軍事目標主義とは

日本の一般国民は、軍事教育を受けず、日本の大学においても一般教養科目に軍事学が存在しないので、軍事目標主義がどういうものかは知らない。

軍事目標主義

 地上兵力による占領の企図に対し抵抗しようとする(防守)都市に対しては無差別攻撃が許されるが、
無防守都市においては戦闘員及び軍事施設(軍事目標)に対してのみ攻撃が許され、非戦闘員及び非軍事施設(非軍事目標)に対する攻撃は許されず、
これに反すれば当然違法な戦闘行為となるという原則。

根拠条文

 ハーグ陸戦規則第25条
 「防守サレサル都市、村落、住宅又ハ建物ハ、如何ナル手段ニ依ルモ、之ヲ 攻撃又ハ砲撃 スルコトヲ得ス。」
Art. 25. The attack or bombardment, by whatever means, of towns, villages, dwellings, or buildings which are undefended is prohibited.
※条文は、砲撃に限定していないことに注目。

防守都市の要件

①占領を企図する地上兵力が近接していること
②敵の占領に対し抵抗しようとする勢力が存在すること

防守都市であった場合

 無差別攻撃が許される
(理由)
 敵の占領の企図に対して抵抗する都市に対しては、軍事目標と非軍事目標とを区別する攻撃では、軍事上の効果が少く、所期の目的を達することができないから


参考文献

原爆判決 軍事目標主義解説部分抜粋
(五)・・・国際法上戦闘行為について一般に承認されている慣習法によれば、陸軍による砲撃については、防守都市と無防守都市とを区別し 、(中略)そして
防守都市(中略)に対しては 無差別砲撃 が許されているが、無防守都市(中略)においては戦闘員及び軍事施設(軍事目標)に対してのみ砲撃が許され、
非戦闘員及び非軍事施設(非軍事目標)に対する砲撃は許されず、これに反すれば当然違法な戦闘行為となるとされている。 (田畑茂二郎の鑑定参照)。
 この原則は、ヘーグ陸戦規則第二五条で、「防守サレサル都市、村落、住宅又ハ建物ハ、如何ナル手段ニ依ルモ、之ヲ 攻撃又ハ砲撃 スルコトヲ得ス。」
と規定し(中略)ていることからみて明らかである。
(七)  それでは、防守都市と無防守都市との区別は何か。一般に、防守都市とは地上兵力による占領の企図に対し抵抗しつつある都市をいうのであつて、
単に防衛施設や軍隊が存在しても、戦場から遠く離れ、敵の占領の危険が迫つていない都市は、これを無差別に砲撃しなければならない軍事的必要はないから、
防守都市ということはできず、この場合は軍事目標に対する砲爆撃が許されるにすぎない。
これに反して、敵の占領の企図に対して抵抗する都市に対しては、軍事目標と非軍事目標とを区別する攻撃では、軍事上の効果が少く、
所期の目的を達することができないから、軍事上の必要上 無差別砲撃 がみとめられているのである

田岡良一著空襲と国際法-1937年版 81、94、126、266p
 防守都市を占領せんとする軍隊が、非戦闘員に甚大な被害を与える無差別の砲爆撃という極端なる害敵手段の行使を許される理由は二つある。
 一つは、もし味方軍の攻撃隊が砲爆撃の対象を都市の一部に限る時、敵兵は都市内の他の区域に退避してこの場所に拠り味方軍を待ち伏せることが可能となり、
結果として味方軍が速かに敵兵を都市より駆逐し又は降伏させることが困難になるが故に、迅速に占領作戦行動を遂行し戦線の進展を促進する為には、
都市全体に砲火を注ぐ無差別砲爆撃が軍事上必要やむを得ざる害敵手段となるからである。
 もう一つは、陸上の戦線付近にある都市の住民は、敵軍の接近を知って避難し又は都市を防守する軍隊の指揮官より戦闘開始に先立って退去を命ぜられることを
常とするが故に、敢えて砲火を浴びる危険を辞さない決意を持つ住民の外に滞在する者が稀であり、斯かる都市への砲撃によって非戦闘員の生命に加えられる危害
は比較的大きくない、と考えられるからである。

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最終更新:2012年03月03日 01:38
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