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第七十四話
「伝国の玉璽」
荒廃した大都市に孫堅はいた。
程普「殿…、どうなされた?」
孫堅「程普…、俺は今まで漢なんて長江の向こうの別世界だと思っていた。」
程普「私もですよ。天子様も、洛陽も気にした事なんか無かった。」
孫堅「でも…、この流れる涙は何だろう…。」
程普「…私もですよ。」
孫堅軍からすすり泣く声が聞こえる。
思えば、遥か彼方の地の彼等が一番漢の事を考えていたのかも知れない。
孫堅「帰るか…、我らの地へ。ここには何もない…。」
韓当「はい…。」
黄蓋「殿!宮殿近辺のトイレからこれが!!」
急拵えの大きな紙袋にずっしりと重い何かが入っていた。
程普「……玉で作られた璽…?」
孫堅「伝国の玉璽だ…。」
韓当「皇帝に受け継がれていた…?」
黄蓋「時代が、殿を選んだのです!!」
泣いていた孫堅軍に涙はもうない。
一番手柄、孫堅。
呉へ帰還す。