けいおん!澪×律スレ @ ウィキ

冬の日

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匿名ユーザー

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昨日、澪に告白した。

‥‥けど、フラれた。

フラれた‥‥、かな?

よくわかんないけど、付き合う事は叶わなかった。
でも、澪も私のコトを好きでいた事は分かった。
お互い好きなら、付き合えるんじゃん?って思ってたけど…

…現実は、そうでもないらしい。

まぁ、私と澪は女同士だし。ソコが一番のネックなんだろうな。
いつから好きだったとかは、覚えてない。
小さい頃からずっと一緒で、いつの間にか好きになってた。
いわゆるLikeの好きじゃなくて、Loveってヤツ。
自分でも、薄々感付いてはいた。
最初は自分でも「何考えてんだあたし‥」って思った。
けど、スキンシップ取ってからかう度に胸の高鳴りを感じたり
澪が書いた歌詞読んで「あたしのコトか…?」って変に意識したり…
その度に自分らしからぬ「胸のドキドキ」を抑えられなかった。

…好き、なんだなって。思った。

澪に告白したのは、近所の公園。
意を決して。学校帰りに、澪を誘って告白した。
しどろもどろな自分が、情けなかった。
テンパってたのが、自分でも分かった。
もっとビシッ!と告れば良かったのかなーとか、反省した。
返答は「よくわかんない」っていう、なんとも煮え切らないモノで。
澪の携帯に届いた彼女の母親からのメールを助け舟に、昨日はなんとかお開きになった。
いつもの場所までは無言で歩き、澪と別れた。
一人になってからは
まぁ……幼馴染みにいきなり告られても困るよな‥。
コレで……良かったのかな‥。
つーか、こんなに悩むなんて、おかしーし‥。
難しい顔をしつつ、頭の中で様々な感情が渦巻いていた。



帰宅して、晩御飯済ませて。
気分転換にゲーム‥‥と、思ったけど。そんな気にはならなかった。
バンドマンらしく‥‥と思って。CDでも聞いて、なんとか気分転換を‥図った。
ラックから取り出したのは、親戚の姉ちゃんから借りた椎名林檎の1stアルバム。
聴きつつ、エアドラムでリズム取りつつ。
澪が歌ったら似合いそうだな…。
そーいや亀田誠治ってジャズベなんだよな…澪が弾いても良さそうだな…。

…ダメだ。澪のコトばっか考えちゃう……。

風呂入って寝ようって思って。おフロ入っても、湯船で澪のコトばっか考えて。
モヤモヤモヤモヤしたまま、部屋に戻った。
‥そしたら、澪からメールが来てた。

私のことを好きって言ってくれて、伝えてくれて、ありがとう。
私も律のことは、好き。
だけど、付き合うって事が、わからない。
でも、ちゃんと律のことは好きだから。好きって言ってくれて嬉しかった。
嫌いになったわけじゃないからね。律のこと、好きだから。
明日も、ちゃんといつもの場所で待ってるからね。
寝坊しちゃ、ダメだよ?おやすみ。

………なんだかなぁ。

私もよくわからないよ、と思いつつ。
あの臆病な澪が告白されて(しかも幼馴染みの私から)、メッチャクチャ戸惑っただろうけど。
こうやって本人にメールしてきたんだ。成長したんだな、とか思って、感心した。
よくわからないと思いつつ、ちょっと気持ちが晴れた。
つまるとこ。告白した事によって今までの関係が崩れる事を恐れてたんだろう、自分は。
ま、私のコト好きって言ってくれたし。良しとしよう。

‥つーか、そうでもしなきゃ気持ちが落ち着かなかった。

気持ちに無理矢理整理を付けて、布団に潜った。
‥すると。ふと、澪の歌詞の一節が脳裏をよぎった。


「切り揃えた髪が とても似合ってる
 でも前髪を下ろした きみの姿も見てみたい」


澪は、私を好きって言ってくれた。
あの歌詞も、私のコト…なんだろうな。
都合の良い解釈をしつつ。


‥‥ちょっと、せつないな………。


胸の痛みを抑えつつ。眠った。

……翌朝。
私は、一大決心をした。

………前髪を、下ろしてみよう。

めっちゃ影響受けてるなーとか、自分でウンザリしつつ。前髪をワックスでセットして。
家族からは「似合ってるよー」とか言われて、赤面しつつ。
朝食を済ませ、準備して、カチューシャをカバンに入れて、家を出た。
いつもの場所に、向かった。



息を切らしつつ、いつもの場所で待つ澪の姿を確認した。
「みーおー!」
揺れる前髪が、慣れなかった。
手を振る私に、澪は気付いた。
「‥律?」
澪は、目の前に現れた私を見て目を丸くした。
「前髪、下ろしてみた!」
なるべくいつも通りに、ニカッと笑った。
「やっぱ、変な感じだなー」
私がいつもと勝手の違うデコをさすると
「……っ」
「‥澪!?」
澪は、涙目で口に手を当てていた。
‥‥泣いてる!?
私がめっちゃ動揺すると
「‥くすっ」
澪は、少し笑って
「‥律、変だよ?」
手を口から離し、笑顔を見せた。
「そ、そんなコトねーし!セットすんの大変だったんだぞー?」
私は、わざとムキになった。
「‥そっか、でも‥くすっ」
澪は、また涙目で笑った。
笑った………けど、見え見えの演技、だった。
涙目を、誤魔化す為の。
これだけ一緒に居れば、どういう時にどういう事を言うか、とか
どういう時にどんな行動を取るか、とかはお見通し。

嬉しかった……のかな。

私は、都合の良い解釈をしつつ
「わかったよ‥」
カバンからカチューシャを取り出して装着した。
「‥コレでいつも通り、だろ?」
まったく‥と、私は上げた髪を整えた。
「……うん」
澪は、笑顔で小さく頷いた。
「‥笑い過ぎ、だぞ?」
私は澪の涙目を拭った。
「‥あ‥ありがと‥」
澪はちょっと驚いた。
頬は、微かに赤らんでいた。
「じゃ、行こうぜ?」
「う、うん」
私は澪を促し、澪は私に続いた。
「それにしても、さみーなー」
「今日、雪降らしいよ?」
「マジで!?どーりで寒いワケだ‥」
「もう、冬だしねー」
昨日の今日でどうなるかなーとは、思ってたけど。
お互いに「いつも通り」を意識してる事は分かった。

このままでいいから……一緒に、居たいな。

自分にそう言い聞かせ
澪と、学校に向かった。



日中、私と澪はいつも通り。
放課後の部活も、いつも通り。
いつも通りじゃないのは、お互いの気持ち。
「いつも通り」って意識してるのが、分かった。
いつも通りに、部活を終えて。
いつも通りに、皆と別れて。
いつも通りに、澪と帰路に着いた。
帰路の途中
「‥律ー?」
「ん?」
「公園‥‥寄ってかないか?」
澪が、持ちかけてきた。
「ん?‥あ、あぁ」
私は、応えた。

………昨日と、逆じゃん。

明らかに「いつも通り」じゃない雰囲気になった。
昨日は、私が公園に誘って。
今日は、澪が公園に誘って。
昨日は、私が告白した。

今日は………?

私と澪は、無言で公園に入った。
無言のまま、公園を回った。
澪が、先を歩いて
私が、後に続いて。
昨日と違うのは、天気が思わしくない所、かな。
人っ子一人、カラスさえも、居なかった。
今にも降り出しそうな空の下、公園を歩いた。
私の前を歩く澪の黒髪は、綺麗だった。
彼女が背負ったベースのギグバッグがを邪魔に思っちゃうくらいだった。
タイヤが半分埋められてる辺りを、通り過ぎた所で
「…律」
‥私の先を歩く澪が立ち止まり、口を開いた。
「‥何?」
私が返事をすると、澪は振り返った。
「……‥り、りつ?」
振り返った澪の顔は、真っ赤だった。
何かを言いたい、伝えたいって事はわかった。
「な、なに?」
私は、澪に声を返した。
「ん~っ‥‥‥」
澪は、ちょっと唸った。
言い出したいけど、言い出せない感じ。
「っ~‥…」
口を噤んで、下を向いてる澪。
「‥みお?」
私が、声を掛けた。

すると


「……律、好きだ!付き合おう!」


…告白、された…?

「‥へ?」

間の抜けた顔で、返事をした。

「…律、付き合おう」

凛々しい顔でもう一回、告白された。

「……………」

頭の中が、真っ白になった。

「……律?」

凛々しい澪の顔が、曇った。
気付くと、私の頬が少し濡れていた。

「‥‥‥え?」

‥‥‥泣いていた。

「……だ、大丈夫?」

澪が心配そうに、近寄ってきた。
私は、取り繕うように下を向きつつ

「だっ、だいじょぶだしっ!な、なんでもない!」

涙を、ブレザーの袖で拭おうとした。
その瞬間


………ぎゅっ‥


澪に、抱き締められた。

「………んぅ‥んぐっ‥」

一気に、私の感情が溢れ出した。

「……なに、泣いてるんだよ‥」

澪は、私の茶髪を撫でた。
澪は、強がってそうだったけど…
震えていた。

「‥なんでもっ…‥ねーし‥‥うぐっ…えぐっ…」

私も強がって、澪の胸で、泣いた。

「‥りつ………すき‥‥だよ?」

澪も強がって、涙声で。私を抱き締めた。

「……私だって、すき‥だし‥‥」

澪の胸で、泣いた。
澪は私を、抱き締めた。
私も澪を、抱き締めた。
ブレザー越しの体温が、温かかった。
互いのブレザーが、互いの涙で濡れた。
体温と、気持ちを確かめ合って、泣いた。


……………いっしょに、いようね‥‥って。



ひとしきり、泣き合って。
泣き止んだ、涙目の顔を、見合って。
公園で、ふたりきりで、笑った。
…嬉しく、なった。
また、お互いの顔を見合って、笑った。
「…あ‥」
私が気付くと
「雪‥だ…」
澪が、その掌で雪の粒を受け止めた。


‥そろそろ、帰りな?


ゆっくり降る雪が、そう言ってる気がした。



泣き止んで、気持ちを落ち着かせて。
澪と二人で、公園を出た。

‥‥無言、だった。

降る雪が、冷たかった。

私は、無言で

‥‥‥ぎゅ

澪の手を、握った。

「っ……」

澪は、無言で

‥‥‥ぎゅ

私の手を、握った。

夕焼けも見えない、街並み。
街灯が、ゆっくり降る雪を照らした。

私と澪は、手をつないで歩いた。
お互い‥‥黙り込んだまま。



何から話せばいいのかな
「好き」から始めていいかな
舞う雪 踊った気持ちみたい



‥‥なんか、うれしいね。


前編:すべりだい

  • すごくいい -- 名無しさん (2011-12-09 23:29:40)
  • これは....歌詞どおりでやばいすごいいい。 -- 名無しさん (2012-01-03 16:50:59)
  • やばい良作。胸の辺りがゾワゾワした。 -- 名無しさん (2012-01-23 00:47:00)
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