けいおん!澪×律スレ @ ウィキ

フラッシュバック、夏。

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匿名ユーザー

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18時、いつもの場所。
私は慣れない浴衣に袖を通して、恋人を待っていた。
紺地に、朝顔の柄の浴衣。帯は白で涼しく。
髪は後ろでサッとまとめて。うなじが涼しい。
律が好きな色の下駄に、浴衣と揃いの柄の巾着持って。
約束の時間に、着いた。

…恋人は、まだ来ない。

まぁ、いつもの事だし…って思ってたら。
遠くから聞き慣れた声が。
「みーおー!!」
私の恋人、律だ。
「おまたせー!!」
律は息を切らしながら、駆け寄ってきた。
「ゴメン!待った?」
「いや、さっき着いたトコ」
私は大丈夫だよ、と少し笑った。
「そっか‥なら良かった…って澪‥」
「‥なに?」
「…」
律は、少し。黙ってから
「‥似合ってる、ぞ‥」
浴衣姿の私を、褒めた。
「あ‥ありがと‥」
私と律は、互いに頬を赤くした。
‥‥会うなり何バカップルみたいなコトしてんだろ。
私は、気を取り直して
「律は‥なんで浴衣着てこなかったんだ?」
メールしただろ?と聞いてみた。
別に、強要した訳じゃなかったんだけど‥。
「あぁー。メール見て、あ!!って思ったんだけど、さ」
律は頭を掻きつつ
「浴衣、クリーニングに出しててさ‥」
申し訳なさそうに、答えた。
「…そっか」
私はくすっと、笑った。
「律の浴衣姿、見たかったけどなー」
「ゴ、ゴメン‥」
恐縮する律。
「‥ま、でも」
私は律の頭を撫で
「その格好も、似合ってるぞ?」
「あ、ありがと…」
私がニコッと笑うと、律は大いに照れた。
いつもなら頭撫でられると「子供じゃねーんだし!」とか言うクセに…。
多分、律なりに考えてきたコーディネートだったんだろう。
白のキャミに、白の半袖のコットンシャツ。
白のショートパンツに、白のリングストラップサンダル。
全身白でまとめて、正に「夏!!」って感じだった。
地味になりがちな白でも、律が着れば何でも似合ってる。
・・・・なんか変なコト考えてるな、私・・。
とにかく、いつものカチューシャ以外は、白でまとめてカッコ可愛い、律だった。
「・・よーし」
律は、気を取り直し
「じゃ、いくぞー♪」
私の手を取り、隣町の夏祭りへ、向かった。



電車に乗って、隣町に、到着。
改札通る時も、階段の上り下りも、エレベーターも、エスカレーターも、人混みを掻き分ける時も。
・・・私と律は、ずっと手を繋いでいた。
恋人同士だし、当たり前なんだけど。やっぱ、照れるし。
お祭りってのも、あったのかな。
ドキドキが、止まらなかった。
隣町は夏祭り開催中、という事もあり。駅前から賑わっていた。
「あっちっぽいな」
「うん」
律と私は、遠くから続く賑わいを頼りに、夏祭りの会場である公園に向かった。
…手を、つないだまま。
慣れない土地で手を繋いで歩いて、ちょっと、緊張した。
緊張で、手が緩む度に

・・ぎゅっ

律は、私の手を握った。
道に迷う心配も無く、すんなり夏祭りの会場に到着。
「ふぇ~。やっぱ賑わってるなぁ」
会場を見渡しながら、先導する律。
「そうだなー」
手を引かれつつ、私も会場を見渡した。
・・と、ソコで
「あ!りっちゃーん!!みおちゃーん!!」
人混みの中から、聞き慣れた声が届いた。
『ん?』
私と律は、声の聞こえた方向を見た。
「あ!唯!!」
律は逸早く声の主に気付いた。
「え!?」
私は人混みの向こうを見た。

・・・唯だ。

人混みの隙間から制服がちょっと見え、ソコからギターケースが「にょき」っと生えていた。
「なにしてるのー!?」
人混み越しに会話しようとする唯。
「・・ちょっと待ってろ!!」
人混み越しに声を返す律。
「澪・・」
「・・うん」
律と私は顔を見合わせ「・・・しょーがないか」って気持ちで。
人混みを掻き分け、唯の元へ向かった。

・・・もちろん、手はつないだまま。



私と律は、人混みを掻き分け。我がバンドのギターヴォーカルの元へ向かった。
「りっちゃんとみおちゃん、なにしてるの?」
「なにって、遊びに来たんだろ」
「へぇ~」
唯と律のいつもの調子の会話を眺めていると、唯の斜め後ろにもう一人。見慣れた人物が。
「お二人で・・ですか?」
・・・制服姿の、梓だった。
「梓!!い、いたのか!?」
「いましたよ…」
驚く律と、呆れる梓。
「唯達こそ、制服姿でなにやってんだよー」
「おまつりに遊びにキマシタ!!」
律の質問にふんす!!と答える唯。
「部活帰りに私がこのお祭りの事話したら、どうしてもって聞かなくって・・」
「そうか・・」
苦笑気味の梓に、苦笑で答える私。
「ここであったが百年目!!りっちゃん!金魚すくいでしょうぶだよ!!」
「なんだとぉ!?やってやろうじゃないかぁ!!」
唯の安い挑発に乗り、私の手を離して握り拳を作る律。
「・・もう・・」
「・・まったく・・」
私と梓は、同時に溜息をついた。
「…お互い、大変ですね」
「・・まぁ、な…」
梓と私は、大人しく二人の勝負を見守ることにした。



「っしゃー!!」
「むきぃー!!」
大人気なく、盛り上がる律と唯。
「・・やれやれ」
恋人の後ろで見守る私が溜息をつくと
「すいません…」
同じく、後ろで見守る梓が謝ってきた。
「別に、何も悪い事なんかしてないだろ?」
私の返しに、梓はちょっとニヤニヤして
「・・私達もうすぐ、帰りますから!」
ふふっと、笑った。
「…っ!」
私は、思わず赤面した。
・・二人きりにしてくれるっていう、気遣い・・なんだろう。
そんな中、律と唯の勝負は続いていた。
「おーし!」
「ぐぬぬ・・」
意外にも、唯は不調でゼロ。私の恋人は二匹掬い上げていた。
「唯先輩?そろそろ帰りますよ?」
ソコで梓がタイミングを見計らって、割って入った。
「えー!?」
やだー!!と拒否する唯。
「ふはははー!!次は我が桜が丘地区の夏祭りで勝負だ!!」
金魚の入ったお椀を手に、勝ち誇る律。
「まだまだー!」
食い下がる唯に
「ダーメーでーす!憂にお土産買ってかなきゃなんないんですから!!」
「…はい・・」
梓が一声浴びせると、唯は呆気無く従った。
梓の…ってよりは、憂ちゃんが効いたっぽい。
「おぼえてやがれー!!」
「はいはい、行きますよ…では、失礼します!!」
「またなー!!」
「気を付けて帰るんだぞ!」
悔しがる唯を、梓は無理矢理引っ張って行った。
律と私は、手を振って見送った。
「…さーて」
律は、一息つくと
「・・ぼうやー?」
金魚掬いのエリアの隅っこにいた幼い男の子に、声を掛けた。
「・・へ?」
男の子は、呆気に取られた様子だった。
「コレを、あげよう!」
律は、金魚が二匹入ったお椀を手渡した。
「・・いいの!?」
男の子は、嬉しそうに、笑った。
「ああ!」
律も、笑った。
「ありがとう!!」
男の子は、ホントに嬉しそうだった。
「おっちゃん。この金魚、この子にあげて。イイよな?」
「あ、あぁ。大丈夫だけど」
律が金魚掬いのおじさんに確認を取ると、おじさんも呆気に取られつつ、承諾した。
「じゃ、そゆことで!」
律はしゅばっ!!っと左手を挙げ、右手で私の手を取り、金魚掬いのエリアから立ち去った。
金魚掬いの周りには、やきそばやら何やらと、屋台が連なっていた。
「みおーおなかへったー」
律は、屋台を眺めながらぼやいた。
「あ、律」
「ん?」
私は、繋いだ手を離して巾着袋からハンカチを取り出し、律の正面に立ち
「‥がんばりすぎ、だぞ?」
律の額の汗を、拭った。
「あ、あぁ‥」
照れる律。を、見下ろす私。何故か、私まで、照れた。
…二人の頬が、赤くなった。
「…焼きそば!焼きそば食べたい!」
照れ臭い空気を吹き飛ばそうと、律は希望を言ってきた。
「そ、そうか?」
私はハンカチを巾着袋にしまった。
「たこ焼きも、食べたいな!」
律は、私の手を引いた。
「…もう、どっちかにしないと。食べ過ぎはよくないぞ?」
手を引かれつつ、私が忠告すると
「んー‥」
律はちょっと悩み
「じゃ、両方買って、半分ずつ食べようぜ?」
澪もおなかすいただろー?、と聞いてきた。
「う、うん‥」
確かに。晩御飯食べてないし。
「よしっ!きーまりー♪」
律は、嬉々として屋台へ向かった。
あれやこれやと、屋台で仕入れたのは焼きそばとたこ焼きを一パックずつ。
ソレと、トロピカルジュースのLサイズを一つ。
「ん~。あっちいこっか」
律は、人混みの少ない方向へ向かった。
「そうだな」
私は律に手を引かれて、同じ方向へ向かった。
「この辺、かな」
「うん」
辿り着いたのは、会場の端っこ。
屋台の並びが途切れるあたりに丁度ベンチがあったので、ふたりで腰掛けた。
「ごーはーん♪」
「ゆっくり食べなきゃ、ダメだぞ?」
「わかってるってー♪」
私は、たこ焼きを持って。律は、焼きそばを持って。
間に、トロピカルジュースを置いた。
互いに「あーん」ってやったり。
食べる合間にジュース飲んで、飲む度に「ん」ってストロー差し出して間接キス強要したり…
…バカップル全開だった。
お祭りだし、浮かれ気分だし、仕方無い。
私は浴衣姿で気合入ってる感じだし、律は律で率先して私の手を引いてくるし…
…隣町のお祭りだし、いっか。みたいな。
時折目が合って、ニコって笑って。
私と律は、焼きそばとたこ焼きとトロピカルジュースを、完食した。
「‥そろそろ、かえろっか?」
「‥うん」
律の言葉に、私は頷いた。




夏祭り帰りの沿道。
私と律は、汗で湿った手を、つないでいた。
「律?」
「なに?」
「なんで、金魚あげたんだ?」
あんなに夢中になってたのに、と聞いてみた。
「んー・・」
律は鼻の頭をちょっと掻いて
「・・ずっと、見てたんだ」
「・・何を?」
「あの子がさ。私を唯が勝負してる間、ずっと」
「へぇ」
「なんか、すんごく羨ましそうでさ。ソレで、あげた!」
ニカっと、律は笑った。
「そっか!」
私も、笑った。
いつも、適当で、大雑把でも。律は常に周りを見ている。
部長らしいし、恋人としても、頼もしいなって、思う。
「・・・」
・・私は、立ち止まった
「・・どうした?」
律が不思議な顔で尋ねてきた。
「・・えーっと・・」
私はキスしてやろうって、思った。
ごほうびにっ、て。

・・・・その、刹那

ドン!

『!!!』

花火が、打ち上がった。

たーまやー♪

「…」
「…」
遠くから、聞き慣れた声が聞こえた。
花火の明かりが、私の浴衣と、律の白い服装を照らした。

ドン!

かーぎやー♪

花火は、何発か打ち上がった。
沿道の建物の隙間から打ち上がる花火に、私と律は見とれた。
…キスするタイミングとか、完全に吹っ飛んだ。

「キレイ、だったな‥」
「うん…」

私と律は、並んで手を繋いで。
隣町を、後にした。



「いやー。やっぱお祭りってイイもんだなー」
律は、いつもの道を歩きながら、さっきまで居たお祭りの感想を述べた。
「そうだなー」
私は、いつもの道を歩きながら、さっきまで居たお祭りの感想に同意した。
「次のお祭りでも、唯を返り討ちにしてくれるわ!」
「‥はいはい」
ふたりは、いつもの道を、手を繋いで歩いた。

‥あっと言う間に、いつもの場所。

「じゃあ、また明日な!」
律は、手を挙げて別れて帰ろうとした。
「………」
私は、無言になった、
「‥澪?」
律は、無言の私に声を掛けた

………もうっ

ぐいっ

私は、律の手を引いた。

「え!?」

私は、驚いた律の唇に

‥ちゅっ

キスを、した。

「…っ!?」

目を丸くして驚く律に

「じゃ、また明日な!」

私は声を掛けて、直ぐ様踵を返し、走り去った、

律の好きな色の下駄がたくさん鳴った。
紺色の浴衣がパタパタ言った。
私の顔は真っ赤だった。

別に、私と律は付き合ってるし。
キスだって、何回かしてるし。
今日も、ずっと手繋いでたし。

………でも、なんか。思い切って律にキスして。恥ずかしかった。

家に帰って、浴衣脱いで、部屋着に着替えて。
律と、帰りのキス以外の、何気無いメールして。

私は、ベッドに思いっ切り寝転んだ。

携帯を見上げて
メールを何回も見返して。

「……~っ」

たぶん、赤くなったカオを。うさちゃんに埋めて。

「…寝ちゃお」

次のお祭りを楽しみに…、眠った。


  • 二人とも幸せそうだな、やっぱりこの二人の関係は素晴らしいものだな!! -- 名無しさん (2011-08-12 21:24:24)
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