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第七十五話
「泣くな、ジュンイク。」
『よって首都をこの長安に遷す事にする…。』
曹操の故郷、ショウのホテルの一室。
「こんな事…、あってたまるか…。こんな事が…。」
ジュンイクがいつになく動揺している。
ジュンイク「漢を、洛陽を、天子様を、何だと思ってるんだ…。」
ジュンイクの目には大粒の涙がこぼれていた。歯は鳴り、拳は今にもうちつけられそうな程、力が入っていた。
曹操「目を背けるな。ジュンイク…、何が起こるかわからんぞ。」
ジュンイク「……、しかし…、天子様とて、人間…。…聞けばまだお若いと聞きます…。」
曹操「それだ、ジュンイク。洛陽は失われようとも天子は生きている。まだ漢は死んでいない。その脳を漢、再生のために使えい。」
ジュンイク「……はっ…。」
漢で生まれ、育った彼等にとって自分達の国が死んでいく事を受け止めるのは並大抵の苦しみではなかったはずだった。
しかし、彼等は知っている。
涙を流すよりも、今は力をつけ、董卓から天子様を取り戻す事が重要である事を。