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「ヒュマ男と301-6」(2007/02/23 (金) 13:34:57) の最新版変更点
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<p>6.</p>
<p>
ご主人様のお友達のみなさんに捕らえられた“初心者狩り”は、<br>
数分後に到着したガーディアンズ本部の屈強なお兄さんたちに連行されてゆきました。<br>
ご主人様とヒューマンの少女、そして私はその場でしばらく事情聴取を受けて……あれ?</p>
<p> その後、どうなったんだっけ――。</p>
<p>「――う、ん?」<br>
目を開けると、眩しくも見慣れた光がセンサーに飛び込んできました。<br>
マイルームの電灯です。<br>
ゆっくり上半身を起こすと、今いる場所がご主人様のベッドの上だとわかりました。<br>
どうやら私はいつからか、ここで眠っていたみたいです。<br>
体内時計が指す時間は24時近く。あれからおよそ6時間が経ったことになります。<br>
「気がついた?」<br>
ルームグッズの置かれた隣のスペースから、ご主人様が顔を覗かせました。<br>
「あ、ご主人さ、ま"っ!?」<br>
私はベッドから飛び立とうとして、思いっきり床に転げ落ちました。<br>
――そうだ。もう私の背中に羽根はついていないのでした。<br>
「だ、大丈夫か? まだ寝てたほうがいいんじゃ……」<br>
「うぅ、大丈夫です。今のはちょっとした事故っていうか……<br>
あの、私いつから寝てたんですか?」<br>
「ああ……本部に連れてかれたのは覚えてるか? そのあと、事情聴取が始まってすぐだな。<br>
いきなり頭から煙出して倒れるから、俺もびっくりしたよ」<br>
ご主人様はそう言って、私をひょいと抱き上げてくれました。<br>
「……あ」<br>
いわゆる『お姫様だっこ』の姿勢です。<br>
「進化したての身体でいきなりあれだけ派手に戦ったから、いろいろ負荷がかかって、<br>
熱暴走が起こったんじゃないかって話だけど……どっか痛むとことか、ないか?」<br>
ご主人様の腕の温もり。<br>
あんなことがあったけれど――ちゃんと元気に帰ってくることができたんですね。<br>
私も、あなたも。<br>
「そ、そうなんですか。えと、もう平気ですっ、問題ないから、下ろしてくれて大丈夫ですっ」<br>
金属製の外皮でなく、人工皮膚で触れるご主人様の肌。なんだかくすぐったくて、<br>
それから抱っこも嬉しいけどなんだか恥ずかしくなって、不自然にあたふたしてしまいます。<br>
ご主人様は、そうか、と言って、私をそっとベッドに座らせてくれました。<br>
「そうだ……ご主人様、ごめんなさい。その……武器、食べちゃって」<br>
「ああ、別に謝るようなことじゃないよ。悔しいけど、もう壊れちゃってたし……<br>
それに、そのおかげで俺たちは助かったんだしさ」<br>
ご主人様は私の頭にてのひらを乗せて、言いました。<br>
「ありがとう、本当に。今日ほどおまえのことを頼もしく、誇らしく思ったことはないよ」<br>
そうして、いつもの優しいナデナデ。<br>
胸のリアクターから、全身が熱くなってゆきます。<br>
「ありがとうございます。えと、も、もったいないおことばです」<br>
「もったいないもんか。俺は本当に感謝してるんだから……俺も強くなんないとな。<br>
おまえやあいつらが来てくれなかったら、本当に今頃どうなってたか」<br>
一瞬だけ、ご主人様の表情がとても真剣なものに変わりました。<br>
「ご主人様……」<br>
「ああ、そうそう。明日、みんなで飲みに行くんだけどさ。おまえも連れてくから」<br>
「ほぇ? みんなって、あの3人の?」<br>
「そ。飲みの話自体は前からあったんだけど、みんななかなか都合合わなかったんだ。<br>
でも、明日ならって」<br>
――そうか。ニューマンさんは、それでさっきここを訪ねてきたんですね。<br>
「で、ついでだから改めておまえを紹介しようと思うのさ。<br>
みんなにもパートナーマシナリー連れてくるよう言っといたから、賑やかになるぞ」<br>
「そうなんですか。それは楽しみですっ」<br>
ご主人様と、お友達と……それから、そのパートナーマシナリーのみんな。<br>
私も最後の進化を終えて、やっと彼女たちの仲間入り。<br>
みんな驚くでしょうか?<br>
とっても楽しみ……なのですが。<br>
どうしてでしょう。なんだか引っかかります。<br>
――あ、そうか。<br>
「あ、あの! ご主人様!」<br>
「うん?」<br>
「ええと、もう夜遅いし、疲れちゃってると思うんですけどっ。<br>
その……近場でいいから、一緒にお散歩にいきませんか?」<br>
「ん、どうしたんだ、急に?」<br>
「それはその……うぅ。だめ、ですか?」<br>
「いや、全然」<br>
ご主人様はにっこりと微笑むと、私に手を差し伸べてくれました。<br>
「あ、ありがとうございますっ!」<br>
私はその手をとって、ぴょんとベッドから飛び降ります。<br>
「どこ行きたい?」<br>
「ええと、ええと……どこがいいでしょう……」</p>
<p> そう。それはとっても単純なこと。<br>
せっかくご主人様と同じ“ヒト”の姿になれたのだから。<br>
最初のおでかけは、ご主人様と二人だけで行きたかったんです。</p>
<p> 宿舎を出て、私たちは広場に出ました。<br>
「あの、ご主人様」<br>
「うん?」<br>
「さっきご主人様、強くなんなきゃって言いましたよね?」<br>
「ああ。本当に、思い知ったよ」<br>
「私も! 私もこれから、強くなります。もっともっとご主人様の力になれるよう、頑張ります!<br>
だから、ええと……これからも、よろしくお願いします!」<br>
あったかいご主人様の手。<br>
さっきはすこし恥ずかしくて離れてしまったけど、今度はぎゅっと握ります。<br>
「……こちらこそ、よろしく。頼りにしてるぜ」<br>
ご主人様は、まるで子供みたいな屈託のない笑顔で答えてくれました。</p>
<p> ああ、私は今日という日を一生忘れないでしょう。</p>
<p> ――ご主人様。<br>
ガーディアンとして戦ううち、きっと辛いこともあると思います。<br>
今日みたいに大変なこともあるでしょう。<br>
もしかしたら、悲しいこともあるかもしれません。</p>
<p>
だけど私は、どんなときでも。……いいえ、そんなときにこそ。<br>
あなたのそばにいて、その力になろうと思います。<br>
あなたの笑顔を守るために。<br>
あなたの夢見る“みんなが笑っていられる世界”を目指すために。</p>
<p>
だって私は、あなたの“パートナー”マシナリーなのですから!</p>
<br>
<p> ~おしまい~</p>
<p><br></p>
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