301 名前:パパと412作者[] 投稿日:2007/06/14(木) 20:54:36.25
ID:wQ7iiuK6
ども、パパと412作者です。
>>300
お褒めいただき、光栄に思います。
しかし、その余韻を打ち砕くようなものを作ってしまった。
本当はインターミッションが一本、だっけか、あるんだがまあいい。
お持ち帰り、412、たゆんたゆんでついネタが浮かんで一気に書いてしまったので上げないわけにはいかんだろう!
とにかく後悔はしていない。が、たゆんたゆんを使う日がこようとは…。
青キャス子氏のネタとたゆんたゆんをお借りいたします。どうなるやら…。
製作時間5時間という、俺的最短時間作品、ご拝読下さいませ。
★お持ち帰りは412?
―――ガーディアンズコロニー・マイルーム―――
この2、3日、パパの様子がおかしいです。
諜報部のお仕事の時にしか使わない、地味だけど丈夫な服と、シールドライン、それにいつもは封印してある特殊な武器を持って外出していきます。
別に諜報部のお仕事とかいう話は聞いていません。
なんだかとても心配です。
「…一体、どうしたのかな?」
なんとはなしに独り言を呟くと、入り口が開きました。
お客様かな?
「いらっしゃいませ。よろず屋にようこそ…?」
……あれ?誰もいない?
身体が反射的に動いて、レイピアを引き抜くと足元に突き立てます。
「………やるじゃねぇか、てめぇ」
声のする足元に目を向けると、レイガンが持ち上げられないように手首の真横にレイピアが突き立てられた、430さんが転がっています。
地獄の特訓の成果が出ました。けど、この430さんは…
「あ~っ!あの口の悪い430さnモガttゥナニsrンdsk」
430さんが反対の手で私の口を塞ぎます。
「ちょっ、静かにしてくれ」
開いたままのドアの向こうから、若い女の人の声がします。
…よんさんまるぅ、どこですかぁ。おわりましたよ~……
「ちっ、時間が無い。
いいか、要点だけ言っておく。あいつを一人にするな。でないとあいつ…」
430さんのすさまじく真剣な表情。
「死ぬぞ」
「え?」
…行きますよ~、よんさんまるぅ……
「じゃあな」
「え、あの、ちょっとぉ!」
突風のように現れて、同じように行ってしまいました。
でも、気になる事を言ってました。
「パパが…死ぬ?」
妙な胸騒ぎがします。
「…確かめなきゃ」
お店を勝手に閉めると、私はそのまま街に飛び出していきました。
―――ガーディアンズコロニー・3F―――
「どこのエリアだろう、ご主人様のいそうな場所」
あちこちのユニバースをうろうろしながら、かれこれ3時間近く歩き回りました。
この所、イベントのせいで人が多いのですが、その中にも、近くにもいません。
『テレパス』で呼びかけても、返事は来ません。
「はぅ~、疲れた~」
通路に設置されたベンチに腰掛けて、一休み。
お腹が、くぅ~、と鳴りました。
「おやつの時間…あ、そうだ」
ずいぶん前にパパがくれた基盤で作っておいた、ショコラを取り出します。
「いっただっきま~す♪(もぎもぎ)微妙な味」
つい、味の評価を反射的に口に出してしまいました。
お菓子は好きですし、別段まずいわけではないのですが…パシリの悲しき習性です。
ショコラをパクつきながら、周りを何とは無しに眺めていました。
いかついビーストのおじさん、私よりちょっと大きいくらいだけどせくしぃぼでぃなニューマンの女の…子?
人ごみと距離があるので良く見えませんが、パシリにハッパかけられながら、アモーレルのパーツをつけたキャス子さんがもじもじしながら歩いていて、何故か最後に溜息ついてます。
こっちには色黒ですっごく背の高い細身のニューマンを筆頭にアフロな人達。しかも、何故ビキニパンツ一丁?
良く見れば、2割近くがビキニか何かの水着姿…
ココハイッタイドコデスカ?
現実逃避したくて視線を外した先には、各フロアへ移動するスロープ。
そこから現れた銀髪キャストのお姉さん。
…うわ、あの銀髪キャストのお姉さん、胸がたゆんたゆんしてる。
一瞬、ヒュマ姉さんと比べてしまいましたが、姉さんなんかと比べるのが失礼なくらいです。
「おや、かわいい412さんがひとりでいるんよー」
あ、なんか知らないけど、来ちゃったよぅ。
「ショコラが垂れとるやん、手を出すんよー」
え、あ!手についちゃってる。
「…はい、終わったんよー」
手の他に口の周りまで、ハンカチであっという間に拭かれてしまいました。
「ありがとう、ございます」
…パパ以外にこんな事されたのは初めてです。
「ところで、一人でこんな所をウロウロしてどしたんよー?」
「え、あ、その………ご主人様を探しに」
危ない危ない、パパって言いそうになっちゃった。
「ご主人様?」
なんか、背景に『ゴゴゴゴ』とか、燃えさかる炎とか表示されそうな殺気を感じますが、気のせいではないようです。
「あ、あの!別に捨てられたんじゃありません!ちょっと心配になって探しに来たんです!」
なんか、思いっきり誤解されてるみたいなので、あわてて事情を説明しました。
「…てっきり捨てられたんかと思ったんよー」
あ、鎮火した。
なんか疲れます。
「はぁ…わぷっ?!」
溜息をついた途端、唐突に目の前が真っ暗に。
抱きしめられたのは分かりましたが、この柔らかい、視界を遮る物体は?おまけに、い、息が…
「こんなかわいい412に心配かけるご主人様が見てみたいんよー。
暇だから、一緒に探してあげr…」
覚えているのは、聞こえてきたその言葉まで。
“外部への熱排出量が異常低下、内熱排出装置に異常を検知、セーフティ作動、主演算装置を非常停止します”
呼気による内部廃熱の放出が出来なくなって、私のブレインコアが非常停止してしまったのでした。
―――ガーディアンコロニー・4F―――
………あれ?ここは……
「あ、よかったんよ、目が覚めたんよー」
目の前には、きつい目つきを眼鏡で隠した銀髪のキャストのお姉さん。
気がつくと、人通りが無い通路の椅子の上で横になっています。
OSの時計が既に夜を指しています。
「ごめんよー、つい力が入ってしまったんよー」
…警告は全て解除、状況は緩衝値範囲内、問題なしですね。
「大丈夫です。ご迷惑をおかけしました」
「そんなことはないんよー」
キャストのお姉さんは寝たままの私を椅子から抱き上げ、入れ替わるように椅子に座ると、私をその膝の上に横座りに座らせました。
目の前には、たゆんたゆんしている大きな胸。
「…一体、何が詰まってるのかしら、この胸」ツンツン
「よく言われるんよー」
「え、あ、す、すみません」
ついつい独り言を言ったのが聞こえてしまったようです。
こっそりつついたのには気づいてないようですが。
「さて、どうするんよ、412ちゃん。もう、随分遅い時間なんよー」
「あ」
どうしよう、このまま帰って怒られるだけならいいんだけど……パパ、まだ帰ってないかも。
「どうせだし、ワシの部屋に泊まってもいいんよー。ワシのパシリも喜ぶ…」
急に身体が持ち上がる感覚。
流れる空気で、このキャストのお姉さんが座ったままジャンプしたのだと分かりました。
空中で身体を翻すと、天井を蹴って椅子から距離をとります。
「ふ、早い」
え、笑ってる?
獰猛な、肉食獣を思わせる笑み。
私を左腕で抱えて、右手にセイバーを構えるお姉さん。
着地と同時に、足元から来る黒い影。
ギィン、ギギギギギギィン。
薄暗さも手伝って、フォトンの武器なのに手数が見えません。
二人ともフォトンアーツでもないのに、すごいスピードで打ち合ってます。
ガスビピシッ!
お姉さんの身体がよろめきます。膝に蹴りが入ったようです。
黒い影の人は、お姉さんのセイバーが左腕に刺さっています。腕で強引に止めたようです。
黒い影の中にある、見慣れた、けれど、冷たい光を放つ琥珀色の瞳。
まさか、パパ?!
お姉さんが、格闘技にある動かずに瞬発力を乗せる技のように、全身にひねりを加えてそのままセイバーを突き込もうとしています。
このままじゃ、心臓に一撃が入ります!
(跳べ!)
頭に割り込まれたような通信。
「だめ、パパ!止めて!」
一瞬、躊躇するお姉さん。
その隙に、私は黒い影に飛びつきました。
「スイッチ押しちゃ、だめ!」
「何?」
お姉さんの足元に、何かのトラップGが仕掛けてあります。
やっぱり。
さっきの音に、トラップ設置音が混ざってたのに気がついてよかったです。
「…他人のPMを『お持ち帰り』とは、どういう趣味をしている。『銀髪の肉食獣』」
やっぱりパパの声です。
「ほう、私を知っているのか、貴様」
さっきまでののんびりした口調とは全く別人のお姉さん。
「ああ。戦場で会った事も一度や二度じゃない」
「それは変な話だ。私の歩いた後には、死体しか残らないはずだが?」
「さぁな、し損じがいたんだろう。俺みたいなのがな」
「あ~もぅ!そこまでにしてください!」
放っておくと、また斬り合いかねない二人の間に入って、トラップに片足を乗せます。
「この際だから言わせてもらいます!
パパ!!
今の今まで何処に行ってたんですか!
この三日間、部屋で寝るときとイベント以外は姿をくらまして!
私がどれだけ心配してたか判りますか?!
おまけに、パパを探す手伝いしてくれるって言ってくれたお姉さんに切りかかるなんて!」
「いや、しかしな、ロザリオ…」
「しかしもへったくれもありません!
それから、お姉さん!!」
「な、なんよー…」
「ご助力には感謝しています!
ですが!
私が気づかなかったら、パパが死んでましたよ?!
そうなったら、どうしてくれるんですか!!
それだけ腕が立つのでしたら、相手を確認してからでも遅くはありません!」
「そ、そうはゆうて…」
「私、帰ります!!」
怒りが収まらないので、トラップをそのまま手近な連絡通路に蹴りこみました。
「あ、このバカ娘!そこには!」
ボンッ!「「ぐえっ!」」
「………あいつらの声がしたんよー……」
拘束されたままの二人のキャストが、氷のオブジェと化しました。
―――パルム、オープンカフェ―――
「ところで、ワシ、あんたといつ会ってるんよー?」
『お持ち帰り』の件が誤解だとわかり、普通にお茶をするパパとたゆんたゆんお姉さんと私。
「………知らないほうがいいと思うぞ?」
「そうなんですか?ご主人様」
「そう言われると、知りたくなるんよー」
暫く唸っていたパパ。
「……過去に何回か、手が付けられなくなった原生生物を駆除するミッションがあったんだが………
俺も幾度か、お呼びがかかった事があってね。
途中は省くが、死にかけて身動き取れなくなった所に来た第0遊撃隊に、原生生物諸共浄化されちまってなぁ」
うわ、確かに聞くんじゃなかったかも。
「あの時は、この人に原生生物と一緒に開きにされかけて、気がついたら翌日だったからな…」
顎をしゃくって、お姉さんを指すパパ。
「おまけに一度や二度じゃないし(ぼそ)」
え?
「ある程度の実情とか知ってるし、その後に色々噂とか聞いたんだが、その人物をガーディアンズとして街中で見かけてみろ、出来るだけ会わないようにする為に行動を把握したくなるってもんだろうが」
まあ、一種の天敵のようなものですね。
どおりで、一人でこそこそ出かけた訳です。
「……と、ところで、ワシの元部下たち、そんなに弱いとは思えんのよー。
どうやって確保したんよー?」
その疑問はもっともですが…
「あ、ああ。
あんたの見張りから一時離れて、どこぞのキャストの部屋にPMを届けたとかっていう話をしてた時だな。
なんか、気が緩んでたらしくて、上手い具合にスリープトラップGを仕掛けた路地に来てくれたんで、そのまま、ボン、と」
片手で爆発するのを表現するパパ。
「……そうか。話が出来てよかったんよー。412ちゃん」
「ロザリオと呼んで下さい、キャストのお姉さん」
「それじゃロザリオちゃん、今度はわしの所に遊びに来るんよー」
ちらりとパパを見る私。
(好きにしな。それもいい経験だ)と、『テレパス』でパパが言いました。
「はい、そのうちにお邪魔します」
私がそう言ってお辞儀をすると、うれしそうに微笑んでくれました。
「では、失礼するんよー」
軽く会釈して立ち去るたゆんたゆんお姉さん。やっぱり胸が大きく揺れます。
「ちょっと心配だな…」
「何がですか?」
「……あの二人だよ」
パパが言いたい事はなんとなく判ります。私も似たような経験してますから。
「あのキャストの二人組の運命は、あのたゆんたゆんお姉さんが握っています。ご主人様が悩んでも…」
どうなるかは聖霊のみぞ知る、です。
―――おわり―――