投稿日:2010/01/25(月) 21:17:26
この思い、いつか君に届くかな――
まだまだ夏の暑さが残る9月。
今日、桜高では球技大会が行われている。
今日、桜高では球技大会が行われている。
講堂の中はいつもと雰囲気がガラリと変わり生徒たちの熱気であふれている。
講堂ではクラス対抗で
バスケやバレーが行われていて何ともにぎやかである。
バスケやバレーが行われていて何ともにぎやかである。
私はそんな中、体を動かす訳でもなく和とギャラリーでバスケの試合を観戦していた。
和「澪は出ないの?試合。」
澪「私は球技は得意じゃないし、こーやって見てる方が楽しいかな。」
それに、転んでヒザ擦りむけて血が出たりなんかしたら……
うっ……考えただけで無理。
そんな風に私が思っていても
私たちの下のコートでは選手たちが必死にボールを追いかけ走り回っている。
私たちの下のコートでは選手たちが必死にボールを追いかけ走り回っている。
試合に勝って狂喜する人たちもいれば
負けて悔し涙を流す人たちもいる。
負けて悔し涙を流す人たちもいる。
皆…すごいなぁ。
私は目の前で繰り広げられているドラマをただ座って傍観するしかできなかった。
和「次は2組対4組の試合ね。」
2組…2組にはアイツが…。
私が和の口から2組という単語を聞いた途端に思い浮かんだ人。
そう、律だ。
律は幼馴染みで私にとって一番近くて一番遠い、そんな存在。
私は律の事が…――
その時下のフロアからキャーッという歓声が聞こえ少し驚き下を見る。
―――来た。
生徒たちの黄色い声を浴びているのは私が今頭に浮かんだその人、律が入口から現われた。
律はクラスでお揃いの黒のTシャツの袖を肩までまくり、トレードマークの黄色のカチューシャが今日は黄色のヘアバンドに変わっていた。
いつもと違う律の姿に思わず胸が高鳴る。
一方律は歓声を特に気にする訳ではなく早く試合がしたくてウズウズしている様だ。
一方律は歓声を特に気にする訳ではなく早く試合がしたくてウズウズしている様だ。
「律、なんだか最近モテモテよね。」
和は笑いながら言った。
私も無理矢理作った歪んだ笑顔で返す。
和は笑いながら言った。
私も無理矢理作った歪んだ笑顔で返す。
「何であんな馬鹿でむちゃくちゃな奴がモテるんだろね。ホントに分かんない。」
嘘。律が女の子にモテるのは悔しいくらい分かる。
馬鹿でむちゃくちゃでがさつな奴だけど、
実は周りをよく見ていて
場の雰囲気を良くするのがすごく上手で
さり気ない優しさを持ってる。
実は周りをよく見ていて
場の雰囲気を良くするのがすごく上手で
さり気ない優しさを持ってる。
挙げたらキリがないくらい良い奴なんだ。
そして律のいい所一番知ってるのはこの私。
そう信じてる。
そう信じてる。
ピーッという試合開始の笛の音が聞こえボールが天井に向かって高々と上がる。
ジャンプボーラーの二人のうち2組の人がボールを叩き、そのボールを律がキャッチした。
途端に周りから黄色い声が飛び交う。
途端に周りから黄色い声が飛び交う。
律はちっちゃいなりにちょこまかとコート内を駆け回り、敵をスルスルとドリブルでかわしゴール下で華麗にレイアップシュートを決めた。
なんというワンマンプレー…。
「うっしゃー!!」と両手のガッツポーズで喜ぶ律。
またもや大きな歓声が湧き上がる。
「いよッ!さすがりっちゃん!!」
「すご~い!!」
「すご~い!!」
コート脇で唯とムギも応援している。
その後も律はズバ抜けた動きで次々とゴールを決めて行く。
「……カッコいい。」
思わず思っていた事が口から出てしまった。
思わず思っていた事が口から出てしまった。
和はその言葉が聞こえたのかチラリとこちらを見て微笑む。
私の顔はみるみる赤くなっただろう。
律は昔からスポーツだけは馬鹿みたいに得意だったよね。
小学校の時から男の子達に混ざってサッカーや野球やって毎日泥だらけになって帰ってたっけ。
私も皆と遊びたかったけどなかなか中に入る勇気がなくて影から見ていた。
そんな私を律は屈託のない太陽のような笑顔で皆の輪の中に入れてくれた。
恥ずかしがり屋でおとなしい私が少しずつ皆と打ち解けるようになったのも律のおかげなんだ。
それから私達は親友になり共に笑ったり泣いたり、たまに喧嘩したり…
ずっと一緒にいた。
ずっと一緒にいた。
あぁ…きっとあの頃から私は律に惹かれ始めていたんだ。
ピーッ!!という試合終了の笛が講堂に鳴り響く。
私は我に返り、律の姿を探す。
見つけるまで1秒の時間もいらなかった。
見つけるまで1秒の時間もいらなかった。
キャーキャーという耳を覆いたくなるくらいの歓喜に溢れた声たちに包まれた律が高々と両手を挙げて喜んでいた。
ねぇ、律。
あんたは気付いてないだろうけど、私はあんたがする一挙一動のすべてが輝いて眩しく見えるよ。
私はいつも律を見てる。これからもずっと。
あんたは気付いてないだろうけど、私はあんたがする一挙一動のすべてが輝いて眩しく見えるよ。
私はいつも律を見てる。これからもずっと。
だからお願い…
こっちを向いてよ、律。
こっちを向いてよ、律。
「みーーーおーーーッ!!!」
私の世界一大好きな声で私の名前が呼ばれた。
律はあの頃と変わらない、あの眩しいくらい満面の笑みで手を目一杯振っていた。
馬鹿でかい声で呼ぶなよ…。
恥ずかしいだろ。
恥ずかしいだろ。
…でも、私はその場で涙が溢れるくらい嬉しかったことはここだけの話。
律、今は言えないけどいつか言える日が来ればいいな。
――――大好き!!
END.
- 一途な澪ちゃん可愛い -- 名無しさん (2011-01-04 23:40:41)
- これはいい律澪 -- 名無しさん (2011-01-19 10:16:04)