②「思った通り」前編
晴れ渡る蒼空に雲は無く、唯一の太陽がただただ煌々と輝く。
巻き上がる土煙、響き渡る金属音、弧を描き落ちる矢――それら全てをただただ煌々と照らす。
「さて、と……我等はどうしたモノか……」
顎に手を考え込む男は潘璋。伏兵によるダメージを誰に与えたものか、と戦場を見渡していたのだ。
そこであるモノに気づく。遠くに見える、赤い馬にまたがり、周りの兵を難なく蹴散らしていく影――呂布である。
「呂布か。よし、あやつに……」
気づかれないようにゆっくりと近づく……その間にも呂布は戟を振るい、兵士を次々と薙ぎ倒していく。
「こ、こんなのに勝てるわけ、ぐぁっ!」
「この傷、覚えておこう!」
「うわぁぁぁっ、鬼だ! 鬼がいるぅ!」
(焦るな……焦って気づかれては元も子もないぞ!)
焦る自分に心中で言い聞かせる。
事は慎重に、且つ、迅速に、そして、
「今だ! これが我等の戦術よ!」
いざという時には大胆に。
最終更新:2006年11月27日 23:24