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<p> 121 名前:ある日の出来事[sage] 投稿日:2009/03/08(日) 09:01:33 ID:TMLkPPD2</p>
<div>今日、一年ぶりにお客がきました。</div>
<div>ガーディアンズ体験(トライイルミナス)のライセンスなんだそうです。</div>
<div> </div>
<div> </div>
<div>・・・・・それにしても。</div>
<div>つるぺた好みは治っていませんね。 ご主人様。</div>
<div> </div>
<div> </div>
<div> </div>
<div>122 名前:不良品の役目(前編) 1/3[sage] 投稿日:2009/03/08(日) 22:46:21 ID:r/AUROfo
[1/4]</div>
<div>「好きです。結婚してください」</div>
<div> </div>
<div>ご主人様のこの言葉は、当然この私、GH-421に向けられたものではありませんでした。</div>
<div> </div>
<div>私が彼に、いわゆる「想い」を寄せるようになったのは、いつからだったでしょうか。</div>
<div>覚えているのは、昔ご主人様の友人がからかい半分でかけた一言。</div>
<div> </div>
<div>「そうして並んでると、まるで恋人同士みたいだな」</div>
<div> </div>
<div>小ビーストであるご主人様は、PMである私とそれ程背丈の隔たりがありません。</div>
<div>それをからかう意味だったのでしょうが、私には別の、もっと大きな意味がありました。</div>
<div>「恋人」の意味を調べ、その定義する所のサンプルを参照するうちにいつしか、</div>
<div>私にはPMらしからぬ願望が根付いていったのだと思います。</div>
<div> </div>
<div>ご主人様はビーストでありながら非常に穏やかな気性の人物で、私にも優しく接してくれます。</div>
<div>もちろん、ガーディアンとしてPMを正しく扱うという意味で、なのだとは理解しています。</div>
<div>しかし「恋人」の様々なサンプルを参照した私はつい、彼の行為をそれらに重ね合わせてしまいます。</div>
<div> </div>
<div>どう考えても、私は不良品です。</div>
<div>任務上のパートナーたるガーディアンを異性として意識するなど、許されるものではありません。</div>
<div>上層部に知られたら、当然処分の対象となるに違いありません。</div>
<div>ご主人様も、自分のPMが不良品であることを知ったら悲しむでしょう。</div>
<div> </div>
<div>私が「想い」を伝えないのは、そういったやむを得ない理由があったのです。</div>
<div>ですから、今日この日を迎えたのも、来るべき時が来ただけと、覚悟していたつもりでした。</div>
<div> </div>
<div>お相手は、同じく小ビーストの女性。</div>
<div>モトゥブでもかなりの有力者のご令嬢との話です。</div>
<div>ガーディアンズのモトゥブ支部とも密接な関係があるようで、彼女と結ばれることはつまり、</div>
<div>ご主人様の洋々たる未来にもつながります。</div>
<div> </div>
<div>PMとして、ご主人様の出世は喜ぶべきことです。</div>
<div>それなのに、今私が考えていることは、本来あるべき思考とは真逆のものでした。</div>
<div> </div>
<div>やはり、私は不良品なのでしょう。</div>
<div>そんな私に罰が下されたのは、二人の婚約後間もない頃。</div>
<div> </div>
<div>彼女が不治の病に倒れたと聞いたとき、私はどんな顔をしていたでしょうか。</div>
<div>「願いが叶った気分はどうだ」</div>
<div>誰かが心の中で囁く皮肉にどう答えてよいか、私には分かりませんでした。</div>
<div> </div>
<div>123 名前:不良品の役目(前編) 2/3[sage] 投稿日:2009/03/08(日) 22:49:01 ID:r/AUROfo
[2/4]</div>
<div>かつて、モトゥブが今よりもっと厳しい環境だった頃に流行った病。</div>
<div>環境の改善が進むうちに発症者は減っていき、今ではほとんど確認されない病。</div>
<div>そんな病に彼女が侵されたのは、何かの皮肉としか言いようがありませんでした。</div>
<div> </div>
<div>というのも、彼女の父親はモトゥブの自然環境保護団体の幹部だったのです。</div>
<div>モトゥブの開拓に伴い失われていく自然の保護を訴えていた彼とその家族が、</div>
<div>その自然に裏切られた形になったというのは、何かの悪意すら感じます。</div>
<div> </div>
<div>ご主人様は、日々懸命に看病をしています。</div>
<div>もちろん私も、内心はともかく精一杯そのお手伝いをしておりますが、</div>
<div>彼女の容態は悪くなる一方です。</div>
<div> </div>
<div>端で見ていて辛くなるほどに、ご主人様の憔悴はひどいものでした。</div>
<div>それは、単に彼女を心配する気持ちだけではないことを、私は知っています。</div>
<div> </div>
<div>一つだけ、彼女の病を癒す方法が、ないわけではないのです。</div>
<div>しかしそれは、彼女の家族にも、ご主人様にも、選べと言うには余りに酷な難題。</div>
<div> </div>
<div>モトゥブ自然環境保護団体より保護指定を受けている、絶滅危惧種。</div>
<div>【渡りラプチャ】の雛のクチバシを煎じて作った薬が、唯一の特効薬なのです。</div>
<div> </div>
<div>【渡りラプチャ】は普通のラプチャと違い、潜行能力を持っていません。</div>
<div>その代わりに長時間の飛行が可能で、モトゥブの気候の変化に対応して生息地を変えています。</div>
<div>幸い彼女の父親の仕事柄、渡りラプチャが巣を構えている場所の見当はついています。</div>
<div>ですが、保護指定を受けている渡りラプチャを狩ることが、何を意味するのか。</div>
<div> </div>
<div>そもそも渡りラプチャが絶滅危惧種となった原因も、</div>
<div>昔流行った病の特効薬ということで乱獲されたことにあります。</div>
<div>彼女の父親はその経緯を良く知っているだけに、同じ過ちを繰り返す選択はできないでしょう。</div>
<div> </div>
<div>ご主人様にしても同様のことが言えます。</div>
<div>まず、禁忌を侵した時点で彼女との婚約が解消されることは明らかであること。</div>
<div>そして、自然環境保護団体と深く結びついているガーディアンズのモトゥブ支部としても、</div>
<div>ご主人様が罪を犯した場合、そのままでは済まさないということ。</div>
<div> </div>
<div>しかし、それよりも何よりも。</div>
<div>ご主人様自身、私情のために幼い生命を犠牲に出来る性格ではなかったのです。</div>
<div> </div>
<div>124 名前:不良品の役目(前編) 3/3[sage] 投稿日:2009/03/08(日) 22:50:21 ID:r/AUROfo
[3/4]</div>
<div>ご主人様は決して臆病なのではなく、犯罪者相手には敢然と立ち向かう強さを持ってはいます。</div>
<div>でも、無辜の命を奪うことに強い抵抗を感じているのか、ほとんどの原生生物討伐に参加していません。</div>
<div>ために実行部では戦果があげられず、選んだ道がガーディアンズでも特に枠組みの少ない、医療研究部。</div>
<div>ご主人様は猛勉強の末、ビーストでありながらその狭き門を潜り抜けたのです。</div>
<div> </div>
<div>そんなご主人様ですから、当然彼女の容態も、どうすれば治るのかも知ってはいます。</div>
<div>知っていて、決して選んではいけない手段を採ろうとする感情と必死に戦っている、その葛藤。</div>
<div>ご主人様の憔悴には、そんな一因もあったのだと思います。</div>
<div> </div>
<div>いつか、ご主人様は禁忌を破ってしまうかも知れません。</div>
<div>それは、ガーディアン付きのPMとして、止めなければならないこと。</div>
<div>でも、私はその時、どんな気持ちでご主人様を止めればいいのでしょうか?</div>
<div> </div>
<div>いわゆる「恋敵」である、彼女の死を望む気持ちが混じらないという自信がありません。</div>
<div>万に一つ、それをご主人様に悟られるようなことがあったら。</div>
<div>最初はそんな、ご主人様に嫌われたくないという気持ちが強かったと思います。</div>
<div> </div>
<div>ですが、ご主人様の無力感に打ちひしがれた背中を見ているうちに、別の感情が芽生えてきました。</div>
<div>「何とかしてあげたい」</div>
<div>単純にして純粋なその気持ちは、やがて一つの可能性を見出しました。</div>
<div>ご主人様が以前の優しい笑顔を取り戻す、ただ一つの可能性を。</div>
<div> </div>
<div>私は、不良品です。</div>
<div>ご主人様と離れたくないばかりにその事実を覆い隠してきました。</div>
<div>しかし、不良品なら不良品なりに、果たせる役目というものがある筈です。</div>
<div> </div>
<div>ご主人様によってでも、彼女の家族によってでもない。</div>
<div>一体の、壊れたPMの勝手な行動によってなされたことならば。</div>
<div> </div>
<div>上層部の調査によって、私が故障しているということさえ明らかになれば。</div>
<div>私の犯した罪は、ご主人様に及ぶことはありません。</div>
<div> </div>
<div>ある夜、看病疲れでうたた寝をしているご主人様の背中に毛布をかけてから、私は出かけました。</div>
<div>次に会う時、ご主人様はどんな顔をして私を見るでしょうか?</div>
<div>優しいご主人様は、だからこそ怒るかも知れません。</div>
<div>自らを思って犯した罪によって無残に処分される、私の未来を慮って。</div>
<div> </div>
<div>「でも、許してくださいね、ご主人様。私は…不良品ですから」</div>
<div> </div>
<div>125 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/03/08(日) 22:59:22 ID:r/AUROfo [4/4]</div>
<div>「最低の主人」に続き、英雄になれなかった者たちの物語第2弾(EPX本編を含めると3弾)です。</div>
<div> </div>
<div>自らを不良品と断じた、一体のPMの最後の奉公は成るのか。</div>
<div>後編に続きます。</div>
<div> </div>
<div>>95</div>
<div>転用については光栄に思いこそすれ迷惑などと思ってはいないので、気にしないで下さい。</div>
<div>自分の物語がきっかけでWTになった彼女の活躍、ひそかに期待しています。</div>
<div> </div>
<div>126 名前:Partner Crisis 7[sage] 投稿日:2009/03/09(月) 00:47:16 ID:I0z7IQtU
[1/9]</div>
<div>数十年前のある日、1人の女性が交通事故で死んだ。</div>
<div>即死という、あまりにあっけなさ過ぎる人間の命の小ささを表すような最後。</div>
<div>その女性は一児の母であると共に、GRMの技術『元』主任だった。</div>
<div>今、早くから『元』と付けるのは、彼女はとっくに主任としての仕事を出来る身ではなかった。</div>
<div>――彼女は精神を患っていたのだ。</div>
<div> </div>
<div>当時、PMの感情回路導入に関して上層部と開発研究チームの意見が分かれていた。</div>
<div>最も、研究チーム全体と括るよりも彼女個人と上層部、と言った方が正しいだろう。</div>
<div> </div>
<div>GRMがPMに求めた物は支援などではない。戦争に使う為の人型汎用兵器の攻撃力だった。</div>
<div>普通、殺人兵器に感情は余計な物だが、そんな定義を忘れさせる記録が当時には存在した。</div>
<div>研究チームのお遊びによる感情回路導入が、目を反らす事が出来ないほどの性能向上を測定したのだ。</div>
<div>最も、そのお遊びを単なるお遊びとして流せる状況だったなら、彼女が争う事もなかった。</div>
<div> </div>
<div>GRMは独占し続けてきたガーディアンズへのマシナリーのシェアを失う事になる危機に直面していた。</div>
<div>シェア強奪の為に、テノラ・ワークスが実用性、耐久性、共に優れた最新型高性能マシナリーの完成を発表してきたのだ。</div>
<div>同時にヨウメイ社も最新型マシナリーを発表したが、外見と性能の両立に悪戦苦闘し、GRMに及ばない趣味の領域の産物だった。</div>
<div>既に完成形態にまで辿り着いていたPMは、これ以上の性能向上は見込めない程までになっていた。</div>
<div>先が見込めない状態での他社の遥かに高性能なマシナリーの発表に、GRM上層部は焦り始めた。</div>
<div>追い討ちをかけるように、ガーディアンズからの納期無期限延期の申し出。</div>
<div>GRM上層部は藁にも縋る思いで、性能向上の為の策を我武者羅に探し続けた。</div>
<div>そして……上記のお遊びのデータが発見されてしまった。</div>
<div> </div>
<div>当然、これを上層部が見逃すはずがないが、主任の女性は唯一反対し続けた。</div>
<div>研究者にとって、自分達が生み出した物の性能向上は何よりも優先すべき事項だ。</div>
<div>それが例え、未来に破滅を呼び寄せる引き金だとしても、研究者達は全力を尽くす。</div>
<div>自分達の開発した物なら大丈夫だと言う、何の根拠もない自信に満ち溢れているから……。</div>
<div>しかし彼女だけは違った。迷う事無く、上層部の命令に反抗していった。</div>
<div>そんなたかだか性能向上の為だけに、彼女の『娘』とも言える存在に心を与えたくなかったから。</div>
<div>突きつけられる厳しい条件――三ヶ月内にテノラ・ワークスを越えるマシナリー開発の為に、彼女は奮闘した。</div>
<div>家庭を省みずに、ただひたすらに1人だけになろうと戦い続け、そして、壊れていった。</div>
<div> </div>
<div>そして彼女が死に、感情回路導入の障害となる物は何もいなくなった。</div>
<div>1つの悲劇が生み出した連鎖はワンオブサウザンドの誕生に繋がっていった。</div>
<div> </div>
<div>しかし、それだけではなかった。</div>
<div>悲劇は、知られざる影の舞台でも連鎖を続けて行っていたのだ。</div>
<div> </div>
<div>127 名前:Partner Crisis 8[sage] 投稿日:2009/03/09(月) 00:49:07 ID:I0z7IQtU
[2/9]</div>
<div>「……ックククク、上層部連中の慌てる顔が見れないのは残念だなぁ」</div>
<div> </div>
<div>真っ暗な部屋の中、コンソールパネルを狂ったように操作する男が1人いた。</div>
<div>彼は研究開発チームの一員であり、主任を心から尊敬していた純粋な若者だった。</div>
<div>しかし、今の彼の表情は純粋とは言い難いほどに歪められている。</div>
<div> </div>
<div>「……おい、誰だ? 何してんだ?」</div>
<div> </div>
<div>もう1人、研究員が薄暗く光る部屋に気味の悪さを感じて覗き込んできた。</div>
<div>感情回路導入が齎した性能向上により、ガーディアンズへのマシナリーのシェアは確固たる物となった。</div>
<div>主任の無駄な争いに付き合わされた研究員達をねぎらい、上層部は僅かな休日を与えたのだ。</div>
<div>次の兵器を作る為の、英気を養わせる為に。</div>
<div>だから、ここには誰もいないはずだったのだ。気味悪がって当然だ。</div>
<div> </div>
<div>男は光を発しているモニタの方に少しずつ近付いていく。</div>
<div> </div>
<div>「うわっ!?」</div>
<div> </div>
<div>モニタの蛍光色で薄暗く輝く元同僚の顔に、彼は大袈裟に後ろに転げ落ちた。</div>
<div>……しかし、椅子に座る仲間は少しも動じなかった。気にかけてもいないようだ。</div>
<div>慌てつつも、不気味に光るそれが若い同僚だと分かると、男は胸を撫で下ろしながら立ち上がった。</div>
<div> </div>
<div>「な、何だお前か。――せっかくの休日に、何してんだ?」</div>
<div> </div>
<div>自分の事を言えないか、と男は心の中で呟いた。</div>
<div>何て事はない、休日を生かしてこれまでのデータを整理しようと思っていたが</div>
<div>肝心のデータディスクを忘れてしまい、取りに来る為に出社しただけに過ぎない。</div>
<div> </div>
<div>男が興味本位にモニタを覗き込むと、そこには信じ難い物が映されていた。</div>
<div>普通に考えれば有り得ない計算式によって構築された、危険すぎる骨格フレーム。</div>
<div>素人が見ても不自然だと分かる、無茶苦茶な図面が生み出した狂気の構造。</div>
<div>――そう、それは精神を患った主任が最後に持ち込んだ、狂った設計図だった!</div>
<div>それが何故、今ここにある!? 男は操作する若い同僚の顔を見ると、おぞましい笑みを浮かべている。</div>
<div>そして急いで辺りを見回すと、狂った設計図により構築された、1つの人型が寝ていた。</div>
<div> </div>
<div>「お、お前! 何してんだよ!?」</div>
<div> </div>
<div>若い同僚は答えない。</div>
<div>男は思いっきり胸倉を掴み、無理矢理にでも自分の顔をその瞳に映させた。</div>
<div> </div>
<div>「何してんだって聞いてんだよォッ!!」</div>
<div> </div>
<div>*ばばっ!!*</div>
<div> </div>
<div>男は即座に振り解かれ、反動で隣のデスクにもたれかかった。</div>
<div>――こいつ、こんなに力がある奴じゃなかったぞ!?</div>
<div>若い同僚はゆらりと身体を曲げながら正面に立つと、歪んだ声で答えた。</div>
<div> </div>
<div>「……復讐さ」</div>
<div> </div>
<div>128 名前:Partner Crisis 9[sage] 投稿日:2009/03/09(月) 00:50:54 ID:I0z7IQtU
[3/9]</div>
<div>「ふ、復讐……!?」</div>
<div>「そうさ。僕は主任に代わって、上層部に復讐するんだよ」</div>
<div>「な、何バカな事言ってやがんだ!?」</div>
<div>「バカなのは君達だろう?</div>
<div> 僕だって本当は主任と同じように、感情回路の導入は反対だったんだ。</div>
<div> 尊敬する主任がそう言うんだ、間違いないと思っていたんだ」</div>
<div> </div>
<div>若者は手を大きく広げ、男に迫っていった。</div>
<div>男はただ、慌てて椅子につまづき、椅子を蹴り飛ばしながら後ろに下がるしかなかった。</div>
<div> </div>
<div>「でも、君達が反対だと言えと言ってきた。</div>
<div> 主任はもうとっくに狂ってる、止める為に協力してくれと言ってきたよね?</div>
<div> ――その結果! 主任は死んでしまった!</div>
<div> 僕は主任に死んでほしくて反対したわけじゃないのに!</div>
<div> 元の主任に戻ってほしかったから、現場から離れられるように仕向けたのに!</div>
<div> そうだ、僕達が殺したんだ! 僕達が不甲斐ないから主任が死んじまったんだ!」</div>
<div> </div>
<div>狂気に満ちつつ、途端に怒りを露わにした若者の怒号は、尚も続いた。</div>
<div> </div>
<div>「だから僕は、主任に代わって復讐するんだ!</div>
<div> 主任が残してくれたこの図面で、主任が正しかった事を証明する!</div>
<div> 主任が反対し続けた感情回路が、どんな悲劇を齎すかを上層部に見せ付けてやるのさ!」</div>
<div>「ふ、ふざけんのもいい加減にしろ!</div>
<div> そんな狂ったモンで作ったって、結局稼動せず終わるだけだろうが!</div>
<div> 忘れたわけじゃないだろ、主任の設計図で稼動させていたラインが欠陥ばかりを生み出していたのを!」</div>
<div>「……ックック、それがさぁ、星霊様も僕の事が正しいと言ってくれてるみたいでね。</div>
<div> いざやってみたら、偶然にも全て安定値になってくれたんだよ。</div>
<div> 主任は凄いね、きっとこうなる事を予測してこの図面を書いたんだ」</div>
<div> </div>
<div>男は急いで、道を開けるように横に動く若者を押しのけてモニタに被りついた。</div>
<div>狂いすぎた計算式、図面、それによって構築されているPMはやはり狂っていた。</div>
<div>だがしかし、リアクター出力は安定、AIの情報処理能力は全く問題なく、正常稼動が可能な状態だったのだ。</div>
<div>今が正常であっても、狂った設計で作られた物、今後何が起こるかは全くの未知数。</div>
<div>偶然が生み出した狂気の産物が、正にそこで眠りについている。</div>
<div> </div>
<div>「お、お前、こんなモン作って、どうするつもりだ!?」</div>
<div>「だから、復讐するって言っただろう……?</div>
<div> 今は良くても、何れは崩壊するかもしれないのは分かってるんだ。</div>
<div> そんな事は分かった上で僕はこれを作ったんだ。途中で壊れる為にね」</div>
<div>「途中で壊れる為、だと!?」</div>
<div>「そうさ、これをガーディアンズに配備する1つと取り替えたらどうなるだろうね?</div>
<div> もうその配備先も大体考えてあるんだ。――いわゆる不良、ってね。</div>
<div> ただでさえ問題のあるガーディアンズのPMが問題を起こせば、後は分かるだろう?」</div>
<div> </div>
<div>問題を起こした結果――ガーディアンズは、PMその物の配備に対して不信感を抱き、GRMは1つの収入源を失う。</div>
<div> </div>
<div>129 名前:Partner Crisis 10[sage] 投稿日:2009/03/09(月) 00:53:10 ID:I0z7IQtU
[4/9]</div>
<div>「……っざっけんじゃねぇぞ! 主任がんな事望んでると思ってンのか!?</div>
<div> 自分の娘使って復讐される事を喜ぶような人だったかどうか、テメェが一番よく知ってんだろうが!」</div>
<div>「昔はそうさ、でも今なら主任もきっと分かってくれるさ?</div>
<div> 自分達の娘が不幸になる様に差し向けたのは、他でもない上層部なんだからね」</div>
<div> </div>
<div>男は確信した、もう言っても無駄だと。</div>
<div>尊敬する主任が死んでしまった事で、この若い同僚も一緒に狂ってしまったんだと。</div>
<div>今、自分に出来る事は、この狂ってしまった同僚を何としても止める事だ。</div>
<div>主任にとって、そして自分達にとって掛け替えのない娘を復讐に使われるわけには行かない!</div>
<div> </div>
<div>男はコンソールパネルを必死に叩き出すが、一向に反応しなかった。</div>
<div> </div>
<div>「無駄だよ? 妨害が入らないようにしっかりとロックしてあるからね?</div>
<div> 監視カメラにも細工はしておいた。普段通りの部屋が映されているはず。</div>
<div> 今ここで何が起こってるかを知るのは僕と君だけさ」</div>
<div>「チックショーがァ! だったら、ブチ壊すまで――がァッ!?」</div>
<div> </div>
<div>腕にチクッとした痛みが走った後、全身に激痛が迸る!</div>
<div> </div>
<div>「邪魔はさせない……これは僕と主任の、正義の名の下の復讐なんだ!」</div>
<div> </div>
<div>若者が打ち込んだのは、PM専用の潤滑油だった。</div>
<div>人体に打ち込めば、一瞬にして猛毒と化す。男がガタガタと痙攣しながら倒れていく。</div>
<div>ここで血生臭い殺し方をしてしまえば、映像では誤魔化しきれない証拠が残ってしまう。</div>
<div>ダミーネットワークアカウントの用意、出荷票の偽造、監視カメラ工作、若者は実に用意周到だった。</div>
<div>後は、全てが終わった後に履歴を残さないように作っておいた作業前の状態と変わりないHDDと取り替えればいいだけ。</div>
<div>邪魔をしてくる同僚も死んだ。――今、彼を止める事が出来る希望は全て失われてしまった。</div>
<div> </div>
<div>「主任、見ててください……僕と、貴方の娘が、無念を晴らしてくれますよ。</div>
<div> ――っふふふふふふぁ、ぁあーっははははははははははははははぁっ!!!!」</div>
<div> </div>
<div>勿論、あの女性はこんな事を望んではいないだろう。</div>
<div>しかし、若者は狂ってしまっている。そんな常識は通用しなくなっている。</div>
<div>彼にとってこれは聖戦なのだ。宗教戦争と同じように、独りよがりな聖戦。</div>
<div>若者の狂気に満ちた笑いが、誰も邪魔する事の出来ない部屋全体を木霊していった……。</div>
<div> </div>
<div>後日、若者は死んだ。</div>
<div>自室で刃物片手に、部屋中を真っ赤に染めながら倒れていた。自殺だった。</div>
<div>誰も真実を知らぬまま、彼の死は「尊敬する人物が死んだ事による過度の精神疲労」で片付けられた。</div>
<div>GRM上層部も、下手に騒げば折角のシェアがまた揺らぐ為、彼の死について詮索はしなかった。</div>
<div>止めようとした男性は行方不明。こればかりは流石にGRMも隠蔽工作を行った。</div>
<div>2人も続いて研究チームの人間に異変があれば、不信感を抱かれるかもしれなかったからだ。</div>
<div>主任の件で疲弊し切っていた研究チームも、特に何もする事はなかった。</div>
<div> </div>
<div>全てが若者の思惑通り――と言う訳にはいかなかった。</div>
<div>若者は、自殺してしまったが故に最後の最後で失敗してしまう。</div>
<div> </div>
<div>130 名前:Partner Crisis 11[sage] 投稿日:2009/03/09(月) 00:54:38 ID:I0z7IQtU
[5/9]</div>
<div>- GRM社内 出荷用倉庫 -</div>
<div> </div>
<div>「オイ、この片隅においてあるのは何だ?」</div>
<div> </div>
<div>職員は、「点検済み」という札の貼られた1つのPMに目をやった。</div>
<div>彼等はガーディアンズに出荷するPMを、コンテナに積む作業の真っ最中である。</div>
<div> </div>
<div>「ああー、こないだ不具合があるからって引き取られた奴だろ」</div>
<div>「……そういやそんな事あったな」</div>
<div>「点検済みって事はもう大丈夫なんだろ? さっさと積んじまえよ」</div>
<div> </div>
<div>数日前、このPMを出荷作業に移そうとした時、1人の男がやって来たのだ。</div>
<div>重大な不具合が発生しており、修復する必要があるのでこちらに引き渡してほしいと。</div>
<div>不具合と言われても彼等には同じ物にしか見えない為、プロに任せる事にした。</div>
<div>修復作業が終わり次第、この出荷用倉庫に持ってくると、その男は残していった。</div>
<div> </div>
<div>職員は同僚の言葉に従わず、ただそれを手に持ってじっと見つめていた。</div>
<div>まるで、気味の悪い物を見るよう目で。</div>
<div> </div>
<div>「おい、どうしたんだよ? さっさと終わらせねぇと定時に帰れねーぞ」</div>
<div>「なぁ、これ引き取っていった奴、覚えてるか?」</div>
<div>「はぁ? 研究チームの奴だろ?」</div>
<div>「そいつ確か、こないだ自殺したんじゃなかったっけか?」</div>
<div>「変な事言ってねぇで手ぇ動か――ん? いや、待てよ?</div>
<div> そう言われてみれば、グラ5でやってた写真の奴に似てたっけかな」</div>
<div> </div>
<div>グラ5とは、グラールチャンネル5の事である。</div>
<div>些細な事件から重大発表まで、ニュースは大体このチャンネルと決まっている。</div>
<div> </div>
<div>「でよ、そいつの死因って精神疲労とか言ってたよな」</div>
<div>「ああ、尊敬する上司が死んじまったショックとかやってたな。</div>
<div> それと、お前が手ぇ動かさないのと、どう関係あるんだよ?</div>
<div> お前、そんなに俺に残業させたいのか? オゴらすぞ」</div>
<div>「ちげーよ、誰がオゴるかクソッタレ。</div>
<div> 引き取りに来た時、そいつかなり嫌な雰囲気してなかったか?</div>
<div> 正直言うと俺は気味悪かったんだよな、やたら暗くてよ」</div>
<div>「んー、確かにそう言われると、まるでこの世の終わりのような顔してたな。</div>
<div> 要するにあれか、その時既にアイツはブッ壊れてたと言いたいわけ?」</div>
<div>「いや、ありゃ確実に壊れてただろ。</div>
<div> 研究チームの仕事がどんだけ忙しくても、普通ああなる前に辞めねぇか?」</div>
<div>「まぁ、そうだなぁ。いくら食う為とはいえ、そこまでするかっつーと……」</div>
<div>「そんな奴が修復作業したPMだぞ?</div>
<div> このまま出荷して、やっぱ問題があったら、俺等の責任にならねぇか?</div>
<div> 俺は嫌な予感がするわ。狂って死んだ奴の整備したPMなんてよ」</div>
<div>「お前、このご世代に幽霊とか言い出すんじゃねーだろうな?」</div>
<div>「真面目に聞けよ、俺等の責任にされたらクビだってありえんだぞ。</div>
<div> 俺は嫌だぜ、家族が増えたとこでいきなり新しい食い扶持探しなんてよ」</div>
<div>「だからって、予定数変えんのか? 面倒だぞ」</div>
<div>「クビと残業+次回の出荷数1個増しなら、俺は断然後者を選ぶね」</div>
<div>「へいへい、分かった分かった。</div>
<div> そんなに言うなら避けときゃいいだろ、避けときゃ。</div>
<div> 書き換え作業はお前やっとけよ、俺は知らんからな」</div>
<div>「っけ、つれねぇ野郎だ。――縁起でもねぇし、他倉庫に運んどくか」</div>
<div> </div>
<div>こうして、若者の復讐心の産物は、再び目覚めるその時まで、眠り続ける事となった……。</div>
<div> </div>
<div>131 名前:Partner Crisis 12[sage] 投稿日:2009/03/09(月) 00:56:43 ID:I0z7IQtU
[6/9]</div>
<div>- 総裁室 -</div>
<div> </div>
<div>「先生、わざわざすまないね」</div>
<div>「ホッホ、構いやせんわい、これしき」</div>
<div>「首尾はどうなんだい?」</div>
<div>「ほれ、例のスパイの件があったじゃろ?</div>
<div> あれのついで程度で調査部の番犬どもに監視させる事にしたわい。</div>
<div> 最も、ついでどころかそちらの方が大本命なんじゃがのぅ」</div>
<div> </div>
<div>ネーヴは、決して伸びる事もないヒゲを触りながらそう答えた。</div>
<div>イルミナスにはスパイがいた。――しかしそれは、ガーディアンズに向けられた罠ではない。</div>
<div>ガーディアンズが、イルミナスの仕組みを知る為に仕向けた二重の罠だったのだ。</div>
<div>こんな事は日和見主義の総裁府では成し遂げられる事ではない。そう、彼等の仕業だ。</div>
<div>調査部は上手い事、イルミナスを自分達の掌で躍らせていたのだ。</div>
<div> </div>
<div>本来ならばこれは、ライアに知らせるべき事ではなかった。</div>
<div>飾りとはいえ、イルミナスと手を組んでいたと知られれば、怒り狂うのは簡単に予測できたからだ。</div>
<div>しかし事態は急変した。ライアはあのGH-412の件に関して総裁府は全面協力すると言い出したのだ。</div>
<div>総裁府のお墨付きが手に入ったとなれば、使える物は何でも使うに限る。</div>
<div>ぶっ飛ばされない程度の材料を、ご覧に入れたというわけだ。</div>
<div> </div>
<div>「先生が全面的に賛成してくれて助かったよ」</div>
<div>「今はようやく手に入れた平和が始まろうとしてるんじゃ。</div>
<div> それを脅かす可能性は、少しでも排除するべきじゃて。</div>
<div> 汚い仕事じゃが、調査部や諜報部はその為に存在するようなもんよ」</div>
<div>「ややこしい話はいいよ、賛成してくれるってだけで」</div>
<div>「やれやれ、お前さんは相変わらず話の腰を折るのが好きで困るわい」</div>
<div>「普段ケツを触ってきたお返しさ」</div>
<div>「しつこいのぅ……」</div>
<div> </div>
<div>ライアはモニタに映し出されたGH-422を見た。</div>
<div>不幸なマスターにより行き場を失い、あのビーストの男の所に居候しているはぐれPMである。</div>
<div>本来ならば、どんな不幸な境遇にあろうと簡単に特殊強化措置なんて許可するわけがない。</div>
<div> </div>
<div>「排除するからには、余計な邪魔をしてくる奴を掃除しとかないとね」</div>
<div>「じゃがライアよ、本当にあのGH-422に特殊強化措置を実行するつもりなのかの?」</div>
<div>「まさか! 事が終わるまでオリにでも入れとくさ」</div>
<div>「――さよか、オリか」</div>
<div>「今更反対するつもりかい?」</div>
<div>「いや、そういうわけじゃないんじゃ。</div>
<div> 束縛はかなり大変とはいえ、簡単な口封じはやはり壊すしかないんじゃが。</div>
<div> 結局、平和の維持には多少の犠牲は止む無しかと思うとのぅ……」</div>
<div>「その為にアタシ達ガーディアンズがいるんだ。</div>
<div> その犠牲を少しでも少なくする為に、護るべき物を護るんだよ」</div>
<div>「ホッホ、まさかライアにそんな風に言われるとは思わなんだわ。</div>
<div> いつも誰より真っ先に顔真っ赤になり、拳を振り上げてきた暴力娘とは思えんわい」</div>
<div>「ケンカ売ってんのかい!?」</div>
<div>「どーれ、報告も終わったんで一眠りするかの~。ホーッホッホッ」</div>
<div> </div>
<div>ネーヴはわざと軽やかなステップを踏み、総裁室を後にしていった。</div>
<div>ったく、とライアは舌打ちをしながら椅子に大袈裟に座り込んだ。</div>
<div> </div>
<div>132 名前:Partner Crisis 13[sage] 投稿日:2009/03/09(月) 00:59:07 ID:I0z7IQtU
[7/9]</div>
<div>「――総裁、本当によろしいのですか?」</div>
<div> </div>
<div>それまで黙っていた、横にいた総裁秘書のクランプ・マニエールが口を開いた。</div>
<div> </div>
<div>「何だいクランプ、これから忙しくなるってのに」</div>
<div>「特殊強化措置をそんな事に使えば、また人権問題に発展する可能性があります。</div>
<div> 1人のガーディアンズと、そのPMを罠にかける為という内容も、火に油を注ぐでしょう。</div>
<div> 何より、いくら粗暴なガーディアンズと言っても、このような真似を――」</div>
<div>「寝ぼけた事言ってんじゃないよ!</div>
<div> いいかい、こいつはガーディアンズにとって恥晒しもいいとこなんだ!</div>
<div> 何も護らない、SEEDも倒さない、リュクロス討伐の時も何もしやしなかった!</div>
<div> 組織の為にも、こんな奴を放っておく事は他への示しがつかなくなるんだ!」</div>
<div>「総裁、恐れながら私はそのような理由で総裁がこの件に全面協力したのではないと思います」</div>
<div>「……どういう事だい」</div>
<div>「総裁は単純に、このGH-412に罵倒された事を恨み続けているだけではないでしょうか?</div>
<div> 私は知っています。このPMに総裁は、イルミナスと変わりない存在だと言われた事を。</div>
<div> 総裁は確かに就任前に数多くの問題行動が見られる為、返す言葉はなかった。</div>
<div> だから、その恨みを晴らす為だけに――」</div>
<div>「クランプ!」</div>
<div> </div>
<div>ライアは怒鳴りながら立ち上がり、クランプを睨みつけた。</div>
<div>生粋の事務系であり、武道派ではないクランプは、圧倒され後ずさるしかなかった。</div>
<div>その目は、明らかな憎悪に満ちている。</div>
<div> </div>
<div>「アンタはガーディアンズその物を否定した、こいつの肩を持つってのかい!?」</div>
<div>「い、いえ、決して、そのような――」</div>
<div>「だったら黙ってなッ!</div>
<div> アタシは総裁として、平和と共にガーディアンズを護らなくちゃならなんだ。</div>
<div> そのガーディアンズをぶち壊そうとする奴は、容赦しないよ!!」</div>
<div>「……了解しました」</div>
<div> </div>
<div>こうなれば最早ライアは止まらない。</div>
<div>クランプの疑問は加速していった。</div>
<div>一体、この男性とPMが何故そこまでしてライアを熱くさせるのだろうか?</div>
<div>いくら勤務態度の劣悪さ、PMの不忠義があるとはいえ、それは些細な事に過ぎない。</div>
<div>確かに罰する必要があると言えばあるが、そこまですると余計に他への示しがつかなくなる。</div>
<div>全体的に見れば、精鋭部隊――エリートハムスターと言われる者達も、お世辞にも態度はよろしくない。</div>
<div>報酬金額、武具を出し渋ればすぐにでも不満を漏らし、ボイコットを始めるからだ。</div>
<div>この男性を罰するならば、その精鋭部隊にも何らかの処罰をしなければならない。</div>
<div>たった1人のガーディアンズが対象となれば、嗅ぎ付けたマスコミが挙って好き放題書き始めるだろう。</div>
<div>総裁権限の私的利用、平等を謳う組織の不平等、それこそある事ない事、いくらでも。</div>
<div> </div>
<div>日の浅い私には分からない。</div>
<div>しかしどのような理由があろうと、たった一度でも総裁権限の私的利用は非常に危険だ。</div>
<div>上記の通り、総裁自身の辞職どころかガーディアンズの存続の危機にだって発展しかねない。</div>
<div>それだけは何としても避けたい。総裁自身の為にも。</div>
<div> </div>
<div>そう思ったクランプは、内密にライアと親しい人物との連絡準備を始めていた。</div>
<div>恐らく、教官だったレオよりも親しく、このPMを一番最初に『危険』だと判断した女性。</div>
<div>マヤ・シドウに……。</div>
<div> </div>
<div>133 名前:Partner Crisis 14[sage] 投稿日:2009/03/09(月) 01:02:16 ID:I0z7IQtU
[8/9]</div>
<div>「ふぅ~。疲れたぁ」</div>
<div> </div>
<div>宴の後と言うのは、凄い脱力感に襲われます。</div>
<div>好き放題騒いで、それでお終いではなく、後片付けが待っていますから。</div>
<div>413さんが酒の勢いで、ありったけ散らかしてくれた部屋を見ると――。</div>
<div> </div>
<div>「……少し片付けさせてから帰せばよかったかな」</div>
<div> </div>
<div>少し後悔。</div>
<div>でもあまり長居させて、あちらのマスターさんに来られても困るしなぁ。</div>
<div>450さんが来たら来たで、玄関先で大バトルされるのが目に見えています。</div>
<div>結局、叩き起こしてブツクサ文句を言われながら追い帰すしかないんですよね。</div>
<div>全く、人の部屋を何だと思ってるのかしら。</div>
<div> </div>
<div>「ほら、さっさと片付けるぞ」</div>
<div>「あ、いいですよご主人様! 私1人でやりますから!」</div>
<div>「折角俺が手伝うと言うのだ、人の好意は素直に受け取れ」</div>
<div>「いたっ……は~い」</div>
<div> </div>
<div>ご主人様にぺしっとデコピンされながら、私は食器を重ね始めました。</div>
<div>部屋の片隅では、422さんが僅かな荷物を小型バックパックに詰め込んでいます。</div>
<div>特殊強化措置申請が通った事で、明日から個人の部屋を与えられるそうです。</div>
<div>食費は確かに浮きますが、いざとなるとちょっと寂しい気持ちになりますね。</div>
<div> </div>
<div>「はぁ~、しばらくはこんなご馳走ともお別れかぁ」</div>
<div>「422さんだって、PMなんだから作れる様になりますよ」</div>
<div>「そーいう問題じゃなくって、身寄りのないPMがイチから始めるのよ?</div>
<div> 教官ライセンスどころか、自分の生計から立てなきゃだからしばらくはねー」</div>
<div>「なるほど~」</div>
<div> </div>
<div>ガーディアンズは個人単位なら教習は自由ですが、いざ公式となると</div>
<div>教官ライセンスを持たない限りは、教鞭を振るう事を許されません。</div>
<div>422さんは自分の悲劇を伝える為に、ライセンスが必要な公式教官を目指しています。</div>
<div>特殊強化措置があるとはいえ、元PMが教官になれるかどうか?</div>
<div> </div>
<div>「それに、今までご馳走になってた食費も返さないとね」</div>
<div>「あれ? 返してくれるつもりだったんですか?」</div>
<div>「何その私がロクデナシのゴクツブシってな反応!?」</div>
<div>「ほー、随分と高額になるが返せるのか?」</div>
<div>「ちょっとご主人さん、人の好意は素直に受け取るんじゃなかったの!?</div>
<div> くっそー、見てなさいよ!? 絶対に高額取りになったるわい!」</div>
<div>「是非ともそうなってくれ、俺達の為にも」</div>
<div>「あはは、微妙に期待しながら待ってますね~」</div>
<div>「もっと盛大に期待しなさいよ!? ったくもー」</div>
<div> </div>
<div>バックパックをぱんぱんと叩き、荷物整理の終わった422さんがぴしっと起立しました。</div>
<div> </div>
<div>「こーいうの、本当は明日にするべきなんだろうけどさ。</div>
<div> 涙のお別れって柄じゃないから、今言っちゃうね」</div>
<div> </div>
<div>私達は手を止めて、422さんの言葉を受け取る為にその場に座りました。</div>
<div> </div>
<div>「……2人とも、今まで本ッ当にありがとうございましたっ!」</div>
<div> </div>
<div>134 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/03/09(月) 01:04:53 ID:I0z7IQtU [9/9]</div>
<div>続きの投下也</div>
<div>リアルが忙しくなるわ、規制かけられるわで絶賛牛歩執筆中……</div>
<div> </div>
<div>135 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/03/09(月) 01:28:57 ID:L885aN/W</div>
<div>まぁ乙だな</div>
<div> </div>
<div>136 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/03/09(月) 22:39:28 ID:10EPO0Ff</div>
<div>>>134</div>
<div>投下乙であります。</div>
<div>しかし、クランプの持ったライアに対する疑問は俺も気になるな。</div>
<div>多分最後に解消されるとは思うけど、楽しみに待ってますわ。</div>
<div> </div>
<div>137 名前:名無しオンライン[] 投稿日:2009/03/10(火) 23:39:41 ID:+qZ303vB</div>
<div>http://www.geocities.jp/j_chabudai/</div>
<div> </div>
<div>138 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/03/11(水) 22:03:48 ID:wP8faoMn [1/2]</div>
<div>お久しぶりです。そして投下します。</div>
<div> </div>
<div> ***</div>
<div> </div>
<div>どうも、GH470ことエルヴィアです。最近のマスターの周りで起こった事を報告させていただきます。</div>
<div> </div>
<div> ***</div>
<div> </div>
<div>「…………ふう」</div>
<div>ある日、マイルームに入ってくるなりため息をついたので、『どうしたんですか?』と聞いたところ……</div>
<div>「いや、実はね……これ」</div>
<div>そう言って、メセタカードを僕に渡しました。『記録を見てみなさい』と言われ、金額情報を見てみると……</div>
<div> </div>
<div>え、えーと……いちまん、じゅうまん、ひゃく……</div>
<div> </div>
<div>「ひゃ、百五十万メセタ!?ど、どうしたんですかこれ!?まさか、ローグスで違法アルバイトとかしたんですか!?」</div>
<div>「そんなんじゃないし、そんな事を言ったらそのメセタをくれた人に失礼じゃないの」</div>
<div>……へ?くれた?……こ、こんな大金をマスターに……?</div>
<div>「……何よその顔?」</div>
<div>どうやら僕の驚いた顔がかなり変だったらしく、マスターが少し睨みをきかせて僕を見た。</div>
<div>「いやね。本当はいらなくなった武器を貰うだけだったんだけど……」</div>
<div>マスターの話によると、ミッションを共にして親しくなった人に『レベルも上がったし、そろそろ新しい装備を買わないとねー』と愚痴っていた所。</div>
<div>
その人が『使い古しでよければあげようか?』とマスターに言ったので、それならばとその人の好意に甘える事にしたようです。この百五十万メセタはその際に貰ったそうで……</div>
<div>「……『今後、A武器やS武器を買う時に大金が必要になるから。もし良かったらそのお金で装備を整えてくれ』って」</div>
<div>「……凄い人ですね。そんな大金をぽんとマスターに渡せるなんて……」</div>
<div>
「あたしもさすがに『本当にいいんですか?』って聞いたわよ。そしたら、『ああ、俺は他人より欲が少ないからね。それに結構稼いでるからそんなに痛くないよ』って返されたわ」</div>
<div>
……世の中にはさまざまな人がいるものです。そう思っているとマスターが、『でも、『だからって俺に頼ろうなんて考えるなよ?』って釘を刺されたけど。それは当然よね』と苦笑いで呟きました。</div>
<div>「では、この百五十万メセタは……?早速お使いになりますか?」</div>
<div>「んーん。全額貯金に回しといて」</div>
<div>マスターの反応に、僕は内心で『やっぱり』と呟きました。……この人は金銭関係には少々厳しい人なんです。言い換えれば『ケチ』なんですが。</div>
<div>「この百五十万は虎の子にするわ。……いい武器ばかり貰ったし、これでしばらくの間は食いつなげそうだからね」</div>
<div>
と言って、僕のナノトランサーにその武器や防具をしまいました。……確かに全てAグレード以上、中には傷物とはいえ全強化されている物もあるのでかなり役立ちそうです。</div>
<div>「運が良かったわ、本当に。あんなに優しい人に会えるなんてね」</div>
<div>その後に装備できるものだけを取り出し、装備を変更しながらマスターが呟きました。</div>
<div> </div>
<div> </div>
<div>139 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/03/11(水) 22:05:58 ID:wP8faoMn [2/2]</div>
<div> ***</div>
<div> </div>
<div>またある日の事。昼食時にマスターの好きなバーニングスパイシアを作っていたところ……。</div>
<div> </div>
<div>「ぅええぇぇっ!?」</div>
<div> </div>
<div>
と、突然マスターが叫んだので何かと思えば、ビジフォンの前で固まるマスターがいました。画面には情報交換用掲示板、通称『Gちゃんねる』が表示されてました。</div>
<div>「……どうしたんですか、マスター?」</div>
<div>「あ、あたし……今更になってこの事に気付いちゃった……」</div>
<div>「何がですか?……あぁ、マスターの名前が実は某八月的な名前の会社の成年向けゲームのヒロインの名前と同じだった事にですか?」</div>
<div>「何よそれ?ともかく、あたしが気付いたのは……ウォーテクターは実はテクター系の職業だったって事よ!」</div>
<div> </div>
<div> …………</div>
<div> </div>
<div>僕とマスターしかいない部屋に、沈黙の三点リーダーが生まれました。</div>
<div>「…………マスター?」</div>
<div>「何よ?」</div>
<div>「それ、本気で言ってるんですか?まだシガ・ツバカ(※1)には早いですよ?」</div>
<div>思わず目を点にしながらそう言ってしまった僕でしたが、マスターは本気だったようで。</div>
<div>「な、何よエル!そんな『まったく、だからビーストは脳筋だって言われるんだよ』みたいな目をしないでよ!</div>
<div> そりゃ確かに『やけに命中低いなー』とは思ってたわよ!でも元々の特性だしまあいっかって気にしなかったけど!</div>
<div> それに、A以上のヒット系ユニット装備してればそんなに気にならなかったし!」</div>
<div>「いや、気付きましょうよ。というか僕が最初に心配してたのはそこですから」</div>
<div>……マスターはどうも漫画やアニメに影響されやすい性質らしいんです。『Ep:X』にハマる前は『a guardian's
Machinery』を読んでソード使いを目指したり。</div>
<div>見た目はちゃんとした大人のビースト(とはいえ一般ビーストよりは背が低い)なのに、心はまだ子供のままなようです。</div>
<div>「…・・・エル。あんた今あたしの事を馬鹿にしなかった?」</div>
<div>「いえいえ、気のせいですよマスター。それより、もうすぐバーニングスパイシアが出来ますよ」</div>
<div> </div>
<div>
……今日のバーニングスパイシアは、『ちょうどいい感じにめり込みそうな大きさの突起が生えたサボテチェアに勢いよく座ったような感じ』だったようです。</div>
<div> </div>
<div> ***</div>
<div> </div>
<div>また書かせていただきました。</div>
<div>そしてまたもや人様の作品をタイトル改変してしまいました。412とご主人の作者様、すみませんでした。</div>
<div> </div>
<div>注釈</div>
<div>※シガ・ツバカ……ND暦の四月一日は一日だけ嘘をついても許されるという昔からの行事</div>
<div> </div>
<div>140 名前:近接遭遇1/5[sage] 投稿日:2009/03/13(金) 21:14:21 ID:aJ25Gbte [1/6]</div>
<div>「ご主人様!ご主人様!」</div>
<div>血の海に沈んだ男</div>
<div>男に縋りつき叫ぶPM</div>
<div>そしてそれを見下ろす男</div>
<div>男にとっては見慣れた光景、泣き叫ぶPMを見てふと思う</div>
<div>この男もPMに慕われていたのだろうか?と</div>
<div>答えを出すつもりはない、どのみちこのPMも直に後を追うのだから</div>
<div>既にこと切れた主人に泣きつくPMへ向けて右手のセイバーを振り上げ、振り下ろす</div>
<div>通信機を取り出し任務完了の報告を行う男</div>
<div>「こちら偏在する矛盾(ナイトメアパラドックス)、対象の死亡を確認した」</div>
<div>通信機をしまいながら煙草に火を点け煙と共に溜息を零す</div>
<div> </div>
<div>「ほんと…毎度ながら嫌な気分だな、この仕事は」</div>
<div> </div>
<div> </div>
<div>「うう、流石に買い過ぎちゃったかも…」</div>
<div>私はGH-412、とあるガーディアンのパートナーマシナリーです</div>
<div>今日は買い物に来たのですが、ちょっと買い過ぎてしまいました</div>
<div>何しろアイテムパックに入りきらず両手で抱える程です</div>
<div>多すぎて前が見えませんが今更持ち直すのもめんどうなのでこのまま帰ります</div>
<div>何しろお茶もお茶菓子も切らすと女帝さんが煩くて…</div>
<div>さらに狂犬さんやGH-413さん、GH-450さん、GH-444さんと客人が増えて消費量も鰻登り</div>
<div>とてもじゃないけど自家栽培だけじゃ足りません</div>
<div>ああ、なんでこんな事になっちゃったんでしょう…</div>
<div>「きゃ!?」</div>
<div>「お?」</div>
<div>そんな事を考えていたからでしょうか</div>
<div>十字路で何かにぶつかってしまいました</div>
<div>男性の声の様ですが…荷物で見えません</div>
<div>体の向きを変えて横から見てみるとヒューマンの男性の方でした</div>
<div>「すいません、少々考え事をしていたもので」</div>
<div>一旦荷物を置いて頭を下げる私</div>
<div>荷物の持ち直しがめんどうでもきっちり謝りませんとね</div>
<div>「いや、こちらも考え事をしていたのでね、すまなかった」</div>
<div>そう言って苦笑いしているヒューマンの男性</div>
<div>あれ?この人以前GPSでご主人様と組んでた人だ</div>
<div> </div>
<div>141 名前:近接遭遇2/5[sage] 投稿日:2009/03/13(金) 21:15:28 ID:aJ25Gbte [2/6]</div>
<div>「一人で買い物かい?随分な大荷物だな」</div>
<div>ヒュマオさんが荷物に眼を向けて聞いてきます</div>
<div>ええ、そりゃあもう大荷物ですとも!</div>
<div>「…ふむ」</div>
<div>「え?ああ、いいですよ!自分で持ちますから!」</div>
<div>ヒュマオさんが唐突に荷物を持ち上げます</div>
<div>「気にするな、荷物持ちはPMとの買い物で慣れてる」</div>
<div>荷物を抱えながら仰るヒュマオさん</div>
<div>「いえ…その、まだ買い物の途中でして…」</div>
<div>「…oh」</div>
<div>器用に片眉を上げてます</div>
<div> </div>
<div>「すいません、すっかり手伝って貰ってしまって」</div>
<div>「ははは、気にするなって、どうせ暇だったしな」</div>
<div>恐縮する私に笑顔で手をひらひらさせるヒュマオさん</div>
<div>買い物を終え只今和菓子屋で休憩中</div>
<div>買い物をしてお茶と和菓子で一息…まるでデートですね</div>
<div>…どうせならご主人様としたかったなぁ</div>
<div>おっと、思わず溜息が出ちゃいそうでした</div>
<div>ヒュマオさんは喫煙所に張り付いてるので聞こえないとは思いますが</div>
<div>流石にここまで手伝って貰って溜息吐いちゃうのは失礼ですよね</div>
<div>時刻はもう直ぐ夕焼けが綺麗な時間ですし、早く帰らないと</div>
<div>私が立ち上がると既にヒュマオさんが荷物を抱えようとしていました</div>
<div>…いつのまに移動したんだろう</div>
<div>買い物中も…不意に後ろにいたりしてこの人は気配が読めません</div>
<div>どうやら十字路でぶつかったのも考え事をしていたからだけではないようです</div>
<div>本人曰く影が薄いんだそうですが…</div>
<div>ってそんな事より急がないと、女帝さん達がまた家探ししてるかもしれませんしね!</div>
<div> </div>
<div>142 名前:近接遭遇3/5[sage] 投稿日:2009/03/13(金) 21:16:14 ID:aJ25Gbte [3/6]</div>
<div>そして私達は今マイルームにてお茶を満喫しています</div>
<div>遠慮するヒュマオさんを説得するのに苦労しましたが…</div>
<div>こういう奥ゆかしさは何処かの誰かさん達にも見習ってほしいですね</div>
<div>夕日に染まる庭を眺めながら静かな一時を過ごす私達</div>
<div>不意にヒュマオさんが尋ねました</div>
<div>「そう言えば、君の主人は?」</div>
<div>「ご主人様は日課の修行です」</div>
<div>「ほう?」</div>
<div>「ご主人様はソードのみで戦い抜く為に日夜修行に励んでいるんですよ」</div>
<div>「成程」</div>
<div>この人もご主人様の事を理解しない人なのでしょうか?</div>
<div>ふと、そんな事を考えます</div>
<div>「言い方が悪いかも知れないが、凄い人だな」</div>
<div>「へ?」</div>
<div>「この御時勢にソードのみなんて余程拘りが無きゃやってられないだろう</div>
<div> 凄いと言うか偉いと言うか…適当な言葉が思いつかないな</div>
<div> 只、そういった拘りを持ってない俺には、拘りがあるだけでも尊敬に値する」</div>
<div>珍しくご主人様の拘りを理解しくれる人です</div>
<div>この人ならご主人様の友人になれるのかも?</div>
<div>既に一回は会ってますしね…覗き見なので言いませんが</div>
<div>「そう言って頂けると私も嬉しいです</div>
<div> ライア総裁なんてまるで理解してくれなくて…</div>
<div> あろう事かご主人様をイルミナスと変わらないなんて!</div>
<div> まったく…あんな人が総裁だなんて</div>
<div> ガーディアンズもガーディアンズです</div>
<div> あんな人を総裁にした事もそうですが運営方針が酷すぎます!</div>
<div> 数々の不祥事でどれだけの人がガーディアンズを辞めていったか…」</div>
<div>あ、思わず愚痴になっちゃいました</div>
<div>ヒュマオさんが興味深そうにこちらを見ています</div>
<div>「君は…ガーディアンズに反目的なんだな」</div>
<div>!?…あっちゃあ、つい口が滑って…</div>
<div>人には言わない様に気をつけてたのにいいいいい!!</div>
<div>「ま、そんなPMもいるもんだよな」</div>
<div>「へ?」</div>
<div>「いや、俺もPMに結構どつかれたりするんでね…</div>
<div> PMが主人に絶対服従じゃないんなら、ガーディアンズにだってそうだよな、とな」</div>
<div>苦笑いしつつ言うヒュマオさん</div>
<div>よ、良かった…変に思われたりはしてないみたい</div>
<div> </div>
<div>143 名前:近接遭遇4/5[sage] 投稿日:2009/03/13(金) 21:17:00 ID:aJ25Gbte [4/6]</div>
<div>それでも一応言っておかないと</div>
<div>「あの、今の事は…」</div>
<div>「ん?」</div>
<div>「今の事は内緒にしてくださいね?」</div>
<div>「ほむん…訳在り、かな?」</div>
<div>「少々複雑でして…」</div>
<div>「まあ、良いだろう…隠す様な事かは知らんけど」</div>
<div>肩を竦め笑うヒュマオさん</div>
<div>良かった、これ以上変に騒がれるのはごめんですからね</div>
<div>ご主人様に迷惑をかけかねませんもの</div>
<div>「しかし、だ」</div>
<div>ヒュマオさんが急に真面目な顔で話し始めました</div>
<div>あ、真面目な顔になると結構かっこいいかも</div>
<div>眼鏡も知的な感じが…ってそうじゃなくて</div>
<div>「ガーディアンズは今の世界に必要だ</div>
<div> 例え…どれ程悪質な運営方針であっても、な」</div>
<div>「悪質な運営方針でもですか?」</div>
<div>私には歪みの原因にしか思えないんですが…</div>
<div>「少なくとも現在でもガーディアンズを継続している人達はいる</div>
<div> その人達には必要な存在だよ</div>
<div> 誰も必要としなくなれば勝手に消滅するさ」</div>
<div>「でも!そのせいで大勢の人達が苦しんできたんですよ!</div>
<div> 今も苦しんでる人達が…その人達と引き離されて苦しんでるPMがいるんですよ!!」</div>
<div>思わず大声になる私、女帝さん達の話を聞くまでも無く</div>
<div>帰らぬ主人をマイルームで待ち続けるPMを見てきました</div>
<div>事の張本人であるガーディアンズを肯定なんてできません!</div>
<div>「まあ落ち着いて、取り敢えず座って一口飲んで落ち着こう」</div>
<div>あう、無意識の内に立ち上がってました</div>
<div>座り直してお茶を一口、少しは冷静になれたかな?</div>
<div>私が落ち着くのを待ってからヒュマオさんが話を続けます</div>
<div>「確かにガーディアンズは問題が山積みだ</div>
<div> だが、先程も言った様にそれでも続けてる人々がいる</div>
<div> それを無くす訳にはいかないさ</div>
<div> こんな世界でも、守ろうとしてる人達がいるんだよ</div>
<div> ガーディアンズも同じさ」</div>
<div>「でも!」</div>
<div>「君の主人は己の拘りを貫く為に日夜修行している</div>
<div> それは誇りを守る為に戦うという事だ</div>
<div> 世界を守る、組織を守る、誇りを守る、どれも同じ事だよ</div>
<div> 自分の守りたいモノの為に戦っているだけさ」</div>
<div> </div>
<div>144 名前:近接遭遇5/5[sage] 投稿日:2009/03/13(金) 21:17:31 ID:aJ25Gbte [5/6]</div>
<div>ヒュマオさんの話は解ります…解りますが納得はできません</div>
<div>「まあ、都合や立場が違えば主張も変わるって事で」</div>
<div>表情に出ていたのでしょうか</div>
<div>ヒュマオさんが宥める様に声を和らげました</div>
<div>真面目にしていたのを誤魔化す様に微笑んでいます</div>
<div>「あんまり、こういう話は好きじゃないんだがね…」</div>
<div>そう言って庭に歩いて行きました</div>
<div>大分暗くなってきた庭の木々を眺めながらヒュマオさんは話します</div>
<div>「俺には仲間がいる…その仲間達は本気で世界を守りたいと思ってる</div>
<div> そして、その為にガーディアンズにいる</div>
<div> 俺には貫く様な拘りも無い、別に世界が滅んでも構わない</div>
<div> それでも、本気でこの世界を守りたいと思ってる人がいるなら</div>
<div> その手伝いくらいはできる</div>
<div> 世界を守る道と信じて戦った帰らぬ仲間の為にも、今も戦い続けている仲間の為にも</div>
<div> 今はまだガーディアンズが必要なのさ」</div>
<div>「その為に、これからも苦しみ続ける人達がいたとしてもですか?」</div>
<div>「それは許容してはいけない問題なんだ</div>
<div> だが、俺には変える力なんて無い</div>
<div> だからできるのは…変えられる人達が現れるまでの維持だ」</div>
<div>「維持、ですか?」</div>
<div>「変えようとしている人達は嘗てもいたし、今もいる</div>
<div> 変える為には無くなってちゃ駄目だろ?</div>
<div> だから維持するんだ</div>
<div> …或いは、ガーディアンズを変えるのはガーディアンじゃないかもな」</div>
<div>「へ?」</div>
<div>「君みたいに、そう…規格外なPMってのは色々知っててね</div>
<div> 或いは彼等がガーディアンズを、世界を変えるかもしれない</div>
<div> そうやって期待してるのが俺の精一杯だな</div>
<div> …尤も、俺は希望を摘み取る側か」</div>
<div>「え?」</div>
<div>「ん、何でもないさ、ちょっと話し過ぎたか</div>
<div> すっかり長井しちゃったな、そろそろお暇しようかね」</div>
<div>振り返ったヒュマオさんは笑っていました</div>
<div>笑っていましたが、寂しそうな笑顔でした</div>
<div>「それじゃあこれで、お茶御馳走様」</div>
<div>「はい、また来てくださいね」</div>
<div>「気が向いたらそうさせて貰うよ、君の主人によろしく」</div>
<div>ヒュマオさんは笑顔で帰って行きました</div>
<div>なんだか久し振りに良いお客さんだった気がします</div>
<div>あ、夕食の準備がまだだった!</div>
<div>…どうしよう?</div>
<div> </div>
<div>145 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/03/13(金) 21:20:38 ID:RMdohIqK</div>
<div>今回も実に不快な内容だった</div>
<div>乙</div>
<div> </div>
<div>146 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/03/13(金) 21:22:25 ID:aJ25Gbte [6/6]</div>
<div>お久しぶりですこんにちは</div>
<div>何だかヒュマオが自分のPMと絡む事が少ないヒュマオとGH-413作者です</div>
<div> </div>
<div>今回はちょっとヒュマオの立ち位置を示しておきたかったので</div>
<div>珍しくヒュマオがべらべらと喋っておりますが本人です</div>
<div>赤の他人じゃありません</div>
<div> </div>
<div>ビス男と412さんも色々とリアル都合があるだろうけど楽しみにしてまっせー</div>
<div> </div>
<div>147 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/03/13(金) 23:56:52 ID:wU41OLUV</div>
<div>>>146</div>
<div>乙です。</div>
<div>ガーディアンズの変革を望みつつも、</div>
<div>裏家業として異端な物を抹殺していくってのは</div>
<div>辛いだろうな~</div>
<div> </div>
<div>はたして規格外のPM達はガーディアンズを変える力になりうるのか・・・</div>
<div> </div>
<div> </div>
<div>>>145</div>
<div>ライア総裁、こんな所にいたんですか?探しましたよ~</div>
<div> </div>
<div>148 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/03/14(土) 00:59:29 ID:puv4xRXA</div>
<div>俺様設定優先させ過ぎでなんかもう駄目だ</div>
<div> </div>
<div>149 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/03/14(土) 04:41:50 ID:n9yx0Fmy</div>
<div>俺様設定というかこのスレの設定というか</div>
<div> </div>
<div>150 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/03/14(土) 08:42:06 ID:XcGeVDTo</div>
<div>新規お断りはPSUの華</div>
<div> </div>
<div>151 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/03/14(土) 09:51:53 ID:rZa2I1FL</div>
<div>>>145,148</div>
<div>公式設定にない物=俺様設定だし</div>
<div>人によって好みが分かれるのは仕方ない事なので</div>
<div>ただ漠然と愚痴るんじゃなく</div>
<div>「俺は○○の××の所が駄目だと思う」</div>
<div>「俺は△△の□□が不快だった」って形で</div>
<div>自分はこう思っているとコメントした方が</div>
<div>その作者にも自分の意見が伝わるし</div>
<div>それによってより良い作品が出てくると思うんだが、どうだろう?</div>
<div> </div>
<div>>>149も言ってる通り、このスレ設定は存在する</div>
<div>ワンオブサウザンドなんかがそうだな</div>
<div>今ではこのスレ設定になってると俺は思うし、</div>
<div>その設定を好む人、好まない人がいるだろうとも思う</div>
<div> </div>
<div>コメントして、それでも自分に合わない作風なら</div>
<div>その作者の作品は読まないか、自分で作品を書くしかない</div>
<div>すべての読み手が好む作品なんて、誰も作れないよ</div>
<div> </div>
<div> </div>
<div>>>150</div>
<div>本家ゲームには新規お断りっぽい風潮があるにしても</div>
<div>このスレまでそれに合わせる必要はないぜ~</div>
<div> </div>
<div> </div>
<div> </div>
<div>152 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/03/14(土) 11:02:14 ID:mk2ySBgp</div>
<div>俺様設定をスレ設定にすり替えてそれを嫌う読み手・書き手を排斥した結果がこれさ</div>
<div> </div>
<div>153 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/03/14(土) 14:39:46 ID:sU240KU9</div>
<div>>>152</div>
<div>嫌なら読まなきゃいいだけだろ。それか自分で作るかな。</div>
<div>お前さんの主張はただでさえ少ない書き手を萎縮させてスレを衰退させるだけだと気付いてくれ。</div>
<div> </div>
<div>気にしないでどの作者さんも頑張ってくれ。</div>
<div> </div>
<div>154 名前:不良品の役目(後編) 1/5[sage] 投稿日:2009/03/14(土) 15:51:59 ID:JKBFChPO
[1/6]</div>
<div>獲物は、意外にあっけなく見つかりました。</div>
<div>モトゥブの荒地に無数に点在する、大岩の一つ。</div>
<div>その中腹に空いている穴の奥に輝く、何対かの丸い光。</div>
<div>「渡りラプチャ」の雛に違いありませんでした。</div>
<div> </div>
<div>手を伸ばせば届く程度の穴の奥で、彼らは鳴き声も上げずにじっと、</div>
<div>こちらを見返してきます。</div>
<div>まだ雛だけあって、とても小さく、そして可愛らしい姿でした。</div>
<div> </div>
<div>この小さな生命を、私は自分の都合で摘み取ろうとしている。</div>
<div>一旦はご主人様のためと決意して来た私ですが、</div>
<div>ここに至って大きな迷いが生じます。</div>
<div> </div>
<div>そこへ、渡りラプチャの親鳥が帰ってきました。</div>
<div>本家ラプチャより大分大きい翼を広げ、必死にこちらを威嚇してきます。</div>
<div> </div>
<div>その気になれば、この程度の原生生物の一匹や二匹、倒せない私ではありません。</div>
<div>ですが、子供を守ろうと懸命になっている親鳥の姿を見て、</div>
<div>私は自然、後ずさりをする形になっていました。</div>
<div> </div>
<div>私のご主人様を思う気持ちと、親鳥の子供を思う気持ち。</div>
<div>そこに、何の違いがあるでしょうか?</div>
<div>私に、この親鳥の気持ちを踏みにじって自分を通す、どんな権利があるでしょうか?</div>
<div> </div>
<div>気がついたら、私は巣に背を向けて、一目散にその場を離れていました。</div>
<div> </div>
<div>ひとしきり走った所で、足を止めます。</div>
<div>手近な小岩に腰を下ろし、空を見上げると、満天の星空が広がっています。</div>
<div> </div>
<div>あの星々と同じように、この地上には無数の生命が存在します。</div>
<div>大きさや光の大小はあろうと、一個の存在であることに変わりはありません。</div>
<div>造り物のPMである私に、その一個の存在を勝手に摘み取る、</div>
<div>どんな正義もあるものではなかったのです。</div>
<div> </div>
<div>155 名前:不良品の役目(後編) 2/5[sage] 投稿日:2009/03/14(土) 15:53:12 ID:JKBFChPO
[2/6]</div>
<div>「申し訳ありません、ご主人様。私には…できませんでした」</div>
<div>これからご主人様に告げるべき言葉を、そっと呟いてみます。</div>
<div>彼は、そんな私の言葉を聞いて、どんな反応をするでしょうか?</div>
<div>私は、想像してみました。</div>
<div> </div>
<div>しばらくの沈黙の後、寂しそうに微笑んで、私の頭に手をのせる。</div>
<div>『君のせいじゃないよ』優しく慰めの言葉をかけ、背中を向ける。</div>
<div>そして、ベッドに横たわる彼女の亡骸に声一つかけないまま、じっとたたずむ。</div>
<div>暗い部屋に映し出される、その後姿。無力感に打ちひしがれ、小さく見えるその背中。</div>
<div> </div>
<div>私は、我知らず立ち上がっていました。</div>
<div> </div>
<div>例えば、あの星々の一つが輝きを失ったとして。</div>
<div>空全体にとっては、何ほどのこともないかも知れません。</div>
<div>同じように、あの小ビーストの彼女が亡くなったとしても、</div>
<div>地上全体にとっては鳥一匹の命の重みと何ら変わることはないでしょう。</div>
<div> </div>
<div>でも、ご主人様にとってはどうでしょうか?</div>
<div>その星の輝きなくしては決して輝くことのできない星があるように、</div>
<div>ご主人様も彼女の命と共に、永遠に輝きを失うかも知れません。</div>
<div> </div>
<div>そして、そんなご主人様の元でしか生きられない私は。</div>
<div>輝きを失ったご主人様の元で、どのように生きていけばいいというのでしょうか。</div>
<div> </div>
<div>不良品と自らを蔑むようなことを口にしながら、まだ私は恐れていたのです。</div>
<div>この手を汚すことを。自分を支えるあらゆる正当性を失うことを。</div>
<div>正しい、正しくないは関係ない。ご主人様がその輝きを取り戻すか、失うか。</div>
<div>それが、私の全てだったはずなのです。</div>
<div> </div>
<div>脳裏に浮かぶ、あのけなげな親鳥といたいけな雛鳥の姿。</div>
<div>そのイメージを、ご主人様の寂しげな背中で塗り潰し。</div>
<div>私は、鬼になりました。</div>
<div> </div>
<div>156 名前:不良品の役目(後編) 3/5[sage] 投稿日:2009/03/14(土) 15:54:24 ID:JKBFChPO
[3/6]</div>
<div>明け方近くになって、私はご主人様の元に帰り着きました。</div>
<div>最初、私の姿を見たご主人様はぎょっとした様子でしたが、すぐに察したようでした。</div>
<div> </div>
<div>返り血にまみれた姿。虚ろな目で差し出す手に握られたもの。</div>
<div>何を手に入れ、何を失ったのかを。</div>
<div> </div>
<div>私は目を伏せたまま、成り行きに身を任せました。</div>
<div>ご主人様の怒った顔を見るのが、辛かったのかも知れません。</div>
<div> </div>
<div>しばしの時をおいて、暖かな手が私の手を包むのを感じました。</div>
<div>「後は、任せて」</div>
<div>表情は伺いませんでしたが、ご主人様の穏やかな声に、ほんの少し安心しました。</div>
<div> </div>
<div>その、翌日。</div>
<div> </div>
<div>「おかげで娘は助かった。…が」</div>
<div>ご主人様と私は、彼女の父親の前に並んで立っていました。</div>
<div> </div>
<div>「保護指定生物を狩ることは、ガーディアンズでも禁止行為となっている筈。</div>
<div>その禁忌を破った罪は逃れられるものではないことは、分かっているね?」</div>
<div> </div>
<div>もしかしたらという期待がないわけでもありませんでしたが、</div>
<div>やはりこの方は今回のことを見逃すつもりはないようでした。</div>
<div> </div>
<div>「そこで、問題なのだが。これは、君の命令でやらせたことかね?</div>
<div>それともこのPMが、独断でやったことかね?</div>
<div>君の命令ならば、当然君もこの罪を免れることはないが、PMの独断ということなら…。</div>
<div>この件は、一体の故障したPMが引き起こした、事故ということになる」</div>
<div> </div>
<div>ほぼ、私の想定した通りの運びとなりました。</div>
<div> </div>
<div>「よく、考えて答えなさい。君の未来に大きく関わることだ」</div>
<div>言葉の端々に、ご主人様の悪いようにしたくないという気持ちがうかがえます。</div>
<div>この方も、娘さんを助けてもらった恩は感じているのだと思います。</div>
<div>立場上今回のことを見逃すことはできないが、何とかご主人様を助けたいという気持ちが、</div>
<div>この一言に表れていました。</div>
<div> </div>
<div>いよいよ、お別れの時がやってきました。</div>
<div>私は何もかも失うことになりますが、たった一つの大事な物は。</div>
<div>守れた、はずでした。</div>
<div> </div>
<div>157 名前:不良品の役目(後編) 4/5[sage] 投稿日:2009/03/14(土) 15:56:00 ID:JKBFChPO
[4/6]</div>
<div>「僕の、命令です」</div>
<div>私も、父親の小ビーストも、一瞬ご主人様が何を言ったのか分かりませんでした。</div>
<div> </div>
<div>「そ、それは…本気で言っているのかね」</div>
<div>父親の狼狽した様子よりもさらに、私自身が戸惑っていました。</div>
<div> </div>
<div>今回のことは、紛れもなく私の独断です。</div>
<div>ご主人様は、ただ事実を言えばそれで済む。そのはずだったのに。</div>
<div> </div>
<div>「いいかね。君は確か、今度医療研究部の室長に就任するはずだ。</div>
<div>PM一体と引き換えにするほど、軽い任務ではないと思うのだが」</div>
<div> </div>
<div>父親は、ご主人様の命令か否かは半信半疑といったところですが、私は知っています。</div>
<div>ご主人様が、嘘をついていることを。</div>
<div> </div>
<div>「ご主人様。そのような嘘をついてまで、私をかばっていただくことは」</div>
<div>そこまで言って、私はご主人様に手で制されました。</div>
<div> </div>
<div>「僕の命令であることは、事実です。そこから、逃げるつもりはありません」</div>
<div> </div>
<div>そこで、話は終わりました。</div>
<div> </div>
<div>彼女と彼女の父親の邸宅を出て、ご主人様と二人になってから、私はようやく口を開きました。</div>
<div>「何故…あのような嘘を」</div>
<div> </div>
<div>そんな私に、ご主人様はいつもの穏やかな表情で答えます。</div>
<div>「いや。嘘じゃないよ」</div>
<div> </div>
<div>この期に及んで、と私はこの時ばかりは呆れる気持ちがもたげました。</div>
<div>しかし、その後のご主人様の言葉に、私は逆に胸を衝かれました。</div>
<div> </div>
<div>「僕は、君に命令したんだ。ただ、言葉で伝えず、僕が自覚していなかっただけなんだよ。</div>
<div>僕は、君にあんな姿を見せちゃいけなかった。</div>
<div>君の気持ちを知っていながら、あんな弱々しい姿を見せた。それは、命令したと同じなんだ」</div>
<div> </div>
<div>「わ、私の気持ちって…まさか」</div>
<div> </div>
<div>「主人として、PMのそういう気持ちに答えることはできないと思っていた。</div>
<div>それを、はっきり伝えないまま彼女と結ばれようとしたことが、全ての原因なんだ。</div>
<div>悪いのは、君じゃない。全ては…僕の責任だ」</div>
<div> </div>
<div>158 名前:不良品の役目(後編) 5/5[sage] 投稿日:2009/03/14(土) 15:58:14 ID:JKBFChPO
[5/6]</div>
<div>結果から言うと、ご主人様はガーディアンズを追われることはありませんでした。</div>
<div>しかし、モトゥブでの栄転の道は断たれたので、パルムで一からやり直すことになりました。</div>
<div> </div>
<div>私が不良品か否かについては、ご主人様から否定されました。</div>
<div>「PMのそういう感情を否定する権利は誰にもない。受け入れるかどうかは、各々の主従の問題だよ」</div>
<div> </div>
<div>そういう意味では、私は完全に「失恋」したことになるのでしょうか。</div>
<div>それでもご主人様は、私がPMとしてご主人様に仕え続けることを望んでくださいました。</div>
<div>私に否やはありませんでした。</div>
<div>恋人としてでなくとも、ご主人様の傍にあり続けられるのならば。</div>
<div> </div>
<div>ご主人様についてパルム行きの便に乗ろうと、私はスペースポートへの道を急いでいました。</div>
<div>あまり急いでいたので、正面に現れた人影をよけきれず、荷物ごとぶつかってしまいました。</div>
<div> </div>
<div>「大丈夫?」</div>
<div>うつぶせに倒れた私を助け起こしてくれたのは、眼鏡をかけた理知的な女性でした。</div>
<div>差し伸べた手の感触同様の柔らかで落ち着いた物腰に、ちょっとした憧れのような感情を一瞬抱きました。</div>
<div> </div>
<div>「貴方…PMね。ご主人様の姿が見当たらないようだけど」</div>
<div>「ご主人様は、この先で待ってらっしゃる筈です…って、PMという言葉を知っているということは」</div>
<div>「ええ。私もガーディアンだったの。元、ね。今は、違う所にいるけれど」</div>
<div> </div>
<div>その女性は、私が散らかした荷物を片付けるのを手伝いながら、ふと尋ねてきました。</div>
<div>「ねえ。貴方のご主人は…いい方かしら」</div>
<div>「え?」</div>
<div>「私は…きっと、いい主人じゃなかったと思うわ。</div>
<div>結果的に、あの子を置いていくことになったし、それでいて一方的に約束をして…勝手な主人ね」</div>
<div> </div>
<div>彼女の真意が分からず、どう声をかけていいか考えているうち、荷物の片づけが終わっていました。</div>
<div>「どうもありがとうございました。あの…モトゥブへは、着いたばかりで?」</div>
<div>「ええ。任務でね。ちょっと嫌な感じはするけど、命じられた内容は大事なことだから」</div>
<div>「?よく分かりませんが、がんばってくださいね」</div>
<div>「ありがとう。そちらこそ、よい旅を」</div>
<div> </div>
<div>その女性とは、それきり顔をあわせることはありませんでした。</div>
<div>ただ、思いがけないところで、もう一度彼女の顔を見ることになったのです。</div>
<div> </div>
<div>モトゥブで起きた、大規模なSEEDフォーム化事件。パルムについて間もなく、私達はそれを知らされました。</div>
<div>見覚えのある、実行犯の顔写真と共に。</div>
<div>私達がモトゥブを発って、数時間もしないうちのことでした。</div>
<div> </div>
<div>159 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/03/14(土) 16:11:02 ID:JKBFChPO [6/6]</div>
<div>少々空気を読んでいない気もしましたが、「不良品の役目」後編投下です。</div>
<div> </div>
<div>いい加減「新規」の枠には入らない程度の投下数には達していると思いますが、</div>
<div>まだまだこのスレ独自の設定は把握しきれていない状態です。</div>
<div>もしかしたら、そういった設定を踏みにじるような作品を投下する結果にならないか、</div>
<div>という不安はありますが、自分なりにやっていこうと思います。</div>
<div> </div>
<div>ワンオブサウザンドの絡みを書くことにも少々興味がありますが、</div>
<div>何しろ存在感が大きいようなので扱いを間違えてはと二の足を踏んでいる現状です。</div>
<div> </div>
<div>160 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/03/14(土) 21:38:34 ID:WHrI+Fab</div>
<div>>>153</div>
<div>正直、その意見はどうかと思う…</div>
<div> </div>
<div>長編設定がスレ設定になってるなんて知らなかったよ</div>
<div>最近どうも書きづらいとは思ってたけど、そういう事だったんだな</div>
<div> </div>
<div>161 名前:151[sage] 投稿日:2009/03/15(日) 01:30:28 ID:dNSxq6zU</div>
<div>>>160</div>
<div>>長編設定がスレ設定</div>
<div>何かスレ設定、俺様設定って言葉自体が漠然としていて、</div>
<div>混乱しているような気がする</div>
<div>ってか、俺が混乱している</div>
<div>俺は以下のように考えていたから>>151を書いたんだけど、間違ってる?</div>
<div> </div>
<div>俺様設定=ある作者が自分の話を進める上で考え出した設定</div>
<div> ぶっちゃけ、公式設定以外全般</div>
<div> </div>
<div>スレ設定=ある作者の考え出した設定が話を考える上で使いやすい設定であった為</div>
<div> 他の作者もその設定を使用していき</div>
<div> 結果的にパシリスレで暗黙の了解みたいになっている設定</div>
<div> ただし話を考える時、必ずその設定を使用しなければいけないという</div>
<div> 強制力がある訳ではない</div>
<div> </div>
<div>誰に対してか分からない愚痴のコメント</div>
<div>すべての作者が俺様設定全快だと思わせるようなコメントが書いてあったので</div>
<div>自分の意見を述べてみたんだけど、不味かったかなぁ・・・</div>
<div> </div>
<div> </div>
<div>162 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/03/15(日) 04:02:28 ID:K1iqaDoZ [1/2]</div>
<div>>>161</div>
<div>解釈はそんなんでいいんじゃない?</div>
<div>俺もそれは間違ってないと思うし、二次創作ってのはそーいうもんだろう</div>
<div> </div>
<div>更に簡潔に言うなら</div>
<div>俺設定=文字通り、独自の設定</div>
<div>スレ設定=書き手の裁量で流用が可能な、スレ発祥となる独自の設定(長ぇな)</div>
<div> </div>
<div>言うまでもないだろうけど「俺様設定」ってのは相当に皮肉が入ってるよね</div>
<div>読者を置いてけぼりにするような独自の設定に頼りまくるのも</div>
<div>どうかっつーのは分からんでもないけども</div>
<div> </div>
<div>個人的には既存のキャラとストーリーへの干渉ってのが一番気になる部分だ</div>
<div>自分のキャラと何ら変わらないようなスケールのキャラを動かした方が</div>
<div>読者の共感を得られやすいんじゃないかな、と思ってるよ</div>
<div> </div>
<div>具体例を挙げると、俺は飯店のヒュマ助が一番好きだな</div>
<div>あのキャラには等身大のガーディアンってものが感じられる</div>
<div> </div>
<div>163 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/03/15(日) 06:42:49 ID:n9G9FBTe [1/2]</div>
<div>長編推奨で、長編作者のキャラかネタを使わないといけない様な空気があるのは確か</div>
<div> </div>
<div>ぶっちゃけ1レス縛りか3レス縛り、続編ネタなしが個人的にはいいけど恐らく賛同者はゼロだろうな</div>
<div>前提が多すぎてついていけない</div>
<div> </div>
<div>164 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/03/15(日) 07:37:41 ID:K1iqaDoZ [2/2]</div>
<div>>>163</div>
<div>確信を持って言ってる所で悪いんだが、俺はそんな空気一度も感じたことないぜ</div>
<div>言葉が悪いのを承知で言うが、俺には被害妄想、強迫観念といったものにしか見えないわ</div>
<div> </div>
<div>165 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/03/15(日) 11:54:39 ID:LPW4frmQ</div>
<div>俺も>>164と同意見</div>
<div>今までも何度か似たような流れになったけど</div>
<div>元々ここは「書きたいように書く」「読みたいように読む」場所だったはずだよ</div>
<div> </div>
<div>書ける空気じゃない、ってのは単に創作意欲と自分が納得出来るネタが出て来ないだけじゃないかい?</div>
<div>俺はもう書いてないけど、どんな設定のどんな話でもアップされれば楽しみだし全部読んでるよ</div>
<div> </div>
<div>気負わずやろうよ</div>
<div> </div>
<div>166 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/03/15(日) 13:21:11 ID:t8VFOhCd</div>
<div>長編だけがいい人とか短編だけがいい人とかは、ほとんどいないと思う。</div>
<div>どっちもあっていいし、どっちもあって欲しいという人がほとんどでしょ。</div>
<div>気にせずネタができしだいどんどん投下してほしいな。</div>
<div>他の作品や関係ない雑談に流される危険は短編、長編どっちにもあるさ・・・</div>
<div> </div>
<div>167 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/03/15(日) 20:18:37 ID:n9G9FBTe [2/2]</div>
<div>じゃ単発短編でも全然いいのかな?</div>
<div>会話保守の形で作品の感想を言う形が大好きだったから、アレがなくなったのが寂しくてさ</div>
<div> </div>
<div>168 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/03/15(日) 20:34:41 ID:2BN5dCiu</div>
<div>一部にそれを嫌う書き込みがあったのは事実だが、まったく問題ない</div>
<div>「書きたいように書く」と「読みたいように読む」は鉄板だろう</div>
<div> </div>
<div>後はまあ</div>
<div> </div>
<div> ( ゚д゚ )<倫理的におk</div>
<div> </div>
<div>169 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/03/15(日) 20:53:40 ID:PITm3M07</div>
<div>>167</div>
<div>むしろ望むところじゃないのかな。</div>
<div>書き手さんだってスルーされるよりはどんな形であれ感想言ってもらう方がいいだろうし。</div>
<div> </div>
<div>確かにそういうのが嫌いな人がいたかも知れないけど、</div>
<div>それは「長編はダメ」とかいうのと同じ一意見であって、スレの総意じゃない筈。</div>
<div>時によって長編、短編、或いはエッセイと偏りはあっても、自由にやっていいと思う。</div>
<div> </div>
<div>170 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/03/16(月) 02:53:15 ID:MMm77it3</div>
<div>>>167</div>
<div>俺も好きだった</div>
<div>前スレだとけっこうあったのに残念だ</div>
<div>ほぼROM専だが単発短編も大作長編も会話保守も大歓迎</div>
<div> </div>
<div> </div>
<div>171 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/03/16(月) 03:27:50 ID:sILPcLl3</div>
<div>何日もかけて投下された大作への感想よりもたかが数回程度の批判に対する反応の方が多いという・・・</div>
<div>過剰反応ってこういう事を言うんだろうな、みんなあれこれ気にしすぎじゃね?</div>
<div> </div>
<div>172 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/03/16(月) 07:10:52 ID:lxLSg4an</div>
<div>ごもっともだけど、実際盛り上がってしまってるからねえ。</div>
<div>こういう時に投下して流されちゃった人には気の毒だけど、運が悪かったとしか。</div>
<div> </div>
<div>嫌いな作者を排斥したい場合には、下手な叩きよりも有効かも知らんね</div>
<div> </div>
<div>173 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/03/16(月) 10:10:43 ID:GQrICEIQ</div>
<div>戦乙女長編のように別UPという手もあるし、保管庫もあるからな</div>
<div>なにやってもなにか書かれるんだからそのへんは覚悟しとかないと</div>
<div> </div>
<div>174 名前:閑話休題:デザコン[sage] 投稿日:2009/03/19(木) 21:08:57 ID:kBoHA8FO</div>
<div>412 「ご主人様~、アイテムデザインコンテストらしいで――」</div>
<div>主人「全く持って興味なし」</div>
<div>412 「最後まで聞いてくださいよー!</div>
<div> 入賞した場合、各企業が実際に開発を検討してるそうですよ?」</div>
<div>主人「ほーう?#ピクッ</div>
<div> そうと聞いたら黙ってはおれん、紙と筆を持って参れ!」</div>
<div>412 「はーい」</div>
<div> </div>
<div>- 数時間後 -</div>
<div> </div>
<div>412 「ご主人様!」</div>
<div>主人「うむ」</div>
<div>412 「フォトン無使用武器ばっかりです!」</div>
<div>主人「開発は絶望的だな。しかし刀の反りはこうでなくてはならん!」</div>
<div> </div>
<div>412 「私はこんなのが絶対1つありそう、というのを描いてみました!」</div>
<div>主人「どれどれ。まずは……天使の羽根状シャドゥーグとはまたありきたりだな」</div>
<div>412 「はい、種運○的なのは欠かせないと思いまして」</div>
<div>主人「その次は――何だこれは?」</div>
<div>412 「ソダ・マリーヤです」</div>
<div>主人「ただのマヤ人形だろうが、こんな物担いだら趣味を疑われるわ!</div>
<div> いや、この時点で俺はお前の趣味を疑いたい!</div>
<div> そして何気に本格的にテノラ風名称を考えているとは、本気作品だな!」</div>
<div>412 「胸の部分でぶん殴るんです! 憎しみを込めて!」</div>
<div>主人「一部にはウケるだろうが、言ってて悲しくないか?」</div>
<div>412 「……っく、胸なんて飾りですッ!」</div>
<div> </div>
<div> </div>
<div>なかなか筆が進まん気晴らしに、旬のネタで早速単発行ってみた</div>
<div>これを切欠にフォトン無使用武器が出来りゃいいなぁ。無理だろうけど</div>
<div> </div>
<div>175 名前:名無しオンライン[sage GH470の者] 投稿日:2009/03/19(木) 23:28:42 ID:t/kR0vub</div>
<div>デザインコンテスト……そんな物があるとは……</div>
<div> </div>
<div>主人「デザコンらしいわよ、エル」</div>
<div>エル「それがどうしました、マスター」</div>
<div>主人「ぶっちゃければ>>174みたいな感じらしいわ」</div>
<div>エル「えらく適当ですね」</div>
<div> </div>
<div> 間</div>
<div> </div>
<div>主人「出来たわ」</div>
<div>エル「何ですかこの『ぼくのかんがえたあくまちょうじん』みたいなのは」</div>
<div>主人「歳がばれるわよ。それに無理に知らないネタをやらないの」</div>
<div>エル「ですが……この、どう見ても某ガンブ○ードです。本当に(ry的なデザインは……」</div>
<div>主人「馬鹿ね……銃と剣の融合は男なら一度は憧れるでしょう!?」</div>
<div>エル「マスターは女の方でしょう!?それにZEROでガンスラッシュが出たでしょう!?」</div>
<div>主人「……なぜ二回言う」</div>
<div>エル「ともかく、もうちょっとマシなのは……あ、打撃できる杖、ですか?」</div>
<div>主人「ええ。WT専用武器。打撃と法撃を兼ね備えたスペシャルウェポン!」</div>
<div>エル「それはすごいじゃないですか!」</div>
<div>主人「……ただしリンクできるテクニックは1だけど。それに、打撃でPP回復しないけど」</div>
<div>エル「うわ……」</div>
<div>主人「これくらいしないとソニチは作ってくれないかもね……」</div>
<div> </div>
<div>>>174のビースト氏へ</div>
<div>散華夜叉が……いえ、なんでもないです。</div>
<div> </div>
<div>同412女史へ</div>
<div>た、種デスだと……!?そしてそのオパーイへの反逆心はベネだ!</div>
<div> </div>
<div>176 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/03/20(金) 01:05:48 ID:x+RDBnu3</div>
<div>また散華しか見つからないんですねわかります</div>
<div> </div>
<div>177 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/03/22(日) 02:31:00 ID:FGQEo7DJ</div>
<div>保守</div>
<div> </div>
<div>178 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/03/24(火) 01:02:23 ID:ckWTowWa</div>
<div>御主人「デザインコンテストだそうだ。440」</div>
<div>440「何だか久しぶりですね。御主人」</div>
<div>御主人「気にするな440。ところでアイディアがあるのだが」</div>
<div>440「はあ…何でしょうか御主人?」</div>
<div>御主人「PMが巨大武器に変形。その名もファイナル・アタック・パシリ」</div>
<div>440「… … …」</div>
<div>御主人「410なら巨大ソード。420ならハンマー。もちろんお前はキャノン砲だな」</div>
<div>440「… … …」</div>
<div>御主人「これならSUVのない種族も安心…どうした440?」</div>
<div> </div>
<div>440「…ちょっと、くすぐったいぞ…」</div>
<div>御主人「や、やめ…ぎゃあああああああぁ!」</div>
<div> </div>
<div> </div>
<div>179 名前:名無しオンライン[sage GH470の者] 投稿日:2009/03/25(水) 00:02:05 ID:/mB70cB+</div>
<div>主人「う、うふふふ、うふふふふふふふ……」</div>
<div>エル「何ですか、不気味な笑い声出して」</div>
<div> </div>
<div>主人「WTでダブセが使用可能になったのよぉ――――――!!」</div>
<div> </div>
<div>エル「……はあ、それが何か?」</div>
<div>主人「何かじゃないわよ。さっきGちゃんねるのWTスレ見てたらこんな更新があったのよ!」</div>
<div> </div>
<div>ttp://phantasystaruniverse.jp/news/wis/?mode=view&id=860</div>
<div> </div>
<div>エル「……確かに、『ウォーテクター、ガンテクターはダブルセイバーをAランクまで使用可能にします』とありますね」</div>
<div>主人「これで私もヴィヴィアンを使えるのね……!」</div>
<div>エル「あ、そこですか」</div>
<div>主人「だってヴィヴィアンとの思い出の武器なのよ。あの子と過ごした日々を思い出すわ……」</div>
<div>エル「マスター、その発言はタイムパラドックスになりますから!」</div>
<div>主人「そして、マジャーラとパラディの弱体化。……チッキの悪夢再びね」</div>
<div>エル「トルネードダンスも飛距離が落ちるらしいですね……」</div>
<div>主人「そして、ヴィヴィアンの武器変更……!間違いなくヴィヴィアンフラグね!」</div>
<div>エル「とりあえずタイムパラドックス的な発言はやめてくださいね」</div>
<div> </div>
<div>コミニティーコースも来るようですし、コミニティーコースをちょっと体験してきます。</div>
<div>ちょうどライセンスが切れるのがメンテの翌日ですから。</div>
<div> </div>
<div>180 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/03/26(木) 14:51:18 ID:gqCyNrFW</div>
<div>>>178</div>
<div>パシファイターデンドック、か</div>
<div> </div>
<div>複数のパシリが合体して使える技もありだな…</div>
<div> </div>
<div>181 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/03/26(木) 22:54:37 ID:GeyDLXIM</div>
<div>>>178</div>
<div>なんというFAP</div>
<div>じゃぁ490とかは何になるんだろう・・</div>
<div> </div>
<div>182 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/03/27(金) 11:11:15 ID:KUTI7GXi</div>
<div>>>181</div>
<div>きっとこんなかんじ</div>
<div> </div>
<div>「ファイナル・アタック・パシリ…ブ・ブ・ブ・ブ・ブルアァ!」</div>
<div>ガゴガガガキ!(某TF効果音)</div>
<div>SEED490「ヒャーッハッハッハッハッハ! メェキドォフガ!」</div>
<div> </div>
<div>183 名前:名無しオンライン[sage GH470の者] 投稿日:2009/03/30(月) 19:14:07 ID:CDkM9S4l</div>
<div>お久しぶりです。規制くらって延期時に書き込めなかったorz</div>
<div> </div>
<div>エル「ようやくアップデートですね。26日の一回目のアップ直後にキャラ過去を再発された時はマスターも飲んだくれてましたが」</div>
<div>エル「でも、ソニチらしからぬ迅速な対応ですぐに二回目が来たのでこれで一安心です。ねえ、マスター」</div>
<div> </div>
<div>主人「( ´A`)」</div>
<div> </div>
<div>エル「って、どうしたんですか!?」</div>
<div>主人「( ´A`)ヴィヴィアン……」</div>
<div>エル「……ヴィヴィアンさんがどうかしましたか?」</div>
<div>主人「( ´A`)何でPS2だとヴィヴィアンのグラフィックが表示されないんだろう……」</div>
<div>エル「そ、それは仕方ないですよ。中の人のPCが旧式のポンコツなんですから……」</div>
<div>主人「……エル、ちょっと待ってなさい」</div>
<div> </div>
<div> *それからどしたの*</div>
<div> </div>
<div>主人「おk、準備完了」</div>
<div>エル「それってまだポータブルでしか実装されていない450オッソリアじゃないですか。しかも何故か右腕だけ410オッソリア……」</div>
<div>主人「コスプレ集会の時に作ったのよ。パシリの服は慣れれば作るの簡単だし」</div>
<div>エル「言われてみれば生地が安っぽい……じゃなくて!どこに行くんですか!?」</div>
<div>主人「ちょいとGR……ゲフン、ソニチに特攻するだけさね」</div>
<div>エル「似てないし意味がわからない!それに元ネタがごちゃごちゃになってますよ!?」</div>
<div>主人「ふん、なんとでも言うがいいさ。アタシャ売られた喧嘩は必ず買う性質なんでね」</div>
<div>エル「だから似てません!というかそんな事したら方々から怒られますから!」</div>
<div> </div>
<div>……とまあ、個人的に悲しい出来事でした。単なるプログラムとかの問題であって、PS2民への嫌がらせではないことを祈りたい。</div>
<div>小ビス子の方、そして日付の方にはこんなネタの使い方をしてしまい申し訳なく思っております。</div>
<div> </div>
<div>184 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/04/04(土) 01:16:52 ID:UMWb2Ea4</div>
<div>保守。</div>
<div>それにしても早くオッソリア出ないかな。</div>
<div> </div>
<div>185 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/04/09(木) 00:42:22 ID:fHY7qMz+</div>
<div>保守。</div>
<div>オソッソリア配布予告来た。</div>
<div> </div>
<div>186 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/04/15(水) 01:05:49 ID:cdIIAI0V</div>
<div>むう・・・最近ここも過疎ってるのかな・・・</div>
<div> </div>
<div>187 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/04/20(月) 13:52:06 ID:hCrhqgSf</div>
<div>普通に保守</div>
<div> </div>
<div>188 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/04/26(日) 21:14:02 ID:tFPmaucz</div>
<div>なにはともあれ、保守</div>
<div> </div>
<div>189 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/05/01(金) 11:41:35 ID:ISVVTcGc [1/2]</div>
<div>トラスティパートナーとかいうのがあると聞いた</div>
<div> </div>
<div>一体どんな効果なのだろう</div>
<div> </div>
<div>190 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/05/01(金) 13:29:49 ID:WGF5BFWz</div>
<div>トラスティの効果</div>
<div> </div>
<div>本命:NPCの能力(主に攻撃力)上昇</div>
<div> </div>
<div>大穴:NPCのフキダシ台詞が変化しカスタムLVの上昇により内容が変化します</div>
<div> </div>
<div>191 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/05/01(金) 16:59:27 ID:ISVVTcGc [2/2]</div>
<div>>>190</div>
<div>タイプカスタムに次いでパシリカスタムの時代か</div>
<div> </div>
<div>まさにカスタム少女</div>
<div> </div>
<div>192 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/05/01(金) 17:13:02 ID:HfWD2BVS</div>
<div>トラスティを取得すると</div>
<div>戦闘経験値やプレイ時間で</div>
<div>マシナリーとのイベントが発生!</div>
<div>戦闘中のセリフはもちろん</div>
<div>マシナリーにプレゼントを買ってあげたり</div>
<div>パルムの喫茶店でデートや</div>
<div>夏の海岸エリアを散歩(PCユーザーのみ水着グラフィックに)</div>
<div>クゴ温泉で混浴イベント</div>
<div> </div>
<div>最後のダルガン展望台で告白イベントは必見</div>
<div> </div>
<div>・・・なんちゃって</div>
<div> </div>
<div>193 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/05/03(日) 14:25:56 ID:4quYnTyR</div>
<div>それなら俺来月以降も課金していいぞw</div>
<div> </div>
<div>194 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/05/03(日) 17:02:50 ID:FoKX5BDD</div>
<div>展望台の崩れかけた東屋で、その子は主人を待っていた。</div>
<div>この日の朝には帰るはずの主人であった。</div>
<div>それが三つ目の朝となり、四つ目の夜が来て、</div>
<div>五つ目の朝が雨だった。</div>
<div> </div>
<div>涙隠して 人を斬る</div>
<div>帰りゃあいいが 帰らんときゃあ</div>
<div>この子も雨ン中 骨になる</div>
<div> </div>
<div> </div>
<div>最後のイベントなんだけど・・・ごめん、ライセンス切れちゃった。</div>
<div> </div>
<div>195 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/05/03(日) 17:31:31 ID:3wfrRxI4</div>
<div>トラスティの効果</div>
<div>・マイルームでプレイヤーの呼び名を変更できます。</div>
<div>・マシナリーに指示する事でロビーアクションをしてくれます。</div>
<div>・マシナリーのコスチューム(課金)を変更できます。</div>
<div>・マイルーム入室時に、プレイ時間や戦闘経験値で様々な発言をします。</div>
<div>・合成時のセリフがかわります。</div>
<div> </div>
<div>いかがでしょうかお客様</div>
<div> </div>
<div>196 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/05/03(日) 21:18:23 ID:cnhfRzrB</div>
<div>>>195</div>
<div>よろしい。続けたまえ</div>
<div> </div>
<div>197 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/05/03(日) 22:39:52 ID:gSEaap5P</div>
<div>効果追加</div>
<div>・1日一回「学習」のコマンドが現れ</div>
<div>ヴィヴィアンのような質問項目に答えることで応対や態度が変わります。</div>
<div>【最強の武器って何でしょうか?】など簡単な質問です。</div>
<div>・ログインしない日数が多くなるとなつきが低下します。</div>
<div>また、3日以上経過したのちログインするとマイルームで泣きついてきます。</div>
<div> </div>
<div>バトル編</div>
<div>・なつきや性格により戦闘スタイルが変わります</div>
<div>【甘えん坊】→自分と同じ敵を攻撃</div>
<div>【母性型】→自分の攻撃した敵以外を攻撃</div>
<div>・ある程度の装備の変更が可能になります(SUV変更やフレームの属性変更など)</div>
<div>・なつきが良いほど、ミッション終了後「おこぼれ」機能が発生し</div>
<div>マシナリーが勝手に集めたアイテムが数個手に入ります。</div>
<div>・ミッションの開始時や終了時にマシナリーが発言します。</div>
<div>「行きましょう○○さん!」など</div>
<div> </div>
<div>なにこのギャルゲー</div>
<div> </div>
<div>198 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/05/04(月) 03:09:43 ID:VWSq/rXk</div>
<div>>>197</div>
<div>そんな機能ついたら三日に一度しかINしないユーザー続出だぞ?</div>
<div> </div>
<div>でもコタツがあったらそこでごろごろしてたり、</div>
<div>店番しながら舟漕いでたり、</div>
<div>拗ねて体育すわりしてたりとかしてほしいなぁ</div>
<div> </div>
<div>199 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/05/04(月) 09:42:12 ID:i0RUDqN5</div>
<div>>>197</div>
<div>PSU発売初期のこれスレには</div>
<div>この手の妄想レスがいっぱいあったよなw</div>
<div>特にPMデバイスZERO実装された時とか凄かったw</div>
<div> </div>
<div>個人的にはギャルゲーになっても大歓迎なんだが</div>
<div>現実問題だとマイルームに関わる所を弄ると</div>
<div>重大なバグを発生させるのが大得意なソニチさんでは…</div>
<div> </div>
<div>200 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/05/04(月) 11:26:35 ID:0n8GH5LC</div>
<div>トラスティの効果</div>
<div>・ヴィヴィアンのパートナーカードが貰える。</div>
<div>・イノセントガールの続編がプレイできる。</div>
<div>・好感度が上がるとマイルームにヴィヴィアンが入り浸るようになる。</div>
<div>・パシリが拗ねる。</div>
<div>・イノセントガール続編クリアでヴィヴィアン(武器)が貰える。</div>
<div> </div>
<div>201 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/05/04(月) 12:17:30 ID:nXLE1mo/ [1/2]</div>
<div>・マシナリーに食物アイテムを与えることでなつきがあがります。</div>
<div>これで、Gコロニー合成屋の無駄な基板も解消!</div>
<div> </div>
<div> </div>
<div>202 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/05/04(月) 15:34:13 ID:nXLE1mo/ [2/2]</div>
<div>>>198</div>
<div>センプーキの前でア゙ーってやってたり</div>
<div>アノレリクスに手を挟まれてもがいてたり</div>
<div>サンドバックで「あのヴィヴィアンとか言うアマが・・・」</div>
<div>って言いながら殴ってたり</div>
<div> </div>
<div>お風呂に漬かってたり・・・!</div>
<div> </div>
<div>203 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/05/04(月) 22:18:53 ID:VlFnqwGQ</div>
<div>ご主人様、引退するのはお風呂とトイレを設置してからにして下さいね。</div>
<div> </div>
<div>204 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/05/06(水) 20:47:28 ID:a5Mnf0Is</div>
<div>え? 本当にトイレとお風呂買ってきたんですか?</div>
<div> </div>
<div>・・・・・・あ・・・・えっと・・・・私・・・嫌です。 ぐすっ</div>
<div> </div>
<div>205 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/05/07(木) 00:24:19 ID:1sAxNG+Y</div>
<div>「ほら、お風呂とトイレ設置したぞこれでいいか」</div>
<div>「あ・・・あの」</div>
<div>「なんだ、他に足りないものがあるのか?」</div>
<div>「・・・ご主人様さえ側にいれば、何も・・・グス・・・いりません・・・ヒック」</div>
<div> </div>
<div> </div>
<div>よし、寝る</div>
<div> </div>
<div>206 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/05/08(金) 21:37:14 ID:de56cOx1</div>
<div>>>205</div>
<div>GJ。素敵だぜ!</div>
<div> </div>
<div>207 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/05/16(土) 14:03:34 ID:oNUhm0nh</div>
<div>保守</div>
<div> </div>
<div>208 名前:ぱしりはにちゃんねらー[sage] 投稿日:2009/05/23(土) 03:06:27 ID:XPavEwrb</div>
<div>主「ただいまー」</div>
<div>420「乙!」</div>
<div>主「……」</div>
<div>420「……?」</div>
<div>主「……"オツ"?……って、なんだ?」</div>
<div>420「こ、これは『乙』じゃなくて、ポニーテールなんだから勘違いしないでよね?!」</div>
<div>主「……は、はあ? そりゃ確かにポニテだが……</div>
<div> って、そうじゃなくて、だから"オツ"って何だよ?」</div>
<div>420「ググレカス」</div>
<div>主「お、お前、ご主人様に向かってカスって……」</div>
<div>420「こまけぇこたぁいいんだよ!!」</div>
<div>主「いや、よかぁないだろ…… それはそうと、風呂沸いてるか?」</div>
<div>420「沸いてますが何か?」</div>
<div>主「……『何か?』って聞かれてもな…… まあいいや、風呂入って来るよ」</div>
<div> </div>
<div>~数分後~</div>
<div> </div>
<div>主「おーい、420!」</div>
<div>420「何ですか?」</div>
<div>主「風呂、ちょっとぬるっぽいんd」</div>
<div>420「ガッ!!」</div>
<div>主「痛ぇッ?! 何しやがる…ッ!」</div>
<div>420「お約束です」</div>
<div>主「何のお約束だ、ワケ分からんわッ! ただ、風呂がぬるっp」</div>
<div>420「ガッ! ガッ!!」</div>
<div>主「ぶべらッ?!」</div>
<div> </div>
<div>209 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/05/25(月) 09:37:55 ID:WQ6riGVA</div>
<div>良スレすぎる</div>
<div> </div>
<div>210 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/05/25(月) 20:21:46 ID:smos5mRW</div>
<div>新しいストーリーで</div>
<div>マザーブレインの影響で</div>
<div>淫乱になるパートナーマシナリー</div>
<div>各地で主人に次々と襲い掛かる(性的な意味で)</div>
<div> </div>
<div> </div>
<div>まあ、そうなったら</div>
<div>ショタマシナリーに変えるんだがな</div>
<div> </div>
<div>211 名前:SEED・ヒッポ[sage] 投稿日:2009/05/25(月) 20:51:54 ID:9c6c90gS</div>
<div>「ぶぅうううるぁあぁ・・・ご主人んん・・・」</div>
<div>「ん我がぁ ご主人ながらぁ、いいイイいぃ肉体美じゃぁあ無いかァ・・・・」</div>
<div>「んんん~~? んどぉおおおれ、んこのぉ・・・わたくしがあ</div>
<div> 貴ぃ様の デルっんじゃぐなす んぉをおぉ お磨き申し上げるぅ」</div>
<div>「さぁあああぁ ちょぉおっと ん御出し遊ばせえええええ・・・」</div>
<div> </div>
<div>「ぶぅううううううルルルるぁああああああああああ・・・・・・・!!!!」</div>
<div> </div>
<div>※注:主人の為、武器の手入れに余念が無いPMの像です。</div>
<div> </div>
<div>212 名前:継承 IV 光を継ぐ者(中編) 1[sage] 投稿日:2009/05/26(火) 02:53:23 ID:qeWlF4u6
[1/8]</div>
<div>
「億、兆、京、亥…計測不能。エネルギー測定法を絶対量から増加倍率方式に切り替えてくれ。闇のエネミーと同じように無限に増えるエネルギーか…」</div>
<div>ジャンカルロ・モンタギューは焦っていた。</div>
<div>
入念な下準備をしておいたにもかかわらず、また測定方法をより大きいエネルギーに対応できるように変えてでさえ、『それ』は計機を振り切ったのである。</div>
<div>「出力無限大!?すごい、すごいぞ。しかし…」</div>
<div>始末に負えないという言葉を全身で表しているかのようだ。</div>
<div>先ほどから、天才を自称する彼が総力を挙げて完成させた自信作の制御システムでの干渉を試みているが、まるで受け付けていない。</div>
<div>体に光の筋を走らせながら巨人がたてる咆吼のような奇妙な音に、モンタギューは強い期待と同時に恐怖を覚えるようになっていた。</div>
<div>追い求めていた、まだ見ぬ夢のエネルギー。</div>
<div>だが、見えるようになってはじめて恐怖を知ることもあるのだ。</div>
<div> </div>
<div>「ぶぎゃっ!」</div>
<div>また地面に激突しました。顔面から地面に突っこむのもいいかげん慣れてしまいそうです。</div>
<div>ちっぽけな光の翼は、たしかにわたくしを飛ばせることのできるものでした。飛ぼうという意志をもって動かすと、浮かぶことができたのです。</div>
<div>しかし、翼を動かすことで得られる動きが、羽ばたくという概念を完全に無視しています。使いにくさも異常です。</div>
<div>そもそもこんな小さな翼で羽ばたいても、浮かび上がれるほどのエネルギーが得られるわけないですね。</div>
<div>わかるのは、ふつうの翼として考えられるようなものではないということだけ。</div>
<div>発想を変えて、実際に動かしたときにどう動くかで法則性を見いだしていくしかないようです。</div>
<div>そして、ようやくなんとなく理解して動けるようになったのは、負傷したラシークが一時退がった頃でした。</div>
<div>「飛べるようにはなったか。やれるのか?」</div>
<div>「…やるしかないんでしょう」</div>
<div>残った左手にジリオンを握り、小さな翼を後ろに向けて、有効射程まで一気に。</div>
<div>ジリオンの赤い弾が一度巨人の外装に当たると、その部分が溶けるように消えて、一羽の鳥になって飛び去っていきました。</div>
<div>何が起こっているのかよくわかりませんが、とりあえず効いてはいるようです。</div>
<div>攻められるときは攻めるのがセオリーですので、すかさず連射しましたが、巨人は体に光を走らせるとバリアを張り、弾ははじかれてしまいました。</div>
<div>巨人はラシークを狙うのをやめ、つい先ほどまで意に介していなかったわたくしへと頭を向けました。</div>
<div> </div>
<div>213 名前:継承 IV 光を継ぐ者(中編) 2[sage] 投稿日:2009/05/26(火) 02:55:04 ID:qeWlF4u6
[2/8]</div>
<div>
拳がわたくしの1秒前の位置を正確に狙い、風を起こして振り抜かれます。腕が横まで通り過ぎたところで、そこからミサイルが飛んできて、あわててわたくしは回避運動に専念しました。</div>
<div>ミサイルが互いにぶつかって爆発しました。一安心ですが、巨人がわたくしを最優先で倒すべきと見なしたのは間違いありません。</div>
<div>
わたくしの方向を向いている体のあらゆる面からミサイルが放たれ、くねるような軌跡で追いかけてきます。『イタ・ノ・サーカス戦法』と聞いたことがあるものです。</div>
<div>
バリアつきのミサイルは武器もシールドラインも無意味なのでよけるしかないのですが、誘導がかかっているため、普通に逃げていてはいつか追いつかれてしまいます。</div>
<div>
これのせいでパイオニア1のみなさんが…逃げ回っているうちになんだか無性に腹が立ってきて、煮えたぎる怒りが恐怖を押しのけてメモリを埋め尽くしていきました。</div>
<div>わたくしは円を描くようにして互いにぶつけないように注意しながら、できる限りミサイルを多くひきつけました。</div>
<div>そして一気に巨人に向けて加速して距離を詰め、バリアのエネルギーで押し返されるぎりぎりの距離まで突撃しました。</div>
<div>「パイオニア1ハンターズの、仇ーっ!!」</div>
<div>
一気に方向を変えて、垂直上昇。追いかけてきたミサイルは、巨人の体の表面のバリアに互いに干渉して突き抜け、勢い余って全弾巨人に命中しました。</div>
<div> </div>
<div>また巨人の体の表面を幾筋もの光が走りました。</div>
<div>
ミサイルを撃つのはやめたようですが、両肩の部分から上につきだしていた突起の部分が変形してわたくしのほうを向き、その間からAフォトンを感知しました。</div>
<div>あっという間に何桁も超えてエネルギーが増大し…</div>
<div>
背筋に何かが走る感覚。論理的な予測ではない不確実な勘ともいえるものが、わたくしをつき動かしました。左側にひねり込むように螺旋の軌道を描いて急降下。</div>
<div>巨人はいきなりの動きに間に合わず、角度を少し修正しただけであらぬ方向を狙っていました。しかし。</div>
<div>「いかん!その炎を撃たせるなーっ!!」</div>
<div>ラシークはそう叫びながらも間に合わないと判断したのでしょう、巨大な突起にゴールドドラゴンを全速力で向かわせ、ぶつかりました。</div>
<div>巨人の炎は狙っていた方向をそれ、空へと向きました。そして…</div>
<div> </div>
<div>嵐が、起こりました。</div>
<div>高熱を通り越してプラズマと化した莫大なエネルギーは、嵐としか表現しようのない荒れ狂う奔流となって、空を貫きました。</div>
<div>その威力たるや、天に浮かぶ何者をも消し飛ばし、はてはその一直線にあった星をすべて爆発させてしまったほど。</div>
<div>誰もがこんな量のエネルギーを見たことなどないでしょう。</div>
<div>それはもはや武器や能力と呼べるものではありませんでした。まさに防ぎようのない宇宙規模の災害でした。</div>
<div>貫かれた空の周辺に起こった上昇気流で雷雲ができ、稲妻が起こり雨が降り出して、ようやく実感がわきました。</div>
<div>今相手にしているこの機械の巨人は、人智を越えたものなのだと。</div>
<div>これはよけてなんとかできるとかいうものではありません!これを地面に向けられたら、大地が、星が砕け散ってしまいます。</div>
<div>あまりにも巨大すぎる力に、わたくしはただ呆然とするしかありませんでした。</div>
<div> </div>
<div>214 名前:継承 IV 光を継ぐ者(中編) 2[sage] 投稿日:2009/05/26(火) 02:58:12 ID:qeWlF4u6
[3/8]</div>
<div>あの巨人の中に誰かが乗っているという発想に至ったのは、巨人の炎が見えなくなり、呪縛から解き放たれたときでした。</div>
<div>巨人の炎が放たれると同時に、女の子の声が聞こえていたのです。この世のすべてを呪うような絶望や怨嗟にも似た呪詛が。</div>
<div>この巨人の力の源は、怒り、嘆き、悲しむ人の心。深遠なる闇から流れ出る力。</div>
<div>
しかし、先ほど見たように深遠なる闇は意志を持ちません。だから自然にはこのような現象は起こらないのです。この力を動かしているものが必ずいる、とするなら。</div>
<div>「うかつに踏み込むな!やつのエネルギーは無限大、何度でもあれを撃てるのだ!」</div>
<div>「聞こえなかったんですか、誰か乗ってるんですよ、あれに!」</div>
<div>巨人めがけて一気に距離をつめ、センサーと思われる部分にへばりついて接触を試みたところ、返事がありました。</div>
<div>「返事をしなさい!いるんでしょう!?なんでこんなことをしているんです!」</div>
<div>(生きていたってしょうがないでしょう。わかるわ、リコも、ゾークも、フロウウェンも、あなたも同じ。ぽっかりと胸に穴が開いてる)</div>
<div>姿の見えない女の子の言葉がぐさりと突き刺さりました。</div>
<div>
占いと同じで、きっと誰にでも当てはまることを言って、誘導しているだけなのでしょうが、主の不在と、主への信頼が崩れかけていることが見通されているように一瞬思ってしまいました。</div>
<div>(みんなが胸に向き合うことさえ苦痛でたまらないそんな穴を開けてる。みんな、みんな…そうよ、みんな死んでしまえばいい)</div>
<div>「ふざけないでください!誰だってそうしながら生きていますし、生きたい人だっているじゃないですか。なんでいなくなる必要があるんですか!」</div>
<div>(イノリスが死んだら、イノリスは世界が見られなくなるもの。世界も消えてなくちゃおかしいの。世界はイノリスが知ってる世界しかないんだから)</div>
<div>イノリスと名乗った中の人の考えにわたくしは面食らいました。言ってることがめちゃくちゃ、まるでヒステリーです。</div>
<div>「結局自分のことしか考えてないってことじゃないですか!言いつくろっておいて、最後がそれですか!?」</div>
<div>(うるさい!みんなそうじゃないの。何がいけないの?みんな自分が一番だし、出る杭は打たれるのよ。</div>
<div>平等にいなくなればいいのに、パイオニア1の人たちは無駄にあがいて犬死にしたじゃない。バカみたい)</div>
<div>言ってはならない言葉。それは、本当に言ってはならない言葉でした。</div>
<div> </div>
<div> </div>
<div>215 名前:継承 IV 光を継ぐ者(中編) 4[sage] 投稿日:2009/05/26(火) 02:58:46 ID:qeWlF4u6
[4/8]</div>
<div>「…もう一度言ってみなさい」</div>
<div>(!?)</div>
<div>パイオニア1ハンターズを虐殺した巨人、その中にいる人がこれを言うことは、絶対にあってはいけなかったのです。</div>
<div>「パイオニア1ハンターズを、リコさんたちのことを、愚弄したなぁっ!!」</div>
<div>わたくしの押さえきれない怒りを感じ取ったのか、巨人がわずかにたじろぎました。</div>
<div>「知った気になってふんぞりかえって、力及ばず敗れた人を嘲笑って…そんなもののどこが平等ですか!」</div>
<div>我慢していましたが、もう押さえておく必要も感じられません。この人は倒すべき敵、生きていてはいけない人間だと思いました。</div>
<div>「他人の目ばかり気にして、疑心暗鬼に陥って、欲のために他をないがしろにして、</div>
<div>くだらないことで妬んで…少しの我慢もできないんですか!それだけのことが!」</div>
<div>(そんな考えは人間らしくない!自分のことでいっぱいで、そうしないと自分が見えないの!)</div>
<div>「逃げ回っているだけのくせに!あなたなんか、あなたなんかーっ!!」</div>
<div>
怒りとともに、わたくしの動力源であるフォトンの反応が、普段とは似て非なるものへと変貌し、殺意に突き動かされてエネルギー流速がまとまっていきました。</div>
<div>そもそもフォトンという力の原理自体がほとんど解明されていないので何をやっているのか理解できませんが、使えば使うほどエントロピーが減少し、</div>
<div>無からエネルギーが生まれ、ジェネレータからありえない量のエネルギーがわきだしてきます。</div>
<div>巨人に感じている底知れないエネルギーとまったく同じ、つきることのないエネルギー。</div>
<div>Aフォトンをフォトンジェネレータが作るという、ありえない現象。</div>
<div>あまりの大きさに自分でも制御しきれなくなってきて、光の翼を通じて吐き出しました。</div>
<div>翼は瞬時にふくれあがり、無限にのびて先端が見えない巨大なものになり、勢い余って巨人の左肩の突起を根本から切り落としていました。</div>
<div>SEEDのしつこさから再生してきそうだとも思いましたが、どうやら再生はしないようで、落ちた突起はそのまま鬱蒼と茂る木々に姿を変えました。</div>
<div>「寒い…!」</div>
<div>
突然、口に出してしまうほどの寒気が襲ってきました。そんな気がするというわけではなく、実際に使うほどに温度がどんどん低下しているのです。まつげに霜が降りています。</div>
<div>「馬鹿者が…今までおまえが積み重ねてきたものは、このような形で破滅を招くためだというか!」</div>
<div>ラシークが何かをつぶやいて飛び去るのが見えましたが、よく聞こえませんでした。</div>
<div> </div>
<div> </div>
<div>216 名前:継承 IV 光を継ぐ者(中編) 5[sage] 投稿日:2009/05/26(火) 02:59:52 ID:qeWlF4u6
[5/8]</div>
<div>(そこの奇妙な帽子をかぶったおまえ!)</div>
<div>古めかしいが豪奢な衣装を着た男の顔がモニターに飛び込んできて、ピンクのアンドロイドが盛大に後ろに転倒した。</div>
<div>「む?電波に割り込み?この天才、モンタギューを呼ぶのかい、こんな非常時に…」</div>
<div>(いいから聞け!おまえもこの期に及んで巨人を利用しようなどとは考えてはいまい。やつを消滅させるのに協力してもらいたいのだ。</div>
<div>いいか、やつの無限大の力に対抗するには、こちらも無限大の力を出すか、あるいは0に転じさせるしかない)</div>
<div>「少しでも出力をあげられるようにはできるけど、無限大だって?」</div>
<div>(この文明でかなうものではない。神をも滅ぼした巨人の、害なす魔法の杖だ)</div>
<div>「現存の文明以上の技術を使えというのか!?無茶言うなよ!」</div>
<div>(どのみちやつを放っておけばこの星は消えてなくなろう。おまえはそれでも天才を自称するほどのものか?努力はしてみせい!)</div>
<div>モンタギューとて伊達に天才を名乗っているわけではない。この男が自分の能力を見込んであえて無茶を言っているのはわかった。</div>
<div>そして、そうできないのが自分を縛る多くのつながりであるのを見抜かれているということも。</div>
<div>
「わかってはいるんだよ、くそっ!エルノア、MOTHERシステムは破棄する!転用してフォトンの解析を行うんだ!それと総督府、ハンターズ本部、ラボに現状をできる限り正確に通達!」</div>
<div>「いいんですか、ハカセ?」</div>
<div>「やるんだよっ!なりふりかまっていられるか!利権を保てたところで、死んだら意味ないことくらいお偉方もわかるだろ」</div>
<div>コーラルにいた頃から追い求めてきた無限大のエネルギーが目の前にある。</div>
<div>有限だったからこそコーラルでは争いが起き、疲弊して外への希望に、新エネルギーであるフォトンにすがった。それが唯一の望みだった。</div>
<div>だから気づけなかったのだろう。</div>
<div>なぜ先にこれに気づいていたはずの、遺跡を作った先人がいなくなっていたのかを。</div>
<div>封印できるものとわかっていながら、利用せずに放棄したのかを。</div>
<div>いや、新しい発見に浮かれ、見ようとしないでいたと言ったほうが正しいかもしれない。</div>
<div>もはや目を背けてはいられない。半生をかけて追い求めてきたものが自分たちを破滅に追いやろうとしている事実を、認めなければならない。</div>
<div>(すまぬ。できる者はいるのだが、聞きそうにないのだ。サポートを頼みたい)</div>
<div>
「いいんだ。こんなものが、僕たちの希望であってたまるか。それに…やってみたかったのさ。何にも縛られないまま、本気で研究に打ち込むってのもね」</div>
<div> </div>
<div>217 名前:継承 IV 光を継ぐ者(中編) 6[sage] 投稿日:2009/05/26(火) 03:03:08 ID:qeWlF4u6
[6/8]</div>
<div>拳を避けて無限にのびる翼を水平に振りぬきましたが、それは巨人の腕を滑って、不発に終わりました。</div>
<div>おそらくあちらも無限大のエネルギーを使っているであろうバリアでかなり防がれていますが、巨人も無傷ではすんでいません。</div>
<div>先ほど突起を切り落とした光の翼を武器代わりにして攻め続ければ、あるいは…しかし。</div>
<div>寒い。寒い、寒い…!</div>
<div>
使えば使うほどに苦痛をもたらす無限エネルギーに、たまらずわたくしはそれを解除、着陸して少しでも体を温めることの繰り返し。火もつけてみましたが、何度やってもすぐに消えるので諦めました。</div>
<div>大きくくしゃみをして、もう一度巨人を睨もうとしたときに、視界の片隅に映ったものは、二人のハンターズでした。</div>
<div>「イノリス?やっぱりあの中にいるのね!」</div>
<div>
一人は浅黒い肌のニューマン、もう一人は赤髪、細身のヒューマン。どちらも見るからに年若いです。突然の闖入者に驚いて、つい強く言ってしまいました。</div>
<div>「あなたたち、死にたいんですか!?」</div>
<div>「何だよ、そりゃ。変なおっさんに言われてわざわざ助けにきたんだぜ?あんた、冷たくなってぼろぼろじゃないか」</div>
<div>わたくしはこれ以上死者を出したくないだけですのに。何も知らないのに、この人たちは!いらだたしく思いました。</div>
<div>巨人は二人のことなど眼中にない様子で、わたくしを踏みつぶそうと足をあげました。</div>
<div>「カウンターッ!」</div>
<div>テクニックでしょうか?おっぱいの大きいニューマンの方が何かカードを掲げると、なんと踏みつぶす圧力がはじき返され、巨人は転倒しました。</div>
<div>轟音と共に大地が揺れ、砂埃ではなく冷たく白い霧が舞いました。</div>
<div>「イノリス!俺だ、クランツだ!もうやめろ!」</div>
<div>「私たちがなんとかするわ、イノリスだもの…あなたはメディカルセンターに!」</div>
<div>「あなたたちの、知り合い…?あんな人を許せっていうんですか…知り合いだったら何十人も人を殺しても許されるんですか!」</div>
<div>「そうではない」</div>
<div>今になって到着したラシークが、この二人にも怒りをぶつけだしたわたくしを掴みあげて、真正面から見てきました。</div>
<div>反論しようとしたわたくしの唇をふさいだ指は、ステージ1で首を絞められたときとは違って、思ったよりずっと温かいものでした。</div>
<div>「わからぬか?おまえの今の姿は、巨人とそっくりだと言っておるのだ」</div>
<div>
はっとなりました。この光の翼という理不尽な力、それを用いて巨人を滅ぼそうと無限出力を出すごとに苦痛に凍りつくわたくしの姿…気にする余裕もありませんでしたが、あの巨人と同じ…?</div>
<div>見れば、巨人とうち合った周囲は、奇形の樹だとはいえ、スプーンですくい取ったあとのアイスみたいに綺麗に、しかし痛々しく削り取られています。</div>
<div>都会であれば、建物と人の死体で置き換わることになっていたでしょう。</div>
<div>さらに巨大になったフォトン出力をわたくしが使うごとに周囲の温度が下がっていき、雪が降り出して至る所が凍りついています。</div>
<div>わたくしは巨人を倒そうとするあまり、この星の表面を壊してしまい、そして何かしたわけでもない二人にまで怒りを向けて…</div>
<div>『光』の使い手には大きな責任が伴う、そうリコさんに言われていたはずでしたのに。</div>
<div>
「まずは落ち着け。あの巨人は機械に見えるが、その本質は外面ではない。蓄積された黒い怨念がその正体、中の者もそれに流されて心にもないことをしているのだ。</div>
<div>
怒りにまかせて巨人を滅ぼせば、次はおまえがそれになってしまうであろうな。先のダークファルスがリコ・タイレルをよりしろとしたものであったように」</div>
<div>「リコさんが?それが、ダークファルス…」</div>
<div>
深遠なる闇の秘密をのぞき込んだがゆえに狂ってしまったラシークは、この宇宙で一番それについて理解している方でした。その知識をもって諭されれば、わたくしも聞き入れるしかありませんでした。</div>
<div>
「人は怪物に相対するとき、自らも怪物にならぬよう気をつけなければならん。闇を怒りでうち倒せば、より強い怒りをもったその者をよりしろとして復活する。</div>
<div>目には目をでは解決しないのだ。おまえが怒りで引き出した無限エネルギーは使ってはならん」</div>
<div>「…どうしろっていうんですか…」</div>
<div>
「正解などはないのだ。人を正しく導くためには、向き合って一人一人を見るしかない。ならばこそ、この二人を呼び戻したのだ。イノリスという女を一番よく知っているであろうこの二人をな」</div>
<div>まさか、イノリスさんを…巨人から引っ張り出すと?</div>
<div>
わたくしはステージ2でネイさんとネイ・ファーストを助けました。あのときに比べれば状況は明らかに悪いですが、わたくしも初めてではなくなっています。なら…少しくらいの希望は。</div>
<div> </div>
<div>218 名前:継承 IV 光を継ぐ者(中編) 7[sage] 投稿日:2009/05/26(火) 03:04:31 ID:qeWlF4u6
[7/8]</div>
<div>
二人のハンターズ…クランツさん、シルファさんと、イノリスさんが幼なじみであること、そしてラシークが二人をなんとか中のイノリスさんに会わせるという方針であることを教えてもらったとき、</div>
<div>まるで昼間のように空が明るくなって、わたくしは一瞬の判断でとっさに3人を翼で遠くまで押しやりました。</div>
<div>起きあがっていた巨人の腕からのびるのは、セイバーというどころか、先端がどこにあるか知れないほどの太く長大なAフォトンの光の束。</div>
<div>おそらく、あの炎が使えないのでこのような形で使ってきたのでしょう。突起を切り落としたのは失敗だったかもしれません。</div>
<div>悲鳴のようにも聞こえる奇妙な音。記録されている限りこのような音をたてる現象は他にない、巨人の剣が迫ってきます。</div>
<div>とてもじゃないですが耐えられるようなものではありません。あのガジェットが爪の垢ほどにも感じられないエネルギー。</div>
<div>
逃げ場なし、です。先ほどの星々を吹き飛ばした炎の威力をみれば、惑星一つ両断するのも決して難しくはないはず。恐れていたことが現実になろうとしていました。</div>
<div>防げるかどうかといえば絶望的でしたが、光の翼を前方に展開し、交差させて剣を受け止めました。</div>
<div>
無限エネルギーを使わなければあっという間に押し切られそうだと思いましたが、わたくしの翼が巨人の剣と接触すると、即座に完全に拮抗した状態になりました。</div>
<div>先ほど使ったときとは違い、自分の体温を下げてはいません。ただ、巨人の力で地面に押しつけられて、本当に逃げられなくなってしまいましたが。</div>
<div>
この不可解すぎる無限エネルギーについては、フォトンの流れを解析すれば少しはわかるのかもしれませんが、自分と惑星が壊される瀬戸際でそんなことはしていられませんでした。</div>
<div>(うっとうしいやつ!いなくなれ!)</div>
<div>「…わたくしを倒せば解決するとでも思うんですか」</div>
<div>(………)</div>
<div>
「そうやって敵を作って攻撃し続けて、虚構の中で安心するような…人がいつまでもそんな弱い生き物のままだなんて、認めるものですか!そんなことで吹いて飛ぶように消える軽々しい命なんて、認められるものですか!」</div>
<div>(そんな権利があるのか!イノリスのことを決める権限が!)</div>
<div>「あるっ!たとえ見ず知らずの人であっても、取り返しのつかない過ちをしてしまうのなら、殴ってでも引き戻す義務がある!」</div>
<div>
押し返しながら、少し落ち着いて変わった考えを必死に叫びました。それは、ここで折れてしまえば惑星ごと壊されてしまうわたくし自身に言い聞かせるためでもありました。</div>
<div>
気持ちは折れなくても、体はあと何分持つのでしょう?巨人の力で凍りついた硬い地面に押しつけられたわたくしの体は、四肢だけでなく体幹にも破損が及んできています。</div>
<div>
やり直しができないと説明されていたこのステージ。そろそろ覚悟を決めなくてはいけなくなってきましたが、それによって真実を知らずにすむ、主がわたくしをどうしようとしているのかに背を向けていられること、</div>
<div>そしてパイオニア1ハンターズの死という現実を忘れていられることにある種の安堵を感じていたのは事実でした。</div>
<div>追いつめられているにもかかわらず、結局わたくしもイノリスさんと何も変わらないんだなと、苦笑いしました。</div>
<div> </div>
<div> </div>
<div>-続く-</div>
<div> </div>
<div>219 名前:名無しオンライン[] 投稿日:2009/05/26(火) 03:10:43 ID:qeWlF4u6 [8/8]</div>
<div>おひさしぶりです。遅筆ですいません。</div>
<div>当初普通に戦うよう書いてたんですが、なんかEP3の要素が少ないと思い直し、大幅にプロットを変えてしまいました。</div>
<div>では、例のごとく解説を。</div>
<div> </div>
<div>「惑星ラグオル」</div>
<div>
PSOEP1~4の舞台である、人間が居住可能な緑あふれる惑星。無人探査機による発見の後、惑星コーラルから巨大宇宙船パイオニア1、2(小説版ではパイオニア3も)が移住のため訪れた。</div>
<div>
しかし、ラグオルには昔どこからか飛来した宇宙船が降りていて遺跡になっており、その中にダークファルスが封印されていたこと、それが先に着陸していたパイオニア1を壊滅させたことが問題となり、</div>
<div>
コーラル人はパイオニア2でラグオル上空を周回したままの生活を余儀なくされることになってしまう。その期間はEP3の最後で着陸するまで実に20年に及んだ。</div>
<div>
実は無人探査機がラグオルを発見できたのも、恒星間航行が可能な宇宙船のエネルギー源となるフォトンを発見したことも、ラグオル方面からの隕石の飛来がきっかけなのだが、</div>
<div>これ自体が知的生物を必要としていたダークファルスが人を誘い込むための罠だったという説もある。</div>
<div> </div>
<div>「ドリームキャスト」</div>
<div>128ビット、300万ポリゴン。ネット対戦、VMもあるよ。</div>
<div>
1998年12月に発売された、現時点でのセガ最後のゲームハード。世界で初めてモデムを標準搭載した家庭用ゲーム機であり、今でこそ当たり前になってきた通信を用いたゲームの楽しみ方を開拓した名機である。</div>
<div>PSOもこのハードで発売され、家庭用では初めてのオンラインゲームとして今も語り継がれる名作となっている。</div>
<div>
セガサターンとの互換性がなかったことがプレステ2との競争に敗れた一因(あとは記録媒体をDVDにしなかったこととかセガの商売が下手だとか…)となった感があるが、</div>
<div>これはセガサターンの構造があまりにも突飛すぎて無理があったため(友人のプログラマー・談)。</div>
<div>サターンとの互換性を犠牲にしたのが功を奏したのか名作も数多いので、中古屋で掘り出し物を探すのも悪くないと思われる。</div>
<div>
ゲームはハードの性能だけで語れるものではないが、実際の性能は確かに後発のプレステ2を上回っていたりする。歌の通り事実上20世紀最高のマシン、これが噂のドリームキャスト。</div>
<div> </div>
<div>「イノリスとクランツとシルファ」</div>
<div>PSOEP3のハンターズ側で初期から使えるキャラ。イノリスがフォマール、クランツがレイマー、シルファがハニュエール。</div>
<div>
PSOEP1でコーラルから渡ってきた第1世代ハンターズとは違い、コーラルではなくパイオニア2の中で生まれた「シップチャイルド」の未熟なハンターたちで、3人は幼なじみである。</div>
<div>
アークズの初期キャラと比べて影が薄いが、中盤でイノリスがアークズにハンターズ本部の場所を漏らしてしまい、ハンターズ本部襲撃を許してしまい、結果クランツが爆発に巻き込まれて死亡する。</div>
<div>
その後クランツはクローン技術で復活するが、イノリスは好きだったクランツを間接的とはいえ殺したことで自暴自棄になってしまい、最終シナリオでは現実逃避同然でラスボスに向かうことになる。</div>
<div>なお、その結末は語られていない。</div>
<div> </div>
<div>220 名前:あの店は、今…1[sage] 投稿日:2009/05/27(水) 10:43:55 ID:msb5dLOd [1/9]</div>
<div>あれから、もう1年が経つのでしょうか?時の流れは速いものですね。</div>
<div>覚えていらっしゃる方も、殆どいらっしゃらないのかもしれませんね?</div>
<div>では、改めまして自己紹介です。</div>
<div> </div>
<div>私はGH442。とあるガーディアンズの青年のパートナーマシナリーです。</div>
<div>趣味はお料理とお裁縫。好きな物はニューディズ文化。好物はダンゴモチです。</div>
<div> </div>
<div>「442~、掃除終わったよ~?」</div>
<div> </div>
<div>こっちの元気いっぱいの娘はGH422。</div>
<div>私と一緒のご主人様に使えるパートナーマシナリー仲間、いいえ…姉妹の様な関係です。</div>
<div>趣味はお散歩と格闘技観戦。好きな物は大盛り。好物はコルトバヌードル。</div>
<div>主に、ご主人様のお店ではフロア担当のウェイトレスさんを担当して貰っています。</div>
<div> </div>
<div>「…こっちも、終わった」</div>
<div> </div>
<div>後ろからやって来たこの普通のGH430と色違いの娘がGH43X。</div>
<div>ご主人様は理由を詳しくは聞かせてくれませんが、訳あって家族の一員に加わったちょっぴり口下手な娘。</div>
<div>趣味はお昼寝と園芸。好きな物はクバラ製品。好物はペロリーメイト。</div>
<div>422と一緒に、フロア担当をして貰っています。ちょっぴり無愛想さんなのですが、それが一部のお客様には人気な様です。</div>
<div> </div>
<div> </div>
<div>かという私は、ご主人様と奥のキッチンで調理を担当しています。あ、空いている時間で接客や会計もこなしております。</div>
<div>えぇ、お気づきの方もいらっしゃると思いますが、私達家族一同…Gコロニーで飯店を営んでおります。</div>
<div>素材安心、お値段安心、お味とスピードも御任せ下さい!</div>
<div>Gコロニーへお越しの際は、是非ご主人様と私達のいる「飯店」へお越し下さい。スタッフ一同心より貴方様をお待ちしております。</div>
<div> </div>
<div>221 名前:あの店は、今…2[sage] 投稿日:2009/05/27(水) 10:44:27 ID:msb5dLOd [2/9]</div>
<div>「…442、442ってば」</div>
<div>「…っ!?は、はい!何でしょうか、ヒュマ助様」</div>
<div> </div>
<div>振り返ると、何度も呼ばれていたのだろうか?</div>
<div> </div>
<div>「大丈夫?もしかして、疲れているとか…」</div>
<div> </div>
<div>主人、ヒュマ助が442の額に手を当てながら、心配そうに尋ねて来た。</div>
<div> </div>
<div>「い、いえいえ!ちょっぴり1年ぶりなので自己紹介を…」</div>
<div>「自己…紹介…?」</div>
<div>「いえ。ヒュマ助様のお手を煩わせる事柄では御座いませんから…w」</div>
<div> </div>
<div>と、苦笑を浮かべながら442は「大丈夫ですよ♪」と両腕をぐっと握ってポーズを取りながら答えた。</div>
<div> </div>
<div>「そっか、それなら一安心だよー…」</div>
<div> </div>
<div>安堵の表情を浮かべる青年。ふっくら小太りだった外見は、この一年でどことなくほっそりと引き締まったように思える。</div>
<div>知人からはヒュマ助と呼ばれるこの青年。この飯店の主人をしており、442・422・43Xの主人でもある。</div>
<div>料理が好きであり、その志が元で調理師の勉強をし、店を出す資金稼ぎにガーディアンズへ入隊。</div>
<div>現在では、ガーディアンズ権飯店主人という二束の草鞋を履いている。</div>
<div> </div>
<div>「そうだ、今日も出かけてくるからね」</div>
<div>「あ、はい。畏まりました」</div>
<div> </div>
<div>この一年ほど、大きな騒動とは無縁だった飯店一家だが、ほんの数週間前からこうして定休日の前日に出かける様になっていた。</div>
<div>行き先はどうやらモトゥブである様だが、何をしに行くかまでは家族であるPM姉妹にも告げられていない。</div>
<div>妙に楽しげな様子から、何やら彼にとって嬉しい事柄なのはわかっている。</div>
<div> </div>
<div>「お留守番、宜しくね」</div>
<div>「はい、いってらっしゃいませ。ヒュマ助様」</div>
<div> </div>
<div>442に見送られ、ヒュマ助は飯店を後にしていった。</div>
<div> </div>
<div>222 名前:あの店は、今…3[sage] 投稿日:2009/05/27(水) 10:44:50 ID:msb5dLOd [3/9]</div>
<div>「怪しいよね、ここ最近のヒュマ助ってば」</div>
<div> </div>
<div>ヒュマ助が出て行った戸口を見つめながら、422が呟いた。</div>
<div> </div>
<div>「ヒュマ助様にも、いろいろと御用時があってもいいじゃないですか」</div>
<div>「でもさぁ、あんなどっちかといえば『コソコソ』って感じで外出したこと、今までにあった?」</div>
<div>「それは…」</div>
<div> </div>
<div>422の言葉に、442が口ごもる。</div>
<div> </div>
<div>「…言えない様な何か、なのかも」</div>
<div>「例えば?」</div>
<div>「…そこまではわからない」</div>
<div> </div>
<div>43Xが肩を竦ませて答える。442と422もあわせてため息をついた。</div>
<div> </div>
<div>「そういえば、ボク…見たんだよね」</div>
<div> </div>
<div>妙に核心に迫るかの様な態度の422。</div>
<div> </div>
<div>「見た、とは…」</div>
<div>「昨日、ヒュマ助が自分の部屋でね…何か紙見たいなのの枚数を頻りに確認していたんだ…」</div>
<div>「紙…?」</div>
<div> </div>
<div>43Xが首をかしげる。それに、422がゆっくりと頷いた。</div>
<div> </div>
<div>「それもさ、遠くて何の紙かはハッキリわからなかったんだけど…その…」</div>
<div>「その…、どうしたのですか?」</div>
<div>「なんだか、銃弾みたいなのであいた穴と、ベットリついた真っ赤な血みたいな汚れだけは、ハッキリみえたんだ…」</div>
<div>「っ!?そんな…見間違いでは…」</div>
<div> </div>
<div>442が血相を変えて422へ詰め寄る。しかし、422はぶんぶんと首を振って返した。</div>
<div> </div>
<div>「見間違いじゃないよ…!確かに拳銃の弾痕と返り血みたいだった」</div>
<div>「そんな…まさか…」</div>
<div> </div>
<div>ヒュマ助は銃器を主に使用しガーディアンズの仕事をこなしている。</div>
<div>自身も銃器好きであり、ヒュマ助のささやかな趣味の一つに、銃器収集がある。</div>
<div>アンティークだったり風変わりな銃器を集めるのが特に好きで、以前番傘そっくりなショットガンを442も見せて貰っている。</div>
<div>そんな主人が、『銃弾の跡と血糊の着いた紙を頻りに枚数を確認していた』のだという。</div>
<div>442の脳裏には、ある事が思い浮かべられていた。</div>
<div> </div>
<div>223 名前:あの店は、今…4[sage] 投稿日:2009/05/27(水) 10:45:16 ID:msb5dLOd [4/9]</div>
<div>「それにさ、何だかタネみたいな物も数えながら袋につめてたし…」</div>
<div>「っ…!?た、たた、タネ…とは…」</div>
<div>「よく見えなかったけど、なんだか怪しい形をしたタネだったよ…」</div>
<div> </div>
<div>ついに、442は脳裏に浮かんだその光景を映像を見るかのように脳内で再生していた。</div>
<div>モトゥブの荒野。黒づくめの男たちが向き合い、手にしたトランクケースを渡しあう。</div>
<div>中から出てきたのは、多額のメセタと植物の種子。</div>
<div>そのタネは、精製すれば『ドラッグ』の原料となる輸出入禁止になっている植物の種子で…</div>
<div> </div>
<div>(オイ!金が足りねぇぞ!)</div>
<div>(何だと!?この後におよんでまだ値をツリ上げるっていうのか?!)</div>
<div>(交渉決裂だな、兄弟!!)</div>
<div> </div>
<div>繰り広げられる銃撃戦。倒れる男たち。最後に、男たちの死体から一人…立ち上がる男。</div>
<div> </div>
<div>(バカな奴等だ。ククク…これだからこの稼ぎはやめられない…)</div>
<div> </div>
<div>血塗れたフードを取り、弾丸の跡残る札束を舌なめずりしながらめくる…ヒュマ…助……</div>
<div> </div>
<div>「そんなのいやぁぁぁぁぁぁ!!!!!」</div>
<div>「な、何!?どうしたの!?422」</div>
<div>「…大丈夫?」</div>
<div> </div>
<div>ガターンと、椅子を倒しながら倒れる442を、422と43Xはオロオロしながら支えた。</div>
<div> </div>
<div>224 名前:あの店は、今…5[sage] 投稿日:2009/05/27(水) 10:45:50 ID:msb5dLOd [5/9]</div>
<div>―数分後。</div>
<div> </div>
<div>「442…お水だ」</div>
<div>「有難う…43X…」</div>
<div> </div>
<div>43Xからコップで水を手渡された442は、グっとコップから水をあおると、大きく息を吐いた。</div>
<div> </div>
<div>「442、あくまでそれは442の想像だからね?」</div>
<div>「わかってます。ヒュマ助様はそんな事なさらないお方と、信じています…」</div>
<div> </div>
<div>先ほどの442の過大妄想を聞かされ、422と43Xが442をなだめるのに、数分かかっていた。</div>
<div> </div>
<div>「と、ともかく…ヒュマ助がコソコソ(?)向かうモトゥブの場所って、一体…」</div>
<div>「酒場だ」</div>
<div> </div>
<div>422が腕組しながら首をひねると、43Xが呟いた。</div>
<div> </div>
<div>「酒場?」</div>
<div>「ガイーク、という…ガーディアンズだけじゃなくローグス連中も通うちょっと裏ありの酒場だ」</div>
<div>「43X、それは本当ですか…!?」</div>
<div> </div>
<div>442の言葉に、43Xはこくりと頷いた。</div>
<div> </div>
<div>「間違いない。戸口までつけたんだからな」</div>
<div>「戸口まで、なのですか?」</div>
<div>「中に入ろうにもPMじゃドアが開かない」</div>
<div>「43Xの大好きな通風孔(ダクト)は?」</div>
<div>「…プロペラがまわってて入れなかった。あと、好きで通っている訳じゃない…!」</div>
<div>「え、違うの…?」</div>
<div> </div>
<div>422と43Xが、隣でギャーギャーと喧嘩を始める。そんな隣で…</div>
<div> </div>
<div>「ローグス、ならず者達も訪れる裏ありの酒場…」</div>
<div> </div>
<div>442の脳内シアターが、また新しい映像を再生し始めた。</div>
<div> </div>
<div>225 名前:あの店は、今…6[sage] 投稿日:2009/05/27(水) 10:46:14 ID:msb5dLOd [6/9]</div>
<div>―薄暗い酒場の中。怪しげな商談や、あからさまな「行為」が薄暗がりの奥で行われている店内。</div>
<div> </div>
<div>(…いらっしゃい。ブツは…?)</div>
<div>(…この通りだ)</div>
<div> </div>
<div>バーの店主であろう髭面の男に、青年が袋を放り投げる。</div>
<div>中身を確認すると、店主の男はニンマリと慇懃な笑みを浮かべた。</div>
<div> </div>
<div>(…今日はどうする?いい子が入ったんだが…)</div>
<div>(へえ…どんな?)</div>
<div> </div>
<div>男が指差した先を青年がみる。すると、薄暗がりで手足を縛られあられもない姿で震える、獲物が数匹…。</div>
<div> </div>
<div>(…先日入ってきた新入りなんだが、どん臭い上に失敗ばかり。モノってのを教えてやってくれやせんかねぇ…?)</div>
<div>(いいだろう。たっぷりと俺のマグナムで「大人の世界」ってのを教え込んでやるよ…ククク)</div>
<div>(…い、いや…ゆるして…お、おねがい…)</div>
<div> </div>
<div>そうして、震える獲物を組みしくと、青年…ヒュマ助は………</div>
<div> </div>
<div>「もっといやぁぁぁぁぁ!!!!」</div>
<div>「『!?!?!』」</div>
<div> </div>
<div>またもや、盛大に声を上げるとその場にがっくりとうなだれる442。</div>
<div>422と43Xは繰り広げていた喧嘩をやめると、うなだれた442の傍へと駆け寄った。</div>
<div> </div>
<div>226 名前:あの店は、今…7[sage] 投稿日:2009/05/27(水) 10:47:42 ID:msb5dLOd [7/9]</div>
<div>…、そして結局…。</div>
<div> </div>
<div>「いてもたってもいられなくて、モトゥブへきた訳だけど…」</div>
<div> </div>
<div>422が呟く。442は妙に陰のある笑顔で口元はブツブツと何かを繰り返している。…よく聞くと、「ヒュマ助」がどうと呟いている様だ。</div>
<div> </div>
<div>「…あそこ」</div>
<div> </div>
<div>三人の目の前には、噂の「ガイークの酒場」が店を構えている。</div>
<div>確かに、みれば時折際どい格好の女性や、ならず者風貌な男達が店へ入ったり、店から出てきたりしている。</div>
<div> </div>
<div>「いいですね…?次に店に入ろうとする輩を捕まえて、戸をあけさせます………ふ…ふふふ…」</div>
<div> </div>
<div>もはや、いつものしとやかな442とはまるで違う怖いくらいの笑顔を浮かべる442。</div>
<div>422と43Xは、その迫力に圧倒されたように頷くと…</div>
<div> </div>
<div>「せーの…っせ!」</div>
<div>「…フッ!」</div>
<div>「!?ぎゃぁぁぁぁ!!!!」</div>
<div> </div>
<div>店の前にきた箱…もといキャストの男を襲撃し、ドアの前に置くと開いた戸の中…店内へと飛び込んでいった。</div>
<div> </div>
<div>「ヒュマ助様ッ!!!!」</div>
<div> </div>
<div>飛び込んで開口一発。442が大きな声で主人の名前を叫んだ。</div>
<div>店内も騒然としていたが、その声に客達は一斉に声のした方を振り返る。</div>
<div>無論、店の主人と話していた呼ばれた主も、驚いた顔でカウンター席から戸口へと振り返った。</div>
<div> </div>
<div>「442…?422に、43Xも……」</div>
<div>「ヒュマ助様!早まらないで下さい…!まだやり直せますから!!」</div>
<div>「え…?何?えっ…?」</div>
<div> </div>
<div>まくし立てる442。それを見る422と43Xは、どうやら先程までの勢いと現在の温度差に気づいた様である。</div>
<div> </div>
<div>「そんな事しなくても、もっと私が頑張りますから…!そっちの方も…私で宜しければ幾らでもお相手致します!」</div>
<div>「…えっと、何?ど、どうしたの…?」</div>
<div> </div>
<div>一人、捲くし立てられるが話の見えないヒュマ助と、もはや涙交じりで主人へしがみ付いては叫ぶ442と…</div>
<div>完全に、話がまるで違うことに気づいて、この状況に赤面する422と43Xであった。</div>
<div> </div>
<div>227 名前:あの店は、今…8[sage] 投稿日:2009/05/27(水) 10:48:23 ID:msb5dLOd [8/9]</div>
<div>「で、結局…」</div>
<div> </div>
<div>お店が終わった後の、ガイークの酒場。</div>
<div>カウンター席に横並びするPM姉妹達と、主人の青年。</div>
<div>ガイークの店主は、フルーツジュースをPM達の前に出すと、苦笑していた。</div>
<div> </div>
<div>「このお嬢さん達の勘違いだった、って訳だ」</div>
<div>「申し訳ありません…」</div>
<div> </div>
<div>頭を下げる442。422と43Xもまた、そろえて頭を下げた。</div>
<div> </div>
<div>「どうして、そんな話になったの?」</div>
<div> </div>
<div>ヒュマ助の言葉に、422がいきさつである「紙」と「タネ」についてを説明する。</div>
<div> </div>
<div>「あぁ、これのこと?」</div>
<div> </div>
<div>ヒュマ助が取り出したのは、確かに弾痕と血糊(の様なナニカ)は付いているが、お金ではなく…</div>
<div> </div>
<div>「楽譜、ですか?」</div>
<div>「うん。ブラッディ・スコア」</div>
<div> </div>
<div>そして、あのタネの入った袋からは…</div>
<div> </div>
<div>「あ、オンプシードだ」</div>
<div> </div>
<div>出てきたタネを見て、422が改めてその正体を呟く。</div>
<div>チリン…と、零れ落ちたタネの一粒がカウンターへ落ちると、不思議な音色が響いた。</div>
<div> </div>
<div>「ガイークさんに『あの銃が欲しかったら持ってきてくれ』って、言われてね」</div>
<div>「ウチは裏でそういう『曰く付き』なアイテムや違法(スティーク)品を扱っていてね。その御代がアイテムって訳だ」</div>
<div>「そ、そうだったのですか…」</div>
<div> </div>
<div>余程、結果を知って早とちりが恥ずかしかったのか、真っ赤になる442。</div>
<div> </div>
<div>「あ、ガイークさん。アンプも確りと此処に」</div>
<div>「おう、そろったな。それじゃ、コイツを持っていきな」</div>
<div> </div>
<div>ヒュマ助が星型の不思議なアンプを差し出すと、二種類の楽譜、オンプシードと一緒にガイークはカウンターの下へと引き入れた。</div>
<div>かわりに、カウンターの上におかれたのは…</div>
<div> </div>
<div>「ナニコレ…ギターケース…?」</div>
<div> </div>
<div>真っ黒なギターケースの形をしていた。</div>
<div> </div>
<div>「そ。ソングフォーデスっていう、ギターケースの姿をしたグレネードだよ?」</div>
<div>「ソイツは暗殺に使われたこともあるって曰く付きのモデルさ。ソイツで殺されたヤツは、死の旋律を死の間際に聞くそうだぜ」</div>
<div> </div>
<div>ガイークの言葉に「おぉ、なんだか格好いい曰くですね」と、ヒュマ助が乗る。</div>
<div>「それでな…?」と、ガイークも上機嫌で続きの曰くを話し始める。</div>
<div>そこで、PM姉妹達はあることの理由に気が付いた。</div>
<div> </div>
<div>「そっか、この店主さんもヒュマ助と一緒で…」</div>
<div>「…銃器オタク」</div>
<div>「趣味の合う人と話せるのが、楽しみだったんですね…ヒュマ助様」</div>
<div> </div>
<div>意気揚々と、この『ギターケース』の話で盛り上がる酒場と飯店の店主。</div>
<div>その真横で、どこかぐったりした様子で、飯店の娘達は出されていたフルーツジュースを飲み干すと、深いため息をついたのであった。</div>
<div> </div>
<div>228 名前:飯店作者[sage] 投稿日:2009/05/27(水) 10:57:16 ID:msb5dLOd [9/9]</div>
<div>久方の方はお久しぶり、初めての方ははじめまして。飯店作者です。</div>
<div>すっかり1年程このスレを忘れた生活をしていました。</div>
<div> </div>
<div>しかし、久々に覗いたこのスレで>>162様の様な言葉を見せられたら…</div>
<div>書かずに居られませんでしたw</div>
<div>当時を思い出しながら書いてみましたが、如何だったでしょうか…?</div>
<div>当時と変わってしまった部分もあるやもしれません。</div>
<div>当時より内容が劣化していたら、申し訳ありません。</div>
<div> </div>
<div>でも、覚えていて下さった方々…</div>
<div>そして、私の文章が好きだといってくれた皆様には本当に感謝の気持ちでいっぱいです。</div>
<div> </div>
<div>今後も、じんわりとこのスレが賑わう事を願いつつ、またROMっておきます。</div>
<div>では、飯店作者でした。</div>
<div> </div>
<div>229 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/05/27(水) 12:28:07 ID:QFfywKXA</div>
<div>>>211</div>
<div>若本ボイスがいい感じにリプレイされた</div>
<div>モーションイメージはナノブラ待機モーションか</div>
<div> </div>
<div>>>219</div>
<div>遅筆といいながらこの分量とネタの詰め込み具合は流石としか</div>
<div>しかしジャンとは懐かしいなぁ、好きなキャラだっただけになんか出てきて嬉しい</div>
<div> </div>
<div>>>228</div>
<div>おぉ懐かしい方が、相変わらずのヒュマ助やパシリで癒される内容だ</div>
<div>しかし妄想内のワイルドヒュマ助に不覚にもワロタw</div>
<div> </div>
<div>230 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/05/28(木) 21:06:11 ID:CoVQrgFB</div>
<div>>>228</div>
<div>162です。以前とさほど変わらない様子で安心しましたヨ</div>
<div>ヒュマ助が心なしか引き締まっているのは女性向けのヘルシーメニューの研究に余念がなく、</div>
<div>賄いでそういったものをよく食ってたからだということにしときますw</div>
<div> </div>
<div>231 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/05/29(金) 00:11:36 ID:CvKnm+50</div>
<div>おばあちゃんは言っていた、</div>
<div>「帰れる場所がるから 離れていられる」</div>
<div>パシリスレはまさにそんな場所。GJ。</div>
<div> </div>
<div>232 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/05/29(金) 18:10:40 ID:Gl4urJub</div>
<div>ショタマシナリーがSUV発射と同時に</div>
<div>「ふぁ・・僕もう我慢できないよぉ・・・!」って言いながら</div>
<div>SUVを放って</div>
<div>「どうしよう・・・僕出しちゃった・・・ぐすん」</div>
<div>って言う仕様なら課金しまくるんだがなぁ</div>
<div> </div>
<div>233 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/05/29(金) 19:23:39 ID:mJOKPEAe</div>
<div>>>232</div>
<div>よろしい、ならば要望だ</div>
<div>というわけで、パシリとヴィヴィアンは自分で台詞と発言条件を</div>
<div>エディットできるようにしろと要望送るからねー</div>
<div>貴様も送るフガ</div>
<div> </div>
<div>234 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/05/29(金) 22:10:03 ID:l5Ct1Vsn</div>
<div>沼子「そうねえ…あんたの台詞、どんな風にいじってやろうかしら?」</div>
<div>470. 「今のままのボクが一番可愛いですから」</div>
<div>沼子「なにあんた、自分が可愛いって自覚してんの?」</div>
<div>470. 「相対的評価を下さざるを得ない環境に置かれてる以上、仕方ないです」</div>
<div>沼子「ちょっと、どういう意味よ?」</div>
<div>470. 「ご自分の胸に聞いてみたら如何ですか?あれっ?胸どこだろ?あれ?」</div>
<div>沼子「何でこんな欠陥品を至急されたんだろ…」</div>
<div>470. 「欠陥品同士仲よくやりましょうよ。あ、欠陥っていうのは胸のことじゃないですよ」</div>
<div>沼子「あんた友達少ないでしょ、そんな気がするわ」</div>
<div>470. 「多いですよ?空気読みと線引きはできてますから」</div>
<div>沼子「どこが可愛いんだよ」</div>
<div>470. 「えへへ」</div>
<div> </div>
<div>235 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/06/04(木) 00:10:02 ID:oJ7PSPE0</div>
<div>薄々予感していたが、オッソリアはハイブリッド課金服になったな。</div>
<div>配信されたらさっそく470服を着て、うちの461に襲いかかるぜ!</div>
<div> </div>
<div>236 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/06/04(木) 08:45:38 ID:zz3KQhI+</div>
<div>本日未明、ガーディアンズの変死体がパルムの山中で発見されました</div>
<div> </div>
<div>被害者はガーディアンズ所属のあんどうゆう(男性)</div>
<div>事件当時、被害者に配属されてミッションに同行していたパートナーマシナリーは自室で合成を行うように先に部屋に戻っていたと供述しており</div>
<div>また被害者はGH-470を模した服を着用しており、半裸であったところから着替えの最中に襲われた可能性が高いと専門家は延べています</div>
<div> </div>
<div>ガーディアンズではテロの可能性もあることから事件、事故の両面で捜査をする方針です</div>
<div> </div>
<div>237 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/06/05(金) 10:12:03 ID:6mi9scvo</div>
<div>引退者の俺の為に</div>
<div>トラスティパートナーとは何なのか教えてくれ!</div>
<div> </div>
<div>あ、各パシリスレは見てます^^</div>
<div> </div>
<div>238 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/06/05(金) 12:23:53 ID:xYLxuNv8</div>
<div>パートナーキャラクターの攻撃力が上がる、だけ</div>
<div> </div>
<div>パートナーってつくんだからPM専用でもよかったなあ</div>
<div> </div>
<div>239 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/06/05(金) 17:01:42 ID:PxHpaKLb</div>
<div>>>237</div>
<div>ラスティパートナー</div>
<div>(Lusty:欲望)</div>
<div> </div>
<div>パートナーキャラの性欲を増強させ、ミッション中エロエロなお楽しみができる。</div>
<div> </div>
<div> </div>
<div>ん?</div>
<div>間違ったかな?</div>
<div> </div>
<div>240 名前:名無しオンライン[sage] 投稿日:2009/06/12(金) 08:01:16 ID:2plyQfsF</div>
<div>保守</div>
<div> </div>
<div>…このスレももう終わりかなあ</div>
<div>ゲームはもうとうに辞めちゃってるけどこのスレだけは今でも見てる</div>
<div>作家さんたちももうやってないんだろうなあ…</div>
<div>寂しいけれど仕方ないか…</div>
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