第九十三話
「公孫サンは…」
俺は、優秀だった。
真面目で、何事にも真剣に取り組み、小さな事を積み上げてここまで来た。
何故か同門の劉備とは馬があった。
不真面目で、兵法の勉強も適当にやり過ごし、女の尻ばかりを追っていた劉備は、何故か俺を頼り、俺もそれを喜んだ。
劉備はテストは俺の答案を丸写し、レポートもほとんどを手伝ってやった。
だが、周囲の目は劉備の天性の人気(じんき)に目をつけた。
未来の英雄、国を救う救世主…。
そんな弟分を持ち、俺は誇りに思っていた。
外側では。
俺はいつしか劉備を憎んでいた。
最終更新:2007年01月11日 18:51