第三十二章
『同じ道、同じ想い」 中編
ギィ…ガタン…
門が閉まった…
もう後には引けないだろう…
覚悟を決めなければ…
酔逸
「よし…。行こう…」
目指すは人馬同盟、盟主『黄天』
酔逸は歩きだす…
…
……
酔逸
「(かなり治安が良くない場所と聞いていたが…静かすぎる…。なぜこうも、すんなり通す…?)」
疑問は解けぬまま人馬同盟の部室へ辿り着く…
酔逸
「…」
ガチャ…
鍵は掛かってなく、あっけないほど簡単に目的地へ着いてしまった…
中には威圧感のある男が一人…
黄天
「…お前が酔逸だな?わざわざ正門から入ってくるとはな…」
酔逸
「頼みが有って来た…」
やはり誘われていたようだ…
俺が来ていた情報が筒抜けになっている…
黄天
「ふむ…無償で引き受けるほど、こちらも暇では無い…」
酔逸
「…解っている。納得学園を…」
…
……
………
黄天
「…大体用件は解った…。だがそれだと汰譜王や、その取り巻きも被害を受けるぞ?」
酔逸
「あいつなら…汰譜王なら、潜り抜けられる…」
黄天
「…お前は汰譜王を見限ったのでは無いのか?」
酔逸
「俺は…多分、心のどこかで信じてるんだ…。汰譜王のことを…、自分の親友を…。あいつが手にかけた訳が無い…って…」
黄天
「…」
酔逸
「元はと言えば、綺羅祭壇に力を借りたすいかが元凶だったのも事実…」
酔逸
「だけど…もし…、もし汰譜王が本当にやっていたのなら…そのときは…」
黄天
「…真実は、そちらのお嬢さんが知っているようだよ……なぁ弥君…?」
酔逸
「え?」
部屋の影から弥が現われる…
弥
「…すんなり通したと思ったら…。してやられたわね…」
酔逸
「君が…」
弥
「弥よ…。あんまり大っぴらに動けない身だから、私の事は内密にね…」
酔逸
「…真実って…何の事なんだ?」
黄天
「…酔逸には話してやってもいい筈だ…」
弥
「その前に、何故私達が汰譜王さんの身辺保護、情報のリークをしているか話す必要があるわ…」
酔逸
「…」
弥はゆっくりと喋りだす…
弥
「……すいか君の残した頼みだから…」
酔逸
「何だって…?」
第三十二章、中編・完
最終更新:2007年01月16日 15:58