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「ヒュマ男と301-5」(2007/02/23 (金) 13:34:33) の最新版変更点
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<p>5.</p>
<p>「戦闘型に、進化した!?」<br>
白いキャストの男は、驚きを隠せないといった様子で叫びました。<br>
「チッ、だから何だってんだ!」<br>
金髪の男が起き上がります。<br>
「進化したてのパシリが一体いたとこで、状況は変わりゃしねえ。<br>
むしろコイツもふん捕まえて、売っ払ってやりゃいいんだよ!」<br>
男は、<ソダ・キャリバ>を肩に担いで、歩いてきます。<br>
私は振り返って、男をキッと睨みつけました。<br>
ご主人様にこんな傷を負わせたばかりか、信念までも踏みにじった相手。<br>
絶対に、許せない――!!<br>
モードを戦闘用に切り替え。右手を背中に回し、戦うための武器を呼び出します。<br>
イメージします。立ち塞がるものすべてを薙ぎ払う巨大な剣を。<br>
「私は……ううん。ご主人様だって――」<br>
今なら、できる! 戦える!<br>
「まだ負けてなんかいない!」<br>
フォトンのきらめきと共に抜き放ったのは、長剣<ハンゾウ>。<br>
さっきまでは握ることすら叶わなかった、ご主人様のための剣。<br>
美しさと力強さを兼ね備えた優美なフォルム。<br>
自分の身体の何倍もの刀身を持つそれを、私は構えました。<br>
「抜かせ、チビが!」<br>
金髪男が、勢いよく<ソダ・キャリバ>を振り下ろします。<br>
「ええええぇぇぇぇいっ!」<br>
迫る刃に、私は握った剣を力任せにぶつけます!<br>
巨大な刃同士がぶつかりあい、激しい火花が散りました。<br>
そのまま、つばぜり合いへ。<br>
「っく、うう……」<br>
高レベルガーディアンの腕力、加えて上からの攻撃。私は早くも押され始めました。<br>
でも。それでも。<br>
「負けるわけには……いかないんです!」<br>
できあがったばかりの脚のシリンダーを、肩のモーターをフル稼動させて、私は抗います。<br>
「あなたたち、なんかにっ!」<br>
気合一閃。強引に剣を振り抜きました。<br>
「うおっ!?」<br>
男が体勢を崩した一瞬。見逃しません!<br>
「負ける、もんかぁぁぁぁっ!!」<br>
剣を振り上げ、大きくジャンプ。<br>
男の頭上目がけて、カラダを思い切り回転させつつ振り下ろします。<br>
「ぐっ!」<br>
再び散る火花。<br>
とっさに構え直された剣に弾かれた斬撃は、それでも男を大きくよろめかせました。<br>
男が2、3歩後退します。<br>
「この、俺が、俺が……たかがパシリに!」<br>
「遊んでいられる場合でもなくなったか。私も」<br>
後ろに控えていたキャストの男が、短銃を構えました。<br>
「うるせえ!」<br>
しかし、金髪男は怒鳴り声でそれを制しました。<br>
「こんな奴、俺一人で十分なんだよ!」<br>
「意地を張るな。たかがマシナリーと言えど――」<br>
二人が口論になった、そのとき。<br>
「……届けぇ!!」<br>
キャストに捕らわれていたヒューマンの少女が、口にくわえた何かを放り投げました。<br>
あれは――<スターアトマイザー>です!<br>
その容器は霧状の薬剤を振りまきながら、横たわるご主人様に向かって飛んでゆきます。<br>
「貴様!」<br>
それを見たキャストは、少女の胸倉を掴んで床に叩きつけました。<br>
「ほっとけ! あんなモヤシが回復したって、どうってことねえ!」<br>
「……そうとも、限らないぜ」<br>
背後からの声に振り向くと、今まさに、ご主人様は立ち上がろうとしていました。<br>
「ご主人様!」<br>
大きな傷やアザは治っていませんが、今の薬でかなり回復したようです。<br>
ご主人様はナノトランサーから片手杖<バトン>を取り出すと、それを頭上に掲げました。<br>
すると、杖の先端が燃え上がり、辺りに赤い光が広がりました。<br>
補助テクニック<アグタール>。私のカラダが、赤いヴェールに包まれます。<br>
暖かなフォトンの流れに乗って、ご主人様の想いがパーツの隅々まで染み込んできます。<br>
――ああ! パワーが出てきました!<br>
ご主人様は、私の名を呼び、叫びました。<br>
「こいつらはガーディアンなんかじゃない! 容赦はいらないぞ!」<br>
「……はい! やっちゃいます!」<br>
私は答えると同時に<ハンゾウ>を振りかぶり、男に向かって突進します。<br>
「やああああっ!」<br>
怒りも受けた苦しみも、全部まとめて勇気と闘志に変換。<br>
ご主人様のために、戦える。<br>
ご主人様と一緒に戦える。<br>
私の小さなフォトンのハートは真っ赤に燃え上がり、今やスパーク寸前です!<br>
「そんな小細工がっ!」<br>
吼える金髪男。<br>
二本の長剣が、再び激しくぶつかり合いました。<br>
もう一度。さらにもう一度。弾けるフォトンの飛沫。<br>
「ええいっ!」<br>
ご主人様への想いを力に変えて、私は剣を振り続けます。<br>
突き、横薙ぎ、兜割り。<br>
何度受け止められても、攻め続けるのはやめません。<br>
ご主人様も頑張っています。<br>
「これでどうだっ!」<br>
怒声とともに放った<フォイエ>が、キャストの短銃を吹き飛ばすのが見えました。<br>
「いいかげんに……」<br>
しびれを切らしたのか、金髪男は私の剣を強引に押し返すと、<br>
腰を低く落とし、剣を大きく後ろに引きました。<br>
「死ねやぁっ!!」<br>
襲ってきたのは、突風のような薙ぎ払い。<br>
だけど、苦し紛れのその一撃は隙だらけ。<br>
「はっ!」<br>
私はジャンプで薙ぎ払いを避け、そのまま刀身の上に着地します!<br>
「なにぃ!?」<br>
振り回される遠心力で回転しつつ、大きくジャンプ。<br>
宙返りしながら<ハンゾウ>をトランサーに収め、私に与えられたもうひとつの武器――<br>
一対の双剣、<デスダンサー>を抜きました。<br>
そのまま、左手の剣を眼下に投げつけます!<br>
放った剣は矢のように飛び、金髪男の<ソダ・キャリバ>を貫いて床に縫いつけました。<br>
「すきだらけです!」<br>
落下の勢いに乗せて、私は残った右手の剣を振るいます。<br>
「なめるなぁ!」<br>
小剣を抜いて待ち受ける金髪男。<br>
けれど。<br>
「こっちにもいるぞ!」<br>
突然の声に、男が驚愕の表情を浮かべました。<br>
声の主はご主人様。床に刺さった私の剣を抜いて、男に斬りかかったのです!<br>
生まれる大きな隙。<br>
「「はああああぁぁぁぁっ!!」」<br>
重なる私とご主人様の雄叫び。<br>
二振りの斬撃が、金髪男に炸裂しました。<br>
「が――っ!!」<br>
男は声にならない叫びを上げ、大きくよろめきました。<br>
シールドラインのおかげで外傷はないようですが、今の一撃は相当こたえたようです。<br>
「てめえら……調子に乗りやがって!」<br>
恨み言のように言う男に、私たちは再び剣を構えます。<br>
「やむを得んな。この手段に頼ることはないと思っていたが――」<br>
短銃をご主人様に焼き払われ、ほとんど動かずにいた白いキャストの男が、<br>
ヒューマンの少女の長い髪を引っ張って強引に立ち上がらせました。<br>
「これ以上の抵抗はしないでもらおう」<br>
小剣を取り出し、少女の首に突きつけます。<br>
「さもなくば、わかるな?」<br>
私の、ご主人様の手が止まります。<br>
……今度は人質。<br>
どうやらあのキャストの男も、金髪男に負けず劣らず腐っているようです。<br>
ご主人様の表情から、怒りの色が溢れ出てゆきます。<br>
「武器を捨てろ。それから――」<br>
「――そこまでだ!!」<br>
私たちが剣を握る手を緩めようとした瞬間、鋭い声が部屋に響きました。<br>
続いて、銃声。<br>
白いフォトン弾が飛来し、キャスト男の持つ小剣をてのひらごと撃ち抜きました。<br>
さらにもう一発。キャスト男左腕に命中し、ヒューマンの少女を解き放ちます。<br>
金髪男が銃声のした方――この部屋の入口を振り返ると、<br>
「なんだ、誰――」<br>
その顔面に、巨大な土塊<ディーガ>がぶつかりました。<br>
「だぁああああっ!?」<br>
男は勢いのままに吹き飛ばされ、相方の白いキャストに激突します。</p>
<p>「間に合いましたか」<br>
「よう^^」<br>
「遅くなったけど、生きてる?」<br>
部屋に飛び込んできたのは、長銃を抱えたキャストの女性、大斧を担いだビーストの男性、<br>
そして、長杖を持ったニューマンの少女。<br>
ご主人様のお友達のみなさんでした。<br>
「おまえら、どうして……」<br>
「どうしてじゃないわよ、まったく!」<br>
驚くご主人様に、ニューマンさんが怒鳴ります。<br>
「本当に世話の焼けるヒトですよ、貴方は」<br>
「まあ話は後だ^^」<br>
それに続く、キャストさんとビーストさん。<br>
「そうね。まずやんなきゃいけないことは――」<br>
ニューマンさんは<メイロドウ>を構えて。<br>
「この二名を逮捕して、本部に突き出すことです。証拠は十分でしょう」<br>
キャストさんは眼鏡を直しながら、右手の<ファントム>をくるくると回して二人の男に迫ります。<br>
「な、なんだてめえら……! てめえらごときに、俺らがやられるとでも――」<br>
吠える金髪男の傍らに、ズダン! と音を立てて、<アンク・バルデ>が突き立てられました。<br>
「連れが 世話になったな^^」<br>
笑顔のビーストさん。でも、目は笑っていません。<br>
「なっ、こいつは……」<br>
男たちの顔が青ざめてゆきます。<br>
「長靴に、光ラインと闇アックス……まさか、『聖地の脳筋王』!?」<br>
「^^」<br>
「お、終わった……」<br>
さっきまでの威勢はどこへ行ったのか。<br>
二人の“初心者狩り”は情けない表情のまま、キャストさんのフリーズトラップに固められました。<br>
</p>
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