼しますね」
「ああ。 手間掛けさせるねェ。 でもさっきは随分としれっと言ってくれたねェ?」
意地の悪そうなニヤニヤ顔での最後の一言に最初の内は意味に気が付かなかったGH440だったが、
そのままの笑顔でそれが当たり前の事のように答える。 帽子の位置を直すような仕草を見せながら。
「ご存知の通り、私は余程相当の事がない限りはこのままの姿を常に維持する事が出来ます。
それにオシャレならレディの嗜みでしょう? 美しいものが好きと公言するマスターと私が
共に在るのは当然の事ですので」
「ハイハイ。 で、そっちの目処は付きそうなのかい?」
げんなりとした表情で煙管に煙草の葉を詰め直して火を点けると、一旦軽く吹かしてからゆっくりと
紫煙を吹きながら、いい機会なので経過を聞いてみる。
278 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/08/08(月) 21:34:01.43 ID:YwZpgnOn [2/4]
>>275
あれ甲殻類なのかよ支援!
279 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/08/08(月) 21:37:04.73 ID:ujA1wF0d
この季節にすき焼きは厳しいからすきうどんだぜ支援
280 名前:440と変な美ス男65[sage] 投稿日:2011/08/08(月) 21:40:20.84 ID:EQ1rKaK6
[11/23]
「集める品数が多いので、マスターが知り合いの方に助っ人を頼んでいます。 モトゥブ方面の素材の卵以外を
頼んでいましたね。
こちらは肉とシイタケは確保出来ました。 エノキダケは今夜の結果次第という事ですか。 マスター曰く、
問題は糸蒟蒻と言ってましたが」
「ほう。 よく肉が手に入ったねェ。 一体、どんな手を使ったんだい? アタシの時は売約済みだっただけに
ちょいと気になるねェ」
「それは後のお楽しみという事で。 聞けば詳細でしたらマスターは誰にでも話しますし。 では」
見取り図と先方の構成員のメモにご主人サンお手製の特別製の変換機をナノトランサーに仕舞って自室に帰ると
ご主人様はまだ戻っていなかった。 その間に念の為に見取り図と先方の構成員のメモを記憶する。
「見繕いと帽子に拘る440でおまけにワンオブサウザンドときたもんだ。
しかも有り体な言い方すりゃあ、不死とか不死身になるのかねェ。 随分と出来過ぎじゃないかい。
まあ、本家の通り名の由来は知らないが、今頃何処で何してるのかねェ・・・」
GH440が帰った後にもう一人のGH440の事を思い出す。 煙管から煙草の煙がゆるやかに昇ってゆく。
アイツの事だから逃げ果せてはいるとは思うけどねェ。 追い駆けられる事よりも、着替えられない事に
悪態を吐きながら。 そんな事を思っていると側に控えていたご主人サンが声をかけてきた。
「心配、ですか?」
「あんな事やらかしたとはいえ、アタシの可愛い妹の一人さね。 心配じゃないっちゃあ、嘘になる。
馬鹿だけはやる事は無いとはいえ、あの子にも幸せになって欲しいねェ・・・」
「あの子だって新しいご主人様でも見つかれば、今度は幸せになれると思いますよ」
281 名前:440と変な美ス男66[sage] 投稿日:2011/08/08(月) 21:42:37.22 ID:EQ1rKaK6
あの時ご主人サンからスケッチブックを見せられて、アイツだって気が付いた。
自分は兵器として作られたんじゃない、心の在り方は性能を上げる為だけじゃないって事に。
やっとPMとしての自分に素直になれたんだ、なら今度はちゃんとご主人様がいれば普通のPMとして
やっていけるだろうに。 周りが許しさえすればだけどねェ。 けど、こればっかりはアタシも如何しよう
にもないねェ。
「そうなってもらいたいねェ。 アタシらはヒトの傍にあってのPMさね」
さっきの地雷踏んだのはちと焦ったねェ。 あの反応、嬢ちゃんもあの回路の兆候でも出始めたのかもねェ。
あの440の嬢ちゃん相手は戦い易いが屠り難い。 同士討ち狙いでこられたら、向こうの方がしぶとい分だけ
こっちの方が分が悪いときたもんだ。
しかも周りの置物とかご主人サンの事を計算に入れるのも忘れないだろうさ。
ご主人様の目が無けりゃあ、効果的なら戦い方だって選ばないね。 あの嬢ちゃんは。
ここでドンパチやりかけた所為の気疲れと、材料集めも順調みたいで気が緩んだのかねェ。
ちょいと眠くなってきたからご主人サンにでも甘えるか。
「ご主人サン、ちょいと疲れたから抱っこしとくれよ」
「はい」
女帝が煙管の煙草を火鉢に落として引き出しに放り込むと、ご主人サンが女帝の横に座って横抱きに
抱き上げて膝の上に下ろす。 ご主人サンの温もりと香りに包まれて、程なくしてスウスウと女帝の
寝息の音だけが室内に聞こえるだけになった。
282 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/08/08(月) 21:45:50.33 ID:YwZpgnOn
腹減ってきた支援
283 名前:440と変な美ス男67[sage] 投稿日:2011/08/08(月) 22:14:28.48 ID:EQ1rKaK6
「取敢えずはプロトランザーにしたからぁ、後は下手な事して後々面倒にならないようにする為に非殺傷系の
トラップがメインかしらぁ・・・。」
ガーディアンズ本部備え付けのショップでトラップ類を購入後、知り合いの部屋に武器を取りに行く。
倉庫のマセイソウのフォトンアーツディスクのレベル表示を見て溜息・・・。
何故なら美ス男は今迄に弓を使った事が無いのである。 長銃なども扱った事もあるが、バレットレベルは
やっと二桁になるか、ならないかの範疇だった。
「弓、頻繁に使ってる人の心当たり無いのよねぇ・・・。 頼みに行くしかないかぁ、気が重いわぁ・・・」
プライベートバーに改装されたマイショップスペースの先に設置されたカウンターに座っている美ス男と
最大身長の茶系迷彩で全身がレイキャストパーツのキャストの男性。
「今夜ちょーっと面倒な事するから、お手伝いお願いしたいのよぉ・・・」
「構いませんよ。 自分に出来る事でしたら」
「そう言ってもらえると助かるわぁ・・・」
「いえいえ」
事の次第と内容に行って欲しい事を手短に伝える美ス男。 キャスっ子にも助っ人を頼んでいる旨も伝える。
このキャストはキャスッ子と同時期に製造された為に兄弟の様に接していたので会った以上は伝えておかないと。
それが美ス男が気が重い原因だったりしたのだ。
「じゃ、”E”決行は今日の午前12時でお願いねぇ。 全部揃ったらご馳走するわねぇ」
「お気になさらず。 友には助力、敵には鉛玉を。 自分がグラール太陽系に移民として来る前からの自分の
信条ですので。 キャスっ子にご馳走して貰う分で十分ですよ」
「解ったわぁ。 またねぇ」
「では、又の機会に」
284 名前:440と変な美ス男68[sage] 投稿日:2011/08/08(月) 22:15:48.51 ID:EQ1rKaK6
更に何箇所かの知り合いの倉庫から武器を借りて、そろそろいい時間なので夕食の材料の買出しを済ませてから
自室に戻った。
「ただいまぁ。 直ぐに夕飯の支度するわねぇ」
「おかえりなさい、マスター。 頼まれた依頼3点共に済みました」
ナノトランサーから見取り図と先方の構成員のメモにご主人サンお手製の特別製の変換機を渡して詳細を美ス男に
説明する。
「それは良かったわぁ。 アタシの方も支援してもらうように一人お願いしてきたのよん」
「その方はどのような方なのですか?」
「キャスっ子のお兄さんって所かしらん。 キャストだから血が繋がってる訳じゃないけどぉ」
手短に夕食を済ませた後の恒例の打ち合わせタイム。 各自準備を整えてニューディズに向かう。
「”E”の決行は午前12時、合図は狙撃ねぇ」
「はい。 マスター、極力短時間で済ませましょう」
「アタシもそのつもりよぉ・・・」
そして着いたマフィアのアジトの裏口から少し離れた茂みの中にて様子を伺う美ス男とGH440。
お互いに目立たない黒系の私服にシールドラインを装備して美ス男は目の位置だけに穴の開いた覆面、
GH440は黒のハンチング帽を目深に被っている。
お互いの信条からすれば非常に納得のいかない格好ではあるのだが、敢えてここは我慢して速攻で終わらせるべく
冷静に、冷静にと心中で自分に言い聞かせてたりする。 そのせいもあってお互いを極力見ないようにしていた。
美ス男は支給品のゴーグルの暗視モードで見張りに立っている二人組みの監視、GH440はエネミーセンサーに
集中して周囲に注意を向けている。 GH440の視界の端にある時計の時刻が24:00を示した直後。
285 名前:440と変な美ス男69[sage] 投稿日:2011/08/08(月) 22:19:16.49 ID:EQ1rKaK6
[15/23]
「ミッションスタート、支援を開始する」
遠く離れた山間でボディカラーを黒に変え、カモフラージュシートに身を包みながら伏せ撃ちの体勢で
M25SEミズーリを構えていたキャストが視界隅の時計の表示が24:00になったと同時に引き金を引いた。
カシャアァァーン! パァアンッ! どんどんと監視装置のカメラやセンサー類が狙撃されて壊れていく。
実弾の為にフォトンの色も無く、ミズ/オーバーレンジユニットを使っての超遠距離射撃の為に発射音も聞こえず
状況が解らない見張りの2人組みは混乱し始めている。
機械類の壊れる音が止むと細い渦状の緑色のフォトンが見張りを捉えた。 最初に着弾した男は1発目で倒れ、
二人目の男は2発目の着弾で倒れた。
「エリア制圧」
状態異常付加能力に特化したフローズンシューターのスコープ越しに裏口が沈黙した事を確認すると
キャストがフォトンチャージを取り出し後続に備える。 フローズンシューターの欠点である総PP量の
少なさを補う準備は忘れない。
「・・・」 トントン
「・・・」 コクッ
裏口が沈黙した事を確認した美ス男が無言でGH440の肩を指先で軽く叩く。 ご主人様の方に
振り向いて無言で軽く頷くGH440。
同時に裏口の扉に向かって走り出し、マヤリーシュートで眠っている見張り達を起こさない様に慎重に
裏口の扉の前に辿り着くとGH440がイヤーパーツから接続コードを引き出して扉のロックに接続して
扉の暗証番号を割り出す。 目まぐるしく表示の数字が動いて止まるとカチッとロックの外れる音がした。
286 名前:440と変な美ス男70[sage] 投稿日:2011/08/08(月) 22:21:47.18 ID:EQ1rKaK6
「・・・」 スッ。 クルッ。
「・・・」 クイッ。
ドア越しで左手にスリープトラップを持った美ス男が無言で右手でドアの先を指差してから人差し指を
上に向けて一回転させる。 (扉の先に 反応は?)
GH440が無言で人差し指を下に向ける (いいえ)
美ス男がドアを開けてGH440と共に建物の中に入る。 目指すは地下のエノキダケの栽培施設。
途中の曲がり角や十字路の隅にスリープGを仕掛けながらスリープトラップを持ったまま
地下に向かって通路を進む。
「・・・」 トン トントン
進んでいる途中でGH440が隣の美ス男の足を無言で軽く叩く。 一回、間を置いてから2回連続
(敵 2人) 十字路の手前で一旦止まる二人。
十字路の左右を見たGH440が十字路の左を指差し、2人して左の壁に寄る。 GH440を見る美ス男。
「・・・」 スッ サッ
GH440が無言で美ス男の持つスリープトラップを指差し、十字路の左の通路を見つつ指を3本立てる。
(トラップ使用 カウント3) GH440が一本ずつ指を折っていく。 最後の人差し指だけになった
時点で美ス男がスリープトラップを左の通路に投げ込んだ。 ボンッ!
「!」 ZzzzX2
突然の不意討ちのトラップでスピー、スピーと床に寝ている2人組みの構成員を近くにあったトイレの
中に放り込む。 見取り図に従って通路を進んでいくと地下に降りる階段が見えた。
階段の隅にダメージGをセットして下に降りる。 通路の両側に内容が書かれたプレートがある倉庫の扉が
並んでいる。 突き当たりの扉に栽培室のプレートが見えた。 ロックの類、トラップ共に無し。
287 名前:440と変な美ス男71[sage] 投稿日:2011/08/08(月) 22:23:20.22 ID:EQ1rKaK6
「・・・」 スッ。 クルッ。
「・・・」 クイッ。
ドア越しで左手にスリープトラップを持った美ス男が無言で右手でドアの先を指差してから人差し指を
上に向けて一回転させる。 (扉の先に 反応は?)
GH440が無言で人差し指を下に向ける (いいえ)
美ス男がドアを開けてGH440と共に栽培室の中に入る。 薄暗い室内に様々な植物やキノコ類の鉢や
瓶が並ぶ中からエノキダケの栽培瓶を探す。 念の為にゴーグルで周囲を確認してからである。
時折不可視光による光を遮ると発動する警報装置が設置されていたのだった。 見つけたエノキダケの
栽培瓶の周りは然程警報装置は集中していなかった。 薬事法に禁止されている植物よりは価値が安いと
いう事なのだろう。
「・・・」 スッ
「・・・」 コクッ
不可視の光を遮らないように注意しながらエノキダケの栽培瓶側に行った美ス男が無言でGH440の
ナノトランサーを指差す。 (クーラーボックス出してちょうだい)
無言で頷くGH440 (はい) GH440が自分のナノトランサーからクーラーボックスを
取り出して美ス男に渡す。 受け取った美ス男が栽培瓶のままでエノクダケをクーラーボックスに詰めて
満タンになるとGH440に渡して入れ替えに次の空のクーラーボックスを受け取りどんどん栽培瓶を
詰めていく。
恐らくここには二度と来る事はないだろうと、ありったけ全部時間の許す限り持っていく筈だったのだが、
クーラーボックス22個分までが終わった時に突然警報が鳴った。 栽培瓶のままで入れているから実際は
半分位の量だろうか。
288 名前:440と変な美ス男72[sage] 投稿日:2011/08/08(月) 22:25:00.61 ID:EQ1rKaK6
「・・・」 グルグル
「・・・」 コクッ
無言で美ス男が掲げた右腕をグルグル回す (撤収よん) 無言で頷くGH440 (はい)
栽培室から外に向かって走り出す二人。
警報の鳴った理由は用を足しにトイレに向かった構成員が余りにもずっと個室の方が使用済みで
何度ノックしても反応が無い事にキレて扉を破壊した為に、閉じ込めていた構成員が見付かった為である。
地下の階段を登り切り、先程トイレに閉じ込めた2人組みの構成員を眠らせた十字路に差し掛かろうと
した時に放送が入った。
「正面側にゃ、いねえ! 裏側行けぇ! あと、放したマシナリーも裏口に回させろっ!」
放送の後に十字路の左右の通路の方から幾つもの足音が聞こえ始めた。 十字路の隅に設置してある
スリープG一発だけでは全員を阻止するのはきついだろう。
「・・・」 スッ スッ スッ ソッ
「・・・」 コクッ パッ
美ス男が無言で自分の持っているスリープトラップを指差し、次にGH440を指差し、十字路の右の
通路を指差してからスリープトラップを渡す (トラップ使用 440ちゃんは 右をお願い)
GH440が無言で頷いてスリープトラップを受け取り、右の通路側に移動して指を4本立てる。
(はい カウント4) 美ス男もスリープトラップを取り出して左の通路に移動。
先程と同じ様にGH440が指を一本ずつ折って人差し指のみになった時に2人で各々の通路に向かって
スリープトラップを投げ込む。 「「ボンッ!」」
「おい、なんだこ・・・」 ZzzzX3X2方向
集団の後ろの方の構成員は前の方で発生した煙に声を上げ終わる前に巻き込まれて他の皆と同じく夢の
世界に旅立った。 左右両側の通路共々である。
289 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/08/08(月) 22:26:49.48 ID:YwZpgnOn
支援
290 名前:440と変な美ス男73[sage] 投稿日:2011/08/08(月) 22:28:00.93 ID:EQ1rKaK6
「・・・」 トン スッ パッ
「・・・」 コクッ ボンッ!
十字路から裏口に向かって走り出して途中でGH440が無言で美ス男の足を軽く叩き、振り向いて
十字路の方を指差してから指を3本立てる。 (敵 十字路のトラップ使用 カウント3)
美ス男が無言で頷く (おkよん)
「手前ら、何こんな所で寝て・・・」
「ほっとけ、裏口行くぞ!」 ZzzzX2
床で寝ている構成員達に文句を言おうとするのをもう一人が遮って先を促し、2人が十字路の中心に
差し掛かった時に隅に設置されていたスリープGが発動した。
「敵の増援を確認。 制圧を再開する」
先程の場所でフローズンシューターのスコープ越しに、状況を視認しながら待機していたキャストが
正面玄関側から裏口側に集まってくる戦闘用マシナリーの姿を確認するとフローズンシューターの
バレットをキラーシュートに変更。 裏口を塞ぎそうになりそうな機体から狙撃する。
細い渦状の緑色のフォトンが戦闘用マシナリー一体に付き1発から3発の着弾で行動不能にしていった。
次々と消費されていく用意しておいたフォトンチャージ。
戦闘マシナリー全てが停止して後続が来ない事を確認すると、残りのフォトンチャージの数を確認して
念の為にフォトンチャージコスモを準備しておく。
裏口の扉が見えてきた時にかなり大勢の声が聞こえ始めてきた。 どうやら今迄寝ていた連中が起きて
きたようだ。 ともすると裏口の見張りの2人も起きているのだろう。
291 名前:440と変な美ス男74[sage] 投稿日:2011/08/08(月) 22:29:57.89 ID:EQ1rKaK6
「・・・」 スッ クルッ
「・・・」 クイッ
美ス男が無言で裏口の扉を右手でドアの先を指差してから人差し指を上に向けて一回転させる。
(扉の先に 反応は?) GH440が無言で人差し指を下に向ける (いいえ)
スリープトラップを手に美ス男が裏口の扉を開けると戦闘用マシナリーの残骸と自爆の爆風で
吹き飛ばされて気絶している見張りの2人組みの姿が見えた。
「・・・」 スッ スッ スッ ソッ クイッ グルグル
「・・・」 コクッ
美ス男がバーンEXを取り出してバーンEXを指差し、次にGH440を指差し、後ろを指差し、
GH440にバーンEXを渡してから人差し指を下に向けて、最後に掲げた右腕をグルグル回す。
(トラップ使用 440ちゃんは 後ろをお願い 起動させないで 撤退)
GH440が無言で頷く (はい)
後ろから近付いてくる声に向かってバーンEXを投げる美ス男とGH440。 起動させないで
そのまま撤退する。 ポイッ ココンッ カラカラカラカラ・・・。
「うおっ!」
「トラップかよっ!」 シーン
「ば、爆発しないだと?」
「お前、行ってどっかに捨ててこいよ?」
「馬鹿野郎、途中で爆発したらどうすんだよ! だったらお前やれよ!」
こちらに向けて放り投げられて床に着地した後に、回転しながら寄って来て止まった不発の2個の
トラップをどうするかで構成員達が足止めされている間に、美ス男とGH440は暗闇に紛れて
茂みの中から闇の中へと逃げ果すのであった。
292 名前:440と変な美ス男75[sage] 投稿日:2011/08/08(月) 22:33:43.64 ID:EQ1rKaK6
[21/23]
「ミッションコンプリート」
フローズンシューターのスコープ越しに美ス男とGH440が無事に撤退した時点でキャストは
伏せ撃ちの体勢から立ち上がり、カモフラージュシートとフローズンシューターをナノトランサーに
収納する。
「Auf Wiedersehen(では、御機嫌よう)」
既に姿の見えなくなっている二人に向かって挨拶をしてから、自分の役割を終えたキャストは
人知れずに自室へと戻っていった。
「今回は色々な意味で疲れたわぁ・・・。 もうこんな事は2度とご免よぉ・・・」
「それは私の台詞です。 一体幾つ違法行為をしたと思うんですか?」
自室に戻る途中で覆面を捨てた美ス男が自室に着いた途端に力尽きた様にベットに座り込む。
GH440も同じ様にベッドの上によじ登る気力もなくベッドにもたれかかっていた。
「取敢えず、今日はもう寝ましょうねぇ・・・」
「そうですね・・・。 流石に疲れました・・・」
珍しく着替えずに今迄着ていた服のままベッドで速攻熟睡する美ス男。 同じく着替えずに
今迄着ていた服のままで何とかベッドによじ登って力尽き、登りきった体勢でご主人様の腕を
腕枕にする事も無く熟睡するGH440。
普段は身嗜みを気にする2人が何故この様な服がシワシワになるような状態で気にせずに
寝てるか?というのは今2人が着ている服は、今回の不法侵入用に其の場凌ぎで買った二人の
趣味とはまるで別物なので、自室に着いたら捨てるつもりだった為である。
そして余談ではあるが、彼らがここまで疲れている理由は潜入の際の緊張の所為ではなく、
したくない格好を強いられていた為のストレスによるものだったりする。
続く
293 名前:440と変な美ス男[sage] 投稿日:2011/08/08(月) 22:38:00.24 ID:EQ1rKaK6
新参者で御座います。
さる避けの為に続きの後一品分は日付けが替わった後という事で。
しかし、何で素材1品でここまで話が長くなるんだろうか・・・。
支援して頂いた方々有難う御座いました。
お目汚し&駄文投下失礼しました。
294 名前: 忍法帖【Lv=40,xxxPT】 [sage] 投稿日:2011/08/08(月) 23:07:43.91
ID:EQ1rKaK6
>>261
投下乙です。
箱はやっぱり、箱のままなのですね・・・。 色々な意味で。
箱も良いですが、ヤオロズいいですねぇ。
>>263
コミケは無理ぃ・・・。 というか、携帯版全然やってないです・・・。
ウィキとか動画で内容は知りましたが。
>>275
ええ、自分もその事は知っています。 PSUの野良の時などで知らない
方々に教えていましたので。
今回何故にその様な扱いにしたかというと、このスレの中ではコルトバ・
マツザカとか、コルトバ・スジ肉とかが出ていますので自分的にはこの方が
いいのでそうしてみました。
ですが、今後もこの様な気が付いた点がありましたら是非ともどんどんと
ご意見の程、宜しくお願い致します。
というか、投下終わってから更新分見てみたら小ビス子氏が来ていたとは。
その後に女帝とご主人サン登場というタイミングとか・・・。
この後もお借りする事が確定していますので、この場をお借りして小ビス子に
是非とも聞いてみたい事として、自分の書く狂犬、小ビス子、女帝、ご主人サンは
小ビス子氏の目には如何様に映っているか?と。
特に今回の投下でも一戦やらしそうになっただけに、扱い的にあれでよかった
のか、実は気がかりでして・・・。 過去スレを見ていますと。
295 名前:275 忍法帖【Lv=6,xxxP】 [sage] 投稿日:2011/08/09(火) 00:42:27.23
ID:OdmfU3m4
>>294
いや、知っててやっていたならいいんだ。すまんかった。
俺の場合、知らずにやっちまったもんでね。
GH450 『知っててやるのと、知らずにやるのは大違いですからね。』
主 「そういう事だな。」
GH450 『知らずにやってしまう事の無いよう、ご主人も気をつけてくださいね。』
主 「精進します・・・」
後、長すぎるかな?と感じたら、ロダに上げるのも手だよ。
296 名前: 忍法帖【Lv=40,xxxPT】 [sage] 投稿日:2011/08/09(火) 03:08:01.48
ID:rWQROtCG
>>295
お気になさらずに。 コルトバ・マツザカとか、スジ肉なども、このスレで
出たと言ってもかなり前の話ですし。
ロダに上げていないのは携帯で見ている方の為と、自分は新参者故に
過去スレでロダに上がっていたキャラのSS、イラスト、投下作品の約95%が
見れなかったという経験からです。
そして日付けが変わったので一品分投下
297 名前:440と変な美ス男76[sage] 投稿日:2011/08/09(火) 03:11:31.17 ID:rWQROtCG
まだまだミッション?編の続きです
”E”決行の翌朝。 泥の様な眠りから起きたGH440はドレッシングルームに向かった。
普段だと眠っているご主人様に起さないようにではあるが、朝の挨拶をするのだが流石に
起きないであろうとはいえ、今のこの現状は見られたくないので声をかけない。
ベッドによじ登って力尽きた体勢で寝たものだから、ハンチング帽に詰めていた髪は
ボサボサ、着ている服はヨレヨレな上に、選ぶ基準としてはこのセンスは論外。
早々にドレッシングルームで替えの服と下着を用意してから服と下着を脱いでシャワーを
浴び、念入りに髪を整える。
「本当に散々な一日でしたね、まったく。 女帝の態度に、あの格好での違法行為の数々、
起きてみればこの始末ですか。 エノキダケの持ち出しには成功したのが唯一の救いですが。
やれやれ」
一頻り文句を言いながら髪が整ったのでバスルームから出て、バスタオルで体を拭いてから
下着と服を身に着ける。 ドレッシングールームから出て朝食を作りにキッチンに向かう際に
先程まで着ていた私服をゴミ箱に捨てる。
「おはよぉ、440ちゃん」
「おはようございます、マスター。 もうすぐ朝食が出来ますので、其の間にシャワーでも
浴びていて下さい」
「そうするわぁ・・・」
朝食を準備している途中にご主人様が起きてくるという事は、髪を整えるのに少々時間が
かかり過ぎたようですね。
シャワーを浴び、着替えてドレッシングルームから出て来たご主人様も私同様に先程まで
着ていた私服をゴミ箱に捨てています。 朝食を摂りながらミーティング。
298 名前:440と変な美ス男77[sage] 投稿日:2011/08/09(火) 03:13:10.84 ID:rWQROtCG
「んー。 玉子以外はハッキリしてるのはここまでなのよねぇ・・・」
「それを言えば肉の時でも同じでは? 私達に売れる分は無かったのですから」
「お肉の時はまだ出荷済みじゃなくて売約済みだったから、キャンセルに賭けたのよねぇ。
お豆腐に関しては現在は作ってないって言うしぃ、糸蒟蒻にしたらまるっきり、
情報ゼロよぉ・・・」
朝食を済ませてからエノキダケの栽培瓶の入ったクーラーボックスを一旦倉庫に移動。
替わりに空のクーラーボックスを倉庫から各々のナノトランサーに移します。
「それなら、先に場所の確定している玉子を採りに行けばいいかと?」
「それがまだ、時期には早いのよねぇ・・・。」
「それでしたら、今は作っていないという方に同業の方を紹介して貰うというのは
どうでしょうか?」
「そうねぇ、そうしてみようかしらん」
ニューディズの商店街の一番奥の区画の更に奥に豆腐店の看板を掲げる店を見つけて
向かうもやはり店のシャッターは閉まったまま。 店の裏手に回ってみると庭があるのは
如何にもニューディズらしい。 庭先に庭の掃除をする男性の姿があったので声をかける。
「こんにちわぁ。 豆腐店のご主人かしらぁ?」
「ああ。 今は店は開いていないから、元だがな。 その口ぶりからすると買いに来た
ならご覧の通りだ。 折角だから、茶位は出そう」
「ありがとう、嬉しいわん♪」
ご主人に招き入れて貰って縁側に座る二人にご主人がお茶を2人の前に置いてから
同じ様に縁側に座る。
299 名前:440と変な美ス男78[sage] 投稿日:2011/08/09(火) 03:15:58.49 ID:rWQROtCG
[4/10]
「ここってアタシの知る限りで唯一の絹ごしも作ってたお店だったのよねぇ」
「ほう。 絹ごしを知っているのは、ニューディズ以外じゃ珍しい。 見た所、
ガーディアンズのようだが?」
「そうよぉ。 もう、お豆腐は作らないのかしらん?」
「ああ。 張合いが無くなったんでな・・・」
ゆっくりとお茶を飲んでから視線を空に向けて遠い目をするご主人。
その態度から察して無言の美ス男とGH440。
「そういえば態々こんな所まで豆腐を買いに来るなんて、何に使うつもりだったんだ?」
「スキヤキよん。 頼まれて素材集めてるのよぉ」
「そうか・・・。 昔はうちでも親子3人で食べたな。 滅多に出来なかったが」
「それじゃあ、ご家族の方は・・・」
その先の事を思って言葉を詰まらせた美ス男。 お茶を飲み干して湯飲み茶碗を両手で
持ったまま俯くご主人。
「ああ・・・。 たまにやったスキヤキでお父さんのお豆腐、美味しいって言ってた娘も、
そんな娘を楽しそうに見てた妻も亡くなった、SEED騒ぎの時にな・・・。
その娘の笑顔が嬉しくってずっと美味い豆腐を作ると心に決めていたが、今じゃこの
有様だ・・・」
「ゴメンなさいねぇ・・・。 アタシ達ガーディアンズがもっとしっかりしてれば・・・」
「なに、あんた方の所為じゃない。 妻と娘の思い出だけは、まだ胸の内にある。
ただ、俺が不甲斐無いだけに過ぎん・・・」
湯飲み茶碗を縁側に置いて視線を庭に向けて見回すご主人。 思い出の中の亡き母子の
面影でも見出しているのだろうか。
300 名前:440と変な美ス男79[sage] 投稿日:2011/08/09(火) 03:18:02.65 ID:rWQROtCG
[5/10]
「そうなのねぇ。 って事はぁ、ご主人の胸中の娘さんは今も美しい笑顔のままなのねぇ?」
「ああ」
美ス男が湯飲み茶碗を持ったまま立ち上がると、ご主人の方に振り向いて湯飲み茶碗を
持ったままで力の篭った口調で話し始めた。 湯飲み茶碗がマイクに見えるのはご愛嬌。
「例え今は胸中だけでもぉ、娘さんが今も美しい笑顔のままならお豆腐は作るべきよぉ!
娘さんの美しい笑顔が見たくてお豆腐作ってたんでしょお? それなら娘さんがずっと
美しい笑顔のままでいる間はお豆腐作らなきゃ駄目じゃないのぉ!」
「そうか・・・。 娘が美味しいと言ってくれてるんだから、作らない訳にはいかないな」
「そうよぉ! 美しい娘さんの笑顔を曇らせちゃ、駄目なのよぉ!」
「作るとなると朝だな。 何人分頼まれたんだ?」
「最低でもXX分よん」
「そうなると手伝ってくれないか? 以前なら妻が手伝ってくれていたんだが・・・」
「アタシでいいならOKよん。 一応、調理免許はあるわよぉ?」
「なら、完全に素人という訳でもないようだな」
301 名前:440と変な美ス男80[sage] 投稿日:2011/08/09(火) 03:19:33.63 ID:rWQROtCG
[6/10]
ご主人の計らいで泊めてもらう事になり、翌朝の日の出前からの作業となった。
正確にはご主人が豆腐作りを再開する事を決めた時点で仕込みが始まっていたのだが。
先ずは大豆を真水に12時間漬けてからなのでどちらにしろ、作業開始は翌朝になる
のである。
ご主人の作業着を借りた美ス男に身長差の為に見学のGH440。
十分に漬けあがった大豆を適度に水を加えながら、石臼でクリーム状に磨り潰して釜に移し、
適度に水を加えて濃度を調整し薪にて炊き上げる。
激しく泡立つため、消泡剤として食用油に石灰を加えたものを適度に振りかける。
十分に炊き上がったら、布で濾して豆乳を木桶に取る。
この豆乳が冷えないうちに凝固剤としてにがりを適度に加え、櫂と呼ばれる木の板で撹拌する。
豆乳の濃度、温度、にがりの量、そして適度な豆乳は水と分離することなく固まり始め、
やがておぼろ状、またはプリン状の豆腐となる。 このままだと絹ごしである。
これを崩しながら内側に布を敷いた型の中に盛り込み、蓋をして重石を掛け、硬く水を切り
完成した木綿豆腐の表面を焼いていき、焼き豆腐が出来上がった。
「これだけの量を作ったのは久しぶりだな」
「作業自体は簡単そうでも、見極めが難しいわねぇ」
作業場の台の上に一面に並んでいる夥しい数の焼き豆腐。 美ス男と主人が作業の後片付けを
している間にGH440が水を張ったクーラーボックスに移していく。 その数40個・・・。
人数分の豆腐を作るというよりも、この店の作業場で作れる最大の数量をフル回転で作った
結果である。
302 名前:440と変な美ス男81[sage] 投稿日:2011/08/09(火) 03:24:25.84 ID:rWQROtCG
「お代は幾らになるかしらん?」
「なに、これから店を開く際のリハリビ代わりに金は取れんよ」
「あら。 駄目よぉ? お店なんだからちゃんと商売してる以上は代金受け取らないとぉ。
アタシ達が再開第一号のお客さんなんだからぁ」
「そう言われると受け取らない訳にはいかないな。 ちょっと待っていてくれないか?」
後片付けの終わった作業場から奥の居室へ行くご主人。 暫くしてスキヤキ鍋を持って
戻ってきた。
「もう、使う事も無いだろうからな。 良ければ使ってくれ」
「思い出の品を受け取る事は出来ても貰う訳にはいかないわぁ。 終わったらちゃんと
返しに来るわねぇ。 じゃあ、借りるわぁ」
「そうか」
スキヤキ鍋をナノトランサーに入れた美ス男がふと、思い出して、糸蒟蒻の事を
ご主人に聞いてみる。
303 名前:440と変な美ス男82[sage] 投稿日:2011/08/09(火) 03:34:15.80 ID:rWQROtCG
「あ、そうだ。 ついでで悪いんだけどぉ、糸蒟蒻作ってるか扱ってる所に心当たり
ないかしらぁ? 白滝でもいいんだけどぉ」
「有ると言えば有るが、無いとも言えるな」
「訳ありな口ぶりねぇ」
「ああ。 蒟蒻類を作っていた店主が亡くなって以来ずっと作られていないからな。
ただ、その店主には娘がいた筈だ。 もしかしたら作り方を習っていれば、
という可能性だな」
「後は行ってみるしかないわねぇ。 これだけでもぉ、今迄手掛かりゼロだったから
十分よぉ」
ご主人から蒟蒻店の場所を聞いて焼き豆腐の代金を渡し、豆腐店を後にしようとする美ス男と
GH440。 渡された代金を確認したご主人が美ス男を引き止めた。 定価の3倍はある。
「金額が多いんだが?」
「お鍋の借り賃と、蒟蒻の事教えて貰ったお礼よん。 本当はぁ企業秘密の授業料も、って
言いたい所だけどぉ、こんなに安い訳無いしぃ」
「なら、そういう事にしておくか。 定休日は店のシャッターに書いてあるから、忘れるな」
「はぁい。 じゃ、後でお鍋返しに来るわぁ」
「ああ」
主人に見送られて豆腐店を後にする美ス男とGH440。 定休日を確認する事は忘れない。
寧ろお店が忙しくなって、定休日に行った方がいいかしらん?などと考えていた事を店主は
知る由もないのだが。
続く
304 名前:440と変な美ス男[sage] 投稿日:2011/08/09(火) 03:48:49.14 ID:rWQROtCG
新参者で御座います。
やっと素材も残す所で二品になりました。 残りの二品は数行位で終わりに
したいなぁ・・・。
お目汚し&駄文投下失礼しました。
305 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/08/09(火) 10:36:37.24 ID:yZWOjNSO
>>261
投下乙です。
相変わらず箱ぶれねぇw
>>304
大量投下乙です。
累積レスナンバーが凄い事になってきてますね。
ところで、前からちょっと書きたかった話に以前のお話しで出てた刀匠の設定がぴったりなので、
少々お借りしたいと思ってます。
話しの流れで美ス男もちょこっと出演があるかもしれませんので、よろしくお願いします。
>>小ビス子氏
前作でキャラお借りしました。事後になってすみません。
ありがとうございました。
少しずつ、ネタが浮かべばスレの方々のキャラとも絡んで行きたいと思っていますので、
出演する事があれば生暖かく見守って頂ければ幸いです。
306 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/08/09(火) 11:19:03.78 ID:wig13tZT
>>304
大量投下乙
野生の椎茸っていい匂いすんだよな
美ス男の自然との接し方好きだわ
307 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/08/09(火) 20:53:55.92 ID:NA/HZKtu
よ、ようやく規制が解けた…
久々にこのスレが賑わってて嬉しい限り。
ベテランの皆様も帰ってきてるし、
美ス男氏とか新たな名物キャラも生まれてるし。
自分も前にちょこっと書いたけど、
また何か書けたらいいなあ。
308 名前: 忍法帖【Lv=40,xxxPT】 [sage] 投稿日:2011/08/09(火) 21:31:44.26 ID:rWQROtCG
[10/10]
新参者で御座います。
>>305
ええ、連番の数にはビックリしています。 ここまで続くとは思っては
いなかったので。 ここまできたら連番100レス目指しますか。
キャラ使用の件、了解しました。
刀匠と美ス男、ご自由にお使い下さい。 話の中では名の無い刀匠ですが、
美ス男に渡した刀には銘は刻まれています。
そしてこの場をお借りして。
他の作者の皆々様方も自分のキャラでよければ、ご自由にお使い下さい。
変わり者が多いですが・・・。
書く時にもその作者様方の目に映ったイメージで書いて構いませんので。
各キャラの違った側面が見れる事になるのも面白いかと。
使って頂けるのでしたら幸いですので。
>>306
自分も父の手伝いで行った際に仕事先の家の側の山で採れた椎茸を貰った
事があります。
採らないで育つとカサが真っ直ぐに伸びて割れるんですねぇ。
直径20センチとかには焦りましたが、やはり天然物は味と香りが違います。
自然の持つ美しさを壊すなどという美しくない事は嫌いな美ス男ですから。
環境保護なんて難しい事よりも、見て感じられる調和とかの理由かと。
>>307
規制解除おめでとう御座います。
名物といいましょうか、良く言えば個性的、悪くというか普通に言えば変な
キャラですが・・・。
野良していて、たまに言われるのが外見、声、台詞などの立ち回り等の
全てが合っていて珍しいという評価だったりします。
309 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/08/09(火) 23:56:12.78 ID:KITg+dSp
>>294さん
いつも楽しく読ませてもらっています。
小ビス子氏とかそういうものです。
余所様の作品に出てきた自分のキャラについてあれこれとコメントはしない主義ですが、
ダイレクトに問われておられましたので、お返事をば。
うちのキャラをしっかり書いて頂いて有り難い限りです。私が書かなくてもいいんじゃなかろうかってくらいw
何にしましても、お気持ちは頂戴致しますが、私などに気を回されなくても結構ですよ。
これからも作品を楽しませていただきますので!
310 名前: 忍法帖【Lv=9,xxxP】 [sage] 投稿日:2011/08/10(水) 00:25:47.75 ID:EZoumDOy
書けたのですぞー!
と言う事で投下します。
忍法帖がリセットされてると思うので、気長に投下していきますね。
さるに掛かったら、その間に風呂など行って参ります。
311 名前:形見1[sage] 投稿日:2011/08/10(水) 00:26:59.84 ID:EZoumDOy
忍法帖残ってた!
Gコロニーの空調で調整された気温は32度。
夏の季節が再現された、いわゆる夏真っ盛りの時期である。
ガーディアンズもニューデイズの風習に習って、「お盆」があるらしく、交代制での
休暇があるそうで、ご主人様も昨日から1週間程の休暇を取られていた。
「~~♪」
ご主人様は、「こう言う時でもないとなかなか出来ないから」と、私に預けていた
普段使わない武器を片っ端から引っ張り出しお手入れに勤しまれている。
私はと言うと、特に手伝えることも無いので先程まで家事をしていたのだが、
それも終わってしまい手持ち無沙汰になってしまっていた。
「ご主人様、何かお手伝い出来そうなこと無いですか~?」
もう今日で3度目となる同じ質問。答えは分かっているのだが、やる事も無いので
思わず聞いてしまう。
「そうねぇ、もうちょっと待って頂戴。買って来て欲しいものがあるから、ひと段落
着いたら説明するわね。」
これで手持ち無沙汰から解放されそうだ、などと考えながらご主人様の作業を
暫く観察してみることにする。
何でも、拾ってきたままの武器ではグリップが太く、ご主人様の手では扱い辛い
そうで、グリップパーツをバラして、そこに柄糸と呼ばれる帯状に編み込まれた
布を巻きなおしていた。
巻き方は何度も見ているので見よう見まねで覚えたのだが、巻いていく時の
締め方や力加減、太さ加減があるらしく自分でやらないとしっくり来ないそうで、
私も時間があれば練習してみたりしたのだが、ご主人様に使って頂けるように
なるまでは、まだまだ掛かりそうだ。
312 名前:形見2[sage] 投稿日:2011/08/10(水) 00:29:14.12 ID:EZoumDOy
「よし・・・っと、やっぱりちょっと足りないわねぇ・・・
少し疲れたから、休憩がてら一緒にお買いもの行きましょうか。」
「はいっ!」
一人でお使いだと思っていた矢先、思わぬご主人様からのでいとのお誘いに胸が躍る。
手早く支度を済ませ、ルームにロックを掛ける。
「先に、昨日預けてきた武器の受取りをしておきましょうか。」
ご主人様はそう言うと、コロニーの2階にある武器強化ショップへと向かった。
一部の武器はグリップが一体になっているものがあり、太さを調整する為にグラインダー
で削る必要があるらしく、昨日、幾つかの武器とグラインダーを預けてあるのだ。
本来グラインダーは武器の強化に使うのだが、こんな使い方をするのはきっとご主人様
くらいのものだろう。
「こんにちは~、仕上がってますか?」
「いらっしゃいませ、丁度先程終わった所ですよ。
今回はお預かりした15本の内、4本ダメになりましたね。すみません。」
「無理に削っているのだから、それは仕方ないわ。いつもありがとうね。」
「いえいえ、これくらいはお安いご用ですよ。はい、どうぞ」
削る過程で、武器の強化と同じくダメになってしまうケースがあるそうで、毎回何本かは
柄が折れてダメになってしまうものがある。本体は特に痛んでしまっているわけでは無いので、
ダメになってしまった武器は私のおやつになるのだ。
今回は全て普段使わない武器で私の管理になっている武器ばかりの為、ご主人様の代わりに
私が武器を受け取り、ナノトランサーへと仕舞い、店を後にする。
「それじゃあ、柄糸が足りないから買いに行きましょう。」
私は普段、ご主人様が使っているのを見ているので見慣れてはいるが、あれがお店に売って
いる所は見た事が無い。
313 名前:形見3[sage] 投稿日:2011/08/10(水) 00:31:17.70 ID:EZoumDOy
向かった先はモトゥブのクバラ市場の一角―――――
昼はジャンク品を主とした露天商が並び、夜になれば盗品から闇流通品まで多彩な物が扱われ、
街全体が巨大な市場になっている。
エリア毎に扱われる品目が分かれており、一部のエリアでは一部のジャンク商しか立ち入りの
出来ない地域もあるそうだ。
「こんにちは~。」
「お、来たね。用意出来てるよ。」
通りを歩き少し裏に入った所のバラックへ入ると、そこはニューデイズ風の織物が所狭しと並べ
られた民芸品店風のお店だった。
店主はご主人様の姿を確認すると奥へ行き、柄糸の束を幾つか抱えて戻ってきた。
モトゥブではあるが店主はニューマンの年配男性で、この街にはいろんな人種が集まり、商売が
成り立っている事が伺える。
「いつもありがとう。これ、残りの代金ね。」
「はいよ、確かに。しかし、いまだにこんなもの買いに来るのは数える程だよ。」
「でしょうねぇ。これを必要とするようなものを作れる人がもう居ないものね。
自分でもこれを作れなくはないんだけど、時間も掛かるし材料がなかなか手に入らないのよねぇ。」
「量は限られてるが、材料もウチで扱えなくはないよ。もし必要になれば何時でも言ってくれ。」
「ええ、その時はお願いね。それじゃあ、また――――」
「ありがとやしたー」
流石クバラとでも言うべきか。こんな所で手に入るとは思いもしなかった。
見た感じニューデイズ産だろうと予想はしていたが、後で聞いた話しでは、もうニューデイズでは
取り扱っているお店が無いそうで、クバラで手に入れるしかなくなってしまっているそうだ。
続いて向かった先はサバイバルショップ――――
そう言えば明日からご主人様とニューデイズでキャンプの予定なのだ。
毎年一人で行っていたそうなのだが、今年は私が居るのでテント等を大きいものに買い替える
必要があると仰られていたのを思い出す。
お店に着くと、テント、テーブル、チェアー、パラソル、etc必要なものを見て回り、目星を付ける。
今まで使っていた物は、すべて一人用のものばかりだそうなので、キャンプに必要な物は一式全部
と言った感じだ。
ご主人様が店主に都度お金を払いながら、私のナノトランサーへ入れて行く。
314 名前:形見4[sage] 投稿日:2011/08/10(水) 00:34:00.50 ID:EZoumDOy
一通り買い物を済ませ店を出ると、クバラでの買い物は終わりだそうでダグオラまでフライヤーで
戻ってきた。
「そうだ、ラズリィ。たまには珍しいもの食べましょうか。」
「珍しいもの、ですか?」
「そうよ。丁度今の時期がぴったりの魚よ。」
魚と言えばヒトの手の入っていない自然の海が残るニューデイズであるが、ニューデイズ産の魚は
コロニーにも流通はしている。焼き魚やフライなどは時々食卓にも並べているのだが、珍しいとは
どう言う事だろうか。
「とりあえず、ニューデイズに行くわよ。」
「は~い。」
私は特別食い意地が張っているとは思わない方なのだが、珍しいと言われると自然と期待が高まる。
早速シャトルに乗り込み、ニューデイズへと移動した。
シャトル乗り場から真っすぐフライヤー乗り場へ移動し、乗り継いで向かった先はニューデイズでも
田舎の方の小さな港町だった。
「ここに来るのも3年ぶりねぇ。」
「ご主人様、ここで手に入るのですか?」
「そうよ。ここだから手に入るのよ。」
長閑な通りを暫く歩くと、一件の家の前で立ち止まり玄関を開け、声を掛けた。
「こんにちは~、おじさん、居ますか~?」
ご主人様が奥へ声を掛けると、少しして真黒に日焼けしたヒューマンの中年の男性が顔を出した。
「おぅ!よく来たな!ひさしぶりじゃねぇか!」
「お久しぶりです。」
「そういや聞いたよ、親父さんとお袋さん、残念だったな・・・」
「ええ、二人共危険な事は分かっていたでしょうし、仕方無い事ですよ。」
「そうか、ラピスちゃんもそうならないように気を付けなよ。」
「ええ、それはもちろん。」
ご主人様の顔が一瞬曇ったような気がしたが、多分気のせいだろう。
私にはさっきからずっと、ご主人様が感じている懐かしさと暖かさが流れ込んできている。
315 名前:形見5[sage] 投稿日:2011/08/10(水) 00:36:16.16 ID:EZoumDOy
「それに死んじゃったらおじさんが獲ってきたおいしい魚が食べられないじゃないですか。」
「言うねぇ。・・・ところでいい人は見つかったかい?」
「ちょっと!私にはまだ早いですよぅ・・・」
「うはは!うちの息子なんてどうだい?おっちょこちょいだが真面目で良い奴だぞ?
・・・まあ、でもあいつにラピスちゃんは勿体ないな!」
「もう、おじさんったら!」
何とも豪快な人だ。
高いテンションで豪快に笑いながら、「まあ上がって行け」とお茶の間に通されると、奥さんと思われる
中年の女性と先程の話題に出た息子さん?と思われる、ご主人様と然程歳の離れて居なさそうな
青年が居た。
「おじゃましま~す。」
「あらあら、ラピスちゃん久しぶりじゃないの!よく来たわねぇ。」
「おばさん、お久しぶりです。」
「ラ・・・ラララ・・・ラピスちゃん・・・お久しぶり・・・」
「お久しぶり、って、何緊張してるのよ~」
「いや・・・その・・・モコ゛モコ゛・・・・」
顔を真っ赤にして口籠る青年。
私の中で、その瞬間に彼を敵として認識した。
まあ、ご主人様は全くその気は無いようなので、変な事をしない限りは生暖かく見守っておこう。
「男ならシャキっとせんか!そんなだから何時まで経っても嫁が来んのだ!!」
「う、うっせぇよオヤジ!」
「うはは、かあさん、茶だ!」
「はいはい、分かってますよ。何時もうるさくてごめんなさいね。」
「いえ、賑やかで元気になりますよ。」
お茶の間に置かれたチャブ・ダイに冷たいお茶が並べられる。
お茶を頂き一息つくと、ご主人様は本題を切りだした。
316 名前:形見6[sage] 投稿日:2011/08/10(水) 00:38:07.71 ID:EZoumDOy
「ところでおじさん、今日来たのは他でもないんですが・・・」
「おう、わぁってるよ!倉庫にある冷凍庫から好きなだけ持って行きな!
年々獲れる量は減ってるんだけどよ、ウチで食べるにはまだまだ多いからな!」
「ありがとう、帰ってから食べるのが楽しみ!
代わりと言ってはなんだけど、これ、使ってください。」
ご主人様は先程クバラで購入した柄糸を一束取り出すと、おじさんに渡した。
「おう!すまねぇな!銛の柄の滑り止めにこいつが丁度いいんだよ!よく覚えていてくれたな!」
「ふふっ、私も使うので、さっき丁度買って来たところなんですよ。
少し多目に買ったから、良かったら使ってください。」
「こいつを作れるやつも、もう少ねぇからなぁ・・・ラピスちゃん、ありがとよ!
よし、倉庫に行こうや!」
倉庫へ移動すると、中にはとても大きな冷凍庫と、網や銛等の道具が整理されて置かれていた。
おじさんが冷凍庫のロックを外して扉を開く。
中には見た事も無いような巨大な魚が数匹吊るされ、冷凍されていた。
私の身長より大きいそれに、思わず声が漏れる。
「わ・・・私より大きい・・・!」
「うはは!そうだな・・・・これがいいんじゃねぇか?」
おじさんは中でも一番大きい魚を指していたが、とても食べ切れるサイズではない。
ご主人様は、「ちょっと、こんなにあったら逆に困ります・・・」とやんわり断ると、小ぶりなものを選んで
さらに半分にしてもらうようにお願いしていた。
おじさんはそれを聞き、「よしわかった!」と豪快な返事をすると、何処からか鋸を取り出し、ソイツを
豪快に切断する。確かに凍っているからそれが手っ取り早いのは分かるが、想像を超えたやりとりに
私は茫然としていた。
「これくらいでいいかい?」
「ええ、十分です。これに入れて下さい。」
ご主人様は先程クバラで購入したクーラーボックスを私のナノトランサーから2つ取り出すと、おじさんに
渡した。
317 名前:形見7[sage] 投稿日:2011/08/10(水) 00:40:31.46 ID:EZoumDOy
「もう半分に切らなきゃ入らねぇな・・・ギコギコ・・・よしと。」
「ありがとう、これだけあったらお裾分けしてもまだ余るわね。」
おじさんはうはは!と笑うと鋸を片付け、冷凍庫を再びロックした。
「ところで、今日は泊って行くかい!?」
「そうしたいのだけど、明日からいつもの所でキャンプなので、帰りにまた寄らせてもらいますね。」
「そうかそうか、楽しみにまってるぞ!」
お茶の間に戻り軽く挨拶を済ませると、「また来ます」とおじさんの家を後にした。
「豪快な方でしたねぇ・・・」
「ふふっ、昔からあのおじさんはあんな感じよ。」
「ところでご主人様、あの魚は一体・・・?」
「あれは、マ・グロって言う魚なのよ。今はあの魚を獲る漁師さんもずいぶん減ったわね。」
「あんな大きい魚、初めてみました。ところで、どうやって食べるんですか?」
「煮ても焼いてもいいんだけど、やっぱり一番はお刺身とお寿司ね。」
「???」
「コロニーではまず口にしないけど、生で食べるのよ。」
「えぇ!?」
魚を生で食べるとか言う発想は全く無かった私は酷く驚いてしまった。
と言うか、お腹壊したりしないのだろうか?まあ、でもご主人様が生でと言うならきっと大丈夫なのだろう。
どんな味なのだろう。当然食べた事は無いので全く想像はつかない。
「さ、帰って捌いて、みんなにもお裾分けしなきゃね。」
私はワクワクしながら帰路に着いた。
318 名前:形見8[sage] 投稿日:2011/08/10(水) 00:42:46.70 ID:EZoumDOy
コロニーのマイルームに到着すると、早速ご主人様はクーラーボックスからマ・グロを取り出し、ペーパー
タオルに包んだ上で袋に入れ、浴槽に水を張り、そこへ先程袋に入れたマ・グロを入れる。
私はご主人様に言われ、ご飯を炊く準備をしていた。
ご主人様はマ・グロを浴室に放置すると、友人の部屋に木材を分けてもらいに出かけられた。
程なくご主人様が戻ってこられると、貰って来た木材を洗い、器用に薄くスライスしていく。
スライスした木を貼り合わせ、箱を幾つも作られていた。
箱が10個ほどだろうか出来あがった頃に、ご飯が炊きあがりご主人様から浴室のマ・グロを持ってくるように
言われる。
私がマ・グロを担いでキッチンへ戻ると、ご主人様は何処からか取り出した大きな木製のタライ?にご飯を
移し、ウチ・ワで扇ぎながらかき混ぜていた。
私が何を作っているのか訊ねると、「酢飯」と言われるお酢で味付けしたご飯を作っているそうだ。
とりあえず重たいので、マ・グロを流し台に置くと、ウチ・ワで扇ぐのを交代するようにご主人様に言われて
交代する。
見よう見まねでパタパタ扇いでいると、ご主人様はマ・グロの包みを解き、何処からか取り出した包丁を
持っていた。
包丁と言えば刃の部分がフォトンで出来ており、少々硬い素材でも楽に切れるのだが、ご主人様が手に
持っていたのはカムイの刃をもっと太くしたような「実刃」の包丁だ。
私は初めて見るそれが気になり視線を向けているとご主人様が気が付いたようで、私に向き直る。
「これはね、お母さんから、その前はおばあちゃんから、ずっと受け継がれてきた形見の品なのよ。
実刃の包丁なんて売ってないから珍しいでしょ。」
「初めてみました。でも、フォトン包丁の方が使いやすいんじゃないんですか?」
「そうなのよ。でも、お刺身を造る時はね、フォトンの刃だと切断面の繊維が潰れちゃうから、実刃の方が
食べた時においしいのよ。特にお魚は身が崩れ易いから、切れ味の良い実刃の包丁は欠かせないわね。
でも、これはもう寿命ね・・・研いで使うのもそろそろ限界。」
ご主人様は細長い包丁を眺めるとふと寂しそうな表情を浮かべる。
そもそも生で食べる風習自体が珍しいので今まで気にした事も無かったのだが、生で食べるにはそこまで
色んな事を気にしないといけないのかと感心した。
319 名前:形見9[sage] 投稿日:2011/08/10(水) 00:45:20.18 ID:EZoumDOy [10/21]
「種類は色々あるわよ。今持ってるのは出刃、これが薄刃で野菜用ね、でこれが柳刃でお刺身にはこれを使うわ。」
種類の多さにビックリした。
同じ形状の包丁でも大きさが何種類かあり、相手によって使い分けるらしい。
私が普段使っているフォトン包丁は長さの調整が出来るようになっている為1本あれば十分なのだが、確かに
実刃だと調整は利かないので種類が必要なのはよく分かる。
ご主人様は「さ~ぁ、行くわよ~」と言うと、マ・グロの解体に取り掛かる。
見るからに使い込まれている包丁は、まるでフォトン刃かのようにすっと刃が差し込まれて行く。
私が感心しながら眺めていると、あれよあれよと言う間に奇麗に身だけの状態になり、一口サイズに刻まれて行く。
ご主人様の手つきを見ていて気が付いたのだが、フォトン包丁と違って、包丁の刃を身に当てると、引きながら
滑らせるように切断していた。
後で聞くと、そうしないと身が崩れてしまうのと、実刃は引いて切るのが基本だそうだ。
「ラズリィ、その酢飯をこっちに持ってきて頂戴。」
「はいっ!」
気が付くと、身の殆どが一口サイズになっていた。
身のなかでも、淡いピンク色の部分は「トロ」と言って、赤い部分より味わいが深いそうだ。
「それじゃ、ラズリィはフライパンを温めておいて。」
ご主人様は私に次の指示を出すと、酢飯を手に取り、形を整え、先程切ったマ・グロを乗せて両手でリズムよく
握っている。
ご飯の上に生の魚。確かにこれは見た事も聞いた事も無い、とても珍しい食べ物だ。
次々とご主人様の手によって生産される一口サイズのソレ。材料から連想するにこれが多分お寿司と言うもの
だろう。
出来あがったお寿司は、先程ご主人様が作った箱に次々と詰められ、最後にお弁当用の小さい容器に入れた
ご主人様特製の醤油と、生姜の漬物を添えて蓋がされて行く。
ご主人様の手際は良く、次々と生産されたお寿司はすぐに箱全てに納まり、酢飯も無くなった。
320 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/08/10(水) 00:45:42.74 ID:mFmT4jMC
支援しにきた
321 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/08/10(水) 01:12:49.02 ID:4dzzFsx1
夜食にしよう
322 名前:形見10[sage] 投稿日:2011/08/10(水) 01:19:59.20 ID:EZoumDOy
「余ったのはお刺身のままと、少しトロステーキを作りましょう。」
ご主人様に言われ、新しい容器を並べる。
並べた容器に次々と余ったお刺身が詰められ、先程と同じように醤油を入れた容器も同封されて行く。
ある程度詰め終わると私に残りを任せ、ご主人様はフライパンにトロと言われる部分の刺身を並べる。
「ジュー」と言う何とも食欲をそそる音がしたかと思うと、手早くひっくり返している。
表面に焼け目が付く程度が一番おいしいそうだ。
「よし、と。これで出来たわね。」
「あっと言う間でしたねぇ。」
「そうね、生のお魚は手で触っていると、どんどん味が落ちちゃうから、スピードとの勝負なのよ。
さあ、私たちの分は保冷容器に入れておいて帰ってから食べるとして、みんなにお裾分けに行きましょう。」
「は~い。」
私は返事をすると箱に詰められたマ・グロ料理をナノトランサーへ仕舞い、出かける支度をする。
程なく準備は終わり、戸締まりをしてルームを後にすると、ご主人様のお友達の部屋を周る。
しかし、それでもおじさんから頂いたマ・グロの量が量だったので、幾つか余ってしまった。
ご主人様は暫く思案をしていたようだったが、何かを思いついたらしくパシリ大通りの方へ向かって歩き出した。
「折角だから、この間お世話になったし、女帝さんにもお裾分けしましょう。」
なるほど。確かに前にお邪魔した時にまた遊びに来いと言われたが、あれから行ってない事を思い出す。
大通りの入口を通り過ぎ、裏手に回り込むとヒト用の入口が見えてきた。
入口で門番に用向きを伝えると、すぐ通してもらえた。
「こんにちは、女帝さん。」
「いらっしゃい、よく来たねぇ。あれから妹の調子はどうだい?」
「特に変わった事も無いし、健康そのものよ。」
「そりゃあ良かった。で、今日は遊びに来てくれたのかい?」
「ええ、ちょっと珍しい食材が手に入ったから、お裾分けに、ね。」
女帝さんは「ほう?」と言うと手に持っていたキセルから火鉢に灰を落とし、引き出しに仕舞うと興味津々と
言った感じで椅子から身を乗り出していた。
323 名前:形見11[sage] 投稿日:2011/08/10(水) 01:22:52.93 ID:EZoumDOy [12/21]
「で、何を持ってきてくれたんだい?」
「えと・・・お寿司って言って分かるかしら?」
「お寿司!!なんとまぁ、お前さん、凄いものを持ってきたもんだ!こいつは嬉しいねぇ!」
「天然のマ・グロが手に入ったのはいいんだけど、大きすぎて余ったからいっぱい作ったのよ。」
女帝さんはお寿司の存在を知っていたらしく、柄に似合わず大はしゃぎと言った感じだ。
私はナノトランサーから包みを2セット取り出すと、テーブルに置く。
「包みも本格的だねぇ。ご主人サン、お客様が帰られたら頂こうかねぇ。」
「わかりました――――」
女帝さんにご主人と言われたニューマンの女性が奥からお茶を持って戻って来ると、女帝さんの言葉に頷く。
「ところでご主人様、まだ2セット残ってますよぅ・・・。」
「そうねぇ・・・どうしたものかしら・・・。」
いまだに残った包みを確認し、ご主人様に残りを告げると、どうしたものかと思案している。
と、その時、
コンコン――――――
扉がノックされる音が部屋に響く。
女帝さんが「誰だい?」と声を掛けると、扉の外から男性の声が返ってくる
「アタシよぉ。今はお取り込み中だったかしらぁ?近くを通ったからちょっと寄ってみただけなんだけどぉ。」
私は頂いていたお茶を危うく吹き出しそうになった。
これはもしや噂に聞いた事のある、「オネェ」とか言うヒトですか!?
女帝さんがご主人様に目くばせすると、ご主人様はにっこり笑って頷く。
言葉こそ発しなかったが、客人を入れていいかの確認だろう。
女帝さんはお互い顔を合わせても問題無いと判断したのだろう。
扉の外に向かって「構わないよ、入りな」と声を掛ける。
扉を開けて姿を現したのはビーストの男性(以下ビス男)とGH440の二人連れ。
先程の声の主はこのビス男さんでほぼ間違い無いだろう。
324 名前:形見12[sage] 投稿日:2011/08/10(水) 01:26:36.90 ID:EZoumDOy
ビス「あらぁ、先客様がいらっしゃったのねぇ。お邪魔しちゃってごめんなさいねぇ。」
ラピ「いえ、私達も特に用があったわけでは無いですから、お気になさらずにどうぞ。」
ビス「そぉ?じゃあ、遠慮なく入らせて頂くわねぇ。」
440「すみません、お邪魔してしまったようで。失礼致します。」
私は思わずポカーンとしてしまっていたが、丁寧に頭を下げる440さんに慌てて会釈を返した。
このビス男さん、PMを連れていると言う事は恐らくガーディアンズの隊員だ。
女帝「お互い分かっちゃいると思うけど、同じガーディアンズの隊員だよ。面識はないかい?」
ラピ「そうね、一度、ミッションでご一緒した記憶がありますね。独特の喋り方で思い出しました。」
ビス「あらぁ、そうだったかしら?」
ラピ「ええ、臨時で組まれたチームでしたから、覚えていらっしゃらないのは仕方ないかと思いますよ?」
ビス「う~ん、思い出せないわぁ・・・アタシが美しいものを忘れるなんて、一生の不覚よっ!!」
440「マイマスターにしては本当に珍しいですね・・・。」
ちらりとご主人様を見ると苦笑いをしていた。
後で聞いた話では、以前のミッションで一緒になった時も終始このテンション、しゃべり方だったそうだ。
ふと、ビス男さんの視線がテーブルに置かれた包みに注がれているのに気がついた。
ビス「ところでぇ、この包みはもしかして・・・?」
ラピ「もしかして御存じですか?お寿司。」
ビス「やっぱりそうなのねぇ!こんな所で見るとは思わなかったわぁ!」
ラピ「ニューデイズで天然のマ・グロが手に入ったのは良いのですが、量が多くて知り合いの方に
お裾分けして周ってたんですよ。」
ビス「いいわねぇ。アタシも久しぶりに食べたいわぁ。」
女帝「それは私のだ。間違ってもお前さんのじゃないよ。」
ビス「残念ねぇ・・・。」
女帝さんは苦笑いすると、一口お茶をすすった。
ちらりとご主人様に視線を向けると少し思案していたようだが、頭の上に!が一瞬見えた。
ラピ「実は・・・あと丁度2つ余っているので持って帰られますか?」
ビス「あらぁ、嬉しいわぁ。でも、何所かにお裾分けする分じゃないのぉ?」
ラピ「いえ、配り終わって残ったのをどうしようって丁度困ってたところなんです。
このまま貰い手が無ければG本部にでも持って行こうかと思っていましたので、遠慮なさらずに。」
ビス「そぉ?本当に大丈夫?」
450「はい、ご主人様と私の分はルームに確保してありますし、先程もご主人様と考えてた所です。」
私は話に割り込むと、ナノトランサーから残っていた包みを取り出す。
325 名前: 忍法帖【Lv=40,xxxPT】 [sage] 投稿日:2011/08/10(水) 01:31:39.48
ID:TVrK4BRF
周回合間に支援
326 名前:形見13[sage] 投稿日:2011/08/10(水) 01:31:48.13 ID:EZoumDOy
ビス「あらぁ、本当にありがとうねぇ。
でもぉ、マ・グロなんて良く手に入ったわねぇ。それに、マ・グロは身が崩れ易いから、お刺身に
するのも大変だったんじゃないのぉ?」
ラピ「マ・グロを専門で獲っている仲の良い漁師のおじさんが居るんです。その方に分けていただけたので。
刺身は実刃の包丁を使いましたから、それ程でも無かったですよ。」
ビス「あらぁ、実刃の包丁だなんて、良いもの持ってるじゃなぁい?」
ラピ「代々受け継がれてきたもので、母の形見なんです。
でも、もう柳刃が寿命なんで新しく作りたいんですが、今はもう実刃の包丁を作れる人が居なくて・・・」
ビス「アタシもお料理はするから良く分かるわよぉ。食材を生かすも殺すもぉ、切り方次第なのよねぇ。」
440「マイマスターは切り方一つでも美しさに拘りますよね。」
ビス「そぉよぉ。美しくないお料理なんて、おいしさも半減じゃない。当然の事よぉ。」
ビス男さんはそこまで言うと少し思案の表情を浮かべ、携帯端末を取り出すと何やら操作を始めた。
暫くすると、ビス男さんがご主人様に携帯端末を出すように催促する。
ご主人様が携帯端末を取り出すとなにやら通信を始めたようだ。
ビス「お寿司を頂いたお礼に、アタシの知っている刀匠の先生を紹介してあげるわねぇ。
その人なら、実刃の刀が作れる数少ない人だからぁ、きっと包丁も作れるわよぉ。」
ラピ「!!」
ビス「ニューデイズのかなり山奥なんだけどぉ、座標を端末に送信したからぁ、行ってみるといいわよぉ。
アタシの紹介だって言えば、あの人もきっと作ってくれると思うわぁ。」
ラピ「私が知っていた最後の刀匠の方は数年前に亡くなられて、もう実刃を扱える腕利きの刀匠は
居ないと思ってました。明日から数日ニューデイズに行く予定なので、早速行ってみますね。
ありがとうございます!」
ビス「いいのよぉ。こんな良いもの頂いちゃってそれくらいしか出来なくて申し訳ないんだけどぉ。」
ラピ「いえ、折角作ったものだし、鮮度が命ですから貰って頂けて逆にこちらも助かりましたし、
気になさらないでください。」
ビス「ありがとねぇ。440ちゃん、帰ったら早速頂くわよぉ。」
440「はい、マイマスター。楽しみですね。」
ふと時計を見るといつもの夕食の時間を過ぎ、随分お腹も減ってきた。
私も早く、このお寿司と言うものを食べてみたかったので、ちらりとご主人様に視線を送ってみる。
ご主人様もそろそろと思っていたようで、私の視線を受け取ると、女帝さんとビス男さんに帰りを告げる。
ビス「あらぁ、もうこんな時間なのねぇ。440ちゃん、アタシ達も帰るわよぉ。」
440「そうですね、マイマスター。私も早くこのお寿司と言うものを食べてみたくて仕方ありません。」
ラピ「それじゃあ、また遊びに来ますね。」
女帝「すまないねぇ、大したおもてなしもできなくて。」
ラピ「いいえ、この前はお世話になりましたからね。そのお礼だと思って遠慮なく受け取って下さい。
そうだ、感想は聞かせて下さいね。」
私たちはビス男さんより先に立ちあがると、部屋を後にした。
しかし、世の中変わったヒトと言うものは居るものだ。あの独特の喋り方、一生忘れる事はないだろう。
327 名前:形見14[sage] 投稿日:2011/08/10(水) 01:35:41.64 ID:EZoumDOy
程なくしてルームに戻ると保冷パックに入れておいたお寿司他を取り出し、食卓に並べる。
お醤油をちょっと付けて食べるとおいしいらしい。
私はどきどきしながら口にお寿司を入れるとモギュモギュする。
「お・・・おいしぃ~!!」
「ふふっ、沢山あるから一杯食べて頂戴。それに、まだお頭が残ってるから、足りなければ丸焼で食べると
おいしいわよ?」
「はいっ!」
世の中にこんなにおいしいものがあるとは。
私とご主人様は談笑しながらお寿司に舌鼓を打ち、その日の夜は更けて行った。
――――翌日――――
「よしっと、忘れ物は無いわね。」
「はい、多分大丈夫だと思います。」
「それじゃ、行くわよ。」
私達は以前から予定していたニューデイズでのキャンプへと向かった。
オウトクから歩く事2時間強、山奥に流れる沢のほとりを歩いていた。
「ふぅ、やっとついたわよ。」
「ご主人様、もうクタクタです・・・。」
まさかこんなに歩くとは思って居なかった。
周りを見ると少し開けており、キャンプを張るには十分な広さがあった。
「ご主人様、ここにキャンプを張るんですか?」
「いえ、ここだと急な悪天候で増水した時に流されちゃうから、テントは少し山に入ったところにしましょう。」
ご主人様はそう言うと、沢から少し登ったところにテントを設営し始めた。
斜面の一部が平たくなっており、テントを設置するにはもってこいのスペースがあったのだ。
「去年もここに設営したのよ。」
「へぇ、毎年同じ場所なのですね。」
「そうね、この辺りまで来ると水も凄く澄んでて丁度いいのよ。」
ご主人様はテントを設営し終わると、ナノトランサーから普段は滅多に使わないアックスを取り出すと木を切り始めた。
私はご主人様に言われて、沢の方へテーブルや椅子を並べ、日除けのパラソルを立てる。
設置が終わった頃に、ご主人様が手ごろなサイズに切った木を何本か持って沢に降りて来た。
「それ、どうされるんですか?」
「組み立てて台にするのよ。ラズリィ、そっち持って頂戴。」
ご主人様はナノトランサーからロープを取り出すと、器用に木を組み合わせ台を作っていく。
328 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/08/10(水) 01:38:40.72 ID:4dzzFsx1
風来のシエン
329 名前:形見15[sage] 投稿日:2011/08/10(水) 01:39:01.75 ID:EZoumDOy
ここへ来た目的――――
普段部屋で手入れの出来ない、大振りな実刃武器の刃研ぎだ。
いわゆるソードに分類されるものや、ダブルセイバーに分類される大きな実刃の武器は、手入れで研ぐにしても、
マイルームでは狭い事と、水を使う必要がある事などからどうにも手入れが難しいそうだ。
程なく台が組みあがると、太陽は真上を過ぎた辺りに輝いていた。
「さあ、とりあえずお昼にしましょう。」
ナノトランサーから今朝作ったお弁当を取り出し、テーブルに広げる。
歩き疲れて腹ペコだった私は、待ってましたと言わんばかりの勢いで食べ始めた。
「この座標だと、ここから1時間ほどねぇ。」
「昨日のビス男さんが言われていた、刀匠の先生ですか?」
「ええ、座標だと丁度ここの奥になってるのよ。」
「丁度よかったんですね。」
「お昼を食べたら、先に顔を出してみましょう。」
程なく食事も終わり、一休み出来たので少し体も軽くなった気がする。
ご主人様は愛用の砥石をナノトランサーから出すと、川の水を汲み上げ砥石を水の中に浸した。
「さあ、また大変だけど行くわよ。」
私はもうあまり歩きたくは無かったのだが、こんな所に一人で取り残されても寂しいし、何よりご主人様と一緒に
居たかったので頑張ってついて行く事にした。
ご主人様の言うとおり、1時間ほど歩くと1件の小屋が見えてきた。
「こんにちは~。」
「このような所に人とは珍しい。道にでも迷われたか?」
「いえ、ビス男さんと言う方から教えていただいて、是非にお会いしたいと思ってお伺いさせて頂きました。」
初老の男性は「ほぅ・・・」と呟くと、「まあ、上がりないさい」と奥へと案内してくれた。
「このような所まで来られたからには、何か理由があるのであろう。某とてあの者の紹介とあらば、無碍にも出来ぬ。」
「はい、貴方が実刃の刀を打つ事の出来る刀匠だと聞いて参りました。」
「某は只の世捨て人に過ぎん。そう呼ばれる程ではござらんが、確かに刀は作っておる。
しかし・・・申し訳ないが、某、女子の為に刀を打つ事はお断りしたい。女子とは家を守るもの。
刀を持ち戦に出るは男の役目。」
静かに刀匠の話しを聞いていたご主人様は懐に手を入れると白い布に包まれた何かを取り出し、刀匠の前に置く。
刀匠の視線は白い包みに注がれていた。
「私は、貴方に刀を打って貰いたいとは思っていません。包みを開いてみてください。」
「ふむ・・・。」
330 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/08/10(水) 01:41:31.05 ID:mFmT4jMC [2/4]
じゃあ紫煙
331 名前:形見16[sage] 投稿日:2011/08/10(水) 01:43:36.09 ID:EZoumDOy [17/21]
刀匠は静かに包みを開くと、そこにあったのは一本の柳葉包丁。昨日ご主人様がマ・グロを刺身にしたアレだった。
包みの中身を見た刀匠の眉がピクッと動く。
刀匠は静かに包丁を手に持ち、角度を変えながら観察すると静かに布の上に戻した。
「随分良く使い込まれておる。それに相当の業物。これ程のもの、何処で手に入れられた?」
「母の形見です。そして、母は祖母から受け継ぎ、祖母は曾祖母から受け継がれてきた、代々伝わるものです。」
「なるほど、ここまで良く使われたものだ。研ぎも良い。これを研いだのはお主か?」
「はい、研ぎ方は母から教わりました。」
「そうか、良い腕を持っておる。しかし・・・残念な事であるが、これ以上の研ぎには耐えられまい。」
暫くの沈黙があり、刀匠が再びゆっくりと口を開く。
「包丁とは、家を守り支える女子にとって無くてはならぬもの。察しは着いた。某に包丁を打てと申すか。」
「はい、大事な形見ではありますが、使ってこそ初めて価値のあるものですから、これに執着する事を
母は望んでいないと思います。」
「ふむ・・・。」
「それに、代々寿命を迎えたものは新しいものに代えられ、受け継がれてきました。私もそれに習い、則る事が
先祖への礼節であり、母への供養でもあり、女としての役目と心得て居ります。」
刀匠は目を閉じ、思案をしているようだった。
そしてまた暫くの沈黙があると、再び口を開く。
「相分かった。某の作が適うかどうか分からぬが、精一杯のものを作って進ぜよう。」
「ありがとうございます!」
「鋼を鍛えるのに数日、材料も必要であるが、お主、この包丁を手放す覚悟はおありか?」
「そうですね・・・失礼だとは心得ておりますが、貴方の作を一振り見せて頂けませんか?」
「少々待たれよ。」
刀匠は奥へ行き一振りの太刀を持って戻って来て、ご主人様の前に両手でそっと刀を置く。
ご主人様は静かに刀を手に取ると、ゆっくりと鞘から引き出す。
私は見てもさっぱり分からないのだが、ご主人様ならきっと分かるのだろう。
ご主人様は抜き身の刀を角度を変えながら暫く眺めていたが、満足したのか静かに鞘に戻すと、両手で刀匠の前に
差し出した。
「これ程の業物を打てるお方ならば、きっとこの母の形見も生まれ変わる事でしょう。どうぞ、材料にお使い下さい。」
「承知した。お主、澄んだいい目をしておるな。出来る限りの事をさせて頂こう。」
「それでは、宜しくお願い致します。」
332 名前:形見17[sage] 投稿日:2011/08/10(水) 01:47:24.76 ID:EZoumDOy [18/21]
私にはどうにも堅苦しかったが、ご主人様は終始涼しい顔だった。
私は小屋を後にすると、どっと疲れが押し寄せてきた気がした。
テントに戻る道中、ふとご主人様がナノトランサーからではなく、包丁を懐から取り出したことが気になり聞いてみると、
特別な意味は無く、ああいう場面は想像していたので、懐から出したほうが雰囲気があって良いだろうと言う事だった。
私はそれを聞いて妙に納得してしまった。
程なくテントに戻ると、日は傾きかけ、今日の作業は難しいだろうと言う事になり、夕飯を支度する。
私が準備をしている間、ご主人様は「汗もかいたし体を流してくる」と川の方へ行かれていた。
食事の準備も大方終わり、ふと顔を上げるとご主人様の白い背中―――――そして、小ぶりなお尻が見える。
ご主人様の柔肌ががががががg―――――――ボフッ
私が気がつくと、既に周囲は薄暗くなり始めており、暫くの時間が経過している事が分かった。
私をウチ・ワでパタパタ仰ぐご主人様の目が痛い。何たる不覚。
と、その時、頭が何か柔らかい感触のものに乗せられている事に気がつく。
見上げると真上に見えるご主人様の顔。この構図は「膝枕」だ。間違いない。何たる幸せ。何たる役得。
等と考えていると、ご主人様に「もう大丈夫ね」と起こされた。残念至極。
「さあ、ご飯食べて、早めに寝て明日に備えるわよ。」
「はぃ。」
やっぱりご主人様の視線がちょっと痛い気がするが、きっと気のせいだろう。気のせいだと信じたい。
手早く食事を済ませ、テーブル類を片付け、テントに潜り込む。
二人用だけあって、中は意外と広かった。
「ラズリィ、こっちおいで。」
ご主人様に呼ばれ近くへ行くと、私を優しく抱きしめ、横になった。
「さあ、明日は早いからもう寝ましょう。」
「はい、ご主人様、おやすみなさい。」
「おやすみ、ラズリィ。」
やっぱりご主人様は優しい。
背中にご主人様の温もりを感じながら、私は眠りについた。
333 名前:形見18[sage] 投稿日:2011/08/10(水) 01:50:02.19 ID:EZoumDOy
翌日は目の回るような忙しさだった。
持ってきた実刃の武器を整理して並べると、順番に私が荒砥をし、ご主人様が仕上げていく。
何と言っても物が大きいので、1本研ぐのに軽く1時間は掛かるのだ。
予定では3日の滞在だったが、このペースでは全部が仕上がらないので滞在を1日延長する事になった。
滞在4日目の朝、最後の1本を仕上げると、ご主人様が少し川で遊びましょうと言う事で、水着に着替える。
私は特に用意していなかったのだが、ご主人様が気を利かせて、私の分まで用意して下さっていたのだ。
昼から先日お伺いした刀匠の先生のところへ寄ってから帰るので、片付けも考えると遊べるのは1時間ほどだ。
しかし、ご主人様、まさかビキニとは・・・・。
聞くと、海で着るのは恥ずかしいから、こう言う時でもないと着れないからだそうだ。
そしてご主人様の白い肌が眩しい。
私はしっかりご主人様の肢体を目に焼き付けると、深層記憶領域へ保存し、厳重にロックを掛けたのはナイショだ。
一通り川で遊び、テントやテーブルを片付けると簡単な昼食を取り、刀匠さんの所へ向かう。
普通、刀だと1週間は掛かるらしいのだが、今回は小太刀よりも小さい包丁だったので丁度仕上がった所だったらしい。
「これが、某の精一杯である。お眼鏡に適うと良いが。」
ご主人様は包丁を手に取り、確認する。
「これ程のもの、生まれ変わったこれを見れば、亡き母もきっとお喜びになると思います。」
「そうか、安心した。形見を潰してまでの1本。お眼鏡に適わなければどうしようかと思ったぞ。」
「ふふっ、貴方の作を見せていただいた時から、心配はしていませんでしたよ。
お代は如何ほどでしょう?」
「これに――――これに値段は付けられぬ。お主の気持ちだけで良い。」
ご主人様は、そうはいかないからと、幾らかのメセタの束を手渡すと、刀匠さんは「かたじけない」と受け取られていた。
流石にこれ程の山奥と言えど、お金は無ければ生活に困るのだろう。
ご主人様は刀匠さんにお礼を述べると、小屋を後にした。
「さぁ、ラズリィ。帰りは3時間よ。」
「ヒィ!」
私は思い出したくない現実をご主人様に突きつけられ、小さな悲鳴を上げるとがっくりと肩を落とし、長い道のりを
歩いたのだった。
334 名前: 忍法帖【Lv=40,xxxPT】 [sage] 投稿日:2011/08/10(水) 01:51:53.31
ID:TVrK4BRF
もう一回っと
335 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/08/10(水) 01:53:13.84 ID:4dzzFsx1
すまん俺は限界支援
336 名前: 忍法帖【Lv=9,xxxP】 [sage] 投稿日:2011/08/10(水) 01:56:49.38 ID:EZoumDOy
―――――以上です。
途中の描写を練り直し、頑張り過ぎたせいか、思ったより行数が伸びてしまいました。
ちょっとした日常の延長を書いただけの駄作になってしまいましたが、最後まで読んで
頂いた方、ありがとうございました。
重ね、キャラをお借りした方々、ありがとうございました。
それでは、また、ネタが出来たら書いて投下しますので、宜しくお願いします。
337 名前: 忍法帖【Lv=9,xxxP】 [sage] 投稿日:2011/08/10(水) 02:01:53.99 ID:EZoumDOy
リロれ俺orz
途中沢山のご支援頂きありがとうございました。
他の作者様の作品も、心より楽しみにお待ちしております。
338 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/08/10(水) 02:58:46.68 ID:mFmT4jMC
>>337
投下乙
そういえば包丁ならともかく日本刀とかどうやって研いだんだろな
あともんのすごくマグロ食いたくなった
339 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/08/10(水) 09:30:28.08 ID:iwqQ/e3V
>>338
参考にどうぞ。
ttp://www.youtube.com/watch?v=LtvBySwZ678
刺身で食べるなら海苔も欠かせないよね。
340 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/08/10(水) 11:00:40.60 ID:mFmT4jMC
>>339
おお、ありがとう
デカい砥石使うわけじゃないんだな
341 名前: 忍法帖【Lv=40,xxxPT】 [sage] 投稿日:2011/08/10(水) 20:30:34.90
ID:TVrK4BRF
新参者で御座います。
>>309
主義を曲げてまでの解答を要求してしまい、申し訳ありませんでした。
過去スレにて他所の作品のキャラを借りておいて、あの扱いはどうか?
という論争があったもので、つい。
前述しましたが、初回投下の痛恨の極みもあってずっと気にはなって
いたのですが、本来の作者様からそう仰られてホッとしました。
ここまで言って頂けた以上は今迄以上に努力させて頂きます。
PS,狂犬と小ビス子が見たいなー。 携帯版やってないから見れないしー
帰ってきた小ビス子と430みたいな、携帯版での話とかー・・・。
>>337
投下乙です。
特徴有りまくりの美ス男の口調は苦労したのでは? こうして違う角度から
見るのもいいですねぇ。
ガーディアンズだってずっとミッションに行っている訳でもないのですから
こういった日常だってあるはずです。
それを言ったら素材集めで何故か人間ドラマの様なものになった自分などは
一体・・・。
>>338
刀の研ぎの最後の仕上げで指で擦っていたように見えるのは小さく切った
薄い鹿の皮を用いる事があります。 流石に映像の中では解説されていません
でしたが。
342 名前:赤箱のリトルウィングレポート[sage] 投稿日:2011/08/11(木) 00:18:05.86 ID:YqK6XC6L
赤箱「ヤオロズって何?」
GH-450「リトルウィングでのミッションのボスですね」
GH-452「背中に塔を乗せた狐の姿してる、こっちに遊びに来た神様みたいなものね」
赤箱「あ、まだいたんだ」
GH-450「中の人がリクエストに弱いので」
GH-452「何の話?」
GH-450「ヤオロズでしょう?四肢と額に仮面を着けていまして、それを彼女の決めた準に壊すとクリアです」
赤箱「戦うんじゃないんだ?」
GH-452「祀られてる神様が遊びに来てるだけだもん、遊ぶだけよ」
GH-450「まあ余裕で戦闘不能になれますが」
赤箱「気安い神様だなオイ」
GH-450「で、遊びの最中に『試練』と称し課題が出されます」
赤箱「課題?」
GH-450「20以上チェインを繋げ、とか五回ジャストガードしろとか…太鼓を叩けとか」
GH-452「成功するとヤオロズ様が『妖艶なポーズ』を見せてくれるのよ」
赤箱「いや狐に妖艶なポーズ見せられても」
GH-452「そのポーズしてくれる時に背中の塔を壊すとクリアボーナスの箱が増えるのよ」
赤箱「ああ、なるほど」
GH-450「私の主人はビーストなので本当に妖艶に見えていないだろうか気が気ではないですが」
赤箱「まあ神様がポーズ決めてる自体でなんだかなあ」
GH-450「御主人様の話では自然信仰としては信仰される姿で新旧が推測出来る場合が多いそうですが」
GH-452「本人が姿を見せてるんじゃ新しいとか古いとかもねえ…」
GH-450「だいたい御主人様に気安いんですよあの女狐」
赤箱「そのまんまなんだよな多分…」
GH-450「最近寝取られブームですし心配で…まあ箱様のおかげで杞憂とわかりましたが」
GH-452「あんた視点で寝取られんの?!ガチムチビーストが狐に?!」
赤箱「どんだけコアだよ…単価こんくらいならペイするかな」
GH-452「薄い本つくらないでよ!」
GH-450「ここは副業も自由じゃないですか」
GH-452「そういう話じゃないでしょ!!」
赤箱「巻末オマケくらいなら」
GH-450「御主人様の話ですとコキュというのがさる地方の言葉で寝取られを意味しまして」
GH-452「あたしの話聞きなさいよ…」
GH-450「コキュートスは氷と全然関係ない地獄だと思ってた方がいたそうです」
赤箱「帝コキュの逆襲とか」
GH-452「タイトルつくんな!」
GH-450「ファックな箱ですね」
343 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/08/11(木) 00:21:57.04 ID:YqK6XC6L [2/2]
とかとりあえずヤオロズの説明書いてたら明らかにタイミング逸れた
ファックにレスくれてた方ありがとうね
携帯厨な俺はレス辿りにくいからアレだけど
344 名前: 忍法帖【Lv=40,xxxPT】 [sage] 投稿日:2011/08/11(木) 02:46:52.66
ID:O2qL+JZM
>>343
投下乙です。
タイトル元に戻ってますな。
本気で薄い本作ろうとしているのが450らしいというか・・・。
丁度そろそろ時期だし・・・。 行かなくなって早数年。
345 名前: 忍法帖【Lv=1,xxxP】 [sage] 投稿日:2011/08/11(木) 11:11:29.91 ID:fiSwocBI
>>341
割と癖の強いキャラは特徴を掴みやすいので表現しやすいですね。
今回は、前回から引き続き女帝と今回初の美ス男をお借りしましたが、
女帝の方が書きにくい感がありますね。
>>343
投下乙です。
夏の祭りに一度どんなものなのか行ってみたいとは思うものの、相当な地方住まいなんで
行くだけでも大変なんですよねぇ。
346 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/08/11(木) 12:08:06.31 ID:yNuLeTRR
祭会場で御主人と440の薄い本なら買った事ある。
だって目の前にあったら買うよね?
347 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/08/12(金) 00:11:06.83 ID:MK+ExEoX
くそう
祭りにさえ行った事があればきっといいネタになったのに
348 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/08/12(金) 00:57:26.71 ID:gU508tHr
_____
|__ \ :::::::::/|
| | |__::::_| |
へ. \ Y |ヘ
〔_\_|___|___ノ_ 〕
| :: ( :::::;ヘ;; ;;ハハ::::.}
|:(@:)イ-‐ ‐ ,'::.ノ <読んだ奴はポリマーもってこい
ム;:::リヘリ、 ( フ_ノツ
ムル/';:'`.7/ ̄ ̄ ̄ ̄/
.(__.]つ/ GH-440 / カタカタ
. ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\/____/ ̄ ̄
とかいう本なら買ってもいい
349 名前: 忍法帖【Lv=40,xxxPT】 [sage] 投稿日:2011/08/12(金) 03:51:40.45 ID:PVfl7GbN
[1/33]
>>345
新参者で御座います。
美ス男は口調で書き難いかもしれませんが、行動原理が単純なので使うには
動かし易いかと。
今迄投下した際にこれといってキャラの性格設定して書いた事は無いですが
自分にとっては女帝は書き易いです。
寧ろ一番苦労したのが新参者版不死身こと440ちゃんですか。
とある440と金髪の少女&彼女達の一番長い日などを何度も見ながらでも
難しかったです。
今となっては若干性格が440ちゃん方向になったようで以前ほどは苦労は
しなくなりましたが。
そして今迄440ちゃんとしてでも書いていたせいか、本来の不死身の方も
こうなりまして。 どうなったかはこの後の投下にて。
350 名前:440と変な美ス男83[sage] 投稿日:2011/08/12(金) 04:04:55.08 ID:PVfl7GbN
[2/33]
豆腐店を後にしてニューディズの商店街を抜け、繁華街の適当なレストランで遅い昼食に
する事にした美ス男とGH440。
「んー。 440ちゃんの提案でお豆腐、お鍋、糸蒟蒻の情報で一石三鳥って、まるで
幸運の女神ねぇ」
「その形容は却下します」
レストラン内で子供用の椅子に座って美ス男と向かい合っていたGH440が椅子から
降りるとソファーに座っていた美ス男の横によじ登り、膝立ちになって美ス男と目線の
高さを合わせる。
「幸運の女神などという、誰もハッキリと見た事の無い存在と違い、私はこうしてマスターの
目の前に在ります。
マスターの主張と価値観が変わらない限りはこのまま在り続けます。
都合の良い時にのみ思い出されたり、頼られる様な存在とは私は違いますので」
美ス男は立ち上がるとGH440を横抱きに抱き抱え、先程まで座っていた子供用の椅子に
座り直させた。
「そうねぇ。 440ちゃんはやっぱり、他のものでも無い440ちゃんよねぇ」
往来で3度目のお姫様抱っこ。 そんなに私に慰謝料を請求される事が好きなのですか、
ご主人様は? 素材が揃った後にお買い物は約束させてますから、それなら今回はお買い物の後に
映画に連れて行って貰うという事にでもしましょうか。
351 名前:440と変な美ス男84[sage] 投稿日:2011/08/12(金) 04:07:53.23 ID:PVfl7GbN
[3/33]
「やっぱり、見た事も無い神様よりもこうして目の前で見れる方がいいわぁ」
「当然です。 私は身嗜みを忘れる程終わってはいませんし、常日頃から努力を怠る程枯れても
いませんから」
遅い昼食を済ませ蒟蒻店へと向かった美ス男とGH440の目の前にあるのは店というよりは
どう見ても農家。 建物の側には畑と倉庫も存在した。 畑仕事をしている母子を見つけたので
近付いて声をかける事にする。
「こんにちわぁ。 以前蒟蒻を作っていたのはこちらでいいのかしらぁ?」
「こんにちわ。 はい、そうですが何方からその事を?」
一旦作業の手を止めた娘が汗を拭きながら答える。 初対面の相手のせいか、やや表情が硬い。
「お豆腐屋さんのご主人が教えてくれたのよぉ」
「あの方ですか・・・」
「もし、何でしたら折角ですから、奥でお茶でも如何ですか?」
母の提案により母屋に向かう一行。 母屋の広間にて母の淹れてくれたお茶をご馳走になる。
352 名前:440と変な美ス男85[sage] 投稿日:2011/08/12(金) 04:10:37.93 ID:PVfl7GbN
「そういえばぁ、お豆腐屋さんのご主人の紹介だけどぉ、お豆腐と蒟蒻って同じ師匠とかぁ?」
「いいえ、違うと思います。 お豆腐屋さんの娘さんと私がジュニアスクールで一緒だったんです
暫くはメールのやり取りとかしていたんですが、ちょっと前から返事が来なくなって・・・」
「そうだったのねぇ・・・」
テーブルで手を組み、俯いて暫く考える美ス男。 顔を上げて娘さんの方に向き直ると、
重い事実を告げる事にする。
「隠すのは美しくないわぁ。 いい事、これから言う事を気を強く持って聞いてねぇ。
お豆腐屋さんの奥さんと娘さんはSEED騒ぎの際に亡くなったのよぉ・・・。
アタシ達ガーディアンズが不甲斐無くてゴメンなさいねぇ・・・」
「え・・・? そ、そんな・・・」 ダッ!
駆け出して広間を出て行く娘さん。 沈痛な表情で心配そうにその様子を見ていたお母さんが
向き直って口を開く。
「こればかりは、貴方方だけの所為ではありませんから。 そう、自分を責めないで下さい。
その事はどちらで?」
「頼まれてスキヤキの素材集めてるんだけどぉ、その際に寄ったお豆腐屋さんのご主人から直接
聞いたのよぉ・・・」
「スキヤキの素材ですか・・・。 お豆腐屋さんのご主人にお会いしたのでしたら、今は蒟蒻を
作っていない事もご存知の筈ですが?」
「その通りよぉ。 お豆腐作って貰った後に聞いてみたらぁ、お豆腐屋さんのご主人が娘さんが
作り方を教わっているんじゃないか、って教えてくれたから来てみたのよぉ。
暫くはそっとしておいてあげた方がよさそうねぇ」
「そうですね・・・。 確かに、娘はよく主人の手伝いをしていましたから・・・」
353 名前:440と変な美ス男86[sage] 投稿日:2011/08/12(金) 04:13:48.41 ID:PVfl7GbN
[5/33]
娘さんの出て行ったドアの先を見つめる美ス男とお母さん。 互いに俯いて暫く沈黙が続いたが
美ス男が顔を上げてお母さんに提案を持ちかけた。
「まだ蒟蒻作りの道具と材料って残ってるのかしらん? もしも残ってるなら、アタシに
譲ってくれないかしらぁ?
娘さんが落ち着いたら、作り方知っているか聞いてみて作り方解るのならアタシが作れるか
試してみるわぁ」
「はい、どちらも残っています。 道具は時折娘が手入れしていたようですし、蒟蒻芋自体も
まだ収穫はしていますので」
「そうなのねぇ。 今日はこれで帰るわぁ。 お茶ご馳走様ねぇ。 明日また伺っても構わない
かしらん?」
「はい。 ただ、娘の方は会える心境かどうか・・・」
「その時は仕方がないわよぉ・・・。 お友達、あんな事になっちゃったんだしぃ・・・」
お母さんに挨拶して一旦自室に戻る美ス男とGH440。 取敢えずは焼き豆腐の入った
クーラーボックスを倉庫に移す。
354 名前:440と変な美ス男87[sage] 投稿日:2011/08/12(金) 04:22:37.63 ID:PVfl7GbN
[6/33]
「ガーディアンズって、一体何なのかしらぁ・・・。 アタシの所に来たGH101ちゃん、
440ちゃんのご主人様、お豆腐屋さんの奥さんに娘さん・・・。
護れなかった事ばっかりじゃないのぉ・・・。 それでも、名前だけはガーディアンズ
なのよねぇ・・・。 可笑しいわぁ・・・」
倉庫にクーラーボックスを移し終えた美ス男がベッドに腰を降ろして呟き、ベッドに
座ったままで上半身を後ろに倒す。
倉庫にクーラーボックスを移し終えたGH440がベッドをよじ登って美ス男の隣に
座るとご主人様の太腿の上に手を添えてご主人様の方を見ながら話し始めた。
「ですが、少なくともマスターは私を公安部からの回収から護ってくれました。
私にとってはマスターはガーディアンズなのですから、それでいいかと。
それに、まだマスターが護りたいと思う美しいものは幾らでもあると思いますよ?」
そう、私にとってはガーディアンズなのですから。 それにこういった話の流れになると
ご主人様の次の台詞は。 顔を正面に向きなおして目線を天井に向けて呟く。
「「そうねぇ、弱音を吐くなんて美しくないわぁ」」
ほら、ハモった。 それも一字一句、違う事無く。 やれやれ。 本当解り易いけど、
毎回手間のかかるご主人様ですね。 まったく。
355 名前:440と変な美ス男88[sage] 投稿日:2011/08/12(金) 04:25:01.62 ID:PVfl7GbN
「あはは。 440ちゃん、解ってるわねぇ。 そうよぉ、美しいという事は何よりも
優先されるのよぉ!」
美しいものが好きなご主人様は落ち込むとか、クヨクヨするとか、美しくないものが
嫌いなだけに立ち直るのも早いのでしょうね。 ええ、そんな姿は美しくありませんから。
ベッドから立ち上がって「んー」、と背伸びをしてカレンダーに向かうご主人様。
カレンダーを見ながら思案中。
「こっちの集めるのは玉子で最後になるといいんだけどぉ。 こればっかりは何とも
言えないのよねぇ」
「どちらにせよ玉子が採れるようになる期日までは時間がありますし、もう一度
蒟蒻を作っていた農家に行くのも明日です。
他の素材は集まっているのですから、たまにはゆっくり休むなり、気分転換でも
いいのでは?」
「そうねぇ。 気分転換もいいかしらぁ。 ん?」
ご主人様が何かを思い出したらしく、ヴィジホンで着信済みのメールを調べ始めました。
分類して格納しているファイル名は店、とないっています。 着信の日付けは比較的に
新しいようですが。
356 名前:440と変な美ス男89[sage] 投稿日:2011/08/12(金) 04:27:01.94 ID:PVfl7GbN
「じゃ440ちゃん、気分転換に外食でも行きましょうねぇ」
「この時間からですか? 夕食の時間には、まだ早いかと。 という事はマスター、
目的は夕食ですか、それとも?」
「あら。 両方よん」
「今回はちゃんと唯の外食ですよね? 以前ピクニックと称してミッションに連れて
行ったという前科がありますから、先ずは疑ってかかるの適切かと」
「あら。 今回は大丈夫よぉ、行き先リゾートコロニーだしぃ・・・」
「それでしたら、大丈夫そうですね。 では、支度がありますので」
ドレッシングルームに向かうGH440。 その間に美ス男は渡航申請とPPTシャトルの
予約を済ませる。 待つ事暫し。
普通ならそういった大抵は長時間待たされる事になってイライラし始めるのだろうが、
美ス男の場合はむしろ時間をかけてどれを選ぶのか、という事をかけた時間の長さの分だけ、
期待するのであった。
「お待たせしました、マスター。 では、行きましょうか」
「はぁい。 あら。 8番にしたのねぇ」
「ええ、まだ着た事がありませんでしたので。 これを見て解るのはPM同士でも少ないと
思いますよ? 即答すのは尚更の事ですが」
「そりゃあ、お買い物の時に一緒にいたしぃ。 見えない所や気が付きそうに無い所に
拘るのがオシャレなのよねぇ」
美ス男とGH440が4階のPPTシャトルポートより向かった先は、近頃完成した
リゾートコロニーのクラッド6である。
357 名前:440と変な美ス男90[sage] 投稿日:2011/08/12(金) 04:29:51.14 ID:PVfl7GbN
[9/33]
「んー。 何か解りにくい案内板ねぇ。 美しくないわぁ」
「案内板に美しさを求めるのは、マスター位だと思いますが? 現在位置と区画表示が
解ればいいだけの存在ですから」
着いて早々の区画表示の案内板を見て不満の声を上げる美ス男。
不満の内容が行きたい場所が探し難いせいなのか、美しくないという事なのかが怪しい。
むしろ、不満の内容を占める割合は後半の方が多そうだが・・・。
「あれ? PM連れて案内板見てるって、珍しいー。 PM連れてるんだから、
観光客って事ないよねー。」
「その過程を吹っ飛ばして結論を出す癖は修正した方がいいですよ、マイマスター。
幾つか仮定する要素があると思いますが?
いつもそうやって過程を省いたりするから変な子扱いされるのですよ? あ、失礼。
変な子扱いじゃなくて、変な子でしたね」
「くあー、アンタって、本っ当にそういう所変わらないわねー・・・」
歩きがてらに先の方に見えた案内板を見ている美ス男とGH440に対して
興味本位の意見を言う赤い服に金髪の少女。 見た目からして15~16歳位だろう。
その意見に対して率直な自分の感想を述べるGH440。
後半は寧ろバッサリご主人様を斬り捨てたような気がするが・・・。
そんな調子でご主人様を言い包めていたというか、一方的にPMらしからぬ感想を
述べていたGH440がふと、案内板を見ている美ス男のGH440に目が留まる。
(あのGH440、もしや?)
358 名前:440と変な美ス男91[sage] 投稿日:2011/08/12(金) 04:35:10.51 ID:PVfl7GbN
「どうやら、行き先が解らないようですので教えてあげては? どうせ暇でしょうから」
「そりゃ別に構わないけど、何でアンタってそう一言多いかなー・・・。
でも、アンタの方からそういう事言ってくるのって珍しいんだけど?
明日、大雪でも降るんじゃないの? そうなりゃ、仕事行かなくていっかー」
「コロニー内に雪が降るとでも? これだから、浅学者は、まったく。
ニートの才能も変わらないですし」
「アタシは夢見るヒューマンなのっ! それに、ニートって何よっ!
アタシはちゃんと仕事してるっつーの!」
ぎゃあぎゃあと叫び始めた少女を無視して美ス男達の方に歩き出すと、美ス男に
声をかけるGH440。
「失礼、ミスタ。 見た所お困りのご様子ですが、私でよければご案内致しましょうか?」
「あら。 ありがとう、嬉しいわん♪ この場所に行きたいのよねぇ」
美ス男が携帯端末を取り出してヴィジホンからダウンロードしたレストランの画像と
住所を呼び出しすと、しゃがんでもう一方のGH440に見せる。
画像の場所はホテル内のレストランでどちらかというと高級というよりはファミリー
向けのバイキング形式が売りだった。
「その場所でしたら、解りますよ。 海岸区画の方ですから、こちらになります。
ご案内しますね」
「ちょっとー! 何、ご主人様放っておいて、勝手に行くかなー? アンタ、本当にPM?」
ゼーハー、ゼーハー、と息を切らせながら慌てて駆けて来た先程の金髪の少女が
呼吸が落ち着くと文句を言い始めた。
359 名前:440と変な美ス男92[sage] 投稿日:2011/08/12(金) 04:40:26.73 ID:PVfl7GbN
「あら。 アナタのご主人様かしらん? ゴメンなさいねぇ、ご主人様無視させちゃってぇ」
「いえ。 無意味な事を喚き続ける相手に付き合う事よりこちらの方がよっぽど有意義です」
「アンタってば、本っ当にPMなのー!? そこまで言うか、ふつ(普通)ー!」
「はい、PMですが。 それとも私がスヴァルタスにでも見えますか? もしもそう見える
のでしたら一度メディカルチェックを受けた方がいいですよ、頭の。
それに何度も同じ事を言うのは馬鹿の様に見えますが? あ、失礼。 馬鹿の様に
見えるのではなく、馬鹿でしたね。 やはり一度、メディカルチェックを受ける事を
お薦めします、馬鹿まで治るかは怪しいですが」
道案内を買って出たGH440に反論の余地無く集中砲火を浴びて轟沈する金髪の少女。
それを見守るしかない美ス男とGH440。 散々言われまくって腰を曲げて両手を膝に
置いた金髪の少女の目線がGH440と合った。 フッ、と目線を反らすGH440。
止めを確認した美ス男がやっと口を挟む。
「アタシは美ス男、こっちは440ちゃん。 この場所に行きたくて案内板見てたらぁ
このGH440ちゃんが道案内してくれるって言ってくれたのよん」
「う゛。 あたしはエミリア・パーシバル、この可愛くないのがGH440」
美ス男の口調に戸惑いを隠せないエミリア。 隣のGH440は何か言いたげだったが
揃ってお互いのGH440共々に会釈する。 自己紹介を終わらせてホテルに向かって
歩き出す一行。
(尚、今後は区別の為に一方を元不死身と表記します)
360 名前:440と変な美ス男93[sage] 投稿日:2011/08/12(金) 05:14:06.53 ID:PVfl7GbN
「PMがいるって事はぁ、エミリアちゃんもガーディアンズなのぉ?」
「あたしはリトルウィングってPMCの所属だよ。 人使いが荒くて嫌になるわー・・・」
「それは唯単にマイマスターの要領が悪くて、結果的に仕事が増えているだけです」
ジト目で思いっきり睨みつけるエミリアを何処吹く風と、柳に風な様子でGH440の
服を見ながら話を続ける元不死身。
「そのPMスーツは外出用ですね?」
「はい、8番です。 買ってから今迄着た事がまだ無かったので良い機会と着てみました」
「なるほど。 最新ですか。 ここ暫く新しいデザインに新調していないので、私は
5番までしか知らないんです。 理解の無いマイマスターの所為で」
自分のPMスーツのスカートの端を掴んで見ながらやれやれ、と頭を左右に振りながら
溜息を付く元不死身。
「ちょっと、何よー! どうせパッと見で変わらないんだから、何だっていーじゃないー!」
「まったく。 マイマスターとて序列最下位とはいえ、レディの端くれでしょうに。
そんな事だから貴方のいう所のおっさんこと、代表役に何時まで経っても子供扱い
されるんですよ? やれやれ」
おっさんこと代表役の台詞でも思い出したのか、ヒートアップし始めたエミリアが反撃に
出る。 俄然、旗色の悪いままに。
「何時間も何時間も、帽子選びに付き合わされるこっちの身にもなりなさいよっ!」
「選ぶ際の違いと拘りに気が付かないとは、これだから。
それにそうやって直ぐにむきになるから子供だというのですよ。
最も、子供扱いの理由はそれだけではないと思いますが」
呆れた口調の後に目線をエミリアの胸元に移す元不死身。 そして意味有り気な余裕の
表情。 頭に血が昇ったエミリアは気が付いていないが。