「1スレ目614氏」(2007/06/08 (金) 21:01:18) の最新版変更点
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<h2>>>614氏</h2>
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<b>614 名前: キャス子とパシリ1/3 [sage] 投稿日:2006/11/02(木)
23:21:13.11 ID:rt5aCQcT</b><br>
440「お帰りなさい、ご主人様。」<br>
キャス子「報告を。」<br>
440「はい。メイガライン光24%、スタッフが完成しています。あとはモノメイト4つです。」<br>
キャス子「モノメイトだけ受け取る。残りは倉庫へ。」<br>
440「…了解しました。」<br>
キャス子「今回のミッションで32個の素材を拾得した。これでなにか作れるか?」<br>
440「基盤がありませんので不可能です。」<br>
キャス子「わかった。では明日のミッションまでメンテナンスを。左腕に欠損がある。パーツの交換を。」<br>
440「…了解です。」<br>
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ベッドにうつ伏せになり、腕を投げ出す。<br>
440がパーツの交換をしている間、ぼんやりと今日のことを頭の中で整理していた。<br>
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今日のミッションで一緒だったガーディアンズとそのPMの行動は理解不能だった。<br>
キャストなのに無駄な行動が多い。ハリボテで中に人間が入ってると思ったがスキャンの結果やはりキャストであった。<br>
そして彼のPM。なぜか彼の方が命令されている。なぜ主従関係が逆転しているのだろう。<br>
さらにPMは戦闘行動中にもかかわらず最適な行動をとらず、自ら主人を危機的状況に追い込んでいる節があった。<br>
あまつさえ手にした杖で直接主人に攻撃。なぜかシールドラインを貫通し直撃、幸い頭部パーツ欠損ですんだようだ。<br>
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他のメンバーはそのやりとりを見て笑っていた。一歩間違えれば大惨事になりかねないのに。<br>
やはりヒューマン(ついでにこのキャストも)の思考は理解できない。<br>
しかし大切なところはそこではない。同行したライア教官に、言われた言葉がリピートする。<br>
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「…お前もルウもあれぐらい砕けてくれると助かるんだけどな。そういやお前のとこのパシリはどうだ?楽しい奴か?」<br>
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…なぜ私が?なぜ私にそんな質問を?<br>
楽しいも何もコレは機材だ。任務達成の為のサポートをするためのモノだ。<br>
やっぱりビーストの思考も理解できない<br>
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<b>615 名前: キャス子とパシリ2/3 [sage] 投稿日:
2006/11/02(木)23:21:48.94 ID:rt5aCQcT</b><br>
「腕パーツメンテ、終わりました。」<br>
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不意に声をかけられる。<br>
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「…ああ、ありがとう。」<br>
「え…ご主人様?…今…なん…て…?」<br>
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…なんだって?…私は今なんと言った?<br>
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「あ…いや…その、なんでもない。」<br>
「そ…そうですか…。メンテは終わりました。これからはもう少し慎重に戦ってください。<br>
パーツ交換できるとはいえ、無茶な戦い方は控えてください。」<br>
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「そうか、余計な仕事の増加はよくないか。他の行動に支障をきたすようであれ…」<br>
「…そうじゃないです!」<br>
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言葉をさえぎって440が叫ぶ。<br>
驚いた。でも叫んだ本人も驚いた顔をしている。<br>
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「あ…あの…ごめんなさい…そうじゃないんです…。仕事…増えるのはかまわないんです。<br>
でも…私……私…もうこれ以上…ご主人様がボロボロになる姿…みたくないんです!」<br>
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「……。」<br>
なぜこの子にはこれほどの感情の起伏があるんだろう…<br>
ぽろぽろと涙をこぼすのを見て、この子の故障を疑った。しかし同時に別の問題に気がついた。<br>
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…私は今。「この子」といったか?<br>
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「…私が最初に参加した戦闘でも、ずっとかばってくれて…それでも私、やられちゃって…結局迷惑ばかりかけて…<br>
…でも…戦いは駄目でもせめて…せめて合成だけでもって思っても……いつもいつもうまくいかなくて……ほんとに駄目で…」<br>
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「私は…なにしても駄目で…ご主人様の役に立てなくて…<br>
いつもいつもぼろぼろになって帰ってくるご主人様の力になれなくて…悔しくて……」<br>
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そう言うと彼女は涙でぐしょぐしょの顔を手で覆い、黙ってしまった。<br>
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<b>616 名前: キャス子とパシリ3/3 [sage] 投稿日:
2006/11/02(木)23:22:22.43 ID:rt5aCQcT</b><br>
しばらく沈黙が続いた。<br>
気がつくと私は膝を折り、彼女の頭をなでていた。<br>
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「…え…ご主人…様?」<br>
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「…いい?人には役割があるの。同じ機械の体だからわかるよね?<br>
他の人は、交換することができない。でも私達はそれができる。だから矢面に立つの。わかる?」<br>
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「…でも!」<br>
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「あなたにはね、私にできないことができる。たしかに…たいしたものは作れないけど立派に合成だってできる。<br>
それに、修理だってしてくれる。だから私は安心して任務につくことができるの。」<br>
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今修理したての左手で、顔をそっとなでる。<br>
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「…ぅ……。」<br>
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「だから、もう泣かないで。かわいい顔が台無しだよ?」<br>
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気がつくと私はわんわん泣く彼女を抱きしめていた。<br>
そしてもうひとつ気づいた。<br>
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…あれ?私、口調が…?<br>
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「私、ずっと、ご主人様と普通にお話したかったんです…。」<br>
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「そうだったの…。」<br>
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「でも…今日はちゃんとお話できて、すっごくうれしいです!これからも、たくさんお話してくれますか?」<br>
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「え…それは…その……難しい…」<br>
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「がんばりましょう!2人ならきっとできますよ!私はご主人様のパートナーなんですから!<br>
これはどの仕事よりも大事な役割です!」<br>
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「そう…だね。」<br>
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数ヵ月後、妙に人間くさいキャストとパシリの2人組が噂になるのはまた別のお話で。
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