第四十四話
「我が子房」
故郷に帰った曹操は直ちに兵を集め、財産を兵糧に変え、軍備を整えていた。
そこへ…、
曹操「……で、私の軍師になりたいと言うのはあなたですかな?」
小柄な男が姿勢良く曹操の前に立っている。
細い眉が凛々しい。
小柄な男「はい。あなたの軍師になりに参りました」
曹操「ジュンイク、と言ったね?君は確かエン紹の配下にいたようだが…。」
ジュンイク「エン紹殿は、才を欲しながらその実、自分の気に入った人間しか欲していません。」
曹操「くくく…、では董卓は?」
ジュンイク「董卓は人すら欲していません、自分しか信じておりませんな。そして…。」
曹操「そして?」
ジュンイク「董卓は手を下さずともいずれ内側から崩壊するでしょう。」
董卓が全盛期にこの考え方が出来る人間はそうはいなかった。
曹操はニヤリと笑った。
曹操「我が子房がやってきたな。」
最終更新:2006年11月23日 22:00