孔明、月英伝(7)

親を失った孔明と弟は伯父に連れられ荊州へと向かった。荊州の予章で玄は太守をしているのである。
旅の途中、孔明達は徐州を通った。そこで孔明達は驚愕の光景を目にしたのである。

『こ…これは酷い…』

孔明達が徐州へと入る少し前、曹操軍が徐州を攻め数十万人の人間が殺されていたのである。その遺体は葬られる事無く打ち捨てられていた。

『…こんな事が…』

玄が孔明に話しかける。
『亮…覚えておきなさい。この悲しい出来事を…いつか…人々が平和に暮らせる世を…私は願う。』
『…伯父上…』

孔明はその光景を目に焼き付けた。孔明の心にはある一つの想いが出来上がって来たのである。

『私が中華を平和にする…。』

孔明は凄惨な光景をいつまでも見つめていた。
ふと遠くを見つめると女性が一人佇んでいた。

『伯父上、あの女性は…』
『ん?…ここら辺の者ではないな。異民族の召使いか何かだろう…主を失って彷徨っているのかもしれない…何にせよ…惨い事だ…』

しばらく孔明は女性を見ていた。
女性は辺りを見渡した後背中に背負った袋から何かを取りだすと地面に穴を掘り始めた。
そして穴を掘り終えると、女性は近くにあった打ち捨てられた遺体を丁寧に埋葬したのである。

『なんと…。』

孔明はなんとなく興味を覚え、女性に近付き声をかけた。

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最終更新:2006年12月13日 09:07