第八十九話
「悲しいキス」
チョウセンの息が荒い。
もう呂布にはどうしようもなかった。
呂布「チョウセン、死ヌナ、マタ、1人ニナッテシマウ。」
チョウセン「呂布…様…、優しい、暖かい気…。」
呂布「……、チョウセン…。」
呂布は涙を流した。忘れるほど遠い過去以来の涙。
チョウセン「呂布様…もし、この世が平和な世界なら、私達は自由に愛し合えたのに…。」
呂布「チョウセン……。」
チョウセン「呂布様…愛してる…。」
呂布「愛してる…。」
呂布の唯一綺麗に発音できる言葉が宙に舞った。
呂布は誘われるようにチョウセンの唇に自らのそれを重ねる。
微かに血の香りがした。
そして、呂布はまた1人になった。
最終更新:2007年01月09日 09:38