第十九章
「汚されぬ心」
ボブの救出から数日…
深夜の納得学園
保健室に明かりが灯る…
たま
「うぐぐ…呂姫も弥も使えないわね!…このままだと祭壇での私の地位が危ないわ…。なんとかしなくては…」
ハクの堕落の失敗…
弥の裏切り…
二度の失態で、たまは焦っていた…
たま
「こうなったら弥を再教育して、もう一度…」
血が上った頭では、まともな案など浮かぶべくも無い…
この滑稽劇を一つの笑い声が閉幕させる…
??
「クックック…アーハッハ!」
たま
「だ、誰っ!?」
シン
「クック…いやいや失礼…、あまりにも馬鹿げた考えだったもので…。つい失笑してしまったよ…」
たま
「馬鹿げた……ですって?」
シン
「えぇ、そうですとも…。どんな状況でも、裏切り者にはそれ相応の末路しか無いのですよ…」
たま
「……そんなことを言いに来たワケでは無いでしょう?」
シン
「おや…意外に早く頭が冷えましたね…クック…。なぁに…今日は新しい『駒』を紹介しに来たのですよ……石覇!」
シンが呼ぶと、背の高い男が保健室に入ってくる…
石覇
「……」
たま
「石覇ですって?でも石覇はハクに倒されて学園を去った筈では………。ッ!まさか!」
シン
「ええ…、私が『回収』しました…。密かに地下で計画を進めていましてね…。この身体能力の秘密は突然変異体の遺伝子にあることが解りましたよ…。今はまだ移植はできませんが、このまま研究が進めば綺羅祭壇なぞ……クックック…」
たま
「な、何を考えて…。そもそも何故私にこんな話しを…」
シン
「……あなたには消えていただきます…。あなたを支持する学園の生徒は少なくない…。敵となる前に頭を潰せば……、石覇!やりなさ……ごぶ……ガぁ…」
たま
「ひっ!」
シンが命令を下す前に石覇の腕がシンの腹部に突き刺さる…
シン
「せ…きは…な、何を…」
石覇
「…貴様ガ…言ッタ…ノダ…。裏切リ者ニハ…ソレ相応ノ末路シカ…無イト…。我ガ魂ハ…何人ニモ…汚セヌ!」
シン
「ク、ククク…そうでし…た…ね…。こ、これが石覇…か…。が…残念…タイムリミットで…す…」
石覇
「体ガ……、フ…限界カ……ハクヨ…後ハ…頼ム…」
シンは力無く、その場に倒れる…
石覇も続くように…
たまは驚き竦むのみだった…
この事件が公になり、学園のバランスは均衡を保てなくなる…
綺羅祭壇の権力は一気に弱化することとなった…
第十九章・完
最終更新:2006年12月12日 16:30