201 名前:魔性5の作者[sage] 投稿日:2011/07/07(木) 19:19:09.83 ID:Le1oSoVl [6/6]
現在書きかけがあるのですが、ふと書きたくなってこちらを書いて先に
投下しました。
今回の作品はFFS(ファイブスターストーリーズ)という漫画の1シーンを
台詞とシュチエーションをPSU風に直しただけで、ほぼそのままで使っています。
この部分が好きなものでついつい書いてしまいましたが、原作がある事を予め
言わせていただきます。
人為らざる強さを持つ騎士と、それに使える人造生命体のファティマ。
ファティマがマインドコントロールされていたり、人権が無いなど幾つかPMと
共通点があり、何となくPMとの関係とだぶって思えました。
そして困った点が二つ。 一つは今回の作品で区切りが微妙になってしまった事。
もう一つは自分の場合今迄に通しの作品などが無いので他の方々のように特定の作者名の
表記が出来ない事です。
自分で特定のペンネームのようなものでも考えた方がいいのでしょうか?
コテハンを付ける気は無いですが。
202 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/07/07(木) 21:12:02.69 ID:bmWK0Mf/
>>201
>>1
あと、名乗ってる人はほとんど居なかったけどキャラや設定や作風で分かる。はず
203 名前:とある440と金髪の少女1[sage] 投稿日:2011/07/07(木) 21:13:38.80 ID:g9RcVyMD
[1/9]
※投下ネタは、PSPo2のストーリーモード第一章を題材にしています。
※『ゲームは事前情報無しでやる流儀』な方はご面倒ですが読み飛ばしお願いします。
…どぉ…ん
唸りにも似た鈍い衝撃に、スリープモードだったOSが通常待機に切り替わる。
…どうにも私はこの切替が遅い。人で言うなら寝起きが弱いといったところだろうか
薄ぼんやりとした視界が映し出すのは、海底レリクスのほの暗い景色。
…今の音は…何?
寝起きの感覚を確かめるように、ゆっくりと右手を伸ばし、開いた掌を握り込む。
駆動音…、だいぶ悪くなってきましたね…。出力も安定してないし、OSは各部機能の動作異常のアラートで真っ赤っ赤。
私の寝起きがどんどん悪くなっていってるのは、案外私の性質だけじゃないのかも。
服もとっくにボロボロで、これじゃボロ切れを体に巻き付けてるのと変わらない。
綺麗好きの私にとっては、自分の稼動異常なんかよりこっちの方が深刻な問題です。
はあ…、やれやれというか、何だかなぁというか…。
うるさく鳴り続けるOSアラートを無視して、私は体を横たえていたレリクスの冷たい床から立ち上がる。
さっきの衝撃の正体はわからないけれど、どういうわけか、停止していたはずのレリクスが起動してる。
このレリクスはまだ未発見のはずだ。だからこそこうして私の隠れ家にしているのだから。
「何か」もしくは「誰か」に反応して起動したとするなら…、確認しておいた方が良さそうです。
未踏のレリクスが発見されれば、調査隊やらガーディアンズやらがアリの如く群がってくるわけで…、
――お尋ね者の私には、引越しを余儀なくされるということですから。
204 名前:とある440と金髪の少女2[sage] 投稿日:2011/07/07(木) 21:15:03.08 ID:g9RcVyMD
[2/9]
レディの最後の気位として、ぱんぱんとボロ切れ同然の服のホコリを払い、右手は無意識に頭の上へ。
帽子がズレてないか確かめ――、
ああ、もう、癖というのは直らないものですね。
帽子だって、とっくにどこかに無くしてしまったというのに。
* * * *
「ぎゃああああ! もーヤだああああ! あっちいってよもぉおおお!」
レリクスの通路に、いまいち逼迫感のない悲鳴が響き渡る。女性…、というか、女の子でしょうか。
道すがら、知覚センサーを最大まで広げてサーチしたけれど、私を中心とする半径3kmの中にある人物反応は一つだけ。
…なら、この甲高い悲鳴の持ち主でビンゴでしょう。…あああ、反響しまくる悲鳴はもう高周波だ。勘弁してください。
足早に通路の角を曲がると――いた。赤い服にショートカットの金色の髪。歳は15、6くらいでしょうか。
そんな女の子が、一匹の原生生物相手にセイバーを振り回してる。
なんなんでしょうかアレは。太刀筋が悪いとかそんなレベルじゃない、言葉通り振り回してるだけです。
「ホントやだってばああああ! おっさんいないのぉおおお!?」
戦闘職とは思えない。盗掘屋か調査員…、でしょうか。一緒だったらしい仲間とはぐれでもしたか…。
まあ…、これならどうやら差し迫った私の危険はなさそうです。
ここの原生生物はそんなに多くないし、生体レベルも高くない。
あの少女も、余程運が悪くなければそのうち一人で出口まで辿り着けるでしょう。
…じゃ、そういうことで。頑張れば自分でなんとかなるでしょ。
「誰かあぁああああ! ちょっと助けてよってばああああ!」
205 名前:とある440と金髪の少女3[sage] 投稿日:2011/07/07(木) 21:16:30.16 ID:g9RcVyMD
[3/9]
……ああ、もう。
不格好な戦い方を見てたら、不意に『あの人』を思い出してしまった。
それと――あの人なら、どんなに自分が弱くても、損得抜きに迷わずあの子を助けるだろうことも。
ため息ひとつ。右手はナノトランサーからエビルツインズを取り出していた。
これも、片方壊しちゃったから正確にはもうツインズじゃないんですけどね。
システム、スタンバイ。
接続済み全機能強制支配プログラム――起動。
全身のアクチュエーターのセーフティー解除。
メインフォトンリアクターを全力稼動。
そして――リミッターの…解除!
ずしんとした衝撃が全身に走り、体が猛烈な熱を発し出す。
今の私の体じゃ、この状態で稼動出来るのはせいぜい5秒でしょう。
一歩を踏み出すと同時に、景色の境界線が溶ける。あの子の場所まで距離50m弱。到達まで2秒は必要ない。
原生生物が、刃状の右腕を振り上げるのが見えた。
あの子とてシールドラインは身に付けているだろうし、直撃したとて命に別状はないでしょうけれど…まあ、そうですよね。
女の子だもの、体に怪我なんかないほうがいい。私みたいにボロボロの傷だらけじゃない方がいいに決まってる。
「…え?」
だから、助けてあげますよ。
唐突に間に割って入った私に向けられたぽつりとした声に胸中で答え…、
振り下ろされた刃を右手の先に発生させたシールドラインで受け止める。
弾かれた勢いで原生生物がよろめいた瞬間には――、
エビルツインズの片割れから打ち放たれたフォトン弾が、その上半身を丸ごと吹き飛ばしていた。
206 名前:とある440と金髪の少女4[sage] 投稿日:2011/07/07(木) 21:17:54.29 ID:g9RcVyMD
[4/9]
「…すっご…」
ずしん、と原生生物の下半身だけが通路に崩れ落ちるのを確認して…、
「離れた方がいいですよ。…緊急廃熱しますから」
「え、何、え…?」
全身の過剰運転命令を停止させ、蓄積された熱を体外に放出しないと。
ばしゅうぅううう
「うぁッちーーーーー!」
全身から吹き上がった水蒸気に、少女は悲鳴を上げて転がり逃げる。
「だから離れてって言ったのに」
「言ったら離れるまで待ってよね!?」
「怪我がなくて良かったですね」
「火傷しそうになったけどね!」
相変わらず甲高い、子供っぽい声です。
「…ともあれ…、ありがと。助かったわ。――ていうか、貴方……」
改めて私を確認したのか、少女はきょとんと――
「パートナーマシナリー…?」
「はい。こんな恰好じゃわからないかも知れませんが、GH―440です」
体はボロボロ、服もボロ切れ、揚げ句に帽子までないですから。
「ふぅん…? あ、じゃあ貴方のマスターはどこ? 一緒でしょ?」
まあ…、そう思うのが普通でしょうね。
廃熱の終えた腕の具合を確かめる。――今のでトドメが刺さったみたいです。感覚がおかしい。
「私には所有者がいません。その理由と、何でこんな場所にいるのかは、まあ…好きに想像して下さって結構ですよ」
どうでもいいことですしね、と軽く肩を竦めて見せる。
207 名前:とある440と金髪の少女5[sage] 投稿日:2011/07/07(木) 21:19:20.59 ID:g9RcVyMD
[5/9]
「…なんでそんなにボロボロなのか、っていうのも?」
廃棄寸前みたいな私の姿に、少女が少し哀れみの表情を浮かべるのが見えて…
「はい、ご想像にお任せします」
私はにっこりと笑ってそう返す。ヒトに、そういう顔をされるのは嫌いですので。
「とにかく――ありがとう。あたし、エミリア・パーシバル」
「ご丁寧に。…名乗り返したいのですが生憎名前もない身です。必要とあれば、型番通り440とでもお呼び下さい」
「あたし、リトルウィングっていう民間軍事会社の登録なんだけど…、戦うのとか全然ダメなんだ」
リトルウィング…、ちょっと聞いたことがある。
クラッド6とかいうリゾート衛星の中に本部を構える民間軍事会社、でしたっけ。
…ガーディアンズ同様、職員にPMを配備してたはず。それのおかげで記憶に残っています。
「あのさ…、助けてもらっておいて更に申し訳ないんだけどさ…、迷ってるの。出口とかわからない?」
「…ええ、その申し出が来るのは概ね予想通りの展開です」
まったく、気紛れなんて起こすものじゃありませんよね。本当に――ヒトなんて、キライなのに。
208 名前:とある440と金髪の少女6[sage] 投稿日:2011/07/07(木) 21:20:38.22 ID:g9RcVyMD
[6/9]
「…ていうの。ひっどいよねー! あったまくるよ、おっさん全然あたしのことわかってない!」
「…はあ」
道中は、実に賑やかだった。実に。ぶっちゃけやかましいくらいに。
「戦闘もダメ、調査もダメ、意欲もナシ、…エミリア、貴方がおっさんと呼ぶ方の苦労が実に忍ばれます」
「アンタそれひっどくない!?」
「挙げ句の果てには、出会って15分、しかもまがりなりにも恩人をアンタ呼ばわりする社交性のなさ…。
エミリア、貴方にはニートの才能がある。ド級の」
「――か、かわいくない…」
そうですか? 私は可愛いと自覚しているのですけれど。
「そういえば、原生生物にちっとも遭わなくなった気がしない?」
「元々このレリクスに巣食っている原生生物はそれほど多くありません。
それに、範囲200mで常に生物探知を行ってルート検索しています」
「…PMってそんなこと出来たっけ?」
おっと、これはこれは薮蛇でしたか。
「当然です。これくらいPMの嗜みです」
「ウチの会社で使ってるPMにそんな機能があるのいたっけ…」
「帰ったら確認してみたら如何です?」
あっさりとそう言ってごまかしておく。
どのみちこんな会話も、この少女を出口まで送り届けるまでの間の馴れ合いだ。
彼女がそれを確認出来る頃には、私は彼女の側にはいないだろう。
「確認ね…。レリクスが起動しちゃったついでに通信妨害も始まっちゃったよ。これじゃ助けも呼べやしない」
「救難信号は出し続けているのでしょう?
出口に近付けば通信妨害も少なくなるでしょうし、それまでは自力でなんとかするしかありませんよ。
…まずは無駄口を閉ざして体力を温存するのをお勧めしますが如何です?」
209 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/07/07(木) 21:33:53.01 ID:3CylrYOh
>>203です …サルさん食らいました…
投稿久々過ぎて感覚が… orz
少し間を置いて区切ります ごめんなさいぃ…
210 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/07/07(木) 22:43:49.62 ID:RYIA8W+n
おお、人がいる良かった!
211 名前:とある440と金髪の少女7[sage] 投稿日:2011/07/07(木) 22:48:11.99 ID:g9RcVyMD
[7/9]
「…ウチにもPMはいっぱいいるけど、アンタみたいのは初めてだわ」
恨みがましい視線と言葉を柳に風と受け流し、
「…ただ、ずっと静止していたレリクスが、何故今突然に起動したのかは気になりますね」
「ああ、それよ。あたしは私も気になってるの」
エミリアはぱたぱたと私の前に走って回り込み、後ろ向きに歩き出す。
私の対面で話をしたいのだろうけど…、それで転んでも私は知りませんからね?
「今まで発見されていたレリクスはSEED襲来があったときに機能を覚醒させていたけれど、それは全部ってわけじゃない。
SEEDが散布する素粒子に反応して起動してるみたいだけど、同時に磁場の乱れも観測されてるから――」
…へぇ…。私はちょこっと感心して、目を細める。
「けどまあ、それだけじゃないと思うんだよね。SEEDは三年前に一掃されているのに、こうして起動してるわけでしょ。
レリクス自体が何らかのプログラム管理である以上、トリガーとなるのも、それに準じた……」」
彼女の講釈は絶好調だ。今じゃ軽く目を閉じて指まで立て、完璧に悦に入ってる。
――何故かイラっとくる。こう、私の立場はこうじゃない、と、私の中の何かが囁くのだ。
「…で?」
「へ?」
呟くと、彼女はきょとんと聞き返して来た。
「結論は?」
真っ直ぐに、無関心をアピールする平らな眼差しを送ってあげる。
「先に聞かせて下さい。貴方のその推論は、明確な結論に収束しますか?」
「…いや、その…、だから何でかなー…、ていうか…、その」
「私が今聞きたいのは結論だけです。何故このレリクスは起動したのですか? エミリア・パーシバル」
212 名前:とある440と金髪の少女8[sage] 投稿日:2011/07/07(木) 23:02:56.53 ID:g9RcVyMD
[8/9]
きっかりと告げると…彼女はそれきり黙り込み――やがて、ぽつりと。
「…わかんないです」
なんだか泣きそうな声だった。おお、ぞくぞくする。なんでだろう。
「聡明な私を前に虚勢を張りたくなる気持ちもわからなくはありません。
けれど折角の『私実は頭いいんだよ』アピールも、結論がないという弁論状最も恥ずべき事柄の前では、
ただの『頭が可哀相な子』アピールでしかありませんよ?」
「アンタだってわかんないんでしょ!? 何でそんなびっくりするくらい上から目線なの!?
何でそんなスラスラと絶望しかない台詞が出てくんの!? アンタホントにPM!?」
「言葉に詰まるとすぐ怒鳴る。貴方から溢れ出す浅学非才オーラに涙が出てきました。めそめそ。
ああ、本当にごめんなさい、私が優秀なばっかりに、貴方の愚かさが際立ってしまうのですよね」
なおもぎゃあぎゃあと大騒ぎする彼女を軽くあしらいながら…
私はちらりと、澄まし顔の片隅で彼女を見遣る。
膨れっ面で私に食ってかかるこの少女――エミリア・パーシバル。
さっきのレリクス考察は…、1冊2冊の研究書を読んだ程度では出てこないはずだ。
かといって、この歳の少女が一生懸命勉強したとしても到底身に付く知識ではない。
この少女の名前には――ほんの少しだけ、心当たりがある。
それを聞いたのはもう、ずっとずっと前のことだけれど、もしかしたら――。
213 名前:とある440と金髪の少女9[sage] 投稿日:2011/07/07(木) 23:09:56.86 ID:g9RcVyMD
[9/9]
「あ、のさ?」
「何ですか?」
ひとしきりの罵詈雑言を言い尽くしたのか、呼吸が整う程度の沈黙を挟んで、彼女はぽつりと聞いてきた。
「さっきは…、結論を聞かせろって大威張りしてくれたワケだけど――、あのさ」
「…あのさ、が多いです。まるで馬鹿ですよ? あ、失礼、馬鹿ですか」
「うっく…、ま、まあいいよ…。あたしが言いたいのは、…結論を聞かせろってことは…、あたしの推論――、信じてくれたの…?」
何だ、そんなことですか。
「私は、貴方の推論に否定的な意見はありません。私もそう考えているからです。ただ、私もまた結論を持ち合わせていない。
だから、貴方の口から結論が出るのなら、それは是非聞いてみたかった。…そういうことですよ」
本当に、私にとってはただそれだけのことでしかなかったけれど、
「そっかっ!」
何だかとびきり嬉しい返事が聞けたみたいに、彼女は八重歯を見せて笑うのだった。
「じゃあ、さっきの話なんだけど、こういう風に考えてみるのはどうかな!?」
「…この場で結論に達することの出来る話題ではないでしょう…」
「まーいーからさー! ちょっと付き合いなさいよ! えっとね――!」
延々とした廊下の中、彼女と私の些細な縁は――もう少しだけ続くようでした。
--------
どこかにいたような440と、金髪ニート少女のちょっとしたお話です。
書き終わってはいるんですが、延々連投になるのもなんなので、続きはまた折を見て…。
>>181さん
以前小ビス子系を書いていたりしたモノだったりするのですが、私は別に大丈夫ですよー。
…最近のPSUだと、今ではもう変わってしまった設定もたくさんあるんだろうなあ…。
214 名前:ファックの人と呼ばれた事があった人[sage] 投稿日:2011/07/08(金) 03:45:42.19 ID:LnaG8V3j
[1/2]
投下乙
さる回避ったら間にレスあればいいんだったか?
必要なら言ってくれれば支援する
多分俺に限らず
215 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/07/08(金) 13:36:31.23 ID:sNIuyNA9
おわ、小ビス子の人お久しぶり
とある440、ってやっぱ小ビス子に出てたあの440なんだろか
216 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/07/08(金) 14:54:04.97 ID:LnaG8V3j [2/2]
この性能とエビルツインズでこの性格だし…
なんだか壊れてんの悲しくなるわ
217 名前:かつて『GH450の人』と名乗っていました[sage] 投稿日:2011/07/09(土) 00:54:20.73 ID:Ud6LwbQr
[1/2]
メインPCの巻き込まれ規制が未だに解除されない俺参上!
携帯から失礼。
>>213
おお、小ビスコ氏!お久しぶりです!
そして新作乙!
>変わった設定
PM関係は余り無いかな。
ってか、某ワンワンサンドの設定がこのスレでは続いていたりします。
折りを見ての投稿楽しみに待ってます!
>>214
一定時間H の間に最新の投稿数N のうちM回 投稿したら規制。H N Mは板毎に違う だったかな。
勿論、支援参加だぜb
218 名前:とある440と金髪の少女10[sage] 投稿日:2011/07/09(土) 01:21:40.96 ID:+WoDp9K1
[1/11]
さるさん警戒しつつ、今夜もちょこちょこと…
--------
エミリア・パーシバルという少女は、実に喜怒哀楽がはっきりしていて…、加えて底抜けにマイペースだ。
私の言葉にいちいち怒ったり落ち込んだりするくせに、6歩も歩けばころりと表情を転がして話しかけてくる。
…前世はニワトリで間違いないだろう。
彼女は色々話してくれた。日常的なことから学術的なことまで、何から何まで。
――それはまるで、今まで誰かに話したかったことを詰め込んだ袋を、目一杯に広げるみたいに。
思えば……、私も、同じか。
こうやって、誰かと――違うか、ヒトと、だ――ちゃんと話をするのは、一体いつぶりなんだろう。
そんなことを考えたら、ふと、目の前に銀紙の包みを差し出された。
「食べる?」
私の嗅覚センサーがこの日最高の精度を発揮したのは…正に今この瞬間でした。
「荷物の中にあったの。チョコレート。アンタも食べるなら半ぶ…ってもうないし!」
モギモギ
「なんでいきなり全部食べちゃってんのよ! あたしの分は!? あたしだってお腹空いてんのに!」
「さっきの助け賃と出口までの案内料がチョコレートいっこなら破格ですよね」
モギモギ
「アンタね!? お礼ならレリクス出たらちゃんとする気だったわよ! だからまずはチョコレート独り占めしたこと謝んなさいよ!」
げふっ
「常温なのが残念でした。冷やしておくべきでしたよ? 反省を促します」
「更に駄目出し!?」
ぐしぐしと、口周りについたチョコレートを袖口で拭っていると…
膨れっ面だったエミリアが、やがて、くすりと小さく笑う。
「何ですか?」
219 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/07/09(土) 01:24:44.88 ID:XJ2ejfl7 [1/10]
支援にきますた
220 名前:とある440と金髪の少女11[sage] 投稿日:2011/07/09(土) 01:31:40.25 ID:+WoDp9K1
[2/11]
「別に何でも。PMのくせに慇懃無礼で上から目線の変なヤツ、って思ったけど…、
チョコ好きで食い意地汚いなんて、案外可愛いトコあるじゃん」
「そうですね、可愛いところが見当たらない貴方にしてみれば、
嫉妬も致し方ありませんよね。私は寛大ですから怒りませんよ?」
「くあー…、ああ言えばこう言う…」
ジト目になる彼女を飄々と無視し――それでもまあ、…一応は…
「…とっても、美味しかったです」
「へっへ、どーいたしまして」
きしし、と歯を見せて笑う彼女の顔が何だか無性に腹立たしく、私はぷいと顔を背ける。
「この先のドアの向こうが大きなホールになっていますね。原生生物の反応は無し。出口はそのホールの正面奥です。
はあ、この疲れるやりとりもせいぜいあと5分でしょうか。やれやれですね」
……何だか、私もだいぶ調子が狂ってますね。ああ、本当に――やれやれ、だ。
そして、通路の最奥。
スライドして開くドアの向こう側には、広大なホールと――、
その中央で武器を構える、巨大な影。
「スヴァルティア!?」
…ああ、レリクスが起動しているということを、もっとしっかり把握しておくべきでした。
古の巨人兵器はハルバード型の武器を構え――このレリクスの異物たる私たちの姿を認識する。
丁度出口を塞がれた形です。流石に無視して通るわけにはいかないでしょうね…。
221 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/07/09(土) 01:33:43.21 ID:XJ2ejfl7 [2/10]
ほいっと
222 名前:とある440と金髪の少女12[sage] 投稿日:2011/07/09(土) 01:49:37.89 ID:+WoDp9K1
[3/11]
支援ありがとうございますー 念のため誤字訂正などしながらゆっくり目で落としていきますねー
--------
「ア、アンタけっこー余裕そうに見えるけど…、もしかしてなんとかする自信があったりする!?
助けてくれた時みたいに、ヒュッとやってバーンと倒せちゃったりするわけ!?」
「…いくらかパニック気味なんでしょうけど、その言葉の選び方はないでしょう。色々致命的だと言わざるを得ない」
「もーそんなのどうでもいいからさー!」
悲鳴を上げるエミリアを尻目に、自分の状態を確認する。…正直、確認するまでもないのですけれど。
状態は最悪だ。今更のことだけど、特に機動能力の低下が著しい。具体的に言うと――私はもう走れない。
「ご期待には沿えられません。私の機体はこれ以上の酷使に耐えられない。
自身の強制支配を行えば、今度はその場で爆発しかねない状態です」
「じゃ、じゃあ逃げよう! 出口ってここ以外にもあるでしょ!?」
「それも得策ではありません。スヴァルティアは私たちを認識しました。私たちの機動力ではあれからは逃げ切れない」
「それじゃ、えっと…えっと…!」
ああ、もう。
私はそっと、困惑に振り乱す彼女の手を取り、その掌を軽く握りしめた。
「よ、440…?」
「話はまだ終わっていません。貴方は少し、人の話を最後まで聞いた方がいい」
見上げると、ごくりと唾を飲んだ彼女が、しっかりと私を見下ろしてくる。
「今の私ではスヴァルティアの撃破は難しい。けれど手傷を与えることは可能です」
「…え?」
ぴくりと、エミリアの表情に微かな動揺が走る。…言わんとすることがわかったのでしょうか。
必要のないところで察しの良い人ですね。私はそれに気付かないフリをして、続ける。
「私はこの場でスヴァルティアを引き付け、脚部に攻撃します。貴方はその隙にフロアを駆け抜け出口を目指して下さい。
アレの機動力を幾らか削げれば、貴方のドン亀の如き脚力でも出口から逃げ切れる」
223 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/07/09(土) 01:52:25.00 ID:XJ2ejfl7 [3/10]
あいよー
ごゆっくり
224 名前:とある440と金髪の少女13[sage] 投稿日:2011/07/09(土) 02:01:01.00 ID:+WoDp9K1
[4/11]
「だ、駄目だよそんな、それじゃアンタは――」
「言い争ってる時間はありません。…来ます」
そう、まさに目の前には、斧槍を大きく振りかぶったスヴァルティアが迫ってる。
私は無感情にエビルツインズを抜き放ち、その脚部に狙いを定め――
「わあああああああ!」
唐突に、私はエミリアに抱きつかれ――地面を転がった。
直後、轟音を立て、私たちがいた場所の床がスヴァルティアの斧槍によって崩壊する。
「…千載一遇のチャンスだったと思いますよ? 今の」
「ばっかじゃないの!? アンタ、ほんっとばっかじゃないの!?」
のそのそとその場に身を起こすと、私より先に立ち上がっていたエミリアが、がっすと私の頭頂部を鷲掴みにした。…地味に痛い。
「そんなことしたら、アンタはどうやって逃げるのよ!」
「この場合、貴方一人が逃げ切るのが最も優先的で、尚かつ高確率です。私はそれで良いですし」
「良くないっ! あたしはねぇ――ッ! どんなに怖くっても、どんなにあたしが弱っちくても――」
陥没した床板から斧槍の先端を引き抜き……、無骨な動作で私たちへと向き直るスヴァルティアに――、
「アンタを置いて逃げるなんて、絶対にヤだっ!」
エミリアは、迷わず、抜き放ったセイバーを向けるのだった。
「大体さ! アンタだって言ったじゃん! 会ってお互いせいぜい数十分だよ!
そんな相手を、何でそうまでして助けたいのよ! 散々あたしのことバカにして! からかって! 何で今更――!」
225 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/07/09(土) 02:08:48.24 ID:XJ2ejfl7 [4/10]
し
226 名前:とある440と金髪の少女14[sage] 投稿日:2011/07/09(土) 02:16:49.04 ID:+WoDp9K1
[5/11]
何で。
何でかな。
そう言えば極当たり前にそんな選択をしたわけだけど、どうしてだろう。
きっと、胸中を探したらそれらしい言葉が見付かりそうな気はするけれど――、
「私は、ヒトが大嫌いです」
彼女の瞳に走る微かな動揺に――、私は、のんびりと笑顔を返し、
「でもね、エミリア。それでも私はやっぱりPMなんですよ」
その言葉は、自然と……笑って言えた。
肩越しに振り返っていたエミリアが――、何とも言えない顔をしてる。
私の言葉の意味が……、伝わったのだろうか。
「それなら私も聞かせて下さい。私はPMです。生存に権利はありません。どうしてそんな私を、躍起になって助けようとするのです?」
問いかけに……、彼女は、ちょっとだけ俯いて――
「――た、から」
茹でたカニみたいに顔を真っ赤にして、
「アンタは――あたしの話を聞いてくれたから! ちゃんと信じてくれたから! 本当に嬉しかったのよ!
アンタがPMだろうと何だろうとあたしには関係ないんだ、ばかぁっ!」
本当に、もう……。馬鹿はどっちですか、エミリア・パーシバル。
「アンタ頭良いんでしょ!?」
彼女はスヴァルティアへと顔を向けながら、叫ぶ。
「アンタ一人じゃ倒せない! あたし一人じゃかないっこない!
――でも、あたしとアンタと二人でなら!? それでどうにかなんないの!? 考えなさいよ!」
「…この期に及んで解答は人任せとか…。つくづく貴方は自分勝手ですね。困ったものです、意気込んだ浅学者という者は」
「いつか絶対アンタをギャフンと言わせてやるからね!?」
うわあ…、ギャフンとか初めて聞いた。今の音声とっとこ。多分文化遺産です。
「――50%、です」
227 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/07/09(土) 02:22:45.43 ID:XJ2ejfl7 [5/10]
え
228 名前:魔性の作者[sage] 投稿日:2011/07/09(土) 02:28:15.47 ID:8m39cM7J [1/12]
>>202
メモ帳に書いた文を貼り付けているのですが区切りのいい所で切ったつもりが
今回に限って微妙な結果に・・・。 原作があるからかなぁ・・。
自分の場合は書き方に特徴あるんで、取敢えず特定のシリーズでも投下するまで
そのままにしてみます。
181ですが小ビス子の作者様、ご了承有難う御座います。
まさか自分の駄文の直後に投下とは思いませんでした・・・。 新作乙です。
スルーされまくりはちょっと悲しいですが、小ビス子氏の新作が読めましたし
今迄に感想を述べてくれた方々に答える為にも、めげずに駄文でよければ投下しますので。
つきましては後々に小ビス子氏のわんわんさんどの設定&女帝とご主人サンを
お借りすると共に、小ビス子氏の不死身と別PMで不死身のGH440を出したいと思います。
パパとGH412シリーズの中では、不死身も普通のPMとしての幸せに辿り着けましたが
今回の新作で確定ではないにしろ登場していますし、今後の展開もあるので別のPMとして
出そうかと。
不死身にも幸せになって欲しいので。 別PMとはいえ、自分の拙い作品の中で幸せになれるかが
はなはだ怪しいのですが・・・。
過去スレを読んでGH440がお気に入りになってしまいました。 自分のキャラには
GH440を連れている者は一人もいなかったのに・・・。
変態氏、中年ヒュマ氏、小ビス子氏、確かヒュマ助氏のGH442も最初はGH440だったと
思いましたがこれらのGH440の影響でしょうか? 勿論他の作者様方のPMもそれぞれ皆個性的で
好きですが。
PS、「一万年と二千年前から愛してる」この歌自分も好きなんですよね。
リスモの着うたフルで携帯に入ってたり・・・。
黒キャス子の作者様、後々に元戦闘狂の黒キャス子とGH430をお借りする
かもしれないのでご了承お願い致します。
よくよく考えてみたら184様の書き込みの後、こうして今迄投下していた作者様方が
名乗り出てきてくれるようになったという事だけでも良しとするべきでしたね。
229 名前:とある440と金髪の少女15[sage] 投稿日:2011/07/09(土) 02:28:16.65 ID:+WoDp9K1
[6/11]
静かに、私は言う。
「二人掛かりで50%。…失敗すれば、二人とも死亡です」
「な、何よ、結構マトモな確率じゃん。そ、それなら、きっとなんとかなるんじゃない?」
「…震えてません?」
「生まれたてのディストバのマネ!」
「せめてもうちょっとマシな言い訳用意しませんか?」
「うるさーいッ!」
こちらの漫才にお構いなく、スヴァルティアが再び攻撃態勢を取る。……実に職務に忠実なことで。
「貴方の運動能力と、装備しているシールドラインの性能からして――対スヴァルティアの継続戦闘可能時間は、およそ5分。
…あ、ちなみに7分以上の戦闘における貴方の死亡確率は97%です」
「悪魔みたいに冷酷なこと付け足さないでよ…」
「私の回避行動の成功率は5%未満。私は動けません。貴方にお願いしたいのは一つだけ。
1秒でも長く、アレの注意を引きつけて下さい」
そうですね――非常に癪な話ではありますが、どうやら私も――、
「要は囮になればいいのね? …注意を引いて逃げ回るだけなら何とかなるよ。OK、やろう。……行くよ」
「――聞かないんですか? 私がその間にどうするか」
「聞いたってあたしに出来ることはないんでしょ? …信じて任せる。あと死んだら化けて出てやる」
「非科学的な。ますますもって末期ですね貴方の脳は」
「私は夢見るヒューマンなの!」
「…意味不明です」
打てば響くような貴方との会話を、もう少しだけ続けていたいと、そう思ってるみたいです。
230 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/07/09(土) 02:32:22.27 ID:XJ2ejfl7 [6/10]
ん
231 名前:とある440と金髪の少女16[sage] 投稿日:2011/07/09(土) 02:38:28.54 ID:+WoDp9K1
[7/11]
「それじゃあ――行くよっ!」
どこか引きつった顔の上に、精一杯の覚悟を浮かべ…、エミリアは一直線にスヴァルティアの元へと走り出した。
「…ええ。始めます」
一人呟き、振り上げる右腕。ボロボロの服の袖口から――風切り音を立て、特注の接続ケーブルが伸び上がる。
スヴァルティアは、まず目の前に走り込んできたエミリアをターゲットとして認めたようだ。
鈍重な動きで斧槍を振り上げると――、今度は一転して猛烈な勢いで、巨大な武器を薙ぎ払う!
エミリアは……、無事だ。何とも情けない悲鳴を上げながら、それでも武器の範囲外へと逃げ転がってる。
鞭を振るうように、私は袖口からのケーブルを薙ぎ払った。
先端の接続端子が――、音を立ててスヴァルティアの体に突き刺さるのを確認して――私は奥歯を噛み締め、一直線にスヴァルティアを睨み据える。
彼女も薄々気付いているだろう。私が普通のPMではないことを。
未踏の海底レリクスに潜む、所有者のいない半壊のPM。…我が事ながらほとんどオカルトだ。
オカルトか。言い得て妙ですね。確かに私は――バケモノです。
私の特性は『情報処理』 私の能力は『CPU支配』
その性能は……、P<数万体に対して一体いるかいないかの『出来損ない』だ。
けれど、バケモノだから、出来損ないだから、それだからこそ、今彼女と一緒に戦える――!
スヴァルティアに突き刺したケーブルから、私は私の分身とも言えるプログラムを直接スヴァルティアの内部に送り込む!
アレは元々、レリクスの番人として設定された、言うなれば大昔のマシナリだ。プログラムで制御されている機械だ。なら――、
232 名前:魔性の作者[sage] 投稿日:2011/07/09(土) 02:42:23.09 ID:8m39cM7J [2/12]
レス番217の後に書いていたらその間に投下されていたんですね・・・。
投下途中でぶった切ってしまい、申し訳ありませんでした・・・。
嗚呼、自分の遅筆が恨めしい・・・。 続き乙です。
233 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/07/09(土) 02:42:59.18 ID:XJ2ejfl7 [7/10]
4円
234 名前:とある440と金髪の少女17[sage] 投稿日:2011/07/09(土) 02:49:03.83 ID:+WoDp9K1
[8/11]
『解析』して『介入』して『停止』させる――!
私の『目の前』に、膨大な量の文字列が一気に流れ込んできた。
…予想はしてたけど…、あはは…、1から10まで全部見たことのない文字だ…。
私のCPU支配でも、言葉の通じない相手には意味がないだろうな…。
海原のように広大な文字列。――その行数は、1億6495万1609行。
文字通り桁違いの量に愚痴る暇も今はない。
こうしている間も、エミリアは必死にスヴァルティアの注意を引きつけ、危なっかしい動作で攻撃をかいくぐり続けてる。
文字列を翻訳変換してる時間はない。全文字を把握し、使用文字数を割り出して、文法を推測して――、
ギンッ――、と、唐突にスヴァルティアが私に顔を向ける!
地鳴りの如き足音を鳴り響かせ、スヴァルティアは一直線に私の元へ。
私は動かない。動くわけにはいかない。今の私は、指一本動かすほどの力さえも、解析演算に割り振ってる。
動けばそれだけ演算が遅れる。時間が掛かれば掛かるほど……、エミリアが無事な保証がなくなっていく。
砕ける程に奥歯を噛み締め……、私はただただ演算に集中する。
スヴァルティアが、猛烈な突進と共に武器を振り上げ――、
「こんにゃろおおおおおおおおおおおおおっ!」
捨て鉢な掛け声を上げながら――、エミリアは、振り下ろされる斧槍と私との間に、割って入った。
超重量の武器を全身で支えるセイバーで受け止め――、それを弾くと同時に、自分もまた吹き飛ぶ。
床で弾み、壁に激突し、崩れ落ちて――、
ドゴンッ!
フォトン弾の直撃を受け、スヴァルティアの頭部が派手に傾いた。
「…ま、まだまだぁ…っ」
額から血を流してなおその意気地を砕かれることなく、エミリアは、ハンドガンの銃口の先を睨み付けている――。
235 名前:魔性の作者[sage] 投稿日:2011/07/09(土) 02:50:06.28 ID:8m39cM7J [3/12]
嗚呼、作者名を間違えていました、変態氏でなく『』氏でした・・・。
236 名前:とある440と金髪の少女18[sage] 投稿日:2011/07/09(土) 02:56:11.75 ID:+WoDp9K1
[9/11]
私が何をしてるのか、貴方はわかっていないのでしょう?
貴方にしてみれば、私はただスヴァルティアを睨み付けているだけにしか見えていないのでしょう?
それでも…、本当に、何も聞かないまま、私を信じてくれているのですか?
スヴァルティアは――、目の前の私から、再びエミリアへと体を向けた。
壁に背を預けてへたりこんだエミリアは……、打ち所が悪かったのか、すぐに立ち上がれないらしい。
訳も分からず、ただ声を上げたくなる衝動を飲み込んで…、私はただ、目の前の文字列に全身全霊を傾ける――!
ずるいですよ、エミリア。
「言語解析完了。文法解読完了。数式理解完了――!」
CPUの過剰稼働に……、私の鼻からぽとぽととオイルがこぼれ出す。
目が回る。耳が鳴る。体が熱い。頭が焼ける。……それでも――!
「行動命令文判明、対象の情報防壁の一時停止に成功、自作命令文の旧式言語へのコンバート完了、転送開始――!」
間に合え、間に合え、間に合え間に合え間に合え間に合え――!
未だ動けないエミリアの頭上に、スヴァルティアは斧槍を振り上げた。
ヒトなんて本当に大嫌いで、…ヒトにとっても、私はお尋ね者で。
それでも私は、例え何であったとしても、パートナーマシナリーなのだから。
だから最後くらいは、ヒトの役に立って終わろうと思ったのですよ。それなのに――。
237 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/07/09(土) 03:02:21.36 ID:XJ2ejfl7 [8/10]
いかん携帯にはF5がない
238 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/07/09(土) 03:09:43.11 ID:J0zIBga8 [1/2]
>>237
かわりに俺がF5連打してやんよ
239 名前:とある440と金髪の少女19[sage] 投稿日:2011/07/09(土) 03:12:43.87 ID:+WoDp9K1
[10/11]
『アンタを置いて逃げるなんて、絶対にヤだっ!』
『でも、あたしとアンタと二人でなら!?』
『…信じて任せる』
そんな――私が、ずっとずっと、心から聞きたくて仕方なかった言葉の数々を、
どうしては貴方はそんなにあっさりと私に言ってくれるのですか?
アンタは――あたしの話を聞いてくれたから! ちゃんと信じてくれたから! 本当に嬉しかったのよ! ばかぁっ!
お互い様ですよ…、この、超大馬鹿――!
「…ゴメン440。あたし、ちゃんと5分持ったかな…?」
ヒトの役に、なんて、――どうでもいい。
エミリア・パーシバル、私は『貴方』を助けたい――!
>転送完了 プログラムを実行しますか?
呻りを上げ、エミリアの身の丈ほどもある巨大な武器が、彼女の真上に――振り下ろされる。
「…ワンオブサウザンドをなめるなぁあああああああああああァッ!」
-実行完了-
無意識に張り上げた私の絶叫と共に――、私のOSには、その一文だけが表示されていた。
静寂するホール。そして……、呆れて笑う、私の声。
「4分34秒です。…本当に、つくづく予想を上回りますね、貴方の弱さは」
240 名前:とある440と金髪の少女19[sage] 投稿日:2011/07/09(土) 03:19:17.37 ID:+WoDp9K1
[11/11]
今夜はここまでで。次でこのお話もおしまいになります。
内容についてとやかく書くのは恥ずかしいので、見たまま読んだままを感じて貰えれば十分でございます… orz
お久し振りと言って下さる方もおられてびっくりでした。
今投下日付見直したら、小ビス子書いてたのもう3.4年前になるんですよね。
私も今はPSPo2iの方に移行してしまいましたが、相変わらず430は心のPMです。
>>219さん
支援ありがとございましたっ! おかげさまでサルさん回避出来ましたー。
>>228さん
お気になさらず、逆に連投すみませんでしたとしか… orz
上のレスで書いたと思いますが、私の方は許可とか報告とか不要で結構ですよー。
それでは、また折を見て。
241 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/07/09(土) 03:26:48.57 ID:XJ2ejfl7 [9/10]
>>240
お疲れ様&GJ
楽しかったよ
保守してる間にブレイパスラインでたしw
242 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/07/09(土) 03:30:52.00 ID:J0zIBga8 [2/2]
>>240
乙
ちょっとエミリアと戯れてくる
243 名前:魔性の作者[sage] 投稿日:2011/07/09(土) 04:44:31.11 ID:8m39cM7J [4/12]
>>240
乙でした。 レリクスを出たGH440のその後がどうなるかが楽しみです。
では、使う時は極力小ビス子氏の女帝とご主人サンな振る舞いになるように
していきたいと思いますが、何処まで出来るかなぁ・・・。
というか、小ビス子氏の後に投下ってプレッシャーが・・・。
ですが、以前にも書きましたが「感想」であればいかなる内容でも大歓迎。
244 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/07/09(土) 06:20:29.41 ID:ffF69JiX [1/2]
じゃあ投下しやすいように糞みたいなの投下しておこうw
~~~~~~~~~6月某日~~~~~~~~~
箱「ええっと、この配線をこうして… あれ?このパーツ何?」
450「あ、それは必要ないと思います。今まで使っていたケーブルをそのまま利用すればよろしいかと」
マガシ「おい小娘・・・ なにか食うものはないのかッ!」
450「あ、はい、すみません、先日ニューデイズで買ってきたヤオロズせんべいです」
マガシ「ぬ、せんべいか・・・(ぶるぁりぶおぁり…)」
フロウウェン「ところでお茶がないんじゃが・・・」
450「あ、はい、ただいま!」
箱「あ、これ試食したら美味しかったんですよ。どうです、マガシさん」
マガシ「(ぶるぁりぶおぁり…) ふむ、貴様にしてはなかなかにいいチョイスだ」
フロウ「ふむ・・・ どれどれ?」
450「お、お茶です・・・」
フロウ「おう、おう すまないなお嬢さん ずずず」
450「ちょっ!ご主人様、取り付け終わったんですか!?
せんべい食べてる場合ですか!」
箱「おわったよー」
450「ならいいんですけど… あの・・・ちょっと・・・」
と言いつつ隣の部屋に箱を連れて行く450。
245 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/07/09(土) 06:21:06.21 ID:ffF69JiX [2/2]
箱「なに?」
450「あ、あのですね、あのお二人、いつまでここにいらっしゃるつもりですか?」
箱「・・・ たぶんライザーかゲイザーを発掘するまでは・・・」
450「死ぬまでいるんですかっ!! あんなの出ませんよ!都市伝説です!!
ああもういつまでこんな若本声の飛び交うマイルームなのやら・・・」
箱「・・・僕も声かえようか?」
450「いりません! ていうかまだフロウウェンさんはパトカもらってないですよね?
ちゃんと貰ってから出演させてくださいよ!」
箱「だからこうやってオンにつなげられるように環境整えたんでしょ?結構出費痛かったんだよね・・・」
450「そうですけど・・・ オンに繋いだからといってゲイザーやライザーが出るってわけじゃ・・・」
箱「でも新しい仲間と出会えるかもしれないじゃない?それが一番のレアアイt ゴフッ」
450「そんな(キリッ)が付かざるを得ないような建前はいいんですっ!
大体イベントあと1,2日くらいで終わりなんですから
そのあとどれくらい人がいるかもわからないじゃないですか。過疎ってたら意味ないですよ」
箱「フフフ・・・甘いよ450!過疎ろうがゲイザーとかがでなかろうが、ボクにはこれがあるっ!」
といいつつ腰部小物入れからカードを取り出す箱。
450「ああっ!それは以前某ゲーム雑誌についていた某御大デザインのコラボパーツのプロダクトコード!!」
箱「そう!これだけのために普段読まない・・・というか結局買っても読まなかった某ゲーム雑誌を買ったのだ!」
450(頭痛くなってきた・・・)
箱「ということで早速せつぞーーーーーく!!」
450「ああもう勝手にやってください・・・」
( その国/地域ではこのサービスは利用できません )
──────v───────────────
___
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄.| |――――ーi
| | || ̄ ̄ ̄|.o o |ヽ
| | ||___|.o と ノ
| 箱 | |--────┘/
|______.|__| / /
/ \
ということで祝オン開通&PSN復帰投下
今ではすっかりフロウとマガシとパシリで潜ってます。
もしかしたらここの誰かとオンで遭遇するかもしれないなw
246 名前:かつて『GH450の人』と名乗っていました[sage] 投稿日:2011/07/09(土) 09:28:28.58 ID:Ud6LwbQr
[2/2]
すまない、支援参加と言いながら、あの後寝てしまったよorz
小ビスコ氏&さる支援の方々乙です!
って箱氏、魔性の作者さんまで来てるし、
一体どうしちまったんだい?パシリスレ(勿論、とても良い意味で
GH450 『このまま、また賑わってくれるといいですね。』
主 「全くだ。楽しみで仕方ない!」
247 名前:魔性の作者[sage] 投稿日:2011/07/09(土) 11:14:25.45 ID:8m39cM7J [5/12]
読み切りしか投下していないので投下の度に名前の変わる作者で御座います。
嗚呼、箱氏まで復活。 自分の様な新参者にお心使い有難う御座います、そして
投下乙です。 箱はやはり箱らしいままなのですね。
元は181で書いた自分の謝罪に答えて下さいました184様の一言でここまで
今迄の作者の方々が戻って来て頂けるとは・・・。
自惚れかもしれませんが、作者の方々が戻って来てくれたたという事だけでも
「倫理的におk」と言ってくださるように感じます。
そして不躾ながらにお願いがありまして、過去スレのログを持っている方がいましたら
15体目以降を保管庫に上げて頂けると幸いです。
アップローダーに投下されている作品とか読めないんですよね・・・。
パパとGH412氏の作品とか・・・。
過去スレを読んだらやりたいネタが幾つか思い浮かんでいて書きかけが
あるにも関わらず、突如書きたくなって魔性を投下した上に小ビス子氏に
触発されてGH440も書きたくなって・・・。
何時になったら全部書き終えるやら。(汗) シリーズ物とかもやりたいなぁ。
という訳で書きかけの続き書いてきます。
248 名前:名無しオンライン[sage GH470の者] 投稿日:2011/07/09(土) 16:49:28.08 ID:CZVVG93e
なんと!箱の人に450の人まで来るとは……!
『ほら、グラールが恋しくなってきましたよね?さっさとこちらに戻ってきてください』
「ぐぐぐ……でも、それでもッ!あたしはユクモを離れない!」
『……強情ですねぇ。今なら攻略サイトを見ればエミリアルートのトゥルーエンドは簡単でしょうに』
「……ふっ、語るに落ちたわね、エル」
『おや、どうかし……しまった、いつもメタ発言に突っ込むボクがメタ発言をしたのを……』
「そこはどうでもいいのよ。……作者がPSPo2iをやらない理由はね、エミリアに付き合うのがただめんどいからなのよ!!」
『な、なんだってーッ!?』
『……ダメじゃないですか』
「それは言わないであげて」
Po2iを買うのはいつになる事やら。……とりあえず、MHP3を遊びきったらかな?
グラールに戻りたいけどPSUは出来ない、Po2iはストミクリアしないと充実しない……
もはや禁断のゴニョゴニョデータに手を出すしか……!どうせネットには繋がないだろうし。
249 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/07/09(土) 17:21:48.83 ID:XJ2ejfl7 [10/10]
ストミなんかすぐだよー!
ノーマル・ハード合わせてもそんなに苦痛じゃないよー!
ep1をノーマル・ハード合わせて10回ほどクリアした俺だがep2のストーリーモードはダメだ…
250 名前:寡黙なキャスト[sage] 投稿日:2011/07/09(土) 21:38:23.41 ID:8m39cM7J [6/12]
私はGH410、固体名をファミリアと入力されました。
ハッキリ言うとご主人様が決めた名前とはいえ、私はこの名前が好きではありません。
使い魔という意味が好きになれないという事も理由の一つですが、名前の意味を知る
以前にこの名前を”入力”された時から、嫌いになっていたのでしょう。
「ワタシの名前を入力して下さい」
ご主人様は暫く無言で私を見ていた後に、PM用の説明書を見始めました。
そして私のメンテナンス用ハッチを開け、本来ならまず使われる事の無い調整用の
キーボードによって名前を”入力”しました。
(ワタシはご主人様にとってはパートナー以前にマシナリーなんですね・・・)
名前を入力された事で、自分が”マシナリー”という事を再認識した私は自分の
名前が好きになれませんでした。
「いってらっしゃいませ、ご主人様」
「おかえりなさいませ、ご主人様」
朝早く出かけて夜遅くまで戻ってこないご主人様を見送り、出迎えても
私を見るご主人様は終始無言です。
食事の時もご主人様はキャスト用のエネルギーパックを脇腹のチャンバーを
開放して差し込むだけで、私が一人で黙々とご主人様の差し出す様々な装備品や
アイテムを100個食べ続けるだけです。
251 名前:寡黙なキャスト2[sage] 投稿日:2011/07/09(土) 21:40:38.89 ID:8m39cM7J [7/12]
「これ、ちょっと古くないですか?」
無言で次の武器が差し出され、私がレアリティに準じた反応をする。
再度無言で装備品かアイテムが差し出されるという事を「ワタシ、食べ過ぎ?」
となるまで繰り返す行為も私にとっては食事というより、まるで何かの作業です。
「レベルアップ!」
生産値が80になった私が、人型の第4形態になった時も終始無言で
ずっと私を見続けていました。
私がパートナーカードを渡すとカードホルダーに納めた後に夜も更けていた
せいかベッドの方を指差し、ご主人様はソファーに横になりました。
「おやすみなさいませ、ご主人様」
ベッドに横になると涙が滲んできます。 今迄一度も声をかけられた事の
無い私はご主人様に嫌われているのでしょうか?
私は今迄に一度も、合成や店番をを頼まれた事がありません。
最も様々な品物で育った私のパラメータは「やっちゃいました」以前の状態で
かろうじてGH410になったものの、打撃、射撃、防具、法撃と全てが
中途半端で成功確率はお世辞にも高くないでしょうけど。
明確な目的で育てられた訳でもない私は一体何なのでしょうか?
溢れそうになる涙を必死に堪えスリープモードに移行しました。
252 名前:寡黙なキャスト3[sage] 投稿日:2011/07/09(土) 21:43:10.07 ID:8m39cM7J [8/12]
「おはようございます、ご主人様」
私が身支度を整えてた時にはご主人様は起きていました。 私に気が付くと
キッチンに向かい、暫くしてから携行食と思われるパックを持ってきて私の前に
置きました。 箱の表記からして軍の物でしょうが、私の分だけでご主人様の
分は無く何時ものキャスト用のエネルギーパックだけです。
「モギモギ、微妙な味・・・」
初めて食べた食べ物はカロリーと栄養バランスは十分でしたが、その分味が
おざなりとしか思えませんでした・・・。
朝食を済ませるとご主人様は私を初めてのミッションに連れて行きました。
原生生物の鎮圧のようですが、ご主人様の戦い方を見ている限りかなりの
戦闘経験を積んでいるようでCランク想定の原生生物相手は傍から見ていて
一方的で私の出番はありませんでした。
中継地点での休憩とはいえ、一方的な戦闘では武器のフォトンを補充して
拾った物を共有倉庫に収める位。
そして次のミッション、ディ・ラガンの討伐のようです。
ポルティの群れを猛舞凄連続斬で薙ぎ払い、ヴァーラを舞転瞬連斬で肉塊にして
シャグリースをツインフローズンで叩き落す一方的な戦闘は私の目には段々と
虐殺に写り始めて来ました。
変わらない表情で終始無言で戦闘を行うご主人様の黒い背中を見続けながらも
私はご主人様の後を歩いて行きます。
ディ・ラガンの巣に向かう転送ゲートに着いた時はかなり時間が経っていました。
一方的な戦闘でしたからそう時間はかからない筈なんですよね。
253 名前:寡黙なキャスト4[sage] 投稿日:2011/07/09(土) 21:45:03.38 ID:8m39cM7J [9/12]
「?」
そんな事を考えていると、ご主人様が転送ゲートの前で私を見ていました。
何か気まずくなって視線を外すと、ふとその答えが解りました。
私達は原生生物の鎮圧の時からずっと、戦闘以外では2人してゆっくりと
歩いていましたから。 瞬時の戦闘と必要以上に時間をかけての移動という
矛盾した行動にハテナマークを浮かべる私。
「大きい!」
初めて見るディ・ラガンの大きさに圧倒されながらもかろうじてハンゾウを
構えますが、巨体からのプレッシャーに気圧されて足が止まってしまいました。
そんな直後に無言で両手を上に掲げるご主人様の頭上に転送ゲートの術式が
現れました。 転送される巨大な剣、アレス・エスパダ。
振り下ろされた剣の一閃でディ・ラガンは絶命しました。
躊躇い、手加減、容赦、情け、そういった表現の無い絶対的とも思える一撃で。
そんな一撃を見た私の目に映るご主人様の姿が、先程の戦闘での返り血が炎の様に
思えて『炎の中に佇む一方的な死を与える黒い影』というイメージを紡ぎました。
こうしてPMとして側で仕えているのにも関わらず、近い筈なのに決して届かない
無限とも思えるご主人様との距離・・・。
254 名前:寡黙なキャスト5[sage] 投稿日:2011/07/09(土) 21:48:22.36 ID:8m39cM7J [10/12]
パルムから宿舎に戻って、ご主人様の運んでくれた暖められた携行食での夕飯を済ませ
ヴィジホンを何と無しに見て今までと同じ時間に就寝。
ご主人様といえばヴィジホンを見る訳でもなく、装備品の手入れをしているだけでした。
初めてお会いした日と変わらない、終始無言のままで・・・。
それからもご主人様は様々な場所のミッションに私を連れて行きました。
ですが、一方的な虐殺、何一つルームズッズの無い殺風景な部屋、種類は多いけど
味気ない食事、ヴィジホンを見る事も無く装備品を手入れしている終始無言のご主人様。
例えミッションの行き先が変わっても、これらが変わる事はありませんでした。
唯一変わったといえ第4形態になって以来ご主人様が朝から晩まで出かけなくなった事と
私の食事がアイテムから食べ物に変わった位でしょうか。
「ハーイ! グラールチャンネル5! ニュースキャスターのハルでーす!
今日の話題をピーックアーップ!」
それは何時までこの静かな何一つ変わらない事の繰り返しの様な時間が流れるのだろうかと
考えた日に起こりました。
「GRM社にて一部の軍用キャストで最低限の日常生活機能の一部すら削除し、戦闘効率上昇を
追及したSSS-xxxxという型式が製造されていたという事が発覚しました。」
え? これって、まさか・・・? ご主人様の名前代わりにしている製造番号の一部じゃ?
そう思ってご主人様を見てみると装備品の手入れの手を止めてヴィジホンを見ていました。
「内部告発によって露見した今回のキャストの人権侵害ともいえる、この不当な型式の製造に対して
ヒューガ社長は事態を重く見て追跡調査を行い、該当型式のキャスト全員に無料にての機体交換及び
損害賠償の提示を記したメールを配信したとの事です」
255 名前:寡黙なキャスト6[sage] 投稿日:2011/07/09(土) 21:50:47.22 ID:8m39cM7J [11/12]
ピコン。 ハルの声に消される事無く鳴る滅多に聞く事のないメールの着信音と共にヴィジホンの
右下隅に浮かぶメール着信のアイコン。
「なお、この件に関してヒューガ社長は後程自身及び役員を踏まえて詳しい発表の場を設けると共に
内部監査部門の強化に力を入れるとのコメントを・・・」
私はメールの着信音の後のニュースの内容を聞いてはいませんでした。 いえ、正確に聞こえては
いましたが耳には届いていませんでした。
ニュースが終わってすぐにメールを確認してみると、ご主人様宛のGRM社からのメールでした。
気が付くとご主人様が私の隣にいて、私がいるにも関わらずにメールを開封しました。
「そんな・・・。」
メールに書かれていた該当すると思われる削除された機能の項目を見て私は唖然としていました。
生体パーツの極力排除、発声機能の排除、食事摂取機能の排除、一部の感情の排除、交換可能な外装の
単一化、・・・、等々これらに該当する項目のある上記の型式の方はGRM社にて無料で任意の機体との
交換を・・・
「ご主人様、是非とも機体を交換してもらいましょう! 戻られましたら、一杯お話しましょう!
私、頑張って美味しい料理作りますから! それから・・・」
途中から言葉に詰まって泣きじゃくりながらご主人様の足に抱きついていた私に、身長差を合わせるように
しゃがんだご主人様が私の肩に手を乗せました。 飛び込んだ硬いご主人様の胸で一頻り泣き止むまでずっと
ご主人様はどうしていいか解らない様子ながらも抱きしめて私を支えてくれました。
続く
256 名前:寡黙なキャストの作者[sage] 投稿日:2011/07/09(土) 21:59:01.72 ID:8m39cM7J
[12/12]
魔性の作者改め、寡黙なキャストの作者で御座います。
昼前から書き続けて、終わりませんでした・・・。
今迄投下した中で自己最長です。 最初の予定だとここまで長くなる筈じゃ
なかったんだけどなぁ・・・。 予定外の”アノ”エピソードを書いたせいなんですが。
お目汚しの駄文な上に、小ビス子氏の続編を期待の中での投下と期待を裏切って
しまったんじゃないかと内心ビクビクしてます・・・。
257 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/07/10(日) 00:27:28.72 ID:aJY4U/pW
おおう!凄い勢いでスレがすすんでびっくり。
ここまで長く続いたのはパシリへの・・・ごにょごにょ。
私も何か書かなくて。
258 自分:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/07/10(日) 00:37:48.01 ID:4f9Im1Jy
業務連絡~♪
要請がありましたので、保管庫Wikiの過去スレを22体目まで更新しました
やっつけなので読みにくいと思いますが、どうかご勘弁下さい
259 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/07/10(日) 00:40:37.95 ID:L8+ePl+s [1/2]
投下乙
支援出来なくてすまんかった
俺もなんか書くかな
260 返信:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/07/10(日) 00:44:02.22 ID:L8+ePl+s [2/2]
>>258
ありがとう超ありがとう
261 返信:寡黙なキャストの作者[sage] 投稿日:2011/07/10(日) 00:44:22.46 ID:7GtHS8h1 [1/15]
>>258
有難う御座います。 このご恩返しは作品の投下という形で構わないでしょうか?
自分の拙い駄文でもよければ、ですが・・・。
262 名前:寡黙なキャストの作者[sage] 投稿日:2011/07/10(日) 00:47:04.79 ID:7GtHS8h1 [2/15]
>>259
いえいえ、気になさらず。 そのお気持ちだけで十分ですので。
263 返信:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/07/10(日) 00:56:42.74 ID:RgrWepFA
>>258
読みにくくなんかない
感謝!
じゃあおれもなんか書く用のコピペ探してくる
264 名前:寡黙なキャスト7[sage] 投稿日:2011/07/10(日) 07:22:02.88 ID:7GtHS8h1 [3/15]
「さて、次は美味しいって評判の飯店でも行ってみようかなぁ」
ご主人様の機体交換が終わるまでの2週間、私は様々な料理教室に美味しいと言われている料理店などを
ひたすら梯子しています。 とある遺跡の奥にあるというケーキショップ、ダグオラ・シティの裏町にあると聞いた
「オデン缶」なる食べ物、ホンマグロ? えっと魚の一種ですか、これらも探しに行きたいのですがご主人様に
心配をかけたくないので一人での渡航は避けます。
古いニューディズ伝統料理、数奇夜忌? 何でしょうか、この不吉な名前の料理は? うっ!?
一瞬妙に目つきの悪いGH430とそれを横目でせせら笑うように見ながらパイプ?でしょうか?を燻らせている
GH450のイメージが何故か浮かびました。 流石、不吉な名前の料理ですね・・・。
「これ、美味しいなぁ。 どうやって作るんだろう」
「何方か、食べさせてあげたい人でもいらっしゃるようですね?」
「えっ!」
ついつい思っていた事を口に出していたようです。 気が付くと飯店のご主人が私の前に立っていました。
ここまで来たら恥の掻き捨て。 今迄食事が出来なかったご主人様に、と飯店に来た経緯を話すとご主人は
何でしたら、と私の時間のある時に厨房のお手伝いを提案してくれました。 それも店の暇な合間で良ければ
レシピも教えて頂けるという事までも。
「宜しくお願いします!」
「畏まりました」
265 名前:寡黙なキャスト8[sage] 投稿日:2011/07/10(日) 07:27:27.54 ID:7GtHS8h1 [4/15]
ご主人は他の席に移動すると常連らしい方々と私の時と同じ様に談笑しています。 そんな中でエプロン姿の
GH422さんが元気に食器を下げ、見慣れない白い服の落ち着いた雰囲気のGH442さんがお会計の清算を
行っています。
そんな光景を見ながらセットのコーヒを飲んでいたのですが、突然ご主人の横にGH430?さんが降り立ち
ました。 ど、ど、ど、何処から来たんでしょうか? 口に含んでいたら吹き出していましたね、今のは。
「買ってきたぞ、ヒュマ助」
「ありがとう、GH43Ⅹ」
GH430?(私の知っているGH430とカラーリングが違うので)さんがご主人に小さな紙包みを渡し、
ご主人がGH430?さんの頭をなでるとプイッと顔を背けたのですが、丁度私の方に向いている顔が赤いです。
お店のお客さんもGH430?さんが突然現れたにも関わらず、まるで何時もの事の様に変わりません。
「あー! GH43xばっかりずるーい!」
GH422さんが講義の声と共にGH430?さんに向かったのですが、シュバッ!っという音と共に展開した
GH430?さんの、え? あれは腕でしょうか? 4本の金属質の腕に絡め取られてポイッと投げ捨てられました。
「ヒュマ助、GH422に勝った」
あー、もうそろそろ次のお料理教室に向かう時間ですね・・・。 何か今日は色々な事があったようです・・・。
それからというもの私は時間の許す限り飯店に料理の修業に行きました。 目的があると張り合いがでますよね。
266 名前:寡黙なキャスト9[sage] 投稿日:2011/07/10(日) 07:30:04.58 ID:7GtHS8h1 [5/15]
「てめー、いちいち人の煙草取るんじゃねー! モガッ」
「おっさん、疲れた時は甘い物だ」
「ここ暫く、また面倒な事なんだろ? 煙草の本数増えてるぞ!」
「このナイスミドルに不可能はねぇんだよ。 ってなんだ、その可哀想な人を見るような目ぇ!」
シュ・クリームを口に詰め込むGH440さんと俺が甘いの苦手なの知ってるだろ、と反論する中年ヒュマさんの
まるで親子のようなやり取りを見ながら、私にも父と呼べる人が出来たらあんな風になるのかなあ、と思っていたのですが
「家族かぁ・・・」
知らず知らずの内に口に出していたようです。 どうやら私の癖のようです・・・。 うっ、気をつけないと・・・。
変な事口走ったらどうしよう・・・。
「君もPMダロ、ご主人様サマがいるじゃナイカ。 話はご主人から聞いたが、こうして一生懸命ご主人様の為に
努力しているンダ、きっとご主人様も解ってクレル。 そうなれば望んだ形に落ち着くモノダ」
時々お手伝いに来ている皿洗いの青キャス子さん、言って下さった事は良い事なのですが声と台詞が合っていません・・・。
あ、GH411さんとGH441さんもお手伝いに来ました。 というかGH411さん、暖簾をくぐった直後に
倒れていますけど大丈夫なんでしょうか?
267 名前:寡黙なキャスト10[sage] 投稿日:2011/07/10(日) 07:33:50.47 ID:7GtHS8h1 [6/15]
「お姉さん、相席宜しいでしょうか? 明日の朝まで・・・ふぐぁ!」
「ご主人様、幾ら食後の食休みでも寝るなら宿舎に帰ってからにして下さいね」
シッガ・ボマをナノトランサーに収納しながら、GH440さんがお会計を済ませて変態さんを引きずってお店を
出て行きます・・・。 えっと・・・。 いいのかな、PMがご主人様にああいう事して? 今、散弾銃で殴り飛ばした
ように見えたけど・・・。
「緑の悪魔・・・」
「緑の服が似合うね? 有難う御座います」
あ、あはは・・・。 ああいうのも喧嘩するほど仲がいいって言うのかな・・・。
「ご主人様、昨日小包が届きましたが?」
(まあ、中身の検討は付いているんですけどね)
「ああ、ガーディアンズ用の新しい教材ディスクだな」
(まずい、美人ルウシリーズ最新作”ルウ夫人”って感ずかれたか?)
「ご主人様にしては珍しく勤勉ですね」
(相変らず同じ様な事してますね、バレてないと思ってるのでしょうか?)
「なあ、440。 ここの店のデザートは美味いだろ?」
(仕方が無い、餌で誤魔化すか・・・)
「ええ、そうですね」
(このパターンは恐らく・・・)
「なら、帰ったらテイクアウトで最高のデザートを食べさせてやるぜ! この俺様ミル・・・ はうばっ!」
タターン! バスバスッ、タターン!、バスバスッ
「黙れ」
レスタかけてるけど、今撃ったよね・・・。 俺様ミル?ってどんなデザートなんだろ? 美味しいのかなぁ?
あ、GH440さんが何か一言を言ったら物凄い勢いで『』さんが走ってる・・・。
268 名前:寡黙なキャスト11[sage] 投稿日:2011/07/10(日) 07:37:30.31 ID:7GtHS8h1 [7/15]
「ははさま、はやくするのじゃー」
「そんなに急がなくても、お店は逃げないんよー」
「そう言いながらも、ご主人様だってご一緒に走っていたじゃないですか」
お店の扉が開くと共に店内のお客様の咀嚼音や談笑が一瞬止まるこの反応はたゆん様ご一行ですね。
「ははさま、これもおいしいのじゃー。 ははさまもたべるのじゃー」
「おー、ありがとなー。 うーまーいんよー」
「お嬢様、ちゃんとセロリも食べないと駄目ですよ」
(今日はセロリ料理のレシピでも借りに図書館に行きましょうか)
うーん、どうやったらああなるんだろ? 私は自分の胸を見ながらフッと溜息・・・。
「ああ、そうだ。 GH410さん、お使い頼まれてくれるかな?」
「はっはいいっ」
びっくりして声が裏返ってました・・・。 い、今口に出して言ってないよね、私。
お使いの内容は渡された紙袋を電柱?の影にいるキャストの2人組みに渡すという事でした。
「あの少佐が嬢ちゃんと手を繋いで一緒の速度で走ってるぜ・・・」
「ああ、全速力以外で走ってる所なんて始めてみたぞ・・・」
「あのう・・・。」
『うわっ』
269 名前:寡黙なキャスト12[sage] 投稿日:2011/07/10(日) 07:40:41.88 ID:7GtHS8h1 [8/15]
「飯店主人からのお届け物です」
そう言って二人に飯店のロゴの入った紙袋を渡して一礼して去っていく私の背中越しに
「嬢ちゃん、ありがとな」
「主人に何時も済まんと、伝えておいてくれ」
私は彼らの方を振り向いてもう一度一礼してから飯店に戻りました。
「お前ら、今回は割勘だからな!」
「ええ、それでも構いませんわよ。 その分後で沼虎様に体で払ってもらいますわ」
「このバカ虎、最初からそれが目的かぁ! ドカッ」
「ぐはっ! 何でそういう話になるんだ!」
「そうですわ。 私はおチビちゃんでも構いませんわよ?」
「この見境無しの淫乱色情狂! んな訳、あるかー! ゴスッ」
「我、メニュー4周、全部、喰う。 だからGH43Ⅹ、テイクアウト!」
「獣虎、お前まだ諦めてなかったのかよ! しかも、何気に1周増えてるし!」
GH420さんが沼虎さんや虎子さんに、容赦なくハイキックとかラリアットを
打ち込んでるいるんですが、男女平等? あ、獣虎さんがGH430?さんの背中の
腕?で拳骨を貰ってます。
270 名前:寡黙なキャスト13[sage] 投稿日:2011/07/10(日) 07:42:42.55 ID:7GtHS8h1 [9/15]
「たまには外食もいいよねぇ、450」
「ええ、そうですね。 ご主人様の稼ぎですと本当にたまにしか出来ませんが」
「ででも、ここの値段ならそうでもないと思うよ。 ほら、こんなに安いし」
「それならずっと、外食になさったらどうですか?」
(折角何時も一生懸命、食事の準備をしているのにまったくこの箱は・・・)
「いや、450のご飯も美味しいよ。 僕、450の作る糸蒟蒻と白菜のスキヤキ大好きだし」
「!!!!」
(嬉しいけど、なんて恥ずかしい我が家の家計を晒しますかこの箱はっ!)
真っ赤になりながら箱の頭部に杖を刺すGH454さん。 杖は刺す物じゃないと思うんですけど。
あれ? GH454さんの事450って呼んでる? 何でだろ?
あ、箱さんを引きずりながらGH454さんがお帰りのようです。 頭に杖3本程生やしてオイル出て
ますけど、大丈夫なのでしょうか? 私はご主人様にはそんな事しませんから!
「はう。 このお店に来るのも久しぶりなのです、GH430」
「ええ、そうですね。 ご主人様」
(けっ、本当はこの店に連れて来たくないんだよなぁ。 すぐにここのご主人と意気投合して料理の話しに
花咲かせるからなぁ。 料理美味いけど)
「おや、小ビス子さん。 お久しぶりですね」
「ヒュマ助さん、お久しぶりなのです! はうはう」
「ご無沙汰しております」
(あーあ、来ちゃったよ・・・。 クリームパン店主、手前ぇがいると我が愛しのマイスゥートリトルハニー
ご主人様イズ小ビス子No1!を独り占め出来ねぇだろうが!)
271 名前:寡黙なキャスト14[sage] 投稿日:2011/07/10(日) 07:44:57.45 ID:7GtHS8h1 [10/15]
ご主人と小ビス子さんが楽しそうに料理の話しをしてるのをにこにこしながら見ている、GH430さんに何故か
違和感を感じるんですけど・・・。 何ていうかこう、黒いものが背後に浮かんでるというか・・・。
ニューディズの料理で「ユドウフ」ですか、結構色々あるんですね。
「ニューディズの料理の話してるって事は、数寄夜忌も知ってるのかなぁ」
「はう! GH410さん、スキヤキを知っているのですか? 物知りさんなのです!」
「結構古い料理ですから、知っている方も少ないんですよ」
(嫌な事思い出させんじゃねぇ、この腐れPMが。 ご主人様がこの場にいた事をせいぜい感謝しな。 ああん?)
ああ、また声に出してました私・・・。 私に振り向いた2人の後ろでGH430さんが物凄い目で私の事を
睨んでます・・・。 あれ、この顔数寄夜忌の事を聞いた時に思い浮かんだ顔にそっくりなんですけど・・・。
「じゃ、今度GH410さんとGH410さんのご主人様と皆でスキヤキを食べるのです! ご飯はみんなで
食べた方が美味しいのですよ、それにGH410さんにも作り方を教えることが出来るのです! はうはう」
(マジかよ、あの悪夢再来ってか・・・。 ああ、ご主人様耳パタパタさせて喜んでるから説得は無理だな。
つか、可愛ええ。 スキヤキと一緒にご主人様も食べてぇ・・・。 やべ、油圧上がって来た・・・。
『はうはう。 GH430、私も一緒に食べて欲しいのです・・・。』 あ。)
突然GH430さんが恍惚の表情に変わった途端、物凄い勢いで鼻からオイルを吹き出しました。
私は同じPMでありながらあの人が判りません・・・。
272 名前:寡黙なキャスト15[sage] 投稿日:2011/07/10(日) 07:48:50.05 ID:7GtHS8h1 [11/15]
「でも、呼びたい人全員だと私のお部屋に入りきらないかもしれないのです・・・。 仲間外れは駄目なのです。
可哀想なのです。 めっ、なのです・・・。」
「じゃあ、僕のお店で皆さんで食べましょう。 僕も小ビス子さんの料理を食べてみたいですし」
(終わった・・・。 何もかも真っ白に燃え尽きちまったぜ・・・。 そこのGH410。 手前ぇ、そんなに
「狂犬」が見てぇのか。 オーケェ、スキヤキパーティーが終わったらお礼にたっぷりとフォトン弾を
ご馳走してやるよ・・・。 あー、あん時のパイソンとブラックバルズまだあっかな)
準備が出来たら連絡するとの事で、小ビス子さんとヒュマ助さんとパートナーカードを交換したのですが鼻に
ティッシュを詰めてニコニコと笑っているGH430さんが何故かとっても怖かったです。
慌しかったのと余りにも色々な事を体験したせいか、長い様で短かった2週間も明日はご主人様が帰ってくる日。
色々な思いで寝れなかった私は、どうせ寝れないのならとふと一つの疑問の答えを探してみたくなりました。
「ご主人様、どんな意味で私の名前を入力したんだろう? 調べれば何か解るかな?」
ヴィジホンで検索。 えっと、ファミリアの別言語だとファマラスっと。 次はこれで調べればいいのかな。
再度ファマラスで検索。 ファマラスの別言語はファミリー。 え。
「家族・・・」
273 名前:寡黙なキャスト16[sage] 投稿日:2011/07/10(日) 07:50:48.46 ID:7GtHS8h1 [12/15]
私はヴィジホンに突っ伏して大声で泣いていました。 名前の意味に気が付かずに嫌っていた無知を悔やみ、
ご主人様を信じられなかった自分自身に対して憤慨し、PMを家族と言ってくれたご主人様の優しさに感謝し、
そんなご主人様に仕える事の出来た喜びにが胸の中を満たしていました。
「ただいま、戻りました」
「おかえりなさいませ、ご主人様!」
嬉しさのあまりご主人様に飛びついたのですが、ご主人様の足の感触が硬い? 不安に苛まれながら顔を
上げると目に映ったのは以前と同じパーツ構成のご主人様でした。
「ご主人様? 機体交換なされたんですよね?」
頷きながらご主人様がヘッドパーツの左右に手を当てると、カチッという音がしてヘッドパーツが前後に
大きくスライドしました。 そのままヘッドパーツを上に引き上げて出てきた素顔は「自分、不器用ですから」
という台詞が似合いそうな渋いお顔でした。 あ。 体内温度上昇中。 リアクター出力制御信号外の出力増加に
伴い油圧上昇・・・。 何か色々と私の中でメッセージが聞こえたような気がします。
ふと、ご主人様が何かに気が付いたのか外したヘッドパーツを机に置くとドレッシングルームに向かいました。
暫くして出てきたご主人様は白のキャスユカタセットに外装パーツを換装していました。
(ご主人様はダガー系をよく使っていましたから、後でカムイとニレンカムイを検索しよう。 φGですから
サンゲヤシャもいいかもしれませんね・・・。)
274 名前:寡黙なキャスト17[sage] 投稿日:2011/07/10(日) 09:22:29.16 ID:7GtHS8h1 [13/15]
「あれ? 私一体?」
額の辺りにひんやりとした感触。 額に手をやると濡れたタオルのようです。 体内時計によれば早朝。
自己診断プログラムの結果はオーバーヒート・・・。 うわ、恥ずかしいです・・・。
「お早う御座います、体は大丈夫ですか?」
「おはようございます、ご主人様。 ご心配をおかけしました・・・」
「朝食は食べられますか?」
「はい・・・。」
ご主人様がキッチンに向かい、何時もの携行食を持ってきました。 申し訳なさそうな表情で。
「済みません、『食べ物』で知っている物がこれしかないので・・・」
これがご主人様に出来る精一杯の料理だったんですね・・・。 普段と変わらないそっけない味の筈の
携行食が今朝は美味しく感じられました。 明日からは私が朝食を作って差し上げますから!
「ファミリア、何処か見たい場所はありますか?」
見たい? ご主人様は私に外の世界を見せたくて、様々なミッションに連れていったのですね。
ゆっくりと歩いて周りながら。
「私、桜が見たいです」
「ミズラキ保護区ですか」
言い終わるとご主人様はヘッドパーツを手にドレッシングルームに向かい、以前と同じ外見で
出てきました。 う、ちょっと残念です。
275 名前:寡黙なキャスト18[sage] 投稿日:2011/07/10(日) 09:24:22.07 ID:7GtHS8h1 [14/15]
クゴ温泉で受けたミッションは相変らずの最低難度。 うう、今となっては理由が気になります。
「ご主人様の技量でしたら、もう少し高いランクにしても受諾可能だと思うのですが?」
「ファミリアに危険が及ばないように、選択していますので」
相変らずの一方的な戦闘が、今日はなんだか嬉しく感じるって私変なのでしょうか?
そろそろ最奥のコウマヅリの集団が出る辺りですね。 あ、出ました。
「手前ら、家族に手ぇ上げようとするたぁ許せねぇ! たたっ斬らせてもらいます!」
あ、やっぱりアレス・エスパダなんですね。 ご主人様の台詞がツボにハマったって事は
私の好みってどうやら結構懐古趣味だったようです。
帰ったら夕食は何を作ろうかな。 私に食べさせていた為に、ルームグッズの無い殺風景な
部屋も今となっては逆に何を置こうかと考える楽しさがあります。
そうだ、食事の際には飯店でお知り合いになった方々の事を話そう! 中にはちょっと、いえ
かなり怖いというか色々な意味でデンジャーな人もいますが・・・。
その後ご主人様とお話をしているうちに私が第4形態になるまで、朝から晩まで外出していたのは
ずっと私の餌アイテムを集めていた為、早く第4形態になって欲しいので様々なアイテムで育てたと
いう事が解りました。
私のステータスは合成のデメリットになるという事もお話したのですが、「貴方を合成機にする為に
育てた訳ではありませんので」とあっさりと問題解決。 今となってはこの「やっちゃった」ような
ステータスは寧ろ私の自慢です! 少しでも早く私に外の世界を見せようという、ご主人様の心使いの
現れなんですから!
私はGH410、固体識別名称”ファミリア” ご主人様に仕えるPMですが、PMである前に
ご主人様に「家族」として受け止めて頂いた幸せな、自分の名前が大好きなPMです!
終
276 名前:寡黙なキャストの作者[sage] 投稿日:2011/07/10(日) 09:45:18.22 ID:7GtHS8h1
[15/15]
寡黙なキャストの作者で御座います。
やっと書き終わったので投下したら初めてのサルを受けました・・・。
今迄の投下が最大で約8kに対して今回が約22kと3倍近くな為に
見事にひっかかりました・・・。
予想以上に長くなった理由は、第7から15にかけての飯店内での出来事で
最初は全然考えてなかったのですが、飯店に行く流れから一気に大暴走で今迄に
飯店に来店したキャラの自分の知りうる限りを出してしまいました・・・。
そして、細かい部分を過去スレでチェックしたせいで更に時間がかかりました・・・。
あとご主人様の外見が「自分、不器用ですから」という台詞が似合いそうな
渋いお顔になったのも想定外。 この人の映画とか、一度も見た事無いんですが
何でこうなったんだろ?
以上、駄文投下及びお目汚し失礼いたしました。
キャラの無断借用で何人の作者様方に謝ればいいやら・・・。
忘れる所でした、もし第2次数奇夜忌大戦を書きたいという方がいましたら
自分に気兼ねせずに書いて下さい。 というか多分、自分には書ききれないと
思いますので・・・。
277 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/07/11(月) 10:00:07.65 ID:SMF/jrCI
投下乙
出す人数を増やすと文字数は激増するんだよなー
懐かしいスキヤキ大戦とか懐かしい…
278 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/07/11(月) 19:17:00.31 ID:uHhId4Pk
おお、しばらくこないうちに進んでますな。
そろそろ新しいの投下しないとなあ。
あとまとめwikiができてるみたいなので、一応自分のもまとめておきますかね。
279 名前:とある440と金髪の少女20[sage] 投稿日:2011/07/11(月) 21:34:19.60 ID:SVpsqLtA
[1/10]
残り分投下していきます。よろしくお願いします。
--------
「…これ、もうホントに動かないの?」
「動きませんよ。行動の最上位にある命令文を『動くな』に書き換えました。…これで動いたらオカルトです」
「書き換えた、ってアンタ…」
「方法は企業秘密ということで」
「ふうん…?」
エミリアはだいぶ疑わしそうに私を見下ろしていたけれど…、それでも、「まいっか」と笑うその姿が、如何にも彼女らしい。
「そういやアンタさ、ワンオブなんとか、って叫んでなかった?」
…う。
「誰がです? 臨死体験ついでの幻聴では?」
飄々ととぼけると、エミリアは口元に指を当てて考え込む。
「まあ…、確かに『あ、死んだ』って思ったけどさ。…幻聴かあ…。何だかしっかり聞こえた気がするんだけどなあ…」
「ここから出たら、メディカルチェックを受けては如何です?
もしかしたら馬鹿も治るかも知れませんよ? 現代医学では難しいかも知れませんけど」
「そうね。ついでにアンタのその口の悪さも治ればいいね」
互いが互いに、馬鹿にした薄ら笑いを浮かべて向かい合い――、
「だはぁ……っ」
そして同時に……、腹の底からのため息と共に、がっくりと肩を落とした。
「…つかれたぁ…」
その呟きもまた、二人同時。
私たちは二人とも項垂れていてお互いの顔は見えないけど、二人とも笑っていることは、…なんとなくわかる。
それが何だか、たったそれだけのことが、不思議なくらいに嬉しかった。
そっと、私は右手をエミリアに差し出す。
「ん?」
疑問符を浮かべながら、それでもその手を握ってくる彼女の掌に、左手も添え、軽く握って、
「スヴァルティアの停止が間に合ったのは紛れもなく貴方のお陰です。エミリア・パーシバル」
280 名前:とある440と金髪の少女21[sage] 投稿日:2011/07/11(月) 21:42:34.89 ID:SVpsqLtA
[2/10]
「や、やめてよもー! だ、だってあたしはただアンタの言う通りにしただけだし…!
結局あれを止めたのだってアンタがやってくれたんだし…」
その後も、何だかごにょごにょと良くわからない言葉を付け足して、そして、
「…うん。でも、良かった。アンタと一緒に頑張って良かったよ。…ありがと」
ふへへ、と情けなく笑うこの少女が、何だかとても――可愛いと思う。
「さ、帰ろ帰ろ。…帰ったら、あたしを見捨ててトンズラしたおっさんに文句言ってやんなきゃ」
気楽な足取りで歩き出すエミリアの後に続きながら…、
私は…、これからどうしよう。
私がこんな風に彼女と行動出来たのは、ここが未踏の海底レリクスだったからだ。…私は自分がお尋ね者なのを忘れてない。
このレリクスも発見されてしまった。数日とせず、調査団が再派遣されるだろう。
私はまたどこか、身を隠せる場所を探さなければならない。エミリアと会うことも――きっともう、ないだろう。
我ながら、どうかしてる。
元々そのつもりで彼女と行動を共にしたというのに、…何を今更。
「あ、440。ここから出たらまずご飯にしよう。あたしお腹ぺこぺこだよ。へへ、気分良いからあたしがおごるね」
「そう…ですね。それはとても嬉しい」
「なぁに? アンタやけにしおらしくない? …気味悪いんだけど」
「失敬な。貴方の中途半端な時間稼ぎのせいでだいぶ疲れたんですよ。慰謝料請求したいくらいです」
「そーそー、アンタはそうでないとねー」
本当に…何を今更。
ここを出たら、こっそりと彼女の前から姿を消そう。…それがきっと、お互いにとって一番だ。
「一番近いところでどこか美味しいところあったかなあ?
ああ、でもどうせ食べるなら、クラッド6に着いてからの方がいい? 何せリゾートコロニーだもん、
美味しいモノ食べるなら結局あそこが一番だよね」
それでも、――そう悪い出会いではなかったですよ、エミリア・パーシバル。
281 名前:とある440と金髪の少女22[sage] 投稿日:2011/07/11(月) 21:49:20.47 ID:SVpsqLtA
[3/10]
いつの間にか俯いていた顔を上げ、彼女の背中を見上げて、
…その瞳が、――凍り付く。
全く考えていなかった。
そしてもう、どう行動しても間に合わないことだけを、冷淡に知った。
スヴァルティアは、2体起動していたのだ。
目を見開く私の目の前にある光景は――
出口への通路に居並ぶ巨人像の中の1体が…私の前を歩くエミリアへと、武器を振り下ろす瞬間だった。
お喋りに夢中のエミリアは、まだそれに気づいてすらいない。
…体が動く。
その行動は一つだけ。他の何も考えない。
私は思い切りの力で床を蹴り――彼女の小さな背中に全力で体当たりする。
咄嗟の力につんのめった彼女は、前に転がり床に突っ伏し――、…うん、これでギリギリ攻撃範囲外だ、良し。
これで――、攻撃範囲内にいるのは私だけ。
うん。だから。
…これで良し、です。
重く鈍い衝撃と共に…私の意識は暗転した。
282 名前:とある440と金髪の少女23[sage] 投稿日:2011/07/11(月) 21:57:47.39 ID:SVpsqLtA
[4/10]
あれほどうるさかったOSアラートが、いつの間にか全停止してる。
メインユニットがやられたみたいです。…これはこれでいい。眠るときくらい、静かな方がいいですもの。
ああ、だというのに。
「なんで……なんで……!?」
本当に、貴方の声は、坂を転がる鈴のようです。エミリア・パーシバル。
私を抱き起こす暇があったら、そのまま前に走るべきでしょう。
本当に、呆れるくらいに考えが足りていませんね…。
「…ねえ、何とか言ってよ…、喋ってよ…、こんなのヤだよ…」
声が、出ない。だから、言葉の代わりに、最後の力で一つのプログラムを起動する。
接続済み全機能強制支配プログラム。
襲い掛かってきたスヴァルティアは、まだそこにいるのだから。
「440…!」
私はもう喋れないし、貴方に触れて安心させてあげることも出来ない。
でも、大丈夫。――貴方は必ず助ける。
停止寸前のフォトンリアクターが…、私の意思の支配の元、リミッターを破壊して後先考えない勢いで稼動し始める。
「やだ…、死なないでよ…、やだよ!」
本当に、貴方は馬鹿です。エミリア・パーシバル。
出会ってから、共に過ごした時間は、たったの49分42秒。
しかもこんな偏屈なPMの停止に涙を流すなんて。私には信じられません。
…だからほら、私、笑っちゃてますよ、――エミリア。
瞬く間に全身を破壊し始める過剰エネルギーを、私は取り出したエビルツインズに収束させる。
全身全霊、私の残存エネルギーを暴走させて撃ち放つ一撃だ。耐えられるものなら、耐えてみろ――。
メキメキと音を立てる腕を動かし…、私はエミリアの腕の中、スヴァルティアに狙いを定める。後は――撃つだけだ。
だから、…最後に。
283 名前:とある440と金髪の少女24[sage] 投稿日:2011/07/11(月) 22:01:23.48 ID:SVpsqLtA
[5/10]
私はエミリアにそれを告げる。
声になんてならないし、唇が動いたかどうかすらももわからないけれど――、
「何よ、それ…」
ぽたぽたと、エミリアの頬を伝って流れた涙が、私の頬に落ちてくる。
「何が『ありがとう』よ――!?
そんなのアンタに似合わないよ! 馬鹿にしてよ! 偉そうにしてよ! 私を一人にしないでよ!」
…これで良かったのですよ。
私はただの通りすがり。
貴方とほんの少し馴れ合った風変わりなPM。
貴方の中でも私の中でも、私たちの出会いは、そう片付けることが出来るのだから。
だって 貴方と私の出会いがこれから先も続いていったなら…、
エミリア・パーシバル。私はきっと、貴方を大好きになってしまうもの。
笑って――エビルツインズのトリガーを引く、その瞬間。
「お願い…、誰か、この子を助けて――!」
ぎゅうっと、目一杯の力でエミリアに抱きしめられ、…私は光に包まれた。
まばゆく、力強く、そして優しい――金色の光。
その光の渦は瞬く間に流れ広がり、目の前のスヴァルティアを一瞬で掻き消した。
これは、何……?
不意に目の前に広がる、金色の草原。
柔らかな陽光にも似た光の中に、誰かの姿を見た気がしたけれど…、
私の意識は、何も分からないまま――糸の解れた布のようにゆるゆる崩れて、…落ちていく。
でも、いい。…エミリアは、きっと助かったのだろうから――。
284 名前:とある440と金髪の少女 そのあと1[sage] 投稿日:2011/07/11(月) 22:22:33.20 ID:SVpsqLtA
[6/10]
「書き直し」
「何でよ!?」
おっさんに投げ返された記録メディアを目の前に、あたしはたまらず声を張り上げた。
リトルウィング本部。その代表役、クラウチ・ミュラー…つまり、おっさんのデスクの前。
チェルシーが席を離れてて良かった、いたらまたクスクス笑われるところだよ。
「あのな、俺はお前に何の提出を求めた?」
「報告書でしょ!? だから書いてきたじゃん! 丸一日も掛かったんだよ!?」
「これが報告書!? 遠足の感想文じゃねーか! 文章のあちこちに散見する『すごかった』って言葉は何なんだ!?
今日日キッズスクールの作文でだって見ねーぞオイ!」
「だってすごいとしか言い様なかったんだもんしょーがないじゃん!」
「……あああ、くそ、アタマ痛くなってきた。お前報告書の書き方すらわかってねーのかよ」
「おっさんの頭痛は二日酔いでしょ!?」
「お前みたいな社員がいたら酒でも飲まきゃやってらんねーよ! ……クソ、ちょっと待ってろ、いいな?」
がっしごっしと後頭部を掻きむしった後、おっさんはデスクの電話に手を伸ばす。何よもう、…ったく。
「ああ、俺だ。手は空いてるか? …悪いが俺のデスクまで来てくれ。報告書一枚書けないバカを何とかしてくんねーか」
椅子を回し、あたしにそっぽを向いて話し始めるおっさんに目一杯のあかんべーを送ってやる。
報告書って言ったって――、あんな出来事、そんな簡単にまとめられるわけないじゃん……。
285 名前:とある440と金髪の少女 そのあと2[sage] 投稿日:2011/07/11(月) 22:30:24.09 ID:SVpsqLtA
[7/10]
あの出来事の後、あたしが目を覚ましたのはリトルウィングの医務室だった。
出口を目の前にしていたお陰で救難信号は無事に受信され、おっさんたちが救助に来てくれたらしい。
あたしの怪我は、軽い打ち身と軽微な頭部裂傷程度だった。
どちらも――憶えがある。打ち身はスヴァルティアに吹っ飛ばされて床を転がった時のものだろうし、
頭をちょっと切ったのも、壁にぶつかった時に頭を打ったせいだろう。
そしてそれは、あの時『あたしたち』に起こった出来事が夢幻ではなく、間違いのない現実だったという証明だった。
アイツ…、最後の最後であたしをかばって――目を覚ますなり440の所在を訪ねるあたしの耳に返ってきた言葉は、
あの場所にいた要救助者は気絶していたあたしだけで、あの不思議な440の姿はどこにもなかったということだった。
アイツは…、どこに行っちゃったんだろうか。
ヒトは大嫌いだ、と、寂しそうに笑ったあのPM。…救助が嫌でどこかへ行ってしまったんだろうか。
あの怪我で? また、――たった一人で?
何であたし、あの場で気絶なんてしちゃったんだろう。どうしてアイツがどうなったかを確かめられなかったんだろう。
あたししか、いなかったのに。ホント――自分の不甲斐なさが、嫌になる……。
「ああ、そうだ、聞け」
「うわあ! ちょ! いきなりこっち向かないでよ!」
電話は終わったのか、唐突に椅子をくるりと回してくるおっさんに、あたしは慌てて背を向ける。
「…何してんだよ」
「目にゴミ入ったのよ! おっさんのデスク埃っぽすぎ!」
「まあ何でも良いけどな。エミリア、お前の報告書だけどな、書式以前の箇所がある」
「…何よ」
ぐしぐしと目をこすりながら聞き返すと、おっさんはつくづく呆れた声で、
「お前の話の中に出てくるGH-440、こりゃ何なんだ? 緊急廃熱が必要になる運動性能に、
200m範囲の生物探知? 挙げ句の果てにはケーブル一本刺してスヴァルティアを停止させただ?
そんなPMいるわけねーだろ。何が書きたかったんだか知らねーが冗談ならもっとマシなこと――」
「冗談なんて書いてない! ホントだよ! 信じてよおっさん!」
我ながら、嘘や冗談にしか聞こえないことはわかってる。でも、あたしはそれを曲げたくない。
だってアイツはPMだから…、ひとりぼっちのPMだったから、一緒にいたあたしがその存在を疑ったら、
アイツは本当に――どこにも存在しなくなっちゃうじゃない……。
286 名前:とある440と金髪の少女 そのあと3[sage] 投稿日:2011/07/11(月) 22:46:15.73 ID:SVpsqLtA
[8/10]
「そうだ! スヴァルティアは!? アイツが行動命令を書き換えて停止させたスヴァルティア!
あったでしょ!? あたしが倒れていた通路の先のホールに!」
そうだ、それがあれば、アイツがいたっていう確かな証拠に――
「……ねーよ」
ぎいっ、と、おっさんは椅子を軋ませて背もたれに体を預けると、気怠そうに腕を組む。
「ない、って…、そんなはず――」
「ホールには、確かに活動中に急停止したとしか思えねえスヴァルティアが一機いたよ。けどもう残ってねぇ。
また起動状態に入られたらたまったもんじゃねえからな。バスクとクノーに頼んで爆破させた。
――だから、お前の報告にあるGH-440の存在を証明する証拠は何一つねぇんだ。
そんなもんを報告書に書くな。…書き直す時に、全部消しとけ」
なんで……?
「アイツさ……、信じられないくらいに上から目線で、流れるような勢いで人を扱き下ろしてさ、
口癖みたいにあたしのこと馬鹿って言ってさ……、チョコわけてあげようと思ったら一人で全部食べちゃうしさ……、
でもさ、あたしのこと助けてくれたんだ。あんなボロボロなのに助けてくれたんだ――!
ヒトは大嫌いなんて言いながら、それでも笑うんだよ――!
あたしを庇ってくれたんだよ――! あたしに『ありがとう』って言ったんだよ――!」
声が震えて上手く言葉にならなくなって、目頭から鼻の奥までツンと痛くなって、ボロボロボロボロ涙ばっかり溢れてきて……、
「信じてよぉ――! おっさん! あたし嘘なんて言ってないよ! ホントにいたんだよぅ――!
それなのに、アイツを『いない』なんて書きたくないよぉ……!」
とうとう、言葉に詰まって、あたしはもう何も言えなくなってしまった。
ただただ、子供みたいに泣くだけのあたしを前に、おっさんは腕を組んだまま、しばらく目を閉じて――、
「ワンオブサウザンド、っつー、都市伝説があってよ」
唐突に、そんなことを言ってきた。その言葉に、ぴくりと心が跳ねる。…なんか、どこかで聞いたことがあるような…。
「量産されるPMの中には、数万体に一体以下の確率で、常識外の性能を発揮する規格外品が生まれる、って都市伝説だ」
ひっくひっくとしゃくり上げるあたしに構わず、おっさんは目を閉じたまま、独り言みたいに言葉を続ける。
「あるPMは桁違いの運動性能と戦闘能力を持ち、あるPMは超出力のテクニックを複数同時に発動させ、
またあるPMは決して外れることのない未来予測をした、なんつってな。
…あ? 一回だけ外れたって噂だったか? ま、どうでもいいか」
287 名前:とある440と金髪の少女 そのあと4[sage] 投稿日:2011/07/11(月) 22:56:16.07 ID:SVpsqLtA
[9/10]
そこまで話して……、おっさんは目を開けると、デスクの上に両肘をつき、真っ直ぐ私を見据えてきた。
「エミリア。もしもそんなPMが実在したとしたら。…それはヒトの世に受け入れられると思うか?」
おっさんが何を言っているのかよくわからないけど…、私は小さく首を横に振った。
ヒトのパートナーとしてあるべきマシナリー。
ヒトの傍らにいて、ヒトと共に歩み、ヒトの為にある――『モノ』。
それが規格外の性能を持ってしまったら、……それはきっと、悲劇を生み出すだけだろう。
針の塊を飲み込む覚悟で、あたしはそれを、痛みと共に自覚する……。
ヒトと、モノの、その違いを。
――私は、ヒトが大嫌いです。
――でもね、エミリア。それでも私はやっぱりPMなんですよ。
あたしはやっぱり馬鹿なんだ。だって、アイツはそれを、自分で理解して――笑っていたもの。
でもさ。…でもさ、440。あたしは馬鹿だから……、アンタみたいに割り切れないよ。――アンタみたいには、笑えない……。
「だからな、エミリア。そんなPMはいねぇんだよ。――そんなPMはな、どこにもいなかったことにするしかねえんだ。
……でなきゃ居場所が作れねぇ。もっとも、ウルスラのお陰ってのもでけぇけどな」
え?
…それって、――え? 何?
おっさんのその言葉と同時に、本部の入り口のドアがスライドする音がした。
288 名前:とある440と金髪の少女 そのあと5[sage] 投稿日:2011/07/11(月) 23:06:00.14 ID:SVpsqLtA
[10/10]
「ここに、報告書と感想文の区別が出来ない稀代のダメ社会人がいると聞いて参りました」
やけに聞き慣れた、人を小馬鹿にするセリフ。
「おー、待ってたぜ。配備していきなりのトコ悪ぃんだけどよ、こいつがお前のマスターになる。名前はエミリア・パーシバル。
覚悟してくれ、出来の悪さならリトルウィングでも折紙付きなもんでよ」
「了解致しました。まぁ、この見るからに間抜けそうな顔を見れば、判断材料には困らず済みそうですが」
小綺麗な服装に身を包んだ、GH-440。
人を斜めに見上げる挑戦的な眼差しと、それを面白がるようなニコニコ顔――!
「『はじめまして』、エミリア・パーシバル」
「――うん、……『はじめまして』、GH-440」
おっさんも、ウルスラさんも、どうせチェルシーもグルなんでしょ……。あとで――あとで絶対仕返ししてやるから……!
440は、あたしの顔を見上げて、見詰めて、そして、にっこりとした笑顔を私に向け直すと、
「これから、どうぞよろしくお願いしますね? ――マイマスター」
---------
というわけでオシマイです。小ビス子の時もそうでしたが、何よりもまず、長くなってしまってスミマセン。
どこかにいたような440の、あれからの話とこれからの話、でした。
>>244さん
またここで箱と450をお目にかかれるとはw 箱カードめちゃめちゃ欲しいデス…。
>>250さん
懐かしい名前が沢山で、話もすごく和みますねえ…。あの頃のこのスレを全部まとめたら、こんな日常だったのかも知れませんね。
それでは、これにて。縁と折りがあればまたどこかで、ということで失礼致しますー。
…オートワード付き狂犬さんは、恥ずかしくてPSNではなかなか使えません…
289 名前: 忍法帖【Lv=26,xxxPT】 [sage] 投稿日:2011/07/11(月) 23:28:09.59
ID:ThpN+7C9
PMのセリフのAW設定がしたいPSPO2∞ですね
290 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/07/11(月) 23:40:38.92 ID:4DaAkQ7Q
凄くスレが進んでいてさらにびっくり。
あと、まとめwikiの過去スレログ22の2から3の間が、
約100スレほど跳んでいました。報告です。
291 名前: 忍法帖【Lv=27,xxxPT】 [sage] 投稿日:2011/07/12(火) 00:42:27.28
ID:DJo5vDpq
>>290
あれは あれで正常なのだよ
前スレ21が「kamomeがトンだ」事件によって消えたために
その顛末等がコピペされたこと および 2にスレ19のコピペが
書かれたりしたため 番号が把握しにくくなっているだけ
by22スレ立て より
292 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/07/12(火) 00:42:50.13 ID:xssIIozP
>>288
お疲れさん
ドキドキしたがハッピーエンドで何より
さらに俺はエミリアが440をなおすのかと思って角の所在にもドキドキしたが角もなくて安心した
…あ、これから付くのか
293 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/07/12(火) 00:58:10.35 ID:txG1K9OH
投下の方乙乙
さる避けも出来ずすまなんだ
>>289
・pspo2iを起動します
・新しいキャラをpm風に作成ます
・セーブしたらメインキャラを選んでマイキャラクターから呼びます
細部脳内補完で完成!
まあマイキャラだとレベルあげも自分でしないといけないよな・・・
あと箱のパトカももちろん狂犬のパトカだって欲しい俺はどうすればよいでしょう
294 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/07/12(火) 03:39:42.69 ID:18gZMUkc
寡黙なキャストの作者で御座います。
>>277
今思ってみると懐かしい方々が戻られたので、自分も過去スレを思い出して様々な
方々を出してみたくなったのかもしれません。
>>293
いえいえ、お気になさらずに。 そのお気持ちだけで十分ですので。
小ビス子氏、完結乙でした。 不死身のこれからに幸あれ。
そして、そう言って頂けて嬉しいです。 痛恨の初投下『某GH430の日記』の
リターンマッチとも言える今回の小ビス子と「狂犬」、元祖小ビス子氏から見て
合格点に達しているでしょうか?
それに、狂犬の台詞が恥ずかしくてゲームで使えないとうのであれば、このスレに
設定した台詞を使った話を投下するというのはどうでしょうか?
裏話ですが、本当は他にもワルキャス&ワルパシリ、黒キャス子&GH430、
ルドルフ&ロザリオ夫妻&ジュエルズ、店長&GH450ズ等々出したい方々が
いたのですが、スレの中で飯店に来た事の無いキャラを出すのはどうかと、止むを
得ず書かない事にしました。
では、次のネタを練りながら更新して頂いた保管庫の過去スレ16体目から
21体目までROMってきます。
295 自分:258[sage] 投稿日:2011/07/12(火) 20:03:07.81 ID:AmJfDqEX
〉〉290-291
ご報告&フォローありがとうございます
こちらで確認したところ、コピペの際にチェックが甘かったらしく、その部分が脱落してしまったようです
現在は修正済みです
ご迷惑をおかけしました
296 名前:赤箱のリトルウィングレポート[sage] 投稿日:2011/07/13(水) 01:16:21.01 ID:bTSRj2+V
[1/5]
GH-450「今回行われます、PMとその主希望者の面接を担当しますGH-450です。」
赤箱「初めまして。貴社の傭兵のバスクさんから紹介をいただいた赤箱です」
GH-450「はい」
赤箱「PMのあなたが面接官ですか?」
GH-450「ええ、PMは人権を持つとはいえ社会的に弱い立場なので配慮を、という面がひとつ」
赤箱「なるほど」
GH-450「当社は来るもの拒まずがモットーなので面接なんかどうでもいいという面がひとつ」
赤箱「じゃあ面接すんなよ!面接用のキャラ作りとか無駄じゃん俺!」
GH-450「まあ書類だけ渡されても困る程度には複雑ですので、ご理解とご協力をお願いいたします」
赤箱「複雑なんですか」
GH-450「PMは本来会社に所属するマシナリーですから。当然賃金も発生しますし」
赤箱「お金取るの?!」
GH-450「大丈夫です。パッケージ料を巻き上げた後クライアントを無料配布するようなアコギな真似はしませんよ?」
赤箱「不安だ、すごく不安だ…」
GH-450「ではこちらが資料です」
赤箱「スルーですか」
GH-450「緊急回避です。そしてこちらがリトルウィングに配置されているPMの一覧です」
赤箱「はあ…」
297 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/07/13(水) 01:17:34.00 ID:bTSRj2+V [2/5]
GH-450「GH-4**は少女型がほとんどです」
赤箱「短パン少年が1人というか1タイプ…」
GH-450「通称ショタです」
赤箱「その通称でいいのか本人達…」
GH-450「他は一般的にウェイトレス型、ニャンポコ型、蝶々型、帽子様などと呼ばれるタイプですね」
赤箱「今なんか一般的の一般が歪んだ気がしました」
GH-450「リトルウィングのニャンポコは混乱の状態異常を起こした場合『ぽ…こ…?』と発言したりしまして」
赤箱「リトルウィング限定ですか」
GH-450「ガーディアンズ時代を経て本人達も自分をニャンポコと認識するに至ったと思われます」
赤箱「PMってガーディアンズとこっちで性格違うんだ…」
GH-450「ちなみに帽子様の一人称は『ボク』です」
赤箱「ハサミ」
GH-450「黙れ。そのネタはずっと前に通った道です。そしてポリマーもってこい」
赤箱「なんかもう完全に普通の面接じゃねえ!キャラ作って損した!!」
GH-450「他にナースタイプ、スイムウェアタイプなど」
赤箱「また緊急回避だよスイムウェア…ってこれはバニーガールでは」
GH-450「GRMが供給しているものにそんなタイプがあるわけないじゃありませんか」
赤箱「だってバニ」
GH-450「…ファック。」
298 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/07/13(水) 01:18:27.50 ID:bTSRj2+V [3/5]
赤箱「すみませんすみませんすみませんすみません土下座しますんでそのリュウホウジドウをしまって下さい」
GH-450「話を続けます。他にカバ型、執事型、ドラゴン型、レトロ型などのバリエーションがあります」
赤箱「おお…って人権があるキャスト種にドラゴン型っていいの?!カバとかねえいいの?!」
GH-450「人を見かけで判断するのはどうかと。大体箱にそんな心配されるのは心外ですが」
赤箱「見かけで判断しただろ今!箱ってダンボーみたいじゃないじゃん!Amazonとか書いてないし!」
GH-450「箱はみんなそう言うんですよ」
赤箱「そりゃ言うわ!つうかあんたぶっちゃけどうでもいいとか思ってるだろ!」
GH-450「それはぶっちゃけ私だって御主人様に組み敷かれたり揉みしだかれたりする方が楽しい訳ですし」
赤箱「ぶっちゃけ過ぎだろ!なんなのPMってこんななの?イメージと違わない?!!」
GH-450「ほらほらこのレトロタイプなんかあなたそっくりじゃないですか」
赤箱「俺の話を聞けよおおおちくょおォォォォ!」
GH-450「だからなんで私が御主人様以外の人の話を聞かなくてはいけないんですか」赤箱「面接だからだろ!PM決めるのも俺だからだろ!」
GH-450「…は?」
299 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/07/13(水) 01:19:39.05 ID:bTSRj2+V [4/5]
赤箱「なにその呆れ顔の見本みたいな呆れ顔」
GH-450「PMが人を選ぶのですよ?」
赤箱「え」
GH-450「だって貴方に百人のGH-450を並べて見せても違いなどわからないでしょう」赤箱「むしろ違うという可能性を考えてなかった」
GH-450「PMは無条件で主人に仕えますが、無条件で主人になれるわけではありません」
赤箱「そりゃあ…そう言われたらそうなんだろうけど」
GH-450「やれやれ、それでよく人を劣等種扱いしたものですね」
赤箱「それに関しては正直すまんかった。どの種より謙虚なPMに言われたら返す言葉もない」
GH-450「PMが…謙虚…?」
赤箱「あ、なんかまた俺のPM幻想(ファンタジー)が壊れる予感」
GH-450「やれやれ、あなたはPMに関して多大な誤謬をお持ちの様ですね。私はいちPMに過ぎないのですよ」
赤箱「いやあんた個人は全然謙虚じゃないよね」
GH-450「わかりました。明日同じ時間にここに来て下さい。本当のリトルウィングのパシリをご覧に入れますよ」
赤箱「傲慢なPMとか見たくないよ!何だよこの会社!」
GH-450「…ファック」
赤箱「すみません帰ります明日来ますのでリュウホウジドウはしまって下さい…」
続くのかも知れない。
300 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/07/13(水) 01:23:33.84 ID:bTSRj2+V [5/5]
冗長ごめんよ
本当だったらこれ…∞やってない人にリトルウィングを説明する話になるはずだったんだぜ…嘘みたいだろ?
301 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/07/13(水) 11:57:23.90 ID:4rFSNQj2
>>300
投下乙
かけあいものもひさしぶりだな
302 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/07/13(水) 17:22:13.70 ID:A47PEIPQ
>>300
投下乙です。 口癖がファックのGH450の方でしょうか?
続編、楽しみです。 そして何気に思いついたので投下。
「ただいま」
「お帰りなさいませ、ご主人様。 お願いがあります」
「改まって、なにかなGH4XX? そういえば今日メンテ長かったけど」
「ご主人様の手で私を”女”にして下さい・・・」
「えっ! ちょ・・・。 如何したんだ、急に?」
「お嫌でしたら、せめてこれを私に・・・」
「デバイスZEROじゃないか! 何でそんな物を!」
「想いを遂げられないなら、せめてご主人様の手でこの想いを消して下さい!」
「出来る訳ないだろ!」
「・・・次こそは結ばれましょうね、ご主人様。 私もすぐに参ります」
「お、おいGH4XX! 待て、お前何をす・・・・」 ドシャッ・・・
とある過激な思想のキャスト至上主義者の集会場
「クックックッ、予想以上の成果じゃないか! メンテの際に擬似恋愛感情回路、
コンフェラット・ミルトを暴走させる!」
「それだけで不快なキャストもどきのPMと、コンフェラット・ミルトを発動
させる程のPMに対してそんな感情を向ける輩を同時に処分出来る!」
「果たして何時まで隠しきれるかな、ガーディアンズにGRM!」
メンテ明けに何かを決意した、もしくは思いつめた表情のPMにご注意を
終
303 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/07/13(水) 21:53:32.07 ID:5nz/yN1w
>>302
Nice Boat!何気にウツなお話ですね!
私も何か書こうと思ったこれまたひどい話で・・・ううう。
304 名前:かつて『GH450の人』と名乗っていました[sage] 投稿日:2011/07/13(水) 22:20:32.51 ID:qXem/u9m
[1/2]
>>248
来たと言っても、
携帯で推敲し難いから駄文投稿できないし、
PCと違って文字打ちにくいし、
PCの規制が一向に解除されないし、
支援も乗り遅れるし、
と、何もできてません
またROMに戻るよorz
>>276
投稿乙です!
パシリスレオールスターって感じでよかったよ。
>>288
投稿お疲れです!
あのGH440がついに…感無量です。
なんとなく些細な口喧嘩とかしてそうだけど、実はお互いに心から信頼する…そんなパートナーになりそう。
>オートワード付き狂犬
やべえ、めちゃくちゃ見てみたいw
>>300
ファックの人来たw
相変わらずのノリで安心した!
305 名前:名無しオンライン[sage GH470の者] 投稿日:2011/07/13(水) 22:26:04.04 ID:bedtjS/6
>>302
一昔前ならそこから話が膨らみそうなネタだった。……今は無理だろうけどね。
>>304
ttp://qb7.2ch.net/_403/madakana.cgi
このページにアクセスすれば、自分のIPが規制されているかどうかがわかりますよ。
306 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/07/13(水) 23:57:32.29 ID:qXem/u9m [2/2]
>>305
ありがとう!
でも、もうそこは確認済なんだぜ…
307 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/07/14(木) 03:00:05.43 ID:BccpKDXe [1/2]
みんな面白いの投下するなあ
でも怯まずに投下してみせる!w
>>302
450「私達のメンテナンスの裏にそんな陰謀が・・・」
箱「こわいねぇ・・・ そういや450はコンニャクとミルクはついてるの?」
450「なんですかそれは・・・ コンフェラット・ミルトです。」
箱「そうそれ」
450「ついてませんよ。だって私試作型ですからこの手のものはついてないんです」
箱「へー じゃあ恋愛感情とかないわけ?」
450「・・・ぐっ (こ、この箱は・・・)」
箱「・・・ないのかぁ」
450「ぎ、擬似的なものはないんです」
箱「なるほど」
450「・・・・・・擬 似 的 な も の は な い で す」
箱「うん。わかったって」
450「・・・・・・ はぁ・・・メンテするならうちのご主人様をしてほしいですね・・・」
箱「えーーーなんでーーーー?」
450「なんでじゃありません!最近の戦闘パターン、なんですかあれは!」
箱「なんか悪いところあったっけ?」
450「ありますよ! カムイを入手して嬉しいのはわかります。
でもどうしてセットスキルがシソクテンカイザンなんですか!」
箱「別にいいんじゃないの?」
450「だめですよ!身長最大で見た目ごっついキャストが高速で転がりまくるとか
このまえご一緒した方なんてドン引きして即用事を思い出されてたじゃないですか!」
箱「うっ・・・」
450「確かに移動や対大型にしか使っておられませんし、使いどころは悪くはないですが
見た目が不気味すぎますよ・・・」
箱「ぅ・・・だ、だってさぁ」
450「だって?だってなんですか?」
箱「いやほら、あれってなんかすごい必殺技みたいじゃない?
敵を掴んで高速回転しながら、頭を連続で地面に叩きつける的な・・・」
450「あんたはXライダーか!!」
308 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/07/14(木) 03:29:38.90 ID:vLGgYzI+ [1/3]
>>302
GJ
俺はこういうの好きだ
>>304
安心された!w
じゃあもう少し安心してもらおうか!
リトルウィングに「転生」システムが導入されてかなりの時間が経った。
無論クールなPMのGH-450である私が転生する訳ではないし、チケットさえあれば御主人様の意思でいつでも転生可能な訳だが。
ビーストブレイバーだった御主人様はスタントラップの弱体化と回避の下方修正により不利な立場になられた。
が、ダブルセイバーを振り回していられれば御主人様はいつでもご機嫌だ。
むしろ太陽王を倒したら次の太陽王は自分なのかの方が気がかりな様だった。
太陽王のPMとなった暁にはやはりそれっぽいアドリブは必要だろうか?
フハハハハ!これが完全燃焼です!
かなりクールじゃない。ファック。
長い戦いの末にレベルMAXまで登りつめた御主人様は、今朝方転生を決意されていた。
ここまで来たと考えると私も感慨深い。
ガーディアンズでインナーウェアしか着るものがなかったあの頃からここまで来たのだ。
感慨深くない訳はなかったが貧乏の理由は私の育成にメセタがかかりすぎる事だったと思い出して鬱。ファック。
御主人様が世にも見事なモコモコのショタになって帰宅。
御主人様、生まれ変わったからといって少年に戻る必要はないのですよ?
え?
エステルームに行って生まれ変わらせてくれと仰ったのですか?
…エステ屋の気持ちもわからないではないが、それなら何故若本ボイスのままにした。
ファッキン。
309 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/07/14(木) 03:41:59.65 ID:vLGgYzI+ [2/3]
誤字チェックしてたら箱来てた…
>>307
把握した
こんにゃくとミルク実装してくる
310 名前:302[sage] 投稿日:2011/07/14(木) 03:44:53.16 ID:Rszb/UpW [1/3]
寡黙なキャストの作者改め、えっと題名付けてないから何て名乗ろう・・・。
>>303
ええ、正しくGJというよりNice Boat!というような内容ですね・・・。
ヤンデレと言うかバッドエンド?
>>304
有難う御座います。 実は自分でも結構飯店内のシーンはお気に入りです。
何処まで其々のキャラの方々が描ききれているか、今となってもかなり
ビクビクものですが・・・。 規制解除されたら是非投下して下さい。
>>305
ありましたね、連作。 PMとイチャイチャ禁止条例の話ですか。
最後の1行と終の一文字を書かないで、投げるぜ!とか書いてもよかったかも。
>>307
いえいえ、自分は箱とGH454のやり取り好きですよ。 投下乙です。
そして拾って頂き有難う御座います。 しかし、「Xライダーか!!」
真空地獄車でしったっけ? 懐かしいネタを・・・。
無断で箱とGH454をお借りしてしまいました、ご了承を・・・。
箱氏から見て自分の書いた箱とGH454は、合格点に達しているでしょうか?
311 名前:302[sage] 投稿日:2011/07/14(木) 04:12:04.19 ID:Rszb/UpW [2/3]
書き込んでいる間に投下が・・・。
>>308
気に入って頂けて幸いです。 そして投下乙です。
太陽王のPMとなった暁にはやはり狙うはミカか、ミカの座か?
そんな事を思いながら、ふと自分の体を見てみる。 ファック。
しかしクールなPMのGH-450である私はその程度でめげない。
まずは形からだ。 あの恥ずかしい衣装をあちこちで探してみるが
見つからない。 ファック。 仕方が無いので手縫いしよう。
などと、勝手にこのような事を連想してしまいました・・・。
312 名前:名無しオンライン[sage GH470の者] 投稿日:2011/07/14(木) 09:41:21.00 ID:z+YjNgDy
>>307
おお、箱さんが。
「どうしよう、シソクテンカイザンの文字が出た瞬間にとんでもない物を思い浮かべてしまった」
『……オチは見えてますけど、なんですか?』
「『食らいやがれ、超必殺「飛鳥文化アタック」ー!』と叫びながら所かまわず飛び回る箱さん」
『で、450さんが『暴れないでください!』と突っ込むんですねわかります』
313 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/07/14(木) 12:23:08.58 ID:vLGgYzI+ [3/3]
>>311
起きたら削った内容ほぼそのまま書かれててワロタw
314 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/07/14(木) 15:16:17.87 ID:BccpKDXe [2/2]
307、いわゆる箱の人ですがw
>>309
おkがんばれ。後から刺されないようにw
>>310
真空地獄車ですね。まあ私はTVでなくマンガのほうで見たわけですがw
利用はご自由にでございます。つかっていただけると中の人が喜びますw
ふたりは毎度あんなもんですw ボケとツッコミの夫婦漫才ですね
>>312
しまったそれがあったか!
むしろそっちにすればよかった・・・
315 名前:302[sage] 投稿日:2011/07/14(木) 18:15:38.87 ID:Rszb/UpW [3/3]
投下の度にころころ名前が変わので、これからは「新参者」で統一しよう
かと思います。
自分の場合今迄の投下が全て読み切りというのも、他の作者様方と違い自分の
作品には自分のキャラとPMが出ていないせいかなと、ふと思ったり。
>>311
マジですか・・・。 流石今迄このスレを支えてきた作者様方の影響力というか
染まってますね、自分。 これを機に物真似作者として、デビューを・・・。
ご免なさい、自信無いというか、多分無理です・・・。 自分の構成力でこれ以上
何処まで似せられるかは流石に限界が・・・。
>>314
仮面ライダースピリッツでしたら自分も読んでます。
飯店内ネタで450の正式の型番を過去スレで探すのに苦労したりと・・・。
ご了承、有難う御座います。 今後も使用の際には極力箱と450の
イメージを崩さぬ様努力します。 頑張れ、箱! ちゃんとしたスキヤキが
食べられるようになるまで! 応援はするけど、450が杖を刺す手は敢えて
止めない! 既にゴールインしてるから2人の仲は応援しない、つか自分の所の
PM達よりも先にゴールインしてるって考えたら、ちょっとジェノサイドバンカー
取って来る・・・。 いや、GH440にピンクのフリフリドレスを渡すか。
316 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/07/15(金) 00:29:42.62 ID:aQZPEr/Q [1/3]
じゃあ思いついたので書いてみますね。
317 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/07/15(金) 00:31:20.04 ID:aEX2FBUr [1/4]
さるよけ
318 名前:欲しけりゃその手で掴め 1/2[sage] 投稿日:2011/07/15(金) 00:31:36.09 ID:aQZPEr/Q [2/3]
未知の星を調査する男達。
長い年月、星から星へと渡り歩いた彼らは、、
やっと定住できそうな星を見つけ地表の調査を開始した。
アークスA「…たく!何だってこんなショボイ装備で地表調査なんだよ!!」
アークスB「まあ腐るな。過剰な武装は禁止ってのは上が決めた事だからな」
アークスC「レーダーに反応!何か来るぞ!反応ネイティブ!!近いぞ!!」
しかし……その星は楽園では無かった。
まるで星自体に意思があるかのように彼らを拒む。
それは天候であり、地形であり、そして……異形の生物。
エネミー 「ギャシャアアアアアアー!!」
アークスA「土着の生命体なのにフォトン弾が効かないぞ!!」
アークスB「そんなバカな!こんなの普通の生物じゃない!!」
アークスC「もうダメだぁ!!助けてくれ!死にたかねえよ!」
エネミーの奇襲を受け総崩れになる男達。
誰もが死を覚悟したその時であった。
アークスA「あ、あれは誰だ!味方の応援か?」
アークスB「少女……こんな所にそんな馬鹿な」
アークスC「いや、あれは少女型のキャスト?」
319 名前:欲しけりゃその手で掴め 2/2[sage] 投稿日:2011/07/15(金) 00:33:55.43 ID:aQZPEr/Q
[3/3]
丘の上に立つ五人の少女型キャスト。
それぞれがカラフルな衣装を身に着けている。
赤 「やっぱり来ちゃったぜ」
青 「まあ。仕方無いかな?」
黄 「これもお宝の為って訳」
緑 「どうする?助けるの?」
桃 「わたくしは助けたいのです」
デッデケデケデケデケデーンデーン(BGM)
『グラール太陽系の平和と 御主人の笑顔を守り続けてきた 数々のパシリたち
オンライン終了で失われたその力を受け継いだのは とんでもない奴らだった!』
(By イーサン)
アークスA「いま何か聞こえたー!イーサンの声が聞こえた!」
アークスB「誰だよイーサンって!?あの声ソースケじゃね?」
アークスC「ダルでも……いやまさか……彼女達はあの伝説の」
赤 「派手に行くぜ!PMチェンジ!!430!!」
『チョ~チョーウッ!!』
(By イーサン)
とう訳でライダーに対抗してアレで。
PSO2でもPM出てくれないかな?
320 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2011/07/15(金) 00:36:35.68 ID:aEX2FBUr [2/4]
さるにはならなそうだw