第二十一話
「劉協と魔王」
五十数台の車のヘッドライトが二人を捉えて停車した。
劉協は少帝を庇うようにして立っている。
やがて、先頭の車から、大柄で顔中、傷だらけの男が現れた。
男「貴様が天子か?」
劉協「私は劉協、天子様は後ろのお人だ。お前は何者だ。」
男「董卓、西涼の大守だ。」
劉協「董卓…、お前も十常侍のように私達を利用するのか…。」
董卓「使えるものは使う。使えんものは潰すのみだ…。」
劉協は目の前の男が魔王と気付き、ひどく落胆した。
劉協「……、董卓、私達を利用するならすればいい…。だが…、民だけは守ってやってほしい。」
董卓「ほう…。」
劉協は薄々気付いていたのだ、十常侍らは世は平和だと言ってはいたが、本当はそうでないことを。
劉協は皇族にしては賢すぎた。
劉協「我々は長く、民を苦しめすぎた…、できうるなら、民に償いをしたい…。」
毅然に振る舞ってはいたが足が震えている。
董卓「フハハ、面白いガキだ…。」
最終更新:2006年11月23日 21:52