けいおん!澪×律スレ @ ウィキ

雨の川

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匿名ユーザー

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「んー…」
律は、窓の前に立ち。暗い夜空を眺めて。頭の後ろで手を組んだ。
「んー?」
私は、乾いた洗濯物を畳みながら、律に声を返してみた。
「…」
律は、背中で「残念…」って言った。
私は、洗濯物を畳み終えて。所定の位置に戻しに入った。
「‥ふぅ…」
律の、溜め息が聞こえた。

……後、数十分で。7月7日。七夕。

七夕が近付くと、決まって律は私を誘って。天の川を見に出掛けた。
バンドのメンバーと出会う前からの、毎年の恒例行事。
その習慣は小学校を卒業しても、中学校を卒業しても、変わらなくて。
高校に入学して。軽音部に入部してからは、メンバー皆で出掛けたりして。
それでも、隙を見てふたりきりで、夜空を眺めたりしていた。
高校を卒業して、同じ大学に進学して。
放課後ティータイムが、メジャーデビューを果たして…
…二人で、こうやって同棲するようになってからも、習慣は変わらなかった。
ムギの誕生日を祝い終えた頃から、律は天気予報を気にし出す。
晴れマークが続いていると、機嫌が良い。
予報が思わしくないと、落ち気味になる。
文字通り、晴れて七夕を迎えると、律ははしゃいだ。
逆に、思わしくない天気だと‥‥律らしくない様子で、がっかりする。
知り合って間も無い…幼い頃は「どうしよう…」って困るばかりだった。
仲良くなってからは、慰めたり、励ましたりしたりしていた。

今年はと言うと………落ち気味だった。

曇ったり、雨が降ったり。たまに晴れたと思ったら、また曇ったり。
予報通りに天気は移り。七夕当日に掛けては、予報通り…雨。
律はそわそわしていたが、予報通りの天気に対して諦めると、落胆するしかなかった。
私は、浴室乾燥機で乾かした洗濯物を片付け。リビングに戻った。
「…」
律は、無言でソファに沈んでいた。
残念そうなオーラを、漂わせながら。
「‥‥りーつ」
「…ん?」
私は声を掛け、律の右隣に座った。
「…」
無言で、律の肩に寄り添うと
「…」
律は、無言で私の肩に右腕を回した。
私は、遠慮無く律の肩に寄り掛かった。
マンションの壁と屋根と、窓越しに雨音が聞こえる。
もう少しで、七夕。
「‥‥残念、だった?」
私は寄り掛かったまま、聞いてみた。
「そりゃ、な…」
律はふぅ…と、溜め息をついた。
「毎年、楽しそうだもんな。律は…」
私は、律の肩口にくっついた。
「楽しいばっかじゃないし‥」
「雨、だから?」
「当たり前だろ?せっかくの七夕なんだぞー?」
「天の川、見たかった?」
「そりゃ七夕だし!当然!!」


「ふふっ‥」
私は、すこし笑って

「‥‥律も、女の子。だもんな…」

からかって、みた。
「なっ‥!」
律は、思いっ切り戸惑って
「女の子って…そんな年でもねーし……」
思いっ切り、照れた様子。
二十歳もとうに過ぎてるし。女の子じゃ、若過ぎたかな?
私は、敢えて話題を逸らして
「…天の川ってさ。織姫と彦星が出会うーって、話だよね?」
質問した。
「……あぁ、そうだな‥」
律は、気を取り直して。答えた。
「じゃ、律は彦星様?」
「へ?」
「彦星様っぽいじゃん、律」
「どこがだよ」
「んー‥王子様系、みたいな」
「王子様系ってなんだよ…」
「で、私は織姫で」
「‥あぁ、澪が姫っぽいのはわかる」
「姫カットだから?」
「まぁ…それもあるけど……」
律は、ちょっと口籠った。
「…適当に考えた?」
「そんなコトねーし!」
「そっか……」
私は、一呼吸置いて
「…やっぱり、織姫にはなれないかな、私は」
律の肩口から、律を見上げた。
「‥へ?」
律は、意表を突かれた表情。
「わかって、ないなぁ…」
私は、やれやれ。と体を反転させて律の方を向いた。
空いていた、律の左手を握った。

「ッ‥‥」

一気に、緊張する律。
いくつになっても、私から仕掛けるのには、慣れないみたい。
ゴクリ、と律の喉が唾を飲んだ所で

「‥‥彦星様と織姫様は、一年に一度しか、会えないよな?」

律の目を見つめて、私は問い掛けて。微笑んだ。

「……あぁ‥」

律は、間の抜けた顔で。やっと気付いたみたい。

「‥バカ律‥」

私が呟くと、律はへへっ‥と、苦笑した。
私は、目を瞑った。
律は、私の手を握った。


ウチらは、いつも一緒だもんな………


律は、そう答える代わりに


……ちゅ‥


キスを、くれた。


  • 40スレ以降もSS来てたけど更新ここで終わってるんだよなぁ。もったいない… -- 名無しさん (2013-03-18 20:29:25)
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