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孔明、月英伝(1)
その日、諸葛家は慌ただしかった。
3番目の子が生まれるのだ。
子の母、章氏は昨日の晩から陣痛が始まり、お産が始まっていた。
子の父となる珪は、まだ薄暗い空を見上げていた。
『…3人目の子が生まれるか…この暗い世に………ん?』
ふと、他とはまるで輝きが違う星を見つけた。
『なんだあの星は…今までにないくらい光輝いている…吉兆か…それとも…』
その星はどんどん輝きを増し、遠く北の方へと消え去っていった。
『オギャー、オギャー…』
『旦那様、男のお子様がお生まれになりました。』
諸葛家の執事、甘界が珪に声をかけた。
『そうか…。』
『旦那様、お子様がお生まれになったというのに…』
『いや、生まれたのは嬉しいのだ…しかし、この世では…』
『憂いても仕方ありませんよ。それよりもお子様にお名前を…』
『うむ、そうだな。…わしは先ほど今までに見た事がないほど輝く星をみた。これは、この子には明るい未来があるという吉兆だと思いたい。だから…「亮」…と名付けよう。』
『…亮(明るいという意味を持つ)…良い名でございます。』
この日、中華に一つの星が生まれた。
後の諸葛亮孔明である。